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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】鳥害防止器
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20230529BHJP
   A01M 29/32 20110101ALI20230529BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
H02G7/00
A01M29/32
H02G1/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019172985
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021052474
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 泰至
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 靖司
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-057394(JP,A)
【文献】特開2010-198900(JP,A)
【文献】特開2021-013367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
A01M 29/32
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空線に取り付けて用いられ、忌避線を前記架空線に沿って架ける鳥害防止器であって、
前記架空線に取り付け可能に構成された取付部と、
前記取付部に備えられる延出部と、
前記延出部に備えられ、前記忌避線を支持可能に構成された支持部と、を有し、
前記取付部は、回転操作が可能に構成された操作部材を備え、該操作部材が回転操作されることにより、当該取付部の前記架空線に対する着脱が不能な状態と、前記着脱が可能な状態と、に遷移可能に構成されており、
前記取付部が取り付けられた前記架空線の長さ方向が法線方向となる平面に当該鳥害防止器を投影したときに、前記操作部材の回転軸は、前記支持部における前記忌避線が支持される位置である忌避線位置と、前記取付部により保持される前記架空線の中心位置と、を結ぶ直線に対して交差する位置関係となり、
当該鳥害防止器は、当該鳥害防止器の重心と、前記中心位置と、前記忌避線位置と、が直線状に並ぶように構成されている、鳥害防止器。
【請求項2】
架空線に取り付けて用いられ、忌避線を前記架空線に沿って架ける鳥害防止器であって、
前記架空線に取り付け可能に構成された取付部と、
前記取付部に備えられる延出部と、
前記延出部に備えられ、前記忌避線を支持可能に構成された支持部と、を有し、
前記取付部は、回転操作が可能に構成された操作部材を備え、該操作部材が回転操作されることにより、当該取付部の前記架空線に対する着脱が不能な状態と、前記着脱が可能な状態と、に遷移可能に構成されており、
前記取付部が取り付けられた前記架空線の長さ方向が法線方向となる平面に当該鳥害防止器を投影したときに、前記操作部材の回転軸は、前記支持部における前記忌避線が支持される位置である忌避線位置と、前記取付部により保持される前記架空線の中心位置と、を結ぶ直線に対して交差する位置関係となり、
前記延出部は、前記取付部と前記延出部とが連結する位置に設けられる回転軸を中心として回転変位することで、前記取付部を基準とした相対的な位置である第1位置及び第2位置に移動可能に構成されており、
前記延出部が前記第1位置にあるときは、前記延出部が前記第2位置にあるときと比較して、前記操作部材の回転軸と前記直線との角度が小さい、鳥害防止器。
【請求項3】
請求項に記載の鳥害防止器であって、
前記操作部材は、前記取付部を基準とした相対的な位置である第位置及び第位置に移動可能に構成されており、
前記操作部材が前記第位置にあるときは、前記操作部材が前記第位置にあるときと比較して、前記操作部材の回転軸と前記直線との角度が小さい、鳥害防止器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、架空線に取り付けられ、忌避線を架空線に架ける鳥害防止器に関する。
