(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】包装箱および包装体の封緘構造
(51)【国際特許分類】
B65D 5/06 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
B65D5/06 300
(21)【出願番号】P 2019095265
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】長峯 道代
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-118720(JP,U)
【文献】実開平01-096824(JP,U)
【文献】米国特許第07597239(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向して配置された一対の第1延長壁(14)と、
第1方向に直交する第2方向に対向して配置された一対の第2延長壁(16)と、
延長折曲線(L6)を介して前記第1延長壁に連設され、且つ前記延長折曲線に対して斜めに延設された傾斜折曲線(L7)を介して前記第2延長壁に連設された4つの連結壁(17)と、
一方の前記第1延長壁の側に位置する一対の前記連結壁の先端部、または対角に位置する一対の前記連結壁の先端部に係止折曲線(L8)を介して連設された一対の係止片(18)と、を備え、
前記係止片が連設された前記連結壁の先端部は、前記第2延長壁の基端部と平行に形成され、
前記係止片は、少なくとも前記連結壁の先端部の前記第1延長壁側に連設され、
前記第2延長壁と一対の前記連結壁との間に形成された一対の前記傾斜折曲線の先端部は、前記係止折曲線よりも基端側にて互いに一致して頂点を形成し、
前記第1延長壁と前記第2延長壁とが内側に傾斜し、前記連結壁が前記延長折曲線で山折りされ、且つ前記傾斜折曲線で谷折りされて前記第1延長壁と前記第2延長壁との間に折り込まれた封緘状態において、前記係止片は、前記係止折曲線で谷折りされ、対向した前記第1延長壁と前記連結壁との間に形成された差込口(24)に差し込まれ、山折りされた前記延長折曲線に内側から押し付けられて前記封緘状態を保持
し、
前記差込口を形成する前記連結壁の先端部は、前記延長折曲線の先端から前記傾斜折曲線の前記頂点に向かって基端側に傾斜しており、前記封緘状態において前記係止片が連設された前記連結壁の表面に沿って接触することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
一対の第1側壁(10)と一対の第2側壁(11)とが交互に連設されて筒状に形成された箱本体(1A)と、
一対の前記第1側壁の一端部に連設された一対の第1延長壁(14)と、
一対の前記第2側壁の一端部に連設された一対の第2延長壁(16)と、
前記第1側壁と前記第2側壁との境界線(L1)に沿って延設された延長折曲線(L6)を介して前記第1延長壁に連設され、且つ前記境界線の一端から斜めに延設された傾斜折曲線(L7)を介して前記第2延長壁に連設された4つの連結壁(17)と、
一方の前記第1延長壁の側に位置する一対の前記連結壁の先端部、または対角に位置する一対の前記連結壁の先端部に係止折曲線(L8)を介して連設された一対の係止片(18)と、を備え、
前記係止片が連設された前記連結壁の先端部は、前記第2延長壁の基端部と平行に形成され、
前記係止片は、少なくとも前記連結壁の先端部の前記第1延長壁側に連設され、
前記第2延長壁と一対の前記連結壁との間に形成された一対の前記傾斜折曲線の先端部は、前記係止折曲線よりも基端側にて互いに一致して頂点を形成し、
前記第1延長壁と前記第2延長壁とが内側に折れて傾斜し、前記連結壁が前記延長折曲線で山折りされ、且つ前記傾斜折曲線で谷折りされて前記第1延長壁と前記第2延長壁との間に折り込まれた封緘状態において、前記係止片は、前記係止折曲線で谷折りされ、対向した前記第1延長壁と前記連結壁との間に形成された差込口(24)に差し込まれ、山折りされた前記延長折曲線に内側から押し付けられて前記封緘状態を保持
し、
前記差込口を形成する前記連結壁の先端部は、前記延長折曲線の先端から前記傾斜折曲線の前記頂点に向かって基端側に傾斜しており、前記封緘状態において前記係止片が連設された前記連結壁の表面に沿って接触することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
一対の前記第1延長壁の先端部に先端折曲線(L5)を介して連設された一対の摘み片(15)を備え、
