IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ワールドライブの特許一覧

特許7286120燃焼用木材、調理用燃焼器具および調理方法
<>
  • 特許-燃焼用木材、調理用燃焼器具および調理方法 図1
  • 特許-燃焼用木材、調理用燃焼器具および調理方法 図2
  • 特許-燃焼用木材、調理用燃焼器具および調理方法 図3
  • 特許-燃焼用木材、調理用燃焼器具および調理方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】燃焼用木材、調理用燃焼器具および調理方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
C10L5/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022129079
(22)【出願日】2022-08-12
【審査請求日】2023-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521475912
【氏名又は名称】株式会社ワールドライブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 悟士
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6999146(JP,B1)
【文献】特許第6971429(JP,B1)
【文献】特開2011-001417(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1278624(KR,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0473459(KR,Y1)
【文献】特開2002-003868(JP,A)
【文献】登録実用新案第3032807(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端および下端を有し、上端に調理器具を載置して自立可能な本体と、
前記本体の上端に形成されて底部を有し、内部に炭を収容するための凹部と、
前記底部と前記本体の底面または前記本体の外周面とを連通させる通風孔とを有し、
前記底部は着火剤載置部と炭載置部とを有し、前記炭載置部は前記着火剤載置部の周囲に前記着火剤載置部より低い位置に設けられ、
前記通風孔は前記底部の前記着火剤載置部に連通していることを、
特徴とする燃焼用木材。
【請求項2】
前記着火剤載置部と前記炭載置部との間に複数の仕切り柱を有することを、特徴とする請求項記載の燃焼用木材。
【請求項3】
前記上端に前記本体の外周面と前記凹部との間を横断する1または2以上の上端溝を有し、
前記通風孔は、前記外周面に前記着火剤載置部の下方まで伸びるよう形成された横穴と、前記横穴と前記着火剤載置部とを連通させる縦孔とを有することを、
特徴とする請求項記載の燃焼用木材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃焼用木材と、前記着火剤載置部に載置された着火剤と、前記炭載置部に載置された炭とを有することを特徴とする調理用燃焼器具。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃焼用木材を使用し、前記炭載置部に炭を載置し、前記着火剤載置部に着火剤を載置して前記着火剤に着火し、前記着火剤の燃焼により前記炭を燃焼させ、前記上端に調理用金網を載置して前記調理用金網の上で食材を焙焼し、前記炭の燃焼終了後、前記炭の燃焼により火が移った前記燃焼用木材を観賞用に燃焼させることを特徴とする調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用木材、調理用燃焼器具および調理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンプの料理の加熱や灯りとして燃焼用木材が用いられている。燃焼用木材には、着火しやすく、焦げ臭い煙が出にくくて燃焼効率が良好なものが求められている。そのような燃焼用木材として、例えば、上端および下端を有して自立可能な本体と、本体の上端に形成されて底部を有する縦穴と、本体の側面に底部の下方まで伸びるよう形成された第1横穴と、縦穴に連通するよう側面に形成された第2横穴と、縦穴より細く第1横穴および底部を連通させる通風孔とを有するものが本発明者によって開発されている(例えば、特許文献1参照)。
