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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230529BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G09F9/00 313
G09F9/00 366A
G02F1/1333
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019222957
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092652
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】春木 俊男
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-316847(JP,A)
【文献】特開2014-052447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0033442(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0157411(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0057703(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が操作部とされた透光性の前面パネルと、前記前面パネルの後方に固定された表示パネルと、前記表示パネルが設けられていない支持領域で前記前面パネルを後方から支持する支持部材と、前記操作部が使用者の指で操作されたことを検知する操作検知部と、が設けられた表示装置において、
前記支持領域に、前記前面パネルと前記支持部材との間に介在する弾性部材が設けられ、
前記弾性部材の一部に、前記操作部が後方へ押されたときに前記操作部に対して、前記操作部以外の前記前面パネルに対してよりも大きい圧縮抵抗力を与える押圧抵抗部が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記押圧抵抗部となる前記弾性部材が存在している領域と、前記押圧抵抗部以外の前記弾性部材が存在している領域とで、前記前面パネルを後方へ同じ力で押したときに、前記押圧抵抗部となる前記弾性部材から前記前面パネルに与えられる前記圧縮抵抗力は、前記押圧抵抗部以外の前記弾性部材から前面パネルに与えられる前記圧縮抵抗力よりも大きい請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記弾性部材のうちの、前後方向と直交する面内で前記操作部に最も接近している部分が、前記押圧抵抗部である請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記弾性部材のうちの、前記操作部に後方から重なる部分が、前記押圧抵抗部である請求項1または2記載の表示装置。
【請求項5】
前記前面パネルが、前記表示パネルが固定された表示領域と、前記表示領域から延長している延長部とを有し、前記支持領域では、前記延長部が前記支持部材に支持されており、
前記延長部に、前記操作部が設けられている請求項3または4記載の表示装置。
【請求項6】
前記前面パネルが、前記表示パネルが固定された表示領域と、前記表示領域から延長している延長部とを有し、前記支持領域では、前記延長部が前記支持部材に支持されており、
前記表示領域に、前記操作部が設けられている請求項3記載の表示装置。
【請求項7】
前記前面パネルが、前記表示パネルが固定された表示領域と、前記表示領域から延長している延長部とを有し、前記支持領域では、前記延長部が前記支持部材に支持されており、
前記延長部に前記操作部が設けられ、前記押圧抵抗部が、前記操作部を少なくとも3方向から囲う位置に設けられている請求項3記載の表示装置。
【請求項8】