【背景技術】
【0002】
架空線には、鳥類の飛来を防止するため、架空線の上方に鳥害防止用の忌避線が架けられる。この忌避線を架空線の上方に架けるために用いられるのが鳥害防止器であり、架空線には複数の鳥害防止器が架空線の長手方向に沿って所定間隔ごとに設置される。鳥害防止器は、架空線に取り付けるための部分と、忌避線を支持するための部分と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-141452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
架空線は、地面から離れた高い位置に配置されている。そのため、鳥害防止器の取り付けを行う作業者は、例えば高所作業車を用いて架空線の真下に移動して作業する。しかしながら、架空線の周囲の環境や、架空線が鉛直方向に並んで配置される、いわゆる縦引きの場合、架空線の真下に移動して作業することが難しい場合がある。また、鳥害防止器の着脱に棒状の器具を用いる場合には、他の架空線が器具操作の妨げになる場合があった。
【0005】
本開示の目的は、鳥害防止器の取り付けの作業性を向上させる技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、架空線に取り付けて用いられ、忌避線を架空線に沿って架ける鳥害防止器である。この鳥害防止器は、取付部と、延出部と、支持部と、を有する。取付部は、架空線に取り付け可能に構成される。延出部は、取付部に備えられる。支持部は、延出部に備えられ、忌避線を支持可能に構成される。取付部は、回転操作が可能に構成された操作部材を備え、操作部材が回転操作されることにより、当該取付部の架空線に対する着脱が不能な状態と、着脱が可能な状態と、に遷移可能に構成されている。取付部が取り付けられた架空線の長さ方向が法線方向となる平面に当該鳥害防止器を投影したときに、操作部材の回転軸は、支持部における忌避線が支持される位置である忌避線位置と、取付部により架空線が保持される位置と、を結ぶ直線に対して交差する位置関係となる。
【0007】
このような構成であれば、忌避線が架空線の真上に位置するように鳥害防止具を架空線に取り付ける際に、操作部材の回転軸が架空線の真下以外の方向を向くこととなる。そのため、より簡便に架空線の手前から操作部材の操作を行うことができるため、鳥害防止器の取り付けの作業性を向上させることができる。なお、ここでいう交差する位置関係とは、回転軸を通る直線と、忌避線位置及び架空線の位置を通る直線と、が交差することを意味する。また、ここでいう交差する位置関係とは、例えば、上記直線と、操作部材の回転軸と、が10°~90°の範囲で角度を有する場合であってもよい。
【0008】
上述した鳥害防止器において、延出部は、取付部を基準とした相対的な位置である第1位置及び第2位置に移動可能に構成されていてもよい。延出部が第1位置にあるときは、延出部が第2位置にあるときと比較して、操作部材の回転軸と直線との角度が小さくてもよい。このような構成であれば、延出部の位置を変更することで、操作部材の回転軸の角度を、鳥害防止器が取り付けられる架空線の環境にて操作の行い易い位置に調整することができる。
【0009】
上述した鳥害防止器において、当該鳥害防止器は、当該鳥害防止器の重心と、取付部により保持される架空線の中心位置と、忌避線位置と、が直線状に並ぶように構成されていてもよい。このような構成であれば、鳥害防止器の取り付け作業時に忌避線が架空線の真上に配置されやすくなり、作業性の向上を図ることができる。
【0010】
上述した鳥害防止器において、操作部材は、取付部を基準とした相対的な位置である第1位置及び第2位置、に移動可能に構成されていてもよい。操作部材が第1位置にあるときは、操作部材が第2位置にあるときと比較して、操作部材の回転軸と直線との角度が小さくてもよい。このような構成であれば、鳥害防止器が取り付けられる架空線の環境にて操作の行い易い位置に操作部材の回転軸の角度を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の鳥害防止器を示す斜視図であって、図1Aは移動部を下方に移動させた状態の斜視図であり、図1Bは移動部を上方に移動させた状態の斜視図である。
