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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020060821
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021163777
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】金子 康弘
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-014726(JP,A)
【文献】特開2018-031709(JP,A)
【文献】特開2016-146454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
吸着ノズルを有し、前記本体フレームに移動可能に設けられるヘッドユニットと、
前記本体フレームに配置されるプッシュアッププレートと、
前記プッシュアッププレート上に立設され、下方側から基板を支持するプッシュアップピンと、
前記本体フレームに配置され、基板の支持に用いられない前記プッシュアップピンが格納されるピンステーションと、
撮像対象を撮像する撮像動作を行って検査画像を取得する撮像部と、
前記プッシュアッププレートと前記ピンステーションとの間で前記ヘッドユニットを移動させ、前記吸着ノズルによって吸着保持した前記プッシュアップピンを搬送するピン搬送動作を実行させるヘッド制御部と、
前記撮像部によって取得された検査画像を解析する解析部と、を備え、
前記撮像部は、前記本体フレームに配置され、前記ヘッドユニットによる前記ピン搬送動作に応じた前記プッシュアップピンの前記プッシュアッププレートから前記ピンステーションへの搬送中に、当該プッシュアップピンの下端部を撮像対象として下方側から撮像する第1ピン撮像動作を行ってピン検査画像を取得する第1撮像部を含み、
前記解析部は、前記第1ピン撮像動作に応じて取得されたピン検査画像に基づいて、前記プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析し、その解析結果を出力する、実装機。
【請求項2】
前記本体フレームに配置され、部品を供給する部品供給ユニットを、更に備え、
前記ヘッド制御部は、前記部品供給ユニットと前記プッシュアップピンに支持された基板との間で前記ヘッドユニットを移動させ、前記吸着ノズルによって吸着保持した部品を基板に搭載する部品搭載動作を実行させると共に、前記部品搭載動作の終了後において、前記ヘッドユニットに前記ピン搬送動作を実行させる、請求項1に記載の実装機。
【請求項3】
前記ヘッドユニットによる前記部品搭載動作の実行中における部品の落下の可能性の有無を判定する部品落下判定部を、更に備え、
前記第1撮像部は、前記部品落下判定部によって部品落下の可能性が有ると判定された場合には前記第1ピン撮像動作を行い、前記部品落下判定部によって部品落下の可能性が無いと判定された場合には前記第1ピン撮像動作を省略する、請求項2に記載の実装機。
【請求項4】
前記ピンステーションに格納された前記プッシュアップピンの高さ異常の有無を判定する高さ異常判定部を、更に備え、
前記ヘッド制御部は、前記高さ異常判定部によって高さ異常が有ると判定された場合、当該高さ異常に対応した特定のプッシュアップピンを前記吸着ノズルによって吸着保持した状態の前記ヘッドユニットを、前記ピンステーションから前記第1撮像部へ移動させ、
前記第1撮像部は、前記ヘッドユニットの移動に応じて前記特定のプッシュアップピンが搬送されると、当該特定のプッシュアップピンの下端部を下方側から撮像する第2ピン撮像動作を行ってピン検査画像を取得し、
前記解析部は、前記第2ピン撮像動作に応じて取得されたピン検査画像に基づいて、前記特定のプッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析し、その解析結果を出力する、請求項1~3のいずれか1項に記載の実装機。
【請求項5】
前記撮像部は、前記ヘッドユニットに配置される第2撮像部を含み、
前記ヘッド制御部は、前記特定のプッシュアップピンに異物の付着が無いとの解析結果が前記解析部から出力された場合、前記ヘッドユニットを前記第1撮像部から前記ピンステーションへ移動させ、
前記第2撮像部は、前記ヘッドユニットが前記ピンステーションに到着すると、当該ピンステーションを撮像対象として上方側から撮像するステーション撮像動作を行ってステーション検査画像を取得し、
前記解析部は、前記ステーション検査画像に基づいて、前記ピンステーションにおける異物の有無を解析し、その解析結果を出力する、請求項4に記載の実装機。
【請求項6】
前記解析部は、異物の付着が無い状態の前記プッシュアップピンに対応した基準画像を参照し、前記基準画像とピン検査画像とを比較する画像比較処理、或いは、前記基準画像とピン検査画像とのパターンマッチング処理を行うことによって、前記プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析する、請求項1~5のいずれか1項に記載の実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュアップピンに支持された基板に部品を搭載するヘッドユニットを備えた実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を搭載する実装機が知られている。この種の実装機は、基板を支持する基板支持ユニットと、当該基板に部品を搭載するヘッドユニットとを備えている。基板支持ユニットは、プッシュアッププレートと、当該プッシュアッププレートの上面に着脱自在に装着されるプッシュアップピンと含む。基板支持ユニットは、プッシュアッププレート上に立設されたプッシュアップピンによって、基板を下方側から支持する。
【0003】
ところで、プッシュアッププレート上に、何らかの原因で部品等の異物が落下することがある。この場合、プッシュアッププレート上の異物がプッシュアップピンに付着する可能性がある。プッシュアップピンに異物が付着すると、基板の支持性能を悪化させる虞がある。更には、プッシュアップピンの交換時において、ヘッドユニットによってプッシュアップピンを保持し、この状態でヘッドユニットを、プッシュアップピンを格納するためのピンステーションへ移動させるときに、プッシュアップピンに付着した異物が実装機の構造物に干渉する虞もある。また、異物に起因してプッシュアップピンを正常姿勢でピンステーションに格納することができず、これが原因で、ピンステーションに格納されたプッシュアップピンとヘッドユニットとに干渉が生じる虞もある。
