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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】自動車用サスペンションアーム
(51)【国際特許分類】
   B60G 7/00 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
B60G7/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019083389
(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2020179754
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000112082
【氏名又は名称】ヒルタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】秋本 康雄
(72)【発明者】
【氏名】竹田 篤
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼安 信吾
(72)【発明者】
【氏名】初岡 晋
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 伸次
(72)【発明者】
【氏名】吉川 修司
(72)【発明者】
【氏名】操田 光順
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/004899(WO,A1)
【文献】特開2015-231780(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1792137(KR,B1)
【文献】特開2003-063224(JP,A)
【文献】特開2014-118094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を曲げて成形された形状を有するサスペンションアームであり、
前記サスペンションアームは、
一端部の幅に比して、他端部の幅が小さい形状である腕部と、
前記腕部の前記一端部に配され、車体の前後方向に離隔した位置に配される車体に対する取付部と、
前記腕部の前記他端部に配される車輪の支持部材の取付部とを備えており、
前記腕部には、
車体の前方側に配され、前記腕部の延在方向に沿って延びる第1ビードと、
車体の後方側に配され、前記腕部の延在方向に交差する方向に延びており、その基端部が前記第1ビードに接する形状である第2ビードと、が配されており、
前記腕部は、その延在方向に沿って延びる縁部に沿って配置される突条をさらに備える自動車用サスペンションアーム。
【請求項2】
前記腕部の延在方向における、前記第2ビードの長さは、前記第1ビードの長さに比して小さい形状である請求項1に記載の自動車用サスペンションアーム。
【請求項3】
前記腕部は、前記他端部と前記第1ビード及び前記第2ビードとの間に、前記腕部の延在方向に交差する方向に延びる第3ビードをさらに備える請求項1又は2に記載の自動車用サスペンションアーム。
【請求項4】
前記腕部は、前記第1ビードと前記第3ビードとの間に、前記第1ビードの表面及び前記第3ビードの表面を基準として、窪んだ凹部をさらに備える請求項3に記載の自動車用サスペンションアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のサスペンションアームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示したように、車体の内側に車両の前後方向に離隔した2か所に設けられた車体取付部において車体に組付けられ、車体の外側に設けられた車輪側取付部にて車輪を支持するサスペンションアームが知られている。車輪側取付部には、ボールジョイントを介して、車輪が固定されるとされている。
【0003】
特許文献1のサスペンションアームには、内側端から外側端へと延びる複数の谷部が設けられている。これによって、車体の前後方向に大きな衝撃力が作用すると、サスペンションアームを構成する上下部材が変形して、衝撃力を吸収するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-67120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1のようなサスペンションアームを使用した車両では、例えば、車輪が縁石に衝突するなどして、車体の後方に向けて大きな荷重が入力されると、後述する図12に示したように、サスペンションアームが、車体の斜め後方に傾くように座屈変形し、車体取付部に設けられたカップに摺動可能な状態で収容されたボールジョイントが脱落する場合があった。
【0006】
ボールジョイントがカップから脱落すると、車両を自走させることが難しくなるし、車輪が脱落したり、懸架装置を構成する部品が大きく損傷したりすることがあるため、ボールジョイントの補強が必要となる。
【0007】
