IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Matt&Massimo合同会社の特許一覧

<>
  • 特許-機器制御サーバ 図1
  • 特許-機器制御サーバ 図2
  • 特許-機器制御サーバ 図3
  • 特許-機器制御サーバ 図4
  • 特許-機器制御サーバ 図5
  • 特許-機器制御サーバ 図6
  • 特許-機器制御サーバ 図7
  • 特許-機器制御サーバ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】機器制御サーバ
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023047393
(22)【出願日】2023-03-23
【審査請求日】2023-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522314429
【氏名又は名称】Matt&Massimo合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129001
【弁理士】
【氏名又は名称】林 崇朗
(72)【発明者】
【氏名】増野 啓太
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-051766(JP,A)
【文献】特開2016-212048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0030394(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0072341(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0348040(US,A1)
【文献】国際公開第2014/030377(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に配置された複数の機器をモバイル端末からの操作に基づいて制御可能に構成され、前記複数の機器のうち前記モバイル端末の位置として推測される前記施設内の領域に対応付けられた機器の操作を前記モバイル端末から受け付ける機器制御サーバであって、
前記モバイル端末と通信可能に構成された通信モジュールと、
プロセッサと、
プログラム命令を記憶するメモリと
を備え、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されることによって、
前記モバイル端末が前記施設内に配置された第1の位置情報発信装置から第1の通信規格に準拠した無線通信を介して受信した第1の位置情報を、前記モバイル端末から前記通信モジュールを用いて受信し、
前記モバイル端末から受信される前記第1の位置情報に基づいて、前記モバイル端末の位置として推測される前記施設内の領域を特定し、
前記通信モジュールを用いて、前記複数の機器のうち前記第1の位置情報に基づいて特定される前記施設内の領域に対応付けられた機器の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェースを前記モバイル端末に表示させ、
前記モバイル端末が前記第1の位置情報を受信する際に前記施設内に配置された第2の位置情報発信装置から前記第1の通信規格よりも通信可能距離が長い第2の通信規格に準拠した無線通信を介して受信した第2の位置情報の電波受信状態を記録した受信記録情報を、前記モバイル端末から前記通信モジュールを用いて受信し、
前記モバイル端末から受信した前記第1の位置情報および前記受信記録情報を用いた機械学習によって、前記モバイル端末における前記第2の位置情報の電波受信状態から前記モバイル端末の位置を推定する機械学習モデルを構築する、機器制御サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の機器制御サーバであって、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されることによって、
前記モバイル端末が前記第1の位置情報を受信することなく前記第2の通信規格に準拠した無線通信を介して前記第2の位置情報発信装置から受信した前記第2の位置情報の電波受信状態を示す受信状態情報を、前記モバイル端末から前記通信モジュールを用いて受信し、
前記機械学習モデルを用いて、前記モバイル端末から受信される前記受信状態情報に基づいて、前記モバイル端末の位置として推測される前記施設内の領域を特定し、
前記通信モジュールを用いて、前記複数の機器のうち前記受信状態情報に基づいて特定される前記施設内の領域に対応付けられた機器の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェースを前記モバイル端末に表示させる、機器制御サーバ。
【請求項3】
請求項1に記載の機器制御サーバであって、
前記第1の位置情報発信装置は、RFIDタグであり、
前記第2の位置情報発信装置は、BLEビーコンデバイスである、機器制御サーバ。
【請求項4】
前記複数の機器は、照明機器、空調機器、電動シェード、床暖房、音響機器、映像機器、電動扉および電気錠の少なくとも1つを含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の機器制御サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、機器制御サーバに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、GPS信号を用いてモバイル端末の位置を推測し、そのモバイル端末の周辺に存在する機器を操作するためのグラフィカルユーザインタフェースをモバイル端末に表示させるシステムについて記載されている。また、特許文献2には、ビーコンデバイスを用いてモバイル端末の位置を推測する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/030377号
