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特許7286502アニオン性凝集剤、アニオン性凝集剤の製造方法、及び処理方法
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  • 特許-アニオン性凝集剤、アニオン性凝集剤の製造方法、及び処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】アニオン性凝集剤、アニオン性凝集剤の製造方法、及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/01 20060101AFI20230529BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20230529BHJP
   C02F 1/56 20230101ALI20230529BHJP
   C02F 11/147 20190101ALI20230529BHJP
【FI】
B01D21/01 107B
B01D21/01 110
C02F1/52 K ZAB
C02F1/56 K
C02F11/147
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019174913
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2020054992
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2018181135
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】伊東 雅彦
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-074592(JP,A)
【文献】特開2016-187782(JP,A)
【文献】特開2018-047450(JP,A)
【文献】特開2018-103185(JP,A)
【文献】特開2018-020292(JP,A)
【文献】特開2001-219005(JP,A)
【文献】特表2012-532020(JP,A)
【文献】特開2015-226898(JP,A)
【文献】特開2015-085219(JP,A)
【文献】特開2002-030282(JP,A)
【文献】キサンタンガムとは~基礎から徹底解説,食品開発ラボ,ユニテックフーズ株式会社,2018年08月31日,https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail16/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/01
C02F 1/52
C02F 1/56
C02F 11/143
C02F 11/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトマンナンと、前記ガラクトマンナン以外の多糖類とを含有し、
嵩密度が、0.50g/cm以上1.00g/cm以下であり、
粒子径D50が、250μm以上850μm以下であり、
粒子径D10が、150μm以上である、
こと特徴とするアニオン性凝集剤。
【請求項2】
前記ガラクトマンナンが、天然物に由来し、
前記多糖類が、天然物に由来する、請求項1に記載のアニオン性凝集剤。
【請求項3】
前記ガラクトマンナンが、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、及びローカストビーンガムの少なくともいずれかを含有する請求項1から2のいずれかに記載のアニオン性凝集剤。
【請求項4】
前記多糖類が、キサンタンガム、カラギーナン、及びカルボキシメチルセルロースの少なくともいずれかを含有する請求項1から3のいずれかに記載のアニオン性凝集剤。
【請求項5】
前記ガラクトマンナンと、前記多糖類との質量比率(ガラクトマンナン:多糖類)が、0.1:99.9~99.9:0.1である請求項1から4のいずれかに記載のアニオン性凝集剤。
【請求項6】
純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度が、10mPa・s以上である請求項1から5のいずれかに記載のアニオン性凝集剤。
【請求項7】
純水100質量部に対して前記ガラクトマンナン0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度、及び純水100質量部に対して前記多糖類0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度よりも、純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度の方が、大きい請求項1から6のいずれかに記載のアニオン性凝集剤。
【請求項8】
水浄化剤である請求項1から7のいずれかに記載のアニオン性凝集剤。
【請求項9】
汚泥の濃縮剤である請求項1から7のいずれかに記載のアニオン性凝集剤。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載のアニオン性凝集剤を製造する、アニオン性凝集剤の製造方法であって、
前記ガラクトマンナンと、前記多糖類と、水とを混練して混練物を得る工程と、
前記混練物を押出造粒又は攪拌造粒により造粒して造粒物を得る工程と、
前記造粒物を乾燥させて乾燥物を得る工程と、
前記乾燥物を解砕して解砕物を得る工程と、
前記解砕物を分級する工程と、
を含むことを特徴とするアニオン性凝集剤の製造方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載のアニオン性凝集剤を被処理物に添加し、前記被処理物を処理することを特徴とする処理方法。
【請求項12】
更に、無機凝集剤、及びカチオン性凝集剤の少なくともいずれかを前記被処理物に添加する請求項11に記載の処理方法。
【請求項13】
前記無機凝集剤が、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、ポリ硫酸鉄(III)、ポリシリカ鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、及び消石灰の少なくともいずれかを含む請求項12に記載の処理方法。
【請求項14】
前記カチオン性凝集剤が、キトサン、オリゴグルコサミン、カチオン化澱粉、カチオン化セルロース、及びカチオン化グアーガムの少なくともいずれかを含む請求項12に記載の処理方法。
【請求項15】
