(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
F16K 15/03 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
F16K15/03 F
(21)【出願番号】P 2019019812
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】臼井 春範
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-060436(JP,A)
【文献】特開2016-205616(JP,A)
【文献】実開昭51-053524(JP,U)
【文献】特開2013-155867(JP,A)
【文献】実開昭50-080825(JP,U)
【文献】特許第7055604(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する弁箱と、前記開口を開閉する弁体とを備える逆止弁において、
前記弁箱に着脱可能に取り付けられる蓋体と、
前記弁体及び前記蓋体を接続するアーム部材と、を備え、
前記アーム部材の一端には、前記弁体が接続され、
前記蓋体には、前記アーム部材を回動させるための回動軸が軸受を介して取り付けられ、該回動軸は、前記アーム部材の他端に接続されており、
前記回動軸が回動するとき、前記アーム部材及び前記弁体が、前記回動軸に連動して回動するように構成され、
前記アーム部材は前記弁体が前記開口を開放したときに前記蓋体に接触するストッパーを有し、
前記弁体が前記開口を開放し且つ前記ストッパーが前記蓋体に当接しているとき、前記弁体は前記弁箱から離間しており、
前記ストッパーは弾性部材を有し、前記弁体が前記開口を開放したとき、前記弾性部材が前記蓋体に当接していることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記
アーム部材は前記ストッパーを複数有することを特徴とする請求項1記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、管路内を上流から下流に流れる流体が逆流するのを防止するために、管路に設置されるスイング式の逆止弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の逆止弁は開口を有する弁箱、弁箱の開口を開閉し且つ弁箱に配設される弁体、及び弁箱に配設されるストッパーを備え、弁体は開口を開放するときにストッパーに当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の逆止弁は、弁体がストッパーに接触すると、弁体やストッパーが破損する場合がある。弁体やストッパーが破損したときに弁体やストッパーを交換する必要があるが、これらは弁箱に配設されているため、弁箱から破損した弁体やストッパーを取り出さなければならず、弁体やストッパーを交換する際の作業効率は低下する。また、ストッパーが弁箱に配設されているため、弁体がストッパーに接触したときに発生する衝撃がストッパーを介して弁箱に加わり、弁箱が破損する場合がある。弁箱が破損すると、弁箱を交換しなければならないが、管路内に設置される逆止弁の弁箱を交換するには、まず、管路内の流体の流れを止め、流体が逆止弁を流れるのを防止しなければならないため、弁箱の交換作業は大掛かりになる。
【0005】
すなわち、従来の逆止弁は、弁箱が破損するのを回避するとともに、メンテナンスを容易に実行することができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、弁箱が破損するのを回避するとともに、メンテナンスを容易に実行することができる逆止弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る逆止弁は、開口を有する弁箱と、前記開口を開閉する弁体とを備える逆止弁において、前記弁箱に固定される蓋体と、前記弁体及び前記蓋体を接続するアーム部材と、を備え、前記アーム部材の一端には、前記弁体が接続され、前記蓋体には、前記アーム部材を回動させるための回動軸が軸受を介して取り付けられ、該回動軸は、前記アーム部材の他端に接続されており、前記回動軸が回動するとき、前記アーム部材及び前記弁体が、前記回動軸に連動して回動するように構成され、前記アーム部材は前記弁体が前記開口を開放したときに前記蓋体に接触するストッパーを有し、前記弁体が前記開口を開放し且つ前記ストッパーが前記蓋体に当接しているとき、前記弁体は前記弁箱から離間しており、前記ストッパーは弾性部材を有し、前記弁体が前記開口を開放したとき、前記弾性部材が前記蓋体に当接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の逆止弁によれば、弁箱が破損するのを回避するとともに、メンテナンスを容易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る逆止弁の斜視図であり、
