(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】押出成形用口金
(51)【国際特許分類】
B29C 48/305 20190101AFI20230529BHJP
B29B 11/10 20060101ALI20230529BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20230529BHJP
【FI】
B29C48/305
B29B11/10
B29C48/08
(21)【出願番号】P 2018241557
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】菊池 洋平
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-315966(JP,A)
【文献】特開2018-130894(JP,A)
【文献】特開平06-192777(JP,A)
【文献】特開2008-188772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機の先端部に取り付けられる押出成形用口金であって、
前記押出機の本体部から供給されるゴム材料を帯状のストリップゴムとして押出成形する開口部を備え、
前記押出成形用口金に、焼入れされた焼入れ部と焼入れされていない非焼入れ部とが設けられ、
前記開口部の周縁部の所定領域に前記焼入れ部が設けら
れ、
前記焼入れ部は、前記押出機の本体部側における前記開口部の周縁部に設けられている
押出成形用口金。
【請求項2】
前記開口部は、幅に比べて高さが小さい扁平な断面形状を有し、
前記焼入れ部は、前記押出機の本体部側における前記開口部の幅方向両側の周縁部に設けられている
請求項
1に記載の押出成形用口金。
【請求項3】
前記焼入れ部は、前記押出機の本体部側における前記開口部の周縁部全体に設けられている
請求項
2に記載の押出成形用口金。
【請求項4】
前記開口部は、幅に比べて高さが小さい扁平な矩形状、三角形状又は台形状の断面形状を有している
請求項1から請求項
3の何れか1項に記載の押出成形用口金。
【請求項5】
前記押出成形用口金は、グリーンタイヤを形成する前記ストリップゴムを押出成形する押出成形用口金である
請求項1から請求項
4の何れか1項に記載の押出成形用口金。
【請求項6】
前記押出成形用口金は、前記本体部から反本体部側に円筒状に延びる側面部と、前記側面部の反本体部側から径方向内側に延びる頂面部とを備え、
前記開口部は、同一断面形状を有して前記頂面部に設けられている、
請求項1から請求項
5の何れか1項に記載の押出成形用口金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出成形用口金に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤの製造方法として、押出機の先端部に取り付けられた口金から押出成形された帯状のストリップゴムをドラムに対して螺旋状に巻回することによりグリーンタイヤを形成するようにしたリボン工法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
リボン工法によってグリーンタイヤを形成するためのストリップゴムを押出成形する場合などに用いられる押出成形用口金は一般に、鉄鋼材料を用いて形成されている。押出成形用口金として、表面にクロムメッキを施したものも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-103516号公報
【文献】特開平9-225989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リボン工法による空気入りタイヤの製造時に用いる帯状のストリップゴムは、
図8(a)に示すように、押出機の先端部に取り付けられた口金100にストリップゴムの断面形状に対応して扁平状に形成された開口部110を通じて押出成形される。
【0006】
口金100は、ストリップゴムを押出成形する成形時間が長くなると、
図8(b)に示すように、開口部110の両側の周縁部が押出方向の上流側から摩耗して開口されてストリップゴムに成形不良を発生するおそれがある。このため、口金の開口部の周縁部が摩耗すると、新しい口金への交換が必要であり、生産性の低下を引き起こし得る。
【0007】
これに対し、前記特許文献2に記載されるように、口金にクロムメッキを施して口金の耐久性を向上させることが考えられる。しかしながら、口金にクロムメッキを施した場合、クロムメッキが剥がれてストリップゴムに混入して成形不良を引き起こし得る。
【0008】
そこで、本発明は、耐久性を向上させると共にストリップゴムに成形不良が発生することを抑制することができる押出成形用口金を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、押出機の先端部に取り付けられる押出成形用口金であって、前記押出機の本体部から供給されるゴム材料を帯状のストリップゴムとして押出成形する開口部を備え、前記押出成形用口金に、焼入れされた焼入れ部と焼入れされていない非焼入れ部とが設けられ、前記開口部の周縁部の所定領域に前記焼入れ部が設けられ、前記焼入れ部は、前記押出機の本体部側における前記開口部の周縁部に設けられている押出成形用口金を提供する。
