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特許7286141駐車場管理システムおよび駐車場管理システムの制御方法
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  • 特許-駐車場管理システムおよび駐車場管理システムの制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】駐車場管理システムおよび駐車場管理システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20230529BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G07B15/00 M
G08G1/14 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019054925
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020154999
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000101400
【氏名又は名称】アツミ電氣株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130281
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 道幸
(72)【発明者】
【氏名】松島 正和
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-074429(JP,A)
【文献】特開平04-285203(JP,A)
【文献】特開2013-174996(JP,A)
【文献】特表2009-506443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場に駐車した車両を管理するための駐車場管理システムにおいて、
前記駐車場内の車室に駐車した前記車両の有無を検知する車両センサと、
各前記車室に設けられ、前記車両の出庫を阻止する出庫制限手段と、
駐車料金を入金するための入金手段と、
前記車両センサ、前記出庫制限手段および前記入金手段に接続され、前記車両の入出庫を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記車室に前記車両が駐車された後も前記出庫制限手段を前記車両の出庫を阻止する状態にすることなく、前記車両センサからの車両検知情報に基づいて、前記車両を最初に検知してからの駐車時間である待機時間のカウントを開始し、予め決められた前記待機時間の間、前記出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、前記入金手段への入金の有無を確認し、
前記待機時間内に駐車希望時間に対応する前記駐車料金が前記入金手段に入金されたことが確認された場合、引き続き前記出庫制限手段を出庫可能な状態のままで前記出庫制限手段を前記車両の出庫を阻止する状態にすることなく前記駐車希望時間のカウントを開始し、前記駐車希望時間の間、前記出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、前記車両センサによって継続して前記車両の検知がなされている場合、前記駐車希望時間経過時、前記出庫制限手段を稼働させて前記車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記待機時間内に前記入金手段への入金が確認されなかった場合、前記制御手段は、前記出庫制限手段を稼働させて前記車両の出庫を阻止する状態とし、前記課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
駐車場に駐車した車両を管理するための駐車場管理システムの制御方法であって、
車室に前記車両が駐車された後も出庫制限手段を前記車両の出庫を阻止する状態にすることなく、前記駐車場内の前記車室の1つに前記車両が駐車されたことを検知し、前記車両を最初に検知してからの駐車時間である待機時間のカウントを開始し、予め決められた前記待機時間の間、前記車両の出庫を阻止する前記出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、駐車料金の入金の有無を確認し、
前記待機時間内に駐車希望時間に対応する前記駐車料金が入金されたことを確認した場合、引き続き前記出庫制限手段を出庫可能な状態のままで前記出庫制限手段を前記車両の出庫を阻止する状態にすることなく前記駐車希望時間のカウントを開始し、前記駐車希望時間の間、前記出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、前記車両が継続して検知されている場合、前記駐車希望時間経過時、前記出庫制限手段を稼働させて前記車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする駐車場管理システムの制御方法。
【請求項4】
前記待機時間内に入金が確認されなかった場合、前記出庫制限手段を稼働させて前記車両の出庫を阻止する状態とし、前記課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする請求項3に記載の駐車場管理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場に駐車した車両を管理するための駐車場管理システムおよび駐車場管理システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コインパーキングなどの駐車場の管理に取り入れられ、車両の出庫を規制するものとして、例えば、フラップ板(ロック板)、出庫ゲート装置、出没式等の車輪止め装置等の出庫制限手段が用いられている。フラップ板を用いた場合、車両を個々の駐車区画である車室に入庫すると各車室に設けられたフラップ板が上昇し、出庫する際に駐車料金を精算するとフラップ板が下降し出庫することができる。
【0003】