図1(a)は弁箱に蓋体が取り付けられている様子を示す図であり、
図1(b)は弁箱から蓋体が取り外されている様子を示す図である。
【
図2】
図1(a)のA-A線に沿う断面図であり、逆止弁の内部構成を説明するとともに、弁体が流入部を閉塞する様子を説明するために用いられる図である。
【
図3】
図1(a)のA-A線に沿う断面図であり、弁体が流入部を開放する様子を説明するために用いられる図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る逆止弁10の斜視図であり、
図1(a)は弁箱11に蓋体12が取り付けられている様子を示す図であり、
図1(b)は弁箱11から蓋体12が取り外されている様子を示す図である。
【0012】
図1(a)において、逆止弁10は、流体が逆止弁10の内部に流入するための流入部11a、流入部11aから流入した流体が逆止弁10から流出する際に経由する流出部11b、及び流入部11a及び流出部11bの間に介在する本体部11cを有する弁箱11と、流入部11aを開閉する弁体13と、複数のボルト,ナット14によって弁箱11に固定されている蓋体12と、弁体13の閉塞を補助するカウンターウエイト15を備える。
【0013】
逆止弁10は流体が流れる管路、例えば、水道管に接続されている。具体的に、流入部11aは流入フランジ部11dを備えるとともに、流出部11bは流出フランジ部11eを備え、水道管は不図示の上流側接続部及び下流側接続部を備え、流入フランジ部11d及び上流側接続部が複数のボルト及びナットによって接続されるとともに、流出フランジ部11e及び下流側接続部が複数のボルト及びナットによって接続される。これにより、逆止弁10は水道管に接続される。弁箱11の本体部11cは脚部11fを備え、脚部11fは弁箱11の本体部11cから突出するとともに、弁箱11の本体部11cを介して蓋体12に対向している。逆止弁10が平坦な場所に設置されるとき、脚部11fは逆止弁10を支持する。
【0014】
図2は、
図1(a)のA-A線に沿う断面図であり、逆止弁10の内部構成を説明するとともに、弁体13が流入部11aを閉塞する様子を説明するために用いられる図である。
【0015】
図2において、弁箱11は弁箱11の本体部11c及び流入部11aの境界に弁箱弁座21を有し、弁箱弁座21は流入部11aを囲んでいる。弁体13は後述の開閉機構20を介して蓋体12に接続され、流入部11aを開閉する。本実施の形態では、弁体13は円板形状の金属製芯金からなる弁体本体と、弁体本体の表面にゴムライニング処理を施すことによって形成されたゴム層とからなり、弁体13の外縁は弁箱弁座21に接離可能な弁体弁座22を有する。弁体13が流入部11aを閉塞するとき、弁箱弁座21及び弁体弁座22は当接している。
【0016】
弁体弁座22は弁箱弁座21に対して突出する少なくとも1つの環状の突起部23を有する。本実施の形態では、弁体弁座22は1つの突起部23を備え、弁体弁座22が弁箱弁座21に当接するとき、突起部23は弁体13の自重によって潰れるように変形する。その結果、弁体13が微動しても突起部23は変形可能な範囲で弁箱弁座21に密着しているので、弁体弁座22が弁箱弁座21から離間して流体が弁箱11の本体部11cから流入部11aに逆流するのを防止することができる。
【0017】
図1に戻り、蓋体12は後述の開閉機構20を構成する回動軸16を支持するための軸受17を有する。軸受17は回動軸16を支持し、回動軸16の一端にはカウンターウエイト15が支持される。すなわち、軸受17は回動軸16及びカウンターウエイト15を支持する。カウンターウエイト15は重量部15a及び固定部15bを有し、固定部15bは回動軸16の一端に固定されている。弁箱11及び蓋体12を固定するボルト,ナット14の全てが外されると、弁箱11から蓋体12及び蓋体12に接続される弁体13が取り外され、開口18が露出するとともに、ボルトが係合するためのボルト孔19が露出する(
図1(b))。
【0018】
図1(b)において、開口18及びボルト孔19の間には、止水用弾性シール材、例えば、ゴム製のOリングを嵌合するための嵌合溝11gが形成されている。したがって、弁体13が接続された蓋体12が弁箱11に固定されるとき、まず、止水用弾性シール材が嵌合溝11gに嵌合され、次いで、弁体13が接続された蓋体12が、開口18を塞ぐように弁箱11に載置され、複数のボルト,ナット14によって弁箱11に固定される。これにより、止水用弾性シール材は各ボルト,ナット14の締め付ける力に応じて蓋体12及び弁箱11の間で変形し、弁箱11の内部の流体が開口18を経由して逆止弁10の外部に流出するのを防止する。
【0019】
続いて、弁体13の開閉機構20を再度
図2を用いて説明する。
【0020】
