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  • 特許-レッスン動画表示装置 図1
  • 特許-レッスン動画表示装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】レッスン動画表示装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
A63B69/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021153051
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023044929
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519423482
【氏名又は名称】第一ゴルフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】入江 道弘
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033616(JP,A)
【文献】特開平10-274918(JP,A)
【文献】特開平04-192678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
G09B 5/00- 5/14
A61H 1/00- 1/02
H04N 1/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の動画の内、左右反転を必要とする区間の始まり位置に反転マークを、また左右反転を必要としない区間の始まり位置に通常マークを埋め込んだ、指導者の模範動画をデータ化した模範動画データと、
前記模範動画データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段にある模範動画データを読み出して、当該模範動画データに埋め込まれている前記反転マークと、前記通常マークとよりなる姿勢マークを検出して当該動画データの送り先を変える姿勢マーク検出手段と、
前記姿勢マーク検出手段が反転マークを検出したとき、模範動画データから反転動画を生成する反転動画生成手段と、
前記姿勢マーク検出手段が通常マークを検出したとき、前記模範動画データから通常の動画を生成する通常動画生成手段と、
前記通常動画生成手段から得られた動画に、前記反転動画生成手段から得られた反転動画を本来の順番の位置に嵌め込んで、一連の動画に復元する表示動画生成手段と、
前記表示動画生成手段で生成された一連の動画を表示する表示手段とを備えた、
ことを特徴とするレッスン動画表示装置。
【請求項2】
前記左右反転を必要とする区間が、指導者と受講者が向き合う区間である請求項1に記載のレッスン動画表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツのレッスン動画の表示をする表示装置に関し、特に、反転を伴う動画の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツのレッスンを指導者から直接教授することは従来から広く実施されており、当然のことながら、それなりの効果が得られる。ユーチューブ等ではゴルフのレッスン動画が多く掲載され、一般に利用されている。
【0003】
例えば特許文献1では、ハードディスクに特定の運動をする生徒の画像が収録され、また、模範動画がDVDに収録された状態で、それぞれの動画を、対応するウィンドウで表示するようになっている。模範動画と、生徒の動画が同時に見ることができるので、その違いが判るとするものである。
【0004】
また、特許文献2では指導者の模範動画と、受講者の練習動画を同時に単一ディスプレーに表示して、両者の相違点を受講者に知らしめる構成が開示されている。
【0005】
更に、指導者動画を一方的に表示して、指導者の音声とともに、受講者に視聴させることは、上記のような特許出願を引用するまでもなく、ユーチューブの多数紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-231045号公報
【文献】特開平07-144037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーチューブ等に上げられたいずれの動画も指導者が一方的に「模範を見せる」形態の動画となっている。従って、受講者にとっては自分のプレーのどこに欠点があるのか十分に理解できないことがある。そこで、上記各引用文献の開示するように、指導者の動画と、受講者の動画を単一のディスプレーで表示することがなされるわけである。
【0008】
しかしながら、特定の競技での指導者の模範動画を受講者に見せる場合、まずは指導者が受講者と向き合った状態で、指導者が模範動作をし、補助的に、指導者の左右や背後の画像も見せると更に分かりやすいことになる。
【0009】
ところが、ゴルフやテニス、野球といったクラブやラケットを振る競技では、指導者が受講者と向き合った状態での動作は、クラブやラケットの動きは指導者と、受講者で反対方向になり、受講者に戸惑いか生じることがある。
【0010】
本発明は、上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、指導者と受講者が向き合った状態でも、模範動画が、受講者動作と同じ動きを示すレッスン動画表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の模範動画データ、記憶手段、反転動画生成手段、通常動画生成手段、表示動画生成手段、表示手段を備えている。
【0012】