前記押圧抵抗部となる前記弾性部材を挟んでいる前記前面パネルと前記支持部材との距離が、前記押圧抵抗部以外の前記弾性部材を挟んでいる前記前面パネルと前記支持部材との距離よりも短い請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記押圧抵抗部となる前記弾性部材の、前記前面パネルと前記支持部材とが接近する方向での圧縮弾性率が、前記押圧抵抗部以外での前記弾性部材の前記圧縮弾性率よりも高い請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記押圧抵抗部となる前記弾性部材の、前記前面パネルと前記支持部材とが対向する方向での厚さ寸法の圧縮率が、前記押圧抵抗部以外での前記弾性部材の前記圧縮率よりも高い請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルが固定された前面パネルが、支持領域において、弾性部材を介して支持部材に支持されている構造の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1と特許文献2に表示装置に関する発明が記載されている。
特許文献1に記載された表示装置は、液晶パネルの外周4辺の前方にフレームが設けられ、フレームの背面側と表示パネルとの間に、前面弾性体が設けられ、表示パネルの背面とパネルホルダとの間に後面弾性体が設けられている。実施例1の表示装置では、表示パネルの上下辺に、中央部の前面弾性体と、両端部の前面弾性体とが設けられており、中央部の前面弾性体の厚みよりも、両端部の前面弾性体の厚みの方が薄くなっている。
【0003】
使用環境の変化により表示パネルに反りが生じると、表示パネルは、長手方向の両端部およびその近傍が大きく変位する。特許文献1に記載された表示装置は、表示パネルに反りが発生したときに、中央部の前面弾性体が表示パネルに与える押圧力よりも、両端部の前面弾性体が表示パネルに与える押圧力の方が小さくなる。これにより、前面弾性体から表示パネルの両端部に、反りに起因する過剰な押圧力が作用するのを抑制でき、両端部に表示ムラが発生しにくくなる、というものである。
【0004】
特許文献2に記載された表示装置は、表示パネルの前方にフレームが設けられ、表示パネルの4辺の前面とフレームとの間に前面弾性体が設けられ、表示パネルの背面とパネルホルダとの間に後面弾性体が介在している。また、パネルホルダにパネル支持部が一体に形成されており、表示パネルの下端部の一部がパネル支持部によって下側から支持されている。実施例1の表示装置は、表示パネルの右辺と左辺および上辺では、背面弾性体が各辺に沿って一様に設けられているが、パネル支持部で支持されている表示パネルの下辺では、背面弾性体が一様にではなく間隔を空けて配置されている。
【0005】
特許文献2の表示装置は、使用環境の変化により表示パネルに反りが生じたときに、前面弾性体および背面弾性体から表示パネルに弾性力として保持力が作用するが、前面弾性体および背面弾性体から表示パネルに作用する力が、パネル支持部の近傍において他の部分よりも小さくなる。よって、パネル支持部の近傍において表示パネルに対して過度な応力集中が発生することが抑制され、表示パネルの局所変形が生じにくく、表示ムラの発生も抑制される、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-186317号公報
【文献】特開2016-139126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1と特許文献2に記載された表示装置は、いずれも、表示パネルと、その周囲部分を支持するフレームとの間に弾性体が設けられ、表示パネルの反りが発生したときに、弾性体の変形により、大きな押圧力が表示パネルに作用しないようにし、表示パネルに変形による表示ムラが発生するのを抑制できるようにしている。
【0008】
最近の表示装置では、表示パネルの前方に固定された前面パネルの一部が操作部とされ、この操作部に指が触れたことを検知する静電容量式などの操作検知部が設けられるのが一般的である。この操作検知部に指が触れたときに、指の力で前面パネルが押されると、前面パネルに歪みが与えられ、歪みが表示パネルに伝達されて表示画面に局所的な表示ムラが発生することがある。しかし、特許文献1と特許文献2などに記載されている従来の表示装置では、この操作による局所的な表示ムラを抑制する技術的手段が示されていない。
【0009】