【0010】
本発明によれば、押出成形用口金は、焼入れ部と非焼入れ部とが設けられ、ゴム材料をストリップゴムとして押出成形する開口部の周縁部の所定領域に設けられる焼入れ部によって、開口部の周縁部の摩耗を抑制して押出成形用口金の耐久性を向上させると共にストリップゴムに成形不良が発生することを抑制することができる。焼入れ部は、押出成形用口金の開口部の周縁部の所定領域に設けられるので、押出成形用口金が全体的に焼入れされる場合に比して、割れの発生を抑制して押出成形用口金の耐久性を向上させることができる。
押出機の反本体部側に比して摩耗が発生し易い押出機の本体部側における開口部の周縁部に焼入れ部が設けられるので、押出成形用口金の開口部の周縁部の摩耗を有効に抑制することができる。
【0013】
前記開口部は、幅に比べて高さが小さい扁平な断面形状を有し、前記焼入れ部は、押出機の本体部側における開口部の幅方向両側の周縁部に設けられていることが好ましい。
【0014】
本構成によれば、開口部の幅方向中央側の周縁部に比して摩耗が発生し易い開口部の幅方向両側の周縁部に焼入れ部が設けられるので、押出成形用口金の開口部の周縁部の摩耗を有効に抑制することができる。
【0015】
前記焼入れ部は、押出機の本体部側における開口部の周縁部全体に設けられていることが好ましい。
【0016】
本構成によれば、押出成形用口金の開口部の周縁部全体の摩耗を抑制して押出成形用口金の耐久性を向上させると共にストリップゴムに成形不良が発生することを抑制することができる。
【0017】
前記開口部は、幅に比べて高さが小さい扁平な矩形状、三角形状又は台形状の断面形状を有している。
【0018】
本構成によれば、幅に比べて高さが小さい扁平な矩形状、三角形状又は台形状の断面形状を有するストリップゴムを押出成形する際に、ストリップゴムに成形不良が発生することを抑制することができる。
【0019】
前記押出成形用口金は、グリーンタイヤを形成するストリップゴムを押出成形する押出成形用口金であることが好ましい。
【0020】
本構成によれば、押出成形用口金から押出成形されたストリップゴムを螺旋状に重ねて巻き付けてグリーンタイヤを形成する際に、ストリップゴムに成形不良が発生することを抑制してストリップゴムを螺旋状に重ねて巻き付けるときにストリップゴム間にエアが混入することを抑制することができる。
前記押出成形用口金は、前記本体部から反本体部側に円筒状に延びる側面部と、前記側面部の反本体部側から径方向内側に延びる頂面部とを備え、前記開口部は、同一断面形状を有して前記頂面部に設けられ得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る押出成形用口金によれば、耐久性を向上させると共にストリップゴムに成形不良が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る押出成形用口金を備えた押出機を有する巻回装置の概略構成図である。
【
図2】ドラムに巻回されるストリップゴムの巻回状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る押出成形用口金の変形例の背面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る押出成形用口金の背面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る押出成形用口金の背面図である。
【
図8】従来の押出成形用口金の開口部近傍を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に係る押出成形用口金を備えた押出機を有する巻回装置の概略構成図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る押出成形用口金を備えた押出機を有する巻回装置1は、リボン工法によって加硫成形前の生タイヤであるグリーンタイヤを形成するときに用いられるものである。
【0025】
巻回装置1は、略円柱状に形成されて回転駆動されるドラム2と、ドラム2に供給する帯状のストリップゴム3を押出成形する押出機4と、ドラム2に供給されるストリップゴム3をドラム2に対して押し付けて貼り付ける圧着ローラ5とを備えている。
【0026】
ストリップゴム3は、幅に比べて高さ(厚み)が小さい扁平な断面形状を有して帯状に形成される。ストリップゴム3は、例えば、断面形状の幅が10~50mmとされて断面高さが0.6~3mmとされるように形成される。
【0027】
ドラム2は、ドラム保持装置6に保持されている。ドラム2は、ドラム保持装置6によって回転駆動されると共にドラム2の軸方向に移動可能に構成されている。ドラム2は、押出機4に対向する側が下から上へ向かう方向に回転駆動され、例えば表面に貼り付けられるストリップゴム3の貼付速度が5~130m/minとなるように回転駆動される。