【文献】特開2018-093428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屋内でモバイル端末の位置の推測にGPS信号を用いる場合、屋内ではGPS信号の精度が低下するため、モバイル端末の位置とは関係のない機器を操作するためのグラフィカルユーザインタフェースがモバイル端末に表示される問題があった。また、屋内でモバイル端末の位置の推測にビーコンデバイスを用いる場合であっても、ビーコンデバイスの設置環境によっては、モバイル端末におけるビーコンデバイスからの受信電波強度および電波到来方向の少なくとも一方が、モバイル端末とビーコンデバイスとの位置関係と不規則になることがあるため、GPS信号を用いた場合と同様の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する技術は、以下の形態として実現できる。
【0006】
(1)本明細書に開示する一形態は、機器制御サーバである。この機器制御サーバは、施設内に配置された複数の機器をモバイル端末からの操作に基づいて制御可能に構成され、前記複数の機器のうち前記モバイル端末の位置として推測される前記施設内の領域に対応付けられた機器の操作を前記モバイル端末から受け付ける。機器制御サーバは、前記モバイル端末と通信可能に構成された通信モジュールと;プロセッサと;プログラム命令を記憶するメモリとを備える。前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されることによって、機器制御サーバは、前記モバイル端末が前記施設内に配置された第1の位置情報発信装置から第1の通信規格に準拠した無線通信を介して受信した第1の位置情報を、前記モバイル端末から前記通信モジュールを用いて受信し;前記モバイル端末から受信される前記第1の位置情報に基づいて、前記モバイル端末の位置として推測される前記施設内の領域を特定し;前記通信モジュールを用いて、前記複数の機器のうち前記第1の位置情報に基づいて特定される前記施設内の領域に対応付けられた機器の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェースを前記モバイル端末に表示させ;前記モバイル端末が前記第1の位置情報を受信する際に前記施設内に配置された第2の位置情報発信装置から前記第1の通信規格よりも通信可能距離が長い第2の通信規格に準拠した無線通信を介して受信した第2の位置情報の電波受信状態を記録した受信記録情報を、前記モバイル端末から前記通信モジュールを用いて受信し;前記モバイル端末から受信した前記第1の位置情報および前記受信記録情報を用いた機械学習によって、前記モバイル端末における前記第2の位置情報の電波受信状態から前記モバイル端末の位置を推定する機械学習モデルを構築する。この形態の機器制御サーバによれば、第1の位置情報発信装置を利用してモバイル端末の位置を推測する運用を行いながら、第2位置情報発信装置を利用してモバイル端末の位置を推測するための機械学習モデルを構築し、その機械学習モデルによるモバイル端末の位置を推測する精度を向上させることができる。そして、第2位置情報発信装置を利用してモバイル端末の位置を推測する運用を行う場合に、その機械学習モデルを用いることによって、モバイル端末の位置とは関係のない機器を操作するためのグラフィカルユーザインタフェースがモバイル端末に表示されることを抑制できる。
【0007】
(2)上述した形態の機器制御サーバは、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されることによって、前記モバイル端末が前記第1の位置情報を受信することなく前記第2の通信規格に準拠した無線通信を介して前記第2の位置情報発信装置から受信した前記第2の位置情報の電波受信状態を示す受信状態情報を、前記モバイル端末から前記通信モジュールを用いて受信し;前記機械学習モデルを用いて、前記モバイル端末から受信される前記受信状態情報に基づいて、前記モバイル端末の位置として推測される前記施設内の領域を特定し;前記通信モジュールを用いて、前記複数の機器のうち前記受信状態情報に基づいて特定される前記施設内の領域に対応付けられた機器の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェースを前記モバイル端末に表示させてもよい。この形態の機器制御サーバによれば、モバイル端末の位置を推測する精度を向上させた機械学習モデルを用いてモバイル端末の位置を推測できる。
【0008】
(3)上述した形態の機器制御サーバにおいて、前記第1の位置情報発信装置は、RFIDタグであり、前記第2の位置情報発信装置は、BLEビーコンデバイスであってもよい。この形態の機器制御サーバによれば、RFIDタグを利用してモバイル端末の位置を推測する運用を行いながら、BLEビーコンデバイスを利用してモバイル端末の位置を推測するための機械学習モデルを構築し、その機械学習モデルによるモバイル端末の位置を推測する精度を向上させることができる。
【0009】
(4)上述した形態の機器制御サーバにおいて、前記複数の機器は、照明機器、空調機器、電動シェード、床暖房、音響機器、映像機器、電動扉および電気錠の少なくとも1つを含んでもよい。この形態の機器制御サーバによれば、施設内の領域ごとの調整が要求される機器の操作性を向上させることができる。
【0010】
本明細書に開示する技術は、機器制御サーバとは異なる種々の形態で実現できる。本明細書に開示する技術は、例えば、モバイル端末、機器管理システム、機器制御サーバのコンピュータプログラム、モバイル端末のコンピュータプログラム、ならびに、機械学習モデルの構築方法などの形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】機器管理システムの構成を示す説明図である。
図2】モバイル端末の詳細構成を示す説明図である。
図3】タッチパネルディスプレイに表示されるグラフィカルユーザインタフェースの一例を示す説明図である。
図4】機器制御サーバの詳細構成を示す説明図である。
図5】モバイル端末が実行するGUI表示処理を示すフローチャートである。
図6】機器制御サーバが実行するGUI表示処理を示すフローチャートである。
図7】機器制御サーバが実行する機械学習処理を示すフローチャートである。
図8】機器制御サーバが実行する位置判断変更処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、機器管理システム10の構成を示す説明図である。機器管理システム10は、施設800内に配置された複数の機器20を管理するシステムである。施設800は、複数の機器20を設置可能な比較的に広い空間である。本実施形態では、施設800は、オフィスビルである。他の実施形態では、施設800は、工場であってもよいし、商業施設であってもよいし、住宅であってもよい。