本発明は、表示パネルの前方に固定された前面パネルを操作しようとして指で触れたときに、その圧力による前面パネルの歪みを制限して、表示ムラの発生を抑制できるようにした表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一部が操作部とされた透光性の前面パネルと、前記前面パネルの後方に固定された表示パネルと、前記表示パネルが設けられていない支持領域で前記前面パネルを後方から支持する支持部材と、前記操作部が使用者の指で操作されたことを検知する操作検知部と、が設けられた表示装置において、
前記支持領域に、前記前面パネルと前記支持部材との間に介在する弾性部材が設けられ、
前記弾性部材の一部に、前記操作部が後方へ押されたときに前記操作部に対して、前記操作部以外の前記前面パネルに対してよりも大きい圧縮抵抗力を与える押圧抵抗部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の表示装置は、前記押圧抵抗部となる前記弾性部材が存在している領域と、前記押圧抵抗部以外の前記弾性部材が存在している領域とで、前記前面パネルを後方へ同じ力で押したときに、前記押圧抵抗部となる前記弾性部材から前記前面パネルに与えられる前記圧縮抵抗力が、前記押圧抵抗部以外の前記弾性部材から前面パネルに与えられる前記圧縮抵抗力よりも大きいものである。
【0012】
例えば、本発明の表示装置は、前記弾性部材のうちの、前後方向と直交する面内で前記操作部に最も接近している部分が、前記押圧抵抗部である。
【0013】
あるいは、本発明の表示装置は、前記弾性部材のうちの、前記操作部に後方から重なる部分が、前記押圧抵抗部である。
【0014】
本発明の表示装置は、前記前面パネルが、前記表示パネルが固定された表示領域と、前記表示領域から延長している延長部とを有し、前記支持領域では、前記延長部が前記支持部材に支持されており、
前記延長部に、前記操作部が設けられているものである。
【0015】
または、本発明の表示装置は、前記前面パネルが、前記表示パネルが固定された表示領域と、前記表示領域から延長している延長部とを有し、前記支持領域では、前記延長部が前記支持部材に支持されており、
前記表示領域に、前記操作部が設けられているものである。
【0016】
あるいは、本発明の表示装置は、前記前面パネルが、前記表示パネルが固定された表示領域と、前記表示領域から延長している延長部とを有し、前記支持領域では、前記延長部が前記支持部材に支持されており、
前記延長部に前記操作部が設けられ、前記押圧抵抗部が、前記操作部を少なくとも3方向から囲う位置に設けられているものである。
【0017】
本発明の表示装置は、前記押圧抵抗部となる前記弾性部材を挟んでいる前記前面パネルと前記支持部材との距離が、前記押圧抵抗部以外の前記弾性部材を挟んでいる前記前面パネルと前記支持部材との距離よりも短い。
【0018】
または、本発明の表示装置は、前記押圧抵抗部となる前記弾性部材の、前記前面パネルと前記支持部材とが接近する方向での圧縮弾性率が、前記押圧抵抗部以外での前記弾性部材の前記圧縮弾性率よりも高い。
【0019】
あるいは、本発明の表示装置は、前記押圧抵抗部となる前記弾性部材の、前記前面パネルと前記支持部材とが対向する方向での厚さ寸法の圧縮率が、前記押圧抵抗部以外での前記弾性部材の前記圧縮率よりも高いものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の表示装置は、表示パネルが固定されていない支持領域において、前面パネルが、弾性部材を介して支持部材に支持されている。弾性部材は、操作部に最も接近した部分、または操作部と重なる部分が押圧抵抗部となっており、この押圧抵抗部となる弾性部材が設けられている領域で、前面パネルと支持部材との距離が他の領域よりも接近している。あるいは押圧抵抗部となる弾性部材の圧縮弾性率が、弾性部材の他の部分よりも高くなっている。さらには押圧抵抗部となる弾性部材の厚さ寸法の圧縮率が、弾性部材の他の部分の圧縮率よりも高くなっている。
【0021】
そのため、操作部に触れた指で前面パネルが局所的に押されて、前面パネルが変形しようとしても、押圧抵抗部の存在により前面パネルの変形が抑制され、表示パネルが前面パネルの変形による影響を受けにくくなる。したがって、操作部を指で操作することに起因する表示ムラの発生を抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態の表示装置を前方から示す正面図、
図2図1に示される表示装置を部分的に示す分解斜視図、