図2】第1実施形態の鳥害防止器の側面図であって、図2Aは延出部が第1位置にあるときの側面図であり、図2Bは延出部が第2位置にあるときの側面図である。
図3図3A-3Cが、第1実施形態の角度調節機構を説明する模式的な斜視図である。
図4】第1実施形態の鳥害防止器を架空線に取り付けたときの側面図である。
図5】第2実施形態の鳥害防止器を示す側面図である。
図6】第3実施形態の鳥害防止器を示す側面図であって、図6Aは操作部材が第1位置にあるときの側面図であり、図6Bは操作部材が第2位置にあるときの側面図である。
図7】角度調節機構の変形例を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.鳥害防止器の全体構成]
本実施形態の鳥害防止器1は、架空線に取り付けて用いられ、忌避線を架空線に沿って架ける装置である。ここでいう忌避線とは、架空線の上方に架空線に沿って設けられる、鳥害防止用の線である。図1A-1Bに示すように、鳥害防止器1は、取付部11と、延出部13と、を備えている。
【0013】
以下では、説明の便宜上、上下左右及び前後の方向を用いて構造を説明する。しかしながら、本開示は、使用態様などが上記の方向に限定されることはない。なお、左右方向は架空線に取り付けた際に架空線の長さ方向となる方向である。また忌避線は架空線の上側に配置することで鳥害防止機能を発揮するため、通常は、忌避線が架空線の上側に位置するように配置される。
【0014】
[1-2.取付部]
取付部11は、収容部21と、蓋部23と、移動部25と、操作部材41とを備えている。取付部11は、架空線5に取付可能に構成されている。取付部11を架空線5に取り付けることにより、鳥害防止器1の架空線への取り付けが実現される。
【0015】
収容部21は、略コの字形状の形状である。収容部21は、言い換えると、前方が開放された略環状形状である。架空線は収容部21の内部に収容可能である。収容部21は、架空線の下方側を覆う第1壁部21aと、架空線の上方側を覆う第2壁部21bと、を備える。また、収容部21は、第2壁部21bの上方から延び出す柱状の連結柱72を備える。
【0016】
蓋部23は、略長方形の板状の部材でありであり、長手方向の一端が、第2壁部21bの前方端部を支点として回動可能に固定されている。蓋部23は、収容部21の前方の開放部分を閉塞して収容部21と共に環状体を形成する閉位置と、収容部21の前方を開放する開位置と、の間で移動可能である。
【0017】
収容部21と、閉位置にある蓋部23と、により構成される環状体の内部の空間が、架空線を差し入れることができる差入空間27である。蓋部23が開位置のとき、差入空間27への架空線の出し入れが可能となる。蓋部23が閉位置となっているときには、差入空間27への架空線の出し入れはできない。
【0018】
また、蓋部23の長手方向の他端側には固定用孔33が設けられている。第1壁部21aの前端に設けられた突起部31は、固定用孔33に挿して嵌めることができる。また蓋部23は、第2壁部21bと連結する一端側が、一端側とは逆の他端側に比べて幅広に形成されている。
【0019】
移動部25は、差入空間27の内部にて上下方向に移動可能に構成されている。移動部25における蓋部23側の端部には、蓋固定部35が形成されている。図1Aに示されるように、移動部25が相対的に低い位置である開放位置にあるとき、差入空間27における架空線を差し入れ可能な空間は広くなり、また蓋部23は自在に開閉可能である。また図1Bに示されるように、移動部25が相対的に高い位置である固定位置にあるとき、上述した空間は狭くなる。また、蓋固定部35が、閉位置にある蓋部23の幅広な部分を係止して、蓋部23が開くことを抑制する。
【0020】
操作部材41は、架空線を保持する操作を行うための部分である。操作部材41は断面が六角形の柱状の部材であり、第1壁部21aの下方にて、上下方向の回転軸41aを中心として回転操作が可能に構成されている。
【0021】
取付部11には、第1壁部21aを貫通するように配置され、上下方向に長さを有する突出部43が設けられている。操作部材41が回転操作されると、回転方向に応じて、突出部43の第1壁部21aからの突出量が増減する。移動部25は、突出部43の上端に連結されている。よって、操作部材41が回転操作されることで、移動部25が差入空間27の内部で上下方向に移動する。また第1壁部21aの上側面には、突出部43を取り囲むように、環状の取付用円盤37が設けられている。
