IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スミス アンド ネフュー ピーエルシーの特許一覧

特許7286626センサ対応の創傷治療被覆材およびサイバーセキュリティを実施するシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】センサ対応の創傷治療被覆材およびサイバーセキュリティを実施するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20230529BHJP
   A61M 27/00 20060101ALI20230529BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A61F13/02 D
A61M27/00
A61B5/00 102C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020514163
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018074200
(87)【国際公開番号】W WO2019048638
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】62/556,504
(32)【優先日】2017-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/556,505
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/586,833
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】1718870.7
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイジャー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ダミアン・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・クラレンス・キンタナル
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ローソン・スミス
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット・アーウィン
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0298928(US,A1)
【文献】国際公開第2015/168720(WO,A1)
【文献】特表2015-510291(JP,A)
【文献】特開2012-160851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/02
A61M 27/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、前記創傷または傷創のうちの少なくとも1つの測定データを取得するように構成された1つ以上のセンサを含む、創傷被覆材と、
コントローラであって、
非リアルタイムクロックを示すデバイスクロックを発生させ、
前記1つ以上のセンサによって取得された測定データを受信し、
セキュリティプロトコルに従って、測定データをリモートコンピューティングデバイスに送信する、
ように構成された、コントローラと、
を備え、
前記セキュリティプロトコルが、前記測定データに関連付けられている前記デバイスクロックを前記送信に含ませる、装置。
【請求項2】
前記創傷被覆材が、1つ以上の前記センサを支持する実質的に可撓性の創傷接触層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記セキュリティプロトコルが、前記測定データを暗号化することをさらに含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記セキュリティプロトコルが、前記測定データに関連付けられている患者識別情報またはリアルタイムクロック情報を前記送信に含めないことをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記関連するデバイスクロックデータを伴う前記測定データの送信は、前記リモートコンピューティングデバイスが、前記デバイスクロックデータを用いて前記測定データをリアルタイムクロックデータと相関させることを引き起こす、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが、初期化中に、初期デバイスクロックデータを前記リモートコンピューティングデバイスに送信するようにさらに構成されており、
前記関連するデバイスクロックデータを伴う前記測定データの送信は、前記リモートコンピューティングデバイスが、前記初期デバイスクロックデータと前記測定データに関連付けられているデバイスクロックデータとの比較に基づいて、前記初期送信に対する経過時間を決定することを引き起こす、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、電力が前記コントローラに供給されたときに、前記デバイスクロックを維持するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラが、ゼロ、乱数、または一意の数から計数することによって、前記デバイスクロックを維持するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
電力遮断に応答して、前記コントローラが、前記電力遮断前の以前のデバイスクロック値から前記デバイスクロックを再確立するようにさらに構成されている、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
創傷監視および/または療法システムであって、
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置と、
前記装置の前記コントローラに接続されるように構成され、前記コントローラから定期的にデータを受信するようにさらに構成された通信デバイスと、