図3図1図2に示される表示装置をIII-III線で切断した断面図、
図4図1図2に示される表示装置をIV-IV線で切断した断面図、
図5】本発明の第2実施形態の表示装置を示す図2に相当する分解斜視図、
図6図5に示される第2実施形態の表示装置をVI-VI線で切断した断面図、
図7】本発明の第3実施形態の表示装置を前方から示す正面図、
図8】本発明の表示装置に設けられた押圧抵抗部の変形例を示す図4に相当する断面図、
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1ないし図4に、本発明の第1実施形態の表示装置1が示されている。この表示装置1は車載用であり、例えば車室内のセンターコンソールに形成された開口部に設置される。表示装置1には、オーディオ装置やナビゲーション装置または車両走行に付随する各種装置の動作情報が表示され、またこれら各装置の操作のための操作装置としても使用される。
【0024】
図2図3に示されるように、表示装置1は前方(X1方向)に前面パネル2が設けられ、後方(X2方向)にハウジング3が設けられている。ハウジング3は、外側支持部材10と内側支持部材20とを有している。外側支持部材10と内側支持部材20は板金製である。表示装置1は、内側支持部材20が車室内において車体の一部などに固定される。
【0025】
図2に示されるように、外側支持部材10は、内側支持部材20の4つの辺を囲む支持枠部11を有している。支持枠部11の前方(X1方向)の端部からは、下方向に一体に延びる下支持板部12aと、右方向に一体に延びる右支持板部12bと、左方向に一体に延びる左支持板部12c、さらに上方向に一体に延びる上支持板部(図2には現れていない)が折り曲げられて形成されている。下支持板部12aと右支持板部12bと左支持板部12cおよび上支持板部の前方(X1方向)に向けられた前面は、互いに同一平面上に位置している。
【0026】
図2図3に示されるように、内側支持部材20には、後方(X2方向)に位置する後方底板部21と、後方底板部21の上下と左右の各辺から前方(X1方向)に向けて折り曲げられた側板部22と、が一体に形成されている。図2に示されるように、外側支持部材10には、下支持板部12aと右支持板部12bと左支持板部12cおよび上支持板部の後端部から折り曲げられた複数の掛止片13が一体に形成されている。それぞれの掛止片13と内側支持部材20とが、係合爪を介して凹凸嵌合させられて、外側支持部材10と内側支持部材20とが互いに固定されている。
【0027】
図3に示されるように、内側支持部材20の内部の後方側(X2方向側)にバックライト30が収納されている。バックライト30は、ユニットホルダ31と、このユニットホルダ31に保持されるライトユニット32とを有している。ユニットホルダ31は、合成樹脂材料を用いて射出成型され、または軽金属材料を用いてダイキャスト成形されている。ユニットホルダ31は、四角形の枠体形状である。ユニットホルダ31の各辺の内側面には支持リブ31aが一体に形成されており、ライトユニット32の前方(X1方向)に向く側部前面が支持リブ31aに突き当てられて、ライトユニット32がユニットホルダ31に固定されている。ユニットホルダ31の各辺の側方外面には掛止爪31bが一体に形成されており、この掛止爪31bと内側支持部材20の側板部22に開口する掛止孔とが凹凸嵌合されて、バックライト30が内側支持部材20に固定されている。
【0028】
ライトユニット32は、透明なプラスチック材料で形成された導光体と、導光体に光を与えるLED光源と、導光体の内部を伝搬する光を前方(X1方向)へ送り出す反射部材やレンズ部材などが組み合わされて構成されている。
【0029】
前面パネル2はガラス板または透明な合成樹脂板である。前面パネル2は、前方(X1方向)に向く前面2aと、後方(X2方向)に向く後面2bとを有している。図3に示されるように、前面パネル2の後面2bに表示パネル40が固定されている。前面パネル2の後面2bと、表示パネル40の前面は、OCA(透明光学粘着剤)などの透明接着剤層4を介して接着固定されている。表示パネル40は前面パネル2に直接に固定されているものであり、表示パネル40とバックライト30とは固定されていない。すなわち、表示パネル40とその後方のライトユニット32との間には隙間が設けられ、表示パネル40とユニットホルダ31は接触することがあっても互いに固定されてはいない。
