IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスイーエー オートモーティブ ピーティーワイ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図1
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図2
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図3
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図4
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図5
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図6
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図7
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図8
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図9
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図10
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図11
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図12
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図13
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図14
  • 特許-商用電気自動車のための管理システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】商用電気自動車のための管理システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 9/18 20060101AFI20230529BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20230529BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230529BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20230529BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20230529BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230529BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20230529BHJP
   B60L 53/20 20190101ALI20230529BHJP
   B60L 58/24 20190101ALI20230529BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20230529BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230529BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230529BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B60L9/18 J
B60L1/00 L
B60L3/00 S
B60L7/14
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/20
B60L58/24
H01M10/42 P
H01M10/44 Q
H01M10/48 301
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018530123
(86)(22)【出願日】2017-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 AU2017050346
(87)【国際公開番号】W WO2018136990
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2019-12-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】2017900220
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518198808
【氏名又は名称】エスイーエー オートモーティブ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フェアウェザー,トニー
(72)【発明者】
【氏名】フェアウェザー,ウォーレン
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135584(JP,A)
【文献】特開2015-136107(JP,A)
【文献】特開平9-37415(JP,A)
【文献】特表2015-502879(JP,A)
【文献】特開2012-80630(JP,A)
【文献】特開2015-168376(JP,A)
【文献】特開2010-93676(JP,A)
【文献】特開2014-165641(JP,A)
【文献】特開2014-125098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電気自動車(EV)のための管理システムであって、
複数のCANバスを有するコントローラエリアネットワーク(CAN)であって、前記CANバスの各々は、前記EVの複数のコンポーネントに接続される、CANと、
