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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】表示方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20230529BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20230529BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230529BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 641E
G09G3/20 622D
G02F1/133 535
G02F1/133 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019019791
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020126201
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 宏宜
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-242452(JP,A)
【文献】特開2008-304644(JP,A)
【文献】特開2018-120024(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186593(WO,A1)
【文献】特開2010-276966(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102629450(CN,A)
【文献】特表2006-506687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/34
G09G 3/20
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の画素と、共通電極と、前記画素毎に設けられた画素電極と、ポリマーおよび液晶分子を含む液晶層と、を含む表示パネルと、前記表示パネルに光を照射する光源と、第Xフレーム期間に含まれる3つの第1期間において前記共通電極と前記画素電極との間の電圧を制御して映像成分を書き込み、かつ、前記第Xフレーム期間に含まれる2つの第2期間において前記光源を点灯させるコントローラとを備える表示装置に適用される表示方法であって、
前記第Xフレーム期間に含まれる前記3つの第1期間のうちの最初の第1期間においては、前記第Xフレーム期間の直前の第X-1フレーム期間に含まれる3つの第1期間のうちの最後の第1期間において、前記共通電極と前記画素電極との間に電圧を印加して書き込んだ映像成分と同じ色の映像成分を、前記第X-1フレーム期間に続けて書き込むよう、前記共通電極と前記画素電極との間の電圧を制御すること、
を具備し、
前記第Xフレーム期間に含まれる第2期間は、2つだけであり、
前記第Xフレーム期間に含まれる前記2つの第2期間は、第1保持期間および第2保持期間であり、
前記第1保持期間において保持される映像成分の色は第1の色であり、前記第2保持期間において保持される映像成分の色は前記第1の色とは異なる第2の色であり、
前記第1保持期間は、前記第2保持期間よりも長く、
前記第Xフレーム期間に含まれる前記3つの第1期間は、第1走査期間、第2走査期間および第3走査期間であり、
前記第1走査期間は、前記第Xフレーム期間に含まれる前記3つの第1期間のうちの前記最初の第1期間であり、
前記第2走査期間は、前記第1走査期間の次の第1期間であり、
前記第3走査期間は、前記第2走査期間の次の第1期間であり、
前記第1走査期間は、前記第Xフレーム期間において前記第1保持期間と重畳し、
前記第1保持期間の一部は、前記第1走査期間と前記第2走査期間との間に位置し、
前記第2走査期間は、前記第Xフレーム期間において前記第2保持期間と重畳せず、
前記第2保持期間は、前記第Xフレーム期間において前記第2走査期間と前記第3走査期間との間に位置
前記第Xフレーム期間に含まれる前記第1保持期間においては、前記第X-1フレーム期間に含まれる前記最後の第1期間において書き込まれた前記第1の色の映像成分と、前記第Xフレーム期間に含まれる前記第1走査期間において書き込まれた前記第1の色の映像成分とを保持し、前記第1の色の光源のみを点灯させて、前記保持される第1の色の映像成分を表示し、
前記第Xフレーム期間に含まれる前記第2保持期間においては、前記第Xフレーム期間に含まれる前記第2走査期間において書き込まれた前記第2の色の映像成分を保持し、前記第2の色の光源のみを点灯させて、前記保持される第2の色の映像成分を表示する、
表示方法。
【請求項2】
前記第Xフレーム期間に含まれる前記第1走査期間の次に位置する前記第2走査期間においては、前記第1走査期間に書き込まれた前記第1の色の映像成分とは異なる前記第2の色の映像成分を書き込むよう、前記共通電極と前記画素電極との間の電圧を制御することをさらに具備する、
請求項に記載の表示方法。
【請求項3】
前記第Xフレーム期間に含まれる前記第2走査期間においては、前記第Xフレーム期間に含まれる前記第1保持期間において点灯された前記第1の色の光源を消灯させることをさらに具備する、
請求項に記載の表示方法。
【請求項4】
前記第Xフレーム期間に含まれる前記第3走査期間においては、前記第1走査期間に書き込まれた前記第1の色の映像成分および前記第2走査期間に書き込まれた前記第2の色の映像成分とは異なる第3の色の映像成分を書き込むよう、前記共通電極と前記画素電極との間の電圧を制御することをさらに具備する、
請求項に記載の表示方法。