前記封緘状態において、一対の前記摘み片は、前記先端折曲線で谷折りされて重なり合うことを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
第1方向に対向して配置された一対の第1延長壁(14)と、第1方向に直交する第2方向に対向して配置された一対の第2延長壁(16)と、延長折曲線(L6)を介して前記第1延長壁に連設され、且つ前記延長折曲線に対して斜めに延設された傾斜折曲線(L7)を介して前記第2延長壁に連設された4つの連結壁(17)と、を備えた包装体の封緘構造であって、
一方の前記第1延長壁の側に位置する一対の前記連結壁の先端部、または対角に位置する一対の前記連結壁の先端部には、係止折曲線(L8)を介して一対の係止片(18)が連設されており、
前記係止片が連設された前記連結壁の先端部は、前記第2延長壁の基端部と平行に形成され、
前記係止片は、少なくとも前記連結壁の先端部の前記第1延長壁側に連設され、
前記第2延長壁と一対の前記連結壁との間に形成された一対の前記傾斜折曲線の先端部は、前記係止折曲線よりも基端側にて互いに一致して頂点を形成し、
前記第1延長壁と前記第2延長壁とが内側に傾斜し、前記連結壁が前記延長折曲線で山折りされ、且つ前記傾斜折曲線で谷折りされて前記第1延長壁と前記第2延長壁との間に折り込まれた封緘状態において、前記係止片は、前記係止折曲線で谷折りされ、対向した前記第1延長壁と前記連結壁との間に形成された差込口(24)に差し込まれ、山折りされた前記延長折曲線に内側から押し付けられて前記封緘状態を保持
し、
前記差込口を形成する前記連結壁の先端部は、前記延長折曲線の先端から前記傾斜折曲線の前記頂点に向かって基端側に傾斜しており、前記封緘状態において前記係止片が連設された前記連結壁の表面に沿って接触することを特徴とする包装体の封緘構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能に構成された包装箱および包装体の封緘構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の密封容器は、四角柱状を成す4つの側面・底面と、第1の側面の上端に連設された第1の延長部と、第1の延長部の上端内面に設けられた係合段部と、第1の側面に対峙する第2の側面の上端に連設された第2の延長部と、第2の延長部の上端に連設された第3の延長部と、を備えていた。第1の延長部には、係合段部よりも下側に切目が設けられていた。第3の延長部の先端部には弾性折目で外側に折曲させた折曲端が設けられていた。この密封容器を封緘するには、第3の延長部を第1の延長部の下側に差し込みながら第1の延長部と第2の延長部とを互いに接近する方向に折り曲げ、第1の延長部の裏面において折曲端を係合段部に係合させていた。この密封容器を開封するには、切目を押し下げて折曲端を係合段部から離脱させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した密封容器では、作業者が目視できない第1の延長部の裏面において折曲端を係合段部に係合させなければならないため、密封容器を容易に封緘することができなかった。また、折曲端を係合段部から離脱させるために、人目に触れ易い第1の延長部に切目を設けなければならず、密封容器の意匠性が悪化していた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、容易に開閉することができる包装箱および包装体の封緘構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、第1方向に対向して配置された一対の第1延長壁と、第1方向に直交する第2方向に対向して配置された一対の第2延長壁と、延長折曲線を介して前記第1延長壁に連設され、且つ前記延長折曲線に対して斜めに延設された傾斜折曲線を介して前記第2延長壁に連設された4つの連結壁と、一方の前記第1延長壁の側に位置する一対の前記連結壁の先端部、または対角に位置する一対の前記連結壁の先端部に係止折曲線を介して連設された一対の係止片と、を備え、前記第1延長壁と前記第2延長壁とが内側に傾斜し、前記連結壁が前記延長折曲線で山折りされ、且つ前記傾斜折曲線で谷折りされて前記第1延長壁と前記第2延長壁との間に折り込まれた封緘状態において、前記係止片は、前記係止折曲線で谷折りされ、対向した前記第1延長壁と前記連結壁との間に形成された差込口に差し込まれ、山折りされた前記延長折曲線に内側から押し付けられて前記封緘状態を保持する。
【0007】
