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特許7286611エアロゾル生成装置のための消耗品、及びエアロゾル生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置のための消耗品、及びエアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/06 20060101AFI20230529BHJP
   A24D 3/18 20060101ALI20230529BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20230529BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20230529BHJP
【FI】
A24D3/06
A24D3/18
A24D3/04
A24F40/20
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020216794
(22)【出願日】2020-12-25
(62)【分割の表示】P 2018555509の分割
【原出願日】2017-05-22
(65)【公開番号】P2021072790
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】1608947.6
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イングランド, ウィル
(72)【発明者】
【氏名】バレステロス ゴメス, パブロ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ウッドマン, トム
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/063181(WO,A1)
【文献】特開2000-325067(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152017(WO,A1)
【文献】特表2014-534818(JP,A)
【文献】特表2013-507906(JP,A)
【文献】特表2008-546400(JP,A)
【文献】特開2007-259864(JP,A)
【文献】特表2015-533512(JP,A)
【文献】特表2006-504431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/00 - 3/18
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置のための消耗品であって、当該消耗品は、吸引可能なエアロゾルを形成すべく前記エアロゾル生成装置のヒータによって加熱され得るように、使用時に前記エアロゾル生成装置内に少なくとも部分的に挿入されるように構成されており、
使用時に前記エアロゾル生成装置内に挿入され、前記ヒータによって加熱される、タバコロッドの形態の被加熱部分と、
使用時に吸引されるエアロゾルが通過する吸い口部分と、
を備え、
前記吸い口部分が、
破壊可能なカプセルを含むフィルタであって、前記破壊可能なカプセルがコアシェル構造を有し、コアが液体のコアであり、前記液体のコアが、バリア材料によりカプセル化されたエアロゾル改質剤を含み、前記バリア材料が、前記液体のコアを少なくとも50℃~120℃まで保持することができ、前記カプセルが、2.5mm~5.5mmの範囲内の直径と、15mg~30mgの範囲内の重量を有する、フィルタと、
前記タバコロッドと前記フィルタとの間の通路として形成された冷却チャンバと、
を備えている、消耗品。
【請求項2】
前記カプセルが壊されていない状態にある場合に、使用者の吸引時における前記フィルタの端から端までの圧力差が30~90mmHOの範囲内にある、請求項1に記載の消耗品。
【請求項3】
前記カプセルが壊されていない状態にある場合に、使用者の吸引時における前記フィルタの端から端までの圧力差が35~60mmH38~55mmHO又は40~50mmHOの範囲内にある、請求項2に記載の消耗品。
【請求項4】
前記エアロゾル改質剤が香味料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項5】
前記破壊可能なカプセルが、少なくとも4mgの前記エアロゾル改質剤を含む、請求項4に記載の消耗品。
【請求項6】
前記液体のコアが、該コアの全重量に基づき少なくとも25%w/wの香味料を含む、請求項4又は5に記載の消耗品。
【請求項7】
前記バリア材料が、ゲル化剤、増量剤、緩衝剤、着色剤、可塑剤、及び充填剤のうちの一つ以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項8】
前記吸い口部分が使用時に直接加熱されない、請求項1~のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項9】
当該消耗品がカプセルを一つのみ含み、又は、当該消耗品が複数のカプセルを含み、これらのカプセルの各々のコア組成物が異なっている、請求項1~のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項10】
略円筒形である、請求項1~のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項11】
