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特許7286190水溶性クルクミン液およびその調製方法と応用
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  • 特許-水溶性クルクミン液およびその調製方法と応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】水溶性クルクミン液およびその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20230529BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20230529BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230529BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230529BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230529BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20230529BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230529BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20230529BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230529BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20230529BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230529BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/12
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/40
A61K47/26
A61K9/50
A61P29/00
A61P39/06
A61P35/00
A61P9/00
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021158139
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2022171527
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202110484524.2
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521424024
【氏名又は名称】ヘナン・ジョンダ・ヘンユアン・バイオテクノロジー・ストック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HENAN ZHONGDA HENGYUAN BIOTECHNOLOGY STOCK CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】EAST OF JINGER ROAD, NORTH OF WEIER ROAD, LINYING INDUSTRIAL PARK, LUOHE CITY, HENAN, CHINA, 462600
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】リ,ホンロン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,シャオソン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】リ,リンジェン
(72)【発明者】
【氏名】シ,コンイン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ユリャン
(72)【発明者】
【氏名】イー,チュンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヤチョン
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-516764(JP,A)
【文献】国際公開第2020/030612(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105768071(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105054076(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107303005(CN,A)
【文献】特開2009-195198(JP,A)
【文献】特開2009-263638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/105
A23L 5/00
A61K
A61P
B01J 13/02
A23P 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性クルクミン液を調製する方法であって、
A)クルクミン、ビタミンCおよびパルミチン酸アスコルビルを水性エタノール溶液に溶解し、減圧下でエタノールを蒸発させ、真空乾燥して、クルクミン-ビタミンC-パルミチン酸アスコルビル共結晶を得るステップ、および
B)前記クルクミン-ビタミンC-パルミチン酸アスコルビル共結晶と、乳化助剤を含む水溶性コロイド溶液とを真空下で高速乳化し、2段階の湿式粉砕、均質化、および電位調整を順次行い、前記水溶性クルクミン液を得るステップ
を含む、方法。
【請求項2】
