(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】ゲートドライブ装置、絶縁型DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータ、電源アダプタ及び電気機器
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20230529BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H02M3/28 B
H02M3/28 C
(21)【出願番号】P 2018190201
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 英夫
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225841(JP,A)
【文献】特開2002-369499(JP,A)
【文献】特開2017-98823(JP,A)
【文献】特開2014-27819(JP,A)
【文献】特開2018-19589(JP,A)
【文献】特開2008-48515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00- 7/98
H03K 17/00-17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動制御信号を生成する主制御回路と、対象トランジスタのゲートに対しゲートラインを介して接続され、前記主制御回路からの前記駆動制御信号に基づき前記対象トランジスタのゲートを駆動するドライブ回路と、を備えたゲートドライブ装置において、
前記ゲートラインとグランドとの間に直列に挿入された、抵抗及びスイッチの直列回路と、
前記主制御回路の起動前において前記スイッチをオンとし、前記主制御回路の起動後において前記スイッチをオフとする副制御回路と、
電源電圧の入力を受ける電源端子と、
前記電源端子に入力された前記電源電圧に基づき内部電源電圧
と前記ドライブ回路に対する駆動用電圧を生成する内部電源回路と、を備え、
前記ドライブ回路は、互いに直列接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの直列回路
の一端に対して直流の
前記駆動用電圧が印加され、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタ間の接続ノードが前記ゲートラインに接続され、
前記主制御回路の起動後においては前記駆動制御信号に基づき前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの何れか一方がオンとされ、
前記主制御回路の起動前においては前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの双方がオフとされ、
前記ゲートラインから見た前記ドライブ回路のインピーダンスは、前記主制御回路の起動前において、前記主制御回路の起動後においてよりも高く、
前記主制御回路は、前記内部電源電圧の供給を受けてから所定の準備時間を経た後に起動し、
前記スイッチはNチャネル型の電界効果トランジスタであり、
前記副制御回路は、前記主制御回路の起動前において、前記電源電圧、前記内部電源電圧又は前記電源電圧に基づく他の電圧を前記スイッチのゲートに供給することで前記スイッチをオンとし、前記主制御回路の起動後において、前記スイッチのゲート電圧をグランドの電位に固定することで前記スイッチをオフに維持する
、ゲートドライブ装置。
【請求項2】
駆動制御信号を生成する主制御回路と、対象トランジスタのゲートに対しゲートラインを介して接続され、前記主制御回路からの前記駆動制御信号に基づき前記対象トランジスタのゲートを駆動するドライブ回路と、を備えたゲートドライブ装置において、
前記ゲートラインとグランドとの間に直列に挿入された、抵抗及びスイッチの直列回路と、
前記主制御回路の起動前において前記スイッチをオンとし、前記主制御回路の起動後において前記スイッチをオフとする副制御回路と、
電源電圧の入力を受ける電源端子と、
前記電源端子に入力された前記電源電圧に基づき内部電源電圧
と前記ドライブ回路に対する駆動用電圧を生成する内部電源回路と、を備え、
前記ドライブ回路は、互いに直列接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの直列回路の一端に対して直流の前記駆動用電圧が印加され、
前記主制御回路は、前記内部電源電圧の供給を受けてから所定の準備時間を経た後に起動し、
前記スイッチはNチャネル型の電界効果トランジスタであり、
前記副制御回路は、前記主制御回路の起動前において、前記電源電圧、前記内部電源電圧又は前記電源電圧に基づく他の電圧を前記スイッチのゲートに供給することで前記スイッチをオンとし、前記主制御回路の起動後において、前記スイッチのゲート電圧をグランドの電位に固定することで前記スイッチをオフに維持する
、ゲートドライブ装置。
【請求項3】
前記対象トランジスタは、絶縁型DC/DCコンバータにおけるトランスの一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタである
、請求項1又は2に記載のゲートドライブ装置。
【請求項4】
前記一次側巻線の一端に加わる、前記DC/DCコンバータに対する入力電圧に基づき前記電源電圧が生成される
、請求項3に記載のゲートドライブ装置。
【請求項5】
当該ゲートドライブ装置は半導体集積回路にて形成される
、請求項1~4の何れかに記載のゲートドライブ装置。
【請求項6】
一次側巻線及び二次側巻線を有するトランスを備え、前記一次側巻線に加わる入力電圧から前記トランスの二次側において出力電圧を生成する絶縁型DC/DCコンバータにおいて、
前記一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタと、
前記スイッチングトランジスタのオン、オフを制御する一次側制御回路と、
前記二次側巻線に接続された同期整流トランジスタと、
