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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】光学センサを保護するための装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20230529BHJP
   B60R 1/00 20220101ALI20230529BHJP
   B60S 1/60 20060101ALI20230529BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230529BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20230529BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230529BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20230529BHJP
【FI】
G03B17/56 H
B60R1/00
B60S1/60
G03B17/02
G03B17/08
G03B15/00 V
H04N23/52
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019563541
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2018062884
(87)【国際公開番号】W WO2018211004
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】1754343
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ブルタグノル
(72)【発明者】
【氏名】マルセル、トレブー
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0034729(KR,A)
【文献】特開2011-155468(JP,A)
【文献】特開2008-165093(JP,A)
【文献】特表2013-523372(JP,A)
【文献】特開2009-246932(JP,A)
【文献】特開2007-121846(JP,A)
【文献】特開2013-174639(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0201127(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0212332(US,A1)
【文献】特開平07-287151(JP,A)
【文献】特開2000-171871(JP,A)
【文献】実開平04-116834(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0217782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
B60R 1/00
B60S 1/60
G03B 17/02
G03B 17/08
G03B 15/00
H04N 23/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両(100)用の光学センサ(13)であって、光学系(14)を備えた光学センサ(13)を保護するための保護装置(3)において、
前記保護装置(3)は、
‐回転軸(A1)を中心として回転可能に装着されたケース(6)であって、前記光学センサ(13)を受容するように構成されたハウジング(19)を有するケース(6)と、
‐前記ケース(6)に堅固に接続された光学素子(9)であって、前記光学センサ(13)の視界内に配置されるように構成された光学素子(9)と、
‐前記ケース(6)と前記光学素子(9)とを回転させるように前記ケース(6)に結合されたアクチュエータ(5)と、
を含み、
前記アクチュエータ(5)は、ロータ(51)とステータ(53)とを含み、
前記ロータ(51)及び前記ステータ(53)は、前記アクチュエータが内部ロータを有するモータであるように構成され、
前記ロータ(51)は、磁性体(55)を支持する作動部分(511)と、ガイド部分(512)と、前記ケース(6)に堅固に接続された駆動部分(513)とを形成する3つの連続する部分を含む、
ことを特徴とする保護装置(3)。
【請求項2】
自動車両(100)用の光学センサ(13)であって、光学系(14)を備えた光学センサ(13)を保護するための保護装置(3)において、