【0028】
押出機4は、回転駆動されるスクリューと加熱ヒータとによってゴム材料を加熱すると共に混錬して先端部に供給する本体部7と、押出機4の先端部に取り付けられて本体部7から供給されるゴム材料から帯状のストリップゴム3を押出成形する押出成形用口金10とを備えている。押出機4は、ストリップゴム3が加硫されない温度、例えば120度以下の温度にゴム材料を加熱するようになっている。
【0029】
圧着ローラ5は、シリンダ8から伸縮可能に突出するロッド9の先端部に回転可能に取り付けられている。圧着ローラ5は、回転軸がドラム2の回転軸と平行な状態でドラム2に対して接離し、ドラム2に対してストリップゴム3を巻き付けて貼り付けると共に圧着する。
【0030】
巻回装置1では、押出機4によって押出成形されたストリップゴム3がドラム2に向かって前進され、圧着ローラ5によって押し付けられてドラム2に巻き付けられるときにドラム2が軸方向に移動されることで、ドラム2にストリップゴム3が螺旋状に巻き付けられてグリーンタイヤが形成される。
【0031】
図2は、ドラムに巻回されるストリップゴムの巻回状態を示す断面図である。
図2に示すように、ストリップゴム3は、ドラム2に幅方向の両側が互いに重なるようにして螺旋状に巻き付けられる。グリーンタイヤGTは、ストリップゴム3が螺旋状に巻き付けられることによって形成される。グリーンタイヤGTにはまた、他のタイヤ構成部材が組み合わされる。そして、グリーンタイヤGTが加硫成形されて空気入りタイヤが製造される。
【0032】
ストリップゴム3がドラム2に螺旋状に巻き付けられるとき、グリーンタイヤGTの所望形状に応じて、ドラム2に対して先に巻き付けられたストリップゴム3に重ねてストリップゴム3をさらに巻き付けるようにしてもよい。また、ドラム2を軸方向に移動することに代えて、押出機4及び圧着ローラ5を軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0033】
次に、本発明の実施形態に係る押出成形用口金について説明する。
図3は、押出成形用口金の断面図、
図4は、押出成形用口金の背面図である。
図4は、押出機の本体部から見た押出成形用口金を示し、
図3は、
図4におけるY3-Y3線に沿った押出成形用口金の断面を示している。
図3及び
図4に示すように、押出成形用口金(以下、適宜「口金」という)10は、押出機4の本体部7から略円錐台状に突出するように設けられている。
【0034】
口金10は、押出機4の本体部7に取り付けられるフランジ部11と、フランジ部11の径方向内側から反本体部側に先細りの円筒状に形成される側面部12と、側面部12の反本体部側から径方向内側に延びる頂面部13とを備えている。口金10の頂面部13は、押出機4の本体部側の表面13aと押出機4の反本体部側の表面13bとを有している。口金10は、頂面部13に押出機4の本体部7から供給されるゴム材料を帯状のストリップゴム3として押出成形する開口部16を備えている。開口部16は、押出機4の本体部側の表面13aから反本体部側の表面13bに亘って口金10を貫通して形成されている。
【0035】
口金10の開口部16は、ストリップゴム3の所望断面形状に対応して形成されている。本実施形態では、口金10の開口部16は、ストリップゴム3の押出方向に同一断面形状を有し、
図4に示すように幅W1に対して高さH1が小さい扁平な略三角形状の断面形状を有している。口金10の開口部16によって、幅に対して高さが小さい扁平な略三角形状の断面形状を有するストリップゴム3が押出成形される。口金10の開口部16は、幅に対して高さが小さい扁平な形状であれば、
図4に示す二等辺三角形状に限らず他の三角形状に形成することが可能である。
【0036】
口金10は、焼入れ性を有する鉄鋼材料から形成されている。口金10には、
図3及び
図4においてクロスハッチングで示すように、押出機4の本体部7側における開口部16の周縁部の所定領域に焼入れされた焼入れ部17が設けられている。
【0037】
口金10の焼入れ部17は、口金10の押出機4の本体部7側における開口部16の幅方向両側の周縁部を含む開口部16の周縁部全体に設けられている。焼入れ部17は、
図3に示すように、口金10の開口部16の周縁部において開口部16から外側に所定幅L1を有すると共に押出機4の本体部7側の表面13aから押出機4の反本体部側の表面13b側へ向けて所定深さD1を有するように形成される。本実施形態では、焼入れ部17は、押出機4の反本体部側には設けられておらず、押出機4の反本体部側の表面13bは焼入れされていない。焼入れ部17の幅L1は、例えば2~5mmに設定され、焼入れ部17の深さD1は、例えば3mm以内に設定される。焼入れ部17の幅L1を、例えば開口部16の高さH1の150~700%に設定するようにしてもよい。
【0038】
口金10では、焼入れ部17は焼入れされていない非焼入れ部18より硬度が高められている。口金10の焼入れ部17は、所定の焼入れ条件で焼入れされ、焼入れ温度に加熱された後に冷却されて形成される。口金10の焼入れ部17はまた、焼入れ後に所定の焼戻し条件で焼戻しされ、焼入れ温度未満の温度に加熱された後に冷却される。