【0030】
表示パネル40は、表示画面が比較的広いIPS駆動方式による透過型のカラー液晶表示パネルである。表示パネル40は、一対のガラス基板41,42と、両ガラス基板41,42に挟まれた液晶層を有し、さらに偏光板などを備えている。
【0031】
図3に示されるように、バックライト30を構成しているユニットホルダ31の前方(X1方向)に向く前面31cは、表示パネル40の4つの辺の外側を囲むように位置しており、前面パネル2の後面2bとユニットホルダ31の前面31cは接着剤層5によって固定されている。接着剤層5は両面接着テープなどである。
【0032】
図1図3に示されるように、前面パネル2を前側から後方(X2方向)に向けて見たときに、表示パネル40の表示画面が存在する領域が画像表示領域Vである。前面パネル2には、画像表示領域Vから上下方向と左右方向に延長する延長部が設けられている。この延長部が、画像表示領域Vを4方向から囲む加飾領域(あるいは着色領域)Cである。前面パネル2は、画像表示領域Vが透明であり、画像表示領域Vにおいて後方に位置する表示パネル40の表示画像を透過して目視することができる。加飾領域Cでは、前面パネル2の後面2bに不透明な着色層が設けられており、加飾領域Cを前側から見たときに、前面パネル2よりも後方(X2方向)に位置している構造が着色層で覆われて目視されることがない。前面パネル2の後面2bとユニットホルダ31の前面31cとを接着している接着剤層5は、加飾領域Cに覆われており、前側から目視されることがない。
【0033】
図3に示されるように、前面パネル2の画像表示領域Vからの延長部の一部、すなわち加飾領域Cの一部が、外側支持部材10に設けられた下支持板部12aと右支持板部12bと左支持板部12cおよび上支持板部に対向しており、この対向部が支持領域Sである。支持領域Sは、表示パネル40が設けられていない領域であって、表示パネル40を4方向の周囲から囲む領域に存在している。
【0034】
図1図2に示されるように、前面パネル2に操作部OPが設けられている。操作部OPは、前面パネル2の画像表示領域Vから下方に延長された延長部に設けられている。また操作部OPは、下方の加飾領域Cで且つ支持領域Sに設けられている。加飾領域Cでは、前面パネル2の後面2bに黒色や濃緑色などの濃色の着色層が設けられているが、操作部OPでは、前面パネル2の後面2bと濃色の着色層との間に、白色やメタリック色などの識別しやすい他の着色層6が形成されており、前面パネル2を前方から見たときに、加飾領域C内で操作部OPが目立って目視できるようになっている。
【0035】
前面パネル2の後面2bには、少なくとも操作部OPが設けられている領域に、操作検知部としてタッチセンサが設けられている。タッチセンサは静電容量式センサである。操作部OPにおいて、前面パネル2の前面2aに指が触れると、静電容量式センサで静電容量の変化が検知されて、操作信号が得られる。なお、操作部OPが操作されたことを検知する操作検知部として、前面パネル2の前面2aに抵抗式センサが配置されていてもよい。この抵抗式センサは、透明な2つの基板が隙間を空けて対向し、それぞれの基板の対向面に透明な抵抗膜が設けられているものであり、指で押されたときの抵抗膜どうしの接触が検知される。または、前面パネル2の後面2bと、外側支持部材10の下支持板部12aとの間に操作検知部としてフォースセンサが設けられ、操作部OPが押されたときの前面パネル2のわずかな撓みを検知するものであってもよい。
【0036】
図2に示されるように、前面パネル2の上下方向と左右方向の延長部と、外側支持部材10の下支持板部12aと右支持板部12bと左支持板部12cおよび上支持板部と、の間に、第1弾性部材51が介在している。第1弾性部材51は、前面パネル2と各支持板部12a,12b,12cの双方に接着されて固定されている。前面パネル2の下方への延長部と、外側支持部材10の下支持板部12aとの間には、第1弾性部材51と共に第2弾性部材52が設けられている。第2弾性部材52も、前面パネル2と下支持板部12aの双方に接着されて固定されている。第1弾性部材51と第2弾性部材52は、ゴム、発泡ゴム、その他の発泡樹脂などで構成されており、前面パネル2と外側支持部材10とが接近する方向に圧縮変形したとき、すなわち前後方向(X1-X2方向)での厚さ方向に圧縮変形したときに、所定の圧縮弾性率を有して、弾性復元可能である。