【0004】
そこで、プッシュアップピンに付着した異物を除去する等のメンテナンス作業が、オペレータによって定期的に行われる。例えばチップ部品のような微小部品が異物として存在していた場合、このような異物をオペレータが目視で見つけるのは困難である。このため、前記メンテナンス作業は、オペレータにとって煩雑な作業となっている。
【0005】
このような問題を解決するための技術として、特許文献1にはプッシュアッププレート上の異物を掃き出す掃き出し部材を設置することが開示され、特許文献2にはエアを噴射して異物を吹き飛ばすエア噴射部を設置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6012067号公報
【文献】特許第3719062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される掃き出し部材や特許文献2に開示されるエア噴射部を用いたとしても、プッシュアッププレート上の異物を完全に除去することはできず、かえってプッシュアッププレート上に異物を散らかしてしまう現象も生じ得る。このため、オペレータによる前記メンテナンス作業の効率化を図ることはできず、プッシュアップピンに付着した異物に起因する基板の支持性能を悪化させる現象等の不具合が生じることを抑制することはできない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プッシュアップピンに付着した異物を除去する等のメンテナンス作業の効率化を図り、当該異物の付着に起因した不具合が生じることを抑制することが可能な実装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る実装機は、本体フレームと、吸着ノズルを有し、前記本体フレームに移動可能に設けられるヘッドユニットと、前記本体フレームに配置されるプッシュアッププレートと、前記プッシュアッププレート上に立設され、下方側から基板を支持するプッシュアップピンと、前記本体フレームに配置され、基板の支持に用いられない前記プッシュアップピンが格納されるピンステーションと、撮像対象を撮像する撮像動作を行って検査画像を取得する撮像部と、前記プッシュアッププレートと前記ピンステーションとの間で前記ヘッドユニットを移動させ、前記吸着ノズルによって吸着保持した前記プッシュアップピンを搬送するピン搬送動作を実行させるヘッド制御部と、前記撮像部によって取得された検査画像を解析する解析部と、を備える。前記撮像部は、前記本体フレームに配置され、前記ヘッドユニットによる前記ピン搬送動作に応じた前記プッシュアップピンの前記プッシュアッププレートから前記ピンステーションへの搬送中に、当該プッシュアップピンの下端部を撮像対象として下方側から撮像する第1ピン撮像動作を行ってピン検査画像を取得する第1撮像部を含む。前記解析部は、前記第1ピン撮像動作に応じて取得されたピン検査画像に基づいて、前記プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析し、その解析結果を出力する。
【0010】
この実装機によれば、ヘッド制御部は、ヘッドユニットを制御し、プッシュアップピンをプッシュアッププレートからピンステーションへ搬送するピン搬送動作を実行させる。このヘッドユニットのピン搬送動作の実行中において、第1撮像部は、ヘッドユニットの吸着ノズルに吸着保持されたプッシュアップピンの下端部を下方側から撮像する第1ピン撮像動作を行ってピン検査画像を取得する。このようにして取得されたピン検査画像に基づいて、解析部は、プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析し、その解析結果を出力する。
【0011】
プッシュアップピンに付着した異物が、オペレータの目視によって見つけるのが困難な微小異物であったとしても、第1撮像部により取得されるピン検査画像には、その異物に対応する領域が現れる。このため、解析部から出力されるピン検査画像に基づく解析結果は、プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を正確に示したものとなる。オペレータは、このような解析結果を確認することによって、プッシュアップピンに異物が付着しているか否かを容易に把握することができ、異物の付着が生じていた場合にはその異物を除去するメンテナンス作業を効率よく行うことができる。これにより、プッシュアップピンに付着した異物に起因する基板の支持性能を悪化させる現象や、プッシュアップピンのピンステーションへの格納時において、ピンステーションに格納されたプッシュアップピンとヘッドユニットとに干渉が生じる現象等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0012】
上記の実装機は、前記本体フレームに配置され、部品を供給する部品供給ユニットを、更に備える構成であってもよい。そして、前記ヘッド制御部は、前記部品供給ユニットと前記プッシュアップピンに支持された基板との間で前記ヘッドユニットを移動させ、前記吸着ノズルによって吸着保持した部品を基板に搭載する部品搭載動作を実行させると共に、前記部品搭載動作の終了後において、前記ヘッドユニットに前記ピン搬送動作を実行させる。
【0013】
この態様では、1つのヘッドユニットに、部品搭載動作とピン搬送動作との2つの動作を実行させることができる。
【0014】
上記の実装機は、前記ヘッドユニットによる前記部品搭載動作の実行中における部品の落下の可能性の有無を判定する部品落下判定部を、更に備える構成であってもよい。そして、前記第1撮像部は、前記部品落下判定部によって部品落下の可能性が有ると判定された場合には前記第1ピン撮像動作を行い、前記部品落下判定部によって部品落下の可能性が無いと判定された場合には前記第1ピン撮像動作を省略する。
【0015】
