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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】輸送システム用の浮上制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 13/03 20060101AFI20230529BHJP
   B60L 13/04 20060101ALI20230529BHJP
   B60L 13/06 20060101ALI20230529BHJP
   E01B 25/34 20060101ALI20230529BHJP
   E01B 25/32 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B60L13/03 B
B60L13/04 L
B60L13/06
E01B25/34
E01B25/32
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020115009
(22)【出願日】2020-07-02
(62)【分割の表示】P 2017512955の分割
【原出願日】2015-09-08
(65)【公開番号】P2020174528
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】62/047,624
(32)【優先日】2014-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517074613
【氏名又は名称】スカイトラン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】ワンブル, ジョーン リー, サード
(72)【発明者】
【氏名】コール, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フォスター, クラーク ビー
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-328538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0130703(US,A1)
【文献】特開昭60-096170(JP,A)
【文献】特開昭62-031303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 13/03-13/10
E01B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送装置であって、
浮上磁束を生成し、
前記浮上磁束に応じて対応する導電性の非磁性材料である上昇部材に対して前記輸送装置を上昇させるために磁気的に連結され、前記上昇部材内で移動可能になるように上昇させる少なくとも1つの浮上力発生器と、
前記輸送装置を移動させる推進磁束を生成することにより、前記推進磁束を受け取る推進部材内を移動する推進力発生器と、を備える輸送装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの浮上力発生器は2つの浮上力発生器を含み、各浮上力発生器は、対応する上昇部材内に受け入れられるように構成されている、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項3】
前記輸送装置は、前記少なくとも1つの浮上力発生器に連結される本体をさらに含み、前記少なくとも1つの浮上力発生器は、前記輸送装置の長手方向軸に対して実質的に平行な方向に沿って前記本体に対して摺動可能に構成された、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの浮上力発生器は複数のセグメントから形成され、少なくとも1つのセグメントは、前記輸送装置に向かって回動し、前記浮上磁束を変化させ、
前記少なくとも1つのセグメントは、前記輸送装置の相対運動の方向に対して後端のセグメントである、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの浮上力発生器は、前記浮上磁束に応じて前記少なくとも1つの上昇部材に対して静止位置より上に上昇するようにさらに構成されている、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの浮上力発生器は、前記浮上力発生器の長手方向軸と前記輸送装置の長手方向軸との間のピッチ角を調整するようにさらに構成されている、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項7】
前記浮上力発生器は、前記ピッチ角を作動させるように構成されたサーボモータに結合されている、請求項6に記載の輸送装置。
【請求項8】
前記サーボモータは、前記浮上力発生器の前端、浮上力発生器の後端および/または浮上力発生器の前端と後端との間のうちの1つ以上に結合される、請求項7に記載の輸送装置。
【請求項9】
前記浮上力発生器は、前記浮上力発生器と、対応する前記上昇部材との間の間隙を調整するようにさらに構成されている、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項10】
前記浮上力発生器は、後端に2つのトリムタブを有し、前記2つのトリムタブは、前記輸送装置の長手方向軸に垂直な軸を中心に前記トリムタブを作動させるように構成されたサーボモータに結合され、前記トリムタブは対応する前記サーボモータに結合され、それによって各トリムタブを個々に動作させることができる、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの浮上力発生器は2つの対向する端部を有し、各端部は、連結部によって、軸に配置されるサーボモータに連結され、当該連結部および当該サーボモータは、前記少なくとも1つの浮上力発生器の端部を前記輸送装置の長手方向軸に対して撓ませるように構成され、前記少なくとも1つの浮上力発生器の各端部は、反対側の端部とは独立して撓むことができる、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項12】
前記輸送装置は、さらに第二浮上力発生器および第二推進力発生器を備え、
前記第二浮上力発生器は、第二浮上磁束を生成し、
前記第二浮上磁束に応じて対応する導電性の非磁性材料である第二上昇部材に対して前記輸送装置を上昇させるために磁気的に連結され、前記第二上昇部材内で移動可能になるように上昇させ
前記第二推進力発生器は、前記輸送装置を移動させる第二推進磁束を生成することにより、前記第二推進磁束を受け取る第二推進部材内で移動する、請求項1に記載の輸送装置。
【請求項13】
第一ピッチ角を調整するために前記第二浮上力発生器を作動させるように構成された第一サーボモータと、
第二ピッチ角を調整するために前記第二浮上力発生器を作動させるように構成された第二サーボモータと、を備える、請求項12に記載の輸送装置。
【請求項14】
輸送装置に連結され、
浮上磁束を発生させ、
前記浮上磁束に応じて対応する導電性の非磁性材料である上昇部材に対して前記輸送装置を上昇させるために磁気的に連結され、前記上昇部材内で移動可能になるように上昇させる浮上力発生器。