前記CANに接続され、前記EVの前記複数のコンポーネントをCAN信号に基づいて監視及び/又は制御するように構成された車両コントローラと、を備え、
前記複数のコンポーネントの各々は、前記複数のCANバスの各々に接続されており、
前記複数のCANバスは、
電気モータに接続されたモータコントローラを有するモータコントローラシステムに接続されたドライブCANバスと、
高電圧(HV)バッテリを有するバッテリシステムに接続されたバッテリCANバスと、
テレマティックスシステムに接続されたテレマティックスCANバスと、
を有する、管理システム。
【請求項2】
前記車両コントローラは、後退を防ぐように前記電気モータのトルクを制御することで、ブレーキを使用しながら運転されている場合に前記EVの位置を維持するように構成されている、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記車両コントローラは更に、前記EVが惰走しており前記電気モータによって前記EVの前記HVバッテリに供給される回生電流を制御しているか否かを判定することによって、回生制動を制御するように構成されている、請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記車両コントローラは更に、前記EVのアクセルペダルの適用率を決定すると共に、前記モータコントローラによって供給されるパワーを監視して前記EVのドライバの運転効率を報告するように構成されており、
前記適用率は、前記アクセルペダルの総踏み込み量に対する前記アクセルペダルの実踏み込み量の比率である、請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記バッテリシステムは、前記HVバッテリに接続されたバッテリ管理システム(BMS)を備え、
前記車両コントローラは、バッテリ温度を監視すると共に、前記バッテリ温度に基づいて前記HVバッテリに供給される電流を制御するように構成されている、請求項1に記載の管理システム。
【請求項6】
前記BMSは、前記EVの複数の補助コンポーネントを選択的に活性化及び非活性化するように構成されたHV配電箱を備える、請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
前記複数の補助コンポーネントは、前記モータコントローラ、前記EVの運転室内のHVヒータ、HV空調(AC)コンプレッサ、エアコンプレッサ、パワーステアリングポンプ、HV充電器、及びそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の管理システム。
【請求項8】
前記テレマティックスシステムは、前記EV、前記EVのドライバ、又はそれら双方に関連した複数のパラメータを収集及び解析するように構成されている、請求項1に記載の管理システム。
【請求項9】
前記複数のパラメータは、加速度、制動、コーナリング、運転室温度、速度、診断、修理、保守、及びそれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の管理システム。
【請求項10】
前記複数のパラメータは、前記HVバッテリのバッテリ再生をさらに含む、請求項9に記載の管理システム。
【請求項11】
前記複数のパラメータは、有料荷重配送、配送ルート、配送時間をさらに含む、請求項10に記載の管理システム。
【請求項12】
前記テレマティックスシステムは更に、車両用娯楽システム、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、及びそれらの組み合わせを含むコンピューティングデバイスに、前記複数のパラメータを伝達するように構成されている、請求項11に記載の管理システム。
【請求項13】
前記テレマティックスシステムは更に、前記複数のパラメータを表示する前記コンピューティングデバイス上のダッシュボードを生成するように構成されている、請求項12に記載の管理システム。
【請求項14】
前記HVヒータは、
環境及びユーザの条件に基づいてヒータ要素を活性化し、
故障状態の場合はHVパワーからそれ自体を隔離し、
環境及びユーザの条件に基づいて流体流入/流出温度を調整する、
ように構成されている、請求項7に記載の管理システム。
【請求項15】
前記HV空調(AC)コンプレッサは、
環境及びユーザの条件に基づいてヒータ要素を活性化し、
故障状態の場合はHVパワーからそれ自体を隔離し、
環境及びユーザの条件に基づいて流体流入/流出温度を調整する、
ように構成されている、請求項7に記載の管理システム。
【請求項16】
冷却ポンプをさらに備え、
前記冷却ポンプは、低電圧(LV)制御からの入力に基づいて可変速度を有するように構成されている、請求項1に記載の管理システム。
【請求項17】
前記冷却ポンプは更に、前記LV制御からの入力に基づいて可変速度を有するように構成されている、請求項16に記載の管理システム。
【請求項18】
前記バッテリシステムは更に、HV充電器を備え、
前記車両コントローラは、前記CANを介して前記EVの動作条件を評価すると共に、前記HVバッテリを充電するためHV直流(DC)によって与えられる電力を制御するように、前記HV充電器を制御するように構成されている、請求項4に記載の管理システム。
【請求項19】
請求項1に記載の管理システムを用いてEVを動作させる、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の管理システムを備えた、EV。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、商用電気自動車(EV:electric vehicle)のための管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ヘビーデューティ電気トラック及びバンのような商用EVは、電気モータ、バッテリ、インバータ、エアコンプレッサ、冷却ポンプ、パワーステアリングポンプ、ラジエータファン等を含む多くの主要コンポーネント及び補助コンポーネントを備えている。これらのコンポーネントを商用EV用の一体型パワーパック(power pack)に効率的かつ安全にパッケージングすることは、本出願の出願人によるオーストラリア仮特許出願AU2016900910号に記載されている。この出願は参照により本願に含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] ヘビーデューティ商用EVの動作及び性能のあらゆる面を監視及び管理して、車両全体の効率の増大、動作コストの削減、及びドライバの安全の向上を図るため、完全に一体化されたシステムに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本発明によれば、