前記二次側巻線及び前記同期整流トランジスタ間の接続ノードの電圧に基づき前記同期整流トランジスタのオン、オフを制御する二次側制御回路と、を備え、
前記一次側制御回路として請求項1又は2に記載のゲートドライブ装置を用い、前記ゲートドライブ装置は前記スイッチングトランジスタを前記対象トランジスタとしてスイッチング駆動する
、絶縁型DC/DCコンバータ。
【請求項7】
交流電圧を全波整流する整流回路と、
全波整流された電圧を平滑化することで直流電圧を生成する平滑コンデンサと、
前記直流電圧としての入力電圧から直流の出力電圧を生成する、請求項6に記載の絶縁型DC/DCコンバータと、を備えた
、AC/DCコンバータ。
【請求項8】
交流電圧を受けるプラグと、
請求項7に記載のAC/DCコンバータと、
前記AC/DCコンバータを収容する筐体と、を備えた
、電源アダプタ。
【請求項9】
請求項7に記載のAC/DCコンバータと、
前記AC/DCコンバータの出力電圧に基づき駆動される負荷と、を備えた
、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートドライブ装置、並びに、それを利用した絶縁型DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータ、電源アダプタ及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートドライブ装置は、MOSFET等にて構成された対象トランジスタ(パワートランジスタ等)のゲートを駆動する(例えば下記特許文献1参照)。ゲートドライブ装置では、ゲートドライブ装置内の回路の起動前に対象トランジスタがオンとならないように、対象トランジスタのゲートにプルダウン抵抗を接続しておいて対象トランジスタのゲート電位を固定することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の構成では、回路の起動後にも抵抗に電流が流れて当該抵抗での電力消費が無駄になる。
【0005】
本発明は、電力消費の低減に寄与するゲートドライブ装置、並びに、それを利用した絶縁型DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータ、電源アダプタ及び電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るゲートドライブ装置は、駆動制御信号を生成する主制御回路と、対象トランジスタのゲートに対しゲートラインを介して接続され、前記主制御回路からの前記駆動制御信号に基づき前記対象トランジスタのゲートを駆動するドライブ回路と、を備えたゲートドライブ装置において、前記ゲートラインと所定電位点との間に直列に挿入された、抵抗及びスイッチの直列回路と、前記主制御回路の起動前において前記スイッチをオンとし、前記主制御回路の起動後において前記スイッチをオフとする副制御回路と、を更に備えたことを特徴とする。
【0007】
具体的には例えば、前記ゲートドライブ装置に関し、前記ゲートラインから見た前記ドライブ回路のインピーダンスは、前記主制御回路の起動前において、前記主制御回路の起動後においてよりも高くて良い。
【0008】
また例えば、前記ゲートドライブ装置において、前記ドライブ回路は、互いに直列接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの直列回路に対して直流の駆動用電圧が印加され、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタ間の接続ノードが前記ゲートラインに接続され、前記主制御回路の起動後においては前記駆動制御信号に基づき前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの何れか一方がオンとされ、前記主制御回路の起動前においては前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの双方がオフとされて良い。
【0009】
また例えば、前記ゲートドライブ装置は、電源電圧の入力を受ける電源端子と、入力された前記電源電圧に基づき内部電源電圧を生成する内部電源回路と、を更に備え、前記主制御回路は、前記内部電源電圧の供給を受けてから所定の準備時間を経た後に起動するものであって良い。
【0010】
また例えば、前記ゲートドライブ装置において、前記対象トランジスタは、絶縁型DC/DCコンバータにおけるトランスの一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタであって良い。
【0011】
また例えば、前記ゲートドライブ装置において、前記対象トランジスタは、絶縁型DC/DCコンバータにおけるトランスの一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタであり、前記一次側巻線の一端に加わる、前記DC/DCコンバータに対する入力電圧に基づき前記電源電圧が生成されても良い。
【0012】
また例えば、当該ゲートドライブ装置は半導体集積回路にて形成されると良い。
【0013】
本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータは、一次側巻線及び二次側巻線を有するトランスと、前記一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタと、前記スイッチングトランジスタのオン、オフを制御する一次側制御回路と、を備えて、前記一次側巻線に加わる入力電圧から前記トランスの二次側において出力電圧を生成する絶縁型DC/DCコンバータにおいて、前記一次側制御回路として前記ゲートドライブ装置を用い、前記ゲートドライブ装置は、前記スイッチングトランジスタを前記対象トランジスタとしてスイッチング駆動することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るAC/DCコンバータは、交流電圧を全波整流する整流回路と、全波整流された電圧を平滑化することで直流電圧を生成する平滑コンデンサと、前記直流電圧としての入力電圧から直流の出力電圧を生成する前記絶縁型DC/DCコンバータと