【請求項15】
前記浮上力発生器は、前記浮上力発生器を作動させるように構成されたサーボモータに結合され、それによって、前記輸送装置の縦軸に垂直な軸間のピッチ角を調整する、請求項14に記載の浮上力発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における主題は、輸送システム用の浮上システムに関し、より詳細には、駆動システムを含むことができる輸送システム用の浮上システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気浮上システムは、2つの物体間の引力または反発力の利用によって浮上するシステムとして一般に設計されている。これらの磁気浮上システムは、2つの物体の間隔に依存するため、2つの物体の間隔が変化する場合、各物体上の磁石によって生成される磁力が変化する。さらに、例えば列車において、軌道を介して磁気的な浮上を実現するシステムでは、軌道が実質的に水平であることを必要とする。したがって、地面が、気候、または、列車および軌道の重量のために経時的に変化する場合には、軌道を修理しなければならない。
【0003】
磁気的な浮上は、軌道上の従来の車輪と比較して利点を提供することができる。概して、磁気的な浮上は、低摩擦または摩擦ゼロの機械的摩擦を有し、このような浮上システムにおける部品は、接触によって摩耗することがない。磁気的な浮上は、動作可能とする広範な速度を有し、動作時に、比較的低い騒音レベルしか発生させない。
【0004】
磁気的な浮上は、従来の大型の列車システムアーキテクチャ、および、モノレールまたは個人用高速輸送(PRT)システムに適用することができる。磁気的な浮上は、浮上およびセンタリング機能のために能動的または受動的な磁気相互作用を利用することができ、推進のために誘導的または同期する磁気相互作用を利用することができる。例えば、ネットワーク化された案内路輸送システムは、動きによって受動的に主要な上昇を提供するように永久磁石カップリングを使用することができ、リニアモーター機能と電気力学的センタリング機能とを統合しながら、ほとんどの動作速度においてセンタリング力を生じるように電気力学的反発力を利用することができる。例えば、2009年7月21日に発行されたWamble,IIIらの特許文献1(参照により本明細書に援用される)、および、2012年5月8日に発行されたWamble,IIIらの特許文献2(参照により本明細書に援用される)を参照。推進または駆動ユニットは、浮上ユニットと一体化するか、または、浮上ユニットとは別個であるものとすることができる。
【0005】
例えば、浮上ユニットとは別個の推進ユニットが、2013年1月3日に公開されたWamble IIIの特許文献3(参照により本明細書に援用される)に記載されている。車両を、浮上ユニットのうちの1つまたは複数(例えば、特許文献3の図2図3図4図9図10図11A図11Bの410)によって浮上させることができ、それぞれの浮上ユニットは、1つまたは複数の細長い磁極を有する。車両が軌道に係合するとき、それぞれの細長い磁極が、軌道の静止した導電性のレールの平坦な垂直面に隣接し、細長い磁極は、可変の角度で傾斜する。細長い磁極がレールに沿って移動すると、細長い磁極からの磁場が、レールにおいて渦電流を誘発し、レールにおける渦電流は、細長い磁極に対して上昇力を生成する。いくつかの典型的な動作条件下では、上昇は、車両の傾斜角度および速度に概ね比例する(特許文献3の段落[0066]~[0072]を参照のこと)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7562628号明細書
【文献】米国特許第8171858号明細書
【文献】国際公開第2013/003387号
【0007】
ここで、添付の図面を参照して、本技術の実施態様を専ら例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、浮上力発生器と分岐合流点とを有する案内路を含む輸送装置の等角図である。
図2】推進部材と案内路とを含む輸送装置の特定の例の断面図である。
図3】浮上力発生器および上昇部材の例示的な実施形態の断面図である。
図4】一実施形態による浮上力発生器の電磁石アレイコントローラの概略図である。
図5】一実施形態による電磁浮上力発生器の概略図である。
図6】電磁浮上力発生器および上昇部材の第2の例示的な実施形態の断面図である。
図7】一実施形態による、ピッチを変えるように構成されている摺動可能な軸を有する浮上力発生器の概略図である。
図8】一実施形態による、ピッチを変えるように構成されている回動可能なセグメントを有する浮上力発生器の概略図である。
図9】一実施形態による、ヨー軸に回動可能に連結された浮上力発生器の概略図である。
図10】一実施形態による、ピッチ軸に回動可能に連結された浮上力発生器の概略図である。
図11】一実施形態による、ヨーを調整し、それによってピッチを変えるように構成されている回動可能なトリムタブを有する浮上力発生器の概略図である。
図12】一実施形態による、ピッチを変えるように回動可能なトリムタブを有する浮上力発生器の概略図である。
図13】一実施形態による、軸と対応する上昇部材とに連結された屈曲可能な浮上力発生器の概略図である。
図14】一実施形態による、軸と対応する上昇部材とに連結された回動可能な浮上力発生器の概略図である。
図15】一実施形態による軸カップリングの等角図である。
図16】輸送装置を使用する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記の種々の実施形態は、専ら例示として与えられたものであり、本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではない。したがって、多くのそのような詳細は図示も記載もされていない。本技術の多くの特徴および利点を、本開示の構造および機能の詳細とともに上記の説明において記載したが、本開示は例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲において用いられる用語の広範な包括的な意味によって示される十分な範囲まで、本開示の原理内で、細部に、特に部品の形状、サイズおよび配置に関して変更を行うことができる。したがって、上記の実施形態を、添付の特許請求の範囲内で変更することができることが理解されるであろう。あるセット「のうちの少なくとも1つ」を記載する特許請求の範囲の文言は、そのセットの1つの部材またはそのセットの複数の部材が特許請求の範囲を満たすことを示す。
【0010】
説明を簡潔で分かりやすくするために、適切な場合、対応するかまたは類似の要素を示すように、様々な図間で参照符号が繰り返されている。加えて、本明細書において記載される実施態様の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記載される。しかし、当業者は、本明細書において記載される実施態様を、これらの特定の詳細を用いることなく実施することができることを理解するであろう。他の場合では、記載される関連する関係のある特徴を分かりにくくしないように、方法、手順および構成要素は詳細には記載されていない。また、この記載は、本明細書において記載される実施態様の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0011】