また、木製の柱状体を用い、該柱状体の上面側中央部に点火剤が入れられるとともに該点火剤を支持する底部を有した穴を形成し、柱状体の側面から該穴に連通する複数の上溝を形成した燃焼材料が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6999146号公報
【文献】特開2002-3868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1または2に記載の燃焼用木材、燃焼材料は、その上に網を乗せて網焼き料理の加熱に用いた場合、木材の煤や臭いが料理に付いて料理の味を落とすおそれがあるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、網焼き料理の加熱に使用しても木材の煤や臭いが料理に付きにくい燃焼用木材、その燃焼用木材を用いた調理用燃焼器具および調理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る燃焼用木材は、上端および下端を有し、上端に調理器具を載置して自立可能な本体と、前記本体の上端に形成されて底部を有し、内部に炭を収容するための凹部と、前記底部と前記本体の底面または前記本体の外周面とを連通させる通風孔とを有し、前記底部は着火剤載置部と炭載置部とを有し、前記炭載置部は前記着火剤載置部の周囲に前記着火剤載置部より低い位置に設けられ、前記通風孔は前記底部の前記着火剤載置部に連通していることを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る燃焼用木材は、下端を設置面に配置し、凹部に炭を収容して使用する。使用の際、凹部の底部に着火剤を炭で囲まれるよう配置して着火剤に点火する。着火剤には本体の底面側または外周面側から通風孔を通して流入した空気が下方から送られるので、着火しやすく、不必要な煙も出にくい。火は着火剤から炭に移り、炭が燃焼している間、本体の上端に調理器具を載置して調理を行うことができる。炭の燃焼により加熱できるため、網焼き料理の加熱に使用したとき木材の煤や臭いが料理に付きにくい。炭の燃焼終了後は、炭の燃焼により火が移った燃焼用木材を灯りとして楽しむことができる。
【0008】
本発明に係る燃焼用木材において、前記底部は着火剤載置部と炭載置部とを有し、前記炭載置部は前記着火剤載置部の周囲に前記着火剤載置部より低い位置に設けられ、前記通風孔は前記底部の前記着火剤載置部に連通している
このため、特に本体より先に炭に着火しやすい。
本発明に係る燃焼用木材において、前記着火剤載置部と前記炭載置部との間に複数の仕切り柱を有することが好ましい。
この場合、着火剤が着火剤載置部から炭載置部に移動しにくいので、周囲の炭に均等に着火させやすい。
【0009】
本発明に係る燃焼用木材において、前記上端に前記本体の外周面と前記凹部との間を横断する1または2以上の上端溝を有し、前記通風孔は、前記外周面に前記着火剤載置部の下方まで伸びるよう形成された横穴と、前記横穴と前記着火剤載置部とを連通させる縦孔とを有することが好ましい。
この場合、本体の上端の上に上端を塞ぐよう調理器具を載置しても、通風孔の横穴から入った空気が縦孔から凹部を通り、炭の燃焼に用いられて上端溝から本体の外側に抜けることができる。このため、炭の火を消さずに調理を続けやすい。
【0010】
本発明に係る調理用燃焼器具は、前述の燃焼用木材と、前記着火剤載置部に載置された着火剤と、前記炭載置部に載置された炭とを有することを特徴とする。
本発明に係る調理方法は、前述の燃焼用木材を使用し、前記炭載置部に炭を載置し、前記着火剤載置部に着火剤を載置して前記着火剤に着火し、前記着火剤の燃焼により前記炭を燃焼させ、前記上端に調理用金網を載置して前記調理用金網の上で食材を焙焼し、前記炭の燃焼終了後、前記炭の燃焼により燃焼し始めた前記燃焼用木材を観賞用に燃焼させることを特徴とする。
本体に用いる木材としては、網焼き料理に用いる場合、料理に木材の香りが多少は移るため、ヒッコリー、サクラ、クルミ、ナラ、ブナ、リンゴなどの燻製用木材が好ましい。
【0011】
調理器具は、調理用金網のほか、鍋、鉄板、やかんなどであってもよい。
本発明に係る燃焼用木材は、横穴に横穴への空気流量を調節可能な弁部材を有していてもよい。
本体は、生木を加工後、乾燥させたものであっても、未乾燥のものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、網焼き料理の加熱に使用しても木材の煤や臭いが料理に付きにくい燃焼用木材、その燃焼用木材を用いた調理用燃焼器具および調理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態の燃焼用木材の斜視図である。