【0013】
機器管理システム10では、施設800内に配置された機器20は、その機器20が配置された施設800内の領域810に関連付けて管理されている。施設800内の複数の領域810は、建物の階層、通路、区画、部屋、仕切り席、什器などの単位で設定可能である。本明細書の説明では、施設800内における複数の領域を包括的に示す場合には符号「810」を使用し、施設800内における複数の領域のうち特定の領域を個別に示す場合には符号「810」に枝番を付けた符号を使用する(例えば、810-1、810-2、810-3)。図1の例では、領域810-1,810-2,810-3の各々は、施設800に設けられた部屋である。領域810-1a,810-1bの各々は、領域810-1に設けられた仕切り席(ブース)である。
【0014】
複数の機器20の各々は、施設800内に配置された電子制御可能な機器である。本明細書の説明では、複数の機器を包括的に示す場合には符号「20」を使用し、複数の機器のうち特定の機器を個別に示す場合には符号「20」に枝番を付けた符号を使用する(例えば、20-1a、20-1b、20-1cなど)。図1の例では、機器20-1aは、領域810-1aに配置された照明機器である。機器20-1bは、領域810-1bに配置された照明機器である。機器20-1cは、領域810-1に配置された空調機器である。機器20-2aは、領域810-2に配置された照明機器である。機器20-2cは、領域810-2に配置された空調機器である。複数の機器20は、電子制御可能な機器であればよく、空調機器および照明機器に限らず、電動シェード、床暖房、音響機器、映像機器、電動扉(ゲート)、電気錠などを含んでもよい。これによって、施設800内の領域810ごとの調整が要求される機器20の操作性を向上させることができる。
【0015】
機器管理システム10は、複数のビーコンデバイス50と、複数のRFIDタグ60と、複数のアクセスポイント70と、複数のモバイル端末100と、機器制御サーバ200と、設備制御装置300と、管理端末400とを備える。機器管理システム10は、施設800の利用者がモバイル端末100を用いて施設800内に配置された複数の機器20を操作可能に構成されている。
【0016】
複数のビーコンデバイス50の各々は、施設800内に配置され、施設800内の領域810を示す位置情報を無線通信を用いて発信する位置情報発信装置である。複数のビーコンデバイス50の各々は、無線通信を用いて、それぞれ固有のビーコン識別情報を位置情報として発信する。機器管理システム10において、ビーコンデバイス50のビーコン識別情報は、複数の領域810の少なくとも1つに関連付けて管理され、施設800内の領域810を示す位置情報として利用可能である。本実施形態では、ビーコンデバイス50は、近距離無線通信規格の1つであるBLE(Bluetooth Low Energy、登録商標)に準拠してBLE識別情報を位置情報として発信するBLEビーコンデバイスである。ビーコンデバイス50の通信可能距離は、RFIDタグ60の通信可能距離よりも長い。本実施形態では、ビーコンデバイス50の通信可能距離は、10メートル前後に設定されている。
【0017】
本明細書の説明では、複数のビーコンデバイスを包括的に示す場合には符号「50」を使用し、複数のビーコンデバイスのうち特定のビーコンデバイスを個別に示す場合には符号「50」に枝番を付けた符号を使用する(例えば、50-1、50-2)。図1の例では、ビーコンデバイス50-1は、領域810-1に配置されている。ビーコンデバイス50-2は、領域810-2に配置されている。
【0018】
複数のRFIDタグ60の各々は、施設800内に配置され、施設800内の領域810を示す位置情報を無線通信を用いて発信する位置情報発信装置である。複数のRFIDタグ60の各々は、無線通信を用いて、それぞれ固有のRFID識別情報を位置情報として発信する。機器管理システム10において、RFIDタグ60のRFID識別情報は、複数の領域810の少なくとも1つに関連付けて管理されており、施設800内の領域810を示す位置情報として利用可能である。本実施形態では、RFIDタグ60は、近距離無線通信規格の1つであるNFC(Near Field Communication、登録商標)に準拠したNFCタグである。本実施形態では、RFIDタグ60の通信可能距離は、5センチメートル前後に設定されている。
【0019】
本明細書の説明では、複数のRFIDタグを包括的に示す場合には符号「60」を使用し、複数のRFIDタグのうち特定のRFIDタグを個別に示す場合には符号「60」に枝番を付けた符号を使用する(例えば、60-1a、60-1b、60-2)。図1の例では、RFIDタグ60-1aは、領域810-1aに配置されている。RFIDタグ60-1bは、領域810-1bに配置されている。RFIDタグ60-2は、領域810-2に配置されている。
【0020】
複数のアクセスポイント70の各々は、施設800内に配置され、モバイル端末100を接続可能な無線LANを構築可能に構成されている。アクセスポイント70は、モバイル端末100に接続された無線LANと、機器制御サーバ200に接続された有線LANとの間を中継することによって、モバイル端末100と機器制御サーバ200との間を通信可能に接続する。本明細書の説明では、複数のアクセスポイントを包括的に示す場合には符号「70」を使用し、複数のアクセスポイントのうち特定のアクセスポイントを個別に示す場合には符号「70」に枝番を付けた符号を使用する(例えば、70-1、70-2、70-3)。
【0021】
複数のモバイル端末100の各々は、施設800の利用者によって持ち運び可能な情報機器である。本実施形態では、モバイル端末100は、スマートフォンである。複数のモバイル端末100は、持ち運び可能な情報機器であればよく、スマートフォンに限らず、タブレット端末およびパーソナルコンピュータなどを含んでもよい。モバイル端末100は、施設800内に配置された複数の機器20を操作可能に構成されている。モバイル端末100は、ビーコンデバイス50から位置情報を受信可能に構成されている。モバイル端末100は、RFIDタグ60から位置情報を受信可能に構成されている。モバイル端末100は、アクセスポイント70の無線LANを介して機器制御サーバ200と通信可能に構成されている。本明細書の説明では、複数のモバイル端末を包括的に示す場合には符号「100」を使用し、複数のモバイル端末のうち特定のモバイル端末を個別に示す場合には符号「100」に枝番を付けた符号を使用する(例えば、100-1、100-2)。モバイル端末100の詳細については後述する。