図2において、弁体13は開閉機構20を介して蓋体12に接続されている。開閉機構20はアーム部材24及び固定キー16aを有する回動軸16によって構成され、弁体13はアーム部材24の一端に、例えば、頭部25aを有する六角ボルト25、平座金26a、及びUナット26bを用いて接続されている。具体的に、六角ボルト25が弁体13の中心及びアーム部材24の一端を貫通し、六角ボルト25の頭部25a、並びに、平座金26a及びUナット26bが弁体13及びアーム部材24を挟持することにより、弁体13はアーム部材24の一端に接続されている。このとき、アーム部材24及び六角ボルト25の間には、管状部品であるブッシュ27が配置されている。これにより、アーム部材24及び六角ボルト25の間に大きな間隙が形成されるのを防止するため、弁体13がアーム部材24から脱落するのを防止することができる。
【0021】
アーム部材24の他端は回動軸16が貫通する貫通孔28を備え、貫通孔28は固定キー16aに対応するキー溝29を有する。貫通孔28を貫通する回動軸16は軸受17に支持されることによって蓋体12に接続されている。このとき、固定キー16aがキー溝29に係合しているので、回動軸16は貫通孔28の内部で空転しない。その結果、回動軸16が回動するとき、アーム部材24及びアーム部材24の一端に接続された弁体13は回動軸16に連動して回動する。
【0022】
また、回動軸16の一端には、カウンターウエイト15の固定部15bが固定されているため、回動軸16が回動するとき、アーム部材24及び弁体13だけでなくカウンターウエイト15も回動軸16に連動して回動する。このとき、カウンターウエイト15の重量部15aには、重量部15aの重量に応じた力が鉛直方向下向きに関して働くので、流入部11aを開放している弁体13が付勢されて流入部11aを素早く閉塞することができる。
【0023】
ところで、流入部11aから逆止弁10の内部に流入する流体の圧力(以下、「上流側圧力」という。)が低い場合や逆止弁10が接続されている管路の内部を流体が流れていない場合、弁体13は流入部11aを閉塞し、既に流入部11aから弁箱11の本体部11cに移動した流体が再度流入部11aに逆流するのを防止している。その後、上流側圧力が上昇すると、弁体13は回動軸16の回動に応じて回動し、流入部11aを開放する。
【0024】
図3は、
図1(a)のA-A線に沿う断面図であり、弁体13が流入部11aを開放する様子を説明するために用いられる図である。
【0025】
図3において、流入部11aが解放されると、逆止弁10が接続されている管路の内部を流れる流体が流入部11aから逆止弁10の内部に流入し、流入部11a及び弁箱11の本体部11cを順次経由して流出部11bから流出する。このとき、弁体13は回動軸16を中心に回動して流入部11aを開放する。
【0026】
図3におけるアーム部材24はストッパー31を備える。ストッパー31は上流側圧力が極めて高く、弁体13が回動軸16を中心に回動して流入部11aを開放した場合(以下、「弁体最大開放時」という。)に蓋体12に衝突する。
【0027】
通常、アーム部材24がストッパー31を備えていなければ、弁体最大開放時に弁体13が弁箱11の本体部11cに直接衝突し、その衝撃が弁箱11の本体部11cに加わる。その結果、弁体13及び弁箱11の本体部11cは破損する虞がある。本実施の形態では、弁体最大開放時であっても、アーム部材24が備えるストッパー31は蓋体12に衝突するが、アーム部材24及び弁体13は弁箱11に接触しないので、弁箱11は破損しない。したがって、弁箱11を交換する必要性が生じないので、大掛かりな弁箱11の交換作業を回避することができる。
【0028】
一方、ストッパー31が蓋体12に衝突して蓋体12又はストッパー31が破損しても、弁箱11から蓋体12及び蓋体12に開閉機構20を介して接続されている弁体13は一体として簡単に取り外される。これにより、破損した部品は新たな部品に簡単に交換されるので、破損した部品を簡単に修理することができる。すなわち、本実施の形態の逆止弁10は弁箱11が破損するのを回避するとともに、メンテナンスを容易に実行することができる。
【0029】
また、
図3において、ストッパー31はゴム等の弾性部材32を有し、弾性部材32は弁体最大開放時に蓋体12に衝突する。これにより、アーム部材24、ストッパー31、及び蓋体12が金属によって形成されている場合、具体的に、アーム部材24及びストッパー31がステンレス鋳鋼によって形成され且つ蓋体12がダクタイル鋳鉄によって形成されている場合であっても、ストッパー31が蓋体12に衝突するときに弾性部材32がその衝撃を吸収するので、短期間に蓋体12又はストッパー31を修理する必要を無くすことができる。
【0030】
なお、ストッパー31はアーム部材24に複数設けられてもよい。これにより、ストッパー31が蓋体12に衝突するとき、その衝撃は各ストッパー31に分散されるので、蓋体12又はストッパー31の耐久性を向上させることができる。
【0031】
以上、本発明について、上述した実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
10 逆止弁
11 弁箱
11a 流入部
12 蓋体
13 弁体
16 回動軸
17 軸受
24 アーム部材
31 ストッパー
32 弾性部材