前記保護装置(3)は、
‐回転軸(A1)を中心として回転可能に装着されたケース(6)であって、前記光学センサ(13)を受容するように構成されたハウジング(19)を有するケース(6)と、
‐前記ケース(6)に堅固に接続された光学素子(9)であって、前記光学センサ(13)の視界内に配置されるように構成された光学素子(9)と、
‐前記ケース(6)と前記光学素子(9)とを回転させるように前記ケース(6)に結合されたアクチュエータ(5)と、
を含み、
前記アクチュエータ(5)は、ロータ(51)とステータ(53)とを含み、
前記ロータ(51)及び前記ステータ(53)は、前記アクチュエータが内部ロータを有するモータであるように構成され、
前記アクチュエータ(5)は、中空モータであり、
前記光学センサ(13)は、一方の軸方向端部において、前記中空モータ内の前記ロータ(51)の内部に少なくとも部分的に収容された支持シャンク(17)により延長される、
ことを特徴とする保護装置(3)。
【請求項3】
自動車両(100)用の光学センサ(13)であって、光学系(14)を備えた光学セ
ンサ(13)を保護するための保護装置(3)において、
前記保護装置(3)は、
‐回転軸(A1)を中心として回転可能に装着されたケース(6)であって、前記光学センサ(13)を受容するように構成されたハウジング(19)を有するケース(6)と、
‐前記ケース(6)に堅固に接続された光学素子(9)であって、前記光学センサ(13)の視界内に配置されるように構成された光学素子(9)と、
‐前記ケース(6)と前記光学素子(9)とを回転させるように前記ケース(6)に結合されたアクチュエータ(5)と、
を含み、
前記アクチュエータ(5)は、ロータ(51)とステータ(53)とを含み、
前記ロータ(51)及び前記ステータ(53)は、前記アクチュエータが内部ロータを有するモータであるように構成され、
前記ケース(6)と前記ロータ(51)との間のリンクを形成する中間部品(54)を含む、
ことを特徴とする保護装置(3)。
【請求項4】
前記駆動部分(513)は、前記作動部分(511)の平均直径の値より大きい値の平均直径を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の保護装置(3)。
【請求項5】
前記ロータ(51)の少なくとも一部が、前記ステータ(53)により画成される容積の内部において延び、
前記ロータ(51)の前記少なくとも一部は、磁性体(55)を支持する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項6】
前記ケース(6)は、前記ロータ(51)に直接固定される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項7】
前記ロータ(51)は、磁性体(55)を支持する作動部分(511)を含み、
前記中間部品(54)は、前記ケース(6)に堅固に接続された駆動部分(513)と、前記ロータの前記駆動部分を前記作動部分にリンクするガイド部分(512)と、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の保護装置(3)。
【請求項8】
前記中間部品(54)は、前記ガイド部分(512)を延長するとともに、前記ステータの部のうちの一方に重なる重なりリング(540)を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の保護装置(3)。
【請求項9】
前記保護装置は、可動部(31)と固定部(33)とを含み、前記可動部(31)は、少なくとも前記ロータ(51)と前記ケース(6)とを含み、前記固定部は少なくともステータ(53)を含む、ことを特徴とするとともに、
前記保護装置は、前記可動部(31)と前記固定部(33)との間に配置された1つ又は2つ以上の転がり軸受(27、28)を含む、ことを特徴とする、
請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の保護装置(3)。
【請求項10】
前記転がり軸受(27、28)のうちの少なくとも一方は、前記ロータ(51)と前記支持シャンク(17)との間に配置される、
ことを特徴とする請求項2と組み合わせた請求項9に記載の保護装置(3)。
【請求項11】
前記ステータ(53)は、前記ケースの前記回転軸に対して垂直である横断壁(531)であって、前記光学素子(9)の反対方向に配置された横断壁(531)を含み、
前記横断壁は、前記支持シャンク(17)の端部を受容するためのスリーブ(532)を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の保護装置(3)。