前記被処理物が、浄水処理のろ過池の洗浄排水、汚泥、及び工場排水を含有する被処理水のいずれかである請求項11から14のいずれかに記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン性凝集剤、アニオン性凝集剤の製造方法、及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市下水、農業集落排水、工場排水などから発生する廃水、土木・建築濁水、河川水、池水といった濁水は、鉱物質系微細粒子といった無機物を含有しており、このような汚水を処理する方法として、無機凝集剤及び有機合成高分子凝集剤を、単独で使用して又は併用して、被処理水中の無機物を凝集させて分離する方法が用いられている。
【0003】
この方法の一例では、スラリー状の被処理水に、無機凝集剤と有機合成高分子凝集剤を添加して固形分を凝集沈降させ、沈降させた凝集物と上澄み水とを分離する。
また、この方法の他の一例では、凝集混和槽において、被処理水に無機凝集剤を添加し、被処理水中の懸濁物質を取り込んだ微細凝集フロック(マイクロフロック)を形成する。次に、マイクロフロックを含む被処理水をフロック形成槽に移した後、フロック形成槽において、被処理水に有機合成高分子凝集剤を添加し、マイクロフロックの形成を促進させる。
【0004】
これらの方法において、通常、無機凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム(以下、「PAC」と称する場合がある)、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄などが使用されている。有機合成高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドの部分加水分解物などが使用されている。
【0005】
しかし、ポリアクリルアミド系の凝集剤は、残留するアクリルアミドモノマーの毒性の問題から、自然界で使用することは好ましくない。特に、湖沼のような閉鎖系水域や、下流に上水道の取り入れ口のあるような河川でのポリアクリルアミド系の凝集剤の使用は、できるだけ避けることが望ましい。
【0006】
そこで、ポリアクリルアミド系の凝集剤の使用を避ける技術として、水溶性アルミニウム塩と多糖類とを併用した、無機物の凝集処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この開示の技術において、多糖類が被処理水の粘度を上げる度合いは、ポリアクリルアミド系の凝集剤が被処理水の粘度を上げる度合いより小さく、多糖類では、ポリアクリルアミド系の凝集剤ほどの凝集効果は期待できない。
【0007】
また、ポリアクリルアミド系の凝集剤と、副高分子凝集剤とを併用し、組成物全体のアクリルアミド含有率を0.05質量%以下にする技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この提案の技術では、組成物全体のアクリルアミド含有率を0.05質量%以下にしているが、ポリアクリルアミド系の凝集剤を含有するため、アクリルアミド含有率は全くの0%ではない。
【0008】
したがって、ポリアクリルアミド系の凝集剤を用いない場合でも、取り扱いやすく、かつ凝集性能に優れる凝集剤及びそれを用いた処理方法が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-226898号公報
【文献】特開2018-20292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ポリアクリルアミド系の凝集剤を用いない場合でも、取り扱いやすく、かつ凝集性能に優れるアニオン性凝集剤、その製造方法及びそれを用いた処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ガラクトマンナンと、前記ガラクトマンナン以外の多糖類とを含有し、
嵩密度が、0.50g/cm以上1.00g/cm以下であり、
粒子径D50が、250μm以上850μm以下であり、
粒子径D10が、150μm以上である、
こと特徴とするアニオン性凝集剤である。
<2> 前記ガラクトマンナンが、天然物に由来し、
前記多糖類が、天然物に由来する、前記<1>に記載のアニオン性凝集剤である。
<3> 前記ガラクトマンナンが、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、及びローカストビーンガムの少なくともいずれかを含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤である。
<4> 前記多糖類が、キサンタンガム、カラギーナン、及びカルボキシメチルセルロースの少なくともいずれかを含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤である。
<5> 前記ガラクトマンナンと、前記多糖類との質量比率(ガラクトマンナン:多糖類)が、0.1:99.9~99.9:0.1である前記<1>から<4>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤である。
<6> 純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度が、10mPa・s以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤である。
<7> 純水100質量部に対して前記ガラクトマンナン0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度、及び純水100質量部に対して前記多糖類0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度よりも、純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度の方が、大きい前記<1>から<6>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤である。
<8> 水浄化剤である前記<1>から<7>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤である。
<9> 汚泥の濃縮剤である前記<1>から<7>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤である。
<10> 前記<1>から<8>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤を製造する、アニオン性凝集剤の製造方法であって、
前記ガラクトマンナンと、前記多糖類と、水とを混練して混練物を得る工程と、
前記混練物を押出造粒又は攪拌造粒により造粒して造粒物を得る工程と、
前記造粒物を乾燥させて乾燥物を得る工程と、
前記乾燥物を解砕して解砕物を得る工程と、
前記解砕物を分級する工程と、