【0022】
機器制御サーバ200は、モバイル端末100と設備制御装置300との間で情報を処理するコンピュータである。機器制御サーバ200は、施設800内に配置された複数の機器20をモバイル端末100からの操作に基づいて制御可能に構成されている。機器制御サーバ200は、複数の機器20のうちモバイル端末100の位置として推測される施設800内の領域810に対応付けられた機器20の操作をモバイル端末100から受け付ける。機器制御サーバ200は、コンピュータネットワーク(例えば、有線LAN、無線LAN、インターネットの少なくとも1つ)を介して複数のアクセスポイント70および設備制御装置300と通信可能に接続されている。図1の例では、機器制御サーバ200の台数は、1台であるが、他の実施形態では、処理負荷に応じた複数の台数であってもよい。機器制御サーバ200の詳細については後述する。
【0023】
設備制御装置300は、施設800に設けられた設備を制御するコンピュータである。設備制御装置300は、複数の機器20の各々と電子制御可能に接続されている。本実施形態では、設備制御装置300は、KNX(登録商標)に準拠した装置である。
【0024】
管理端末400は、機器管理システム10の管理者によって操作可能に構成されたパーソナルコンピュータである。管理端末400は、コンピュータネットワークを介して機器制御サーバ200と通信可能に接続されている。管理端末400は、管理者からの操作入力に基づいて、機器管理システム10の動作設定を機器制御サーバ200に指示する。
【0025】
図2は、モバイル端末100の詳細構成を示す説明図である。モバイル端末100は、プロセッサ110と、メモリ120と、タッチパネルディスプレイ130と、無線モジュール152と、無線モジュール154と、無線モジュール156とを備える。
【0026】
モバイル端末100のプロセッサ110は、メモリ120に記憶されている機器操作プログラム122に含まれる複数のプログラム命令を実行することによって、タッチパネルディスプレイ130および無線モジュール152,154,156を制御する。プロセッサ110の個数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0027】
モバイル端末100のメモリ120は、プロセッサ110が取り扱うデータを記憶する。メモリ120の個数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。メモリ120は、プロセッサ110に行わせるプログラム命令を記述した機器操作プログラム122、機器配置データ124および位置判断フラグFtを記憶している。
【0028】
メモリ120の機器操作プログラム122は、モバイル端末100の操作者の操作入力に基づいて施設800内に配置された複数の機器20を操作するためのコンピュータプログラムである。メモリ120の機器配置データ124は、施設800内の各領域810に複数の機器20の各々を関連付けたデータである。
【0029】
メモリ120の位置判断フラグFtは、施設800内におけるモバイル端末100の位置を推測する手法を選択するためのフラグである。位置判断フラグFtが値「0」である場合に選択される手法は、RFIDタグ60からの位置情報に基づいてモバイル端末100の位置を推測する手法である。位置判断フラグFtが値「1」である場合に選択される手法は、ビーコンデバイス50からの位置情報に基づいてモバイル端末100の位置を推測する手法である。
【0030】
位置判断フラグFtが値「0」である場合、モバイル端末100は、モバイル端末100の位置を推定するたの位置情報として、RFIDタグ60からRFID識別情報を受信する。また、位置判断フラグFtが値「0」である場合、モバイル端末100は、ビーコンデバイス50から受信される位置情報であるBLE識別情報の電波受信状態を記録し続けている。そして、モバイル端末100は、RFID識別情報の受信に応じて、RFID識別情報を受信する前の所定期間(例えば、3秒間)におけるBLE識別情報の電波受信状態を記録したBLE受信記録情報を生成する。そして、モバイル端末100は、RFID識別情報およびBLE受信記録情報を機器制御サーバ200に送信する。機器制御サーバ200に送信されたRFID識別情報は、モバイル端末100の位置の推測に用いられる。また、機器制御サーバ200に送信されたBLE受信記録情報は、ビーコンデバイス50からの位置情報に基づいてモバイル端末100の位置を推測するための機械学習に用いられる。
【0031】
位置判断フラグFtが値「1」である場合、モバイル端末100は、モバイル端末100の位置を推定するたの位置情報として、ビーコンデバイス50からBLE識別情報の電波受信状態を示すBLE受信状態情報を機器制御サーバ200に送信する。機器制御サーバ200に送信されたBLE受信状態情報は、モバイル端末100の位置の推測に用いられる。
【0032】
モバイル端末100の無線モジュール152は、アクセスポイント70によって構築される無線LANを介して機器制御サーバ200と通信可能に構成された電子部品である。無線モジュール152には、無線チップ、周辺回路、コントローラおよびソフトウェアが一体に構成されている。無線モジュール152による無線通信は、アクセスポイント70と接続可能な無線LAN規格に準拠している。
【0033】
モバイル端末100の無線モジュール154は、ビーコンデバイス50と無線通信を介して通信可能に構成された電子部品である。無線モジュール154には、無線チップ、周辺回路、コントローラおよびソフトウェアが一体に構成されている。無線モジュール154による無線通信は、ビーコンデバイス50と通信可能な近距離無線通信規格の1つであるBLEに準拠している。
【0034】
モバイル端末100の無線モジュール156は、RFIDタグ60と無線通信を介して通信可能に構成されてた電子部品である。無線モジュール156には、無線チップ、周辺回路、コントローラおよびソフトウェアが一体に構成されている。無線モジュール156による無線通信は、RFIDタグ60と通信可能な近距離無線通信規格の1つであるNFCに準拠している。
【0035】