この態様では、第1撮像部による第1ピン撮像動作は、部品落下判定部の判定結果に応じて行われる。部品落下判定部の判定結果が、ヘッドユニットによる部品搭載動作の実行中に部品落下の可能性が無いことを示す結果である場合には、プッシュアッププレート上に部品等の異物が落下していない可能性が高く、これに伴ってプッシュアップピンに対する異物の付着も無い可能性が高い。このような場合に、第1撮像部による第1ピン撮像動作が省略される。これにより、第1撮像部による第1ピン撮像動作の過度な実行が抑止され、これに伴って解析部による過度な解析動作の実行についても抑止される。このため、プッシュアップピンのピンステーションへの格納時において、第1撮像部及び解析部の各動作に要する時間を可及的に短縮することができる。
【0016】
上記の実装機は、前記ピンステーションに格納された前記プッシュアップピンの高さ異常の有無を判定する高さ異常判定部を、更に備える構成であってもよい。そして、前記ヘッド制御部は、前記高さ異常判定部によって高さ異常が有ると判定された場合、当該高さ異常に対応した特定のプッシュアップピンを前記吸着ノズルによって吸着保持した状態の前記ヘッドユニットを、前記ピンステーションから前記第1撮像部へ移動させ、前記第1撮像部は、前記ヘッドユニットの移動に応じて前記特定のプッシュアップピンが搬送されると、当該特定のプッシュアップピンの下端部を下方側から撮像する第2ピン撮像動作を行ってピン検査画像を取得し、前記解析部は、前記第2ピン撮像動作に応じて取得されたピン検査画像に基づいて、前記特定のプッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析し、その解析結果を出力する。
【0017】
ヘッドユニットのピン搬送動作によってピンステーションに到着したプッシュアップピンは、ヘッドユニットの下降動作等によってピンステーションに格納される。この際、ピンステーションに異物が落下していた場合には、当該異物がプッシュアップピンに付着する現象が生じ得る。この場合、プッシュアップピンのピンステーションへの格納時におけるヘッドユニットの下降動作において、通常の下降位置への下降が阻止され、プッシュアップピンの高さ異常が生じる。つまり、プッシュアップピンのピンステーションへの格納時において、高さ異常判定部によって高さ異常が有ると判定された場合、ピンステーションに落下していた異物がプッシュアップピンに付着する可能性がある。
【0018】
そこで、高さ異常判定部によって高さ異常が有ると判定された場合、ヘッド制御部は、プッシュアップピンを保持した状態のヘッドユニットをピンステーションから第1撮像部へ移動させる。ヘッドユニットが第1撮像部に到着すると、第1撮像部は、ヘッドユニットの吸着ノズルに吸着保持されたプッシュアップピンの下端部を下方側から撮像する第2ピン撮像動作を行ってピン検査画像を取得する。このようにして取得されたピン検査画像に基づいて、解析部は、プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析し、その解析結果を出力する。オペレータは、このような解析結果を確認することによって、ピンステーションに落下していた異物がプッシュアップピンに付着しているか否かを容易に把握することができ、異物の付着が生じていた場合にはその異物を除去するメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0019】
上記の実装機において、前記撮像部は、前記ヘッドユニットに配置される第2撮像部を含み、前記ヘッド制御部は、前記特定のプッシュアップピンに異物の付着が無いとの解析結果が前記解析部から出力された場合、前記ヘッドユニットを前記第1撮像部から前記ピンステーションへ移動させ、前記第2撮像部は、前記ヘッドユニットが前記ピンステーションに到着すると、当該ピンステーションを撮像対象として上方側から撮像するステーション撮像動作を行ってステーション検査画像を取得し、前記解析部は、前記ステーション検査画像に基づいて、前記ピンステーションにおける異物の有無を解析し、その解析結果を出力する構成であってもよい。
【0020】
第1撮像部の第2ピン撮像動作に応じて取得されたピン検査画像に基づく解析部の解析結果が、異物の付着が無いとの結果であった場合、プッシュアップピンのピンステーションへの格納時において、ピンステーションに落下していた異物がプッシュアップピンに付着しなかったと想定される。この場合、ピンステーションに異物が落下したままの状態であると想定される。そこで、ヘッド制御部は、第2撮像部が配置されたヘッドユニットを第1撮像部からピンステーションへ移動させる。ヘッドユニットがピンステーションに到着すると、第2撮像部は、ピンステーションを上方側から撮像するステーション撮像動作を行ってステーション検査画像を取得する。このようにして取得されたステーション検査画像に基づいて、解析部は、ピンステーションにおける異物の有無を解析し、その解析結果を出力する。オペレータは、このような解析結果を確認することによって、ピンステーションに異物が落下しているか否かを容易に把握することができ、異物の落下が生じていた場合にはその異物を除去するメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0021】
上記の実装機において、前記解析部は、異物の付着が無い状態の前記プッシュアップピンに対応した基準画像を参照し、前記基準画像とピン検査画像とを比較する画像比較処理、或いは、前記基準画像とピン検査画像とのパターンマッチング処理を行うことによって、前記プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析する構成であってもよい。
【0022】
この態様では、解析部は、画像比較処理又はパターンマッチング処理を行うことによって、プッシュアップピンに対する異物の付着の有無を解析することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、プッシュアップピンに付着した異物を除去する等のメンテナンス作業の効率化を図り、当該異物の付着に起因した不具合が生じることを抑制することが可能な実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る実装機のブロック図である。
図2】実装機本体の構成を示す平面図である。
図3】ヘッドユニットの部分を拡大して示す図である。
図4】基板支持ユニットの構成を概略的に示す図である。
図5】第1撮像部の撮像動作により取得される画像を説明するための図である。
図6】実装機によりピン回収処理が実行されたときの動作を説明する図である。
図7】実装機によりピン回収処理が実行されたときの動作を説明する図である。
図8A】ピン回収処理の処理フローを示すフローチャートである。