【0022】
以上のように構成された取付部11は、蓋部23が開位置であって、移動部25が開放位置であるときに、架空線を差入空間27(第2壁部21bと移動部25との間の空間)に差し入れること、及び、差入空間27から抜き取ることができる。差入空間27に架空線が差し入れられた状態において、蓋部23を閉位置とし、操作部材41を操作して移動部25を固定位置に移動すれば、第2壁部21bと移動部25との間に架空線が挟まれて、鳥害防止器1が架空線に固定される。このとき蓋部23は蓋固定部35を介して収容部21に係止される。そのため、架空線が差入空間27から抜けてしまうことが抑制される。
【0023】
言い換えると、操作部材41が回転操作されることにより、取付部11は、取付部11の架空線に対する着脱が不能な状態と、取付部11の架空線に対する着脱が可能な状態と、に遷移する。
【0024】
[1-3.延出部]
延出部13は、取付部11に備えられている。延出部13は、左右一対の側板51を備える。側板51は、上下方向に長細い平板形状であって、互いに対向するように左右に並べて配置されており、上端部分で繋がっている。延出部13は、支持部15と、保持穴63と、を備えている。また取付部11及び延出部13は、延出部13の取付部11を基準とした相対的な位置を変更可能に、言い換えると延出部13の延び出す角度を変更可能に連結する角度調節機構71を有している。
【0025】
<支持部の構成>
延出部13の上下方向の中央部には、架空線から距離を開けた位置で忌避線を支持する支持部15が設けられている。支持部15は、固定具53、溝部55、忌避線係止溝59a,59bなどを備える。
【0026】
固定具53は、軸方向が左右方向に沿った回転軸57に対して回転可能に固定されている。回転軸57は、溝部55の内部に設けられている。溝部55は、上下方向に細長い長方形状の溝である。
【0027】
固定具53は、忌避線を固定する際に操作される。固定具53は、所定の回転位置であり、主たる部分が溝部55の内部に収まる折畳位置に位置するとき、延出部13に対して固定される。一対の側板51それぞれに設けられた忌避線係止溝59a又は忌避線係止溝59bを通るように忌避線を配置した後、固定具53を適切な折畳位置に移動させることで、忌避線が鳥害防止器1に固定される。
【0028】
<保持穴の構成>
延出部13の上端部には、左右一対の51の間に配置され、上下左右に広がる縦板61が設けられている。縦板61には、貫通穴である保持穴63が設けられる。保持穴63は、図示しないが、束ねた状態の忌避線を挿入可能であって、挿入された忌避線を保持可能に構成されている。
【0029】
<角度調節機構の構成>
角度調節機構71は、図2A-2Bに示されるように、延出部13の取付部11を基準とした位置を移動可能に構成されている。以下の説明では、取付部11や延出部13などの位置について、取付部11が取り付けられた架空線5の長さ方向が法線方向となる平面に鳥害防止器1を投影したときの位置で説明する。
【0030】
延出部13が図2Aに示される第1位置にあるとき、操作部材41の回転軸41aは、支持部15における忌避線3が支持される位置である忌避線位置81と、取付部11により保持される架空線5の中心位置82と、を結ぶ直線83上に位置する。即ち、回転軸41aと直線83とは平行であり、角度を有していない。一方で、延出部13が、図2Bに示される、第1位置とは異なる第2位置にあるとき、回転軸41aは、上記直線83に対して交差する。ここでいう交差とは、回転軸41aを構成する直線と、直線83と、が交差することを意味する。つまり回転軸41aとは、物体として存在する軸部材ではなく、操作部材41の回転動作を規定する軸線を意味する。第1位置及び第2位置は、取付部11を基準とした相対的な位置である。
【0031】
図3A-3Cを用いて、角度調節機構71の具体的な構成を説明する。なお図3A-3Cは、角度調節機構71の構成を説明するための、角度調節機構71及びその周辺の模式的な図である。そのため、角度調節機構71の説明に必ずしも必要でない部分(例えば支持部15)を省略するなど、図1,2の形状とは厳密には一致しない箇所がある。
【0032】