を含むことを特徴とするアニオン性凝集剤の製造方法である。
<11> 前記<1>から<8>のいずれかに記載のアニオン性凝集剤を被処理物に添加し、前記被処理物を処理することを特徴とする処理方法である。
<12> 更に、無機凝集剤、及びカチオン性凝集剤の少なくともいずれかを前記被処理物に添加する前記<11>に記載の処理方法である。
<13> 前記無機凝集剤が、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、ポリ硫酸鉄(III)、ポリシリカ鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、及び消石灰の少なくともいずれかを含む前記<12>に記載の処理方法である。
<14> 前記カチオン性凝集剤が、キトサン、オリゴグルコサミン、カチオン化澱粉、カチオン化セルロース、及びカチオン化グアーガムの少なくともいずれかを含む前記<12>に記載の処理方法である。
<15> 前記被処理物が、浄水処理のろ過池の洗浄排水、汚泥、及び工場排水を含有する被処理水のいずれかである前記<11>から<14>のいずれかに記載の処理方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ポリアクリルアミド系の凝集剤を用いない場合でも、取り扱いやすく、かつ凝集性能に優れるアニオン性凝集剤、その製造方法及びそれを用いた処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明による浄水処理の一例を説明するための図である。
図2図2は、本発明による排水及び汚泥処理の一例を説明するための図である。
図3図3に、本発明による工場排水処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(アニオン性凝集剤)
本発明のアニオン性凝集剤は、ガラクトマンナンと、前記ガラクトマンナン以外の多糖類とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記アニオン性凝集剤は、前記ガラクトマンナンと、前記多糖類とを含有する混合物である。
前記アニオン性凝集剤は、前記混合物の粒子である。
【0015】
<ガラクトマンナン>
前記ガラクトマンナンは、マンノースからなる直線状主鎖〔β-(1-4)-D-マンノピラノース〕にガラクトース〔α-D-ガラクトピラノース〕がα-(1-6)-結合した多糖類である。
【0016】
前記ガラクトマンナンとしては、例えば、フェヌグリークガム、グアーガム、セスバニアガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガムなどが挙げられる。これらの中でも、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガムが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記ガラクトマンナンは、一般的に、天然物に由来する。
前記フェヌグリークガムは、フェヌグリーク種子由来のガラクトマンナンである。
前記グアーガムは、グアー豆種子由来のガラクトマンナンである。
前記セスバニアガムは、セスバニア種子由来のガラクトマンナンである。
前記タラガムは、タラ種子由来のガラクトマンナンである。
前記ローカストビーンガムは、イナゴマメ種子由来のガラクトマンナンである。
前記カシアガムは、エビスグサの種子由来のガラクトマンナンである。
【0018】
前記ガラクトマンナンの分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
前記ガラクトマンナンにおける構成成分としてのマンノースとガラクトースとのモル比率(マンノース:ガラクトース)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4.5:1~1:1が好ましく、4:1~2:1がより好ましい。
なお、下記に各種ガラクトマンナンにおけるモル比率の一例を示す。
・フェヌグリークガム
マンノース:ガラクトース=1:1(モル比率)
・グアーガム
マンノース:ガラクトース=2:1(モル比率)
・タラガム
マンノース:ガラクトース=3:1(モル比率)
・ローカストビーンガム
マンノース:ガラクトース=4:1(モル比率)
・カシアガム
マンノース:ガラクトース=5:1(モル比率)
【0020】
<多糖類>
前記ガラクトマンナン以外の多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
【0021】
前記多糖類は、一般的に、天然物に由来する。
【0022】
前記キサンタンガムは、グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り返し単位からなる。前記キサンタンガムには、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩も含まれる。前記キサンタンガムは、一般的に、トウモロコシなどの澱粉を細菌Xanthomonas campestrisにより発酵させて作られる。
【0023】
前記カラギーナンは、直鎖含硫黄多糖類の一種で、D-ガラクトース(または、3,6-アンヒドロ-D-ガラクトース)と硫酸から構成される陰イオン性高分子化合物である。前記カラギーナンは、一般的に、紅藻類をアルカリ抽出することにより得られる。
【0024】
前記多糖類の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
前記アニオン性凝集剤における、前記ガラクトマンナンと、前記多糖類との質量比率(ガラクトマンナン:多糖類)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1:99.9~99.9:0.1が好ましく、0.5:99.5~99.5:0.5がより好ましく、1:99~99:1がさらにより好ましく、10:90~90:10が特に好ましい。
【0026】
前記アニオン性凝集剤においては、凝集性能に優れる点で、純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度が、10mPa・s以上であることが好ましく、100mPa・s以上であることがより好ましく、200mPa・s~1,100mPa・sが更により好ましく、300mPa・s~800mPa・sが特に好ましい。
ここで、本発明における粘度は、25℃においてB型粘度計(ブルックフィールド形回転粘度計)(回転速度:30rpm)を用いて測定される粘度である。
【0027】