【請求項5】
前記第Xフレーム期間に含まれる前記第3走査期間においては、前記第2保持期間において点灯された前記第2の色の光源を消灯させることをさらに具備する、
請求項に記載の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源と、画素電極および共通電極を含む一対の基板と、これら基板の間に配置された高分子分散型の液晶層とを備えた表示装置が知られている。例えば、高分子分散型の液晶層は、筋状のポリマーと、液晶分子とを含む。
【0003】
高分子分散型の液晶層においては、画素電極および共通電極の間の電界により液晶分子を回転させることで、ポリマーの光軸に対する液晶分子の光軸の傾きを制御することができる。これにより、画素毎に光源からの光の散乱度を制御し、表示装置に任意の映像(画像)を表示させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-333576号公報
【文献】特開2012-145684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高分子分散型の液晶層を備える表示装置において、さらなる表示品位の改善が求められている。そこで、本開示は、表示品位を向上させることが可能な表示装置および表示方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態における表示方法は、マトリクス状に配置された複数の画素と、共通電極と、前記画素毎に設けられた画素電極と、ポリマーおよび液晶分子を含む液晶層と、を含む表示パネルと、前記表示パネルに光を照射する光源と、第Xフレーム期間に含まれる3つの第1期間において前記共通電極と前記画素電極との間の電圧を制御して映像成分を書き込み、かつ、前記第Xフレーム期間に含まれる2つの第2期間において前記光源を点灯させるコントローラとを備える表示装置に適用される。前記表示方法は、前記第Xフレーム期間に含まれる前記3つの第1期間のうちの最初の第1期間においては、前記第Xフレーム期間の直前の第X-1フレーム期間に含まれる3つの第1期間のうちの最後の第1期間において、前記共通電極と前記画素電極との間に電圧を印加して書き込んだ映像成分と同じ色の映像成分を、前記第X-1フレーム期間に続けて書き込むよう、前記共通電極と前記画素電極との間の電圧を制御することを具備する。前記第Xフレーム期間に含まれる第2期間は、2つだけである。前記第Xフレーム期間に含まれる前記2つの第2期間は、第1保持期間および第2保持期間である。前記第1保持期間において保持される映像成分の色は第1の色であり、前記第2保持期間において保持される映像成分の色は前記第1の色とは異なる第2の色である。前記第1保持期間は、前記第2保持期間よりも長い。前記第Xフレーム期間に含まれる前記3つの第1期間は、第1走査期間、第2走査期間および第3走査期間である。前記第1走査期間は、前記第Xフレーム期間に含まれる前記3つの第1期間のうちの前記最初の第1期間である。前記第2走査期間は、前記第1走査期間の次の第1期間である。前記第3走査期間は、前記第2走査期間の次の第1期間である。前記第1走査期間は、前記第Xフレーム期間において前記第1保持期間と重畳する。前記第1保持期間の一部は、前記第1走査期間と前記第2走査期間との間に位置する。前記第2走査期間は、前記第Xフレーム期間において前記第2保持期間と重畳しない。前記第2保持期間は、前記第Xフレーム期間において前記第2走査期間と前記第3走査期間との間に位置する。前記第Xフレーム期間に含まれる前記第1保持期間においては、前記第X-1フレーム期間に含まれる前記最後の第1期間において書き込まれた前記第1の色の映像成分と、前記第Xフレーム期間に含まれる前記第1走査期間において書き込まれた前記第1の色の映像成分とを保持し、前記第1の色の光源のみを点灯させて、前記保持される第1の色の映像成分を表示する。前記第Xフレーム期間に含まれる前記第2保持期間においては、前記第Xフレーム期間に含まれる前記第2走査期間において書き込まれた前記第2の色の映像成分を保持し、前記第2の色の光源のみを点灯させて、前記保持される第2の色の映像成分を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態における表示装置の構成例を示す平面図である。
図2図2は、図1に示した表示装置の断面図である。
図3図3は、図1に示した表示装置が備える液晶層の構成を説明するための概略的な断面図である。
図4図4は、図1に示した表示装置の主要な構成要素を示す図である。
図5図5は、図1に示した表示装置の表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6図6は、図1に示した表示装置の表示動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7図7は、図5に示した表示動作に対する第1比較例を説明するためのタイミングチャートである。
図8図8は、図5に示した表示動作に対する第2比較例を説明するためのタイミングチャートである。
図9図9は、図1に示した表示装置の表示動作を説明するための別のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略することがある。
【0009】
以下では、表示装置の一例として、高分子分散型液晶を適用した表示装置について説明する。本実施形態の表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末等の種々の装置に用いることができる。
【0010】
図1は、本実施形態における表示装置DSPの構成例を示す平面図である。図中において、第1方向Xおよび第2方向Yは互いに交差する方向であり、第3方向Zは第1方向Xおよび第2方向Yと交差する方向である。一例では、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは、互いに直交しているが、互いに90度以外の角度で交差していても良い。