クルクミン、ビタミンCおよびパルミチン酸アスコルビルの質量比が、100:(0.001~30):(0.001~30)であり、ステップA)において、クルクミン、ビタミンCおよびパルミチン酸アスコルビル水性エタノール溶液0~60℃で溶解し、エタノールを0.05MPa以上大気圧未満の圧力下で、25℃~100℃で蒸発させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶性コロイド溶液において、前記乳化助剤が、ラクチトール、グリセリン、プロピレングリコール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、またはそれらの組み合わせであり、
前記水溶性コロイド溶液が、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、アラビアガム、ガティガム、キサンタンガム、プルラン、マルトデキストリン、微結晶セルロース、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される水溶性コロイドを含み、そして
前記水溶性コロイド溶液が、1重量%~90重量%の乳化助剤濃度、および1重量%~50重量%の水溶性コロイド濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2段階の湿式粉砕が、第1粉砕および第2粉砕を含み、前記第1粉砕が、直径0.6mm~0.8mmのジルコニアビーズを使用し、500rpm~3500rpmの速度で1~10時間行われ、前記第2粉砕が、直径0.2mm~0.3mmのジルコニアビーズを使用し、500rpm~3500rpmの速度で1~10時間行われ、
前記均質化が、90MPa~200MPa、好ましくは100MPa~170MPaの条件下で行われ、
前記電位調整が、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるゼータ電位調整剤を使用し、コロイド乳化物の電位が、-10mv~-60mv、好ましくは-30mv~-50mvに調整され、そして
前記水溶性クルクミン液が、0.01重量%~70重量%のクルクミン-ビタミンC-パルミチン酸アスコルビル共結晶濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月30日に出願された中国特許出願第202110484524.2号の優先権を主張するものであり、この特許出願は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、食品技術、および水溶性クルクミン液、ならびにその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0003】
クルクミンエキスは、多年草のショウガ科のウコン(Curcuma longa L.)の乾燥した根から抽出、精製、結晶化、乾燥して得られる。この抽出物の主成分は、クルクミン、デメトキシクルクミン、およびビスデメトキシクルクミンである。クルクミンは良好な着色力を有する。調味料の原料の一つとして、それは、中国、南アジア、および東南アジアで長い間消費されてきた。クルクミンは、エタノール、酢酸、およびプロピレングリコールには溶けやすく、水には基本的に溶けない。クルクミンは、耐熱性は高いが、光に弱く、光環境下では劣化・退色しやすく、pHに敏感で、酸性条件下では結晶化・沈殿しやすい。そのため、クルクミンの応用は大幅に限定される。
【0004】
また、伝統的な漢方薬として、クルクミンは優れた健康効果を有する。現代の医学研究では、クルクミンが優れた抗炎症作用、抗酸化作用、フリーラジカル捕捉能、腫瘍抑制作用、心血管保護作用および他の薬理作用を有することが確認されている。しかし、実用上は、クルクミンは水溶性が低く、体内にうまく吸収されないため、その優れた生理機能が効果的に発揮できない。そのため、水へのクルクミンの溶解性を向上させ、吸収性を高めることが求められている。
【0005】
クルクミンの溶解性を向上させる方法、および様々な要件を有するクルクミン調製物の調製について、特許が存在する。例えば、CN104922105Aは、クルクミンを乳化させるためにTweenおよびポリグリセロールエステルなどの合成乳化剤を用いるクルクミン調製物の調製方法を開示している。CN109846865Aは、クルクミン、リン脂質、シクロデキストリンを溶解するためにn-ヘキサン、エタノール、酢酸エチル溶媒を用いる、クルクミン調製物およびその調製方法を開示している。多量の有機溶媒を使用することで安全性のリスクが高まり、後続製品に溶媒が残留するので、クルクミン調製物の品質、安全性、および応用性が保証されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらに鑑み、本発明が解決しようとする技術的課題は、水溶性クルクミン液およびその調製方法と応用を提供することである。本発明により提供される調製方法は、合成乳化剤を必要とせず、調製プロセスにおいて無溶媒である。得られたクルクミン液は、水溶性に優れ、耐光性が大幅に改善され、耐酸沈殿性(acid precipitation resistance)も大幅に改善されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、本発明は、水溶性クルクミン液を調製する方法を提供する。この方法は、
A)クルクミン、ビタミンCおよびパルミチン酸アスコルビルを水性エタノール溶液に溶解し、減圧下でエタノールを蒸発させ、真空乾燥して、クルクミン-ビタミンC(VC)-パルミチン酸アスコルビル共結晶を得るステップ、および
B)クルクミン-ビタミンC-パルミチン酸アスコルビル共結晶と、乳化助剤を含む水溶性コロイド溶液とを真空下で高速乳化し、2段階の湿式粉砕、均質化、および電位調整を順次行い、水溶性クルクミン液を得るステップ
を含む。
【0008】
別の実施形態では、クルクミン、ビタミンCおよびパルミチン酸アスコルビルの質量比は、100:(0.001~30):(0.001~30)である。
【0009】
別の実施形態では、ステップA)において、クルクミン、ビタミンC、パルミチン酸アスコルビル、およびエタノール溶解物を0~60℃で加熱し、エタノールを0.05MPa~1.0MPaの圧力下で、25℃~100℃で蒸発させる。