上記のような問題に鑑みて、本発明は、車輪に対して車体の後方に向けて大きな荷重が入力された際に、ボールジョイントを補強することなくサスペンションアームが車体の斜め後方に傾くように座屈変形することを防止したサスペンションアームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
金属板を曲げて成形された形状を有するサスペンションアームであり、前記サスペンションアームは、一端部の幅に比して、他端部の幅が小さい形状である腕部と、前記腕部の前記一端部に配され、車体の前後方向に離隔した位置に配される車体に対する取付部と、前記腕部の前記他端部に配される車輪の支持部材の取付部とを備えており、前記腕部には、車体の前方側に配され、前記腕部の延在方向に沿って延びる第1ビードと、車体の後方側に配され、前記腕部の延在方向に交差する方向に延びており、その基端部が前記第1ビードに接する形状である前記第2ビードと、が配された自動車用サスペンションアーム(以下、単に「サスペンションアーム」ということがある。)により、上記の課題を解決する。
【0009】
上記のサスペンションアームでは、車輪に対して車体の後方に向けて大きな荷重が入力されると、車体の第2ビードが設けられている部分を起点として、サスペンションアームが車体の斜め前方に傾くように変形する。これによって、前記車輪の支持部材の取付部に設けられたカップに摺動可能な状態で支持されたボールジョイントが脱落することを防ぐことができる。
【0010】
上記のサスペンションアームにおいて、前記腕部の延在方向における、前記第2ビードの長さは、前記第1ビードの長さに比して小さい形状とすることが好ましい。これによって、より確実に、サスペンションアームを車体の斜め前方に傾くように変形させることができる。
【0011】
上記のサスペンションアームにおいて、前記腕部は、前記他端部と第1ビード及び第2ビードとの間に、前記腕部の延在方向に交差する方向に延びる第3ビードをさらに備える構成とすることが好ましい。これによって、サスペンションアームの静的な強度を向上させることができる。
【0012】
上記のサスペンションアームにおいて、前記腕部は、前記第1ビードと第3ビードとの間に、前記第1ビードの表面及び前記第3ビードの表面を基準として、窪んだ凹部をさらに備える構成とすることが好ましい。これによって、サスペンションアームの静的な強度を向上させることができる。
【0013】
上記のサスペンションアームにおいて、前記腕部は、その延在方向に沿って延びる縁部に沿って配置される突条をさらに備える構成とすることが好ましい。これによって、サスペンションアームの静的な強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車輪に対して車体の後方に向けて大きな荷重が入力された際に、サスペンションアームが車体の斜め後方に傾くように座屈変形することを防止したサスペンションアームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】サスペンションアームの一実施形態の表側を示す斜視図である。
図2図1のサスペンションアームの裏側を示す斜視図である。
図3図1のAA部における端面図である。
図4図1のBB部における端面図である。
図5図1のCC部における端面図である。
図6図1のDD部における端面図である。
図7】比較例に係るサスペンペンションアームの表側を示す斜視図である。
図8図7のEE部における断面図である。
図9図1のサスペンションアームを車体に取り付けた状態を車体の後方視点から示した模式図である。
図10図1のサスペンションアームを車体に取り付けた状態を車体の側方視点から示した模式図である。図10においては、破線で車輪を示した(図11及び図12においても同様とする。)。
図11図10に示した懸架装置に支持された車輪に対して矢印で示した車体の後方に荷重Fが作用した状態を示す模式図である。
図12】比較例に係るサスペンションアームを備える懸架装置において、車輪に対して矢印で示した車体の後方に荷重Fが作用した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の自動車用サスペンションアーム(以下、単に「サスペンションアーム」と称する。)の一実施形態について説明する。図1ないし図6に、サスペンションアームの一実施形態を示す。図7及び図8には、比較のために用意したサスペンションアームを示す。図9ないし図12に、前記サスペンションアームを有する懸架装置を車体に対して取り付けた状態の一例を模式的に示す。
【0017】
図1ないし図6に示したように、本実施形態のサスペンションアーム1は、金属板を曲げて成形された形状を有する。サスペンションアーム1では、一枚の鋼板を上型と下型を使用したプレス成型により曲げて後述する第1ビード等を含む凹凸部分を形成し、次いで、この金属板の縁部を曲げ加工して成形されている。サスペンションアームの加工方法は、特に限定されず、例えば、プレス成型のみによって成形してもよい。
【0018】