【請求項12】
光学センサと、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の前記光学センサを保護するための保護装置と、を含む運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運転支援の分野に関し、特に、特定の車両に設置された運転支援システムに関する。運転支援システムは、例えば特に少なくとも1つのレンズを備えた対物レンズを備えるカメラ等の光学センサを含み得る。より具体的には、本発明は、このような光学センサを保護するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ビュー用のフロントカメラ、リアカメラ、又はサイドカメラが多くの車両に設けられている。特に、これらは、駐車支援システムや車線逸脱検知システム等の運転支援システムの一部である。
【0003】
車両のリアウィンドウから後部に向けられたリアウィンドウ/ガラスに向けて車両の車室内に取り付けられるカメラが知られている。これらのカメラは、外部の天候による影響や有機又は無機汚染物質による汚染から十分に保護されている。しかしながら、車室に取り付けられたこのようなカメラの視野角は、特に駐車支援について最適ではない。なぜならば、これらのカメラでは、例えば車両の後方付近に位置する障害物を見ることができないからである。
【0004】
このため、運転支援システムのカメラを、希望する用途に応じて車両外部の種々の箇所、例えば、車両のリア又はフロントバンパーや前方又は後方のナンバープレートに取り付けることが好適である。この場合、カメラはその光学部品に付着し得る無機又は有機の汚れの飛沫を強度に受け、これによりカメラの有効性が低下するか動作不能になる。特に、雨が降ると、雨や汚れの飛沫により、このようなカメラを備えた運転支援システムの操作性が大きく影響を受ける可能性がある。良好な動作状態を確保するために、カメラの光学部品の表面を洗浄する必要がある。
【0005】
カメラへの汚れの堆積に対処するように、カメラの光学部品を洗浄するための装置、一般的には洗浄液ジェットをその付近に配置して、経時的に堆積した汚染要素を除去することが知られている。しかしながら、このようなジェットを使用すると、大量の洗浄液を使用する必要があるため、運転支援システムの作動コストが増加する。
【0006】
最後に、本件出願人は、カメラの光学部品を洗浄するための別の装置を開発した。本装置は、回転軸を中心として回転可能に装着されたケースと、光学センサを受容するように構成されたハウジングと、ケースに堅固に接続された光学素子と、アクチュエータと、を含んでいる。光学素子は、光学センサの視界に配置された少なくとも1つの透明な表面を有している。アクチュエータは、ケース及び光学素子を回転させて遠心力によって汚れを除去するように、ケースに連結されている。文書WO2018/019662号は、このような洗浄装置を開示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、本文書に示す洗浄装置の代替物を保護することである。本発明の代替物は、特にアクチュエータの形状と、それがケースと協働する点で優れた特徴を有している。
【0008】
この文脈において、本発明は、
自動車両用の光学センサであって、光学系を備えた光学センサを保護するための装置において、
前記装置は、
回転軸を中心として回転可能に装着されたケースであって、前記光学センサを受容するように構成されたハウジングを有するケースと、
前記ケースに堅固に接続された光学素子であって、前記光学センサの視界内に配置されるように構成された光学素子と、
前記ケースと前記光学素子とを回転させるように前記ケースに結合されたアクチュエータと、
を含み、
前記アクチュエータは、ロータとステータとを含み、
前記ロータ及び前記ステータは、前記アクチュエータが内部ロータを有するモータであるように構成されることを特徴とする装置、に関する。
【0009】
好適には、前記ロータの少なくとも一部が、前記ステータにより画成される容積の内部において延び、前記ロータの前記少なくとも一部は、磁性体を支持する。
【0010】
有利には、本発明は、回転部をモータの中心に配置することを可能とする。このため、磁性体を支持するロータの回転により生じるノイズや不均衡が低減され得る。
【0011】
この特徴は、特にロータの階段状のプロファイル、及び、必要な場合、当該ロータに関連付けられる中間部品を伴う。これにより、一方の端部を、光学センサを取り囲むように十分な大きさを有さなければならないケースとともに回転するように拘束することができるとともに、他方の端部を、ケースの回転軸に可能な限り近接させてアクチュエータの占有区間の全体を縮小することができる。