【0037】
図2図4に示されるように、外側支持部材10の下支持板部12aの一部の、幅寸法がWで高さ寸法がHの領域が、弾性部材押圧領域15となっている。弾性部材押圧領域15では、前面パネル2と下支持板部12aとの前後方向の対向距離が、下支持板部12aの他の領域よりも短くなっている。
【0038】
図2図3に示されるように、前面パネル2の下方への延長部では、弾性部材押圧領域15と対向する位置に第2弾性部材52が設けられている。第1弾性部材51と第2弾性部材52は、同じ弾性材料で形成されて、自由状態における(表示装置1に取り付けられていない状態における)前後方向(X1-X2方向)の厚さ寸法が同じである。図4の断面図にも示されているように、弾性部材押圧領域15では、前面パネル2と下支持板部12aとの前後方向(X1-X2方向)の対向間隔が他の支持領域Sよりも短くなっている。そのため、第2弾性部材52の前後方向(X1-X2方向)の厚さ寸法の圧縮率が、第1弾性部材51の圧縮率よりも高くなり、第2弾性部材52が押圧抵抗部となっている。なお、厚さ寸法の圧縮率とは、弾性部材の自由状態での前後方向の厚さ寸法をT0とし、前面パネル2の延長部と外部支持部材10との間に挟まれたときの前後方向の厚さ寸法をT1としたとき、(T0-T1)/T0、である。
【0039】
図2に示されるように、第1弾性部材51と第2弾性部材52のうちの、前後方向(X1-X2方向)と直交する平面内で、操作部OPと最も接近した位置にある第2弾性部材52が押圧抵抗部となっている。押圧抵抗部となる第2弾性部材52は、操作部OPと左右方向と下方向の3方向で最も接近する位置(対向する位置)に設けられている。すなわち、押圧抵抗部は、前後方向(X1-X2方向)と直交する平面において、操作部OPを3方向から囲むように設けられている。なお、押圧抵抗部となる第2弾性部材52が、操作部OPを上下と左右の全方向から囲むように設けられていてもよい。
【0040】
押圧抵抗部となる第2弾性部材52が存在する部分と、押圧抵抗部ではない第1弾性部材51が存在する部分で、前面パネル2を後方(X2方向)へ同じ力で押したときに、第2弾性部材52から前面パネル2に与えられる前方(X1方向)への圧縮抵抗力は、第1弾性部材51から前面パネル2に与えられる前方への圧縮抵抗力よりも大きい。すなわち、弾性部材の一部である第2弾性部材52は、操作部OPが後方へ押されたときに操作部OPに対して操作部OP以外の前面パネル2に対してよりも大きい圧縮抵抗力を与える押圧抵抗部となっている。また、押圧抵抗部となる第2弾性部材52が存在する部分と、押圧抵抗部ではない第1弾性部材51が存在する部分で、前面パネル2を後方(X2方向)へ同じ力で押したときに、第2弾性部材52が設けられた部分での前面パネル2の後方(X2方向)への変位量は、第1弾性部材51が設けられている部分での前面パネル2の前記変位量よりも小さい。
【0041】
図2に示されるように、第1実施形態では、第1弾性部材51と第2弾性部材52とが別体に設けられているが、第1弾性部材51と第2弾性部材52が同じ弾性材料によって連続して一体に形成されていてもよい。この場合は、連続する弾性部材のうちの弾性部材押圧領域15で押圧されている部分が押圧抵抗部となる。
【0042】
また、自由状態において、第2弾性部材52の前後方向(X1-X2方向)の厚さ寸法が、第1弾性部材51の前後方向の厚さ寸法よりも大きくてもよい。あるいは、第2弾性部材52の前後方向の圧縮弾性率が、第1弾性部材51の前後方向の圧縮弾性率よりも高くなるように、弾性材料が選択されてもよい。圧縮弾性率は、弾性部材の前後方向の圧縮歪みをτとし、弾性部材の圧縮方向の応力をσとしたときに、σ/τ、である。
【0043】
次に、第1実施形態の表示装置1の奏する作用効果について説明する。
表示装置1では、外側支持部材10に設けられた下支持板部12aと右支持板部12bと左支持板部12cおよび上支持板部と、前面パネル2の上下方向と左右方向の延長部との間に、第1弾性部材51と第2弾性部材52が介在している。表示装置1は車載用などであり、画像表示領域Vの面積が携帯機器に比べて広く、前面パネル2の面積も比較的大きくなっている。前面パネル2が第1弾性部材51と第2弾性部材52を介して外側支持部材10に支持されているため、大きな面積の前面パネル2に反りが存在し、あるいは外側支持部材10に公差による変形が存在していても、その変形が第1弾性部材51と第2弾性部材52の変形で吸収され、支持領域Sから前面パネル2に対して大きな歪みが与えられることがない。そのため、前面パネル2に固定されている表示パネル40の表示画面に、支持領域Sの支持力に起因する表示ムラが発生するのを抑制できる。