サスペンションアーム1は、図1及び図2に示したように、一端部の幅に比して他端部の幅が小さい形状である腕部11を有する。腕部11の一端部には、車体の前後方向に離隔した位置に配される車体に対する取付部が配される。一方、腕部11の他端部には、車輪の支持部材の取付部が配される。
【0019】
本実施形態のサスペンションアーム1では、車体に対する取付部は、ブッシュを内嵌することができる一対の貫通孔12から構成される。貫通孔12は、車体の上下方向に貫通する円形の孔からなる。車体に対する取付部は、車体に対して、サスペンションアームを、車体の上下方向に対して、取り付けることができる形状であればよい。例えば、車体に対する取付部は、車体の前後方向に貫通する円筒状の管から構成してもよい。
【0020】
本実施形態のサスペンションアーム1では、車輪の支持部材の取付部は、図1及び図2並びに図9に示したように、車輪の支持部材に連結されるボールジョイント92のボール921を収納するカップ93を固定するための貫通孔13から構成される。貫通孔13は、車体の上下方向に貫通する円形の孔からなる。車輪の支持部材の取付部は、貫通孔13に限定されず、例えば、腕部の他端部に設けられており、ボールジョイントのカップを固定するための螺子孔、凹穴、カップとサスペンションアームの他端部との溶接構造等の構成にしてもよい。カップの構成は、ボールジョイントのボール部分を摺動可能な状態で支持することができるものであればよい。カップは、例えば、ボールと当接する合成樹脂製のライニングと、ライニングを内蔵する金属製部材とで構成することができる。
【0021】
サスペンションアーム1では、腕部11の一端部に車体に対する取付部が車体の前後方向に離隔した状態で配置され、腕部11の他端部に車輪の支持部材に対する取付部が配置される。腕部11は、図1に示したように、一対の車体に対する取付部と車輪の支持部材の取付部とを連結する形状であり、その一端部の車体の前後方向における幅に比して、その他端部の車体の前後方向における幅が小さくなる形状となっている。より具体的には、腕部11の一端部から他端部に向けて、車体の前後方向における幅が徐々に小さくなるように車体の前側の縁部111及び後側の縁部112にテーパー状部が配置された形状である。車体の前側の縁部111及び車体の後側の縁部112には、図2に示したように、それぞれ補強部113が配される。補強部113は、腕部11を構成する金属板の縁を、車体の下方及びサスペンションアーム1の内側へ計2回折り曲げた形状とされている。
【0022】
腕部11の車体の前方側には、腕部11の延在方向に沿って延びる第1ビード114が配される。ビードは、金属板から構成されるサスペンションアームに形成された細長い突起、すなわち突条のことである。第1ビード114は、図1に示したように、腕部11に設けられた基部115を基準として、車体の上側に突出する突条から構成される。基部115は、車体前側と車体後側の車体に対する取付部の中間であり、かつ、後述する突条116の内側に配される部分である。
【0023】
腕部11の車体の後方側には、腕部11の延在方向に交差する方向に延びる第2ビード117が配される。第2ビード117の基端部は、第1ビード114に接する形状とされている。第2ビード117の先端部は、腕部の縁部に達するまで延在する形状とされている。第2ビード117は、図1に示したように、腕部11に設けられた基部115を基準として、車体の上側に突出する突条から構成される。
【0024】
本実施形態のサスペンションアーム1は、図9に示したように、ストラット式サスペンションのロアアームとして、好適に使用することができる。サスペンションアーム1は、前輪側の懸架装置に使用してもよいし、後輪側の懸架装置に使用してもよい。図9の懸架装置9では、ロアアームとして使用されるサスペンションアーム1の一端部は、ブッシュ(図示略)を介して、車体(図示略)に取り付けられる。サスペンションアーム1の他端部は、ボールジョイント92及びそれを摺動可能に収納するカップ93を介して、車輪の支持部材を構成するナックル91と連結される。ナックル91の上端部には、コイルスプリング94の端部が固定されたダンパー95の下端部が接続される。ダンパー95の上端部は、車体に対して固定される。ナックル91には、ハブを介して車輪96が回転可能に支持される。なお、サスペンションアーム1は、図1に示した表側が車体の上方を向くようにして、車体に対して固定される。
【0025】
図7に示した比較例に係るサスペンションアーム5では、図12に示したように車輪が縁石に衝突するなどして車輪96に車体の後方に向けて大きな荷重が入力されると、サスペンションアーム5の腕部51が、車体の斜め後方に傾くように座屈変形しやすかった。腕部51にこのような座屈変形が生じると、図12に示したように、サスペンションアーム5が車輪の支持部材であるナックルから離れる方向に変位し、サスペンションアーム5の他端部において、ボールジョイント92がカップ93から脱落して、車輪が外れるなどの問題が生じるため、ボールジョイントの補強が必要となることがあった。
【0026】