【0011】
表示装置DSPは、表示パネルPNL、配線基板F1乃至F5等を備えている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DA、および、表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域NDAを備えている。表示領域DAは、n本の走査線G(G1乃至Gn)、m本の信号線S(S1乃至Sm)等を備えている。なお、nおよびmはいずれも正の整数であり、nがmと等しくても良いし、nがmとは異なっていても良い。複数の走査線Gは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔をおいて並んでいる。複数の信号線Sは、それぞれ第2方向Yに延出し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0012】
表示パネルPNLは、第1方向Xに沿った端部E1およびE2と、第2方向Yに沿った端部E3およびE4とを有している。非表示領域NDAの幅について、端部E1と表示領域DAとの第2方向Yに沿った幅W1は、端部E2と表示領域DAとの第2方向Yに沿った幅W2より小さい。また、端部E3と表示領域DAとの第1方向Xに沿った幅W3は、端部E4と表示領域DAとの第1方向Xに沿った幅W4と同等である。また、幅W3およびW4は、幅W2より小さい。また、幅W3およびW4は、幅W1と同等であっても良いし、幅W1とは異なっていても良い。
【0013】
配線基板F1乃至F3は、この順に第1方向Xに並んでいる。配線基板F1は、ゲートドライバGD1を備えている。配線基板F2は、ソースドライバSDを備えている。配線基板F3は、ゲートドライバGD2を備えている。配線基板F1乃至F3は、それぞれ表示パネルPNLおよび配線基板F4に接続されている。配線基板F5は、タイミングコントローラTCや電源回路PC等を備えている。配線基板F4は、配線基板F5のコネクタCTに接続されている。なお、配線基板F1乃至F3は、単一の配線基板に置換されても良い。また、配線基板F1乃至F4は、単一の配線基板に置換されても良い。さらに、ゲートドライバGDやソースドライバSDは配線基板F1乃至F3に実装されるものに限らず、表示パネルPNLの非表示領域NDAにて直接表示パネルPNLに実装されるものであっても良い。
【0014】
図示した例では、端部E1の側から奇数番目の走査線がゲートドライバGD2に接続され、偶数番目の走査線がゲートドライバGD1に接続されているが、ゲートドライバGD1およびGD2と各走査線との接続関係は図示した例に限らない。
【0015】
図2は、図1に示した表示装置DSPの断面図である。ここでは、第2方向Yおよび第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置DSPの断面において、主要部のみを説明する。
【0016】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1、第2基板SUB2、液晶層LC等を備えている。第1基板SUB1は、透明基板10、画素電極11、配向膜12等を備えている。第2基板SUB2は、透明基板20、共通電極21、配向膜22等を備えている。画素電極11および共通電極21は、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料によって形成されている。液晶層LCは、高分子分散液晶を含み、配向膜12と配向膜22との間に位置している。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、シールSEによって接着されている。第1基板SUB1は、透明基板20の端部E5よりも第2方向Yに延出した延出部EXを有している。
配線基板F1乃至F3は、第1基板SUB1の延出部EXに接続されている。
【0017】
光源ユニットLUは、発光素子LS、配線基板F6等を備えている。発光素子LSは、配線基板F6に接続され、延出部EXの上に位置している。発光素子LSは、端部E5と対向する発光部EMを有している。発光部EMから出射された照明光は、端部E5から入射し、表示パネルPNLを伝播する。
【0018】
図3は、液晶層LCの構成例を説明するための、表示パネルPNLの概略的な断面図である。本実施形態において、液晶層LCは、筋状(ネットワーク状)のポリマー30と、液晶分子31とを有している。一例では、ポリマー30は、液晶性ポリマーである。液晶分子31は、ポリマー30の隙間に分散されている。図3に示すように、ポリマー30に接続されたモノマー32が存在しても良い。
【0019】
このような液晶層LCは、例えば配向膜12と配向膜22との間に液晶モノマーを注入し、これら配向膜12および22の配向規制力により所定方向に配向された液晶モノマーに対して紫外光を照射することで得られる。すなわち、紫外光により液晶モノマーが高分子化され、筋状のポリマー30が形成される。
【0020】
ポリマー30および液晶分子31の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。ポリマー30の電界に対する応答性は、液晶分子31の電界に対する応答性より低い。例えば、ポリマー30の配向方向は、画素電極11と共通電極21との間の電界に関わらずほとんど変化しない。一方、液晶分子31の配向方向は、当該電界に応じて変化する。
【0021】
図3において、実線で示す液晶分子31は、画素電極11と共通電極21との間に電位差が無い場合(電界が形成されていない場合)の配向状態を表している。また、破線で示す液晶分子31は、画素電極11と共通電極21との間に電位差がある場合(電界が形成されている場合)の配向状態を表している。