前記被加熱部分にカプセルを更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の消耗品。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の消耗品を備えるエアロゾル生成装置。
【請求項13】
タバコ加熱製品である、請求項12に記載のエアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置のためのフィルタに関し、フィルタはカプセルを含む。本発明はまた、エアロゾル生成装置のための消耗品に関する。さらに、本発明はエアロゾル生成装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコ等の物品は、使用の間、タバコを燃焼してタバコ煙を発生させる。これらの物品に代わるものを提供する試みもなされており、そのような代替品は、喫煙材を燃焼せずに吸引可能なエアロゾルを生成する。喫煙材は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいし、ブレンドされた混合物等の組み合わせたものでもよく、それらは、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0003】
かかるエアロゾル生成製品の一例が、タバコ加熱製品又はタバコ加熱装置としても知られているいわゆる非燃焼・加熱式(heat-not-burn)製品であり、これらは、吸引可能なエアロゾルを形成するために固体の基体材料を燃焼するのではなく加熱することにより化合物を放出する。エアロゾル生成装置の他の例としては、いわゆるeシガレット(e-cigarette)装置があり、これは典型的には吸引可能なエアロゾルを形成するために液体の基材を気化し、また、液体の基材はニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。吸引可能なエアロゾルを形成するために、液体の基材と、固体の基体材料の一つ以上の成分との両方を気化する、複合式の装置も知られている。
【発明の概要】
【0004】
最も総括的に言うならば、本発明は、エアロゾル生成装置のためのフィルタを提供し、このフィルタは、エアロゾル改質剤を含むカプセルを含む。好適には、エアロゾル改質剤は香味料を含んでいてもよい。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成装置のためのフィルタが提供され、このフィルタは、破壊可能なカプセルを含み、この破壊可能なカプセルは、エアロゾル改質剤、好適には香味料を含んでいる。
【0006】
本発明者らは、驚くことに、破壊可能なカプセルを使用した場合、エアロゾル生成装置の使用中においてエアロゾル改質剤の放出特性が改善されることを見出した。特に、本発明者らは、驚くことに、破壊可能なカプセルを用いてエアロゾル改質剤をカプセル化することによって、加熱中のエアロゾル改質剤の持続的な放出がもたらされることを見出した。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル生成装置のための消耗品が提供され、この消耗品は、本発明の第1の態様によるフィルタを備える。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様によるフィルタ、又は、本発明の第2の態様による消耗品を含むエアロゾル生成装置が提供される。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、使用時にエアロゾル改質剤を持続的に放出するように、エアロゾル生成装置のためのフィルタ内にエアロゾル改質剤を含む破壊可能なカプセルの使用が提供される。
【0010】
本発明のさらなる特徴や利点は、添付図面を参照してなされる、単なる例として与えられた本発明の好適な実施形態の以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】エアロゾル生成装置のための消耗品を示す図である。
図2】エアロゾル生成装置のパフ毎の香味料供給を示す図である。なお、このエアロゾル生成装置においては、タバコ材料からなるロッドに香味料が含浸され、また、カプセル化されていない香味料が用いられた。
図3】エアロゾル生成装置のパフ毎の香味料供給を示す図である。なお、このエアロゾル生成装置においては、フィルタに香味料が含浸され、また、カプセル化されていない香味料が用いられた。
図4】エアロゾル生成装置のパフ毎の香味料供給を示す図である。なお、このエアロゾル生成装置においては、フィルタと、タバコ材料からなるロッドとの両方に香味料が含浸され、また、カプセル化されていない香味料が用いられた。
図5】エアロゾル生成装置のパフ毎の香味料供給を示す図である。なお、このエアロゾル生成装置においては、図1に示されるように、香味料を含有するカプセルをフィルタ内に有するものとした。他の香味料は用いられていない。
図6】エアロゾル生成装置のパフ毎の香味料供給を示す図である。なお、このエアロゾル生成装置においては、図1に示されるように、香味料を含有するカプセルをフィルタ内に有するものとした。また、香味料はタバコ材料からなるロッドにも含浸されている。