図3Aに示されるように、角度調節機構71は、取付部11に設けられる連結柱72,回転軸73,突起74a及び突起74bと、延出部13に設けられる丸孔75及び角孔76と、を備える。
【0033】
連結柱72は、第2壁部21bの上方から延び出す柱状の部材である。回転軸73は、連結柱72の左右両側面から左右方向外側に突出する円柱である。突起74a,74bは、連結柱72の左右両側面に形成される、先端ほど細く形成された突起であり、互いに離れた位置に形成される。丸孔75は、側板51に形成された貫通孔であり、回転軸73が挿入可能な大きさである。角孔76は、側板51に形成された貫通孔であり、突起74a,74bが挿入可能な大きさである。
【0034】
図3B-3Cに示されるように、丸孔75に回転軸73が挿入された状態で、延出部13は、回転軸73を中心として回転変位可能となる。図3Bは、延出部13が第1位置のときを示しており、角孔76には突起74aが挿入される。図3Cは、延出部13が第2位置のときを示しており、角孔76には突起74bが挿入される。このように、突起74a,74bと角孔76により、延出部13を第1位置及び第2位置のいずれかに係止させることができる。
【0035】
[1-4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態の鳥害防止器1は、延出部13を第2位置にすることで、忌避線3が架空線の真上に位置するように鳥害防止器1を架空線5に取り付ける際に、図4に示されるように、操作部材41の回転軸が架空線の真下以外の方向を向くこととなる。そのため、より簡便に架空線の手前から操作部材41の操作を行うことができるため、鳥害防止器1の取り付けの作業性を向上させることができる。なお、ここでいう手前とは、作業者から見て架空線が前方で左右方向に配置される場合において、作業者側という意味である。
【0036】
(1b)鳥害防止器1では、延出部13の位置を第1位置と第2位置とに変更可能であり、鳥害防止器1が取り付けられる架空線の環境にて操作の行い易い位置に調整することができる。なお、第2位置のときの回転軸41aと直線83の角度は、10°以上としてもよい。より好ましくは、15°以上である。また、90°以下としてもよい。
【0037】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0038】
本実施形態の鳥害防止器101は、図5に示されるように、第1実施形態の角度調節機構71に相当する機構を有しておらず、その結果、延出部113は取付部111に対して移動することができない。一方で、延出部113は、上述した図2Bに示される第2位置の延出部13と同様に、回転軸41aが上記直線83に対して交差するように、傾斜した角度で延び出している。
【0039】
また鳥害防止器101は、鳥害防止器101の重心位置121と、取付部111により保持される架空線5の中心位置82と、忌避線位置81と、が直線状に並ぶように構成されている。つまり、重心位置121は、直線83上に位置する。
【0040】
[2-2.効果]
本実施形態の鳥害防止器101は、上記(1a)と同様の効果を奏することができ、さらに、以下の効果を奏する。
【0041】
(2a)鳥害防止器101は、上述したように重心が設定されているため、鳥害防止器101の取り付け作業時に忌避線が架空線の真上に配置されやすくなり、作業性の向上を図ることができる。なお、重心位置121は、実質的に忌避線位置81及び中心位置82と直線状に並んでいれば、厳密な位置が上記直線83から少し外れていてもよい。ここでいう実質的とは、取付作業をする場合に、荷重や制限を与えなければ延出部113が上方を向き、かつ、操作部材41が架空線5の真下から離れる程度を意味する。
【0042】
[3.第3実施形態]
[3-1.第1実施形態との相違点]
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0043】
図6A-6Bに示される本実施形態の鳥害防止器201は、第1実施形態の鳥害防止器1の特徴に加えて、さらに、自在継手202を備えている。そして、自在継手202により、操作部材241の位置、言い換えると、操作部材241の回転操作における回転軸の角度が変更可能に構成されている。自在継手202は、例えば、いわゆるボールジョイントを用いてもよい。
【0044】