また、前記アニオン性凝集剤においては、凝集性能に優れる点で、純水100質量部に対して前記ガラクトマンナン0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度(X)、及び純水100質量部に対して前記多糖類0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度(Y)よりも、純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度(A)の方が、大きいことが好ましい。
また、前記アニオン性凝集剤においては、凝集性能に優れる点で、純水100質量部に対して前記ガラクトマンナン0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度(X)よりも、純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度(A)の方が、2倍以上大きいことが好ましく、10倍以上大きいことがより好ましく、20倍以上大きいことが特に好ましい。前記粘度(X)と前記粘度(A)との比〔粘度(A)/粘度(X)〕の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100倍以下などが挙げられる。
また、前記アニオン性凝集剤においては、凝集性能に優れる点で、純水100質量部に対して前記多糖類0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度(Y)よりも、純水100質量部に対して前記アニオン性凝集剤0.2質量部を溶解して得られる水溶液の粘度(A)の方が、1.5倍以上大きいことが好ましく、2倍以上大きいことが好ましい。前記粘度(Y)と前記粘度(A)との比〔粘度(A)/粘度(Y)〕の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10倍以下などが挙げられる。
【0028】
<嵩密度>
前記アニオン性凝集剤の嵩密度は、0.50g/cm以上1.00g/cm以下であり、0.60g/cm以上0.90g/cm以下が好ましい。
前記嵩密度が、0.50g/cm未満であると、水を含む被処理物に前記アニオン性凝集剤を添加した際に、前記アニオン性凝集剤が浮きやすなり、分散性が劣る結果、前記被処理物中に前記アニオン性凝集剤の塊ができ、取り扱いにくくなる。
前記嵩密度が、1.00g/cmを超えると、水を含む被処理物に前記アニオン性凝集剤を添加した際に、前記アニオン性凝集剤が沈み、分散性が劣る結果、前記被処理物中に前記アニオン性凝集剤の塊ができ、取り扱いにくくなる。
ここでの「塊」とは、粉を水などに混ぜたとき、十分に分散しないで粉末のまま固まった部分を指す。日本語では、継粉(ままこ)又はダマともいう。
【0029】
前記嵩密度は、ゆるみ嵩密度である。
前記嵩密度は、粉体特性評価装置(ホソカワミクロン社製パウダーテスターPT-X)を用いて測定することができる。測定は、装置の説明書に準じて行う。
【0030】
<粒子径D50
前記アニオン性凝集剤の粒子径D50は、250μm以上850μm以下であり、300μm以上800μm以下が好ましい。
前記粒子径D50が、250μm未満であると、水を含む被処理物に前記アニオン性凝集剤を添加した際に、前記アニオン性凝集剤が浮きやすなり、分散性が劣る結果、前記被処理物中に前記アニオン性凝集剤の塊ができ、取り扱いにくくなる。
前記粒子径D50が、850μmを超えると、凝集剤の流動性が悪くなりホッパー内でブリッジ又はラットホールが発生しやすくなる。また粒子径が大きくなると凝集剤を水に溶解する際に溶解に長い時間が必要になる。
前記粒子径D50は、メディアン径であり、頻度の累積が50%になる粒子径を指す。
【0031】
<粒子径D10
前記アニオン性凝集剤の粒子径D10は、150μm以上であり、200μm以上が好ましい。
前記粒子径D10が、150μm未満であると、微粉が多くなり、水を含む被処理物に前記アニオン性凝集剤を添加した際に、前記アニオン性凝集剤が浮きやすなり、分散性が劣る結果、前記被処理物中に前記アニオン性凝集剤の塊ができ、取り扱いにくくなる。
前記粒子径D10は、頻度の累積が10%になる粒子径を指す。
【0032】
なお、通常、前記粒子径D10は、前記粒子径D50よりも小さい。前記粒子径D50と、前記粒子径D10との差(D50-D10)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm以上300μm以下が好ましく、100μm以上200μm以下がより好ましい。
【0033】
前記粒子径D50及び前記粒子径D10は、散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA製レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950V2+乾式測定ユニット)を用いて測定することができる。測定は、装置の説明書に準じて行う。
【0034】
前記アニオン性凝集剤は、例えば、水浄化に用いられる水浄化剤である。
前記アニオン性凝集剤は、例えば、汚泥を脱水し濃縮するために用いられる汚泥の濃縮剤である。
【0035】
(アニオン性凝集剤の製造方法)
本発明のアニオン性凝集剤の製造方法は、本発明の前記アニオン性凝集剤を製造する方法である。
前記アニオン性凝集剤の製造方法は、混練物作製工程と、造粒工程と、乾燥工程と、解砕工程と、分級工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0036】
<混練物作製工程>
前記混練物作製工程としては、前記ガラクトマンナンと、前記多糖類(前記ガラクトマンナン以外の多糖類)と、水とを混練して混練物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
前記混練物作製工程においては、前記ガラクトマンナンと、前記多糖類(前記ガラクトマンナン以外の多糖類)と、水とを一度に混合して得られる混合物を練って混練物を得てもよい。
また、前記混練物作製工程においては、前記ガラクトマンナンと、前記多糖類とを混合して混合物を得た後に、前記混合物に水を加え、その後、水を加えた前記混合物を練って混練物を得てもよい。
前記混練物作製工程としては、前記ガラクトマンナンと、前記多糖類とを混合して混合物を得た後に、前記混合物に水を加え、その後、水を加えた前記混合物を練って混練物を得ることが、所望の粒子径及び嵩密度の顆粒物を得やすい点から好ましい。
【0038】
前記混練物作製工程における、前記ガラクトマンナン及び前記多糖類の合計に対する水の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上250質量%以下が好ましく、10質量%以上100質量%以下がより好ましく、10質量%以上60質量%以下が特に好ましい。前記使用量が特に好ましい範囲であると、粒子径及び嵩密度を調整しやすい点で有利である。
【0039】
<造粒工程>