指導者の模範動画をデータ化した模範動画データには、一連の動画の内、左右反転を必要とする区間の始まり位置に反転マークを、左右反転を必要としない区間の始まり位置に通常マークを埋め込んでおく。前記模範動画データは記憶手段に記憶され、当該記憶手段から読み出されて、以下の表示に供する。
【0013】
姿勢マーク検出手段は、前記記憶手段にある模範動画データを読み出して、前記反転マークまたは通常マークを検出して当該動画データの送り先を変える。すなわち、前記姿勢マーク検出手段が反転マークを検出したとき、反転動画生成手段は模範動画データから左右が反転した反転動画を生成する。
【0014】
前記姿勢マーク検出手段が通常マークを検出したとき、通常動画生成手段は、前記模範動画データから通常の動画を生成する。
【0015】
表示動画生成手段では、前記反転動画と通常動画の同期をとって一連の表示動画を得て表示手段で表示する。
【0016】
前記模範動画の内、指導者と受講者が向き合う区間が、前記左右反転を必要とする区間となる。
【発明の効果】
【0017】
右ききの受講者であれば、ゴルフクラブ、テニスラケット、バット等は、右から左に振ることになる。模範動画を加工しないときは、指導者動画での前記ゴルフクラブ等の動きは左から右となり、指導者に向き合っている受講者とは反対の動きとなる。前記構成により、指導者動画が左右反転されると、受講者が、ゴルフクラブを振る場合と同じ右から左となる。これによって、受講者は指導者と同じ動きをすれば足り、いわゆるミラーニューロン効果を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の機能ブロック図である。
図2】本発明の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明の機能ブロック図を示すものである。
【0020】
先ず、指導者の模範プレーを収録して、必要な部分を繋ぎ合わせるように編集して、一連の模範動画データとする。この模範動画データを再生した一連の動画を表示装置の前に立つ受講者が見て、受講者は指導者の模範画像と同じ動きをすることによって、指導者と同じ技術を身につけることになる。ところが、前記受講者が表示装置の前に立っているとき、指導者と受講者が互いに正面を向いて向き合う場面が所定時間継続することがある。このときは、指導者(右きき)がゴルフクラブ等を振る方向は、受講者の左から右であるのに対して、受講者のゴルフクラブ等を振る方向は、右から左となる。
【0021】
そこで、当該動画データを編集時に、指導者と受講者が互いに正面を向いて向き合う場面の始まり位置に左右の姿を反転させる指示である反転マークを前記画像データに埋め込んでおく。また、前記指導者と受講者向き合う場面ではない場面のように、画像の左右を反転させる必要のない区間の始まり位置には、通常の動画(左右を反転しない動画)を意味する通常マークを埋め込んでおく。
【0022】
このように反転マークと通常マークを埋め込んだ模範動画データは、記憶手段10に記憶される。
【0023】
受講者がレッスンを受けようとして、本願発明のレッスン動画表示装置の開始ボタンを押すと、前記記憶手段10から前記模範動画データが読みだされる。読み出された模範動画データの先頭には必ず通常マークか反転マークのいずれかが埋め込まれているので、姿勢マーク検出手段20は、上記のいずれが埋め込まれているかが検出される。
【0024】
通常マークが埋め込まれている場合は、通常動画生成手段30に前記動画データが送り込まれ、ここで通常動画(左右反転しない動画)が生成されて、復元手段40に送出される。
【0025】
一方、姿勢マーク検出手段20が、反転マークを検出したとき、前記記憶手段10から読み出された模範動画データは反転動画生成手段50に送られ、ここで左右反転された動画を生成して、前記復元手段40に送る。
【0026】
更に、反転マーク検出手段20は、一旦反転マークを検出した後に、通常マークを検出したとき、反転動画生成手段50に送っていた動画データを通常動画生成手段30に送るように切り替える。これによって、再び左右反転しない正常な状態の動画が復元手段50に送られることになる。
【0027】
前記復元手段40では、前記通常動画生成手段30から得られた動画に、前記反転動画生成手段50から得られた反転動画を本来の順番の位置に嵌め込んで一連の動画に復元し、表示手段60に送ることになる。表示手段60では前記一連の動画を表示することになるが、このとき指導者と受講者が向かい合う場面では、指導者の姿や動きが左右逆に表示されることになる。
【0028】
ゴルフクラブ等の運動具を体の前で振る場合、通常の状態であれば、指導者の振る方向と受講者の振る方向は逆になるが、上記のように、指導者の姿を左右反転させておくと指導者の振る方向と受講者の振る方向が同じになり、受講者の理解が得られやすいことになる。
【0029】
本願発明の前記模範動画データは受講者のスマートフォンの記憶手段に落とし込むことができる。図2に示すように、受講者は当該模範動画データを落とし込んだスマートフォン1を例えばゴルフ練習場の所定の位置に置き、当該スマートフォン1の画面を見て、指導者の動きをまねることによって、レッスンを受けることになる。図2では、右効きの人のテイクバックの状態を左右反転して表示しているので、受講者の動きと同じになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上説明したように本発明は、指導者と受講者が正面で向き合ったとき、ゴルフクラブ等の運動用具の動きの方向が、指導者と受講者で同じになるので、いわゆるミラーニューロン効果を上げることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 記憶手段
20 姿勢マーク検出手段
30 通常動画生成手段
40 復元手段
50 反転動画生成手段
60 表示手段
図1
図2