商用電気自動車(EV)のための管理システムであって、
EVの複数のコンポーネントに接続された複数のCANバスを備えたコントローラエリアネットワーク(CAN)と、
CANに接続され、EVの複数のコンポーネントをCAN信号に基づいて監視及び/又は制御するように構成された車両コントローラと、を備え、
複数のCANバス及びそれらのコンポーネントは、
電気モータに接続されたモータコントローラを備えたモータコントローラシステムに接続されたドライブCANバスと、
高電圧(HV)バッテリを備えたバッテリシステムに接続されたバッテリCANバスと、
テレマティックスシステムに接続されたテレマティックスCANバスと、を備え、
モータコントローラの動作温度を測定すると共に、冷却ポンプ及びラジエータファンの速度を調整して所定の動作温度を維持し、
HVバッテリのバッテリコンタクタの状態を監視すると共に、EVの始動に必要な時間量を最適化するように構成されている、管理システムを備える
システムが提供される。
【0005】
[0005] モータコントローラシステムは、モータに接続されたモータコントローラを備えることができる。車両コントローラは、後退を防ぐように電気モータのトルクを制御することで、ブレーキを使用しながら運転されている場合にEVの位置を維持するように構成されている。
【0006】
[0006] 車両コントローラは更に、EVが惰走しており、電気モータによってEVの高電圧(HV)バッテリに供給される回生電流を調整しているか否かを判定することによって、回生制動を制御するように構成できる。
【0007】
[0007] 車両コントローラは更に、モータコントローラの動作温度を測定すると共に、冷却ポンプ及びラジエータファンの速度を調整して所定の動作温度を維持するように構成できる。
【0008】
[0008] 車両コントローラは更に、EVのアクセルペダルの適用率(application rate)を決定すると共に、モータコントローラによって供給されるパワーを監視してEVのドライバの運転効率を最適化し報告するように構成できる。
【0009】
[0009] バッテリシステムは、HVバッテリに接続されたバッテリ管理システム(BMS)を備えることができる。車両コントローラは、バッテリ温度を監視すると共に、このバッテリ温度に基づいてHVバッテリに供給される電流を最適化するように構成されている。
【0010】
[0010] 車両コントローラは更に、HVバッテリのバッテリコンタクタの状態を監視すると共に、EVの始動に必要な時間量を最適化するように構成できる。
【0011】
[0011] BMSは、EVの効率を最適化するようにEVの複数の補助コンポーネントを選択的に活性化及び非活性化するよう構成されたHV配電箱を備えることができる。
【0012】
[0012] 複数の補助コンポーネントは、モータコントローラ、EVの運転室内のHVヒータ、HV空調(AC)コンプレッサ、エアコンプレッサ、パワーステアリングポンプ、HV充電器、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0013】
[0013] テレマティックスシステムは、EV、EVのドライバ、又はそれら双方に関連した複数のパラメータを収集及び解析するように構成できる。
【0014】
[0014] 複数のパラメータは、加速度、制動、コーナリング、バッテリ再生(battery regeneration)、運転室温度、速度、有料荷重配送(payload delivery)、配送ルート、配送時間、診断、修理、保守、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0015】
[0015] テレマティックスシステムは更に、車両用娯楽システム、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、及びそれらの組み合わせを含むコンピューティングデバイスに、複数のパラメータを伝達するように構成できる。
【0016】
[0016] テレマティックスシステムは更に、複数のパラメータを表示するコンピューティングデバイス上のダッシュボードを生成するように構成できる。
【0017】
[0017] HVヒータは、
環境及びユーザの条件に基づいてヒータ要素の活性化を最適化し、
故障状態の場合はHVパワーからそれ自体を隔離し、
環境及びユーザの条件に基づいて流体流入/流出温度を調整する、
ように構成することができる。
【0018】
[0018] HV ACコンプレッサは、
環境及びユーザの条件に基づいてヒータ要素の活性化を最適化し、
故障状態の場合はHVパワーからそれ自体を隔離し、
環境及びユーザの条件に基づいて流体流入/流出温度を調整する、
ように構成することができる。
【0019】
[0019] 冷却ポンプは、EVの効率を最適化するように、低電圧(LV)制御からの入力に基づいて可変速度を有するように構成できる。
【0020】
[0020] 冷却ポンプは更に、EVの効率を最適化するように、LV制御からの入力に基づいて可変速度を有するように構成できる。
【0021】
[0021] バッテリシステムは更にHV充電器を備えることができる。車両コントローラは、CANを介してEVの動作条件を評価すると共に、HVバッテリを充電するためHV直流(DC)によって与えられる電力を最適化するように、HV充電器を制御するように構成されている。
【0022】
[0022] また、本発明は、上述したシステムを用いてEVを動作させる方法を提供する。
【0023】
[0023] 本発明は更に、上述したシステムを備えたEVを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
[0024] これより、添付図面を参照して一例としてのみ本発明の実施形態について記載する。