前記造粒工程は、前記混練物を、押出造粒又は攪拌造粒により造粒して造粒物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
混練物を造粒する方法としては、押出造粒方式、攪拌造粒方式、シート化造粒方式などが挙げられるところ、前記ガラクトマンナンと前記多糖類とを含有する混合物を造粒する際には、押出造粒方式又は攪拌造粒方式の方が、シート化造粒方式に比べ歩留まり率が高く、高生産性となる。具体的には、押出造粒方式又は攪拌造粒方式の方が、シート化造粒方式に比べ分級の際のロスが少ない。更には、攪拌造粒方式よりも押出造粒方式の方が、分級の際のロスが少なく、攪拌造粒方式よりも押出造粒方式の方が高生産性である。
【0040】
ここで、押出造粒とは、前記混練物の湿塊を小孔から円柱状に押し出して造粒する方法である。
攪拌造粒とは、前記混練物を容器に入れ攪拌しながら液体の結合剤を添加して粒子を凝集させて造粒する方法である。
シート化造粒とは、乾式造粒の一種で、粉体を2つのローラ間で押し潰して原材料をシート状にした後に粉砕して造粒する方法である。
【0041】
例えば、前記混練物作製工程における水分量、及び前記造粒工程における造粒条件を適宜調整することで、製造される前記アニオン性凝集剤を所望の嵩密度に調整することができる。
【0042】
<乾燥工程>
前記乾燥工程としては、前記造粒物を乾燥させて乾燥物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記乾燥物における水分量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%以下であることが好ましい。
【0043】
前記乾燥工程は、例えば、振動流動層乾燥機、熱風乾燥機などにより行うことができる。
【0044】
前記乾燥工程を行うことで、続く解砕工程において、解砕がしやすくなり、高生産性となる。
【0045】
<解砕工程>
前記解砕工程としては、前記乾燥物を解砕して解砕物を得る工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0046】
前記解砕工程では、例えば、粉砕機などにより行うことができる。
前記粉砕機としては、例えば、圧縮粉砕機、せん断粉砕機、衝撃粉砕機、ボール媒体粉砕機、気流粉砕機などが挙げられる。
【0047】
<分級工程>
前記分級工程としては、前記解砕物を分級する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0048】
前記分級工程は、例えば、前記分級工程は、篩を用いた篩い分けや、重力分級機、遠心分級機(サイクロン式分級機)、慣性分級機などを用いて行うことができる。
【0049】
例えば、前記解砕工程の解砕条件、及び前記分級工程の分級条件を適宜調整することで、製造される前記アニオン性凝集剤を所望の粒子径、及び粒度分布に調整することができる。
【0050】
(処理方法)
本発明の処理方法は、本発明の前記アニオン性凝集剤を被処理物に添加し、前記被処理物を処理する方法である。
前記処理としては、例えば、水浄化処理、汚泥の濃縮処理などが挙げられる。
【0051】
前記処理方法は、更に、無機凝集剤、及びカチオン性凝集剤の少なくともいずれかを前記被処理物に添加する処理方法であることが好ましい。
前記アニオン性凝集剤と前記無機凝集剤とを組み合わせることにより、前記アニオン性凝集剤単体の使用よりも水を含む前記被処理物の粘度を高粘度化できる結果、凝集効果が高まり、水浄化処理、汚泥の濃縮処理などの処理効果が高くなる。
前記アニオン性凝集剤と前記カチオン性凝集剤とを組み合わせることにより、前記アニオン性凝集剤単体の使用よりも水を含む前記被処理物の粘度を高粘度化できる結果、凝集効果が高まり、水浄化処理、汚泥の濃縮処理などの処理効果が高くなる。
【0052】
前記処理方法は、前記アニオン性凝集剤と、前記無機凝集剤、及び前記カチオン性凝集剤の少なくともいずれかとを前記被処理物に同時に添加する処理方法であってもよい。
また、前記処理方法は、前記アニオン性凝集剤を前記被処理物に添加した後に、前記無機凝集剤、及び前記カチオン性凝集剤の少なくともいずれかを前記被処理物に添加する処理方法であってもよい。
また、前記処理方法は、前記無機凝集剤、及び前記カチオン性凝集剤の少なくともいずれかを前記被処理物に添加した後に、前記アニオン性凝集剤を前記被処理物に添加する処理方法であってもよい。
これらの中でも、一般的に懸濁粒子表面はマイナスに帯電しているためカチオン性凝集剤を投入することによって懸濁粒子同士を結合させ、その後アニオン性凝集剤を投入することで架橋作用により大きなフロックが形成される点から、前記無機凝集剤、及び前記カチオン性凝集剤の少なくともいずれかを前記被処理物に添加した後に、前記アニオン性凝集剤を前記被処理物に添加する処理方法であることが、好ましい。
【0053】
前記無機凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム系無機凝集剤、鉄系無機凝集剤、消石灰などが挙げられる。
前記アルミニウム系無機凝集剤としては、例えば、前記ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。
前記鉄系無機凝集剤としては、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、ポリ硫酸鉄(III)、ポリシリカ鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)などが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
前記カチオン性凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン性多糖類、前記カチオン性多糖類以外のカチオン性有機凝集剤などが挙げられる。
前記カチオン性多糖類としては、例えば、キトサン、オリゴグルコサミン(キトサンオリゴ糖)、カチオン化澱粉、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガムなどが挙げられる。
前記カチオン性有機凝集剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアミジン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
前記処理方法に用いる前記アニオン性凝集剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1Lの前記被処理物に対して、0.01mg以上50mg以下であってもよいし、0.05mg以上20mg以下であってもよい。
前記処理方法に用いる前記無機凝集剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1Lの前記被処理物に対して、1mg以上200mg以下であってもよいし、10mg以上50mg以下であってもよい。