【0012】
前記ケースは、前記ロータに直接固定され得る。この場合、前記ロータは、磁性体を支持する作動部分と、ガイド部分と、前記ケースに堅固に接続された駆動部分とを形成する3つの連続する部分を含み得る。好適には、前記駆動部分は、前記作動部分の平均直径の値より大きい値の平均直径を有する。好適には、このようなロータは、一部品からなる。
【0013】
或いは、前記保護装置は、前記ケースと前記ロータとの間のリンクを形成する中間部品を含み得る。この場合、前記ロータは、磁性体を支持する作動部分を含み、前記中間部品は、前記ケースに堅固に接続された駆動部分と、前記ロータの前記駆動部分を前記作動部分にリンクするガイド部分と、を含む。前記中間部品は、前記ガイド部分を延長するとともに、前記ステータの前記端部のうちの一方に重なる重なりリングを更に有し得る。
【0014】
本発明の単独でも組み合わせてもよい種々の特徴によれば、以下の事項が可能である。
‐前記アクチュエータは、中空モータである。
‐前記光学センサは、一方の軸方向端部において、前記中空モータ内の前記ロータの内部に少なくとも部分的に収容された支持シャンクにより延長される。
‐前記保護装置は、可動部と固定部とを含み、前記可動部は、少なくとも前記ロータと前記ケースを含み、前記固定部は少なくともステータを含む。また、前記保護装置は、前記可動部と前記固定部との間に配置された少なくとも1つの、好適には2つの転がり軸受を含む。
‐前記転がり軸受のうちの少なくとも一方は、前記ロータと前記支持シャンクとの間に配置される。
‐前記ステータは、前記ケースの前記回転軸に対して垂直である横断壁であって、前記光学素子の反対方向に配置された横断壁を含み、前記横断壁は、前記支持シャンクの端部を受容するためのスリーブを含む。
【0015】
また、本発明は、光学系を備えた光学センサを含む運転支援システムに関する。本発明によれば、前記システムは、上述の光学センサを保護するための装置を含む。
【0016】
本発明の他の特徴及び利点は、例示的且つ非限定的な例としてなされる以下の説明を添付図面を参照しつつ読むことでより明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による運転支援システムを備えた自動車両を概略的に示す図。
図2図1の支援システムの光学センサを保護するための装置の斜視図。
図3】第1実施形態による図2の保護装置の部分長手方向断面図。
図4】第2実施形態による図2の保護装置の部分長手方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明による少なくとも1つの運転支援システム1を設けられた自動車両100を示す。運転支援システム1は、特に、少なくとも1つの光学センサ13と、この光学センサ13を取り囲む、図2乃至4により明瞭に示す保護装置3と、を含む。
【0019】
図1に示す例によれば、運転支援システム1は、自動車両100の前方におけるバンパーに装着されている。当然ながら、変形例において、保護装置3は、車両100の後方において、例えばバンパーやナンバープレートに装着され得る。また、保護装置3は、車両の側方に、例えばバックミラーに装着してもよい。
【0020】
保護装置3は、車両100の任意の要素2に、例えば、車体要素、又はバンパー、バックミラー又はナンバープレート等に、既知の技術に従って取り付けることができる。この目的のために、クリップシステム、ねじ留めシステム、又は粘着システムを挙げることができるが、これは全てを網羅するものではない。
【0021】
保護装置3は、光学センサ13を受容し且つ収容するような構成を有し、そのような寸法を有している。
【0022】
光学センサ13は、例えば、カメラ等の画像記録光学センサである。光学センサ13は、CCD(「電荷結合素子(charged coupled device)」)や、小型のフォトダイオードのアレイを含むCMOSセンサであってもよい。別の変形例によれば、LIDARセンサと呼ばれる光検出及び測距センサであり得る。
【0023】
図2により明瞭に示すように、光学センサ13は、光軸15を有する光学系14を含んでいる。光学系14は、例えば対物レンズである。対物レンズは、少なくとも1つのレンズ、特には視界や解像度に応じて複数のレンズ、例えば2乃至10個のレンズ、一般に4乃至5個のレンズ、又はいわゆる魚眼光学系の場合には10個のレンズを含み得る。光学系14のレンズのうちの少なくとも1つは、例えば、いわゆる魚眼光学系のように、光学センサ13の外側を向くように配向された凸面を有する凸状(ドーム状)を有している。
【0024】