【0025】
図1】本発明の一実施形態に従ったEVの電気システムの機能ブロック図である。
図2】EVの管理システムのCANアーキテクチャの機能ブロック図である。
図3】EVのドライブコントローラシステムの機能ブロック図である。
図4】EVのバッテリシステムの機能ブロック図である。
図5】EVのHV配電箱の機能ブロック図である。
図6】EVのバッテリシステムの機能ブロック図である。
図7】管理システムのテレマティックスシステムによって生成されたEVの動作/性能パラメータのダッシュボードのスクリーンショットである。
図8】EVのHVヒータの機能ブロック図である。
図9】EVのACコンプレッサの機能ブロック図である。
図10】EVの冷却ポンプの機能ブロック図である。
図11】EVの冷却ループアーキテクチャの機能ブロック図である。
図12】EVの冷却ファンの機能ブロック図である。
図13】EVのDC/DCインバータの機能ブロック図である。
図14】EVのHV充電器の機能ブロック図である。
図15】EVのHV充電器の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0025] 図1を参照すると、商用EV10は全体として、商用車両のシャシ16の向かい合った対のフレームレール14間に密接に合うように構成された電気パワーパック12を備えている。商用車両は、例えばバン、バス、又はトラックを含むミッドエンジンもしくはフロントエンジンの商用車両とすることができる。更に、商用車両は、新しい商用EV10に変換されるグライダー、又は電力に変換もしくは改造されるディーゼルもしくはガソリン商用車両とすることができる。電気パワーパック12は概ね、オーストラリア仮特許出願AU2016900910号に記載されているように構成できる。
【0027】
[0026] 更に具体的には、電気パワーパック12は、ラジエータファン18、HVバッテリ20、BMS22、モータコントローラ(又はマイクロコントローラユニット(MCU))24、電気モータ26、HVヒータ28、HV ACコンプレッサ30、冷却ポンプ32、DC/DCコンバータ34、エアコンプレッサ36、ステアリングコンプレッサ38、24Vヒューズ40、車両コントローラ(又は車両管理ユニット(VMU:vehicle management unit))42、車両インタフェース44(例えばアクセルペダル、ブレーキペダル、ドライブセレクタ、暖房換気及び空調(HVAC:heating ventilation and air conditioning)制御等)、HV配電箱46、テレマティックスシステム48、及び充電インフラストラクチャ52に接続できるHV充電器50を含む、EV10の主要コンポーネント及び補助コンポーネントを備えることができる。
【0028】
[0027] 図2は、EV10のための管理システム54のCANアーキテクチャを示す。CAN56は、EV10の上述の電気パワーパック12の主要コンポーネント及び補助コンポーネントに接続された複数のCANバスを備えることができる。CANバスは、ドライブCANバス58、バッテリCANバス60、及びテレマティックCANバス62を備え得る。別のCANバス64によって、HV ACコンプレッサ30をCAN56にも接続することも可能である。車両コントローラ42は、CAN56に接続されると共に、CAN信号に基づいてEV10の複数のコンポーネントを監視及び/又は制御するように構成され得る。コンポーネントの各々はCANノードにおいて各CANバスに接続することができる。各CANノードは、入出力デバイスとして、又は、CANインタフェース及びソフトウェアを有する埋め込みコンピュータもしくはコントローラとして構成され得る。センサ(図示せず)を、これらのコンポーネントに関連付けるか又は埋め込むことができ、また、CANノードにおいてCANバスに接続することができる。
【0029】
[0028] ドライブCANバス58は、モータコントローラ24及び電気モータ26を備えるモータコントローラシステムに接続することができる。車両コントローラ42は、後退を防ぐように電気モータ26のトルクを制御することで、ブレーキを使用しながら運転されている場合にEV10の位置を維持できる。車両コントローラ42は更に、EV10が惰走しており、電気モータ26によってEV10のHVバッテリ20に供給される回生電流を調整しているか否かを判定することによって、回生制動を制御するように構成できる。車両コントローラ42は更に、モータコントローラ24の動作温度を測定すると共に冷却ポンプ32及びラジエータファン18の速度を調整して所定の動作温度を維持するように構成できる。車両コントローラ42は更に、EV10のアクセルペダル44の適用率を決定すると共にモータコントローラ24によって供給されるパワーを監視してEV10のドライバの運転効率を最適化し報告するように構成することができる。
【0030】
[0029] バッテリCANバス60は、BMS22及びHVバッテリ20を備えるバッテリシステムに接続することができる。車両コントローラ42は、バッテリ温度を監視すると共に、このバッテリ温度に基づいてHVバッテリ20に供給される電流を最適化するように構成できる。車両コントローラ42は更に、HVバッテリ20のバッテリコンタクタの状態を監視すると共に、EV10の始動に必要な時間量を最適化するように構成できる。BMS22は、EV10の動作効率を最適化するように、EV10の複数の補助コンポーネントを選択的に活性化及び非活性化するように構成されたHV配電箱46を備えることができる。複数の補助コンポーネントは、モータコントローラ24、HVヒータ28、HV ACコンプレッサ30、エアコンプレッサ36、パワーステアリングポンプ38、HV充電器50、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0031】