ここで、本開示を通して当てはまるいくつかの定義を提示する。「浮上」という用語は、本明細書において用いられる場合、ある物体が別の物体に対して、物体間の機械的な接触を伴うことなく上昇して浮遊することを指す。「浮上力」は、浮上をもたらす力である。浮上力は、垂直方向(重力の方向とは反対の方向)に作用することができるが、当業者は、同じ力を用いて、横方向、または、垂直成分および横方向成分の双方を有する何らかの方向に2つの物体を移動させるかまたは位置決めすることができることを容易に認識するであろう。一般化するために、「浮上」および「浮上力」という用語は、本明細書において用いられる場合、主な進行方向に対して実質的に直交する方向への2つの物体間の非接触の位置決めおよび力をそれぞれ指す。本明細書においてさらに用いられる場合、「浮上磁束」および「浮上力」は、互いに代替でき、同じ要素を指す。「浮上力発生器」は、移動可能な物体を静止した物体に対して浮上させるように上昇部材と相互作用する磁気波を生成するように構成されているデバイスである。
【0012】
「推進力」は、1つの物体を別の物体に対して加速、等速運動、または、減速させるのに必要な力を指す。本明細書において用いられる場合、「推進力」は、2つの物体間の機械的な接触を伴うことなく行われる、主な進行方向と実質的に一致した力を意味する。本明細書においてさらに用いられる場合、「推進磁束」および「推進力」は、互いに代替でき、同じ要素を指す。「推進力発生器」は、移動可能な物体を静止した物体に対して推進させるように推進部材と相互作用する磁気波を生成するように構成されているデバイスである。
【0013】
「案内路」は、車、車両、ボギー台車、輸送装置が沿うように移動することができる経路を提供するデバイスまたは構造である。本明細書において用いられる場合、案内路および軌道という用語は、互いに代替でき、同じ要素を指す。車は、案内路に沿って進行するように構成されているデバイスを指す。車は、少なくとも部分的に包囲されるか、全体的に包囲されるか、または、物体もしくは人を載せることができる面を有することができる。車は、ボギー台車に連結することができ、ボギー台車はさらに案内路に連結される。ボギー台車は、車の一体的な構成要素であるか、または、車を連結することができる別個の構成要素であるものとすることができる。ボギー台車は、本明細書において用いられる場合、必ずしも車輪を含まないが、その代わりに、案内路と係合するように構成されている。
【0014】
「連結される」とは、2つの物体の連結または接続を指す。連結は、直接的または間接的であるものとすることができる。間接的な連結は、1つまたは複数の中間の物体を通じて2つの物体を接続することを含む。連結はまた、電気的または機械的な接続を指すことができる。連結はまた、物理的に接触することなく磁気的に結合させることを含むことができる。「実質的に」とは、特定の寸法、形状に本質的に一致する要素、または、構成要素が正確にそうである必要がないように実質的に修飾する他の用語を指す。例えば、実質的に円筒形とは、物体が円筒体に似るが、真の円筒体からの1つまたは複数の偏差を有することができることを意味する。「備える」という用語は、「~を含むが必ずしもそれらに限定されない」を意味し、具体的には、オープンエンドな包含、または、そのように記載される組み合わせ、群、シリーズ等の成員を指す。「磁気源」は、磁場を自然に生成するか、または、磁場を生成するように誘発されることができる任意の材料である。例えば、磁気源は、永久磁石、電磁石、超電導体、または、磁場を生成するかもしくは磁場を生成するように誘発されることができる任意の他の材料を含むことができる。「ピッチ」という用語は、横軸に対する迎え角を増減するものとして規定される。「ヨー」という用語は、縦軸を中心とした捩れまたは振動として規定される。
【0015】
上記の種々の実施形態は、専ら例示として与えられたものであり、本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではない。したがって、多くのそのような詳細は図示も記載もされていない。本技術の多くの特徴および利点を、本開示の構造および機能の詳細とともに上記の説明において記載したが、本開示は例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲において用いられる用語の広範な包括的な意味によって示される十分な範囲まで、本開示の原理内で、細部に、特に部品の形状、サイズおよび配置に関して変更を行うことができる。したがって、上記の実施形態を、添付の特許請求の範囲内で変更することができることが理解されるであろう。あるセット「のうちの少なくとも1つ」を記載する特許請求の範囲の文言は、そのセットの1つの部材またはそのセットの複数の部材が特許請求の範囲を満たすことを示す。例えば、A、BおよびCのうちの少なくとも1つは、部材がAのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、または、A、BおよびCであるものとすることができることを示す。
【0016】
案内路スイッチは、経路の分割または合流を可能にする案内路の一部である。案内路スイッチは、複数の線の案内路の案内路ネットワークを構成する重要で有益な技術的特徴である。車両を1つの線から別の線に切り換えることによって、乗客または積み荷は、他の線にある別の車両に移される必要がない。
【0017】
本開示は、対応する上昇部材内の浮上力発生器の向きを調整することに関する。浮上力発生器の向きは、それぞれの軌道セグメントが一対の同一の広がりを有する離間したガイドレールから構成される軌道のセグメントを含む案内路輸送システムにおける、別の経路間の車両の切り換えを補助することができる。浮上力発生器の向きは、案内路輸送システムにおけるコーナリング等の操作のために、上昇を調整することによって、および/または、車両の進行方向を調整することによって、経路の切り換えを補助することができる。少なくとも1つの実施形態では、それぞれの軌道セグメントが一対の同一の広がりを有する離間したガイドレールから構成される軌道のセグメントを含む案内路輸送システムが実現される。ガイドレールは、接合部によって相互接続されるガイドレールのネットワークの一部であるものとすることができる。ガイドレールは、さらなるガイドレールに分岐する本線を有することができる。例えば、本線は、ネットワークの中央幹線路とすることができ、枝分かれしてネットワークを形成する分岐レールを有する。
【0018】
それぞれのセグメントにおけるガイドレールは、一定の距離で互に離間しており、水平もしくは傾斜した平面において概ね同一平面上にあるか、または、従来の鉄道軌道と同様の方法で曲線にわたって傾斜角が付いている。モノレールとは対照的に、そのような軌道は、重量と荷重からの慣性力とが案内路のより広い領域にわたって分散されるため、より重い荷重を高速で担持することが可能な一対の同一の広がりを有する離間したガイドレールから構成される。また、同一の広がりを有する離間したレールの上部に載る車両は、乗車安定性、案内路の下を通過する背の高いトラックとの衝突に関する安全性、案内路が地表面に位置する駅、および、地表面にあるとともに案内路と同じ高さの歩道におけるオペレーションにおいていくつかの利点を有する。