前記通信デバイスに接続されるように構成されたコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスが、前記通信デバイスからデータを受信するようさらに構成され、前記コンピューティングデバイスが、前記コンピューティングデバイスからのデータを受信および集計するように構成された別のリモートコンピューティングデバイスに接続されるようにさらに構成されている、コンピューティングデバイスと、を備える、創傷監視および/または療法システム。
【請求項11】
前記創傷または傷創のうちの少なくとも1つの1つ以上の画像を取得するように構成された別のコンピューティングデバイスをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記別のコンピューティングデバイスが、1つ以上の前記画像を別のリモートコンピューティングデバイスに通信するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記創傷被覆材が、前記測定データを前記コントローラまたは通信デバイスのうちの少なくとも1つに通信するように構成されたアンテナをさらに含む、請求項10~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
患者の標的領域内の皮膚灌流圧力を測定するように構成された皮膚灌流測定デバイスをさらに備え、前記コンピューティングデバイスが、前記灌流測定デバイスに接続され、かつ前記灌流測定デバイスからデータを受信するようにさらに構成されている、請求項10~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記通信デバイスが、近距離無線通信(NFC)プロトコルを使用して前記コントローラに接続されるように構成されている、請求項10~14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月10日出願の米国特許出願第62/556,504号、2017年9月11日出願の米国特許出願第62/556,505号、2017年11月15日出願の米国特許出願第62/586,833号、および2017年11月15日出願の英国特許出願第1718870.7号に対する優先権を主張し、それらの各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、様々な療法方法と通信するセンサ対応の監視を介した組織の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
医療のほぼすべての領域が、特に治療中にこのような情報がリアルタイムで収集される場合、治療される組織、器官、またはシステムの状態に関する改善された情報から恩恵を受ける可能性がある。多くのタイプの治療は、センサデータ収集の使用なしに依然として日常的に実施されるが、代わりに、こうした治療は、定量的センサデータではなく、介護者またはその他の限定的手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材および/または陰圧創傷療法を介した創傷治療の場合、データ収集は一般的に介護者による目視検査に限定され、また多くの場合、下にある創傷組織は包帯またはその他の視覚障害物によって遮られうる。損傷を受けていない無傷の皮膚でさえ、潰瘍につながりうる血管損傷または深部組織損傷など、裸眼には見えない潜在的な損傷を有しうる。創傷治療と同様に、ギプスまたはその他の覆いで肢の固定化を必要とする整形外科処置中も、限定された情報のみしか下層組織について収集されない。骨プレートなどの内部組織修復の場合、継続的な直接センサ駆動データ収集は実施されない。さらに、筋骨格機能を保持するために使用される留め具および/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または肢の動きを監視しない。直接処置の外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室のアイテムが改善されうる。
【0004】
したがって、特に既存の治療方法に組み込むことができるセンサ対応の基材の使用を通じて、改善されたセンサ監視へのニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、創傷監視および/または療法装置は、創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、創傷被覆材は、創傷または傷創のうちの少なくとも1つの測定データを取得するように構成された1つ以上のセンサを含む、創傷被覆材と、コントローラであって、非リアルタイムクロックを示すデバイスクロックを維持すること、1つ以上のセンサによって取得された測定データを受信すること、およびセキュリティプロトコルに従って、測定データをリモートコンピューティングデバイスに送信することであって、セキュリティプロトコルが、測定データに関連付けられているデバイスクロックを送信に含む、送信すること、を行うように構成された、コントローラと、を含む。
【0006】
先行する段落に記載の装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含みうる。創傷被覆材は、1つ以上のセンサを支持する、実質的に可撓性の創傷接触層を含みうる。セキュリティプロトコルは、測定データを暗号化することをさらに含みうる。セキュリティプロトコルは、測定データに関連付けられている患者識別情報またはリアルタイムクロック情報を送信に含めないことをさらに含みうる。関連するデバイスクロックデータを伴う測定データの送信は、リモートコンピューティングデバイスが、デバイスクロックデータを利用して測定データをリアルタイムクロックデータと相関させることを引き起こしうる。コントローラは、初期化中に初期デバイスクロックデータをリモートコンピューティングデバイスに送信するようにさらに構成されてもよく、関連するデバイスクロックデータを伴う測定データの送信は、リモートコンピューティングデバイスが、初期デバイスクロックデータと測定データに関連付けられているデバイスクロックデータとの比較に基づいて、最初の送信に対する経過時間を決定することを引き起こしうる。コントローラは、電力がコントローラに供給されたときに、デバイスクロックを維持するように構成されうる。コントローラは、ゼロ、乱数、または一意の数から計数することによってデバイスクロックを維持するように構成されうる。電力遮断に応答して、コントローラが、電力遮断前の以前のデバイスクロック値からデバイスクロックを再確立するようにさらに構成されうる。