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電源アダプタは、交流電圧を受けるプラグと、前記AC/DCコンバータと、前記AC/DCコンバータを収容する筐体と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電気機器は、前記AC/DCコンバータと、前記AC/DCコンバータの出力電圧に基づき駆動される負荷と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電力消費の低減に寄与するゲートドライブ装置、並びに、それを利用した絶縁型DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータ、電源アダプタ及び電気機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るDC/DCコンバータの全体構成図である。
【
図2】
図1に示される一次側制御ICの外観斜視図である。
【
図3】
図1に示される一次側制御ICの概略ブロック図である。
【
図4】
図3に示されるプルダウン回路の内部構成図である。
【
図5】
図1に示される一次側制御ICの起動までの流れを示す図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係るAC/DCコンバータの構成を示す図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る電源アダプタの構成を示す図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る電気機器の構成を示す図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る負荷駆動装置の構成を示す図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る非絶縁昇圧型DC/DCコンバータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“M1”によって参照されるスイッチングトランジスタは(
図1参照)、スイッチングトランジスタM1と表記されることもあるし、トランジスタM1と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0020】
まず、本実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。周期的にレベルがローレベルとハイレベルとの間で切り替わる任意の信号又は電圧について、当該信号又は電圧の1周期分の区間の長さに対する、当該信号又は電圧のレベルがハイレベルとなる区間の長さの割合を、デューティと称する。
【0021】
FET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通状態となっていることを指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通状態(遮断状態)となっていることを指す。任意のスイッチは1以上のFET(電界効果トランジスタ)にて構成され、或るスイッチがオンのときには当該スイッチの両端間が導通する一方で或るスイッチがオフのときには当該スイッチの両端間が非導通となる。以下、任意のトランジスタ又はスイッチについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。また、任意のトランジスタ又はスイッチについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。
【0022】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る絶縁同期整流型DC/DCコンバータ1(以下、DC/DCコンバータ1と略記され得る)の全体構成図である。DC/DCコンバータ1は、フライバック方式のDC/DCコンバータであり、入力端子P1に加わる直流の入力電圧V
INから、所望の目標電圧V
TGに安定化された直流の出力電圧V
OUTを生成する。
【0023】
DC/DCコンバータ1は、互いに電気的に絶縁された一次側回路と二次側回路とから成り、一次側回路におけるグランドは“GND1”にて参照され、二次側回路におけるグランドは“GND2”にて参照される。一次側回路及び二次側回路の夫々において、グランドは0V(ゼロボルト)の基準電位を有する導電部(所定電位点)を指す又は基準電位そのものを指す。但し、グランドGND1とグランドGND2は互いに絶縁されているため、互いに異なる電位を有し得る。
【0024】
DC/DCコンバータ1における一対の出力端子P2及びP3の内、出力端子P3はグランドGND2に接続され、出力端子P3の電位(即ちグランドGND2の電位)から見て出力端子P2に出力電圧VOUTが加わる。DC/DCコンバータ1は、出力端子P2及びP3間に接続された任意の負荷(不図示)に出力電圧VOUTを供給することができる。
【0025】
DC/DCコンバータ1は、一次側巻線W1及び二次側巻線W2を有するトランスTRを備える。トランスTRにおいて、一次側巻線W1と二次側巻線W2とは電気的に絶縁されつつ互いに逆極性にて磁気結合されている。
【0026】
DC/DCコンバータ1の一次側回路には、一次側巻線W1に加えて、一次側制御回路としての一次側制御IC10と、一次側電源回路11と、入力コンデンサCINと、スイッチングトランジスタM1と、センス抵抗RCSと、が設けられる。スイッチングトランジスタM1はNチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)として構成されている。一次側制御IC10は半導体集積回路により形成される。一次側巻線W1の一端は入力端子P1に接続されて直流の入力電圧VINを受ける。一次側巻線W1の他端はスイッチングトランジスタM1のドレインに接続され、スイッチングトランジスタM1のソースはセンス抵抗RCSを介してグランドGND1に接続される。入力端子P1とグランドGND1との間に入力コンデンサCINが設けられ、入力コンデンサCINの両端間に入力電圧VINが加わる。一次側電源回路11は、入力電圧VINを直流―直流変換することで所望の電圧値を有する電源電圧VCCを生成して一次側制御IC10に供給する。一次側制御IC10は電源電圧VCCに基づいて駆動する。