【0044】
図1に示すように、操作部OPは、前面パネル2の画像表示領域Vから外れた下方の加飾領域C内に位置しており、この操作部OPは、例えばホームボタンとして使用される。表示パネル40によって各種情報が表示されているときに、ホームボタンとして機能する操作部OPが操作されると、表示画面がホーム画面に戻される。
【0045】
図3に示されるように、操作部OPは、表示パネル40とバックライト30が設けられた画像表示領域Vから下側へ外れた位置であって、前面パネル2の下方への延長部に設けられている。操作部OPでは、前面パネル2の前面2aに指を触れることで静電容量式のセンサが検知状態になるが、使用者は、操作部OPに触れた指で、前面パネル2を押してしまうことが多い。前面パネル2の延長部が指で押されると、図3に示されるユニットホルダ31と前面パネル2との接着部を支点Bとして、延長部が後方(X2方向)に向けて撓み、その撓みによって、前面パネル2の全体に曲げ歪みが発生しやすくなる。前面パネル2に曲げ歪みが生じると、前面パネル2に固定されている表示パネル40に歪みが直接に作用し、画像表示領域Vの表示内容に黒ムラなどの表示ムラが発生しやすくなる。
【0046】
しかし、第1実施形態の表示装置1では、図3図4に示されるように、操作部OPに最も接近している第2弾性部材52が、弾性部材押圧領域15において前後方向に高い率で圧縮された押圧抵抗部となっている。操作部OPに最も接近した弾性部材が押圧抵抗部となっているため、操作部OPにおいて前面パネル2が押されたとしても、前面パネル2の下方の延長部の後方への変形量を、押圧抵抗部以外の領域が同じ力で押されたときの変形量よりも小さく抑えることができる。したがって、操作部OPが指で押されたとしても、前面パネル2の曲げ歪みを抑制でき、表示パネル40への影響力を最少限にでき、黒ムラなどの表示ムラの発生を抑制できるようになる。
【0047】
図2に示すように、表示装置1では、押圧抵抗部となる第2弾性部材52が、操作部OPを、左右両側と下側の3方向から囲むように設けられているため、操作部OPにおいて前面パネル2が押されたときの、前面パネル2の歪みの抑制効果がさらに高くなる。
【0048】
図5図6に本発明の第2実施形態の表示装置101が示されている。
この表示装置101では、前面パネル2の下方での延長部において、加飾領域Cで且つ支持領域Sに操作部OPが設けられているが、第2弾性部材52が、操作部OPの全域と後方から重なるように設けられている。あるいは、第2弾性部材52が、操作部OPの少なくとも一部と、後方から重なるように設けられている。外側支持部材10の下支持板部12aでは、幅寸法がWで高さ寸法がHの弾性部材押圧領域15が、部分的に前方(X1方向)に変形させられている。この弾性部材押圧領域15によって、第2弾性部材52の全体が、前後方向(X1-X2方向)に圧縮されている。
【0049】
この表示装置101でも、第2弾性部材52が第1弾性部材51と同じ弾性材料で形成されて、第1弾性部材51と第2弾性部材52は、自由状態において、前後方向(X1-X2)の厚さ寸法が同じである。第2実施形態でも、第1弾性部材51と第2弾性部材52が一体に形成されていてもよい。また第2弾性部材52の前後方向の厚さ寸法が、第1弾性部材51に比べて大きくてもよい。あるいは、第2弾性部材52の圧縮弾性率が第1弾性部材51の圧縮弾性率よりも高くてもよい。
【0050】
この表示装置101は、操作部OPの後方の全域またはほぼ全域に位置する第2弾性部材52が押圧抵抗部となっているため、操作部OPにおいて前面パネル2の下方での延長部が後方に押されても、その押圧力に対して前方への圧縮抵抗力が大きくなり。そのため、前面パネル2に曲げ歪みが発生しにくく、表示パネル40にも曲げ歪みが影響を与えにくくなる。
【0051】
図7に本発明の第3実施形態の表示装置201が示されている。