モバイル端末100のタッチパネルディスプレイ130は、画像を表示可能であるとともに画面上で操作入力を受け可能に構成された電子部品である。タッチパネルディスプレイ130は、複数の機器20の各々を操作するための複数のグラフィカルユーザインタフェース170(GUI:Graphical User Interface)を表示可能である。本明細書の説明では、複数のGUIを包括的に示す場合には符号「170」を使用し、複数のGUIのうち特定のGUIを個別に示す場合には符号「170」に枝番を付けた符号を使用する(例えば、170-1、170-2、170-3)。
【0036】
モバイル端末100は、タッチパネルディスプレイ130に表示されているグラフィカルユーザインタフェース170を介して、機器20を操作する操作入力を受け付ける。その後、モバイル端末100は、無線モジュール152を用いて、グラフィカルユーザインタフェース170を介して受け付けた操作入力に基づく機器20の制御を200に要求する。
【0037】
モバイル端末100は、無線モジュール154,156を用いて、複数のビーコンデバイス50および複数のRFIDタグ60のうち少なくとも1つの位置情報発信装置から位置情報を受信する。その後、モバイル端末100は、その位置情報を機器制御サーバ200に送信した後、機器制御サーバ200からの応答を受信する。その後、機器制御サーバ200は、機器制御サーバ200からの応答に基づいて、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810に対応付けられた機器20の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェース170をタッチパネルディスプレイ130に表示する。
【0038】
モバイル端末100は、無線モジュール152を用いて、タッチパネルディスプレイ130に表示されるグラフィカルユーザインタフェース170で操作可能な機器20の動作状況を示す動作状況情報を機器制御サーバ200から取得する。モバイル端末100は、機器制御サーバ200から取得した動作状況情報に基づいて、タッチパネルディスプレイ130に表示されるグラフィカルユーザインタフェース170によって機器20の動作状況を報知する。
【0039】
図3は、タッチパネルディスプレイ130に表示されるグラフィカルユーザインタフェース170の一例を示す説明図である。図3の例は、施設800内の領域810-1に位置するモバイル端末100-1のタッチパネルディスプレイ130である。領域810-1に関連付けられた機器20は、領域810-1に設置されている3つの機器20-1a,20-1b,20-1cである。図3のタッチパネルディスプレイ130に表示されているグラフィカルユーザインタフェース170は、モバイル端末100の位置としてビーコンデバイス50-1の位置情報が示す領域810-1に関連付けられた3つの機器20-1a,20-1b,20-1cを操作するためのグラフィカルユーザインタフェース170-1,170-2,170-3に限定されている。
【0040】
グラフィカルユーザインタフェース170-1は、照明機器である機器20-1aを操作するためのユーザインタフェースである。グラフィカルユーザインタフェース170-2は、照明機器である機器20-1bを操作するためのユーザインタフェースである。照明機器のためのグラフィカルユーザインタフェース170-1,170-2の各々は、場所表示欄171と、電源アイコン172と、調光アイコン173と、調色アイコン174とを備える。場所表示欄171は、操作対象の機器20が配置されている場所を示す情報を表示する。
【0041】
電源アイコン172は、操作対象の機器20が電源オンまたは電源オフであるかの動作状態を示すとともに、操作対象の機器20を電源オンまたは電源オフにする操作入力を受け付ける。図3の例では、グラフィカルユーザインタフェース170-1の電源アイコン172は、電源オフを示しており、グラフィカルユーザインタフェース170-2の電源アイコン172は、電源オンを示している。
【0042】
調光アイコン173は、照明機器である操作対象の機器20に設定されている光の明るさの度合いを動作状態として示すとともに、その光の明るさを調節する操作入力を受け付ける。図3の例では、グラフィカルユーザインタフェース170-1の調光アイコン173は、4段階の明るさのうち3段階目の明るさを示しており、グラフィカルユーザインタフェース170-2の調光アイコン173は、4段階の明るさのうち4段階目の明るさを示している。
【0043】
調色アイコン174は、照明機器である操作対象の機器20に設定されている光の色を動作状態として示すとともに、その光の色を調節する操作入力を受け付ける。図3の例では、グラフィカルユーザインタフェース170-1の調色アイコン174は、5段階の色のうち2段階目の色を示しており、グラフィカルユーザインタフェース170-2の調色アイコン174は、5段階の色のうち2段階目の色を示している。
【0044】
グラフィカルユーザインタフェース170-3は、空調機器である機器20-1cを操作するためのユーザインタフェースである。空調機器のためのグラフィカルユーザインタフェース170-3は、場所表示欄176と、風量調整アイコン177とを備える。場所表示欄176は、操作対象の機器20が配置されている場所を示す情報を表示する。風量調整アイコン177は、空調機器である操作対象の機器20における風量を動作状態として示すとともに、その風量を調整する操作入力を受け付ける。図3の例では、グラフィカルユーザインタフェース170-3の風量調整アイコン177は、4つの風量「オフ」、「低」、「中」および「高」のうち「中」段階の風量を示している。
【0045】
図4は、機器制御サーバ200の詳細構成を示す説明図である。機器制御サーバ200は、プロセッサ210と、メモリ220と、通信モジュール250とを備える。
【0046】
機器制御サーバ200のプロセッサ210は、メモリ220に記憶されている機器制御プログラム222に含まれる複数のプログラム命令を実行することによって、通信モジュール250を制御する。プロセッサ210の個数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0047】
機器制御サーバ200のメモリ220は、プロセッサ210が取り扱うデータを記憶する。メモリ220の個数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。メモリ220は、機器制御プログラム222、機器配置データ224、位置判断フラグFs、機械学習プログラム226、蓄積データ227および機械学習モデル228を記憶している。