【0010】
別の実施形態では、水溶性コロイド溶液において、前記乳化助剤は、ラクチトール、グリセリン、プロピレングリコール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、またはそれらの組み合わせである。前記水溶性コロイド溶液は、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、アラビアガム、ガティガム、キサンタンガム、プルラン、マルトデキストリン、微結晶セルロース、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される水溶性コロイドを含む。前記水溶性コロイド溶液は、1重量%~90重量%の乳化助剤濃度および1重量%~50重量%の水溶性コロイド濃度を有する。
【0011】
別の実施形態では、2段階の湿式粉砕は、第1粉砕および第2粉砕を含み、前記第1粉砕は、直径0.6mm~0.8mmのジルコニアビーズを使用し、500rpm~3500rpmの速度で1~10時間行われ、前記第2粉砕は、直径0.2mm~0.3mmのジルコニアビーズを使用し、500rpm~3500rpmの速度で1~10時間行われる。
【0012】
別の実施形態では、前記均質化は、90MPa~200MPa、好ましくは100MPa~170MPaで行われる。
【0013】
別の実施形態では、前記電位調整は、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるゼータ電位調整剤を使用し、コロイド乳化物の電位は、-10mv~-60mv、好ましくは-30mv~-50mvに調整される。
【0014】
別の実施形態では、前記水溶性クルクミン液は、0.01重量%~70重量%のクルクミン-ビタミンC-パルミチン酸アスコルビル共結晶濃度を有する。
【0015】
別の実施形態では、本出願は、本出願の方法によって調製される水溶性クルクミン液を提供する。
【0016】
別の実施形態では、本出願は、本出願の方法によって調製される水溶性クルクミン液の食品への応用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1の水溶性クルクミン液の水への溶解性を示す写真である。
図2】比較例1のクルクミン原料の水への溶解性を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
本発明は、以下の有益な効果を有する。
1.本発明により、品質が均一で乳化状態が安定した水溶性クルクミン液が得られる。この製品は、優れた水溶性を有し、耐光性および耐酸沈殿性が著しく向上している。
2.本発明は、VCと、パルミチン酸アスコルビルとクルクミンとの共結晶を形成し、クルクミンを効果的に保護し、クルクミンの酸化劣化を低減することができる。同時に、クルクミン-VC-パルミチン酸アスコルビル共結晶は、クルクミン、コロイド、および乳化剤の会合を促進して、クルクミンの水溶性を改善させることができる。
3.本発明は、合成乳化剤を使用せず、調製プロセスにおいて無溶媒のターメリック調製物の調製方法を開示する。得られた製品は、品質の安全性および応用の完全性の問題を抱えておらず、調製プロセスがより安全であり、製品の工業的生産に適している。
4.本発明では、真空乳化技術、二段湿式粉砕、および超高圧均質化技術を効果的に組み合わせて使用することで、クルクミンの粒子径を大幅に減少させ、クルクミンの水溶性を改善させることができる。
【実施例
【0019】
本発明をさらに理解するために、本発明によって提供される液状水溶性クルクミンおよびその調製方法が、実施例と併せて以下に説明される。なお、本発明の保護範囲は、以下の実施例によって限定されない。
【0020】
実施例1
93%クルクミン120gを秤量し、攪拌しながら95%エタノール1200gに溶解し、VC1.2gおよびパルミチン酸アスコルビル1.2gをゆっくりと加え、35℃~40℃までゆっくりと加熱し、完全に溶解するまでゆっくりと攪拌した。混合物を、温度が65℃~75℃になるまで加熱し、0.08MPaの真空下でエタノールを蒸発させて、暗黄色の粘性物質を得た。粘性物質を真空乾燥炉に移し、0.09MPa、75℃~80℃の環境で15時間乾燥させた。溶媒残留物が50ppm以下であることが検出され、VC-パルミチン酸アスコルビル-クルクミン共結晶が得られた。
【0021】
アラビアガム110g、α-シクロデキストリン10g、グリセリン200gを秤量し、それらを脱イオン水216gに溶解して、濃度60重量%の水溶性コロイド溶液Aを調製した。VC-パルミチン酸アスコルビル-クルクミン共結晶65.5gを秤量し、水溶性コロイド溶液Aに加え、物質を35℃~40℃に保ち、0.085MPaの乳化タンク真空下で60分間乳化した。クルクミンは均一に分散され、流動性は良好であった。クルクミンエマルションBが得られた。
【0022】
クルクミンエマルションBを湿式粉砕装置に投入し、1回目の粉砕を行う。粉砕媒体は0.6mm~0.8mmのジルコニアビーズであった。1300rpmで4時間、粒子径D90が1.0um未満になるまで粉砕した。その後、2回目の粉砕を行った。粉砕媒体は0.2mm~0.3mmのジルコニアビーズであった。粒子径D90が0.3um以下になるまで1000rpmで4時間粉砕を行い、クルクミンエマルションCを得た。このクルクミンエマルションCを130MPaの圧力下で超高圧均質化にかけ、均一で安定したクルクミンエマルションDを得た。脱イオン水で5%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を調製し、クルクミンエマルションDのゼータ電位を-38mvに調整し、水溶性クルクミン液を得た。
【0023】
試験は、水溶性クルクミン液が水への優れた溶解性を有することを示した。クルクミンの含有量は10.2%であり、D90粒子径は278nmであった。
【0024】
図1は、実施例1の水溶性クルクミン液の水への溶解性を示している。
【0025】
実施例2