【0022】
液晶層LCに電界が作用していないか、あるいは当該電界が極めて弱い状態においては、ポリマー30および液晶分子31のそれぞれの光軸は互いに略平行となる。したがって、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内でほとんど散乱されることなく透過する。以下では、このような状態を透明状態と称する。また、透明状態を実現するための画素電極11の電圧を透明電圧と称する。透明電圧は、共通電極21に印加される共通電圧と同じであっても良いし、共通電圧と僅かに異なる電圧であっても良い。
【0023】
一方、液晶層LCに十分な電界が作用している状態では、ポリマー30および液晶分子31のそれぞれの光軸は互いに交差する。したがって、液晶層LCに入射した光は、液晶層LC内で散乱される。以下では、このような状態を散乱状態と称する。また、散乱状態を実現するための画素電極11の電圧を散乱電圧と称する。散乱電圧は、透明電圧よりも共通電極21との電位差が大きくなるような電圧であり、本実施形態においては、後述する赤色、緑色、青色の映像成分に応じた電圧がこれに相当する。
【0024】
なお、液晶分子31が、図3の実線の状態から破線の状態に遷移するまでには、画素電極11に散乱電圧が印加されてから僅かな時間を要する。つまり、散乱電圧が画素電極11に印加されたタイミングと、液晶分子31が実線の状態から破線の状態に遷移するタイミング(要するに、液晶分子31が散乱電圧に応答するタイミング)とは僅かに異なっている。
【0025】
図4は、図1に示した表示装置DSPの主要な構成要素を示す図である。
表示装置DSPは、図中に点線で示すコントローラCNTを備えている。コントローラCNTは、タイミングコントローラTC、ゲートドライバGD1およびGD2、ソースドライバSD、Vcom回路VC、光源ドライバLSD等を含む。
【0026】
タイミングコントローラTCは、外部から入力された画像データや同期信号等に基づいて各種信号を生成する。一例では、タイミングコントローラTCは、画像データ(映像データ)に基づき、所定の信号処理を行って生成した映像成分(映像信号)をソースドライバSDに出力する。また、タイミングコントローラTCは、同期信号に基づいて生成した制御信号を、ゲートドライバGD1およびGD2、ソースドライバSD、Vcom回路VC、光源ドライバLSDにそれぞれ出力する。
【0027】
図中に一点鎖線で示す表示領域DAは、複数の画素PXを備えている。各画素PXは、スイッチング素子SWおよび画素電極11を備えている。スイッチング素子SWは、走査線Gおよび信号線Sと電気的に接続されている。スイッチング素子SWは半導体層を備えており、この半導体層は、アモルファスシリコン(a-Si)や酸化物半導体、低温多結晶ポリシリコン(LTPS)等によって形成される。画素電極11は、スイッチング素子SWを介して信号線Sに接続されている。
【0028】
共通電極21は、複数の画素電極11と対向している。走査線Gの各々には、ゲートドライバGD1またはGD2から走査信号が供給される。信号線Sの各々には、ソースドライバSDから映像成分が供給される。共通電極21には、Vcom回路VCから共通電圧が供給される。信号線Sに供給された映像成分は、走査線Gに供給された走査信号に基づいてスイッチング素子SWが導通状態となった期間に、当該スイッチング素子SWに接続された画素電極11に供給される。
【0029】
以下の説明においては、画素電極11に映像成分を供給して画素電極11と共通電極21との間に電位差を形成することを、当該画素電極11を備える画素PXに映像成分(或いは映像成分に応じた電圧)を書き込むと記載することがある。また、以下の説明においては、上記した散乱状態から上記した透明状態に遷移させるために、画素電極11の電圧を透明電圧とすることを、当該画素電極11を備える画素PXに書き込まれた映像成分を消去すると記載することがある。
【0030】
なお、図4の例では、表示領域DAの全体にわたる共通電極21を示している。しかしながら、少なくとも1つの画素PX毎に区切られた複数の共通電極21が表示領域DAに配置され、各共通電極21が共通線にそれぞれ接続され、当該共通線を介してVcom回路VCから各共通電極21に共通電圧が供給されても良い。
【0031】
光源ユニットLUは、発光素子LSとして、赤色の光を放つ発光素子LSR、緑色の光を放つ発光素子LSG、および、青色の光を放つ発光素子LSBを備えている。これら発光素子LSR、LSG、LSBとしては、例えば発光ダイオード(LED)を用いることができるが、この例に限定されない。光源ドライバLSDは、タイミングコントローラTCからの制御信号に基づいて、これら発光素子LSR、LSG、LSBの点灯期間を制御する。なお、本実施形態においては、後述する1フレーム期間において、赤色、緑色、青色に対応した映像成分を時分割的に書き込み、書き込んだ映像成分に対応する色の発光素子を時分割的に点灯するフィールドシーケンシャル方式にて、表示装置DSPは駆動されるものとする。
【0032】
図5は、本実施形態に係る表示装置DSPにおける表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
1フレーム期間Fの開始時には、垂直同期信号Vsyncが立ち下がる。すなわち、図5の例では、垂直同期信号Vsyncが立ち下がってから、再度立ち下がるまでの期間が1フレーム期間Fに相当する。例えば60Hzで表示装置DSPを駆動する場合、1フレーム期間Fは約16.7msである。
【0033】
本実施形態において、1フレーム期間Fは、画素PXに映像成分を書き込むための複数の走査期間TS(第1期間)と、走査期間TSにおいて書き込まれた映像成分を保持するための複数の保持期間TH(第2期間)とを含む。