【0039】
口金10は、これに限定されるものではないが、本実施形態では、ダイス鋼であるSKD11から形成され、焼入れ部17は、例えば、焼入れ条件として1000~1050度に加熱された後に空冷され、焼き戻し条件として150~200度に加熱された後に空冷される。焼入れ部17は、レーザー加熱装置や誘導加熱装置などの加熱装置を用いて加熱される。このようにして、口金10は、例えば、口金10の非焼入れ部18が硬度34~42Hsを有するのに対して焼入れ部17が硬度62~78Hsを有するように形成される。
【0040】
口金10の焼入れ部17は、押出機4の本体部7側の表面13aから押出機4の反本体部側の表面13bへ向けて所定深さD1を有するように設けられるが、押出機4の本体部7側の表面13aから押出機4の反本体部側の表面13bに達するまで設けられてもよい。
【0041】
このように、本実施形態に係る押出成形用口金10は、押出機4の先端部に取り付けられ、押出機4の本体部7から供給されるゴム材料を帯状のストリップゴム3として押出成形する開口部16を備え、開口部16の周縁部の所定領域に焼入れ部17が設けられている。
【0042】
これにより、押出成形用口金10は、ゴム材料をストリップゴム3として押出成形する開口部16の周縁部の所定領域に設けられる焼入れ部17によって、開口部16の周縁部の摩耗を抑制して押出成形用口金10の耐久性を向上させると共にストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制することができる。焼入れ部17は、押出成形用口金10の開口部16の周縁部の所定領域に設けられるので、押出成形用口金10が全体的に焼入れされる場合に比して、割れの発生を抑制して押出成形用口金10の耐久性を向上させることができる。
【0043】
また、焼入れ部17は、押出機4の本体部7側における開口部16の周縁部に設けられる。これにより、押出機4の反本体部側に比して摩耗が発生し易い押出機4の本体部7側における開口部16の周縁部に焼入れ部17が設けられるので、押出成形用口金10の開口部16の周縁部の摩耗を有効に抑制することができる。
【0044】
また、開口部16は、幅に比べて高さが小さい扁平な断面形状を有し、焼入れ部17は、押出機4の本体部7側における開口部16の幅方向両側の周縁部に設けられる。これにより、開口部16の幅方向中央側の周縁部に比して摩耗が発生し易い開口部16の幅方向両側の周縁部に焼入れ部17が設けられるので、押出成形用口金10の開口部16の周縁部の摩耗を有効に抑制することができる。
【0045】
また、焼入れ部17は、押出機4の本体部7側における開口部16の周縁部全体に設けられる。これにより、押出成形用口金10の開口部16の周縁部全体の摩耗を抑制して押出成形用口金10の耐久性を向上させると共にストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制することができる。
【0046】
また、開口部16は、幅に比べて高さが小さい扁平な三角形状の断面形状を有している。これにより、幅に比べて高さが小さい扁平な三角形状の断面形状を有するストリップゴム3を押出成形する際に、ストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制することができる。
【0047】
また、押出成形用口金10は、グリーンタイヤGTを形成するストリップゴム3を押出成形する押出成形用口金10である。これにより、押出成形用口金10から押出成形されたストリップゴム3を螺旋状に重ねて巻き付けてグリーンタイヤGTを形成する際に、ストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制してストリップゴム3を螺旋状に重ねて巻き付けるときにストリップゴム3間にエアが混入することを抑制することができる。
【0048】
図5は、本発明の第1実施形態に係る押出成形用口金の変形例の背面図である。
図5においてクロスハッチングで示すように、押出成形用口金10の焼入れ部17´を、押出機4の本体部7側における開口部16の幅方向両側の周縁部にのみ設けることも可能である。焼入れ部17´についても、押出機4の本体部7側の表面から押出機4の反本体部側の表面側へ向けて所定深さを有するように、あるいは押出機4の本体部側の表面から押出機4の反本体部側の表面まで達するように設けられる。
【0049】
図6は、本発明の第2実施形態に係る押出成形用口金の背面図である。第2実施形態に係る押出成形用口金30は、第1実施形態に係る押出成形用口金10と、開口部の形状が異なること以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
【0050】
第2実施形態に係る押出成形用口金30についても、押出機4の先端部に取り付けられて押出機4の本体部7から供給されるゴム材料を帯状のストリップゴム3として押出成形する開口部36を備えている。本実施形態では、口金30の開口部36は、