図8B】ピン回収処理の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る実装機1のブロック図である。実装機1は、プリント基板(以下、「基板」と称する)上に電子部品(以下、「部品」と称する)が搭載された電子回路基板を生産する装置である。実装機1により生産された電子回路基板は、不図示の検査機に搬入され、当該検査機において基板に対する部品の搭載状態が検査される。実装機1は、実装機本体2と、制御装置5とを備える。実装機本体2は、部品搭載動作等を行う構造部分を構成する。制御装置5は、実装機本体2の部品搭載動作等を制御する。
【0026】
まず、実装機本体2について、図1に加えて図2図3及び図4を参照して説明する。図2は、実装機本体2の構成を示す平面図であり、図3は、ヘッドユニット25の部分を拡大して示す図である。また、図4は、基板支持ユニット28の構成を概略的に示す図である。なお、以下では、方向関係については水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて説明する。
【0027】
実装機本体2による部品の搭載前において基板PPには、半田ペーストのパターンが印刷されている。つまり、実装機本体2は、パターン形成装置により半田ペーストのパターンが印刷された基板PPに部品を搭載する。実装機本体2は、本体フレーム21と、コンベア23と、部品供給ユニット24と、ヘッドユニット25と、基板支持ユニット28とを備える。
【0028】
本体フレーム21は、実装機本体2を構成する各部が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向(鉛直方向)から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。コンベア23は、基板PPをX軸方向に搬送する。コンベア23上を搬送される基板PPは、所定の作業位置(基板PP上に部品が搭載される部品搭載位置)に、基板支持ユニット28によって位置決めされるようになっている。
【0029】
基板支持ユニット28は、図4に示すように、プッシュアッププレート281と、プッシュアップピン282と、昇降装置283とを含む。昇降装置283は、主に、エアシリンダなどにより上端が鉛直方向に昇降する支柱2831と、支柱2831の上端に略水平に固定された板状の固定台2832とを有し、本体フレーム21の所定の位置に設置されている。プッシュアッププレート281は、前記固定台2832に固定された平板状のプレートである。すなわち、プッシュアッププレート281は、固定台2832を介して本体フレーム21に配置されている。プッシュアッププレート281の上面には、プッシュアップピン282が立設される。プッシュアッププレート281の上面は、平坦面であってもよいし、複数の凹部が形成されていてもよい。平坦面である場合には、プッシュアッププレート281の上面に直接的にプッシュアップピン282が立設される。一方、複数の凹部が形成されている場合には、当該凹部に嵌め込まれた状態でプッシュアップピン282が立設される。プッシュアップピン282は、プッシュアッププレート281の上面に立設されるピン状の部材である。プッシュアップピン282は、磁気吸着部2821(下端部)と、当該磁気吸着部2821から直線状に延びるピン本体2822とを有する。プッシュアップピン282は、磁気吸着部2821の磁気吸着によってプッシュアッププレート281の上面に配置された状態において、ピン本体2822の先端部によって下方側から基板PPを支持する。
【0030】
また、図2に示すように、本体フレーム21には、ピンステーション29が配置されている。ピンステーション29は、基板PPの支持に用いられていないプッシュアップピン282が、磁気吸着部2821を下にした立ち姿勢で格納される部分である。
【0031】
部品供給ユニット24は、本体フレーム21におけるY軸方向の+Y側及び-Y側のそれぞれの領域部分に、コンベア23を挟んで配置される。部品供給ユニット24は、本体フレーム21において、フィーダー24Fが複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット25に備えられる搭載ヘッド251による保持対象の部品毎に、各フィーダー24Fのセット位置が区画されている。フィーダー24Fは、部品供給ユニット24に着脱自在に装着される。フィーダー24Fは、複数の部品を保持し、その保持した部品をフィーダー内に設定された所定の部品供給位置に供給できるものであれば特に限定されず、例えばテープフィーダーである。テープフィーダーは、部品を所定間隔おきに収納した部品収納テープが巻回されたリールを備え、そのリールから部品収納テープを送出することにより、部品を供給するように構成されたフィーダーである。
【0032】
ヘッドユニット25は、移動フレーム27に保持されている。本体フレーム21上には、Y軸方向に延びる固定レール261と、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸262とが配設されている。移動フレーム27は固定レール261上に配置され、この移動フレーム27に設けられたナット部分271がボールねじ軸262に螺合している。また、移動フレーム27には、X軸方向に延びるガイド部材272と、X軸サーボモータ274により駆動されるボールねじ軸273とが配設されている。このガイド部材272にヘッドユニット25が移動可能に保持され、このヘッドユニット25に設けられたナット部分がボールねじ軸273に螺合している。そして、Y軸サーボモータ263の作動により移動フレーム27がY軸方向に移動すると共に、X軸サーボモータ274の作動によりヘッドユニット25が移動フレーム27に対してX軸方向に移動するようになっている。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム27の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム27に沿ってX軸方向に移動可能である。
【0033】
ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24とプッシュアップピン282に支持された基板PPとの間で移動可能であると共に、プッシュアッププレート281とピンステーション29との間で移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24と基板PPとの間で移動することにより、部品を基板PPに搭載する部品搭載動作を実行する。この部品搭載動作が終了し電子回路基板の生産が終了すると、ヘッドユニット25は、プッシュアッププレート281とピンステーション29との間で移動することにより、プッシュアッププレート281上に配置されていたプッシュアップピン282をピンステーション29に搬送するピン搬送動作を実行する。すなわち、ヘッドユニット25は、部品搭載動作とピン搬送動作との2つの動作を実行する。なお、部品搭載動作用のヘッドユニットと、ピン搬送動作用のヘッドユニットとを個別に設けるようにしてもよい。
【0034】
ヘッドユニット25は、図3に示すように、複数の搭載ヘッド251を備えている。各搭載ヘッド251は、前記部品搭載動作の実行時において、部品供給ユニット24から部品を取り出すと共に、その取り出した部品を基板PP上に搭載(実装)する。一方、前記ピン搬送動作の実行時においては、各搭載ヘッド251は、プッシュアッププレート281からプッシュアップピン282を取り出すと共に、その取り出したプッシュアップピン282をピンステーション29に格納する。搭載ヘッド251には、その先端(下端)に吸着ノズル2511が装着されている。吸着ノズル2511としては、部品の吸着保持が可能な部品保持用のノズルと、プッシュアップピン282の吸着保持が可能なピン保持用のノズルとが存在する。吸着ノズル2511は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル2511に負圧が供給されることで当該吸着ノズル2511による部品又はプッシュアップピン282の吸着保持(取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品又はプッシュアップピン282の吸着保持が解除される。
【0035】
搭載ヘッド251は、ヘッドユニット25のフレームに対してZ軸方向(鉛直方向)に昇降可能であると共に、Z軸方向に延びるヘッド軸回りの回転が可能とされている。搭載ヘッド251は、部品又はプッシュアップピン282の吸着ノズル2511による吸着保持が可能な吸着可能位置と、吸着可能位置に対して上方側の退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、部品又はプッシュアップピン282を吸着ノズル2511によって吸着保持するときには、搭載ヘッド251は、退避位置から吸着可能位置へ向かって下降し、当該吸着可能位置において部品又はプッシュアップピン282を吸着保持する。一方、部品又はプッシュアップピン282の吸着保持後の搭載ヘッド251は、吸着可能位置から退避位置へ向かって上昇する。更に、搭載ヘッド251は、吸着ノズル2511によって吸着保持された部品を基板PP上の予め定められた搭載位置に搭載することが可能な搭載可能位置と、前記退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。或いは、搭載ヘッド251は、吸着ノズル2511によって吸着保持されたプッシュアップピン282をピンステーション29の所定の位置に格納することが可能な格納可能位置と、前記退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。
【0036】
実装機本体2は、図1に示すように、撮像部3と報知部4とを更に備える。報知部4は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成される表示部であり、後記の制御装置5の解析部56による解析結果等の情報を報知(表示)する。
【0037】
撮像部3は、撮像対象を撮像する撮像動作を行って検査画像を取得する。撮像部3は、図2に示すように、第1撮像部31と、第2撮像部32と、第3撮像部33とを含む。
【0038】
第1撮像部31は、本体フレーム21上において部品供給ユニット24とコンベア23との間に設置され、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第1撮像部31は、ヘッドユニット25が前記部品搭載動作を実行しているときには、部品供給ユニット24からプッシュアップピン282により支持された基板PPへ向かってヘッドユニット25が移動している間において、搭載ヘッド251の吸着ノズル2511によって吸着保持された部品を、下方側から撮像して第1部品認識画像を取得する。第1撮像部31により取得された第1部品認識画像は後記の制御装置5の記憶部60に記憶され、部品落下判定部57による部品落下の判定の際に参照される。一方、ヘッドユニット25が前記ピン搬送動作を実行しているときには、第1撮像部31は、当該ピン搬送動作に応じたプッシュアップピン282の搬送中に、プッシュアップピン282の磁気吸着部2821を下方側から撮像するピン撮像動作を行ってピン検査画像を取得する。第1撮像部57により取得されたピン検査画像は後記の制御装置5の記憶部60に記憶され、解析部56による解析動作において参照される。
【0039】
第2撮像部32は、ヘッドユニット25に配置され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第2撮像部32は、ヘッドユニット25が前記部品搭載動作を実行しているときには、プッシュアップピン282により支持された基板PPの上面に付設されている各種マークを認識するために、当該マークを上方側から撮像する。第2撮像部32による基板PP上のマークの認識によって、基板PPの原点座標に対する位置ずれ量が検知される。一方、ヘッドユニット25が前記ピン搬送動作を実行しているときには、第2撮像部32は、ピンステーション29を撮像対象として上方側から撮像するステーション撮像動作を行ってステーション検査画像を取得する。第2撮像部32により取得されたステーション検査画像は後記の制御装置5の記憶部60に記憶され、解析部56による解析動作において参照される。
【0040】
第3撮像部33は、ヘッドユニット25に配置され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第3撮像部33は、ヘッドユニット25が前記部品搭載動作を実行しているときに、基板PPに対する部品の搭載直前において、吸着ノズル2511に吸着保持された部品を、側方から撮像して第2部品認識画像を取得する。第3撮像部33により取得された第2部品認識画像は後記の制御装置5の記憶部60に記憶され、部品落下判定部57による部品落下の判定の際に参照される。