【0007】
いくつかの実施形態では、創傷監視および/または療法システムは、先行する段落のいずれか1つに記載の装置と、装置のコントローラに接続されるように構成され、コントローラから定期的にデータを受信するようにさらに構成されている通信デバイスと、通信デバイスに接続されるように構成されたコンピューティングデバイスであって、コンピューティングデバイスが、通信デバイスからデータを受信するようさらに構成され、コンピューティングデバイスが、コンピューティングデバイスからのデータを受信および集計するように構成された別のリモートコンピューティングデバイスに接続されるようにさらに構成されている、コンピューティングデバイスと、を含む。
【0008】
先行する段落に記載のシステムは、以下の特徴のうちの1つ以上を含みうる。システムは、創傷または傷創のうちの少なくとも1つの1つ以上の画像を取得するように構成された別のコンピューティングデバイスをさらに含みうる。コンピューティングデバイスは、1つ以上の画像を別のリモートコンピューティングデバイスに通信するようにさらに構成されうる。創傷被覆材は、測定データをコントローラまたは通信デバイスのうちの少なくとも1つに通信するように構成されたアンテナをさらに含みうる。システムは、患者の標的領域内の皮膚灌流圧力を測定するように構成された皮膚灌流測定デバイスをさらに含むことができ、コンピューティングデバイスは、灌流測定デバイスに接続され、かつ灌流測定デバイスからデータを受信するようにさらに構成されうる。通信デバイスは、近距離無線通信(NFC)プロトコルを使用してコントローラに接続されるように構成されうる。
【0009】
いくつかの実施形態では、創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材を操作する方法は、創傷被覆材が、創傷または傷創のうちの少なくとも1つの測定データを取得するように構成された1つ以上のセンサを含み、方法が、創傷被覆材に接続されるか、またはそれによって支持されるように構成されたコントローラによって、非リアルタイムクロックを示すデバイスクロックを維持すること、1つ以上のセンサによって取得された測定データを受信すること、および測定データに関連付けられているデバイスクロックを送信に含めることによって、セキュリティプロトコルに従って、測定データをリモートコンピューティングデバイスに送信すること、を含む。
【0010】
先行する段落に記載の方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を含みうる。セキュリティプロトコルは、測定データを暗号化することをさらに含みうる。セキュリティプロトコルは、測定データに関連付けられている患者識別情報またはリアルタイムクロック情報を送信に含めないことをさらに含みうる。関連するデバイスクロックデータを伴う測定データの送信は、リモートコンピューティングデバイスが、デバイスクロックデータを利用して測定データをリアルタイムクロックデータと相関させることを引き起こしうる。方法は、コントローラによって、初期化中に初期デバイスクロックデータをリモートコンピューティングデバイスに送信することをさらに含むことができ、関連するデバイスクロックデータを伴う測定データの送信は、リモートコンピューティングデバイスが、初期デバイスクロックデータと測定データに関連付けられているデバイスクロックデータとの比較に基づいて、最初の送信に対する経過時間を決定することを引き起こしうる。方法は、電力がコントローラに供給されたときに、デバイスクロックを維持することをさらに含みうる。デバイスクロックの維持は、ゼロ、乱数、または一意の数から計数することによって実施されうる。電力遮断に応答して、方法は、電源遮断前の以前のデバイスクロック値からデバイスクロックを再確立することを含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
次に、本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、例示のみを目的として以下に記載される。
【0012】
図1A】いくつかの実施形態による創傷監視および療法システムを示す。
図1B】いくつかの実施形態による創傷監視および療法システムの使用を示す。
図1C】いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
図1D】いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
図1E】いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
図1F-1】いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
図1F-2】いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
図1G】いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
図1H】いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
図2A】いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システムを示す。
図2B】いくつかの実施形態による、創傷被覆材を示す。
図3】いくつかの実施形態による、創傷被覆材に組み込まれるセンサの配置を示すセンサアレイを示す。
図4A】いくつかの実施形態による、センサアレイ部分、テール部分、およびコネクタパッド端部分を含む可撓性のセンサアレイを示す。
図4B-1】いくつかの実施形態による、異なるセンサアレイの形状を有する可撓性の回路基板を示す。
図4B-2】いくつかの実施形態による、異なるセンサアレイの形状を有する可撓性の回路基板を示す。
図4C図4Bに示されるセンサアレイのセンサアレイ部分301Bを示す。
図4D】いくつかの実施形態による、穿孔された創傷接触層に組み込まれた可撓性のセンサアレイを示す。
図4E-1】いくつかの実施形態による、制御モジュールを示す。
