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特許7286090トルクセンサ用ホールIC基板の固定構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】トルクセンサ用ホールIC基板の固定構造
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
G01L3/10 305
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019150967
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021032626
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優佑
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-243284(JP,A)
【文献】特開2006-071326(JP,A)
【文献】特開2015-055560(JP,A)
【文献】特開2017-198608(JP,A)
【文献】特開2019-074365(JP,A)
【文献】特表2001-516456(JP,A)
【文献】特開2015-031600(JP,A)
【文献】特開2017-166945(JP,A)
【文献】特開2014-055909(JP,A)
【文献】特表2008-545146(JP,A)
【文献】米国特許第06034499(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102007057292(DE,A1)
【文献】国際公開第2011/062399(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/012893(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10,
G01D 5/12-5/252,
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールIC(20A)を有する基板(20)を収納するための収納空間(24)を有する輪状樹脂ホルダ(21)と、前記輪状樹脂ホルダ(21)の外周(21a)に設けられた輪状金属ケース(11)と、前記収納空間(24)に収納され、前記基板(20)に接続された複数のリード線(26)と、を備え、
前記リード線(26)は、前記収納空間(24)の上部を介して外部に導出されているトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造において、
前記輪状樹脂ホルダ(21)の樹脂上面(22)に形成された複数の係合突起(23)を有し、前記各係合突起(23)は、前記輪状金属ケース(11)に係合し、前記リード線(26)は、前記樹脂上面(22)に形成された切り欠き(25)を経由して外部に導出する構造からなるトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造
【請求項2】
前記収納空間(24)の入口(24a)には、複数の係止突起(31)があり、前記収納空間(24)内に前記基板(20)を収納後は、前記係止突起(31)により前記基板(20)が前記収納空間(24)内に保持される構成よりなる請求項記載のトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクセンサ用ホールIC基板の固定構造に関し、特に、トーションバーを貫通させるトルクセンサ内の輪状樹脂ホルダの中に、ホールICを有する基板を内蔵させることにより、トルクセンサ内に簡単に基板の設置を行うことができるようにすることである。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のトルクセンサとしては、特許文献1の図1に示されている構成を、図20として開示することができる。
すなわち、図20には、トーションバー3の周囲に配置したトルクセンサを収容したケース11の外部に検出器本体を設けた端子箱部13を設け、該端子箱部13の底とケース11内とを結ぶ連通孔13bにグロメット40を設け、該グロメット40の端子箱部13側にコネクタを設け、前記トルクセンサに繋がる配線と検出器本体に繋がる配線とを前記コネクタを介して配設するようにしたトルク検出装置が開示されている。このトルク検出装置では、前記グロメット40が合成樹脂にて形成され、その表面には前記コネクタ23を固定する図示しない複数の係止突起部と、前記配線を拘束する図示しない押えガイド片とが設けられている。また、前記トーションバー3の外周側には、プリント基板20がグロメット40を介して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-47835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、一般に、トルクセンサに用いるホールICを半田付けした基板を固定する方法として、接着やインサート成形が用いられている。
しかしながら、接着は基板を保持するための中子等の治具や装置が必要となり、インサート成形は、プリント基板の位置決め、プリント基板自体の耐熱性が必要となり、コストアップとなっていた。