前記処理方法に用いる前記カチオン性凝集剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1Lの前記被処理物に対して、1mg以上500mg以下であってもよいし、10mg以上50mg以下であってもよい。
【0056】
前記処理方法に、前記アニオン性凝集剤(A)と、前記無機凝集剤、及び前記カチオン性凝集剤の少なくともいずれか(B)とを用いる場合、前記処理方法に用いる前記アニオン性凝集剤(A)と、前記無機凝集剤、及び前記カチオン性凝集剤の少なくともいずれか(B)との質量比率〔(A)/(B)〕としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.005以上10以下であってもよいし、0.05以上1以下であってもよいし、0.1以上0.5以下であってもよい。
【0057】
前記処理方法においては、例えば、前記被処理物が、被処理水であり、前記被処理水に、前記アニオン性凝集剤を添加し、前記被処理水を浄化する。この処理方法においては、上水道用、工場等の用水用などの多様な用途の水処理を行うことができる。
【0058】
前記処理方法においては、例えば、前記被処理物が、浄水処理のろ過池の洗浄排水であり、前記洗浄排水に、前記アニオン性凝集剤を添加し、前記洗浄排水を浄化する。
【0059】
前記処理方法においては、例えば、前記被処理物が、汚泥であり、前記アニオン性凝集剤を前記汚泥に添加し、前記汚泥を脱水し濃縮する。
【0060】
前記処理方法においては、例えば、前記被処理物が、工場排水を含有する被処理水であり、前記アニオン性凝集剤を前記被処理水に添加し、前記被処理水から汚濁物質を除去する。
前記汚濁物質としては、例えば、フッ素、浮遊物質(SS)、重金属、シアン、リンなどが挙げられる。
【0061】
前記処理方法に用いる浄水処理設備としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、横流式沈殿設備を有する浄水施設、高速凝集沈殿設備を有する浄水設備などが挙げられる。
前記高速凝集沈殿設備としては、例えば、スラリー循環型、スラッジ・ブランケット型などが挙げられる。
【0062】
前記処理方法に用いる浄水場の排水処理設備としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重力濃縮、機械脱水、天日乾燥などが挙げられる。
【0063】
以下、本発明の前記処理方法の一例を図を用いて説明する。
図1は、横流式沈殿設備を有する浄水施設を例として図示するフロー図である。
懸濁物質を含有する原水(被処理水)は、原水導入管を通り、必要であれば着水井1(着水池)を経て凝集混和槽2(混和池)に送られる。凝集混和池2には、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の無機凝集剤、又はキトサン、カチオン化澱粉等のカチオン性凝集剤が注入され、急速撹拌により原水中の懸濁物質を取り込んだ微細凝集フロック(マイクロフロック)が形成される。無機凝集剤の注入量は原水の水質にもよるが、例えば、10mg/リットル~500mg/リットルの範囲である。
マイクロフロックを含む原水は、その後、フロック形成槽3(形成池)で緩速撹拌され、原水中のマイクロフロックが更に成長する。この際、マイクロフロックを含む原水がフロック形成槽3に流入する前後に、マイクロフロックを含む原水に本発明のアニオン性凝集剤を添加する。アニオン性凝集剤の添加量としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、原水1リットル当たり0.01mg~20mgや、0.05mg~10mgの範囲が挙げられる。
アニオン性凝集剤を添加しながら、または添加した後に緩速撹拌し、フロックを成長させる。緩速撹拌の撹拌速度(回転数)は、例えばG値(単位時間単位体積あたりの仕事量Pから被処理水の粘性係数μを除した値の平方根、日本水道協会水道施設設計指針2000、P188)が無機凝集剤添加時の急速撹拌よりも低エネルギーになるよう設定し、フロックを成長させる。
フロックの成長により、沈殿池4での固液分離性が向上するだけではなく、微細なフロックも成長したフロックに取り込まれるので、凝集沈殿処理水の懸濁物質(Suspended solid,以下SSとも称する)や濁度が低下し、後段のろ過処理の負担も軽減する。
フロックを成長させた後の原水は、沈殿池4へ送られ、成長した凝集フロックを重力で沈降分離させ、懸濁物質が除去された凝集沈殿処理水は砂ろ過池5に通水されて、濁質や微細なフロックが除去される。砂ろ過池5のろ材は特に限定されないが、珪砂やアンスラサイトが最も一般的で、珪砂だけの場合や、珪砂とアンスラサイトをろ過材に使用する複層ろ過などがある。
砂ろ過池5から配水池6へ送られる際に塩素が投入され、配水池6において塩素殺菌が行われ、配水池6を出た被処理水は水道水として利用される。
【0064】
図2に、図1の砂ろ過池の洗浄排水や凝集沈殿処理で発生する浄水汚泥を処理するフローを示す。
砂ろ過池5の洗浄排水は、排水池7で固液分離されて、汚泥部分は排泥池8に、越流水は返流水として、上述した浄水施設の着水井1に返送される。上述した浄水施設の沈殿池4又は他の施設の凝集沈殿処理で発生する浄水汚泥は、排泥池8を経由して濃縮槽9で濃縮される。濃縮された浄水汚泥は脱水される。濃縮槽9の越流水は返流水として、着水井1に返送される。
このように、排水池7や濃縮槽9で処理済みの排水処理水は浄水施設の水道原水が流入する着水井1に戻されて、水道水や用水の原料になる。他方、排水処理で発生する固形物(汚泥)は、機械脱水機10や天日乾燥床11により水分が除去される。得られた脱水ケーキや乾燥物は、土壌改良材などとして有効利用が可能である。なお、機械脱水では薬品を注入しない無薬注が基本であり、加圧脱水式(フィルタープレス型)脱水機が主流である。
図2では、砂ろ過池5の洗浄排水が排水池7へ流入する前後で、洗浄排水に本発明のアニオン性凝集剤を添加する。洗浄排水中の懸濁物質(SS)はアニオン性凝集剤の添加により凝集が促進されるので、排水池7での固液分離性が向上し、排水池7からの越流水、即ち返流水のSS濃度が低下して、返流水によるSS負荷が低減される。従って、返流先(浄水施設)の凝集工程では、無機凝集剤の削減が可能になり、また、沈澱池4での固液分離性も向上する。
また、沈殿池4から排泥される汚泥は通常固形分濃度が薄いので、濃縮槽9流入前の洗浄汚泥に対して本発明のアニオン性凝集剤を添加し、洗浄汚泥を濃縮してもよい。濃縮槽9における濃縮方法は、例えば、重力濃縮、ベルト濃縮などが挙げられる。
【0065】