また、上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、一対の第1側壁と一対の第2側壁とが交互に連設されて筒状に形成された箱本体と、一対の前記第1側壁の一端部に連設された一対の第1延長壁と、一対の前記第2側壁の一端部に連設された一対の第2延長壁と、前記第1側壁と前記第2側壁との境界線に沿って延設された延長折曲線を介して前記第1延長壁に連設され、且つ前記境界線の一端から斜めに延設された傾斜折曲線を介して前記第2延長壁に連設された4つの連結壁と、一方の前記第1延長壁の側に位置する一対の前記連結壁の先端部、または対角に位置する一対の前記連結壁の先端部に係止折曲線を介して連設された一対の係止片と、を備え、前記第1延長壁と前記第2延長壁とが内側に折れて傾斜し、前記連結壁が前記延長折曲線で山折りされ、且つ前記傾斜折曲線で谷折りされて前記第1延長壁と前記第2延長壁との間に折り込まれた封緘状態において、前記係止片は、前記係止折曲線で谷折りされ、対向した前記第1延長壁と前記連結壁との間に形成された差込口に差し込まれ、山折りされた前記延長折曲線に内側から押し付けられて前記封緘状態を保持する。
【0008】
この場合、一対の前記第1延長壁の先端部に先端折曲線を介して連設された一対の摘み片を備え、前記封緘状態において、一対の前記摘み片は、前記先端折曲線で谷折りされて重なり合うことが好ましい。
【0009】
この場合、前記係止片が連設された前記連結壁の先端部は、前記第2延長壁の基端部と平行に形成され、前記係止片は、少なくとも前記連結壁の先端部の前記第1延長壁側に連設されていることが好ましい。
【0010】
この場合、前記第2延長壁と一対の前記連結壁との間に形成された一対の前記傾斜折曲線の先端部は、前記係止折曲線よりも基端側にて互いに一致して頂点を形成し、前記差込口を形成する前記連結壁の先端部は、前記延長折曲線の先端から前記傾斜折曲線の前記頂点に向かって基端側に傾斜しており、封緘状態において前記係止片が連設された前記連結壁の表面に沿って接触することが好ましい。
【0011】
また、上記した目的を達成するため、本発明は、第1方向に対向して配置された一対の第1延長壁と、第1方向に直交する第2方向に対向して配置された一対の第2延長壁と、延長折曲線を介して前記第1延長壁に連設され、且つ前記延長折曲線に対して斜めに延設された傾斜折曲線を介して前記第2延長壁に連設された4つの連結壁と、を備えた包装体の封緘構造であって、一方の前記第1延長壁の側に位置する一対の前記連結壁の先端部、または対角に位置する一対の前記連結壁の先端部には、係止折曲線を介して一対の係止片が連設されており、前記第1延長壁と前記第2延長壁とが内側に傾斜し、前記連結壁が前記延長折曲線で山折りされ、且つ前記傾斜折曲線で谷折りされて前記第1延長壁と前記第2延長壁との間に折り込まれた封緘状態において、前記係止片は、前記係止折曲線で谷折りされ、対向した前記第1延長壁と前記連結壁との間に形成された差込口に差し込まれ、山折りされた前記延長折曲線に内側から押し付けられて前記封緘状態を保持する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、包装箱を容易に開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱の箱本体を形成した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱の箱本体の上面を閉じる過程を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、第1延長壁の一部を切り欠いて差込口に差し込まれた係止片を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の第2変形例に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の第3変形例に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。また、これらの方向を示す用語は、説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
[第1実施形態:包装箱の概要]
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1は包装箱1を示す斜視図である。
図2は包装箱1のブランク5を示す平面図である。
【0016】
図1に示すように、包装箱1は、上下方向に延びた角筒状の箱本体1Aの上部に切妻屋根構造を設けたゲーブルトップ型紙製容器である。