【0019】
レールは、分岐ゾーンにおいて、垂直に分岐することができ、これは、軌道の平面に対して概ね垂直な方向にあり、それによって、分岐ゾーンにおけるレールの交差がない。本開示は分岐ゾーンに言及するが、本開示は、分岐ゾーンとは反対の合流ゾーンも含む。分岐ゾーンは、上側レールセットと下側レールセットとに分岐するレールを含むことができる。方向は、厳密に垂直である必要はなく、概ね垂直である。例えば、軌道は、曲線の形状であるものとすることができ、レールは、重力に垂直な方向に分岐することができる。少なくとも1つの構成では、ネットワークの本線は、分岐ゾーンにわたって水平な平面にあり、切り換えは、車両を、本線の上または下の車両経路にまたは車両経路から経路付けすることによって行われる。上昇は、レールにおいて磁気的に誘発される1以上の渦電流からの力に起因するため、その力は、車両の速度とともに概ね増大し、磁石およびレールは、通常の動作速度で車両の総質量の少なくとも2倍を担持するように設計することができる。この場合、それぞれのレールは、分割することができるので、レールのそれぞれの半分は、他の半分から垂直に分岐し、分岐ゾーンを通過する車両の総質量は、分岐ゾーンを通る選択された経路に関係なく、一対の半分のレールによって依然として浮上される。
【0020】
本明細書において記載されるような輸送装置は、少なくとも1つの浮上力発生器および少なくとも1つの推進力発生器を含むことができる。少なくとも1つの浮上力発生器は、浮上磁束を生成し、対応する少なくとも1つの上昇部材内で移動し、浮上磁束に反応して少なくとも1つの上昇部材に対して静止位置から浮上可能に構成することができる。少なくとも1つの推進力発生器は、推進磁束を生成し、対応する少なくとも1つの推進部材内で移動し、推進磁束に応じて少なくとも1つの推進部材に対して横方向に移動させるように構成することができる。少なくとも1つの浮上力発生器の少なくとも一部が、少なくとも1つの推進力発生器に対して移動可能である。
【0021】
本明細書において記載されるように、浮上力発生器は、連結された車両を上昇部材に対して上昇させるように構成することができる。浮上力発生器は、上昇部材と磁気的に連結されるように構成されている成形部材を含むことができる。成形部材は、上昇部材の少なくとも一部と交差する上昇磁束場を生成するように構成されている少なくとも1つの細長い磁極を有することができる。上昇磁束は、進行方向における少なくとも1つの磁極表面の運動、および、進行方向に対する少なくとも1つの磁極表面の角度に依存することができる。少なくとも1つの磁極表面は複数の磁気源を含むことができる。生成された上昇磁束場は、対応する少なくとも1つの上昇部材に対する少なくとも1つの浮上力発生器の相対位置とは独立することができる。少なくとも1つの細長い磁極は、少なくとも1つの上昇部材に対する少なくとも1つの浮上力発生器の相対運動の方向に対して或る角度に向けることができ、それによって、上昇力成分が、相対運動の方向に対して垂直な方向に生成される。角度は、磁力対通常の速度定数KFN、少なくとも1つの浮上力発生器と少なくとも1つの上昇要素との間の相対速度、および、必要な上昇力に基づいて所定の角度であるものとすることができる。角度は、磁力対通常の速度定数KFN、少なくとも1つの浮上力発生器と少なくとも1つの上昇要素との間の相対速度、および、必要な上昇力に基づいて可変の角度であるものとすることができる。上昇力は、細長い磁極の幅および高さに対する少なくとも1つの細長い磁極の長さに依存することができ、それによって、上昇力は、長さが幅および高さと比較して大きくなるにつれて増大する。上昇力は、少なくとも1つの上昇部材に対する細長い磁極の速度に依存することができ、より速い速度はより大きい上昇を生成する。少なくとも1つの細長い磁極は、列で配置される複数の磁気要素を含むことができる。少なくとも1つの細長い磁極は、2つの細長い磁極を含むことができ、2つの細長い磁極のそれぞれは、列で配置される複数の磁気素子を含むことができる。浮上部材は、電磁石、永久磁石またはそれらの組み合わせを含むことができる。本開示は、浮上力発生器を制御することに焦点を合わせているため、上昇を知ることができ、必要に応じて変更することができる。上昇を知る能力は、センサ、または、浮上力発生器が相互作用するシステムへの既知の入力から導き出すことができる。さらに、浮上力発生器の上昇特徴の変化をもたらす種々の実施形態が記載される。これらの実施形態は別個に記載されるが、本開示は、少なくとも1つの実施態様において、実施形態の2つ以上を、より大きい利点を達成するように組み合わせることができることを意図する。実施形態は、その特定の実施形態に関連する原理の例示および説明のために別個に記載される。
【0022】
さらに、案内路が提示される。案内路は、少なくとも1つの上昇部材を含むことができ、案内路連結部材によって少なくとも1つの推進部材を少なくとも1つの上昇部材に連結することができ、少なくとも1つの上昇部材は、対応する少なくとも1つの浮上力発生器によって生成される浮上磁束を受け取るように構成することができ、少なくとも1つの推進部材は、対応する少なくとも1つの推進力発生器によって生成される推進磁束を受け取るように構成することができる。少なくとも1つの上昇部材は2つの上昇部材を含むことができる。少なくとも2つの上昇部材は2つの軌道であるものとすることができ、それぞれの軌道は3つの側面を有する。それぞれの軌道は複数のセグメントを含むことができる。2つの軌道のそれぞれの断面は、実質的に矩形であるものとすることができる。少なくとも1つの推進部材は実質的に円筒形であるものとすることができる。
【0023】
図1は、浮上力発生器106が内部に受け入れられる案内路を有する輸送装置を示している。輸送装置100は、推進力発生器(図示せず)、および、案内路104内に受け入れ可能な浮上力発生器106を含むことができる。推進力発生器は、輸送装置100の横移動を生じる推進磁束を生成するように構成されている。推進力発生器は、図2において浮上力発生器の外側に示されている。本発明の浮上力発生器106は、浮上力発生器106の外側または内側にある推進力発生器とともに実現することができる。さらに、本発明の浮上力発生器106は、例えばエレベーターにおいて実質的にまたは少なくとも部分的に垂直な構造に構成することができる。本明細書において記載される原理は、概ね水平な進行方向に関して概ね提示されるが、本技術は、他の方向への進行に適用することができる。
【0024】
案内路104は1つまたは複数の上昇部材108を含むことができる。浮上力発生器106は、上昇部材108内で移動するとともに浮上磁束を生成するように構成されており、上昇部材を静止位置の上に押し上げる。浮上力発生器106および対応する上昇部材108は、間隙166によって隔てられる(図3を参照のこと)。少なくとも1つの実施形態では、浮上力発生器106は、輸送装置100と連結されるとともに上昇部材108内で移動するように構成されている実質的に矩形の本体であるものとすることができる。他の実施形態では、浮上力発生器106は、対応する上昇部材108内で移動するとともに浮上磁束を生成するように構成されている任意の形状にすることも可能である。