【0027】
DC/DCコンバータ1の二次側回路には、二次側巻線W2に加えて、二次側制御回路としての二次側制御IC20と、フィードバック回路30と、同期整流トランジスタM2と、ダイオードD2と、分圧抵抗R1~R4と、出力コンデンサCOUTと、が設けられる。二次側制御IC20は半導体集積回路により形成される。分圧抵抗R1及びR2により分圧回路DVAが構成され、分圧抵抗R3及びR4により分圧回路DVBが構成される。同期整流トランジスタM2(以下、SRトランジスタM2と称され得る)はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。ダイオードD2はSRトランジスタM2の寄生ダイオードである。故に、SRトランジスタM2のソースからドレインに向かう方向を順方向としてダイオードD2がSRトランジスタM2に並列接続されることになる。ダイオードD2は寄生ダイオードとは別に設けられたダイオードであっても良い。
【0028】
二次側巻線W2の一端は出力端子P2に接続され、故に二次側巻線W2の一端には出力電圧VOUTが加わる。二次側巻線W2の他端はSRトランジスタM2のドレインに接続される。二次側巻線W2の他端での電圧(換言すればSRトランジスタM2のドレイン電圧)を“VDR”にて表す。二次側巻線W2の他端及びSRトランジスタM2のドレイン間の接続ノードは分圧抵抗R1の一端に接続され、分圧抵抗R1の他端は分圧抵抗R2を介してグランドGND2に接続される。このため、分圧抵抗R1及びR2間の接続ノードND1には、分圧回路DVAによる電圧VDRの分圧VAが加わる。一方、出力電圧VOUTが加わる出力端子P2は分圧抵抗R3の一端に接続され、分圧抵抗R3の他端は分圧抵抗R4を介してグランドGND2に接続される。このため、分圧抵抗R3及びR4間の接続ノードND2には、分圧回路DVBによる出力電圧VOUTの分圧VBが加わる。
【0029】
SRトランジスタM2のソースはグランドGND2に接続される。また、出力端子P2及びP3間に出力コンデンサCOUTが設けられ、出力コンデンサCOUTの両端間に出力電圧VOUTが加わる。出力コンデンサCOUTとDC/DCコンバータ1の負荷(不図示)との間に、過電流の発生を検知するための抵抗が挿入されても良い。
【0030】
二次側制御IC20は、出力電圧VOUTを駆動電圧として用い、電圧VAに基づき、又は、電圧VA及びVBに基づき、SRトランジスタM2のゲート電圧を制御することによりSRトランジスタM2のオン、オフを制御する。この際、トランジスタM1及びM2が同時にオンとならないようにSRトランジスタM2のゲート電圧が制御される。SRトランジスタM2の制御方法として公知の方法を含む任意の方法を利用できる。例えば、SRトランジスタM2がオフ状態であることを起点に考えると、二次側制御IC20は、電圧VAが所定の負のターンオン判定電圧(例えば-100mV)以下となったことを受けてSRトランジスタM2をターンオンし、その後、電圧VAが所定の負のターンオフ判定電圧(例えば-10mV)以上となったことを受けてSRトランジスタM2をターンオフする。ターンオフ判定電圧はターンオン判定電圧よりも高い。
【0031】
DC/DCコンバータ1において、一次側回路と二次側回路とに亘ってフォトカプラ31が設けられている。フォトカプラ31は、二次側回路に配置された発光素子と、一次側回路に配置された受光素子と、を有する。フォトカプラ31の発光素子は、出力電圧V
OUTにて、又は、出力電圧V
OUTの分圧にてバイアスされており、フィードバック回路30は、出力電圧V
OUTが所望の目標電圧V
TGに追従するようにフォトカプラ31の発光素子を駆動する。例えば、フィードバック回路30は、
図1に示す如くノードND2に接続され、出力電圧V
OUTの分圧V
Bに基づき、出力電圧V
OUT及び目標電圧V
TG間の誤差に応じた電流をフォトカプラ31の発光素子に供給する。フィードバック回路30はシャントレギュレータやエラーアンプ等にて構成される。
【0032】
一次側制御IC10はフォトカプラ31の受光素子に接続され、フォトカプラ31の受光素子に流れるフィードバック電流IFBに応じたフィードバック信号VFBが一次側制御IC10に入力される。また、センス抵抗RCSでの電圧降下に相当する電流検出信号VCSも一次側制御IC10に入力される。
【0033】
一次側制御IC10はスイッチングトランジスタM1のゲートに接続され、スイッチングトランジスタM1のゲートにパルス信号を供給することでスイッチングトランジスタM1をスイッチング駆動する。パルス信号は、信号レベルがローレベル及びハイレベル間で切り替わる矩形波状の信号である。トランジスタM1のゲートにローレベル、ハイレベルの信号が供給されているとき、トランジスタM1は、夫々、オフ状態、オン状態となる。一次側制御IC10の構成及び制御方式は特に限定されない。例えば、一次側制御IC10は、PWM変調(パルス幅変調)を利用してフィードバック信号VFBに応じたデューティを有するパルス信号をスイッチングトランジスタM1のゲートに供給しても良いし、PFM変調(パルス周波数変調)を利用してフィードバック信号VFBに応じた周波数を有するパルス信号をスイッチングトランジスタM1のゲートに供給しても良い。また例えば、一次側制御IC10は電流モードの変調器であっても良い。この場合例えば、スイッチングトランジスタM1のゲートに供給されるパルス信号のデューティが電流検出信号VCSに応じて調節される。
【0034】
図2に一次側制御IC10の外観の例を示す。一次側制御IC10は、半導体集積回路を樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品(半導体装置)であり、一次側制御IC10を構成する各回路が半導体にて集積化されている。一次側制御IC10としての電子部品の筐体には、IC10の外部に対して露出した外部端子が複数設けられている。尚、
図2に示される外部端子の数は例示に過ぎない。二次側制御IC20も、
図2の一次側制御IC10と同様の構造を有する。