【0017】
包装箱1は、
図2に示すブランク5から組み立てられる。ブランク5は、1枚の板紙(厚紙)を抜型等で打ち抜いて形成される。なお、
図2は表側を示しており、
図2に示す「X」は紙の繊維(紙目)が延びる「紙目方向」を示し、「Y」は紙目方向に直交する「直交方向」を示している。また、本明細書では、上下、左右、前後およびこれに類する方向を示す用語は、包装箱1を組み立てた状態(組立状態)における方向を指している。
【0018】
[包装箱のブランク]
図2を参照して、包装箱1のブランク5について説明する。ブランク5は、一対の第1側壁10と、一対の第2側壁11と、一対の下内フラップ12と、一対の下外フラップ13と、一対の第1延長壁14と、一対の摘み片15と、一対の第2延長壁16と、4つの連結壁17と、一対の係止片18と、を備えている。
【0019】
<第1側壁、第2側壁>
一対の第1側壁10と一対の第2側壁11とは、交互に紙目方向に並設され、縦折曲線L1を介して連設されている。第1側壁10と第2側壁11とは、略同じ大きさとなる略長方形状に形成されている。詳細には、第1側壁10と第2側壁11とは、紙目方向の幅よりも直交方向(上下方向)の長さを長くした略長方形状に形成されている。紙目方向の外端に位置する第1側壁10には、縦折曲線L1を介して本体継代片20が連設されている。本体継代片20は、基端(縦折曲線L1の側)から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。
【0020】
<下内フラップ>
一対の下内フラップ12は、下横折曲線L2を介して一対の第2側壁11の下端部に連設されている。下内フラップ12は、基端(下横折曲線L2の側)から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。下内フラップ12の直交方向の寸法(延出寸法)は、第2側壁11の紙目方向の寸法の略半分に設定されている。
【0021】
<下外フラップ>
一対の下外フラップ13は、下横折曲線L2を介して一対の第1側壁10の下端部に連設されている。下外フラップ13は略長方形状に形成されており、その直交方向の寸法(延出寸法)は下内フラップ12の延出寸法よりも長く設定されている。下外フラップ13の直交方向中間部には、先端から基端に向かって噛合凹部22が切り欠かれている。下外フラップ13には、噛合凹部22から第2側壁11の側に向かって斜めに延びた底折曲線L3が形成されている。
【0022】
<第1延長壁>
一対の第1延長壁14は、上横折曲線L4を介して一対の第1側壁10の上端部(直交方向の一端部)に連設されている。第1延長壁14は略長方形状に形成されており、その直交方向の寸法(延出寸法)は下外フラップ13の延出寸法よりも僅かに短く設定されている。本体継代片20の側の第1延長壁14には、延長折曲線L6を介して屋根継代片21が連設されている。屋根継代片21は、基端から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。なお、屋根継代片21には、組立状態で後述する傾斜折曲線L7に一致する補助折曲線L9が斜めに形成されている。
【0023】
<摘み片>
一対の摘み片15は、先端折曲線L5を介して一対の第1延長壁14の先端部に連設されている。摘み片15は略長方形状に形成されており、その直交方向の寸法(延出寸法)は第1延長壁14の延出寸法の1/3以下に設定されている。
【0024】
<第2延長壁>
一対の第2延長壁16は、上横折曲線L4を介して一対の第2側壁11の上端部に連設されている。第2延長壁16は、上横折曲線L4を底辺とする二等辺三角形状に形成されている。第2延長壁16の直交方向の寸法(上横折曲線L4から頂点Vまでの距離)は、下内フラップ12の延出寸法よりも僅かに短く設定されている。
【0025】
<連結壁>
4つの連結壁17は、延長折曲線L6を介して第1延長壁14に連設され、且つ傾斜折曲線L7を介して第2延長壁16に連設されている。延長折曲線L6は、縦折曲線L1(第1側壁10と第2側壁11との境界線)に沿って延設されている。傾斜折曲線L7は、縦折曲線L1の上端(一端)から延長折曲線L6に対して斜めに延設されている。換言すれば、傾斜折曲線L7は、三角形を成す第2延長壁16の斜辺に対応している。第2延長壁16と一対の連結壁17との間に形成された一対の傾斜折曲線L7の先端部は、後述する係止折曲線L8よりも基端側(下側)にて互いに一致して頂点Vを形成している。なお、正確には、ブランク5の状態で、屋根継代片21の反対側に位置する連結壁17は、第1延長壁14に連設されていない。当該連結壁17は、包装箱1を組立状態とすると、屋根継代片21を介して第1延長壁14に連設される。