【0025】
浮上力発生器に対する上昇部材108の配置を理解するために、図6は、浮上力発生器106および上昇部材108を断面で示すために提供される。浮上力発生器106は、浮上力発生器106が対応する上昇部材108内で移動するとともに、浮上磁束を生成するように構成されている1個以上の磁気要素110を含むことができる。磁気要素110は、1個以上の磁石であるものとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、磁気要素110は電磁石であるものとすることができる。他の実施形態では、磁気要素110は、電磁石、永久磁石またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0026】
図1を再び参照すると、案内路104は、2つの上昇部材108間に分岐合流点112を形成する上昇部材108を含む。浮上力発生器106は、上昇部材108内に少なくとも部分的に受け入れられる。分岐合流点112は、上下に垂直に配置される2つの上昇部材108を含む。輸送装置100が分岐合流点112に近づくに連れて、浮上磁束を増減させることができ、それによって、上昇部材108の上昇を増減させる。その後に、輸送装置100および浮上力発生器106は、垂直に配置される上昇部材108のいずれか1つに入ることができる。少なくとも1つの実施形態では、輸送装置100は、2つ以上の軌道から単一の軌道に、単一の軌道から2つ以上の軌道に、または、複数の軌道から複数の軌道に移ることができる。輸送装置100は、それぞれが上昇部材108内で受け入れられるように構成されている、対向する側に配置される2つの浮上力発生器106を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、案内路104は、浮上力発生器を受け入れるようにそれぞれ構成されている、対向する2つの上昇部材108を含む。
【0027】
案内路104は、2つの上昇部材108を接合する分岐合流点112、上側上昇部材109および下側上昇部材111を含むことができる。分岐合流点112は、輸送装置の代替的な進行方向を提供することができる。例えば、上側上昇部材109は、進行方向に対して右側への曲線を形成することができ、下側上昇部材111は、進行方向に対して左側への曲線を形成することができる。他の実施形態では、上側上昇部材109は、左側に湾曲、右側に湾曲、垂直に分離し続ける、水平状態、または、それらの任意の組み合わせであるものとすることができ、下側上昇部材111は、左側に湾曲、右側に湾曲、垂直に分離し続け、水平状態、または、それらの任意の組み合わせであるものとすることができる。
【0028】
輸送装置100は、浮上力発生器106のピッチを変化させ、それによって必要な浮上磁束を増減させ、分岐合流点112をナビゲートすることができる。輸送装置100は、以下で説明するように、浮上力発生器106のピッチを種々の方法で変えることができる。さらに、輸送装置100が、曲線、屈曲または他の非直線的な部分を有する案内路104に沿って移動するとき、輸送装置100は、浮上力発生器106のヨーを調整することができる。ヨーは、ピッチとは別個に調整することができ、輸送装置100は、ヨーとピッチとを個々にかつ同時に調整することができる。
【0029】
案内路104は、浮上力発生器106の上側の細長い磁気要素110および下側の細長い磁気要素110と磁気的に連結する上側レール116および下側レール118を有する(図6を参照のこと)。少なくとも1つの実施形態では、浮上力発生器106は、「浮上ウイング:levitation wing」または「マグウイング:magwing」と称される。
【0030】
輸送装置100は、センサウイング130を有することができる。センサウイング130は、1個以上の垂直位置センサ(VPS)132を有し、案内路104および対応する上昇部材108内の浮上力発生器106の位置を求めることができる。複数のセンサ132によって収集されるデータは、案内路104および分岐合流点112内で浮上力発生器106を移動させることを可能にする。図1において理解することができるように、上側部分134には内側面136にセンサ132が配置されており、下側部分138には内側面139にセンサ132が配置されている。
【0031】
1以上のVPS132を、浮上力発生器106の前縁、ボギー台車上、センサウイング130上、または、軸128上に取り付けることができる。1つまたは複数のVPS132は、ホール効果、近接、光学、超音波、電界効果、および、機械自動化において一般的に使用される他のエッジ/位置センサなどの種々のタイプとすることができる。少なくとも1つの実施形態では、1個以上のVPS132は、上側エッジセンサ124および/または下側エッジセンサ126と係合および/または相互作用することができる。
【0032】
軸128は、浮上力発生器106と輸送装置100とを連結することができる。軸128には、軸128を輸送装置100に対して摺動または回転させるように、1個以上のサーボモータ162を連結することができる。少なくとも1つの実施形態では、1個以上のサーボモータ162は、軸128の長手方向軸を中心に当該軸128を回転させ、それによって、浮上力発生器106を回転させる。他の実施形態では、1個以上のサーボモータ162は、輸送装置100の長手方向軸に沿って浮上力発生器106に対して軸128を摺動させることができる。さらに他の実施形態では、1個以上のサーボモータ162は、浮上力発生器106を、ピッチ、ヨーおよび/またはロールなど、軸128および輸送装置100に対して任意の方向に作動させることができる。
【0033】
図2は、輸送装置100および案内路104の特定の例を示している。輸送装置100は、車両101を含み、案内路104の2つの平行に離間した水平なレール間に配置されることができる。車両101は、乗客、積み荷またはそれらの組み合わせを輸送するように構成することができる。車両101の幅は、レール間の間隔よりも小さく、客室と、垂直に分岐する分岐合流点112(図1を参照)の上側上昇部材109(図1を参照)のレールとの間に十分な隙間を提供する。浮上力発生器106は、レール内に配置され、車両101に取り付けられる。浮上力発生器106は、受動的な永久磁石もしくは電磁石とすることができ、または、能動的に切り換えられる電磁石を含むことができる。
【0034】
図2において理解することができるように、輸送装置100は、推進磁束を生成するように構成されている推進力発生器102を含む。推進力発生器102は、車両の外側縁に配置することができ、それぞれのレールの外側部分に配置される推進部材103内に受け入れ可能である。
【0035】