特許文献1では、各駐車区画毎に設けられ、個々の駐車区画内に駐車した車両を検知し、車両の駐車料金が精算されるまで車両の不正出庫を阻止する車室管理端末機と、駐車区画内に駐車した車両の駐車料金を計算し、駐車料金が精算されると車室管理端末機に精算完了を通知する中央料金精算機と、を備えて成る駐車場管理システムにおいて、個々の車室管理端末機と中央料金精算機とを順次相互に直列に接続したことを特徴とする駐車場管理システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-74423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の駐車場管理システムにおいては、利用者がフラップ板の下降を確認せずに、あるいは、駐車料金を支払わずに出庫して、フラップ板を含むフラップユニットを破損してしまうことがあった。また、フラップ板が、停電や故障等により下降せず、車両を出庫できなくなることがあった。また、車高の低い車両の場合、フラップ板が車両の底に接触してしまうといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、出庫制限手段の稼働を最低限にすることで、出庫制限手段の管理の手間やコストを抑えることができる駐車場管理システムおよび駐車場管理システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の駐車場管理システムは、駐車場内の車室に駐車した車両の有無を検知する車両センサと、各車室に設けられ、車両の出庫を阻止する出庫制限手段と、駐車料金を入金するための入金手段と、車両センサ、出庫制限手段および入金手段に接続され、車両の入出庫を制御する制御手段を備え、制御手段は、車室に車両が駐車された後も出庫制限手段を車両の出庫を阻止する状態にすることなく、車両センサからの車両検知情報に基づいて、車両を最初に検知してからの駐車時間である待機時間のカウントを開始し、予め決められた待機時間の間、出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、入金手段への入金の有無を確認し、待機時間内に駐車希望時間に対応する駐車料金が入金手段に入金されたことが確認された場合、引き続き出庫制限手段を出庫可能な状態のままで出庫制限手段を車両の出庫を阻止する状態にすることなく駐車希望時間のカウントを開始し、駐車希望時間の間、出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、車両センサによって継続して車両の検知がなされている場合、駐車希望時間経過時、出庫制限手段を稼働させて車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の駐車場管理システムは、待機時間内に入金手段への入金が確認されなかった場合、制御手段は、出庫制限手段を稼働させて車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の駐車場管理システムの制御方法は、車室に車両が駐車された後も出庫制限手段を車両の出庫を阻止する状態にすることなく、駐車場内の車室の1つに車両が駐車されたことを検知し、車両を最初に検知してからの駐車時間である待機時間のカウントを開始し、予め決められた待機時間の間、車両の出庫を阻止する出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、駐車料金の入金の有無を確認し、待機時間内に駐車希望時間に対応する駐車料金が入金されたことを確認した場合、引き続き出庫制限手段を出庫可能な状態のままで出庫制限手段を車両の出庫を阻止する状態にすることなく駐車希望時間のカウントを開始し、駐車希望時間の間、出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持し、車両が継続して検知されている場合、駐車希望時間経過時、出庫制限手段を稼働させて車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の駐車場管理システムの制御方法は、待機時間内に入金が確認されなかった場合、出庫制限手段を稼働させて車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、出庫制限手段の稼働を最低限にすることで、出庫制限手段の管理の手間やコストを抑えることができる駐車場管理システムおよび駐車場管理システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る駐車場管理システムの実施例を示す説明図である。
図2】同実施例を制御する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら、出庫制限手段の1例としてフラップユニットを用いて具体的に説明する。図1は、本発明に係る駐車場管理システムの実施例を示す説明図である。図2は、同実施例を制御する方法を説明するフローチャートである。
【0014】
駐車場管理システム1は、駐車場に駐車した車両を管理するためのシステムであり、車両センサ2と、フラップユニット3と、入金手段4と、制御手段5を備えている。ここで、「車両」とは、自動車だけでなく、自転車、自動二輪車等を含むものである。
【0015】
車両センサ2は、駐車場内の1台の車両に対する駐車区画である車室に車両が駐車されているか否か、車室に駐車した車両の有無を検知する手段である。車両センサ2において、車両を検知する方式は特に問わないが、例えば、ループコイルセンサ、ミリ波レーダ、レーザレーダ、カメラ等である。
【0016】
出庫制限手段であるフラップユニット3は、フラップ板を含み、フラップ板を昇降させることで車両の出庫を規制するものであって、各車室に設けられ、フラップ板を上昇させることで車両の出庫を阻止する手段である。「出庫制限手段を出庫可能な状態のまま保持」とは、フラップユニット3を稼働させずに入庫前のフラップ板を下降させた状態のまま保持することであり、車両の出庫が可能な状態のことである。「出庫制限手段を稼働させて車両の出庫を阻止する状態とする」とは、フラップユニット3を稼働させてフラップ板を上昇させ、車両の出庫を阻止している状態のことである。
尚、図1、2の駐車場管理システム1は、出庫制限手段として、フラップ板が上下動するフラップユニット3を備えているが、その他の車両の出庫を阻止する手段、例えば、出庫ゲート装置、出没式等の車輪止め装置等を備えていてもよい。
【0017】