図7】ニコチン、グリセロール及びメントールの供給時における、メントールを含有するカプセルをフィルタ内に有する場合の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、水又は香味料のような、カプセル化されていない揮発性エアロゾル改質剤が、非燃焼性エアロゾル生成製品の使用中、すぐに揮発し、結果として、エアロゾル改質剤がすぐに消費され、製品の使用中にわたり均一に供給されない可能性があることを見出した。驚くべきことに、エアロゾル改質剤を含有する破壊可能なカプセルが入っていることは、カプセルが使用前に壊されたとしても、カプセル化されていないエアロゾル改質剤と比較してエアロゾル改質剤の放出特性を改善することを、本発明者らは見出した。この効果を示すデータは、実施例に見ることができる。
【0013】
改善された放出特性は、持続放出特性とも称される。
【0014】
本発明は、エアロゾル生成装置に用いるためのフィルタを提供するものであり、このフィルタは破壊可能なカプセルを含み、破壊可能なカプセルは、エアロゾル改質剤、好適には香味料を含む。フィルタは、セルロース系材料、セラミック材料、ポリマー及び/又は活性炭を含んでもよい。セラミック材料の適切な例としては、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、炭化チタン及び二酸化ジルコニウム(ジルコニア)等がある。
【0015】
フィルタは、第1の端部及び第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間に延在する複数の貫通穴とを含むロッドを備えるものとすることができる。
【0016】
いくつかの場合、使用者の吸引時におけるフィルタの端から端までの圧力差は、カプセルが壊されていない状態にある場合、30~90mmHOの範囲内にある。本発明者らは、この範囲内の圧力差が特に適切であると判断した。なぜなら、この範囲内の圧力差は、(a)カプセルが壊れた後にエアロゾル改質剤をフィルタ内に保持し、それにより時間全体にわたって持続的な放出をもたらすのに十分なほど高く、また(b)エアロゾルにフィルタを通過させて、許容可能な消費体験を提供するのに十分なほど低いからである。
【0017】
適切には、フィルタの端から端までの圧力差は、カプセルが壊されていない状態にある場合、約30mmHO、33mmHO、35mmHO、38mmHO又は40mmHOから、約90mmHO、75mmHO、65mmHO、60mmHO、55mmHO又は50mmHOまでの範囲内であるのがよい。具体的には、カプセルが壊されていない状態にあるときのフィルタの端から端までの圧力差は、約35~60mmHO、好ましくは38~55mmHO又は40~50mmHOの範囲内であるとよい。
【0018】
フィルタの端から端までの圧力差は、トウの形状、先端当たりのトウの質量、フィルタの寸法、可塑剤の有無、及び存在する場合には可塑剤の性質と量等を含む多数のパラメータによって影響される。トウは、セルロースアセテートから形成され、8Y1500グレード及び/又は9.5Y1200グレードであるとよい。
【0019】
フィルタは、棒状の形状、好適には円筒形である。フィルタは、長さが約8~14mm、好適には9~13mm又は10~12mmである。フィルタは、約5~9mm、好適には7.5~8mmの断面直径を有することができる。フィルタは、セルロースアセテート繊維から形成されることができる。トリアセチンなどの可塑剤を含んでいてもよい。トウは、例えば、Y字形断面、X字形断面又は丸形断面であってもよい。
【0020】
いくつかの場合、フィルタには一つのカプセルのみが含まれる。他の場合には、フィルタには複数のカプセルが含まれる。フィルタが複数のカプセルを含む場合、個々のカプセルは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、カプセルをいつ壊すか、また壊すかどうかを使用者が選択できるようにし、それによってエアロゾル供給特性を制御するよう、複数のカプセルが設けられてもよい。
【0021】
破壊可能なカプセルはコアシェル構造を有する。すなわち、カプセル化用材料又はバリア材料が、エアロゾル改質剤を含むコアの周りにシェルを形成する。
【0022】
シェル構造は、エアロゾル生成装置の保管中にエアロゾル改質剤の移動を妨げるが、使用中にはエアロゾル改質剤の制御された放出を可能にする。
【0023】
いくつかの場合、バリア材料(本書ではカプセル化用材料とも称する)は壊れ易い。カプセルは、カプセル化されたエアロゾル改質剤を放出するために、使用者によって潰されるか、そうでなければ破砕され又は破壊される。典型的には、加熱が開始される直前にカプセルが壊されるが、使用者はいつエアロゾル改質剤を放出するかを選択することができる。「破壊可能なカプセル」という語は、シェルを圧力によって壊してコアを解放(放出)することができるカプセルをいう。より具体的には、使用者がカプセルのコアを解放したいときに、使用者の指によって加えられる圧力の下でシェルを破裂させることができる。
【0024】
いくつかの場合、バリア材料は耐熱性である。すなわち、いくつかの場合、エアロゾル生成装置の動作中にカプセルの部位に達する温度でバリアが破裂したり、溶融したり、他の方法で破損したりすることがない。具体的には、フィルタ内に配置されたカプセルは、例えば30℃~100℃の範囲の温度に曝されてもよく、バリア材料は、液体のコアを少なくとも約50℃~120℃まで保持し続けることができる。
【0025】
他の場合には、カプセルは、例えばバリア材料の溶融によって、又はバリア材料の破裂に至るカプセルの膨張によって、加熱時にコア組成物を放出する。
【0026】