【0026】
ブランク5の状態で、1つの第1延長壁14の紙目方向両端部に連設された2つの連結壁17は、その第1延長壁14を中心として線対称となる略台形状に形成されている。一方、ブランク5の状態で、台形状を成す2つの連結壁17を除く他の2つの連結壁17は、その第1延長壁14を中心として線対称となる略三角形状に形成されている。なお、以下の説明では、便宜上、台形状を成す連結壁17を「第1連結壁17A」と呼び、三角形状を成す連結壁17を「第2連結壁17B」と呼び、第1連結壁17Aと第2連結壁17Bとに共通する説明では単に「連結壁17」と呼ぶこととする。
【0027】
第1連結壁17Aの先端部(上端の一辺)は、上横折曲線L4(第2延長壁16の基端部)と平行に形成されている。なお、「連結壁17の先端部が上横折曲線L4と平行」であるとは、完全な平行だけでなく、誤差程度の傾きを許容する意味である。
【0028】
一方、第2連結壁17Bの先端部(上端の一辺)は、延長折曲線L6の先端から傾斜折曲線L7(第2延長壁16)の頂点Vに向かって基端側(下方)に傾斜している。すなわち、第2連結壁17Bの上部には、略三角形状に切り欠かれた欠損部23が形成されており、第2連結壁17Bの先端部は、頂点V上において第1連結壁17Aの先端部より一段下がっている。
【0029】
<係止片>
一対の係止片18は、包装箱1の封緘構造の主要部分となっている。一対の係止片18は、係止折曲線L8を介して一対の第1連結壁17A(一方の第1延長壁14の側に位置する一対の連結壁17)の先端部(上端部)に連設されている。係止片18は略長方形状に形成されており、その直交方向の寸法(延出寸法)は摘み片15の延出寸法と同一に設定されている。また、摘み片15に隣接する係止片18の紙目方向端部は、延長折曲線L6よりも僅かに頂点Vの側にずれている。
【0030】
なお、縦折曲線L1、下横折曲線L2、上横折曲線L4、先端折曲線L5および延長折曲線L6は、板紙を表面から直線状に凹ませた汎用罫線である。汎用罫線は、裏面(または表面)を内側に向けるように板紙を折り曲げるために設けられている。また、底折曲線L3、傾斜折曲線L7、係止折曲線L8および補助折曲線L9は、汎用罫線上に複数の切目を所定間隔に形成したリード罫線である。リード罫線は、表面を内側に向けるように板紙を折り曲げる(谷折りする)ために設けられている。これらの折曲線L1~L8は、汎用罫線やリード罫線等に限らず、例えば、ミシン刃線等、板紙を折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0031】
[包装箱の組立および封緘]
次に、
図1、
図3ないし
図5を参照して、包装箱1を組み立てて封緘する手順について説明する。
図3は箱本体1Aを形成した状態を示す斜視図である。
図4は箱本体1Aの上面を閉じる過程を示す斜視図である。
図5は第1延長壁14の一部を切り欠いて差込口24に差し込まれた係止片18を示す斜視図である。
【0032】
図示は省略するが、組み立てる前の包装箱1は、略平坦に折り畳まれているものとする。詳細には、ブランク5(
図2参照)において紙目方向両側の第1側壁10と第2側壁11とが縦折曲線L1で内側に折り返され、この折り返された第2側壁11の裏面(内面)に本体継代片20が接着されている。また、屋根継代片21が反対側の連結壁17の裏面に接着され、当該連結壁17が屋根継代片21を介して第1延長壁14に連設されている。これにより、一対の第1側壁10と一対の第2側壁11とが交互に連設されて平坦に潰れた角筒状の箱本体1Aが形成される。さらに、下外フラップ13のうち底折曲線L3で区画された角部分が下内フラップ12の表面(外面)に接着されている。また、下内フラップ12を下横折曲線L2で山折りし、下外フラップ13を底折曲線L3で谷折りしながら下横折曲線L2で山折りし、下内フラップ12と下外フラップ13とを箱本体1Aの内側に入れる。以上によって、包装箱1が略平坦に折り畳まれた状態になる。
【0033】
図3に示すように、作業者は、第1側壁10と第2側壁11とを直交させるように縦折曲線L1で折り曲げる。一対の第1側壁10は前後方向(第1方向)に対向して配置され、一対の第2側壁11は左右方向(第1方向に直交する第2方向)に対向して配置される。このように、折り畳まれていた包装箱1を起こすことで、略角筒状の箱本体1Aが形成される。
【0034】