また、前述の特許文献1のように、トーションバーの外周側に、大型のグロメットを介してプリント基板を設置する場合には、多くの部品を用いて組立てなければならず、グロメット自体も環境特性に秀れた材質のものを用いる必要があり、コストアップとなっていた。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、トーションバーを貫通させる輪状ホルダの中に、ホールICを有する基板を内蔵させることにより、簡単に基板の設置を行うようにしたトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造は、ホールICを有する基板を収納するための収納空間を有する輪状樹脂ホルダと、前記輪状樹脂ホルダの外周に設けられた輪状金属ケースと、前記収納空間に収納され、前記基板に接続された複数のリード線と、を備え、前記リード線は、前記収納空間の上部を介して外部に導出され、前記輪状樹脂ホルダの樹脂上面に形成された複数の係合突起を有し、前記各係合突起は、前記輪状金属ケースに係合し、前記リード線は、前記樹脂上面に形成された切り欠きを経由して外部に導出する構成であり、また、前記収納空間の入口には、複数の係止突起があり、前記収納空間内に前記基板を収納後は、前記係止突起により前記基板が前記収納空間内に保持される構成である
【発明の効果】
【0007】
本発明によるトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、ホールICを有する基板を収納するための収納空間を有する輪状樹脂ホルダと、前記輪状樹脂ホルダの外周に設けられた輪状金属ケースと、前記収納空間に収納され、前記基板に接続された複数のリード線と、を備え、前記リード線は、前記収納空間の上部を介して外部に導出され、前記輪状樹脂ホルダの樹脂上面に形成された複数の係合突起を有し、前記各係合突起は、前記輪状金属ケースに係合し、前記リード線は、前記樹脂上面に形成された切欠きを経由して外部に導出する構成であるため、輪状樹脂ホルダと輪状金属ケースを嵌め合わせるだけでトルクセンサのケースができる。また、特別な治具や装置を用いることなく、基板の位置決め及び固定をすることができる。さらに、基板を容易に装着できると共に、リード線を軸方向に沿って引出すことができる。
また、前記収納空間の入口には、複数の係止突起があり、前記収納空間内に前記基板を収納後は、前記係止突起により前記基板が前記収納空間内に保持される構成よりなることにより、トルクセンサ組立時の基板の装着を極めて容易化できる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造の第1の形態の輪状樹脂ホルダを示す斜視図である。
図2図1の輪状樹脂ホルダにリード線を接続する状態を示す分解斜視図である。
図3図2の輪状樹脂ホルダに輪状金属ケースを装着した状態を示す斜視図である。
図4図3の正面図である。
図5図1の要部を示す拡大図である。
図6図5の収納空間内の基板にリード線が接続されている状態を示す構成図である。
図7図6の収納空間の封止に用いるグロメットを示す斜視図である。
図8図5の輪状樹脂ホルダの正面図である。
図9図6の輪状樹脂ホルダの正面図である。
図10図2の基板を示す拡大正面図である。
図11】本発明における第2の形態の輪状樹脂ホルダを示す分解斜視図である。
図12図11の輪状樹脂ホルダを示す斜視図である。
図13図12の要部の拡大平面図である。
図14図12の平面図である。
図15図14の輪状樹脂ホルダに輪状金属ケースを装着した状態を示す平面図である。
図16図15のA―A断面図である。
図17図15の要部を示す拡大断面図である。
図18図14の斜視図である。
図19図18の平面図である。
図20】従来のトルクセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によるトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造は、トーションバーを貫通させるトルクセンサ内の輪状樹脂ホルダの中に、ホールICを有する基板を内蔵させることにより、トルクセンサ内に簡単に基板の設置を行うことができる。
【実施例
【0010】
以下、図面と共に本発明によるトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において符号21で示されるものは、射出成形された輪状樹脂ホルダであり、この輪状樹脂ホルダ21は全体形状が袋状になっていると共に、その樹脂上面22から複数の係合突起23が一体に軸方向Pに沿って立上がる状態で形成されている。
【0011】
前記係合突起23は、全体形状がほぼくさび形をなすと共に、爪部23aを有している。図3及び図5に示すように、輪状樹脂ホルダ21の外側に輪状金属ケース11が二重状となるようにかぶせて設けられた場合に、前記各係合突起23の爪部23aが前記輪状金属ケース11の金属上面11aに係合して、前記輪状樹脂ホルダ21と輪状金属ケース11とは、互いに一体状に結合するように構成されている。尚、前述の場合、各係合突起23は、前記金属上面11aに図示しない係合凹部を形成し、この係合凹部を介して爪部23aを輪状金属ケース11に係合させることもできる。
【0012】
前記輪状樹脂ホルダ21の外周21aの一部には、前記輪状樹脂ホルダ21内の空間を利用して、収納空間24が形成されている。
前記輪状樹脂ホルダ21の樹脂上面22の一部には、前記収納空間24に連通する切り欠き25が形成されている。
前記収納空間24内には、ホールIC20A(図10参照)等を搭載した基板20が、図2のように挿入されている。この基板20に接続されたリード線26は、L字型に曲折され、前記切り欠き25内に係止されるように構成されている。