カプセルの全重量は、約1mg~約100mg、好適には約5mg~約60mg、約10mg~約50mg、約15mg~約40mg、又は約15mg~約30mgの範囲内にあるとよい。
【0027】
コア製剤の全重量は、約2mg~約90mg、好適には約3mg~約70mg、約5mg~約25mg、約8mg~約20mg、又は約10mg~約15mgの範囲内にあるとよい。
【0028】
本発明によるカプセルは、上述したようなコアと、シェルとを備える。カプセルは、約4.5Nから約40N又は約25Nまでの破壊強度を有するとよい。
【0029】
カプセルは略球形とすることができ、少なくとも約0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、2.8mm又は3.0mmの直径を有する。カプセルの直径は、約10.0mm、8.0mm、7.0mm、6.0mm、5.5mm、5.0mm、4.5mm、4.0mm、3.5mm又は3.2mmよりも小さくてもよい。具体的には、カプセルの直径は、約0.4mm~約10.0mm、約0.8mm~約6.0mm、約2.5mm~約5.5mm、又は約2.8mm~約3.2mmの範囲内とすることができる。いくつかの場合、カプセルの直径は約3.0mmであってもよい。これらのサイズは、エアロゾル生成装置へのカプセルの組込みに特に適している。
【0030】
バリア材料は、ゲル化剤、増量剤、緩衝剤、着色剤及び可塑剤のうちの一つ以上を含むことができる。
【0031】
好適には、ゲル化剤は、例えば、多糖類又はセルロース系ゲル化剤、ゼラチン、ガム、ゲル、ワックス又はそれらの混合物である。適切な多糖には、アルギネート、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン及びペクチン等がある。適切なアルギネートには、例えば、アルギン酸塩、エステル化アルギネート又はグリセリルアルギネート等がある。アルギン酸塩には、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミン、並びに、アルギン酸ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのような第I属又は第II属の金属イオンアルギネートがある。エステル化アルギネートには、プロピレングリコールアルギネートやグリセリルアルギネートが含まれる。一実施形態では、バリア材料は、アルギン酸ナトリウム及び/又はアルギン酸カルシウムである。好適なセルロース系材料には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート及びセルロースエーテルが含まれる。ゲル化剤は、一つ以上の改質されたデンプンを含むことができる。ゲル化剤は、カラギーナンを含んでもよい。適切なガムとしては、寒天、ジェランガム、アラビアゴム、プルランガム、マンニタンガム、ガティガム、トラガカントガム、カラヤ、ローカストビーン、アカシアゴム、グアー、クインスシード及びキサンタンガムが挙げられる。適切なゲルには、寒天、アガロース、カラギナン、フルオラン及びフルセララン等がある。適切なワックスとしては、カルナウバワックスが挙げられる。いくつかの場合、ゲル化剤は、カラギーナン及び/又はジェランガムを含み、これらのゲル化剤は、得られるカプセルを壊すのに必要な圧力が特に適切であるため、ゲル化剤として包むことが特に適している。
【0032】
バリア材料は、デンプン、変性デンプン(例えば、酸化デンプン)及び糖アルコール(例えば、マルチトール)等の一つ以上の増量剤を含んでもよい。
【0033】
バリア材料は、エアロゾル生成装置の製造プロセス中にエアロゾル生成装置内のカプセルの位置を容易に表す着色料を含むことができる。着色料は、好ましくは、着色剤と顔料とから選択される。
【0034】
バリア材料は、クエン酸塩化合物又はリン酸塩化合物等の少なくとも一つの緩衝剤をさらに含んでもよい。
【0035】
バリア材料は、可塑性を有するグリセロール、ソルビトール、マルチトール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又は他のポリアルコール等の少なくとも一つの可塑剤を備えてもよく、任意選択的ではあるが、一酸型、二酸型又は三酸型の一つの酸、特にクエン酸、フマル酸、リンゴ酸等をさらに備えてもよい。可塑剤の量は、シェルの全乾燥重量の1重量%~30重量%、好ましくは2重量%~15重量%、さらに好ましくは3重量%~10重量%の範囲である。
【0036】
バリア材料はまた、一つ以上の充填剤を含むことができる。好適な充填剤としては、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(アルファ、ベータ又はガンマ)等のデンプン誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリオール又はそれらの混合物が含まれる。デキストリンが好ましい充填剤である。シェル中の充填剤の量は、シェルの全乾燥重量に対して98.5重量%以下、好ましくは25~95重量%、より好ましくは40~80重量%、さらに好ましくは50~60重量%である。
【0037】
カプセルのシェルは、水分誘発による分解に対するカプセルの感受性を低下させる疎水性外層をさらに含んでもよい。疎水性外層は、ワックス、特にカルナウバワックス、カンデリラワックス又は蜜ろう、カーボワックス、シェラック(アルコール溶液又は水溶液におけるもの)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ラテックス組成物、ポリビニルアルコール、又はそれらの組み合わせを含む。より好ましくは、少なくとも1つの水分バリア剤は、エチルセルロース、又はエチルセルロースとシェラックの混合物である。