包装箱1の底面は、角筒状に変形する箱本体1Aに連動して形成される所謂ワンタッチ底である。すなわち、角筒状の箱本体1Aが形成される過程で、下内フラップ12および下外フラップ13は箱本体1Aの内側から外側(下方)に押し出され、下外フラップ13は底折曲線L3で折り返された状態から平坦に戻り始める(図示せず)。一対の下外フラップ13が平坦に戻ると、噛合凹部22同士が噛み合った状態になる(図示せず)。以上によって、下内フラップ12と下外フラップ13とが箱本体1Aの下面開口を閉塞し、包装箱1の底面が構成される(図示せず)。そして、作業者は、箱本体1Aの内部に物品(図示せず)を収容する。
【0035】
次に、
図4に示すように、作業者は、一対の第1延長壁14と一対の第2延長壁16とを内側に傾斜させ、箱本体1Aの上部に切妻屋根を形成する。
【0036】
具体的には、作業者は、一対の第2延長壁16を内側に押し込む。すると、第2延長壁16は、一対の傾斜折曲線L7で谷折りされながら上横折曲線L4で山折りされて内側に傾斜する。第1延長壁14は、内側に倒れる第2延長壁16に引っ張られ、延長折曲線L6で山折りされながら上横折曲線L4で山折りされて内側に傾斜する。また、第1延長壁14と第2延長壁16とが内側に傾斜する過程で、連結壁17は、延長折曲線L6で山折りされ、且つ傾斜折曲線L7で谷折りされて第1延長壁14と第2延長壁16との間に折り込まれて行く。第1延長壁14と第2連結壁17Bとは、互いに接近するように折れて差込口24を形成する。差込口24は、所定の角度をもって対向した第1延長壁14と連結壁17との間に形成された略三角形状の隙間である。連結壁17が折り込まれる過程で、作業者は差込口24を上方から目視することができる。
【0037】
次に、作業者は、一対の係止片18を係止折曲線L8で谷折りし、目視しながら一対の係止片18を一対の差込口24に差し込む。作業者は、係止片18を差込口24に差し込みながら、一対の第1延長壁14の先端同士を突き合せ、先端折曲線L5で谷折りした一対の摘み片15を重ね合わせる。以上によって、第1延長壁14や第2延長壁16等が箱本体1Aの上面開口を閉塞し、切妻屋根構造が形成される。つまり、包装箱1が封緘された状態(以下「封緘状態」ともいう。)になる。また、封緘状態において、第2連結壁17B(差込口24を形成する連結壁17)の先端部(上端部)は、第1連結壁17A(係止片18が連設された連結壁17)の表面に沿って接触する(
図5参照)。
【0038】
図5に示すように、封緘状態において、差込口24に差し込まれた係止片18は、山折りされた延長折曲線L6に内側から押し付けられて包装箱1の封緘状態を保持している。詳細には、上横折曲線L4の周辺には、板紙のコシ等によって第1延長壁14を元に戻そうとする力(反発力)が働いている。これと同様に、延長折曲線L6や傾斜折曲線L7の周辺には連結壁17を元に戻そうとする力(反発力)が働いている。これらの反発力は一対の係止片18を左右両外側に開く方向に働くため、係止片18は山折りされた延長折曲線L6の内面に押し付けられる。これにより、差込口24から係止片18が引き抜かれることが抑制されるため、包装箱1を封緘した状態を保持することができる。
【0039】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1によれば、係止片18および差込口24は箱本体1Aの上端に表れているため(
図4参照)、作業者は、係止片18を差込口24に差し込む作業を目視しながら行うことができる。また、この包装箱1では、差込口24に差し込んだ係止片18が、山折りされた延長折曲線L6(第1延長壁14と連結壁17との間の屈曲部)に押し付けられて引っ掛かる構成とした(
図5参照)。この構成によれば、延長折曲線L6に引っ掛かった係止片18は引き抜き規制されるため、包装箱1の封緘状態を保持することができる。
【0040】
また、係止片18が延長折曲線L6から離れるように第1延長壁14や連結壁17を変形させることで、容易に係止片18を差込口24から引き抜くことができる。具体的には、ユーザが一対の第1連結壁17Aに指を掛けて上斜め前方に引っ張ると、係止片18を差込口24から軽く引き抜くことができ、包装箱1を簡単に開封することができる。なお、開封した包装箱1は再び封緘することもできる。以上のように、包装箱1を開封するために第1および第2延長壁14,16等に切目を設ける必要が無く、包装箱1の意匠性を良好に維持しながら箱本体1Aの上端を容易に開閉することができる。
