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  • 特許-日傘取付ベンチ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】日傘取付ベンチ
(51)【国際特許分類】
   A47C 11/00 20060101AFI20230529BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230529BHJP
   A45B 17/00 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A47C11/00
E04H1/12 306B
A45B17/00 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019150114
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021029386
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391028960
【氏名又は名称】内田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 勝博
(72)【発明者】
【氏名】原 昌之
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0263394(US,A1)
【文献】登録実用新案第3163536(JP,U)
【文献】実開昭55-127587(JP,U)
【文献】特開2018-110816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 11/00
E04H 1/12
A45B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面より上方に延びる支柱の上部を日傘取付部とした日傘取付ベンチであって、
この日傘取付部は、逆U字状に形成された板状本体の側面に、日傘のシャフトを挿入できる縦溝を板状本体の頂部から、板状本体の逆U字溝に達するように形成するとともに、この縦溝の側方に縦溝内に挿入されたシャフトを固定する回転体を取り付けたものであり、
前記板状本体の頂部が前記日傘の下ろくろの下端を支持可能であるとともに、
前記逆U字溝の内部に前記シャフトの下端の取っ手を収納可能であることを特徴とする日傘取付ベンチ。
【請求項2】
支柱の全体を逆U字状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の日傘取付ベンチ。
【請求項3】
日傘取付部を備えた支柱を、単数又は複数としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の日傘取付ベンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公園などに設置される日傘を取り付けることができるベンチに関するものである。なお、ベンチには縁台状のものも含むものとする。
【背景技術】
【0002】
公園などに設置されている従来のベンチには日除けのないものが多く、利用者が直射日光を受けるため、夏場には暑くて利用しにくいことが多い。このため公園の利用者からはもっと日陰が欲しいという要望が多く出されているが、あずまやなどの屋根製品は公園に設置する際には予め建築確認申請が必要となり、費用と手数がかかるため、容易に設置できないという問題がある。
【0003】
特許文献1には、傘を逆向きにした形状のシェルターを取り付けたベンチが提案されている。しかしこれは雨を受けて排水する構造を備えた退避・休憩用簡易施設であり、あずまやと同様、低コストで設置することはできないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭57-151764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、低コストで簡便に日除けの付いたベンチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記の課題を解決するために、夏場における公園のベンチの利用状況を観察した。その結果、子供を見守る保護者の多くは日傘を持参し、日傘を差して子供を日差しから遮ろうとすることに注目した。しかし日傘を持った状態では、子供の動きに瞬時に対応することができないことにも気付いた。このため利用者が持参した日傘を利用してベンチに簡便に日陰を作ることができれば、多くのコストもかからず利用者に便利であるとの着想に至った。
【0007】
上記の知見に基づいてなされた本発明は、座面より上方に延びる支柱の上部を日傘取付部とした日傘取付ベンチであって、この日傘取付部は、逆U字状に形成された板状本体の側面に、日傘のシャフトを挿入できる縦溝を板状本体の頂部から、板状本体の逆U字溝に達するように形成するとともに、この縦溝の側方に縦溝内に挿入されたシャフトを固定する回転体を取り付けたものであり、前記板状本体の頂部が前記日傘の下ろくろの下端を支持可能であるとともに、前記逆U字溝の内部に前記シャフトの下端の取っ手を収納可能であることを特徴とするものである。
【0008】