【0038】
カプセルのコアは、エアロゾル改質剤を含む。このエアロゾル改質剤は、エアロゾルの少なくとも一つの特性を改質ないしは改変する任意の揮発性物質であり得る。例えば、エアロゾル物質は、pH、感覚的特性、含水量、送達特性又は香味を改変する。いくつかの場合、エアロゾル改質剤は、酸、塩基、水又は香味料から選択され得る。いくつかの実施形態において、エアロゾル改質剤は、一つ以上の香味料を含む。
【0039】
本書で使用される場合、「香料」、「香味剤」及び「香味料」という用語は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りをつけるために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料のことをいう。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油等)、香味強化剤、苦味収容体部位遮断剤、感覚収容体部位活性化剤若しくは感覚収容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、或いはこれらの混合物であってもよい。これらは、香味蒸気を発することのできる、油、液体又は粉末等、任意の適切な形態をとることができる。
【0040】
香味料は、好適には、カンゾウ、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ミントフレーバーペ、好適にはパーミント油及び/又はスペアミント油のようなハッカ属の任意の種からのハッカ油からのメントール及び/又はミント油又はラベンダー、ウイキョウ又はアニスであり得る。
【0041】
いくつかの場合、香味料はメントールを含む。
【0042】
いくつかの場合、カプセルは、少なくとも約25%w/wの香味料(カプセルの全重量に基づく)、適切には少なくとも約30%w/wの香味料、35%w/wの香味料、40%w/wの香味料、45%w/wの香味料又は50%w/wの香味料を含む。
【0043】
いくつかの場合、コアは、少なくとも約25%w/wの香味料(コアの全重量に基づく)、適切には少なくとも約30%w/wの香味料、35%w/wの香味料、40%w/wの香味料、45%w/wの香味料又は50%w/w香味料を含む。いくつかの場合、コアは、約75%w/w以下の香味料(コアの全重量に基づく)、適切には約65%w/w以下の香味料、55%w/w以下の香味料、又は50%w/w以下の香味料を含む。具体的には、カプセルは、25~75%w/wの範囲の量の香味料(コアの全重量に基づく)、約35~60%w/wの範囲の量の香味料又は約40~55%w/wの範囲の量の香味料を含むものとすることができる。
【0044】
カプセルは、少なくとも約2mg、約3mg又は約4mgのエアロゾル改質剤、適切には少なくとも約4.5mgのエアロゾル改質剤、5mgのエアロゾル改質剤、5.5mgのエアロゾル改質剤又は6mgのエアロゾル改質剤を含み得る。
【0045】
いくつかの場合、消耗品は、少なくとも約7mgのエアロゾル改質剤、適切には少なくとも約8mgのエアロゾル改質剤、10mgのエアロゾル改質剤、12mgのエアロゾル改質剤又は15mgのエアロゾル改質剤を含む。
【0046】
コアはまた、エアロゾル改質剤を溶かす溶剤を含んでもよい。適切な溶剤ならばどのようなものでも用いることができる。
【0047】
エアロゾル改質剤が香味料を含む場合、溶剤は、適切には、短鎖又は中鎖の油脂を含み得る。例えば、溶剤は、C-C12トリグリセリド、好適にはC~C10トリグリセリド又はC~C12トリグリセリド等のグリセロールのトリエステルを含むことができる。例えば、溶剤は、パーム油及び/又はヤシ油に由来し得る中鎖トリグリセリド(MCT-C-C12)を含み得る。
【0048】
エステルは、カプリル酸及び/又はカプリン酸で形成することができる。例えば、溶剤は、カプリル酸トリグリセリド及び/又はカプリン酸トリグリセリドである中鎖トリグリセリドを含み得る。例えば、溶剤は、番号73398-61-5、65381-09-1、85409-09-2のCAS登録番号で同定された化合物を含み得る。このような中鎖トリグリセリドは無味無臭である。
【0049】
溶媒の親水性-親油性バランス(HLB)は、9~13、適切には10~12の範囲内であり得る。
【0050】
カプセルを作製する方法としては共押出法があり、任意選択的ではあるが、この共押出に続いて遠心分離及び硬化及び/又は乾燥が行われる。国際公開第2007/010407号パンフレットの内容は、その全体が参照により援用される。
【0051】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるフィルタを含むエアロゾル生成装置用の消耗品を提供するものである。この消耗品は、エアロゾル生成装置用のカートリッジと称されることもある。
【0052】
いくつかの場合、消耗品は、本発明の第1の態様によるフィルタと、一つ以上のエアロゾル生成剤及びタバコ材料のうち一つ以上とを含む。一般に、フィルタは、タバコ材料及び/又はエアロゾル生成剤の下流に置かれ、使用時に生成されるエアロゾルが、フィルタを通過する間にエアロゾル改質剤によって改質されるようになっている。