【0034】
より詳しくは、本実施形態における1フレーム期間Fは、(1)直前のフレーム期間に含まれる複数の走査期間TSのうちの、最後の走査期間TSと同じ色の映像成分を画素PXに書き込むための対象走査期間TSSと、(2)直前のフレーム期間に含まれる最後の走査期間TSにおいて書き込まれた映像成分と、当該対象走査期間TSSにおいて書き込まれた映像成分とを時分割で保持するための対象保持期間THSと、(3)当該対象走査期間TSSとは異なる色の映像成分を画素PXに書き込むための第1走査期間TS1と、(4)当該第1走査期間TS1において書き込まれた映像成分を保持するための第1保持期間TH1と、(5)当該対象走査期間TSSおよび当該第1走査期間TS1とは異なる色の映像成分を画素PXに書き込むための第2走査期間TS2と、を含む。
【0035】
1フレーム期間Fに含まれる対象走査期間TSS、第1走査期間TS1および第2走査期間TS2は、それぞれ、赤色の映像成分を画素PXに書き込むための赤色走査期間TSR、緑色の映像成分を画素PXに書き込むための緑色走査期間TSG、および、青色の映像成分を画素PXに書き込むための青色走査期間TSBのいずれかに該当する。
【0036】
また、1フレーム期間Fに含まれる対象保持期間THSおよび第1保持期間TH1は、それぞれ、赤色走査期間TSRにおいて書き込まれた赤色の映像成分を保持するための赤色保持期間THR、緑色走査期間TSGにおいて書き込まれた緑色の映像成分を保持するための緑色保持期間THG、および、青色走査期間TSBにおいて書き込まれた青色の映像成分を保持するための青色保持期間THBのいずれかに該当する。
なお、1フレーム期間Fに含まれる各走査期間TSおよび各保持期間THはサブフレームと称されても良い。また、各保持期間THはブランキング期間と称されても良い。
【0037】
図5では、1フレーム期間Fが、上記したように、対象走査期間TSS、対象保持期間THS、第1走査期間TS1、第1保持期間TH1および第2走査期間TS2を含むとしたが、これに限定されず、1フレーム期間Fは、例えば、対象走査期間TSSの直前にブランキング期間をさらに含むとしても良いし、第2走査期間TS2の直後にブランキング期間をさらに含むとしても良い。また、1フレーム期間Fは、例えば、各保持期間THの直後に透明電圧を印加して、保持されていた映像成分を消去する期間をさらに含むとしても良い。
【0038】
以下、図5の第Xフレームに着目して、1フレーム期間Fについて具体的に説明する。
第Xフレームにおいては、まず対象走査期間TSSとして、直前のフレーム期間である第X-1フレームに含まれる最後の走査期間TSR1と同じ赤色の映像成分を画素PXに書き込むための赤色走査期間TSR2が設けられている。
【0039】
赤色走査期間TSR2は、走査線G1乃至Gnと同数のn個の水平走査期間を含む。なお、水平走査期間は水平期間と称されても良い。各水平走査期間においては、ゲートドライバGD1およびGD2が各走査線G1乃至Gnに走査信号を順次供給する。また、この走査信号の供給の間、ソースドライバSDが赤色の映像成分に応じた電圧(散乱電圧)を各信号線S1乃至Smに供給する。より詳しくは、走査信号が供給されたラインの各画素PXに対応する階調の電圧を一斉に各信号線S1乃至Smに供給する動作が繰り返される。
【0040】
このような動作により、各画素PXの画素電極11と共通電極21との間に、赤色の映像成分に応じた電圧が書き込まれる。全ての画素PXに赤色の映像成分に応じた電圧が書き込まれるまでにかかる時間、すなわち、赤色走査期間TSR2は、例えば3.33msである。
【0041】
また、第Xフレームにおいては、対象保持期間THSとして、直前のフレーム期間である第X-1フレームに含まれる最後の走査期間TSR1において書き込まれた赤色の映像成分に液晶(液晶分子31)が応答し始めるタイミングを始点とした赤色保持期間THRが設けられている。対象保持期間THSは、対象走査期間TSSと重畳している。
【0042】
なお、図5においては、説明の便宜上、対象走査期間TSSと対象保持期間THSとが同じタイミングで開始される場合を例示しているが、対象保持期間THSが開始されるタイミングは、上記したように、走査期間TSR1において書き込まれた赤色の映像成分に液晶が応答し始めるタイミングであり、図5のタイミングに限定されない。
【0043】
赤色保持期間THRにおいては、赤色の発光素子LSRが点灯される。これによれば、第X-1フレームに含まれる最後の走査期間TSR1において書き込まれた赤色の映像成分と、対象走査期間TSSである赤色走査期間TSR2において書き込まれた赤色の映像成分とに応じた赤色の映像(画像)が表示領域DAに表示される。なお、赤色の映像が表示領域DAに表示される時間、すなわち、赤色保持期間THRは、例えば6.66(=3.33×2)msである。
【0044】
第Xフレームにおいては、対象保持期間THS(この場合、赤色保持期間THR)に続いて、対象走査期間TSSである赤色走査期間TSR2とは異なる色の映像成分を書き込むための第1走査期間TS1として、緑色走査期間TSGが設けられている。
【0045】
なお、図5においては、第1走査期間TS1として、緑色走査期間TSGが設けられている場合を例示したが、これに限定されず、第1走査期間TS1は、対象走査期間TSS(この場合、赤色走査期間TSR2)と異なる色の映像成分を書き込むための期間であれば良いので、青色走査期間TSBが第1走査期間TS1として設けられても良い。この場合、緑色走査期間TSGが、後述する第2走査期間TS2として設けられる。
【0046】
緑色走査期間TSGは、赤色走査期間TSR2と同様に、走査線G1乃至Gnと同数のn個の水平走査期間を含み、各水平走査期間においては、ゲートドライバGD1およびGD2が各走査線G1乃至Gnに走査信号を順次供給する。また、この走査信号の供給の間、ソースドライバSDが緑色の映像成分に応じた電圧を各信号線S1乃至Smに供給する。