図4E-2】いくつかの実施形態による、制御モジュールを示す。
図4E-3】いくつかの実施形態による、制御モジュールを示す。
図5A】いくつかの実施形態による、複数の電子コンポーネントを備える創傷被覆材を示す。
図5B】いくつかの実施形態による、複数の電子コンポーネントを備える創傷被覆材を示す。
図6】いくつかの実施形態による皮膚灌流圧力決定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示される実施形態は、センサ対応の基材を用いた生物組織の監視および治療のための装置および方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織または傷害の治療またはモニタリングに限定されず、代わりに本明細書に開示されるセンサ可能な技術は、センサ有効基材から利益を得うる任意のタイプの療法に広く適用可能である。一部の実施は、診断および患者管理の両方の決定を行うために、医療提供者によって依頼されたセンサおよびデータ収集を利用する。
【0014】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、無傷なまたは損傷を受けたヒトまたは動物組織の両方の治療で使用するように構成された基材上に取り付けられたセンサの使用、またはその中に埋め込まれたセンサの使用に関する。こうしたセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、かかる情報をコンピューティングデバイスまたは介護者に送信して、さらなる治療で利用することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサは、関節炎、温度、または問題を起こしかねないおよびモニタリングを必要とし得るその他の領域を監視するための領域を含む、本体のどこにでも皮膚に取り付けられうる。本明細書に開示されるセンサは、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、例えば、デバイスの存在を示すために、X線不透過性マーカーなどのマーカーも組み込むことができる。
【0015】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用されうる。本明細書に開示されるセンサの実施形態と併用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、ズボン、パンタロン、ドレス、下着、上着、手袋、靴、帽子、およびその他の適切な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣服に溶着されるか、またはその中へと積層されうる。センサ実施形態は、衣服上に直接印刷されてもよく、および/または織物内に埋め込まれていてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も適切でありうる。
【0016】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝またはベッドパッディングに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特徴などの患者の特徴を監視することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサを含む使い捨てフィルムは、病院用寝具の上に配置され、必要に応じて除去/交換されうる。
【0017】
いくつかの実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立しているように、エネルギー収穫を組み込みうる。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の適切なエネルギー源から収穫されうる。
【0018】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医薬品を含むリハビリテーションデバイスおよび治療で利用されうる。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、支柱、スリーブ、ラップ、サポート、およびその他の適切な品目で使用されうる。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどのスポーツ機器に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、診断において有用でありうる加速度などの特徴を監視するための保護ヘルメットに組み込まれうる。
【0019】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイス、例えば、Smith & Nephew Inc.によるNAVIO外科手術システムとの協調で使用されてもよい。実施において、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイスの配置を案内するため、このような外科手術デバイスと通信しうる。一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可能性のある外科手術部位への血流を監視するか、または外科手術部位への血流がないことを確実にすることができる。さらなる外科手術データは、瘢痕化の防止を補助することおよび影響を受ける領域から遠い領域を監視するために収集されうる。
【0020】
外科手術技術をさらに支援するために、本明細書に開示されるセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、裸眼では直接見えないドレープ下の組織に関する情報を提供しうる。例えば、センサ組み込み可撓性ドレープは、改善された面積集中データ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有しうる。特定の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、フェンスを作り出して外科手術室を制限/制御することができる。