図3は、本開示による、上昇部材内の浮上力発生器の断面を示している。図3は、上側レール116の下縁120が、輸送装置100が分岐合流点に近づくとセンサウイング130および浮上力発生器の近接を検出するように構成されている上側エッジセンサ124を有することを示している。同様に、下側レール118の上縁122は、輸送装置100が分岐合流点に近づくとセンサウイング130および浮上力発生器106の近接を検出するように構成されている下側エッジセンサ126を有する。上側エッジセンサ124および下側エッジセンサ126は、ホール効果、近接、光学、超音波、電界効果、および、機械自動化において一般的に使用される他のエッジ/位置センサなどの種々のタイプとすることができる。上側エッジセンサ124および下側エッジセンサ126は、輸送装置100が分岐合流点112を通過すると、進行方向114、浮上力発生器および上昇部材108に関するデータを提供する。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、上側エッジセンサ124および下側エッジセンサ126は、近接に関するデータを輸送装置100に提供し、浮上力発生器106のピッチを調整する。輸送装置100は、プロセッサ、マイクロプロセッサまたは他の制御機構を含み、センサウイングからのデータ、上側エッジセンサ124および/または下側エッジセンサ126のデータに応じて、浮上力発生器のピッチを調整することができる。データは、以下に記載される電磁石コントローラ(図4に示す)にインプリメントすることができる。他の実施形態では、上側エッジセンサ124および下側エッジセンサ126は、輸送装置100が分岐合流点112を通過するとき、輸送装置100に進行方向114を示す。上側エッジセンサ124および下側エッジセンサ126は、輸送装置100を、適切な上側上昇部材109または下側上昇部材111(図1に示す)に方向付けるようにオンおよびオフにされる。
【0037】
上昇部材108は、実質的に矩形の断面を有し、浮上力発生器106は、同様の形状であるが、上昇部材108内で移動するように構成されている、少なくとも僅かにより小さい実質的に矩形の断面を有する。浮上力発生器106は、上昇部材108内で進行方向114に沿って移動するときに浮上磁束を生成する。センサウイング130は、浮上力発生器106の前に位置決めされる。少なくとも1つの実施形態では、輸送装置は、浮上力発生器106の前後に位置決めされるセンサウイング130を有する。
【0038】
図4は、例示的な実施形態による電磁石アレイコントローラおよび浮上力発生器を示している。電磁石アレイコントローラ142は、上側または下側VPS132からの入力に選択的に応答することができる。コントローラの出力は、浮上力発生器106内の電磁コイル146のセットに方向付けられ、上昇部材108との磁気連結を高める電流である。
【0039】
電磁石140は、浮上力発生器106の前端または後端に位置決めすることができるため、それらを流れる電流の効果は複数の効果を有する。1つの効果は、浮上力発生器106の有効長を増大させることによる直接的な浮上の増強である。電磁石素子140の帯電は、レールと連結している永久磁極の長さを増大させる。浮上力発生器106において全ての電磁石素子140を励磁する効果は、浮上磁束の急速で直線的な変化である。
【0040】
浮上力発生器106のピッチ・モーメント・バランスも、電磁石素子140を励磁することによって変化させることができる。浮上力発生器106の前端における電磁石素子140を励磁することによって、ピッチが増大する(ピッチアップ)。浮上力発生器106の後端における電磁石素子140を励磁する結果として、ピッチが低下する(ピッチダウン)。同様に、浮上力発生器106の前端における電磁石素子140を励磁することは、ピッチを低下させること(ピッチダウン)ができ、浮上力発生器106の後端における電磁石素子140を励磁する結果として、ピッチが増大する(ピッチアップ)。
【0041】
図4において理解することができるように、浮上力発生器106は、4つの電磁石素子140を有し、それぞれの電磁石素子140は6つの電磁コイル146を有する。電磁石アレイコントローラ142は、複数のセンサ132からのフィードバックに応じて、適切な電磁石素子140および対応する電磁コイル146を励磁する。浮上力発生器106の前縁における電磁石素子140は、EおよびFとして示されており、一方で、浮上力発生器106の後縁における電磁石素子140はCおよびDとして示されている。少なくとも1つの実施形態では、細長い磁極は、前縁の要素E、Fと後縁の要素C、Dとの間に配置される。
【0042】
他の実施形態では、浮上力発生器106は、多かれ少なかれ電磁石素子を有することができ、各電磁石素子140は、各電磁石素子140内に多かれ少なかれ電磁コイル146を有することができる。電磁石素子140および電磁コイル146の数は、限定はされず、浮上力発生器106、電磁コイル146のサイズ、材料の選択、利用可能な電力などの因子に応じて変更可能である。
【0043】
図5は、永久磁石素子および電磁石素子を有する上昇部材の概略図を示している。案内路104の側壁および浮上力発生器106は、浮上力発生器106の構成をより良く示すために示されていない。浮上力発生器106の磁気要素110は、前方部分148および後方部分150に分割することができる。それぞれの部分は、永久磁石ゾーン152および電磁石ゾーン154を有することができる。浮上力発生器は、電磁石ゾーンの不均衡な励磁に応じて軸128を中心にピッチングすることができる。前方部分148の電磁石ゾーン154を励磁した場合、浮上力発生器106のピッチを増大させ(ピッチアップ)、後方部分150の電磁石ゾーン154を励磁した場合、浮上力発生器106のピッチを低下させる(ピッチダウン)。
【0044】
浮上力発生器106は永久磁石ゾーン152を有することができ、電磁石ゾーン154は、上記の図4に図示および記載されている電磁石アレイコントローラ142によってインプリメントすることができる。永久磁石ゾーン152は、必要な浮上磁束を生成することができ、一方で、電磁石ゾーン154は、対応する上昇部材108内で浮上力発生器106が進むと、ピッチの調整を提供することができる。
【0045】
図6は、浮上力発生器の断面図を示している。電磁石ゾーン154は、浮上力発生器106の前方部分148内にある。浮上力発生器106は、前方部分148内の上側電磁石ゾーン154および下側電磁石ゾーン154を有し、同様に、浮上力発生器の後方部分150に上側電磁石ゾーン154および下側電磁石ゾーン154を含むことができる。
【0046】
図5および図6において理解することができるように、浮上力発生器106は、前方部分148および後方部分150の上側部分および下側部分のそれぞれに5つの電磁コイル146を有し、それぞれのコイルはN極およびS極を有する。永久磁石ゾーン152は、前方部分148の上側部分および下側部分のそれぞれに6つの永久磁石素子156を有し、後方部分150の上側部分および下側部分のそれぞれに6つの永久磁石素子156を有する。浮上力発生器106は実質的に水平であるが、電磁石ゾーン154を励磁することは、浮上力発生器106を、案内路104内で軸128を中心にピッチングさせることができる。
【0047】
図7は、例示的な実施形態による摺動可能な浮上力発生器を示している。浮上力発生器106は、分岐合流点112に近づいて分岐合流点112を通るときに、ピッチを増減させて浮上磁束を調整する。浮上力発生器106は、軸を前方または後方に摺動させることによってピッチを調整し、結果として生じる法線力を変化させることができる。浮上力発生器106は、軸128を中心とした中心点において平衡が保たれる。少なくとも1つの実施形態では、サーボモータおよび/または連結部(図1および図9図11を参照)が、軸を中心点の後方に摺動させ、ピッチをαだけ増大させることができる。浮上力発生器106に作用するトルクは、軸が中心から移動する距離Xで乗算される定常状態Fにおける浮上力である。他の実施形態では、サーボモータおよび/または連結部(図1および図9図11に示す)が、浮上力発生器106を軸128に対して前方または後方に摺動させることができ、それによって、不均衡な浮上磁束を生じて浮上力発生器のピッチを変化させる。