[0030] テレマティックスCANバス62は、EV10、EV10のドライバ、又はそれら双方に関連した複数のパラメータを収集及び解析するように構成されたテレマティックスシステム48に接続することができる。複数のパラメータは、加速度、制動、コーナリング、バッテリ再生、運転室温度、速度、有料荷重配送、配送ルート、配送時間、診断、修理、保守、及びそれらの組み合わせを含み得る。テレマティックスシステムは更に、車両用娯楽システム、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、及びそれらの組み合わせを含むコンピューティングデバイスに、複数のパラメータを伝達するように構成できる。図7を参照すると、テレマティックスシステム48は更に、複数の動作及び/又は性能パラメータのうち1つ以上を表示するコンピューティングデバイス上のダッシュボード(又はグラフィカルユーザインタフェース)66を生成するように構成できる。
【0032】
[0031] テレマティックスシステムは、以下のように「TDDR」原理を実装し具現化することができる。
・(T)ruck(トラック)=オンラインダッシュボードを介して表示される商用EV10の診断及び動作最適化。この車両診断ツールは、事前の(proactive)及び事後の(reactive)双方の車両監視、診断、及び修理を可能とする。一例として、EV10が停車場に戻る前に車両LED光の故障を事前に報告し、従って保守グループは車両が戻った際に修理を行う準備をする。
・(D)river(ドライバ)=ドライバと商用EV10の相互作用を最適化し、その後、車両性能を最適化するためのテレメトリ。世界的な研究によって、ドライバはEVの全性能に対して最大で15%の影響を及ぼし得るので、ドライバと商用EVの相互作用を監視すること(その後、良好なドライバ技能に報酬を与える能力を有すること)は、テレマティックスシステムの重要な利点である。監視され得る動作及び/又は性能パラメータには、加速度、制動、コーナリング、バッテリ再生、運転室温度、及び速度が含まれる。
・(D)elivery(配送)=「スマートトラック(Smart Truck)」を、有料荷重配送及び受領者通信に連動させる能力。様々な理由による配送ミスの高いコストを削減する大きなチャンスである。開発の目的は、意図される家庭配送時間を事前に伝えることを可能とし、受領者によって(スマートフォン応答によって)その時間の確認を行う、新しい時間の提案を行う、又はドライバに特定の場所で引き渡すよう許可することである。この配達保証によって、オーストラリア又は他の地理的に広く分散した市場において実証され、(オンラインショッピング活動の増大のため)大きくなっている費用のかかる問題について、引き渡し当たりのコストの劇的な削減がオペレータに与えられる。
・(R)oute(ルート)=ルートプランニング及びリアルタイム最適化のためのルートデータ収集の重要性に関連する。毎日の配送ルートプロファイルは周期的に変化するので、ルートプランニングは、最適化されたサービス配送の非常に重要な機能である。この機能にとってデータ収集は重要であるので、管理システム54のテレマティックスシステムがルートデータを連続的に収集できることを保証し、これによって周期的ルート最適化及びリアルタイムルート最適化の双方を実行できることは非常に重要である。一例として、家庭配送受領者が前もって配送時間の変更を要求し、現在スケジューリングされているルートを、必要な配送及び集荷の全てをその特定の日に実行できるもっと効率的なルートに変更するよう車両に求めることが挙げられる。
【0033】
[0032] 現在、これらが全てそろった一式のデータ収集及び解析を商用EVに提供する統合テレメトリの全世界的なプロバイダは存在しない。TDDR解析の4つ全ての面が最適化されると、動作及びサービス性能のベンチマークレベルを提供できる。リアルタイム(車両内)ソフトウェア更新によって、管理システム54のテレマティックス機能性を利用する各車両が最新のソフトウェアを有し、改善点を絶え間なく診断することが保証される。
【0034】
[0033] 図8から図15は、EV10の電気システムのコンポーネントと、管理システム54におけるそれらの一体化を示す。図8を参照すると、HVヒータ28は、環境及びユーザの条件に基づいてヒータ要素の活性化を最適化し、故障状態の場合はHVパワーからそれ自体を隔離し、環境及びユーザの条件に基づいて流体流入/流出温度を調整するように構成することができる。
【0035】
[0034] 同様に、図9に示されている通り、HV ACコンプレッサ36は、環境及びユーザの条件に基づいてヒータ要素の活性化を最適化し、故障状態の場合はHVパワーからそれ自体を隔離し、環境及びユーザの条件に基づいて流体流入/流出温度を調整するように構成することができる。
【0036】
[0035] 図10を参照すると、冷却ポンプ32は、EV10の効率を最適化するように、LV制御からの入力に基づいて可変速度を有するよう構成することができる。冷却ポンプ32は更に、EV10の効率を最適化するように、LV制御からの入力に基づいて可変速度を有するよう構成することができる。
【0037】
[0036] 図11はEV10の冷却ループアーキテクチャを示す。冷却ループによって与えられる冷却構成は、モータコントローラ24、電気モータ26、及びHV充電器50を含む車両レベル電気コンポーネントに、最適化された直列/並列冷却システムを提供する。
【0038】
[0037] 図12及び図13はそれぞれ、EV10における冷却ファン18及びDC/DCコンバータ34の例示的な機能実施を示す。
【0039】
[0038] 図14及び図15を参照すると、車両コントローラ42は、CAN56を介してEV10の動作条件を評価すると共に、HVバッテリ20を充電するためHV直流(DC)によって与えられる電力を最適化するように、HV充電器50を制御するように構成することができる。
【0040】
[0039] 本発明の実施形態は、車両全体の効率の増大、動作コストの削減、及びドライバの安全性向上を図るために有用な、商用EVのための完全に一体化された監視、管理、及びテレマティックスシステムを提供する。
【0041】
[0040] 本明細書の目的のため、「備えている(comprising)」という言葉は「~を含むがこれに限定されない(including but not limited to)」を意味し、「備える(comprises)」という言葉は対応する意味を有する。
【0042】
[0041] 上記の実施形態は例示のためだけに記載したものであり、以下の特許請求の範囲内で変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15