【0035】
一次側制御IC10に設けられる複数の外部端子の一部として、
図1には外部端子TM1~TM5が示されている。外部端子TM1はスイッチングトランジスタM1のゲートに接続される。外部端子TM2は、電源端子であり、一次側電源回路11からの電源電圧VCCの入力を受ける。外部端子TM3はグランドGND1に接続される。外部端子TM4、TM5には、夫々、フィードバック信号V
FB、電流検出信号V
CSが入力される。
【0036】
以下、一次側回路に注目し、一次側回路の一部の構成及び動作について更なる説明を設ける。尚、本実施形態において、以下では、特に基準を設けずに示される電圧はグランドGND1の電位から見た電圧であるものとし、特に断りなき限り0V(ゼロボルト)はグランドGND1の電位を指すものとする。
【0037】
図3に一次側制御IC10の概略的な内部構成を示す。一次側制御IC10は、内部電源回路110、主制御回路120、ドライブ回路130、プルダウン回路140及び副制御回路150を備える。
【0038】
内部電源回路110は外部端子TM2に入力された電源電圧VCCを直流-直流変換することにより、1以上の他の直流電圧を生成する。ここでは、内部電源回路110により生成される直流電圧に、内部電源電圧Vreg及び駆動用電圧VDRVが含まれると考える。内部電源電圧Vreg及び駆動用電圧VDRVは所定の電圧値を有した正の直流電圧である。例えば、電源電圧VCCは14V以上の電圧である一方で、電圧Vreg及びVDRVは、夫々、4V、12Vである。
【0039】
主制御回路120は内部電源電圧Vregに基づき駆動する。主制御回路120は、ロジック回路にて構成される、又は、アナログ回路及びロジック回路にて構成される。主制御回路120は、フィードバック信号VFB及び電流検出信号VCSの少なくとも一方に基づき、スイッチングトランジスタM1をスイッチングさせるための駆動制御信号SCNTを生成してドライブ回路130に供給する。駆動制御信号SCNTは、例えばPWM変調又はPFM変調された信号であって良い。
【0040】
ドライブ回路130は駆動用電圧VDRVに基づき駆動する。ドライブ回路130は外部端子TM1に接続され、駆動制御信号SCNTに従ってスイッチングトランジスタM1のゲート電圧を制御する。換言すれば、ドライブ回路130は、主制御回路120の制御の下で出力端子TM1の電圧レベルを調整する。外部端子TM1はIC10の外部においてスイッチングトランジスタM1のゲートに接続される。ドライブ回路130とスイッチングトランジスタM1のゲートとを接続する配線をゲートラインGLと称する。
【0041】
図4にドライブ回路130の内部構成例を示す。
図4のドライブ回路130は、互いに直列接続されたトランジスタ131及び132と、プリドライバ133と、を備える。トランジスタ131はPチャネル型のMOSFETとして構成され、トランジスタ132はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。但し、トランジスタ131をNチャネル型のMOSFETとして構成する変形も可能である。トランジスタ131及び132の直列回路に対して駆動用電圧V
DRVが印加される。より具体的には、トランジスタ131のソースに駆動用電圧V
DRVが加えられ、トランジスタ131及び132のドレイン同士が共通接続され、トランジスタ132のソースはグランドGND1に接続される。トランジスタ131及び132のドレイン同士の接続ノードがゲートラインGLに接続される。プリドライバ133は主制御回路120からの駆動制御信号S
CNTに従って、トランジスタ131及び132のオン、オフを制御する。駆動制御信号S
CNTはハイレベル又はローレベルをとる二値信号である。
【0042】
駆動制御信号SCNTがハイレベルであるとき、プリドライバ133は、トランジスタ131及び132のゲートにローレベル信号を供給することで、トランジスタ131、132の状態を、夫々、オン状態、オフ状態とする。トランジスタ131、132の状態が、夫々、オン状態、オフ状態であるとき、過渡状態を経て、ゲートラインGLの電位はハイレベル(駆動用電圧VDRVのレベル)となり、結果、スイッチングトランジスタM1はオン状態となる。
【0043】
駆動制御信号SCNTがローレベルであるとき、プリドライバ133は、トランジスタ131及び132のゲートにハイレベル信号を供給することで、トランジスタ131、132の状態を、夫々、オフ状態、オン状態とする。トランジスタ131、132の状態が、夫々、オフ状態、オン状態であるとき、過渡状態を経て、ゲートラインGLの電位はローレベル(グランドGND1のレベル)となり、結果、スイッチングトランジスタM1はオフ状態となる。
【0044】
尚、プリドライバ133は、トランジスタ131及び132が同時にオン状態となることを防止するべく、トランジスタ131及び132を共にオフ状態とするデッドタイムを適宜挿入して良い。
【0045】
主制御回路120は、信号レベルがハイレベル及びローレベル間で切り替わる駆動制御信号SCNTをドライブ回路130に供給することで、スイッチングトランジスタM1をスイッチングさせる(即ちスイッチングトランジスタM1をオン状態とオフ状態との間で切り替える)ことができる。
【0046】
上述の説明における各動作は、内部電源電圧Vregが主制御回路120に供給されて主制御回路120が起動した後の動作である。
【0047】
図5に示す如く、入力電圧V
INが0Vである状態から入力電圧V
INが上昇して規定電圧に達する過程において、上昇中の入力電圧V
INに基づく電源電圧VCCから内部電源電圧Vregが生成され、内部電源電圧Vregの供給を受けて主制御回路120が起動することになるが、主制御回路120は内部電源電圧Vregの供給を受けて即時に起動する訳では無く、内部電源電圧Vregの供給を受けてから(より詳細には、主制御回路120に供給される内部電源電圧Vregの電圧値が所定電圧値に達してから)所定の準備時間が経過した後に起動する。この準備時間は、主制御回路120内の各回路の正常動作を担保するための時間であり、内部電源電圧Vregが安定するまでの時間も当該準備時間に含まれ得る。準備時間は、主制御回路120の回路構成及び起動シーケンスに依存し、例えば、少ない場合には数10ナノ秒程度であることもあるが、数10マイクロ秒程度であることもある。