【0053】
いくつかの場合、消耗品は、本発明の第1の態様によるフィルタと、エアロゾル発生剤、香味料(任意のカプセル化された香味料の他のものとして)及びタバコ材料のうちの一つ以上を含む。
【0054】
いくつかの場合、消耗品にはカプセルが一つだけ含まれる。他の場合には、消耗品は複数のカプセルを含む。消耗品が複数のカプセルを含む場合、個々のカプセルは全てフィルタ内に設けられてもよく、消耗品全体に分布されてもよい。例えば、フィルタ内に一つのカプセルが存在し、消耗品のタバコ部分にもう一つのカプセルが存在するようにしてもよい。消耗品が複数のカプセルを含む場合、個々のカプセルは互いに同じものであっても異なるものでもよい。例えば、カプセルをいつ壊すか、どのカプセルを壊すかを使用者が選択し、それによって香味特性を制御することができるよう、複数のカプセルを設けてもよい。
【0055】
図1に示すように、消耗品10は略円筒形であってもよい。消耗品10は、第1の端部2に向かってタバコロッド1を含み、第2の端部4に向かってフィルタ3を含み得る。第2の端部4は吸い口端部である。タバコロッド1はタバコ材料を含む。カプセル5は、消耗品10内でフィルタ3内に配置されている。フィルタは、セルロースアセテートから形成され得る。被覆紙6は、構成要素を円筒形状に保持し、タバコロッド1とフィルタ3との間に通路7を形成する。フィルタ3と第2の端部4との間にさらに短い通路があるものとして示されている。これは、別の実施形態では省略することができる。
【0056】
いくつかの場合、タバコロッド1の長さは34mm~50mmであり、より好ましくはタバコロッド1の長さは38mm~46mmであり、さらに好ましくはタバコロッド1の長さは42mmである。
【0057】
いくつかの場合、消耗品10の全長は71mm~95mmであり、より好ましくは79mm~87mmであり、さらに好ましくは消耗品10の全長は83mmである。
【0058】
被覆紙6は、消耗品の第2の端部4から第1の端部2まで延びている。あるいは、被覆紙6は、第2の端部4から、第2の端部4の近い側のタバコロッド1の端部に達するようにしてもよい。いくつかの場合、被覆紙6は、長さが42mm~50mm、好適には46mmとすることができる。
【0059】
いくつかの場合、フィルタの長さは8mm~14mmであり、適切には9mm~13mm、又は10mm~12mmである。
【0060】
いくつかの場合、フィルタ3と第2の端部4との間の短い通路は、長さが3mm~7mm、適切には4mm~6mmである。この短い通路及びフィルタの全長は、いくつかの場合、約15mm~約17mmが適切である。
【0061】
いくつかの場合、カプセルは、フィルタの中心に配置され得る。すなわち、カプセルは、フィルタの長さに沿って概ね半分の位置に配置され得る。
【0062】
いくつかの場合、通路7は少なくとも15mmである。場合によっては、通路7の長さは、20mm~30mmであり、より詳細には23mm~27mmであり、より詳細には25mm~27mmであり、より具体的には25mmである。この通路7は、タバコロッドの揮発成分をエアロゾルから凝縮させることができる。通路7は、感熱フィルタ及びカプセルが受ける温度を制限し、これらの構成要素の損傷を防止するために設けられ得る。
【0063】
別の実施形態では、略円筒形の消耗品は、フィルタのすぐ隣の部分にタバコロッドを有することができる。フィルタの、タバコロッドとは反対側に通路を設けてもよいし、通路を設けなくてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、消耗品内で、タバコロッドに隣接して又はタバコロッド内に一つ以上の追加のカプセルを配置してもよい。
【0065】
消耗品は、吸引可能なエアロゾルを形成すべく加熱され得るように、使用時にエアロゾル生成装置内に少なくとも部分的に挿入される。消耗品は、エアロゾル生成装置に挿入される被加熱部分と、エアロゾル生成装置から突出する吸い口部分であって、吸引されるエアロゾルが通過する吸い口部分とを含むことができる。吸い口部分はヒータによって直接加熱されることはない。いくつかの場合、カプセルは、フィルタ内の吸い口部分に設けられてもよい。場合によっては、被加熱部分にカプセルを設けてもよい。
【0066】
空気が外部から消耗品10の内部に流入できるように、消耗品10には通気領域(図示せず)を設けることができる。ある場合には、通気領域は、消耗品10の外層を貫通して形成された一つ以上の通気孔の形態をとる。通気孔は、使用中のエアロゾルの冷却を助けるために、通路7内に配置することができる。一例では、通気領域は、一つ以上の列の穴を備え、好ましくは、各列の穴は、消耗品10の長手方向軸線に実質的に垂直な断面において、消耗品10の周りに周方向に配置される。
【0067】
一例では、消耗品10に通気性を与えるために、1列~4列の通気孔が設けられる。通気穴の各列は、12~36の通気穴を有することができる。通気穴は、例えば、直径が100μm~500μmである。一例では、通気穴の列間の軸線方向間隔は0.25mm~0.75mmであり、より好ましくは0.5mmである。
【0068】
一例では、通気穴は一定の大きさである。別の例では、通気穴のサイズは区々である。通気穴は、任意の適切な技術、例えば以下の技術:レーザ技術、通路7の壁の機械的穿孔、又は消耗品が形成される前における通路7の壁の事前穿孔のうちの一つ以上を用いて行うことができる。通気穴は、消耗品10を効果的に冷却するように配置される。