図6に示すように、幅に対して高さが小さい扁平な略矩形状の断面形状に形成されている。
【0051】
口金30についても、押出機4の本体部7側における開口部36の周縁部の所定領域に焼入れされた焼入れ部37が設けられ、焼入れ部37は、口金30の焼入れされていない非焼入れ部18より硬度が高められている。口金30の焼入れ部37は、口金30の押出機4の本体部7側における開口部36の幅方向両側を含む開口部36の周縁部全体に設けられ、押出機4の本体部7側の表面から押出機4の反本体部側の表面側へ向けて所定深さを有するように設けられる。
【0052】
口金30の焼入れ部37は、口金30の押出機4の本体部7側における開口部36の幅方向両側のみに設けるようにしてもよい。口金30の焼入れ部37はまた、押出機4の本体部7側の表面13aから押出機4の反本体部側の表面13bに達するまで設けるようにしてもよい。
【0053】
このように、本実施形態に係る押出成形用口金30についても、ゴム材料をストリップゴム3として押出成形する開口部36の周縁部の所定領域に設けられる焼入れ部37によって、開口部36の周縁部の摩耗を抑制して押出成形用口金30の耐久性を向上させると共にストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制することができる。
【0054】
また、口金30の開口部36は、幅に比べて高さが小さい扁平な矩形状の断面形状を有している。これにより、幅に比べて高さが小さい扁平な矩形状の断面形状を有するストリップゴム3を押出成形する際に、ストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制することができる。
【0055】
図7は、本発明の第3実施形態に係る押出成形用口金の背面図である。第3実施形態に係る押出成形用口金40は、第1実施形態に係る押出成形用口金10と、開口部の形状が異なること以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
【0056】
第3実施形態に係る押出成形用口金40についても、押出機4の先端部に取り付けられて押出機4の本体部7から供給されるゴム材料を帯状のストリップゴム3として押出成形する開口部46を備えている。本実施形態では、口金40の開口部46は、
図7に示すように、幅に対して高さが小さい扁平な略台形状の断面形状に形成されている。
【0057】
口金40についても、押出機4の本体部7側における開口部46の周縁部の所定領域に焼入れされた焼入れ部47が設けられ、焼入れ部47は、口金40の焼入れされていない非焼入れ部18より硬度が高められている。口金40の焼入れ部47は、口金40の押出機4の本体部7側における開口部46の幅方向両側の周縁部を含む開口部46の周縁部全体に設けられ、押出機4の本体部7側の表面から押出機4の反本体部側の表面側へ向けて所定深さを有するように設けられる。
【0058】
口金40の焼入れ部47は、口金40の押出機4の本体部7側における開口部46の幅方向両側のみに設けるようにしてもよい。口金40の焼入れ部47はまた、押出機4の本体部7側の表面13aから押出機4の反本体部側の表面13bに達するまで設けるようにしてもよい。
【0059】
このように、本実施形態に係る押出成形用口金40についても、ゴム材料をストリップゴム3として押出成形する開口部46の周縁部の所定領域に設けられる焼入れ部47によって、開口部46の周縁部の摩耗を抑制して押出成形用口金40の耐久性を向上させると共にストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制することができる。
【0060】
また、口金40の開口部46は、幅に比べて高さが小さい扁平な台形状の断面形状を有している。これにより、幅に比べて高さが小さい扁平な台形状の断面形状を有するストリップゴム3を押出成形する際に、ストリップゴム3に成形不良が発生することを抑制することができる。
【0061】
第1実施形態及び第3実施形態においてそれぞれ、口金10,40に幅に比して高さが小さい扁平な三角形状又は台形状の断面形状を有する開口部16,46が形成される場合に、開口部16,46の幅方向両側と上面部16a,46a側の周縁部のみに焼入れ部が設けるようにしてもよい。
【0062】
前述した実施形態では、口金10,30,40の開口部16,36,46は、幅に比して高さが小さい扁平な矩形状、三角形状又は台形状の断面形状を有しているが、幅に比して高さが小さい扁平な他の断面形状などの他の断面形状を有するようにしてもよい。かかる場合においても、口金10,30,40は、押出機4の本体部7側における開口部16,36,46の周縁部の所定領域に焼入れ部17,37,47が設けられる。
【0063】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 巻回装置
2 ドラム
3 ストリップゴム
4 押出機
5 圧着ローラ
7 押出機の本体部
10,30,40 口金
16,36,46 開口部
17,17´,37,47 焼入れ部
GT グリーンタイヤ