【0048】
入力電圧V
INが0Vより高くなった後、主制御回路120が起動するまでの区間を、便宜上、起動前区間と称する(
図5参照)。起動前区間を含む、主制御回路120の起動前においては、主制御回路120は、スイッチングトランジスタM1をスイッチングさせるための駆動制御信号S
CNTの生成及びドライブ回路130への供給を行っておらず、当該駆動制御信号S
CNTの生成及びドライブ回路130への供給は主制御回路120が起動してから行われる。
【0049】
起動前区間を含む主制御回路120の起動前においては、ドライブ回路130がハイインピーダンス状態となっている。トランジスタ131及び132の双方がオフ状態であるとき、ドライブ回路130がハイインピーダンス状態となる。ここにおけるドライブ回路130のインピーダンスとは、ゲートラインGLから見たドライブ回路130のインピーダンスを指す。主制御回路120の起動後においては、基本的にトランジスタ131及び132の何れか一方がオンとなっているため、ゲートラインGLから見たドライブ回路130のインピーダンスは十分に低く(例えば数100ミリΩ)、起動前区間を含む主制御回路120の起動前において、ゲートラインGLから見たドライブ回路130のインピーダンスは、主制御回路120の起動後よりも遥かに高くなっている(例えば数100メガΩ)。
【0050】
故に、起動前区間において、ゲートラインGLに電荷がたまっていると、スイッチングトランジスタM1がオンして、予期されない過大な電流が一次側巻線W1及びトランジスタM1に流れるおそれがある。この対策として、ゲートラインGLを単にプルダウン抵抗でプルダウンしておく方法もあるが、その方法では、主制御回路120の起動後においても当該プルダウン抵抗に電流が継続的に流れて無駄な電力消費が生じる。
【0051】
これを考慮し、
図3の一次側制御IC10には、プルダウン回路140及び副制御回路150が設けられている。プルダウン回路140はプルダウン抵抗141とスイッチ142との直列回路とから成る。プルダウン抵抗141の一端はゲートラインGLに接続され、プルダウン抵抗141の他端はスイッチ142の一端に接続され、スイッチ142の他端はグランドGND1に接続されている。故に、スイッチ142がオンであるときにのみゲートラインGLがプルダウン抵抗141を介してグランドGND1に接続され、スイッチ142がオフであるときにはプルダウン回路140を介したゲートラインGL及びグランドGND1間の電流の流れは生じない(但し漏れ電流を無視)。
【0052】
スイッチ142のオン、オフ状態は、副制御回路150により制御される。副制御回路150は、起動前区間においてスイッチ142をオン状態とすることでゲートラインGLのレベルをローレベルに維持してスイッチングトランジスタM1をオフ状態に維持する(
図5参照)。そして、副制御回路150は、主制御回路120の起動後にはスイッチ142をオフ状態に維持する。スイッチ142のオン状態からオフ状態への切り替えタイミングは、主制御回路120が起動したタイミングそのものであっても良いし、主制御回路120の起動後の任意のタイミングであっても良い。例えば、主制御回路120は上記準備時間の経過を経て起動すると、遅滞なく、所定の起動信号を副制御回路150に送ると良い。副制御回路150は起動信号を受けたことに応答してスイッチ142をオン状態からオフ状態に切り替え、以後、スイッチ142をオフ状態に維持する。尚、主制御回路120は起動信号を副制御回路150に送る際、同起動信号をドライブ回路130にも送るようにしても良い。ドライブ回路130は起動信号を受信するまで、信号S
CNTのレベルに関係なくトランジスタ131及び132をオフ状態に維持する構成を有していてい良い。
【0053】
スイッチ142は任意の種類の1以上のトランジスタにて構成されていて良いが、ここでは、Nチャネル型のMOSFETにてスイッチ142が構成されているものとし、以下では、スイッチ142はトランジスタ142と称されうる。プルダウン抵抗141の一端はゲートラインGLに接続され、プルダウン抵抗142の他端はトランジスタ142のドレインに接続され、トランジスタ142のソースはグランドGND1に接続される。副制御回路150はトランジスタ142のゲート電圧を制御することでトランジスタ142のオン、オフを制御する。
【0054】
副制御回路150は電源電圧VCC又はVregに基づき駆動する。副制御回路150は、起動前区間において、電源電圧VCC又はVregを直接トランジスタ142のゲートに供給すれば、或いは、電源電圧VCCを所望の電圧にてクランプして得られる電圧をトランジスタ142のゲートに供給すれば、トランジスタ142をオンさせることができる。上記起動信号を受けた後には、副制御回路150はトランジスタ142のゲート電圧のレベルをローレベル(0V)に固定してトランジスタ142をオフに維持する。
【0055】
本実施形態によれば、主制御回路120の起動前において、プルダウン抵抗141の働きによりスイッチングトランジスタM1のオフ状態が確保される。このため、主制御回路120の起動前にスイッチングトランジスタM1がオンして予期されない過大な電流が一次側巻線W1及びトランジスタM1に流れる、といった事象の発生が抑制される。主制御回路120の起動後にはプルダウン抵抗141に電流は流れないため、主制御回路120の起動後における無駄な電力消費(プルダウン抵抗141での無駄な電力消費)は生じない。
【0056】
電源電圧VCCが0V又は実質的に0Vであるときには、トランジスタ142はオフ状態となる又は不定状態となり、結果、スイッチングトランジスタM1がオン状態となりうるが、電源電圧VCCが0V又は実質的に0Vであるときには、入力電圧VINも0V又は実質的に0Vであることが想定されるため、問題は生じない。入力コンデンサCINに電荷が供給されて入力電圧VINが0Vから上昇し始めたが、内部電源電圧Vregが安定しておらず又は主制御回路120の起動シーケンスが完了しておらず、主制御回路120が未だ起動していない区間(起動前区間)において、プルダウン回路140及び副制御回路150が有益に機能してスイッチングトランジスタM1のオフ状態を確保する。