【0048】
メモリ220の機器制御プログラム222は、施設800内に配置された複数の機器20をモバイル端末100からの操作に基づいて制御するためのコンピュータプログラムである。メモリ220の機器配置データ224は、複数のRFIDタグ60のRFID識別情報を施設800内の各領域810に関連付けたデータと、施設800内の各領域810に複数の機器20の各々を関連付けたデータとを含む。機器配置データ224は、機器管理システム10の管理者によって管理端末400を介して適宜更新される。モバイル端末100の機器配置データ124は、機器制御サーバ200の機器配置データ224に基づいて更新される。
【0049】
メモリ220の位置判断フラグFsは、施設800内におけるモバイル端末100の位置を推測する手法を選択するためのフラグである。位置判断フラグFtが値「0」である場合に選択される手法は、RFIDタグ60からの位置情報に基づいてモバイル端末100の位置を推測する手法である。位置判断フラグFtが値「1」である場合に選択される手法は、ビーコンデバイス50からの位置情報に基づいてモバイル端末100の位置を推測する手法である。モバイル端末100の位置判断フラグFtは、機器制御サーバ200の位置判断フラグFsと同じ値に設定される。
【0050】
メモリ220の機械学習プログラム226は、蓄積データ227を用いた機械学習によって機械学習モデル228を構築するためのコンピュータプログラムである。蓄積データ227は、モバイル端末100から受信したRFID識別情報およびBLE受信記録情報を蓄積したデータベースである。機械学習モデル228は、蓄積データ227を用いた機械学習によって構築され、モバイル端末100におけるビーコンデバイス50からの位置情報の電波受信状態からモバイル端末100の位置を推定するためのアルゴリズムおよびパラメータを含むファイルである。
【0051】
機器制御サーバ200の通信モジュール250は、有線LANを介して通信可能に構成された電子部品である。通信モジュール250には、通信チップ、周辺回路、コントローラおよびソフトウェアが一体に構成されている。機器制御サーバ200は、通信モジュール250を用いて、モバイル端末100とアクセスポイント70を介して通信可能に構成されている。機器制御サーバ200は、通信モジュール250を用いて設備制御装置300と通信可能に構成されている。
【0052】
機器制御サーバ200は、通信モジュール250を用いて、モバイル端末100から機器20の制御要求を受け付ける。機器制御サーバ200は、モバイル端末100からの制御要求に基づいて、機器20の制御を設備制御装置300に指示する。
【0053】
機器制御サーバ200は、通信モジュール250を用いて、機器20の動作状況を示す動作状況情報を設備制御装置300から取得する。機器制御サーバ200は、設備制御装置300から取得した動作状況情報をモバイル端末100に送信する。
【0054】
図5は、モバイル端末100が実行するGUI表示処理を示すフローチャートである。図5のGUI表示処理は、タッチパネルディスプレイ130にグラフィカルユーザインタフェース170を表示するための処理である。プロセッサ110により機器操作プログラム122のプログラム命令が実行されることによって、モバイル端末100は、図5のGUI表示処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。
【0055】
図5のGUI表示処理を開始した後、モバイル端末100は、メモリ120に記憶されている位置判断フラグFtの値が「0」であるか否かを判断する(ステップS111)。位置判断フラグFtの値が「0」である場合(ステップS111:「YES」)、モバイル端末100は、RFIDタグ60から位置情報としてRFID識別情報を受信したか否かを判断する(ステップS112)。本実施形態では、モバイル端末100は、モバイル端末100の操作者からの操作に基づいて、RFIDタグ60からRFID識別情報を受信する。他の実施形態では、モバイル端末100は、モバイル端末100がRFIDタグ60と通信可能な範囲に存在する場合、モバイル端末100の操作者からの操作の有無にかかわらず、RFIDタグ60からRFID識別情報を受信してもよい。RFID識別情報を受信していない場合(ステップS112:「NO」)、モバイル端末100は、図5のGUI表示処理を終了する。
【0056】
RFID識別情報を受信した場合(ステップS112:「YES」)、モバイル端末100は、そのRFID識別情報を受信する際に記録されたBLE受信記録情報を生成する(ステップS114)。モバイル端末100は、RFID識別情報の受信に応じて、そのRFID識別情報を受信する前の所定期間(例えば、3秒間)におけるBLE識別情報の電波受信状態(例えば、受信電波強度および電波到来方向など)を記録したBLE受信記録情報を生成する。BLE受信記録情報は、1つ以上のビーコンデバイス50からの電波受信状態を示すデータを含む。
【0057】
BLE受信記録情報を生成した後(ステップS114)、モバイル端末100は、RFIDタグ60から受信したRFID識別情報と、ビーコンデバイス50からの電波受信状態を記録したBLE受信記録情報とを、無線モジュール152を用いて機器制御サーバ200に送信する(ステップS115)。
【0058】
BLE受信記録情報を機器制御サーバ200に送信した後(ステップS115)、モバイル端末100は、機器制御サーバ200からの応答に基づいて、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810に対応付けられた機器20の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェース170を、タッチパネルディスプレイ130に表示する(ステップS128)。その後、モバイル端末100は、図5のGUI表示処理を終了する。
【0059】
本実施形態では、モバイル端末100は、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810を示す情報を機器制御サーバ200からの応答として受信する。そして、モバイル端末100は、機器配置データ124を参照することによって、その領域810に対応付けられた機器20の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェース170をタッチパネルディスプレイ130に表示する。他の実施形態では、モバイル端末100は、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810に対応付けられた機器20を示す情報を機器制御サーバ200からの応答として受信してもよい。そして、モバイル端末100は、その機器20の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェース170をタッチパネルディスプレイ130に表示してもよい。