【0041】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御装置5は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、実装機本体2の各構成要素の動作を制御する。制御装置5は、図1に示すように、主たる機能構成として、基板搬送制御部51と、基板支持制御部52と、部品供給制御部53と、ヘッド制御部54と、撮像制御部55と、解析部56と、部品落下判定部57と、高さ異常判定部58と、報知制御部59と、記憶部60とを含む。
【0042】
基板搬送制御部51は、コンベア23による基板PPの搬送動作を制御する。なお、基板搬送制御部51は、ヘッドユニット25による前記部品搭載動作が終了し電子回路基板の生産が終了すると、コンベア23による基板PPの搬送動作を停止させる。基板支持制御部52は、基板支持ユニット28による基板PPの支持動作を制御する。なお、基板支持制御部52は、電子回路基板の生産が終了すると、基板支持ユニット28による基板PPの支持動作を停止させる。部品供給制御部53は、部品供給ユニット24に配列された複数のフィーダー24Fの各々の部品供給動作を制御する。なお、部品供給制御部53は、電子回路基板の生産が終了すると、フィーダー24Fによる部品供給動作を停止させる。
【0043】
ヘッド制御部54は、ヘッドユニット25を制御し、当該ヘッドユニット25による前記部品搭載動作と前記ピン搬送動作とを実行させる。撮像制御部55は、撮像部3を構成する第1撮像部31、第2撮像部32及び第3撮像部33による撮像動作を制御する。報知制御部59は、報知部4による報知動作を制御する。
【0044】
記憶部60は、ヘッドユニット25による前記部品搭載動作時に生じた情報として、第1撮像部31の前記第1部品認識画像、第3撮像部33の前記第2部品認識画像、吸着ノズル2511が部品を吸着保持したときの負圧発生装置の負圧レベルに関する情報をそれぞれ記憶する。更に、記憶部60は、ヘッドユニット25による前記ピン搬送動作時に生じた情報として、第1撮像部31の前記ピン検査画像、第2撮像部32の前記ステーション検査画像をそれぞれ記憶する。
【0045】
解析部56は、ヘッドユニット25による前記ピン搬送動作の実行時において、記憶部60から前記ピン検査画像及び前記ステーション検査画像を読み出して、各画像を解析する解析処理を行う。この解析部56の解析処理の詳細については、後述する。
【0046】
部品落下判定部57は、ヘッドユニット25による前記ピン搬送動作の実行時において、ヘッドユニット25の前記部品搭載動作時の、部品の落下の可能性の有無を判定する部品落下判定処理を行う。具体的に、部品落下判定部57は、記憶部60に記憶された、フィーダー24Fによって供給された部品を吸着ノズル2511が吸着保持したときの負圧発生装置の負圧レベルに基づいて、部品落下の可能性の有無を判定する。この場合、部品落下判定部57は、吸着ノズル2511の負圧レベルが基準レベルよりも下回っていれば、フィーダー24Fによって供給された部品の吸着時に部品吸着エラーが発生したと認識し、部品落下の可能性が有ると判定する。また、部品落下判定部57は、生産された電子回路基板を検査する検査機の検査結果等に基づいて、部品落下の可能性の有無を判定する。この場合、部品落下判定部57は、電子回路基板における部品の搭載状態において未搭載の箇所が存在すれば、部品未搭載エラーが発生したと認識し、部品落下の可能性が有ると判定する。また、部品落下判定部57は、記憶部60に記憶された、第1撮像部31の前記第1部品認識画像及び第3撮像部33の前記第2部品認識画像に基づいて、部品落下の可能性の有無を判定する。この場合、部品落下判定部57は、前記第1部品認識画像が部品有りの認識結果を示し、前記第2部品認識画像が部品無しの認識結果を示していれば、吸着ノズル2511に吸着保持されていた部品の基板PP上への搭載前における保持エラーが発生したと認識し、部品落下の可能性が有ると判定する。
【0047】
高さ異常判定部58は、ヘッドユニット25による前記ピン搬送動作の実行時において、ピンステーション29に格納されたプッシュアップピン282の高さ異常の有無を判定する高さ異常判定処理を行う。高さ異常判定部58は、吸着ノズル2511によって吸着保持されたプッシュアップピン282をピンステーション29の所定の位置に格納するときに、搭載ヘッド251が前記格納可能位置に達するまで下降したか否かに基づいて、高さ異常の有無を判定する。この場合、高さ異常判定部58は、プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時において、搭載ヘッド251が前記格納可能位置に達するまで下降できなかったときには、高さ異常が有ると判定する。
【0048】
ヘッドユニット25による前記部品搭載動作が終了し、一の電子回路基板の生産が終了すると、次の生産のための段取り作業が行われる。段取り作業としては、部品供給ユニット24に配列されるフィーダー24Fを次の生産用のフィーダー24Fに交換するフィーダー交換作業、プッシュアッププレート281に配置されるプッシュアップピン282を次の生産用のプッシュアップピン282に交換するピン交換作業などが挙げられる。前記ピン交換作業は、プッシュアッププレート281からピンステーション29へプッシュアップピン282を移動させて回収するピン回収処理と、次の生産用のプッシュアップピン282をピンステーション29からプッシュアッププレート281へ移動させて装着するピン装着処理と、が含まれる。ピン回収処理及びピン装着処理は、制御装置5の制御下において、ヘッドユニット25の移動動作等によって自動で行われる。
【0049】
制御装置5は、ヘッドユニット25による前記ピン搬送動作の実行時において、プッシュアップピン282をピンステーション29に格納して回収するピン回収処理を実行する。このピン回収処理について、図5図7図8A及び図8Bを参照して説明する。図5は、第1撮像部31の撮像動作により取得される画像を説明するための図である。図6及び図7は、実装機1によりピン回収処理が実行されたときの動作を説明する図である。図8A及び図8Bは、ピン回収処理の処理フローを示すフローチャートである。
【0050】