【0048】
図7において理解することができるように、軸128は、中心の後方に距離Xだけシフトされ、浮上力発生器106をαだけ上方にピッチングさせる。計算を説明するために、Fは100kgであり、軸は1cmシフトされ、結果として生じる浮上力発生器に作用するトルクは1kgmである。結果として生じるトルクは、浮上力発生器106のピッチを増大させる。他の実施形態では、軸は、中心点の前方にシフトすることができ、浮上力発生器106のピッチを低下させる。この例は例示に過ぎず、示されている値は理解しやすくするためのものに過ぎない。異なる値を用いて計算を行うことができる。値はシステムに応じて変わる。
【0049】
図8は、例示的な実施形態による浮上力発生器の上から見た概略図を示している。浮上力発生器106は、浮上力発生器106の長さに沿って配置される複数の磁気要素110を含む。1個以上の磁気要素110は、浮上力発生器106に連結される回動可能な磁気要素158であるものとすることができる。磁気要素158の回動は、対応する上昇部材108と相互作用する浮上力発生器106によって生成される浮上磁束を変化させ、浮上力発生器106を、軸128を中心に回転させる。
【0050】
回動可能な磁気要素158は、軸128の両側において生成される磁束を調整し、浮上力発生器106をピッチングさせる。後端における磁気要素158が回動することによって、浮上力発生器106が前端においてより高い磁束を生成し、それによって浮上力発生器106が上方にピッチングする(ピッチアップ)。前端における磁気要素158が回動することによって、浮上力発生器106が後端においてより高い磁束を生成し、それによって浮上力発生器106が下方にピッチングする(ピッチダウン)。浮上力発生器106は、上側エッジセンサ124、下側エッジセンサ126、VPS132および輸送装置100のプロセッサからのフィードバックに応じて、1個以上の回動可能な磁気要素158を回動させることができる。
【0051】
図8において理解することができるように、浮上力発生器106は、浮上力発生器106の実質的に中心点に配置される軸128によって連結される。浮上力発生器106は複数の磁気要素110を有し、1個以上の磁気要素110は、浮上力発生器に回動可能に連結される。浮上力発生器106は、磁気要素110をその上に配置することができる磁気透過性のバックプレート160をさらに有することができる。磁気透過性のバックプレート160も回動可能な磁気要素158に回動可能に取り付けられる。磁気透過性のバックプレート160は、鉄、フェライト系ステンレス鋼、炭素鋼、または、任意の他の磁気透過性の材料などである。浮上力発生器106の後端の磁気要素110は、回動可能な磁気要素158であり、対応する上昇部材108から離れるように移動し、それによって、浮上力発生器106のピッチを増大させる。前端の要素も、対応する上昇部材108から離れるように移動するよう回動可能に連結されることができ、それによって、浮上力発生器106のピッチを低下させる。回動可能な磁気要素158は、上側エッジセンサ124、下側エッジセンサ126、VPS132、または、浮上力発生器106もしくは対応する上昇部材108上に配置される他のセンサに応じて、輸送装置100のプロセッサまたはマイクロプロセッサによって制御することができる。他の実施形態では、2個または3個以上などの2個以上の回動可能な磁気要素158を、ピッチのさらなる変化をもたらすように実現することができる。
【0052】
図9は、浮上力発生器の上から見た概略図を示している。輸送装置100は、ピッチおよびヨーの双方の調整を必要とし得る。ピッチは、進行方向114に対する浮上力発生器106のピッチアップまたはピッチダウンを調整し、一方で、ヨーは、進行方向114に対して垂直な軸を中心とした浮上力発生器106の捩れを調整する。ヨーの調整は、水平面内で進行方向を変化させ、一方で、ピッチは、垂直平面内で進行方向を調整する。
【0053】
浮上力発生器106のヨーは、1個以上の磁気要素110と対応する上昇部材108との間の間隙166を変化させることによって調整可能である。浮上力発生器106は、軸128に回動可能に連結される。浮上力発生器は、サーボモータ162および連結部164にも連結されることができる。サーボモータ162および連結部164は、対応する上昇部材108に対して浮上力発生器106を回動させることができる。サーボモータ162が作動すると、浮上力発生器106が回動し、浮上力発生器106と対応する上昇部材108との間の間隙166が変化し、それによって浮上磁束が変化する。
【0054】
間隙166が変化すると、結果として生じるモーメントが、ヨーの方向に応じて浮上力発生器106のピッチを増減させるように作用する。浮上力発生器106の前縁におけるより小さい間隙166はピッチを増大させ、一方で、浮上力発生器の前縁におけるより大きい間隙166はピッチを低下させる。同様に、浮上力発生器106の後縁におけるより小さい間隙166はピッチを低下させ、一方で、浮上力発生器の後縁におけるより大きい間隙166はピッチを増大させる。
【0055】
図9において理解することができるように、サーボモータ162および連結部164は、浮上力発生器106の前端に連結されている。間隙166は、対応する上昇部材108に対して一定である。破線の浮上力発生器106は誘発されたヨーを示している。サーボモータ162が作動し、前端を上昇部材108のより近くに移動させ、浮上力発生器106と上昇部材108との間の間隙166を縮ませ、それによってピッチの増大を誘発する。他の実施形態では、サーボモータ162および連結部164は、浮上力発生器106の後縁において、または、浮上力発生器106の長さに沿う任意の地点において連結され、ピッチを調整することができる。
【0056】
図10は、本開示による浮上力発生器の概略図を示している。浮上力発生器106は、サーボモータ262および連結部264に連結され、ピッチを調整することができる。サーボモータ262および連結部264は浮上力発生器106を回動させ、ピッチを直接的に調整する。図10において理解することができるように、サーボモータ262は、浮上力発生器106の前縁に連結されている。浮上力発生器106は、進行方向114に対して上方にピッチングする。浮上力発生器の前縁は、上側上昇部材109に向かって上方にピッチングし、下側上昇部材111に向かって下方にピッチングすることができる。他の実施形態では、サーボモータ262および連結部264は、浮上力発生器に沿った任意の地点に連結することができる。前端または後端との連結は、浮上力発生器106のピッチ範囲を最大化することができる。他の実施形態では、サーボモータ262および連結部264は、浮上力発生器106の後縁において、または、浮上力発生器106の長さに沿った任意の地点において連結され、間隙166を調整することができる。
【0057】