図3に、汚濁物質としてのフッ素を含有する工場排水のフッ素の処理例のフローを示す。以下の処理例は、カルシウムとアルミニウムとを併用した高度処理法である。カルシウムのみの処理の場合、フッ素濃度を8ppm以下にすることは難しいが、以下の高度処理法では、フッ素濃度を1ppm以下にすることも可能である。
まず、原水(フッ素を含有する工場排水)を、第一反応槽51に投入する。そして、第一反応槽51にフッ素と反応する第1無機凝集剤〔Ca(OH)、CaClなど〕と、pH調整剤(例えば、硫酸、水酸化ナトリウムなど)とを投入し、pHを調整しつつ、撹拌を行い、フッ素の無機塩(例えば、フッ化カルシウム)を析出させる。そして、それを第一凝集槽52に移動させ、第一凝集槽52に、本発明のアニオン性凝集剤を投入し、撹拌を行い、フッ素の無機塩の析出物を凝集させる。次に、凝集物を含む原水を第一次沈殿槽53に移動し、静置して、生成した凝集物を第一次沈殿槽53において沈殿させる。
次に、第一次沈殿槽53内の上澄み液を第二反応槽54に移動させる。そして、第二反応槽54に、残留するフッ素と反応する第2無機凝集剤〔PAC、硫酸バンドなど〕と、pH調整剤(例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムなど)とを投入し、pHを調整しつつ、撹拌を行い、フッ素の無機塩(例えば、AlF)を析出させる。そして、それを第二凝集槽55に移動させ、第二凝集槽55に、本発明のアニオン性凝集剤を投入し、撹拌を行い、フッ素の無機塩の析出物を凝集させる。次に、凝集物を含む原水を第二次沈殿槽56に移動し、静置して、生成した凝集物を第二次沈殿槽56において沈殿させる。
第二次沈殿槽56内の上澄みが、処理水となる。
一方、第一次沈殿槽53、及び第二次沈殿槽56内の沈殿物は、汚泥濃縮槽57に送られ、重力濃縮、ベルト濃縮などの濃縮方法により濃縮される。濃縮物は、加圧脱水式(フィルタープレス型)脱水機などの機械脱水機58に送られ、脱水されて脱水ケーキとなる。
【実施例
【0066】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
ガラクトマンナン(グアーガム、商品名:グリンステッドグアー175、ダニスコ社製)80質量部と、他の多糖類(キサンタンガム、商品名:ケルザン、CPケルコ社社製)20質量部と、水40質量部とを混練した後に、押出造粒機を用いて押出造粒(回転数:30rpm、スクリーン径φ0.8mm)を行い、更に乾燥機を用いた乾燥(120℃、30分)、解砕機を用いた解砕(1000rpm、スクリーン径φ5mm)及び分級機を用いた分級(篩目開き:850μm)を行って、アニオン性凝集剤を得た。
押出造粒機としては、菊水製作所製のバスケット式湿式造粒機を用いた。
乾燥機としては、ゴダイエンジニアリング社製のコンベア型乾燥機を用いた。
解砕機としては、オリエント機械社製のオリエントミルを用いた。
分級機としては、ダルトン社製の振動式分級機を用いた。
【0068】
<嵩密度>
製造したアニオン性凝集剤の嵩密度(ゆるみ嵩密度)を以下のようにして測定した。
100ccのステンレス製コップに測定試料を静かに入れ、粉体特性評価装置(ホソカワミクロン社製パウダーテスターPT-X)を用いて測定した。測定は、装置の説明書に準じて行った。
【0069】
<粒子径(D50)及び(D10)>
粒子径D50及び粒子径D10は、散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA製レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950V2+乾式測定ユニット)を用いて測定した。測定は、装置の説明書に準じて行った。
【0070】
(実施例2~8)
実施例1において、ガラクトマンナンと、他の多糖類とを、表1に示す材料、及び質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表1に示した。
【0071】
(実施例9)
実施例2において、押出造粒機の回転数を25rpmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表2に示した。
【0072】
(実施例10)
実施例2において、押出造粒機の回転数を35rpmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表2に示した。
【0073】
(実施例11)
実施例2において、分級機における篩目開きを425μmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表2に示した。
【0074】
(実施例12)
実施例2において、分級機における篩目開きを1mmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表2に示した。
【0075】
(実施例13)
実施例2において、分級機において篩目開きがそれぞれ710μm、及び1mmの2つの篩を用い、目開き710μmの篩上に残ったものを用いた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表2に示した。
【0076】
(比較例1)
実施例2において、押出造粒機の回転数を20rpmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表3に示した。
【0077】
(比較例2)
実施例2において、押出造粒機の回転数を50rpmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表3に示した。
【0078】
(比較例3)
実施例2において、分級機において篩目開きがそれぞれ150μm、及び300μmの2つの篩を用い、目開き150μmの篩上に残ったものを用いた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表3に示した。
【0079】
(比較例4)
実施例2において、分級機における篩目開きを1.4mmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表3に示した。
【0080】
(比較例5)
実施例2において、分級機における篩目開きを355μmに変えた以外は、実施例2と同様にして、アニオン性凝集剤を得た。
得られたアニオン性凝集剤について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表3に示した。
【0081】
(比較例6)
実施例1において、ガラクトマンナン80質量部と、他の多糖類20質量部とを、グアーガム100質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、造粒物を得た。
得られた造粒物について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表4に示した。
【0082】