ヘッドユニット25による前記部品搭載動作の終了後において、ヘッド制御部54は、搭載ヘッド251にピン保持用の吸着ノズル2511が装着されたことを認識する(ステップs1)。そして、ヘッド制御部54は、ヘッドユニット25をプッシュアッププレート281の上方へ移動させる(ステップs2)。ヘッドユニット25がプッシュアッププレート281の上方に到着すると、図6に示すように、ヘッド制御部54は、搭載ヘッド251を下降させて吸着ノズル2511によってプッシュアップピン282を吸着保持させる(ステップs3)。
【0051】
プッシュアッププレート281上のプッシュアップピン282が吸着ノズル2511によって吸着保持された状態において、部品落下判定部57は、部品落下判定モードに設定されているか否かを判断する(ステップs4)。部品落下判定モードに設定されている場合(ステップs4でYES)には、部品落下判定部57は、ヘッドユニット25による前記部品搭載動作の実行時における部品落下の可能性の有無を判定する部品落下判定処理を行う(ステップs5)。一方、部品落下判定モードに設定されていない場合(ステップs4でNO)には、部品落下判定部57による部品落下判定処理が省略される。部品落下判定部57が部品落下判定処理において部品落下の可能性が有ると判定した場合(ステップs6でYES)、又は、部品落下判定モードに設定されていない場合(ステップs4でNO)、ステップs7に進む。
【0052】
ステップs7では、図6に示すように、ヘッド制御部54は、ヘッドユニット25に前記ピン搬送動作を実行させる。具体的に、ヘッド制御部54は、ヘッドユニット25を、プッシュアッププレート281から第1撮像部31を経由してピンステーション29へ移動させる。これにより、吸着ノズル2511に吸着保持されたプッシュアップピン282は、ヘッドユニット25の前記ピン搬送動作に応じて、プッシュアッププレート281から第1撮像部31を経由してピンステーション29へ搬送される。
【0053】
このようなプッシュアップピン282の搬送中において第1撮像部31を通過するときに、撮像制御部55は、第1撮像部31を制御し、磁気吸着部2821を撮像対象として下方側から撮像する第1ピン撮像動作を実行させてピン検査画像G2(図5(B))を取得させる(ステップs8)。第1撮像部31は、ピン検査画像G2において撮像対象の磁気吸着部2821に対応するピン領域G22が所定の輝度値以上の明領域となるように、照明条件などの撮像条件が設定される。この際、ピン検査画像G2において背景領域G21は、前記所定の輝度値未満の暗領域とされる。また、磁気吸着部2821に異物PMが付着していた場合(図6参照)、ピン検査画像G2において当該異物PMに対応する異物領域G23は、前記所定の輝度値未満の暗領域となる。なお、異物PMの付着が無い状態の磁気吸着部2821に対応した基準画像G1(図5(A))は、暗領域の背景領域G11と明領域のピン領域G12とを含んだ画像となる。
【0054】
第1撮像部31の第1ピン撮像動作に応じてピン検査画像G2が取得されると、解析部56は、当該ピン検査画像G2に基づいて、磁気吸着部2821に対する異物PMの付着の有無を解析する解析処理を行い、その解析結果を出力する(ステップs9)。解析部56は、基準画像G1とピン検査画像G2とを比較する画像比較処理を行うことによって、磁気吸着部2821に対する異物PMの付着の有無を解析する。前記画像比較処理としては、基準画像G1とピン検査画像G2との明領域の面積を比較する面積比較処理、基準画像G1とピン検査画像G2との明度のヒストグラム同士の類似度を比較する処理、基準画像G1とピン検査画像G2との差画像を取得し当該差画像における特徴量を抽出する処理、などを挙げることができる。例えば、前記画像比較処理として面積比較処理を採用した場合には、解析部56は、基準画像G1の明領域の面積に対してピン検査画像G2の明領域の面積が小さいときには、磁気吸着部2821に異物PMの付着が有ると判定する。なお、解析部56は、基準画像G1とピン検査画像G2とのパターンマッチング処理を行うことによって、磁気吸着部2821に対する異物PMの付着の有無を解析するように構成されていてもよい。
【0055】
解析部56が磁気吸着部2821に異物PMの付着が無いことを示す解析結果を出力した場合(ステップs10でYES)を想定する。この場合、ヘッド制御部54は、ヘッドユニット25がピンステーション29に到着した状態において、搭載ヘッド251を下降させて、吸着ノズル2511に吸着保持されたプッシュアップピン282をピンステーション29へ格納させる(ステップs11)。
【0056】
一方、解析部56が磁気吸着部2821に異物PMの付着が有ることを示す解析結果を出力した場合(ステップs10でNO)を想定する。この場合、ヘッド制御部54は、ピンステーション29に到着した状態でヘッドユニット25の動作を停止させる(ステップs101)。この際、報知制御部59は、報知部4を制御し、磁気吸着部2821に異物PMの付着が有ることを示す警告情報を報知させる(ステップs102)。
【0057】
プッシュアップピン282の磁気吸着部2821に付着した異物PMが、オペレータの目視によって見つけるのが困難な微小異物であったとしても、第1撮像部31により取得されたピン検査画像G2には、明領域のピン領域G22の範囲内に、異物PMに対応する異物領域G23が暗領域として現れる。このため、解析部56から出力されるピン検査画像G2に基づく解析結果は、プッシュアップピン282に対する異物PMの付着の有無を正確に示したものとなる。オペレータは、このような解析結果を確認することによって、プッシュアップピン282に異物PMが付着しているか否かを容易に把握することができ、異物PMの付着が生じていた場合にはその異物PMを除去するメンテナンス作業を効率よく行うことができる。これにより、プッシュアップピン282に付着した異物PMに起因する基板PPの支持性能を悪化させる現象や、プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時において、ピンステーション29に格納されたプッシュアップピン282とヘッドユニット25とに干渉が生じる現象等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0058】