光学系14は、光学系を管理するための電子ユニット160が特に配置されたセンサ本体16の第1端部、すなわち前端部に装着される。更に、センサ本体は、光学センサ13の一部を形成する支持体17(図3及び4に図示)によって、軸方向に、すなわち光軸15に対して平行な方向において、後方に、すなわち光学系14から離れるように延びている。
【0025】
支持体17は、光軸15を中心とした回転によって生成される形状を持ち、センサ本体16に固定されるベース170と、ベースを軸方向に延長する支持シャンク171と、を有している。支持シャンク171は中空であり、本例では図示しないケーブルにより、光学系を管理する電子ユニット160を車両のネットワークに連結するケーブルの通過を可能としている。
【0026】
保護装置3は、回転軸A1を中心として回転可能に装着されたアタッチメント4であって、光学センサ13を保護する機能を有するアタッチメント4と、アタッチメント4を回転させるように構成されたアクチュエータ、より正確にはモータ5と、を含む。したがって、保護装置3は電動装置である。
【0027】
保護装置3のアタッチメント4は、ケース6と、このケース6に堅固に接続された光学素子9と、を含む。図示例において、光学素子9はケース6と一部品として製造されている。代替例において、ケース6と光学素子9とは、2つの堅固に接続された別部品として製造され得る。
【0028】
光学素子9及びケース6について、以下により詳細に説明する。
【0029】
ケース6に関して、これは実質的に平行な回転軸A1を中心として回転可能に装着される。必要な場合、回転軸A1は光軸15と一体である。
【0030】
好適には、ケース6は密閉されたケースである。ケース6は、当業者に公知の任意の適切な材料から製造され得る。
【0031】
より具体的には、このケース6は、光学素子9の回転を可能とするモータ5によって回転するように配置される。したがって、本特定例において、光学素子9はケース6とともに回転するように構成され、これにより、遠心効果によって光学素子9が洗浄され得る。
【0032】
光学素子9は、ケース6の前部に配置されるように構成される。保護装置3が車両100に装着された場合(図1も参照)、ケース6の前部は、光学センサ13が画像記録プロセスに関与する道路シーンに対面することが意図されたケース6の一部分から延びる。逆に、ケース6の後部は、ケース6の前部とは反対側のケース6の一部分から延びており、したがって、光学センサ13が画像記録プロセスに関与する道路シーンから最も遠くに離れた部分である。
【0033】
図示のように、センサ本体16がケース6に少なくとも部分的に収容され、且つ光学系14が光学素子9に対面するようにして、光学センサ13は保護装置に装着されている。この目的のために、例えば光学センサ13の光軸15がケース6の回転軸A1と一体になるようにして、ケース6は、光学センサ13を受容するような寸法を有するハウジング19(図3参照)を形成するように構成されている。
【0034】
より正確には、ケース6は、光学センサ13用のハウジング19を画成する壁21を含む。この壁21は、光学素子9及びケース6の回転軸A1を中心とすることができる。本例において、壁21は、実質的に円筒形の全体形状を有している。
【0035】
第1変形例によれば、壁21は、光学素子9と一部品として製造され得る。第2変形例によれば、壁21と光学素子9とは2つの別個の部品により製造され得る。この場合、光学素子9は、壁21にその前端部において堅固に接続されている。非限定的な例として、壁21と光学素子9との堅固な接続は、超音波接合により達成され得る。したがって、ケース6及び光学素子9は、単数又は複数の部品として製造され得る。ケース6は光学素子9に堅固に接続されているため、密閉されたブロックが形成されて、光学センサ13を受容することが意図されたケース6の内部に汚れが侵入することが防止される。
【0036】
光学素子9は、光学センサ13の光学系14を、当該光学系14に損傷を与え得る汚れや個体破片の飛散から保護することを目的としている。したがって、光学素子9は、光学センサのための保護要素、すなわちより正確には保護シールドである。そして、外部からの攻撃、すなわち、水や汚染物質の飛沫、砂利、及び汚染物質の堆積物や水跡にさらされるのはこの光学素子9である。
【0037】
記載の実施形態によれば、光学素子9は、光学センサ13と別体である。
【0038】
光学素子9は、光軸91を有する。
【0039】
光学素子9は、保護装置3の前部に配置される。換言すれば、光学素子9は、ケース6の前部に配置される。保護装置3が車両11に装着された場合(図1)、保護装置3の前部は、光学センサ13が画像記録プロセスに関与する道路シーンに対面することが意図された部分から延びる。逆に、保護装置3の後部は、光学素子9とは反対側の部分であり、したがってこの部分は、光学センサ13が画像記録プロセスに関与する道路シーンから最も遠くに離れた部分である。