【0057】
プルダウン回路140は、前回のDC/DCコンバータ1の動作終了時に残存したトランジスタM1のゲート電荷をグランドGND1に導くことを目的とするものであるため、プルダウン抵抗141の抵抗値は例えば、数10キロΩ~数100キロΩ程度であれば良い。プルダウン回路140に対して並列に、数ギガΩ程度の抵抗を予備的に設けておいても構わない。
【0058】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態並びに後述の第3及び第4実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2~第4実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2~第4実施形態にも適用される。第2実施形態において、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先されて良い(後述の第3及び第4実施形態についても同様)。矛盾の無い限り、第1~第4実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
【0059】
第1実施形態では、DC/DCコンバータ1が絶縁同期整流型DC/DCコンバータであるとしたが、DC/DCコンバータ1は、一次側巻線W1に加わる入力電圧VINからトランスTRの二次側において(即ち二次側回路において)出力電圧VOUTを生成するものであれば任意である。
【0060】
例えば、
図1に示したDC/DCコンバータ1では、いわゆるローサイドアプリケーションが採用されているが、ハイサイドアプリケーションが採用されても良い。ハイサイドアプリケーションが採用されたDC/DCコンバータ1では、SRトランジスタM2が出力端子P2側に設けられ、出力電圧V
OUTが加わる出力端子P2とトランスTRの二次側巻線W2との間にSRトランジスタM2が直列に挿入される。この他、本発明の主旨を損なわない形態で、二次側回路におけるSRトランジスタM2の配置位置を変更することが可能である。
【0061】
また例えば、DC/DCコンバータ1は、整流ダイオードを用いたDC/DCコンバータ(絶縁ダイオード整流型DC/DCコンバータ)であっても良い。この場合、DC/DCコンバータ1において、
図1のSRトランジスタM2及び寄生ダイオードD2の代わりに、整流ダイオードを二次側回路に設ける。整流ダイオードは二次側巻線W2と出力コンデンサC
OUTと間に挿入され、一次側巻線W1から二次側巻線W2に伝搬された電力を整流する。
【0062】
また例えば、DC/DCコンバータ1を、フォワード方式の絶縁型DC/DCコンバータとして構成しても良く、この場合にも、同期整流方式及び整流ダイオード方式の何れが採用されても良い。
【0063】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータの用途を説明する。
【0064】
図6に示す如く、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータを用いたAC/DCコンバータ300を構成して良い。AC/DCコンバータ300は、フィルタ301、整流回路302、平滑コンデンサ303及び絶縁型DC/DCコンバータ304を備える。フィルタ301は、AC/DCコンバータ300に入力された交流電圧V
ACのノイズを除去する。交流電圧V
ACは商用交流電圧であって良い。整流回路302は、フィルタ301を通じて供給された交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。平滑コンデンサ303は全波整流された電圧を平滑化することで直流電圧を生成する。絶縁型DC/DCコンバータ304は、平滑コンデンサ303にて生成された直流電圧を入力電圧V
INとして受け、入力電圧V
INを電力変換(直流-直流変換)することで出力電圧V
OUTを生成する。第1又は第2実施形態に示されたDC/DCコンバータ1を絶縁型DC/DCコンバータ304として用いることができる。この場合、
図1の入力コンデンサC
INは平滑コンデンサ303に相当する。
【0065】
AC/DCコンバータ300を用いて電源アダプタを構成しても良い。
図7は、AC/DCコンバータ300を備える電源アダプタ320を示す図である。電源アダプタ320は、AC/DCコンバータ300、プラグ321、筐体322及び出力コネクタ323を備え、筐体322内にAC/DCコンバータ300が収容及び配置される。プラグ321は図示されないコンセントから商用交流電圧V
ACを受け、AC/DCコンバータ300はプラグ321を通じて入力された商用交流電圧V
ACから直流の出力電圧V
OUTを生成する。出力電圧V
OUTが、出力コネクタ323を通じ、図示されない任意の電気機器に供給される。電気機器としては、ノート型パーソナルコンピュータ、情報端末機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機(スマートフォンに分類されるものを含む)、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0066】
AC/DCコンバータ300を備える電気機器を構成しても良い。
図8(a)及び(b)は、AC/DCコンバータ300を備える電気機器340を示す図である。
図8(a)及び(b)に示される電気機器340はディスプレイ装置であるが、電気機器340の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、AC/DCコンバータを内蔵する機器であれば任意である。電気機器340は、AC/DCコンバータ300、プラグ341、筐体342及び負荷343を備え、筐体322内にAC/DCコンバータ300及び負荷343が収容及び配置される。プラグ341は図示されないコンセントから商用交流電圧V
ACを受け、AC/DCコンバータ300はプラグ341を通じて入力された商用交流電圧V
ACから直流の出力電圧V
OUTを生成する。生成された出力電圧V
OUTは負荷343に供給される。負荷343は、出力電圧V