【0060】
位置判断フラグFtの値が「1」である場合(ステップS111:「NO」)、モバイル端末100は、ビーコンデバイス50から受信される位置情報であるBLE識別情報の電波受信状態(例えば、受信電波強度および電波到来方向など)を示すBLE受信状態情報を生成する(ステップS116)。BLE受信状態情報は、1つ以上のビーコンデバイス50からの電波受信状態を示すデータを含む。
【0061】
BLE受信状態情報を生成した後(ステップS116)、モバイル端末100は、そのBLE受信状態情報を無線モジュール152を用いて機器制御サーバ200に送信する(ステップS117)。その後、モバイル端末100は、機器制御サーバ200からの応答に基づいて、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810に対応付けられた機器20の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェース170を、タッチパネルディスプレイ130に表示する(ステップS128)。その後、モバイル端末100は、図5のGUI表示処理を終了する。
【0062】
図6は、機器制御サーバ200が実行するGUI表示処理を示すフローチャートである。図6のGUI表示処理は、モバイル端末100のタッチパネルディスプレイ130にグラフィカルユーザインタフェース170を表示させるための処理である。プロセッサ210により機器制御プログラム222のプログラム命令が実行されることによって、機器制御サーバ200は、図6のGUI表示処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。
【0063】
図6のGUI表示処理を開始した後、機器制御サーバ200は、モバイル端末100から位置情報としてRFID識別情報またはBLE受信状態情報を受信したか否かを判断する(ステップS211)。モバイル端末100から位置情報を受信していない場合(ステップS211:「NO」)、機器制御サーバ200は、図6のGUI表示処理を終了する。
【0064】
モバイル端末100から位置情報を受信した場合(ステップS211:「YES」)、機器制御サーバ200は、メモリ220に記憶されている位置判断フラグFsの値が「0」であるか否かを判断する(ステップS212)。
【0065】
位置判断フラグFsの値が「0」である場合(ステップS212:「YES」)、機器制御サーバ200は、モバイル端末100から受信したRFID識別情報とBLE受信記録情報との組合せを蓄積データ227としてメモリ220に蓄積する(ステップS214)。
【0066】
RFID識別情報およびBLE受信記録情報を蓄積した後(ステップS214)、機器制御サーバ200は、RFID識別情報に基づいてモバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810を特定する(ステップS215)。機器制御サーバ200は、機器配置データ224を参照することによって、モバイル端末100から受信したRFID識別情報に対応付けられた施設800内の領域810をモバイル端末100の位置として特定する。
【0067】
RFID識別情報に基づいて施設800内の領域810を特定した後(ステップS215)、機器制御サーバ200は、位置情報に基づいて特定された施設800内の領域810に応じたグラフィカルユーザインタフェース170をモバイル端末100に表示させるための応答をモバイル端末100に送信する(ステップS218)。その後、機器制御サーバ200は、図6のGUI表示処理を終了する。
【0068】
本実施形態では、機器制御サーバ200は、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810を示す情報を、モバイル端末100に応答として送信する。他の実施形態では、機器制御サーバ200は、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810に対応付けられた機器20を示す情報を、モバイル端末100に応答として送信してもよい。
【0069】
位置判断フラグFsの値が「1」である場合(ステップS212:「NO」)、機器制御サーバ200は、モバイル端末100から受信したBLE受信状態情報に基づいて、メモリ220に記憶されている機械学習モデル228を用いて、モバイル端末100の位置として推定される施設800内の領域810を特定する(ステップS216)。
【0070】
BLE受信状態情報に基づいて施設800内の領域810を特定した後(ステップS216)、機器制御サーバ200は、位置情報に基づいて特定された施設800内の領域810に応じたグラフィカルユーザインタフェース170をモバイル端末100に表示させるための応答をモバイル端末100に送信する(ステップS218)。その後、機器制御サーバ200は、図6のGUI表示処理を終了する。
【0071】
図7は、機器制御サーバ200が実行する機械学習処理を示すフローチャートである。図7の機械学習処理は、蓄積データ227に基づいて機械学習モデル228を構築するための処理である。プロセッサ210により機械学習プログラム226のプログラム命令が実行されることによって、機器制御サーバ200は、図7の機械学習処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。本実施形態では、機器制御サーバ200は、蓄積データ227のデータ量が閾値を超えた場合、管理端末400から指示があった場合、または、先回の実行から所定期間(例えば、1週間)を超えた場合、図7の機械学習処理を開始する。
【0072】
図7の機械学習処理を開始した後、機器制御サーバ200は、メモリ220に記憶されている位置判断フラグFsの値が「0」であるか否かを判断する(ステップS222)。位置判断フラグFsの値が「1」である場合(ステップS222:「NO」)、機器制御サーバ200は、図7の機械学習処理を終了する。