【0047】
このような動作により、各画素PXの画素電極11と共通電極21との間に、緑色の映像成分に応じた電圧が書き込まれる。全ての画素PXに緑色の映像成分に応じた電圧が書き込まれるまでにかかる時間、すなわち、緑色走査期間TSGは、赤色走査期間TSR2と同様に、例えば3.33msである。
【0048】
なお、第1走査期間TS1の間、発光素子LSは消灯される。
【0049】
第Xフレームにおいては、第1走査期間TS1(この場合、緑色走査期間TSG)に続いて、当該第1走査期間TS1において書き込まれた緑色の映像成分を保持するための第1保持期間TH1として、緑色保持期間THGが設けられている。
【0050】
緑色保持期間THGにおいては、緑色の発光素子LSGが点灯される。これによれば、第1走査期間TS1である緑色走査期間TSGにおいて書き込まれた緑色の映像成分に応じた緑色の映像が表示領域DAに表示される。なお、緑色の映像が表示領域DAに表示される時間、すなわち、緑色保持期間THGは、例えば3.33msである。
【0051】
第Xフレームにおいては、第1保持期間TH1(この場合、緑色保持期間THG)に続いて、対象走査期間TSSおよび第1走査期間TS1とは異なる色の映像成分を書き込むための第2走査期間TS2として、また、当該第Xフレームに含まれる最後の走査期間TSとして、青色走査期間TSBが設けられている。
【0052】
青色走査期間TSBは、赤色走査期間TSR2および緑色走査期間TSGと同様に、走査線G1乃至Gnと同数のn個の水平走査期間を含み、各水平走査期間においては、ゲートドライバGD1およびGD2が各走査線G1乃至Gnに走査信号を順次供給する。また、この走査信号の供給の間、ソースドライバSDが青色の映像成分に応じた電圧を各信号線S1乃至Smに供給する。
【0053】
このような動作により、各画素PXの画素電極11と共通電極21との間に、青色の映像成分に応じた電圧が書き込まれる。全ての画素PXに青色の映像成分に応じた電圧が書き込まれるまでにかかる時間、すなわち、青色走査期間TSBは、赤色走査期間TSR2および緑色走査期間TSGと同様に、例えば3.33msである。
【0054】
なお、第2走査期間TS2の間、発光素子LSは消灯される。
【0055】
第Xフレームの次のフレーム期間である第X+1フレームの開始時には、当該第Xフレームの最後の走査期間TSである青色走査期間TSBと同じ色の映像成分を書き込むための青色走査期間TSBが、第X+1フレームにおける対象走査期間TSSとして設けられる。また、第X+1フレームにおいては、対象走査期間TSSである青色走査期間TSBと重畳する青色保持期間THBが対象保持期間THSとして設けられる。
【0056】
図6は、図5に示す表示装置DSPにおける表示動作が複数フレームに亘って実行された場合のタイミングチャートを示す。
まず、第Xフレームにおいては、対象走査期間TSSとして、直前のフレーム期間である第X-1フレームに含まれる最後の走査期間TSG1と同じ緑色の映像成分を画素PXに書き込むための緑色走査期間TSG2が設けられている。
【0057】
また、第Xフレームにおいては、対象保持期間THSとして、直前のフレーム期間である第X-1フレームに含まれる最後の走査期間TSG1において書き込まれた緑色の映像成分に液晶が応答し始めるタイミングを始点とした緑色保持期間THGが設けられている。図5においても示したように、対象保持期間THSは、対象走査期間TSS(この場合、緑色保持期間THG)と重畳している。
【0058】
第Xフレームにおいては、対象保持期間THS(この場合、緑色保持期間THG)に続いて、対象走査期間TSSである緑色走査期間TSG2とは異なる色の映像成分を書き込むための第1走査期間TS1として、青色走査期間TSBが設けられている。
【0059】
第Xフレームにおいては、第1走査期間TS1(この場合、青色走査期間TSB)に続いて、当該第1走査期間TS1において書き込まれた青色の映像成分を保持するための第1保持期間TH1として、青色保持期間THBが設けられている。
【0060】
第Xフレームにおいては、第1保持期間TH1(この場合、青色保持期間THB)に続いて、対象走査期間TSSおよび第1走査期間TS1とは異なる色の映像成分を書き込むための第2走査期間TS2として、赤色走査期間TSR1が設けられている。この赤色走査期間TSR1が、第Xフレームにおける最後の走査期間TSに相当する。
【0061】
次に、第X+1フレームにおいては、対象走査期間TSSとして、直前のフレーム期間である第Xフレームに含まれる最後の走査期間TSR1と同じ赤色の映像成分を画素PXに書き込むための赤色走査期間TSR2が設けられている。
【0062】
また、第X+1フレームにおいては、対象保持期間THSとして、直前のフレーム期間である第Xフレームに含まれる最後の走査期間TSR1において書き込まれた赤色の映像成分に液晶が応答し始めるタイミングを始点とした赤色保持期間THRが設けられている。第X+1フレームにおける対象保持期間THS(この場合、赤色保持期間THR)は、第Xフレームと同様に、対象走査期間TSS(この場合、赤色走査期間TSR2)と重畳している。
【0063】
第X+1フレームにおいては、対象保持期間THS(この場合、赤色保持期間THR)に続いて、対象走査期間TSSである赤色走査期間TSR2とは異なる色(かつ、直前のフレーム期間である第Xフレームにおける対象走査期間TSSと同じ色)の映像成分を書き込むための第1走査期間TS1として、緑色走査期間TSGが設けられている。
【0064】
第X+1フレームにおいては、第1走査期間TS1(この場合、緑色走査期間TSG)に続いて、当該第1走査期間TS1において書き込まれた緑色の映像成分を保持するための第1保持期間TH1として、緑色保持期間THGが設けられている。
【0065】