【0040】
光学素子9は、光学センサ13の上流、より正確には光学系14の上流に配置されることが意図されている(図2及び3)。本発明において、上流という用語は、光軸15に対して、及び光学センサ13が画像記録プロセスに関与する道路シーンに対して定義される。換言すれば、光学系14の「上流」とは、光軸15に沿って、光学素子9が光学系14と光学センサ13が画像記録プロセスに関与する道路シーンとの間に配置された位置を意味する。
【0041】
当該光学素子9は、有利には、光学系14の表面全体に重なるような寸法を有する、したがって、光学素子9は、光学センサ13の視界内に配置される。この目的のために、光学素子9は、有利には、光学センサ13の有効性に影響を及ぼすことがないように透明である。この光学素子9は、ガラス又はポリカーボネート等の透明プラスチックから製造され得る。
【0042】
光学素子9は、光学センサ13に対して中心を合わせるように、より正確には光学系14に対して中心を合わせるように配置され得る。光学素子9は、その光軸91が光学センサ13の光軸15と一体となるように配置される。
【0043】
上述のように、光学素子9はケース6に堅固に接続されており、これによりケース6とともに回転するように拘束されている。したがって、光学素子9も、回転軸A1を中心として回転可能になるよう装着されている。より正確には、ケース6は、光学素子9の回転を可能とするモータ5によって回転するように配置され得る。したがって、光学素子9はケース6とともに回転するように構成され、これにより、遠心効果によって光学素子9が洗浄され得る。
【0044】
有利には、光学素子9の回転軸A1は、光学センサ13の光軸15と一体となっている。当該回転軸A1は、光学素子9の光軸91とも一体となっている。
【0045】
光学素子9は、回転軸A1を中心として配置され得る。このような光学素子9は、特に、回転軸A1に対して回転対称性を有する。
【0046】
更に、光学センサ13を受容した保護装置3を車両100に装着した場合(図1も参照)、光学系14及び光学素子9は、有利には、車両100の要素2に設けられた開口から突出する。
【0047】
ここで、特に図3に示す第1実施形態、及び図4に示す第2実施形態を参照して、モータ5についてより詳細に説明する。
【0048】
モータ5は、ケース6の後部に、すなわち光学素子9の反対側に組み付けられる。より具体的には、モータ5は、光学センサ13に連続して配置される。したがって、これにより密閉ブロックが形成されるため、光学センサ13を受容することが意図されたケース6の内部への汚れの侵入が防止される。水蒸気及び/又は汚染物質が保護装置3内に入り込むことを制限するように、ケーブル又はワイヤの通過を許容するためのモータ5の後部における密閉構成が提供され得る。
【0049】
モータ5は、特に、小型又は超小型の電気モータであり得る。
【0050】
小型の電気モータとは、本発明の文脈において、重量が10kg未満、又は1kg未満のステッピングモータ、アクチュエータ、ブラシ付き又はブラシレス直流モータ、非同期モータ、又は同期モータであって、特に車両の機器を作動させるために使用されるモータを意味する。
【0051】
超小型の電気モータとは、本発明の文脈において、重量が200g未満、又は100g未満、好適には30g乃至100g、例えば30g乃至60gのステッピングモータ、アクチュエータ、ブラシ付き又はブラシレス直流モータ、非同期モータ、又は同期モータを意味する。
【0052】
モータ5は、ロータ51と固定ステータ53とを含む。ロータ51は、固定ステータ53に対して回転可能である。非制限的な例として、モータ5は、より具体的にはブラシレスモータであり得る。
【0053】
モータ5は、本例では図示しない車両の構造要素にステータを介して取り付けられる。このモータ5は、ケース6及び光学素子9を回転させるようにケース6に連結される。ケース6及び光学素子9は、モータ5のロータ51に堅固に接続されている。
【0054】
したがって、モータ5は、ケース6及びこのケース6に堅固に接続された光学素子9を回転させるような構成を有するともに、そのように寸法決めされている。
【0055】
モータ5は、回転軸A2を中心として回転可能であるように装着される。例えば、モータ5は、その回転軸A2が、光学素子9の回転軸A1と、光学センサ13の光軸15と、光学素子9の光軸91と、一体になるように配置される。
【0056】