【0041】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、封緘状態において、一対の摘み片15が、先端折曲線L5で谷折りされて重なり合うことで、一対の第1延長壁14の突き合せ部から上方に延びていた。この構成によれば、重なり合った一対の摘み片15によって差込口24に差し込まれた係止片18を隠すことができ、包装箱1の意匠性を向上させることができる。また、ユーザは重なり合った一対の摘み片15を摘まんで包装箱1を手に取ることができる。さらに、ユーザが一対の摘み片15を互いに引き離すことで、係止片18を差込口24から引き抜くことができ、容易に包装箱1を開封することができる。また、摘み片15が切妻屋根の頂点部から上方に延びるため、ゲーブルトップ形式らしい意匠を構成することができる。
【0042】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、差込口24を形成する第2連結壁17Bの上部が切り欠かれて対向する第1連結壁17Aの上端よりも一段下がっているため、差込口24を広くすることができる。これにより、係止片18を差込口24に差し込むことが容易になる。また、封緘状態において第2連結壁17Bの上端が対向する第1連結壁17Aの表面に倣って接するため(
図5参照)、隙間が少ない綺麗な包装箱1を構成することができる。
【0043】
[第1変形例]
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、係止片18と第1連結壁17Aとの紙目方向の寸法が略同一であったが、本発明はこれに限定されない。一対の係止片18の左右両外端部が山折りされた延長折曲線L6に押し付けられていればよいため、例えば、
図6に示すように、係止片18は、第1連結壁17Aの先端部の第1延長壁14側のみに連設されてもよい。このように、係止片18の横幅を狭くすることで、係止片18を差込口24に差し込み易くなる。
【0044】
[第2変形例]
また、第1実施形態に係る包装箱1では、一対の係止片18が、前方に位置する一対の連結壁17に連設され、後方に折り返されて差込口24に差し込まれていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、一対の係止片18は、(平面から見て)対角に位置する一対の連結壁17の先端部に連設されてもよい。この場合、一方の係止片18は後方に折り返されて差込口24に差し込まれ、他方の係止片18は前方に折り返されて差込口24に差し込まれる。
【0045】
[第3変形例]
また、第1実施形態に係る包装箱1では、係止片18が連設された第1連結壁17Aの先端部(一辺)が上横折曲線L4と平行に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、第1連結壁17Aが第2連結壁17Bを反転させたような形状を成し、第1連結壁17Aの先端部が第2連結壁17Bの先端部とは逆方向に傾斜してもよい。この場合、係止片18は、第1連結壁17Aの先端部の傾斜にあわせて傾斜させてもよい。
【0046】
また、第1実施形態(第1~第3変形例を含む。以下同じ。)に係る包装箱1では、縦折曲線L1が、直線状に形成されていたが、これに限らず、湾曲、屈曲または波状等、直線以外の形状に形成されてもよい(図示せず)。また、包装箱1では、傾斜折曲線L7が、直線状に形成されていたが、これに限らず、湾曲した円弧状に形成されてもよい(図示せず)。
【0047】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、一対の摘み片15が最上部に設けられていたが、一対の摘み片15は省略されてもよい。この場合、一対の第1延長壁14の上端部の突き合せ部が包装箱1の最上部になる(図示せず)。
【0048】
[第2実施形態]
次に、
図9および
図10を参照して、第2実施形態に係る包装箱2について説明する。
図9は包装箱2を示す斜視図である。
図10は包装箱2のブランク6を示す平面図である。なお、第1実施形態に係る包装箱1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
第2実施形態に係る包装箱2では、箱本体1Aが省略されている点が、第1実施形態に係る包装箱1と異なる。具体的には、