入金手段4は、駐車料金(手数料)を入金するための手段である。利用者は、入金手段4に入金して駐車料金を精算する。尚、入金手段4は、硬貨および/または紙幣だけでなく、クレジットカード、電子マネー、サービス券、定期券等に対応していてもよい。
【0018】
制御手段5は、図1に示すように、車両センサ2、フラップユニット3および入金手段4に接続され、車両の入出庫を制御する手段である。
【0019】
制御手段5は、車両センサ2からの車両を検知したとの情報に基づいて、車両を最初に検知してからの駐車時間である待機時間のカウントを開始する。そして、制御手段5は、予め決められた待機時間の間、フラップユニット3のフラップ板を下降させた出庫可能な状態のまま保持し、入金手段4への入金の有無を確認する。
【0020】
待機時間内に、利用者が駐車を希望する時間である駐車希望時間に対応する駐車料金が入金手段4に入金されたことが確認された場合、制御手段5は、駐車希望時間のカウントを開始する。そして、制御手段5は、駐車希望時間の間、フラップユニット3のフラップ板を下降させた出庫可能な状態のまま保持し、車両センサ2によって継続して車両の検知がなされている場合であって、駐車希望時間を経過した時、フラップユニット3のフラップ板を上昇させて車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始する。
【0021】
このような構成の駐車場管理システム1によれば、出庫制限手段の稼働を最低限にすることで、出庫制限手段の管理の手間やコストを抑えることができる。
【0022】
待機時間内に入金手段4への入金が確認されなかった場合、制御手段5は、フラップユニット3のフラップ板を上昇させて車両の出庫を阻止する状態とし、課金駐車時間のカウントを開始する。これにより、待機時間内に利用者が入金しなかった場合であっても、従来通り車室への車両の駐車を管理することができる。
【0023】
次に、このように構成された駐車場管理システム1を制御する方法について、図2を参照してより具体的に説明する。
【0024】
まず、利用者が駐車場内の車室の1つに車両を駐車した場合、車両センサ2は車室に車両が駐車されたことを検知し、この情報を制御手段5に供給する(ステップS1)。制御手段5は、前述の車両検知情報に基づいて、車両を最初に検知してからの駐車時間である待機時間のカウントを開始する(ステップS2)。予め決められた待機時間の間、制御手段5は、フラップユニット3のフラップ板を出庫可能な状態である下降させたまま保持し(ステップS3)、入金手段4への駐車料金の入金の有無を確認する(ステップS4)。
【0025】
ステップS4において、制御手段5は、待機時間内に、利用者が駐車を希望する時間である駐車希望時間に対応する駐車料金が入金手段4に入金されたことを確認した場合、駐車希望時間のカウントを開始する(ステップS5)。駐車希望時間の間、制御手段5は、フラップユニット3のフラップ板を下降させたまま保持する(ステップS6)。ステップS7において駐車希望時間を経過しておらず、ステップS8において車両センサ2が車両を検知しない場合、駐車希望時間内に車両が出庫したことにより、駐車場に駐車した1台の車両に対する管理を終了する。
【0026】
尚、車両が駐車希望時間よりも短時間で出庫する場合、駐車希望時間に対応する駐車料金として事前に支払った金額と、実際の駐車時間に対応する駐車料金との差額を出庫する際に返金するようにしてもよい。
【0027】
ステップS8において車両センサ2によって車両が継続して検知されている場合であって、ステップS7において駐車希望時間を経過した時、フラップユニット3を稼働させ、フラップ板を上昇させて車両の出庫を阻止する状態とし(ステップS10)、課金駐車時間のカウントを開始する(ステップS11)。その後、ステップS12において課金駐車時間に対応する駐車料金が入金手段4に入金されたことを確認した場合、制御手段5は、フラップユニット3にフラップ板を下降させて出庫可能な状態とし(ステップS13)、車両が出庫することにより、駐車場に駐車した1台の車両に対する管理を終了する。
【0028】
ステップS4において入金が確認されないまま、ステップS9において待機時間が経過した場合、制御手段5は、フラップユニット3を稼働させ、フラップ板を上昇させて車両の出庫を阻止する状態とし(ステップS10)、課金駐車時間のカウントを開始する(ステップS11)。その後、ステップS12において課金駐車時間に対応する駐車料金が入金手段4に入金されたことを確認した場合、制御手段5は、フラップユニット3にフラップ板を下降させて出庫可能な状態とし(ステップS13)、車両が出庫することにより、駐車場に駐車した1台の車両に対する管理を終了する。
【0029】
尚、ステップS13においてフラップ板が下降しても、車両が継続して検知され、一定時間内に出庫しない場合、初期状態であるステップS1に戻るようにしてもよい。
【0030】
本実施の形態の駐車場管理システム1において、利用者は、希望駐車時間に対応する駐車料金を先に支払うか、または、先に支払をせずに出庫する前に課金駐車時間に対応する駐車料金を支払うかを選択することができる。例えば、車高の低い車両の所有者が駐車する場合、フラップ板が車両の底に接触することがないように、先払いを選択することができる。また、希望駐車時間に対応する駐車料金を先に支払った場合であっても、利用者は、希望駐車時間よりも長い時間継続して駐車することが可能である。
【0031】
本発明によれば、出庫制限手段の稼働を最低限にすることで、フラップユニット3が破損した、フラップ板が下降しないといった出庫制限手段に関するトラブル発生の可能性を低減し、出庫制限手段の管理の手間やコストを抑えることができる。地震、台風等の災害による停電、浸水等で駐車場管理システム1が正しく動作しない場合であっても、フラップ板が下降した状態のままであれば車両を出庫することが可能である。また、フラップ板の昇降といった出庫制限手段の稼働に使用されるエネルギーを削減し、省エネルギー化を図ることができる。
【0032】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明によれば、出庫制限手段の稼働を最低限にすることで、出庫制限手段の管理の手間やコストを抑えることができる駐車場管理システムおよび駐車場管理システムの制御方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・・駐車場管理システム
2・・・・車両センサ
3・・・・フラップユニット
4・・・・入金手段
5・・・・制御手段
図1
図2