【0021】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術の評価にも利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、皮膚および潜在的な切開部位のための下にある組織を監視することによって、可能性のある外科手術部位についての情報を収集するために使用されうる。例えば、灌流レベルまたはその他の適切な特徴は、個別の患者が外科手術合併症のリスクにさらされうるかどうかを評価するために、皮膚の表面でおよび、組織内で深くモニターされうる。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、細菌感染の存在を評価し、抗菌剤の使用のための表示を提供するために使用されうる。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、褥瘡損傷および/または脂肪組織レベルを特定するなど、深部組織におけるさらなる情報を収集しうる。
【0022】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管監視で利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、心血管系の特徴を監視し、かかる情報を別のデバイスおよび/または介護者に伝達するために、皮膚に載置することができる可撓性の心血管モニターに組み込まれうる。例えば、こうしたデバイスは、パルス速度、血液の酸素化、および/または心臓の電気活性を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気活性の監視など、神経生理学的用途に利用されうる。
【0023】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性のインプラントを含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能なデバイスに組み込まれうる。こうしたセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、内部ソースはまた、こうしたインプラントのための電力を提供しうる。
【0024】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、筋肉のラクトース生成または皮膚の表面上の汗の生成など、皮膚の表面上または皮膚の表面下の生化学的活性を監視するためにも利用されうる。いくつかの実施形態では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚の水和性、皮膚の浸軟性、および/または皮膚のリッピングなど、その他の特徴を監視し得る。
【0025】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、鼻腔路内の創傷モニタリングなど、ENT関連手術からの回復を監視するために利用されうる。
【0026】
以下により詳細に記載されるように、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムでの封止などの封止を伴うセンサ印刷技術を包含しうる。こうしたフィルムは、ポリウレタンなど本明細書で説明した任意のポリマーを使用して構築されうる。センサ実施形態の封止は、局所組織、局所的な液体、およびその他の潜在的な損傷源からの電子機器の防水および保護を提供しうる。
【0027】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、以下に開示されるものなどの器官保護層に組み込まれうる。このようなセンサ組み込み器官保護層は、対象臓器を保護するとともに、器官保護層が所定位置にあって保護を提供することを確認しうる。さらに、センサ組み込み器官保護層を利用して、血流、酸素化、および器官健康のその他の適切なマーカーを監視することによって、下にある臓器を監視することができる。いくつかの実施形態では、臓器の脂肪および筋肉含有量を監視することによって、移植された臓器を監視するためにセンサ有効な器官保護層を使用しうる。さらに、臓器のリハビリの間など、移植中および移植後の臓器を監視するために、センサ有効な器官保護層を使用しうる。
【0028】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下でより詳細に開示される)またはさまざまなその他の用途に対する治療に組み込まれうる。本明細書に開示されるセンサ実施形態の追加的用途の非限定的な例としては、無傷な皮膚のモニタリングおよび治療、血流を監視するための心血管系へ用途、手足の動きおよび骨修復を監視するなどの整形外科用途、電気的衝撃を監視するなどの神経生理学的用途、および改善されたセンサ有効モニタリングから利益を得ることができる任意の他の組織、器官、システム、または状態が挙げられる。
【0029】
創傷療法
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または例えば、陰圧源および創傷被覆材コンポーネントおよび装置などを含む、減圧を伴うまたは伴わない損傷した組織(例えば、本明細書で説明した創傷など)の治療に関連しうる。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を備える、装置およびコンポーネントは、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供されうる。
【0030】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷、または損傷した組織の治療(例えば、本明細書に記載される創傷など)の防止または最小化に関連しうる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、切断、殴打、またはその他の衝撃によって引き起こされうる、典型的には皮膚が切断または損傷される生体組織に対する損傷を含みうる。創傷は、慢性または急性の傷害でありうる。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内の治癒の段階を通して移動する。慢性創傷は典型的には急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わない場合に慢性創傷になることがあり、回復が長くなる。急性から慢性創傷への移行は、患者が免疫化されることによるものでありうる。
【0032】