操作部材241は、少なくとも、図6Aに示される第1位置、及び、図6Bに示される第2位置、に移動可能に構成されている。操作部材241の第1位置及び第2位置は、取付部211を基準とした相対的な位置である
操作部材241が第1位置にあるとき、回転軸41aは直線83と平行であり、角度を有していない。一方、操作部材241が第2位置にあるとき、回転軸41aは直線83と交差する位置関係となる。
【0045】
[3-2.効果]
本実施形態の鳥害防止器201は、上記(1a)と同様の効果を奏することができ、さらに、以下の効果を奏する。
【0046】
(3a)鳥害防止器201は、操作部材241の角度を変更することができるため、鳥害防止器201が取り付けられる架空線の環境にて操作の行い易い位置に操作部材241の位置を変更することができる。
【0047】
[4.その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0048】
(4a)上記各実施形態にて例示した鳥害防止器は、具体的な実施形態を示す例に過ぎず、取付部の架空線に取り付けるための具体的な構造、延出部の形状、支持部の具体的な構造などは何ら限定されることなく、様々な構成とすることができる。
【0049】
(4b)上記第1実施形態では、角度調節機構71として、延出部13が取付部11に対して異なる2つの位置で係止される構成を例示した。しかしながら、延出部13は、忌避線3か所以上の異なる位置において係止される構成であってもよい。具体的には、突起の数が3以上であってもよい。また、図7に示されるように、側板351に突起と係合する多数の溝を含む係止部91が形成されており、延出部313の取付部11に対する傾斜角度を多段階に変更可能に構成されていてもよい。また、突起が延出部側に設けられ、突起と係合する溝が取付部の連結柱側に設けられていてもよい。
【0050】
また、第1実施形態では、延出部13が第1位置にあるときは、回転軸41aが直線83と平行であった。しかしながら、第1位置とは、延出部13が第1位置にあるとき、延出部13が第2位置にあるときと比較して、回転軸41aと直線83との角度が小さくなる位置であればよく、回転軸41aが直線83と平行でなくてもよい。
【0051】
(4c)上記第2実施形態では、鳥害防止器101の重心位置121と、取付部111により保持される架空線5の中心位置82と、忌避線位置81と、が直線状に並ぶ構成を例示した。しかしながら、重心の位置は、上述した位置でなくてもよい。また、鳥害防止器101は、重心位置121を変更可能に構成されていてもよい。例えばウエイトを着脱可能に構成されていてもよいし、鳥害防止器101全体の中の位置を変更できる部分を設けてもよい。
【0052】
(4d)上記第3実施形態では、自在継手202によって、操作部材241の傾斜角度を任意に変更可能である構成を例示した。しかしながら、操作部材241の傾斜角度は、自在継手202以外の構成によって変更可能に構成されていてもよい。また鳥害防止器201は、角度調節機構71を備えていなくてもよい。
【0053】
また、第3実施形態では、操作部材241が第1位置にあるときは、回転軸41aが直線83と平行であった。しかしながら、第1位置とは、操作部材241が第1位置にあるとき、操作部材241が第2位置にあるときと比較して、回転軸41aと直線83との角度が小さくなる位置であればよく、回転軸41aが直線83と平行でなくてもよい。
【0054】
(4e)本開示の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,101,201…鳥害防止器、3…忌避線、5…架空線、11,111,211…取付部、13,113,313…延出部、15…支持部、21…収容部、21a…第1壁部、21b…第2壁部、23…蓋部、25…移動部、27…差入空間、31…突起、33…固定用孔、35…蓋固定部、37…取付用円盤、41,241…操作部材、43…突出部、51,351…側板、53…固定具、55…溝部、57…回転軸、59a,59b…忌避線係止溝、61…縦板、63…保持穴、71…角度調節機構、72…連結柱、73…回転軸、74a,74b…突起、75…丸孔、76…角孔、83…直線、91…係止部、202…自在継手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7