図10に示すように、下内フラップ12は、下横折曲線L2を介して第2延長壁16の下端部に連設されている。下外フラップ13は、下横折曲線L2を介して第1延長壁14の下端部に連設されている。屋根継代片21は、延長折曲線L6を介して第2延長壁16の段方向の端部に連設されている。また、各第2延長壁16に形成された一対の傾斜折曲線L7は、延長折曲線L6の下部から上斜めに延設されている。各傾斜折曲線L7は、段方向の両外側に向かって膨らむように円弧状に湾曲している。なお、一対の摘み片15(先端折曲線L5)は省略されており、一対の第1延長壁14が係止片18の先端と同一位置まで延設されている。換言すれば、第1延長壁14の上部が摘み片15と同等の機能を有している。
【0050】
ブランク6(
図10参照)において紙目方向両側の第1延長壁14と第2延長壁16とが延長折曲線L6で内側に折り返され、この折り返された第1延長壁14の裏面に屋根継代片21が接着されている。また、第1実施形態に係る包装箱1と同様に、下内フラップ12と下外フラップ13とが接着されて内側に折り込まれている。以上によって、包装箱2が略平坦に折り畳まれた状態になる(図示せず)。
【0051】
図9に示すように、作業者は、第1延長壁14と第2延長壁16とを直交させるように延長折曲線L6で折り曲げ、包装箱2のワンタッチ底を形成する。そして、作業者は、包装箱2の上面開口から物品(図示せず)を収容する。その後、作業者は、一対の第1延長壁14と一対の第2延長壁16とを内側に傾斜させながら、連結壁17を延長折曲線L6で山折りすると共に傾斜折曲線L7で谷折りし、第1延長壁14と連結壁17との間にできた差込口24に係止片18を差し込む。この状態で、一対の第1延長壁14の上端部は突き合わされている。以上によって、包装箱2が封緘される。
【0052】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2によれば、上面開口の開閉を容易化することができる等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、図示は省略するが、第2実施形態に係る包装箱2に対し、第1実施形態の第1~第3変形例に係る包装箱1の特徴を適用してもよい。
【0054】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、摘み片15が省略されたが、第1実施形態に係る包装箱1と同様に、第1延長壁14の上端部に摘み片15を連設してもよい(図示せず)
【0055】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、係止片18が略長方形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。係止片18は、差込口24に差し込んだ状態で延長折曲線L6に接する形状であればよく、例えば、長方形以外の多角形状に形成されてもよいし、半円形状に形成されてもよい(図示せず)。
【0056】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、第2延長壁16が上横折曲線L4を底辺とする略二等辺三角形状に形成されていたが、これに限らず、三角形の頂点Vから底辺に下した垂線を軸に非対称となる三角形状に形成されてもよい(図示せず)。
【0057】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、第1延長壁14、第2延長壁16、連結壁17および係止片18によって形成された切妻屋根構造(封緘構造)が、角筒状の箱本体1Aの上部に連設されたり、包装箱2の底面に連設されたりしていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1延長壁14、第2延長壁16、連結壁17および係止片18によって形成された切妻屋根構造が、袋状に形成された包装体に連設されてもよい(図示せず)。この構成によっても、包装体を容易に開閉することができる。
【0058】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2は、板紙(単層の紙)で形成されていたが、これに限らず、例えば、段ボールシートで形成されてもよいし、樹脂製の板で形成されてもよい。
【0059】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱および包装箱の封緘構造における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1,2 包装箱
1A 箱本体
10 第1側壁
11 第2側壁
14 第1延長壁
15 摘み片
16 第2延長壁
17 連結壁
18 係止片
24 差込口
L1 縦折曲線(境界線)
L5 先端折曲線
L6 延長折曲線
L7 傾斜折曲線
L8 係止折曲線