【0073】
位置判断フラグFsの値が「0」である場合(ステップS222:「YES」)、機器制御サーバ200は、モバイル端末100から受信したRFID識別情報およびBLE受信記録情報を蓄積した蓄積データ227を用いた機械学習によって、モバイル端末100におけるビーコンデバイス50の電波受信状態からモバイル端末100の位置を推定する機械学習モデル228を構築する。本実施形態では、機械学習モデル228は、複数のビーコンデバイス50からの受信電波強度および電波到来方向の組合せと、施設800内の各領域810との関係を導き出すパラメータを含む。機械学習を終えた後(ステップS224)、機器制御サーバ200は、図7の機械学習処理を終了する。
【0074】
図8は、機器制御サーバ200が実行する位置判断変更処理を示すフローチャートである。図8の位置判断変更処理は、モバイル端末100の位置を判断する手法を変更するための処理である。プロセッサ210により機器制御プログラム222のプログラム命令が実行されることによって、機器制御サーバ200は、図8の位置判断変更処理を所定のタイミングで繰り返し実行する。
【0075】
図8の位置判断変更処理を開始した後、機器制御サーバ200は、モバイル端末100の位置を判断する手法を変更するための変更指示を、管理端末400から受信したか否かを判断する(ステップS232)。管理端末400から変更指示を受信していない場合(ステップS232:「NO」)、機器制御サーバ200は、図8の位置判断変更処理を終了する。
【0076】
管理端末400から変更指示を受信した場合(ステップS232:「YES」)、機器制御サーバ200は、管理端末400からの変更指示に応じて、モバイル端末100の位置判断フラグFtの値と、機器制御サーバ200の位置判断フラグFsの値とを更新する(ステップS234)。RFIDタグ60を用いた手法への変更指示を管理端末400から受信した場合、機器制御サーバ200は、機器制御サーバ200のメモリ220に記憶されている位置判断フラグFsの値を「0」に設定するとともに、モバイル端末100のメモリ120に記憶されている位置判断フラグFtの値を「0」に設定するようにモバイル端末100に指示する。ビーコンデバイス50を用いた手法への変更指示を管理端末400から受信した場合、機器制御サーバ200は、機器制御サーバ200のメモリ220に記憶されている位置判断フラグFsの値を「1」に設定するとともに、モバイル端末100のメモリ120に記憶されている位置判断フラグFtの値を「1」に設定するようにモバイル端末100に指示する。位置判断フラグFs,Ftを更新した後(ステップS234)、機器制御サーバ200は、図8の位置判断変更処理を終了する。
【0077】
以上説明した実施形態によれば、RFIDタグ60を利用してモバイル端末100の位置を推測する運用を行いながら、ビーコンデバイス50を利用してモバイル端末100の位置を推測するための機械学習モデル228を構築し、その機械学習モデル228によるモバイル端末100の位置を推測する精度を向上させることができる。そして、ビーコンデバイス50を利用してモバイル端末100の位置を推測する運用を行う場合に、その機械学習モデル228を用いることによって、モバイル端末100の位置とは関係のない機器80を操作するためのグラフィカルユーザインタフェース170がモバイル端末100に表示されることを抑制できる。
【0078】
本明細書に開示する技術は、上述した実施形態、実施例および変形例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、上述した実施形態、実施例および変形例における技術的特徴のうち、発明の概要の欄に記載した各形態における技術的特徴に対応するものは、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えおよび組み合わせることができる。また、本明細書中に必須なものとして説明されていない技術的特徴については、適宜、削除できる。
【0079】
上述した実施形態では、位置判断フラグFtの値を更新することによってモバイル端末100の動作を切り替えたが、他の実施形態では、機器操作プログラム122を更新することによってモバイル端末100の動作を切り替えてもよい。
【0080】
上述した実施形態では、位置判断フラグFsの値を更新することによって機器制御サーバ200の動作を切り替えたが、他の実施形態では、機器制御プログラム222を更新することによって機器制御サーバ200の動作を切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…機器管理システム
20…機器
50…ビーコンデバイス
60…RFIDタグ
70…アクセスポイント
80…機器
100…モバイル端末
110…プロセッサ
120…メモリ
122…機器操作プログラム
124…機器配置データ
130…タッチパネルディスプレイ
152…無線モジュール
154…無線モジュール
156…無線モジュール
170…グラフィカルユーザインタフェース
171…場所表示欄
172…電源アイコン
173…調光アイコン
174…調色アイコン
176…場所表示欄
177…風量調整アイコン
200…機器制御サーバ
210…プロセッサ
220…メモリ
222…機器制御プログラム
224…機器配置データ
226…機械学習プログラム
227…蓄積データ
228…機械学習モデル
250…通信モジュール
300…設備制御装置
400…管理端末
800…施設
810…領域

【要約】
【課題】モバイル端末の位置とは関係のない機器を操作するためのグラフィカルユーザインタフェースがモバイル端末に表示されることを抑制する。
【解決手段】機器制御サーバは、モバイル端末が第1の位置情報発信装置から受信した第1の位置情報に基づいて、モバイル端末の位置として推測される施設内の領域を特定し;その領域に対応付けられた機器の操作を受け付けるグラフィカルユーザインタフェースをモバイル端末に表示させ;モバイル端末が第1の位置情報を受信する際に第2の位置情報発信装置から受信した第2の位置情報の電波受信状態を記録した受信記録情報を、モバイル端末から受信し;モバイル端末から受信した第1の位置情報および受信記録情報を用いた機械学習によって、モバイル端末における第2の位置情報の電波受信状態からモバイル端末の位置を推定する機械学習モデルを構築する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8