この表示装置201は、画像表示領域V内に操作部OPが設けられている。操作部OPは、表示パネル40で生成される表示画像の一部である。操作部OPは、表示パネル40で表示される画像を制御することによって、常時表示され、または必要に応じて所定の画面が現れるときにのみ表示される。図7に示される第3実施形態では、画像表示領域Vの3か所に操作部OPが表示されている。前面パネル2の後面2bには、操作検知部として静電容量センサが重ねられて設けられており、操作者の指が、いずれかの操作部OPにおいて、前面パネル2の前面2aに触れたことを検知できるようになっている。
【0052】
図7に示される表示装置201の基本的な構造は第1実施形態の表示装置1と同じである。前面パネル2の画像表示領域Vからの延長部は加飾領域Cであり、この加飾領域Cの一部が支持領域Sである。支持領域Sでは、前面パネル2の延長部と、外側支持部材10の各支持板部12a,12b,12cとの間に第1弾性部材51が介在している。また、支持領域Sのうちの3か所の操作部OPに最も接近している幅寸法WSの範囲では、前面パネル2と下支持板部12aとの間に第2弾性部材52が介在している。幅寸法WSの範囲では、外側支持部材10の下支持板部12aの一部が前方に向けて変形させられて弾性部材押圧領域15となっている。図4に示された構造と同様に、幅寸法WSに位置する第2弾性部材52は、他の領域の第1弾性部材51よりも前後方向に大きい比率で圧縮されており、3か所の操作部OPに最も接近した位置の弾性部材が押圧抵抗部となっている。
【0053】
図7に示される表示装置201は、画像表示領域Vの内部に操作部OPが存在している。そのため、操作部OPにおいて前面パネル2の前面2aに触れた指を押すと、前面パネル2に発生しようとする歪みが表示パネル40に直接に作用しやすくなる。しかし、表示装置201では、操作部OPに最も接近した位置に存在する幅寸法がWSの領域で、第2弾性部材52が押圧抵抗部となっている。押圧抵抗部の圧縮抵抗力によって、操作部OPが指で押されたときの前面パネル2の歪みを最小にできるため、表示パネル40による表示画像の表示ムラの発生を最少限に抑制することができる。
【0054】
図8に、弾性部材を押圧抵抗部とするための構造の変形例が示されている。
前記第1実施形態から第3実施形態までの表示装置では、図4に示されるように、前面パネル2と外側支持部材10の下支持板部12aとの前後方向の距離を他の領域よりも短くすることで、第2弾性部材52の前後方向の圧縮率を高くして押圧抵抗部としている。
【0055】
図8に示す変形例では、第1弾性部材51が設けられている領域と第2弾性部材52が設けられている領域とで、前面パネル2と下支持板部12aとの前後方向の対向距離が同じである。ただし、第2弾性部材52の前後方向の圧縮弾性率が、第1弾性部材51の前後方向の圧縮弾性率よりも高くなるように、各弾性部材を構成する弾性材料が選択されている。なお、第1弾性部材51と第2弾性部材52は、自由状態での前後方向の厚さ寸法が同じであってもよいし、自由状態において、第2弾性部材52の前後方向の厚さ寸法が、第1弾性部材51の前後方向の厚さ寸法が大きく、図8の状態で、第2弾性部材52の前後方向の圧縮率が、第1弾性部材51の前後方向の圧縮率よりも高く設定されてもよい。
【0056】
圧縮弾性率の高い弾性部材で押圧抵抗部を形成することで、第1実施形態から第3実施形態のいずれに適用した場合でも、操作部OPを押圧したときの前面パネル2の歪みが大きくなるのを抑制することができる。
【0057】
さらに、図8に示す構造において、第1弾性部材51と第2弾性部材52を、圧縮弾性率が同じ同等の弾性材料で形成し、自由状態において、第2弾性部材52の前後方向の厚さ寸法が、第1弾性部材51の前後方向の厚さ寸法が大きく、図8の状態で、第2弾性部材52の前後方向の厚さ寸法の圧縮率が第1弾性部材51の前後方向の厚さ寸法の圧縮率よりも高くなるように設定してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,101,201 表示装置
2 前面パネル
3 ハウジング
10 外側支持部材
12a 下支持板部
15 弾性押圧領域
20 内側支持部材
30 バックライト
31 ユニットホルダ
32 ライトユニット
40 表示パネル
51 第1弾性部材
52 第2弾性部材(押圧抵抗部)
C 加飾領域
OP 操作部
S 支持領域
V 画像表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8