93%クルクミン150gを秤量し、撹拌下で95%エタノール1700gに溶解させ、VC1.8gとパルミチン酸アスコルビル2.0gをゆっくりと加え、混合物を35℃~40℃までゆっくりと加熱し、完全に溶解するまでゆっくりと撹拌した。混合物を、温度が65℃~75℃になるまで加熱し、0.08MPaの真空下でエタノールを蒸発させて、濃い黄色の粘性物質を得た。この粘性物質を真空乾燥炉に移し、0.09MPa、75℃~80℃の環境下で13時間乾燥させた。溶媒残留物が50ppm以下であることが検出され、VC-パルミチン酸アスコルビル-クルクミン共結晶を得た。
【0026】
オクテニルコハク酸デンプンナトリウム80g、ガティガム10g、ソルビトール50g、グリセリン200gを秤量し、それらを286gの脱イオン水に溶解して、濃度54重量%の水溶性コロイド溶液Aを調製した。VC-パルミチン酸アスコルビル-クルクミン共結晶37gを秤量し、これを水溶性コロイド溶液Aに添加し、物質を35℃~40℃に保ち、0.085MPaの乳化タンク真空下で45分間乳化した。クルクミンは均一に分散され、流動性も良好であった。クルクミンエマルションBを得た。
【0027】
クルクミンエマルションBを湿式粉砕装置に投入し、1回目の粉砕を行う。粉砕媒体は0.6mm~0.8mmのジルコニアビーズであった。1200rpmで5時間、粒子径D90が1.0um未満になるまで粉砕した。その後、2回目の粉砕を行った。粉砕媒体は0.2mm~0.3mmのジルコニアビーズであった。粒子径D90が0.3um以下になるまで1000rpmで2.5時間粉砕を行い、クルクミンエマルションCを得た。このクルクミンエマルションCを140MPaの圧力下で超高圧均質化にかけ、均一で安定したクルクミンエマルションDを得た。脱イオン水で5%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を調製し、クルクミンエマルションDのゼータ電位を-38mvに調整し、水溶性クルクミン液を得た。
【0028】
この試験は、水溶性クルクミン液が水への優れた溶解性を有することを示した。クルクミンの含有量は5.2%であり、D90粒子径は262nmであった。
【0029】
比較例1
クルクミン原料
クルクミン原料を水に分散させ、その結果を図2に示す。図2は、水へのクルクミン原料の溶解性を示す写真である。図2から、クルクミンは水に溶けないことがわかる。
【0030】
比較例2
クルクミンエマルションDのゼータ電位調整を行わなかった以外は、実施例1と同じプロセスで調製を行った。そのプロセスおよび結果は以下の通りである。
【0031】
93%クルクミン120gを秤量し、撹拌下で95%エタノール1200gに溶解させ、VC1.2gおよびパルミチン酸アスコルビル1.2gをゆっくりと加え、混合物を35℃~40℃までゆっくりと加熱し、完全に溶解するまでゆっくりと撹拌した。混合物を、温度が65℃~75℃になるまで加熱し、0.08MPaの真空下でエタノールを蒸発させて、濃い黄色の粘性物質を得た。この粘性物質を真空乾燥炉に移し、0.09MPa、75℃~80℃の環境下で15時間乾燥させた。溶媒残留物が50ppm以下であることが検出され、VC-パルミチン酸アスコルビル-クルクミン共結晶を得た。
【0032】
アラビアガム110g、α-シクロデキストリン10g、グリセリン200gを秤量し、それらを脱イオン水216gに溶解して、濃度60重量%の水溶性コロイド溶液Aを調製した。VC-パルミチン酸アスコルビル-クルクミン共結晶を65.5g秤量し、それを水溶性コロイド溶液Aに添加し、物質を35℃~40℃に保ち、0.085MPaの乳化タンク真空下で60分間乳化した。クルクミンは均一に分散され、流動性は良好であった。クルクミンエマルションBが得られた。
【0033】
クルクミンエマルションBを湿式粉砕装置に投入し、1回目の粉砕を行う。粉砕媒体は0.6mm~0.8mmのジルコニアビーズであった。1300rpmで4時間、粒子径D90が1.0um未満になるまで粉砕した。その後、2回目の粉砕を行った。粉砕媒体は0.2mm~0.3mmのジルコニアビーズであった。粒子径D90が0.3um以下になるまで1000rpmで4時間粉砕を行い、クルクミンエマルションCを得た。このクルクミンエマルションCを130MPaの圧力下で超高圧均質化にかけ、均一で安定したクルクミンエマルションDを得た。
【0034】
試験後、クルクミンエマルションDは優れた水溶性を有し、クルクミン含有量は10.2%、D90粒子径は312nmであった。サンプルを30℃の環境下に7日間置いたところ、クルクミンエマルションDには層化の兆候が見られた。上部および下部のクルクミン含有量および粒子径が、表1に示されている。
表1
【表1】
【0035】
実施例3
1.光安定性試験
100ppmの溶液を調製した。
実施例1の水溶性クルクミン液を、pH値4.0~4.5の脱イオン水に溶解し、100pmの溶液を調製した。実施例2の水溶性クルクミン液を、pH4.0~4.5の脱イオン水に溶解し、200pmの溶液を調製した。この溶液をペットボトルに入れて、環境シミュレーションボックス(37℃、照度21000ルクス、湿度75%)に入れ、7日間照射した。24時間ごとに溶液の吸光度値を測定し、吸光度値の変化率を算出した。その結果を表2および表3に示す。
表2 実施例1の光安定性
【表2】
表3 実施例2の光安定性
【表3】
実施例2の水溶性クルクミン液は、総損失率が48.78%であった
【0036】
2.酸安定性試験
pH値が3.2~3.5の脱イオン水を用いて2000pmの溶液を調製し、300mLのペットボトルに入れた。この溶液を室温で保存し、48時間ごとのペットボトルの底での沈殿を記録した。その結果を表4に示す。
表4 実施例1~2および比較例1の酸安定性
【表4】
注:「+」は沈殿を示し、「++」は沈殿が多く、「+++」は沈殿が最も多いことを示す。
【0037】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎない。当業者にとっては、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良や修正が可能であり、これらの改良および修正も、本発明の保護範囲であるとみなされるべきである。
図1
図2