OUTに基づいて駆動する任意の負荷であって良く、例えば、マイコンコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路又はデジタル回路である。
【0067】
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、第1~第3実施形態に対する幾つかの変形技術等を説明する。
【0068】
上述したように、一次側制御IC10の各回路素子は半導体集積回路の形態で形成され、当該半導体集積回路を樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置が構成される。但し、複数のディスクリート部品を用いて一次側制御IC10内の回路と同等の回路を構成するようにしても良い。一次側制御IC10内に含まれるものとして上述した任意の幾つかの回路素子は、一次側制御IC10外に設けられて一次側制御IC10に外付け接続されても良い。逆に、一次側制御IC10外に設けられるものとして上述した幾つかの回路素子を、一次側制御IC10内に設けるようにしても良い。
【0069】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。
【0070】
FETの型をNチャネル型及びPチャネル型間で入れ替える変形も可能である。
【0071】
図3に示される一次側制御IC10は、対象トランジスタのゲートを駆動するためのゲートドライブ装置として機能する。一次側制御IC10にとっての対象トランジスタは、絶縁型DC/DCコンバータ1の一次側回路に設けられたスイッチングトランジスタM1であるが、本発明において、対象トランジスタは、これに限定されず、ゲート駆動が必要な任意の電圧制御型のトランジスタを対象トランジスタとして良い。
【0072】
例えば、
図9に示す如く、所定の直流電源電圧V1が加わるライン401と負荷402との間に直列に挿入された出力トランジスタ403を制御することで出力トランジスタ403を通じ負荷402に電力する負荷駆動装置400において、出力トランジスタ403を対象トランジスタとして取り扱うことができる。当該負荷駆動装置400において、一次側制御IC10と同等の構成をゲートドライブ装置404に持たせて、ゲートドライブ装置404を用いて出力トランジスタ403のゲートを駆動すると良い。ゲートドライブ装置404の出力端子TM1が出力トランジスタ403のゲートに接続され、ゲートドライブ装置404は出力トランジスタ403のゲートにパルス信号を供給することで出力トランジスタ403をスイッチング駆動することができる。ゲートドライブ装置404にとっての電源電圧VCCは、例えば電圧V1である。
【0073】
図9の構成においては、対象トランジスタ(403)と負荷(402)とが直列接続され、対象トランジスタ(403)がオンであるときに対象トランジスタを通じて直流電源電圧V1に基づく電流が負荷(402)に供給されることになる。
【0074】
或いは例えば、非絶縁型のスイッチング電源回路におけるスイッチングトランジスタを対象トランジスタとして、当該対象トランジスタに対し、一次側制御IC10と同等の構成を有するゲートドライブ装置を適用しても良い。
【0075】
例として、
図10に非絶縁昇圧型DC/DCコンバータ420を示す。非絶縁昇圧型DC/DCコンバータ420は、符号421~427によって参照される各部位を備える。非絶縁昇圧型DC/DCコンバータ420では、インダクタ421の一端に所定の直流入力電圧V1が印加され、インダクタ421の他端がNチャネル型のMOSFETとして構成されたスイッチングトランジスタ422のドレインに接続されると共にダイオード423のアノードに接続される。ダイオード423のカソードは平滑コンデンサ424の一端に接続される。平滑コンデンサ424の他端及びスイッチングトランジスタ422のソースは0Vの基準電位を有するグランドに接続される。ダイオード423のカソードと平滑コンデンサ424との接続ノードに直流の出力電圧V2が表れる。分圧抵抗425及び426を用いて出力電圧V2に応じたフィードバック電圧がゲートドライブ装置427に供給される。ゲートドライブ装置427は、フィードバック電圧に基づき、出力電圧V2が電圧V1よりも高い所望の目標電圧にて安定化するようにスイッチングトランジスタ422のゲートにパルス信号を供給してスイッチングトランジスタ422をスイッチング駆動する。この際、スイッチングトランジスタ422を対象トランジスタとして取り扱い、一次側制御IC10と同等の構成をゲートドライブ装置427に適用する。故に、ゲートドライブ装置427の出力端子TM1がトランジスタ422のゲートに接続されることになる。ゲートドライブ装置427にとっての電源電圧VCCは、例えば電圧V1である。
【0076】
図1の構成及び
図10の構成においては、対象トランジスタ(M1又は422)とコイル(W1又は421)とが直列接続され、対象トランジスタがオンであるときに、対象トランジスタ及びコイルを通じて、直流電圧(V
IN又はV1)に基づく電流が流れる。ここにおけるコイルは、
図1の構成では一次側巻線W1に相当し、
図10の構成ではインダクタ421に相当する。
【0077】
上述の各トランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述されたトランジスタを、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0078】
但し、対象トランジスタは、MOSFETを含むFET又はIGBTなどの電圧制御型のトランジスタ(即ち、制御電極における電圧に応じて第1及び第2電極間に流れる電流が制御されるトランジスタ)である。
【0079】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 絶縁同期整流型DC/DCコンバータ
10 一次側制御IC(ゲートドライブ装置)
20 二次側制御IC
TR トランス
W1 一次側巻線
W2 二次側巻線
M1 スイッチングトランジスタ(対象トランジスタ)
M2 同期整流トランジスタ
110 内部電源回路
120 主制御回路
130 ドライブ回路
140 プルダウン回路
150 副制御回路
GL ゲートライン