(比較例7)
実施例1において、ガラクトマンナン80質量部と、他の多糖類20質量部とを、タラガム100質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、造粒物を得た。
得られた造粒物について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表4に示した。
【0083】
(比較例8)
実施例1において、ガラクトマンナン80質量部と、他の多糖類20質量部とを、キサンタンガム100質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、造粒物を得た。
得られた造粒物について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表4に示した。
【0084】
(比較例9)
実施例1において、ガラクトマンナン80質量部と、他の多糖類20質量部とを、カラギーナン100質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、造粒物を得た。
得られた造粒物について、実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表4に示した。
【0085】
(比較例10)
市販のポリアクリルアミド凝集剤(FLOPAM AN926VHM、SNF社製、アクリル酸/アクリルアミド共重合物)を、比較例10の凝集剤として用いた。
実施例1と同様に、嵩密度、及び粒子径(D50及びD10)を測定した。結果を表4に示した。
【0086】
<粘度>
実施例1~13、及び比較例1~9の造粒物、並びに比較例10の凝集剤それぞれ0.2質量部を、純水100質量部に溶解させて水溶液を得た。
得られた水溶液の25℃における粘度を、B型粘度計(回転速度:30rpm)を用いて測定した。結果を表1~表4に示した。
【0087】
<粘度上昇率>
実施例1~13及び比較例1~5について、上記で求めた粘度について、ガラクトマンナン単独、又は多糖類単独の場合と比べた際の粘度について、粘度上昇率として求めた。
粘度上昇率(%)=100×(混合物の粘度)/(単独の粘度)
【0088】
<塊(ダマ)の評価>
アニオン性凝集剤を純水に0.2質量%投入し250rpmで撹拌して溶解状態を目視で確認した。
〔評価基準〕
〇:30分以内にアニオン性凝集剤が溶解した。
△:30分超40分以内でアニオン性凝集剤が溶解した。(30分経過時に小さな塊(ダマ)が残っている。)
×:40分後でも塊(ダマ)が残っている。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
表1~表4で用いた多糖類の詳細は以下の通りである。
・グアーガム:グリンステッドグアー175(商品名)、ダニスコ社製
・タラガム:スピノガム(商品名)、扶桑化学工業社製
・キサンタンガム:ケルザン(商品名)、CPケルコ社製
・カラギーナン:ゲニュービスコCSW-2(商品名)、CPケルコ社製
【0094】
<水浄化性能(凝集性能)>
凝集剤を用いた水浄化性能について以下の方法で評価を行った。
カオリン10g/Lを含む原水(濁度=10,000度[カオリン]、25℃)に、表5~表9に記載の無機凝集剤又はカチオン性凝集剤を、原水1Lに対してAlとして20mgとなるように添加した。その後、NaOHを添加して、pHを7.0に調整した。その後、実施例1~13及び比較例1~5のアニオン性凝集剤、並びに比較例6~10の凝集剤を、原水1Lに対して5mg添加した。その後、150rpmで1分間、40rpmで2分間撹拌した後、静置し、1分後、10分後、(60分後)に上澄みの濁度を測定した。測定は、JIS K 0101:1998(工業用水試験方法 9.2 透過光濁度)に準じ、分光光度計HACH社製DR 3900を用いた。また、無機凝集剤のみを用い、実施例・比較例の凝集剤を用いない例を、参考例1として行った。そして、以下の評価基準で評価した。これらの結果を表5~表9に示した。
〔評価基準〕
○:10分後の濁度が10度[カオリン]未満
△:10分後の濁度が10度[カオリン]以上50度[カオリン]未満
×:10分後の濁度が50度[カオリン]以上
【0095】
<凝集・凝結性能>
以下の評価基準に従い、目視で評価した。
〔評価基準〕
○:沈降物が多くて、フロックはある程度沈降しており、上澄みに濁りが少なく透明に近い。
×:沈降物が少なくて、フロックはあまり沈降しておらず、上澄みに濁りが多く透明ではない。
【0096】
<脱水汚泥の含水率>
加熱乾燥式水分計(エー・アンド・デイ社製水分計MX-50)を用いて加熱温度105℃で測定した。測定は、装置の説明書に準じて行った。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
【表8】
【0101】
【表9】
【0102】
実施例1~13及び比較例1~5の結果より、ガラクトマンナンと、前記ガラクトマンナン以外の多糖類とを含有するアニオン性凝集剤において、嵩密度が、0.50g/cm以上1.00g/cm以下であり、粒子径D50が、250μm以上850μm以下であり、かつ粒子径D10が、150μm以上であることにより、塊(ダマ)の発生を抑えることができ、取り扱い易かった。
実施例14~26と、比較例16~19との対比から、多糖類単独のアニオン性凝集剤よりも、ガラクトマンナンと、前記ガラクトマンナン以外の多糖類とを含有するアニオン性凝集剤の方が、10分後の濁度がより低く、水浄化性能が優れていた。
なお、実施例27~32の水浄化性能が、比較例16~19の水浄化性能よりも低い場合があるのは、無機凝集剤又はカチオン性凝集剤の種類が異なるためである。なお、例えば、同じ無機凝集剤を用いた実施例14と比較例16~19とを比較すると、実施例14の方が優れた水浄化性能を示している。
【0103】
・ポリ塩化アルミニウム(PAC):PAC250A(商品名)、多木化学社製
・ポリ硫酸鉄(III):ポリテツ(商品名)、日鉄鉱業社製
・ポリシリカ鉄:PSI-025(商品名)、大槻理化学社製
・塩化鉄(III):塩化鉄(III)・六水和物:富士フイルム和光純薬社製
・キトサン:コーヨーキトサンSK-10(商品名)、甲陽ケミカル社製
・カチオン化澱粉:M-350B(商品名)、昭和産業社製
・カチオン化グアーガム:ラボールガムCG-M(商品名)、DSP五協フード&ケミカル社製
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のアニオン性凝集剤は、ポリアクリルアミド系の凝集剤を用いない場合でも、凝集性能に優れるため、ノニオン性またはアニオン性高分子凝集剤を使用する排水処理(例えば、汚濁物質としてフッ素、浮遊物質(SS)、重金属、シアン、リン等を含む工場排水処理等)、水浄化処理や汚泥の濃縮に好適に用いることができる。
図1
図2
図3