有利には、モータ5は中空モータ5である。中空モータ5は、光学センサ13、より具体的には支持シャンク17を、少なくとも部分的に受容可能である。このようにして、中空モータ5に、支持シャンクや、上述のように光学系を管理する電子ユニット160を車両のネットワークに連結するケーブルが交差し得る。
【0057】
本発明によれば、モータ5は、内部ロータを有するモータである。すなわち、ステータ53は、ロータ51の少なくとも一部の周囲に配置される。
【0058】
本発明によれば、ロータ51は中空であり、支持シャンク17用の中央通路をなしている。ロータ51が支持シャンク17の周りで回転できるように、支持シャンクの外面とロータ51の中央通路を画成する内面との間には隙間が設けられる。
【0059】
図示例において、モータ5は、ロータ51とともに回転するように拘束された少なくとも1つの磁石55と、所定数の電磁コイル57と、ステータ53に装着された特に少なくとも4つの電磁コイル57と、を備えている。ロータ51に堅固に接続された磁石55を駆動し得るように、電磁コイル57に給電されることが意図されている。この目的のために、モータ5は、電磁コイル57に給電するための制御回路59を備えている。この制御回路59は、車両100の一般電気回路に連結された電源ハーネス61に連結され得る(図2を参照)。
【0060】
上記及び種々の例示的実施形態に共通する説明から、保護装置3は、回転部31とも称される可動部31と、固定部33と、を含んでいることになる(図3を参照)。
【0061】
可動部31は、第1に、少なくともモータ5のロータ51と、第2に、このロータ51とともに回転するように拘束された少なくとも可動要素と、含む。例えば、可動要素は、特にケース6や対応する光学素子9である。
【0062】
更に、固定部33は、第1に、少なくともモータ5のステータ53と、第2に、このステータ53に固定された少なくとも1つの要素又は支持体と、を含む。図示例において、電動装置3の固定部33は、光学センサ13に堅固に接続された支持シャンク17を含み、この支持シャンク17はステータ53に固定されている。
【0063】
可動部31を回転させるように、保護装置3は、図3及び4に概略的に示す単数又は複数の転がり軸受27、28を特に備え得る。非限定的な図示例において、保護装置3は、2つの転がり軸受27、28を備えている。
【0064】
これらの転がり軸受27、28は、それぞれ、保護装置3の可動部31と固定部33とのあいだに配置される。転がり軸受27、28は、実質的に環状の全体形状を有する。更に、2つの転がり軸受27、28は、モータ5に対して同心状に配置される。
【0065】
保護装置の第1実施形態を、図3に詳細に示す。
【0066】
ステータ53は、回転軸A2を中心とする円筒を形成する周壁530と、周壁を実質的に垂直方向に延長する横断壁531と、を含む。横断壁531は、当該周壁の端部においてステータを軸方向に画成する。
【0067】
横断壁は、モータの回転軸A2を中心とする孔であって、光学センサに堅固に接続された支持シャンク17の通過を可能とするように寸法決めされた孔を有する。この孔は、横断壁531をモータの内側に向かって延長するスリーブ532により画定される。このスリーブ532は、ステータが支持シャンク17に固定され得るように構成される。スリーブは、光学センサから離れる方向において、支持シャンクの自由端部を取り囲む。これら2つの要素間の固定は、タイトフィット(圧入)を介した固定又は溶接による固定であるが、ステータと支持シャンクとが一体として固定部33の一部を形成する限り、これに限られない。
【0068】
図示のように、スリーブ532は、電磁コイル57に給電する制御回路59を支持し得る。
【0069】
ロータ51は、3つの別個の部分からなる階段状の形状を有する。
【0070】
ステータにより画成される容積の内部に配置される部分であるロータ51の第1部分は、ステータの内部でロータを回転させ得る磁石55を支持する作動部分511からなる。この第1部分は、第1直径を有する。その値は、支持シャンクにより形成される当該固定要素の周囲における回転を可能とするとともに、モータの寸法を可能な限り最小とするように、支持シャンク17の直径の値に応じて決定される。
【0071】
一部がステータにより画定される容積の内部において延び、且つ一部がその外部において延びるロータの第2部分は、ガイド部分513からなる。このガイド部分513に、ステータ内部におけるロータの回転案内を促進する転がり軸受が位置する。必要であれば、図3に示すように、この第2部分は、転がり軸受の位置決めのための当接面を形成するショルダを有し得る。この第2部分は第2平均直径を有し、その値は作動部分511の第1直径の値より大きい。これにより、ロータの作動部分と第3部分との間に段差が形成される。