前記リード線26の直線部26aは、前記軸方向Pに沿って、図3のように延設することができるように構成されている。
【0013】
図3及び図4に示される構成においては、前述のように、輪状樹脂ホルダ21が輪状金属ケース11によって覆われると共に、各係合突起23によって前記輪状樹脂ホルダ21が一体状に構成されたトルクセンサ30が示されている。図1のように、トルクセンサ30の軸心に、軸方向Pに沿ってトーションバー3が貫通して設けられれば、トルクセンサ30によるトーションバーのねじれを検出できる。
尚、前述の場合、前記各係合突起23を用いて、前記輪状樹脂ホルダ21と輪状金属ケース11との結合組立てを行っているため、前記トルクセンサ30に対する接着剤90の使用は、前記収納空間24のみにわずか供給するのみですむため、接着剤90が外部に露出することはない。
尚、図2及び図3において、請求項1に記載の「上部」は、前記輪状樹脂ホルダ21及び前記輪状金属ケース11の「輪状」をなす平面に対して垂直方向を示している。
【0014】
図5及び図6の構成においては、前述の図1及び図2に示されている輪状樹脂ホルダ21の収納空間24の入口24a側に、一対の係止突起31が設けられている。
前述の状態で、収納空間24内に、図2で示す、リード線26を有する基板20を挿入すると、基板20は前記各係止突起31の内側で係止される。前記基板20に接続されるリード線26の直線部26a以外の圧着端子26bは、前記収納空間24内に収納されている。
【0015】
図7で示されるものは、ゴム製のグロメット40であり、図6のように、前記輪状樹脂ホルダ21の収納空間24内には、基板20とリード線26の一部とを挿入した後、前記入口24aを、エポキシ又はシリコン等からなる接着剤90で収納空間24を密封するか、又は、前記グロメット40で入口24aを密封している。
【0016】
図8は、図5の構成を用いた輪状樹脂ホルダ21の正面図である。
図9は、図6の構成を用いた輪状樹脂ホルダ21の正面図である。
図10は、図11にも示されるように、前記リード線26に接続されホールIC20Aが設けられた基板20の周面20aの隅部に曲折状、すなわち、R部20bが複数個形成されて、収納空間24内への基板20の挿入を容易化した構成を示している。
【0017】
図11は、本発明の第2の形態の輪状樹脂ホルダを示すもので、前述の図1及び図2で示すように、輪状樹脂ホルダ21の外周21a、すなわち、側面に開口された収納空間24とは異なり、輪状樹脂ホルダ21には、その樹脂上面22に開口された収納空間24が形成されている。
前記収納空間24は、図11図12図13及び図14で示されるように、前記輪状樹脂ホルダ21の円をなす樹脂上面22の一部を切り欠いて弧状に形成された収納空間24を用いている。
【0018】
図12から図19において、前記輪状樹脂ホルダ21には、その内側壁21Aと外側壁21Bとによって収納空間24が形成されている。
前記内側壁21Aと外側壁21Bには、それぞれ一対ずつの第1、第2基板止めの突起50、51が形成されており、各第2基板止め突起51、51間には各第1基板止め突起50、50が離間した状態で形成されている。
【0019】
前記各第1基板止め突起50、50の先端と前記各第2基板止め突起51、51の先端との間の隙間Gの幅は、前記基板20の厚さとほぼ等しいため、前記隙間G内に基板20が縦状に挿入されて保持されている。
【0020】
図14は、図12及び図13を合成した状態を示す平面図であり、前記収納空間24の隣位置には、内側壁21Aと外側壁21B間の一体化補強を行うための補強部60が形成されている。
【0021】
図15は、前記輪状樹脂ホルダ21の外側を輪状金属ケース11で覆うように構成し、輪状金属ケース11の外周に一対の取付体70、71が設けられた状態を示している。
図16は、図15のトルクセンサ30のA―A線に従って切断した断面図であり、基板20の周囲には、防水用としての接着剤(エポキシ、シリコン等からなる)90が充填されている。
【0022】
図17図18及び図19は、図12から図15で示される第2の形態のトルクセンサ30を示す。収納空間24の天面91は、図示していないが、前記輪状金属ケース11の一部を延設して金属で覆うようにした構成とすることもできる。
また、図11のように、輪状金属ケース11とは別体の蓋体24Eを前記天面91に設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によるトルクセンサ用ホールIC基板の固定構造は、輪状樹脂ホルダの外側に輪状金属ケースを装着し、前記輪状樹脂ホルダに形成された収納空間の中に、ホールICを有する基板を装着することにより、従来よりも大幅に小型化し、かつ、簡略化されたトルクセンサを得ることができる。
【符号の説明】
【0024】
3 トーションバー
11 輪状金属ケース
11a 金属上面
20 基板
20A ホールIC
20a 周面
20b R部
21 輪状樹脂ホルダ
21A 内側壁
21B 外側壁
21a 外周
22 樹脂上面
23 係合突起
23a 爪部
24 収納空間
24E 蓋体
24a 入口
25 切り欠き
26 リード線
26a 直線部
30 トルクセンサ
31 係止突起
40 グロメット
50 第1基板止め突起
51 第2基板止め突起
60 補強部
70、71 取付け体
90 接着剤(エポキシ又はシリコン)
91 天面
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20