なお、上記のステップs6において、部品落下判定部57が部品落下の可能性が無いと判定した場合(ステップs6でNO)には、プッシュアッププレート281上に部品等の異物PMが落下していない可能性が高く、これに伴ってプッシュアップピン282に対する異物PMの付着も無い可能性が高い。従って、部品落下判定部57によって部品落下の可能性が無いと判定された場合には、撮像制御部55は、第1撮像部31による第1ピン撮像動作の実行を省略し、これに伴って解析部56は、解析処理の実行を省略する。これにより、第1撮像部31による第1ピン撮像動作の過度な実行が抑止され、これに伴って解析部56による過度な解析動作の実行についても抑止される。このため、プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時において、第1撮像部31及び解析部56の各動作に要する時間を可及的に短縮することができる。この場合、ステップs7からステップs10までの各処理が省略される。そして、ヘッド制御部54は、ヘッドユニット25がピンステーション29に到着した状態において、搭載ヘッド251を下降させて、吸着ノズル2511に吸着保持されたプッシュアップピン282をピンステーション29へ格納させる(ステップs11)。
【0059】
プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時における搭載ヘッド251の下降動作中において、高さ異常判定部58は、プッシュアップピン282の高さ異常の有無を判定する(ステップs12)。高さ異常判定部58によって高さ異常が無いと判定された場合(ステップs13でYES)には、制御装置5は、回収予定の全てのプッシュアップピン282のピンステーション29への格納が終了したか否かを判断する(ステップs14)。全てのプッシュアップピン282のピンステーション29への格納が終了した場合(ステップs14でYES)には、制御装置5は、ピン回収処理を終了する。一方、全てのプッシュアップピン282のピンステーション29への格納が終了していない場合(ステップs14でNO)には、上記のステップs2に処理が戻されて、当該ステップs2以降の各処理が繰り返される。
【0060】
プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時において、ピンステーション9に異物PMが落下していた場合には、当該異物PMがプッシュアップピン282の磁気吸着部2821に付着する現象が生じ得る。この場合、プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時における搭載ヘッド251の下降動作において、通常の下降位置への下降が阻止され、プッシュアップピン282の高さ異常が生じる。つまり、プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時において、高さ異常判定部58によって高さ異常が有ると判定された場合(ステップs13でNO)、ピンステーション29に落下していた異物PMがプッシュアップピン282に付着する可能性がある。
【0061】
そこで、図7に示すように、ヘッド制御部54は、高さ異常に対応した特定のプッシュアップピン282を吸着ノズル2511によって吸着保持した状態のヘッドユニット25を、ピンステーション29から第1撮像部31へ移動させる(ステップs131)。ヘッドユニット25の移動に応じて前記特定のプッシュアップピン282が第1撮像部31に搬送されると、撮像制御部55は、第1撮像部31を制御し、前記特定のプッシュアップピン282の磁気吸着部2821を撮像対象として下方側から撮像する第2ピン撮像動作を実行させてピン検査画像G2を取得させる(ステップs132)。
【0062】
第1撮像部31の第2ピン撮像動作に応じてピン検査画像G2が取得されると、解析部56は、当該ピン検査画像G2に基づいて、磁気吸着部2821に対する異物PMの付着の有無を解析する解析処理を行い、その解析結果を出力する(ステップs133)。
【0063】
解析部56が磁気吸着部2821に異物PMの付着が有ることを示す解析結果を出力した場合(ステップs134でYES)を想定する。この場合、ヘッド制御部54は、第1撮像部31に到着した状態でヘッドユニット25の動作を停止させる(ステップs135)。この際、報知制御部59は、報知部4を制御し、磁気吸着部2821に異物PMの付着が有ることを示す警告情報を報知させる(ステップs136)。オペレータは、このような解析結果を確認することによって、ピンステーション29に落下していた異物PMが前記特定のプッシュアップピン282に付着しているか否かを容易に把握することができ、異物PMの付着が生じていた場合にはその異物PMを除去するメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【0064】
一方、解析部56が磁気吸着部2821に異物PMの付着が無いことを示す解析結果を出力した場合(ステップs134でNO)を想定する。この場合、プッシュアップピン282のピンステーション29への格納時において、ピンステーション29に落下していた異物PMがプッシュアップピン282に付着しなかったと想定される。この場合、ピンステーション20に異物PMが落下したままの状態であると想定される。そこで、図7に示すように、ヘッド制御部54は、ヘッドユニット25を第1撮像部31からピンステーションへ移動させる(ステップs1341)。
【0065】
ヘッドユニット25がピンステーション29に到着すると、撮像制御部55は、第2撮像部32を制御し、ピンステーション29を撮像対象として上方側から撮像するステーション撮像動作を実行させてステーション検査画像を取得させる(ステップs1342)。このようにして取得されたステーション検査画像に基づいて、解析部56は、ピンステーション29における異物PMの有無を解析し、その解析結果を出力する(ステップs1343)。オペレータは、このような解析結果を確認することによって、ピンステーション29に異物PMが落下しているか否かを容易に把握することができ、異物PMの落下が生じていた場合にはその異物PMを除去するメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
1 実装機
2 実装機本体
21 本体フレーム
24 部品供給ユニット
25 ヘッドユニット
251 搭載ヘッド
2511 吸着ノズル
28 基板支持ユニット
281 プッシュアッププレート
282 プッシュアップピン
29 ピンステーション
3 撮像部
31 第1撮像部
32 第2撮像部
33 第3撮像部
4 報知部
5 制御装置
54 ヘッド制御部
55 撮像制御部
56 解析部
57 部品落下判定部
58 高さ異常判定部
59 報知制御部
G1 基準画像
G2 ピン検査画像
PM 異物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B