本実施形態のサスペンションアーム1では、図11に示したように、車輪96に対して車輪の後方に向けて大きな荷重が入力されると、図11に示したように、腕部11に設けられた第2ビード117を起点として、腕部が車体の前方に対して斜めに傾くように変形する。このような変形が生じた場合は、サスペンションアーム1が車の支持部材に対して接近する方向に変位し、ボールジョイント92がカップ93から脱落することが防止される。これにより、車輪96が脱落したり、車両が自走不能となるような致命的な損傷が生じる可能性を減じることができ、ボールジョイントの補強が不要になる。
【0027】
本実施形態のサスペンションアーム1では、図1に示したように、腕部11の延在方向における第2ビード117の長さは、腕部11の延在方向における第1ビード114の長さに比して、小さい形状とされている。これによって、第2ビード117を起点として、サスペンションアーム1がより車体の斜め前方に傾きやすくなる。これにより、ボールジョイント92がカップから脱落することをより確実に防止することが可能になる。
【0028】
本実施形態のサスペンションアーム1では、図1に示したように、第2ビード117は、車体に対する取付部を構成する車体前方の貫通孔12と、車輪の支持部材に対する取付部を構成する貫通孔13とを結ぶ線の真ん中を基準として、車輪の支持部材の取付部を構成する貫通孔13に寄った位置に設けられている。
【0029】
本実施形態のサスペンションアーム1では、図1及び図5に示したように第1ビード114及び第2ビード117と、車輪の支持部材の取付部が配される前記他端部との間に、第3ビード118を備える。図1に示したように、第3ビード118は、前記基部115を基準として、車体の上方に突出する突条から構成され、腕部11の延在方向に対して交差する方向に延びる形状である。第3ビード118を設けることにより、サスペンションアーム1の曲げ強度、又は引張強度などの静的な強度を向上させている。
【0030】
本実施形態のサスペンションアーム1では、図1及び図5に示したように、第1ビード114の表面及び第3ビード118の表面に比して、車体の底面側に窪んだ凹部を備える。凹部は、図1及び図5において、符号Fを付した破線で囲まれた領域に設けられる。凹部Fの底部分は、図1及び図4において符号Gを付した破線で囲まれた領域に設けられる第2ビード117の隣接部分に比して車体の上方側に位置する。すなわち、凹部Fを形成する窪みの深さは、隣接部分Gの窪みの深さに比して、浅く構成されている。前記隣接部位Gは、第2ビード117に隣接する部分であり、腕部11の他端部寄りの部分に位置する。凹部Fを配することにより、サスペンションアームの曲げ強度、又は引張強度などの静的な強度を向上させている。
【0031】
本実施形態のサスペンションアーム1では、図1及び3に示したように、腕部の延在方向に沿って延びる縁部に沿って配置される補強用の突条116を備える。補強用の突条116は、図3に示したように、上述の基部115を基準として、第1ビード114及び第3ビード118に比して、車体の上方へより大きく突出するように構成されている。補強用の突条116を設けることにより、サスペンションアームの曲げ強度、又は引張強度などの静的な強度を向上させている。
【0032】
図6に示したように、第2ビード117の延在方向に沿う面で切断したDD断面を基準とし、腕部11の下端部の位置と第1ビート114の表面との直線距離をH1と規定し、腕部11の下端部の位置と第2ビード117の表面との直線距離をH2と規定したときに、H2の値は、H1の値の0.5倍から2倍の値になるようにすることが好ましく、0.8倍から1.5倍の値になるようにすることが好ましい。本実施形態のサスペンションアームでは、H2の値は、H1の1倍とされている。
【0033】
次に、幾何学的非線形解析によって、図1ないし図6に示したサスペンションアーム1と、図7及び図8に示した第1ビードも第2ビードも備えていないサスペンションアーム5について、車輪96に対して車体の後方へ向かう大きな荷重Fが入力された場合に、腕部がどのように変形するか解析した。合わせて、それぞれのサスペンションアームについて、座屈変形によりサスペンションアームが破壊に至る荷重の値について解析した。
【0034】
解析の結果、図1ないし図6に示したサスペンションアーム1では、車体の斜め前方に傾くようにサスペンションアーム1の腕部が変形した。一方、図7に示したサスペンションアーム1では、車体の斜め後方に傾くようにサスペンションアーム5の腕部51が変形した。サスペンションアーム1の実物及びサスペンションアーム5の実物を用いた試験においても、同様の結果が得られた。
【0035】
サスペンションアーム1が斜め前方に座屈変形した際の荷重の値と、サスペンションアーム5が斜め後方に座屈変形した際の荷重の値とを比較すると、後者の値に比して、前者の値が15.1%大きかった。
【符号の説明】
【0036】
1 サスペンションアーム
11 腕部
12 貫通孔(車体に対する取付部)
13 貫通孔(車輪の支持部材の取付部)
114 第1ビード
117 第2ビード
118 第3ビード
F 凹部
116 突条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12