【0069】
一例では、通気穴の列は、消耗品10の第2の端部4から少なくとも11mmの位置に配置され、より好ましくは、通気穴は、消耗品10の第2の端部4から17mm~20mmの間に配置される。通気穴の位置は、消耗品10が使用されているときに使用者が通気穴を塞がないように位置決めされる。
【0070】
通気孔の列を消耗品10の第2の端部4から17mm~20mmの間に設けることによって、使用時にエアロゾル生成装置の外部に通気穴を配置することを可能にすることが有効である。通気穴を装置の外部に配置することによって、加熱されていない空気は、使用時にエアロゾルの冷却を助けるために通気穴を通して消耗品10に流入することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、フィルタ及びタバコは、別々にエアロゾル生成装置に挿入されてもよい。装置は、フィルタがマウスピース部分にあり、タバコが被加熱部分にあるように構成されてもよい。
【0072】
使用後、消耗品及び/又はフィルタは取り出され、典型的には廃棄される。その後にエアロゾル生成装置を使用する場合は、別の消耗品を使用する。
【0073】
本書で使用される場合、「エアロゾル生成装置」という用語は、非燃焼性の装置をいう。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成装置は、非燃焼・加熱式製品又はタバコ加熱装置としても知られているいわゆるタバコ加熱製品であり、これは、固体又は半固体の基体材料を燃焼させることなく加熱することによって化合物を放出する。カプセルは、そのような装置の動作温度でエアロゾル改質剤(香味料等)を放出するように構成される。
【0074】
カプセルを含むフィルタに加えて、タバコ加熱製品は、エアロゾル生成剤、香味料(任意のカプセル化された香味料の他のものとして)、タバコ材料及びさらなるカプセルのうちの一つ以上をさらに含み得る。さらなるカプセルは、フィルタ内にあってもよく、タバコ加熱製品の別の部分にあってもよい。
【0075】
タバコ加熱製品は、一つ以上の基材チャンバ、ヒータ及び冷却チャンバを含むことができる。使用中に燃焼されないが加熱される基体材料は、基材チャンバ内に設けられる。基材チャンバは、使用時にヒータによって加熱され、基材成分が気化される。
【0076】
いくつかの場合、フィルタは基材チャンバ内に設けられてもよい。場合によっては、フィルタは冷却チャンバ内に設けられ得る。
【0077】
一実施形態において、ヒータは、基材チャンバの周りに配置され、使用中に基材が加熱されるオーブンタイプの構成を形成する。
【0078】
冷却チャンバは、使用時に熱にさらされない。一つ以上の気化された成分は、冷却チャンバ内で凝縮してエアロゾルを形成する。いくつかの実施形態では、冷却チャンバは、図1に示す通路7であってもよい。冷却チャンバは、エアロゾル生成装置の吸い口部分内にあってもよく、吸い口部分は、ヒータに露出されていなくてもよい。生成されたエアロゾルは、使用時、吸い口部分を通して吸引される。いくつかの場合、フィルタは冷却チャンバ内に設けられて、エアロゾル改質剤(壊れたカプセルから放出されたもの)が、加熱された基材から形成されたエアロゾルの残留熱によって揮発されてもよい。
【0079】
いくつかの場合、フィルタは基材チャンバ内に設けられてもよい。フィルタは、カプセルの内容物が使用時にヒータによって直接加熱されるように、基材チャンバ内に含まれてもよい。
【0080】
いくつかの場合、エアロゾル生成装置は一つのカプセルのみを含む。場合によっては、複数のカプセルが存在することもあり、各カプセルのコア組成物が異なってもよい。
【0081】
本書で使用される場合、「エアロゾル生成剤」という用語は、エアロゾルの生成を促進する薬剤をいう。エアロゾル生成剤は、吸引可能な固体及び/又は液体のエアロゾルへの気体の初期蒸発及び/又は凝縮を促進することによって、エアロゾルの生成を促進することができる。
【0082】
適切なエアロゾル発生剤には、ポリオール(ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールのようなグリコール等)、及び、非ポリオール(一価アルコール、高沸点炭化水素、乳酸のような酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸塩又はトリエチルシトラートのようなエステル、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル及びテトラデカン二酸ジメチル等の脂肪族カルボン酸エステル等)を含むが、これに限定されない。
【0083】
本書で使用される場合、「タバコ材料」という用語は、タバコ又はその派生物を含むあらゆる材料をいう。「タバコ材料」という用語は、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの一つ以上を含むことができる。タバコ材料は、粉砕タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコの茎及び/又は再生タバコのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0084】