第X+1フレームにおいては、第1保持期間TH1(この場合、緑色保持期間THG)に続いて、対象走査期間TSSおよび第1走査期間TS1とは異なる色の映像成分を書き込むための第2走査期間TS2として、青色走査期間TSB1が設けられている。この青色走査期間TSB1が、第X+1フレームにおける最後の走査期間TSに相当する。
【0066】
次に、第X+2フレームにおいては、対象走査期間TSSとして、直前のフレーム期間である第X+1フレームに含まれる最後の走査期間TSB1と同じ青色の映像成分を画素PXに書き込むための青色走査期間TSB2が設けられている。
【0067】
また、第X+2フレームにおいては、対象保持期間THSとして、直前のフレーム期間である第X+1フレームに含まれる最後の走査期間TSB1において書き込まれた青色の映像成分に液晶が応答し始めるタイミングを始点とした青色保持期間THBが設けられている。第X+2フレームにおける対象保持期間THS(この場合、青色保持期間THB)は、第Xフレームおよび第X+1フレームと同様に、対象走査期間TSS(この場合、青色走査期間TSB2)と重畳している。
【0068】
第X+2フレームにおいては、対象保持期間THS(この場合、青色保持期間THB)に続いて、対象走査期間TSSである青色走査期間TSB2とは異なる色(かつ、直前のフレーム期間である第X+1フレームにおける対象走査期間TSSと同じ色)の映像成分を書き込むための第1走査期間TS1として、赤色走査期間TSRが設けられている。
【0069】
第X+2フレームにおいては、第1走査期間TS1(この場合、赤色走査期間TSR)に続いて、当該第1走査期間TS1において書き込まれた赤色の映像成分を保持するための第1保持期間TH1として、赤色保持期間THRが設けられている。
【0070】
第X+2フレームにおいては、第1保持期間TH1(この場合、赤色保持期間THR)に続いて、対象走査期間TSSおよび第1走査期間TS1とは異なる色の映像成分を書き込むための第2走査期間TS2として、緑色走査期間TSG1が設けられている。この緑色走査期間TSG1が、第X+2フレームにおける最後の走査期間TSに相当する。第X-1フレームの構成は、当該第X+2フレームの構成と同様である。
【0071】
第X+3フレーム以降においても、上記した第Xフレーム、第X+1フレームおよび第X+2フレームにおける表示動作と同様な表示動作が繰り返し実行される。
【0072】
次に、第1比較例および第2比較例を用いて、本実施形態に係る表示装置DSPの効果について説明する。なお、第1比較例および第2比較例は、本実施形態に係る表示装置DSPが奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、これら比較例と本実施形態とで共通する構成や効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0073】
図7は、第1比較例に係る表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
第1比較例に係る1フレーム期間Fは、第Xフレームに示されるように、直前のフレーム期間において書き込まれた青色の映像成分に応じた映像を表示するための青色表示期間TDBと、赤色の映像成分を画素PXに書き込むための赤色走査期間TSRと、当該赤色走査期間TSRにおいて書き込まれた赤色の映像成分に応じた映像を表示するための赤色表示期間TDRと、緑色の映像成分を画素PXに書き込むための緑色走査期間TSGと、当該緑色走査期間TSGにおいて書き込まれた緑色の映像成分に応じた映像を表示するための緑色表示期間TDGと、青色の映像成分を画素PXに書き込むための青色走査期間TSBと、を含む。
【0074】
青色表示期間TDBにおいては青色の発光素子LSBが点灯し、赤色表示期間TDRにおいては赤色の発光素子LSRが点灯し、緑色表示期間TDGにおいては緑色の発光素子LSGが点灯する。
【0075】
図7に示されるように、青色表示期間TDBと赤色走査期間TSRとは重畳している。赤色表示期間TDRと緑色走査期間TSGとは重畳している。緑色表示期間TDGと青色走査期間TSBとは重畳している。
【0076】
図7に示す表示動作の場合、各走査期間TSR、TSG、TSBは、例えばそれぞれ5.55msである。また、各表示期間TDR、TDG、TDBは、例えばそれぞれ2.78msである。
【0077】
第1比較例に係る表示動作の場合、図7に示されるように、直前の走査期間TSにおいて書き込まれた映像成分の色に対応した発光素子LSが点灯している間に、別の色の映像成分が画素PXに書き込まれてしまうため、表示領域DAに表示される映像の色が正しい色とならない色割れという現象が生じてしまう。この色割れという現象は、表示装置DSPの表示品位を損なう現象であり、好ましい現象ではない。
【0078】
これに対し、本実施形態に係る表示動作の場合、図5および図6に示されるように、直前の走査期間TSにおいて書き込まれた映像成分の色に対応した発光素子LSが点灯している間は、映像成分が画素PXには書き込まれないか、点灯している発光素子LSと同じ色の映像成分が画素PXに書き込まれるか、のどちらかであるため、点灯している発光素子LSの色と、画素PXに書き込まれている映像成分の色とに違いが生じることがない。これによれば、上記した色割れの発生を抑止することが可能である。
【0079】
図8は、第2比較例に係る表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
第2比較例に係る1フレーム期間Fにおいては、各色に対応した映像成分を画素PXに書き込むための走査期間TSと、画素PXに書き込まれた各色に対応した映像成分を保持するための保持期間THとが重畳しないように設けられている。具体的には、第2比較例に係る1フレーム期間Fは、第Xフレームに示されるように、赤色走査期間TSR、赤色保持期間THR、緑色走査期間TSG、緑色保持期間THG、青色走査期間TSBおよび青色保持期間THBを含み、各色に対応した走査期間TSと保持期間THとが順に並べて設けられている。