なお、支柱の全体を逆U字状に形成した構造とすることができる。また、日傘取付部を備えた支柱は、単数又は複数とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のベンチは、保護者が持参してきた日傘を支柱の上部に形成された日傘取付部に取り付け、日陰を作ることができる。このため建築確認申請も不要で、低コストで簡便に設置することができる。しかも日傘を手で持つ必要がないため、保護者は両手が空くこととなり、子供がベンチから落下しそうになった場合などにも瞬時に介助することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態を示す斜視図である。
図2】日傘を取り付けた状態を示す正面図である。
図3】ベンチの使用状態を示す斜視図である。
図4】第2の実施形態を示す斜視図である。
図5】第3の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明に実施形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す斜視図であり、10はベンチの座面、11は座面10の中央に立設された支柱である。この実施形態では、座面10は八角形である。図示されるように、支柱11の座面10よりも上方の部分は逆U字状であり、中央に逆U字溝12が形成されている。支柱11の座面10よりも下の部分の構造は任意である。
【0012】
支柱11の上部は、日傘取付部20となっている。この日傘取付部20は、板状本体21の側面に、日傘のシャフトを挿入できる縦溝22を形成するとともに、縦溝22の側方に回転体23を取り付けたものである
【0013】
板状本体21には厚みと剛性が必要であり、この実施形態では厚さが19mmのポリエチレン積層板を使用している。日傘のシャフトの径は10~12mm程度であるから、縦溝22は幅と深さを13mm程度として、図2に示すように日傘30のシャフト31をぴったりと収納できるようにしておく。
【0014】
縦溝22の側方の回転体23は、軸24を中心として回転できるものであって、この実施形態では円板の一部を直線で切欠いた形状としてある。図2に示すようにこの切欠部25を縦溝22の反対側に回せば日傘30のシャフト31が縦溝22から外れないように拘束することができるが、切欠部25を縦溝22の方に回せば日傘30のシャフト31を着脱できるようになる。
【0015】
なお回転体23の形状は回転させることにより、日傘30のシャフト31を拘束したり、着脱したりすることができるものであればよく、必ずしも円板に限定されるものではない。軸24としては風雨に晒されても錆びないステンレスボルトなどを用いることが好ましい。また回転体23にはある程度の力を加えないと回らないように、回転抵抗を与えておくことが望ましい。
【0016】
このように、縦溝22と回転体23とにより、日傘30のシャフト31の前後左右の動きは拘束することができるが、上下方向の動きは拘束することができない。そこで本発明では、縦溝22を板状本体21の頂部から、板状本体21の逆U字溝12に達するように形成した。このため図2に示すように、シャフト31よりも大径の下ろくろ32の下端を板状本体21の頂部に当て、ずり落ちないようにすることができる。また、シャフト31の下端の取っ手33を逆U字溝12の内部に収納することにより、取っ手33が大きい場合にも支柱11から外側に出っ張らないようにすることができる。
【0017】
この実施形態では、支柱11の座面10よりも上方の部分の全体を逆U字状としたのであるが、逆U字状の板状本体21を支柱11の上部に取り付けてもよい。この場合の支柱としては、通常の形状のものを用いることができる。
【0018】
このように保護者が持参した日傘30を支柱11の上部の日傘取付部20に保持させれば、図3に示すようにベンチの座面10に日陰を形成することができる。保護者は両手が空くので、子供を咄嗟に保護することが可能となる。
【0019】
図4は本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。この第2の実施形態では横長の座面10の左右両端に支柱11が立設されており、各支柱11の上部が日傘取付部20となっている。太陽の位置は時刻によって変化するため、利用者は時間帯に応じて左右何れかの支柱11に日傘30を取り付けることができる。
【0020】
図5は本発明の第3の実施形態を示す斜視図である。この実施形態では座面10は円形であり、その4か所に支柱11が放射状に形成されている。このように多数の支柱11を設けておけば、太陽の位置が変わっても最適の位置の支柱11に日傘30を取り付けることにより座面10に日陰を形成することができる。なお、保護者が複数である場合には、複数の支柱11に日傘30を取り付け、日陰を拡げることも可能である。
【0021】
以上に説明したように、本発明によれば利用者の日傘30を利用して、低コストで簡便に日除けの付いたベンチを提供することが可能となる。なお、日傘の代わりに雨傘を用いてもよいことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0022】
10 座面
11 支柱
12 逆U字溝
20 日傘取付部
21 板状本体
22 縦溝
23 回転体
24 軸
25 切欠部
30 日傘
31 シャフト
32 下ろくろ
33 取っ手
図1
図2
図3
図4
図5