タバコ材料を製造するために使用されるタバコは、バージニア及び/又はバーリー及び/又はオリエンタルを含む、例えば単一グレード又はブレンド、カットラグ又は全葉のような任意の適切なタバコであり得る。それはまた、たばこ粒子の「微細物」又は粉末、膨張タバコ、茎、膨張茎、及びカットロールされた茎のような他の加工茎材料等であり得る。タバコ材料は、粉砕タバコ又は再生タバコ材料であってもよい。再生タバコ材料は、タバコ繊維を含むことができ、キャスティング、タバコ抽出物の逆添加を伴う長網抄紙式手段、又は押出成形によって形成することができる。
【実施例
【0085】
図2図6はそれぞれ、メントール香味剤を加えたタバコ加熱製品に関する。時間プロファイルの各ピークは1回のパフに対応し、各パフのニコチン及びメントールの量はTOF質量分析によって検出された。各図において、上側の記録はメントールであり、下側の記録はニコチンである。
【0086】
図2では、タバコ材料のロッドにメントールを含浸させた。カプセル化されていないメントールが使用された。したがって、これは比較例を表す。
【0087】
メントールによるタバコロッドの含浸は、例えば、メントール溶液をロッドに噴霧することによって、又はロッドに溶液を注入することによって達成することができる。
【0088】
初期のパフではメントールの実質的な供給が検出されたが、後のパフではメントールの量が減少し、大幅に減少したことが分かる。
【0089】
図3では、フィルタにメントールを含浸させた。また、カプセル化されていないメントールが使用された。したがって、これは比較例を表す。
【0090】
メントールによるフィルタの含浸は、例えば、製造プロセス中にプロピレングリコール中に溶解したメントールを含めることによって達成され得る。
【0091】
初期のパフでは、メントールの実質的な供給が検出されたが、後のパフではメントールの量が減少し、大幅に減少したことが分かる。
【0092】
図4では、フィルタとタバコ材料のロッドの両方にメントールを含浸させた。カプセル化されていないメントールが使用された。したがって、これは比較例を表す。
【0093】
初期のパフでは、メントールの実質的な供給が検出されたが、後のパフではメントールの量が減少し、大幅に減少したことが分かる。
【0094】
図5では、図1に示すように、メントールを含有するカプセルがフィルタ内に含まれていた。他のメントールは含まれていなかった。
【0095】
メントールの供給は、製品の使用時間全体にわたって持続していたことが分かる。相当な量のメントールが各パフで供給されていた。
【0096】
図6では、図1に示すように、メントールを含有するカプセルがフィルタ内に含まれていた。メントールはまた、タバコ材料のロッドにも含浸された。
【0097】
メントールの供給は、製品の使用時間全体にわたって持続していたことが分かる。相当な量のメントールが各パフで供給されていた。
【0098】
図5及び図6から、エアロゾル改質剤(メントール)の持続的な供給がカプセル化によってもたらされることが分かる。カプセルがフィルタ内に配置されることと、図3及び図4に見られるように、メントール化されたフィルタは同じ持続的な放出を与えないこととを特に考慮すると、これは驚くべきことである。
【0099】
図7は、メントール、ニコチン及びグリセロールの供給に関し、消耗品のフィルタに、メントールを含有するカプセルを含めることの効果を示している。
【0100】
それぞれの場合において、各成分の全供給は、30秒間隔で8回の55mLのパフが行われるパフ法を用いて検出された。各パフは2秒間続けられた。
【0101】
各場合において、フィルタはセルロースアセテートを含み、各パフにおけるフィルタの端から端までの圧力差は42mmHOであった。メントールを含有するカプセルを試料1及び試料2用のフィルタに含めた。カプセルはこれら二つの試料の間で異なっていた。
【0102】
フィルタにカプセルを含めると、ニコチン及びグリセロールの供給がわずかに低下することが分かる。試料1及び試料2において供給されるこれらの成分の量はコントロール試料よりも少ないが、消費者にとって許容できる体験とするのに十分なほど高いものである。
【0103】
ニコチン及びグリセロールの供給は、カプセルの破壊時には損なわれず、カプセル化されたメントールの実質的な供給が達成されることも理解され得る。
【0104】
本書で説明される様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるためにのみ提示されている。これらの実施形態は、実施形態の代表例としてのみ提供されており、網羅的及び/又は限定的なものではない。本書で説明される利点、実施形態、例、機能、特徴、構造及び/又は他の側面は、請求項で定義された本発明の範囲を制限するもの、あるいは請求項の均等物に対する制限と考えられるべきではないこと、ならびに特許請求する発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態が使用されてもよく、変更が行われてもよいことを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書で具体的に説明したもの以外の、開示されている要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段等の適切な組み合わせを適切に含んでも、これらのみからなっていても、あるいは実質的にこれらのみからなっていてもよい。また、本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載され得る他の発明を含み得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7