図11は、本開示における単一のトリムタブを有する浮上力発生器106の上から見た図を示している。浮上力発生器106は、軽量サーボモータ262によって浮上力発生器106に連結されるトリムタブ167を含む。浮上力発生器106は、中心点129を中心に回動可能である。サーボモータ262は、進行方向114と一直線になるようにトリムタブ167のヨーを調整することができる。反動力が、中心点129を中心に浮上力発生器106を回転させることによって浮上力発生器106をピッチングさせ、それによって、トリムタブ167は進行方向114内に位置合わせするように戻る。浮上力発生器106のピッチ角αLGは、浮上力発生器106に対してαTTだけトリムタブをピッチングさせることによって、ピッチ角α’まで増大する(または低下する)。位置合わせするように戻るときの進行方向114とトリムタブ167との間の角度は、βである。トリムタブ167が進行方向114と位置合わせされると、浮上力発生器106はピッチ・モーメント・バランスにある。
【0058】
図11に関して記載されるような実施態様は、サーボモータ362がトリムタブ167を調整しさえすればよいため、より軽量のサーボモータ362を可能にする。この実施態様は自己安定式でもある。少なくとも1つの実施形態では、トリムタブ167は、ミニ浮上力発生器またはミニ浮上ウイングである。
【0059】
図12は、本開示による浮上力発生器の概略図を示している。浮上力発生器106は、サーボモータ362および連結部364に連結される2つのトリムタブ168を有し、ピッチを調整することができる。進行方向114にゼロピッチで進行中に、トリムタブは浮上力発生器106に対して実質的に平行なままである。トリムタブ168は、(図3に示す)上側レール116および下側レール118に向かって、また離れるように回動し、ピッチを調整することができる。対応する上昇部材に向かうかまたは対応する上昇部材から離れるトリムタブ168の回動によって、浮上力発生器を、軸128を中心に回動させる。上側上昇部材109に向かって回動したトリムタブ168は、浮上力発生器106のピッチを増大させ、一方で、下側上昇部材111に向かって回動したトリムタブ168は、浮上力発生器106のピッチを低下させる。
【0060】
図12において理解することができるように、トリムタブ168は、浮上力発生器106の後縁に配置されており、上側レール116に向かって上方に回動し、浮上力発生器106を上方にピッチングさせる。他の実施形態では、浮上力発生器106は、前端または後端のいずれかに配置される1つのトリムタブ168、2つのトリムタブ168または任意の数のトリムタブ168を含み、対応する上昇部材108内でピッチを調整することができる。
【0061】
他の実施形態では、浮上力発生器106は、サーボモータ362によって浮上力発生器106に連結されるトリムタブ168を含むことができる。サーボモータ362は、トリムタブを、進行方向114との位置合わせから外してピッチングさせることができる。トリムタブ168が進行方向114との位置合わせのために戻るように、反動力が浮上力発生器106をピッチングさせる。
【0062】
図13は、本開示による可撓性の浮上力発生器106を示している。浮上力発生器106は、軸の両側に配置される2つのサーボモータ462、463および2つの連結部464、465に連結される。連結部464、465は、サーボモータ462、463と、浮上力発生器106の前端および後端とを連結する。サーボモータ462、463は浮上力発生器106の端部を撓ませ、浮上力発生器106と対応する上昇部材との間の一定の間隙166を維持する。一定の間隙166を維持することは、浮上磁束を調節し、浮上力発生器106の能動的な制御を可能にする。
【0063】
図13において理解することができるように、浮上力発生器106は、浮上力発生器106とサーボモータ362、363とを連結する突起170を含む。サーボモータ362、363は、突起170と実質的に一列になる軸に配置される。他の実施形態では、サーボモータ362、363は、浮上力発生器から離れた軸上に配置され、浮上力発生器106に対して角度の付いた連結部を生じることができる。
【0064】
図14は、本開示による浮上力発生器を示している。浮上力発生器106は、軸128において回動可能に連結される2つのセグメント1061、1062を有することができる。セグメント1061、1062は、サーボモータ462、463および連結部464、465によって軸128に連結されることができる。浮上力発生器106のサーボモータ462、463およびそれぞれのセグメント1061、1062は、対応する上昇部材108に関する。
【0065】
図15は、本開示による軸カップリングを示している。軸カップリング172は、浮上力発生器106と軸128とを連結する。軸カップリング172は、浮上力発生器106が上方にピッチング、下方にピッチング、左にヨーイング、および、右にヨーイングすることを可能にする。
【0066】
図16は、輸送装置を使用する方法のフローチャートを示している。図16を参照すると、例示的な実施形態によるフローチャートが示されている。例示的な方法1600は、方法を行う種々の方法があるため、一例として示す。以下で記載される方法1600は、例えば図1図15に示されている構成を使用して実行することができ、これらの図の種々の要素が、例示的な方法1600を説明する上で参照される。図16に示されているそれぞれのブロックは、例示的な方法1600において行われる1個以上のプロセス、方法またはサブルーチンを表す。さらに、ブロックの示されている順序は例示に過ぎず、ブロックの順序は本開示に従って変更可能である。本開示の開示の範囲から逸脱することなく、さらなるブロックを追加、または、より少ないブロックを使用することができる。例示的な方法1600はブロック1601から開始する。
【0067】
ブロック1601において、輸送装置100は、推進磁束を生成する推進力発生器102によって案内路104に沿って移動することができる。少なくとも1つの実施形態では、推進力発生器102はらせん形であり、対応する推進部材内で回転する。
【0068】
ブロック1602において、推進磁束は、案内路104に沿う進行を生じ、対応する上昇部材108内で浮上力発生器106を移動させ、それによって、浮上磁束を生成する。浮上磁束は、案内路104に沿う輸送装置100の速度とともに変化する。
【0069】
ブロック1603において、輸送装置100は、対応する上昇部材108内の浮上力発生器106の向きを調整する。ピッチ、ヨーおよび/またはロールを含む向きは、浮上磁束とともに変化する。
【0070】
ブロック1604において、輸送装置100は分岐合流点112に接近し、浮上力発生器106の向きによって、輸送装置100が上側上昇部材109または下側上昇部材111のうちの一方に入る。
【0071】
例示的な実施形態およびその利点は、上記の説明から理解されると考えられ、本開示の開示の主旨および範囲から逸脱することなく、または、その利点の全てを犠牲にすることなく、種々の変更を実施形態に加えることができることが明らかであり、本明細書において前述した例は単に、好ましい実施形態または例示的な実施形態である。
図1
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図16