図2図1の燃焼用木材の平面図である。
図3図2の燃焼用木材のA-A´線断面図である。
図4】本発明の実施の形態の調理用燃焼器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図3に示す本発明の実施の形態の燃焼用木材1は、上端1aおよび下端1bを有し、上端1aに調理器具を載置して自立可能な円柱状の本体2を有している。本体2は、角柱状であってもよい。本体2の木材の種類は、例えばサクラである。燃焼用木材1は、内部に炭を収容するための凹部3を有している。凹部3は、本体2の上端1aに垂直に、上端1aの中心と、その中心を中心とする正六角形の各頂点とに同一径のドリルで縦穴3aを設けて形成され、底部3bを有している。底部3bは、本体2の上端1a、下端1bおよび底部3bは、それぞれ平行である。
【0015】
各縦穴3aは、隣り合う縦穴3aと側部が連通している。燃焼用木材1は、上端1aに本体2の外周面2aと凹部3との間を横断する複数(例えば6本)の上端溝4を有している。上端溝4は、上端1aの中心から各縦穴3aの中心を通る放射状に伸びている。
底部3bは、円形の着火剤載置部3cと炭載置部3dとを有している。炭載置部3dは、中央の着火剤載置部3cの周囲の、着火剤載置部3cより低い位置に設けられている。燃焼用木材1は、着火剤載置部3cと炭載置部3dとの間に複数の仕切り柱5(例えば6本)を有している。仕切り柱5は、本体2にドリルで縦穴3aを設けたときに残った部分であり、上端1aの高さまで伸びている。
【0016】
燃焼用木材1は、底部3bと本体2の外周面2aとを連通させる通風孔6を有している。通風孔6は、外周面2aに着火剤載置部3cの下方まで伸びるよう垂直に形成された横穴6aと、横穴6aと着火剤載置部3cとを連通させる複数(例えば7本)の縦孔6bとを有している。縦孔6bは、着火剤載置部3cおよび横穴6aの伸びる方向に対し垂直に伸びている。縦孔6bは、着火剤載置部3cの中心と、その中心を中心とする正六角形の各頂点とに同一径のドリルで形成されている。横穴6aの上方の炭載置部3dは、着火剤載置部3cと同じ高さまで高くなっている。
【0017】
図4に示す調理用燃焼器具は、燃焼用木材1と、着火剤載置部3cに載置された着火剤7と、炭載置部3dに載置された炭8とを有している。炭8は、凹部3の各縦穴3aに複数収容されている。本体2の外周面2aには、ロープなどの持ち手9を付けてもよい。
【0018】
燃焼用木材1は、料理加熱用のコンロまたは灯りを楽しむトーチとして使用できる。燃焼用木材1の下端1bを地面などの設置面に配置し、炭載置部3dに炭8を載置して使用する。炭8は、凹部3の各縦穴3aに複数収容されていることが好ましい。使用の際、着火剤7を炭8で囲まれるよう着火剤載置部3cに配置して着火剤7に点火する。着火剤7には本体2の外周面2a側から通風孔6の横穴6aおよび縦孔6bを通して流入した空気が下方から送られるので、着火しやすく、不必要な煙も出にくい。
【0019】
火は着火剤7から炭8に移り、炭8が燃焼している間、本体2の上端1aに調理用金網などの調理器具を載置して調理を行うことができる。炭8の燃焼により加熱できるため、調理用金網の上で食材を焙焼し、網焼き料理に使用したとき木材の煤や臭いが料理に付きにくい。網焼き料理の場合、本体2に使用されるサクラの香りを肉などの料理にほどよく付けて、燻製料理に近い楽しみ方も可能である。炭8の燃焼終了後は、炭8の燃焼により火が移った燃焼用木材1を観賞用に燃焼させ、灯りとして楽しむことができる。
【符号の説明】
【0020】
1 燃焼用木材、1a 上端、1b 下端、2 本体、2a 外周面、3 凹部、
3a 縦穴、3b 底部、3c 着火剤載置部、3d 炭載置部、4 上端溝、
5 仕切り柱、6 通風孔、6a 横穴、6b 縦孔、7 着火剤、8 炭、
9 持ち手


【要約】
【課題】網焼き料理の加熱に使用しても木材の煤や臭いが料理に付きにくい燃焼用木材、その燃焼用木材を用いた調理用燃焼器具および調理方法を提供する。
【解決手段】本体2が上端1aおよび下端1bを有し、上端1aに調理器具を載置して自立可能である。内部に炭を収容するための凹部3が本体2の上端1aに形成されて底部3bを有する。通風孔6が底部3bと本体2の底面または外周面2aとを連通させる。底部3bは着火剤載置部3cと炭載置部3dとを有する。炭載置部3dは着火剤載置部3cの周囲に着火剤載置部3cより低い位置に設けられている。通風孔6は底部3bの着火剤載置部3cに連通している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4