【0080】
なお、図8では、赤色、緑色、青色の順に、走査期間TSおよび保持期間THが順に並んだ場合を例示しているが、これに限定されず、各色の順序は任意の順序であって構わない。例えば、緑色、青色、赤色の順に、走査期間TSおよび保持期間THが順に並ぶとしても良いし、青色、赤色、緑色の順に、走査期間TSおよび保持期間THが順に並ぶとしても良い。
【0081】
図8に示す表示動作の場合、各走査期間TSR、TSG、TSBおよび各保持期間THR、THG、THBは、例えばそれぞれ2.78msである。
【0082】
第2比較例に係る表示動作の場合、図8に示されるように、各色に対応した発光素子LSは、各色に対応した保持期間THでのみ点灯され、各色に対応した走査期間TSでは消灯されるため、直前の走査期間TSにおいて書き込まれた映像成分の色に対応した発光素子LSが点灯している間に、別の色の映像成分が画素PXに書き込まれてしまうといったことがなく、上記した色割れの発生を抑止することが可能である。
【0083】
一方で、第2比較例に係る表示動作の場合、各色に対応した走査期間TSおよび保持期間THを重畳しないように設ける必要がある。このため、表示装置DSPを60Hzで駆動する場合、各走査期間TSR、TSG、TSBに割り当て可能な時間は、上記したように、1フレーム期間Fを6分割した2.78msが上限となる。これによれば、例えば、表示装置DSPに設けられる走査線Gの本数が増加し、駆動負荷が増加するような場合に、各色に対応した映像成分を画素PXに書き込むための時間を十分に得ることができないという不都合がある。すなわち、表示装置DSPに設けられる表示領域DAの大型化や高精細化を実現することができないという不都合がある。
【0084】
これに対し、本実施形態に係る表示動作の場合、1フレーム期間Fの構成を対象走査期間TSSおよび対象保持期間THSを含む構成としたことにより、図8に示す青色保持期間THBに相当する期間を省略することが可能である。これによれば、1フレーム期間Fを6分割ではなく5分割にすることが可能となるので、表示装置DSPを60Hzで駆動する場合、各走査期間TSR、TSG、TSBに割り当て可能な時間を2.78msから3.33msにすることができる。つまり、表示装置DSPに設けられる走査線Gの本数が増加し、駆動負荷が増加したとしても、各色に対応した映像成分を画素PXに書き込むための時間を十分に確保することができ、表示装置DSPに設けられる表示領域DAの大型化や高精細化を実現することが可能である。
【0085】
また、本実施形態に係る表示動作の場合、第2比較例に係る表示動作に比べて、各走査期間TSR、TSG、TSBだけでなく、各保持期間THR、THG、THBもまた長くすることが可能であるので、各色に対応した映像成分が書き込まれた画素PXの輝度をより高めることが可能である。すなわち、第2比較例に係る表示動作を行った場合に比べて、より明るい映像をユーザへ提供することが可能である。
【0086】
さらに、本実施形態に係る表示動作の場合、上記したように、第2比較例に係る表示動作に比べて、各保持期間THR、THG、THBを長くすることが可能であるので、発光素子LSの光量を下げたとしても、第2比較例に係る表示動作の場合と同等の輝度を実現することが可能である。これによれば、発光素子LSの光量を下げた分だけ、省電力化を実現することが可能である。
【0087】
ここで、図9を参照して、本実施形態に係る表示動作により得られる別の効果についても説明する。図9(a)は、第2比較例に係る表示動作を示し、図9(b)は、本実施形態に係る表示動作を示している。図9(b)に示す本実施形態に係る表示動作においては、1フレーム期間Fに含まれる走査期間TSの時間を、図5(および図6)に示した3.33msではなく、第2比較例に係る表示動作と同様に2.78msとしている点で、図5(および図6)に示した場合と相違している。
【0088】
例えば、表示装置DSPに設けられる表示領域DAの大きさが第2比較例に係る表示動作で事足りる大きさであった場合、つまり、各色に対応した映像成分を画素PXに書き込むための時間が2.78msで十分な場合、本実施形態に係る表示動作によれば、図9(b)に示すように、図9(a)に示す青色保持期間THBに相当する期間を省略することが可能であるので、第2比較例に係る表示動作に比べて、1フレーム期間Fを短くすることが可能である。すなわち、本実施形態に係る表示動作によれば、第2比較例に係る場合に比べて、およそ1.2倍程度、フレームレートを向上させることが可能であり、ひいては、映像表示性能の向上を期待することが可能である。
【0089】
以上説明した一実施形態によれば、高分子分散型の液晶層を備える表示装置の表示品位を向上させることが可能である。
【0090】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0091】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0092】
また、各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0093】
Vsync…垂直同期信号、G1乃至Gn…走査線、F…1フレーム期間、TS…走査期間、TSS…対象走査期間、TS1…第1走査期間、TS2…第2走査期間、TSR…赤色走査期間、TSG…緑色走査期間、TSB…青色走査期間、TH…保持期間、THS…対象保持期間、TH1…第1保持期間、THR…赤色保持期間、THG…緑色保持期間、THB…青色保持期間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9