【0072】
ステータにより画成される容積の外部に配置される部分であるロータの第3部分は、駆動部分513からなる。駆動部分513は、その自由端部において、アタッチメント4の後端部に、本例においてケース6の自由端部6に堅固に接続されている。この第3部分は第3直径を有する。ロータの第2部分の値より大きいその値は、汚れの除去のために回転させるロータとケースとの堅固な接続を可能とするように、ケース6の直径の値に相関している。
【0073】
本実施形態において、2つの転がり軸受は、ロータ51のガイド部分512の領域に配置される。第1転がり軸受27は、ロータの内部において、ガイド部分の内面と支持シャンク17との間に配置される。一方、第2転がり軸受28は、実質的に同一の領域であるが、当該ガイド部分とステータの周壁面との間において、ガイド部分512の外面と接触して配置される。
【0074】
保護装置の第2実施形態を、図4に詳細に示す。この第2実施形態は、ステータの横断壁531を延長するスリーブ532が、本例において外側を向く点において特に第1実施形態と異なる。上記と同じく、スリーブ532は支持シャンク17の自由端部を取り囲み、これら2つの要素は堅固に接続されている。
【0075】
これにより、横断壁の内面に面する領域空間が増加し、第2転がり軸受28は、本実施形態においてこの領域に配置される。より具体的には、第2転がり軸受28は、支持シャンク71と、ロータの端部に形成されステータの横断壁531に面して配置されたリング510との間に配置される。リング510は、上述のようにステータの内部容積に収容されたロータの作動部分511の他の部分より大きい直径を有する。このようにして、2つの転がり軸受27、28は互いから距離を置いており、有利にはロータの軸方向端部に近接して配置される。これにより、回転案内性能、ひいてはモータの性能が改良される。更に、この改良により、小型の転がり軸受を使用することができるため、ロータと支持シャンク17との機械的摩擦が軽減されるという利点が得られる。
【0076】
この第2実施形態において、ロータ51がケース6に直接連結されるのではなく、中間部品54を介して連結される点で、モータ5は特に異なる。
【0077】
図示のように、中間部品54が、ガイド部分512とケースに連結された駆動部分513とを含んでいる。この第2実施形態において、中間部品54は、重なりリング540を更に含む。重なりリング540は、ガイド部分512を延長し、横断壁531と反対の方向においてステータの開放端部に重なるようになっている。
【0078】
中間部品は、ロータに溶接されて、ケース6及び光学素子9を駆動するための回転拘束アセンブリをロータとともに形成する。
【0079】
有利には、この中間部品は、ロータの材料とは異なる材料から製造され得る。これにより、ガイド部分512の内面と支持シャンク17との間に配置された転がり軸受27がより良く固定される。
【0080】
内部ロータを有するモータを備えたこのような光学センサ保護装置は、ステータの電磁コイル57により画成される空間内に磁石55が配置されるという利点を有する。これにより、小さいサイズの磁石を使用することができるため、保護装置の質量を減少させることができる。
【0081】
動作において、アクチュエータ、より正確にはモータ5は、ケース6とこのケース6に堅固に接続された光学素子9とを、光学センサ13に対して回転させる。ケース6及び光学素子9の回転により、これらが受ける遠心力によって汚れが除去される。したがって、光学センサ13の視界Vは常にクリアで清潔である。
【0082】
磁性体、すなわち磁石55は、本発明による内部ロータに堅固に接続されている。このような構成は、磁性体の回転により生じる不均衡を、モータの回転軸に可能な限り近く位置させるという点において特に有利である。これにより、磁石の回転により発生するノイズが低減される。
【0083】
上述の説明は、本発明が、設定した目的をいかにして達成することができるか、及び特に寸法や動作ノイズの小さい、運転支援システムのセンサの効果的な洗浄を可能とする光学センサ保護装置を提案することができるかということを明確に説明するものである。
【0084】
本発明は、本明細書に限定的な例として具体的に挙げた実施形態に限定されることはなく、全ての同等の手段及びこれらの手段の技術的に有効な組み合わせをカバーする。したがって、本発明の実施形態の特徴、変形例、及び種々の実施形態は、それらが互いに非互換的又は排他的でない限り、様々に組み合わせることができる。特に、本発明によれば、保護装置が内部ロータを有するモータを含む限り、記載された特徴の選択のみを備える本発明の種々の変形例を想定することが可能である。
図1
図2
図3
図4