慢性創傷としては、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響する静脈性潰瘍(脚に発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首の潰瘍)、末梢動脈疾患、褥瘡、または、表皮水疱症(EB)を挙げることができる。
【0033】
他の創傷の例としては、腹部創傷、もしくは手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、または他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
創傷はまた、深部組織損傷も含みうる。深部組織損傷は、政府褥瘡諮問パネル(NPUAP)によって提案される用語であり、褥瘡の固有の形態を記述するものである。これらの潰瘍は、紫色褥瘡、骨張った骨の突起で悪化し傷つく可能性が高い潰瘍、などの用語で、長年、臨床医によって説明されてきた。
【0035】
創傷はまた、本明細書で説明されるように、創傷になるリスクのある組織を含みうる。例えば、リスクのある組織には、骨の隆起を覆う組織(深部組織損傷/損傷のリスクがある)または(例えば、関節置換/外科的変更/再建のため)切断される可能性のある手術前の組織(膝の組織など)を含んでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される技術を、高度な履物、患者を回転させる、オフロードする(例えば、糖尿病性足潰瘍をオフロードするなど)、感染症の治療、システミックス(systemix)、抗菌剤、抗生物質、外科手術、組織の除去、血流への影響、理学療法、運動、入浴、栄養摂取、水分補給、神経刺激、超音波、電子刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌剤などのうちの1つ以上と併用して創傷を治療する方法に関する。
【0037】
別の方法としてまたは追加的に、創傷は、局所陰圧および/または印加された陰圧の使用によって支援されていない(非陰圧療法とも呼ばれる場合もある)従来の高度な創傷ケアを使用して治療されうる。
【0038】
高度な創傷ケアは、吸収性被覆材、閉塞被覆材の使用、創傷被覆材または付属物における抗菌剤および/または清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングまたは包帯などのクッション療法または圧縮療法)の使用などを含みうる。
【0039】
いくつかの実施形態では、創傷の治癒を容易にして促進するために、創傷に被覆材を適用できる、従来的創傷ケアを使用してこうした創傷の治療を実施することができる。
【0040】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される創傷被覆材を提供することを含む、創傷被覆材を製造する方法に関する。
【0041】
開示される技術と併せて利用されうる創傷被覆材は、当該技術分野において公知の任意の被覆材を含む。本技術は、陰圧療法および非陰圧療法に適用可能である。
【0042】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、1つ以上の吸収性層(単数または複数)を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体でありうる。
【0043】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類または修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、またはゼラチンまたはその混合物を含む、被覆材層を含んでもよい。リストされたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかの創傷被覆材層を形成するために有用であることが当技術分野で公知である。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類でありうる。
【0045】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、セルロースでありうる。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物などの親水性修飾セルロースを含みうる。
【0046】
特定の実施形態では、セルロース材料は、セルロースアルキルスルホネートでありうる。硫酸アルキル置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有しうる。アルキル部分は、分枝鎖または非枝鎖状であってもよく、従って好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートでありうる。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートでありうる。アルキルスルホネート置換基は、硫酸エチルでありうる。セルロースアルキルスルホネートは、国際特許第10061225号、米国特許第2016/114074号、米国特許第2006/0142560号、または米国特許第5,703,225号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
セルロースアルキルスルホナートは、さまざまな程度の置換、セルロース骨格構造の鎖長、およびアルキルスルホナート置換基の構造を有しうる。溶解性および吸収性は置換の程度に依存し、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加すると、吸収性が増加する。
【0048】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、上部またはカバー層も含む。
【0049】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1~20、または2~10、または3~7mmでありうる。
【0050】
いくつかの実施形態では、開示される技術は、非陰圧被覆材と併せて使用されうる。創傷部位で保護を提供するのに適した非陰圧創傷被覆材は、以下を含みうる:
【0051】
創傷滲出液を吸収するための吸収層および
【0052】
使用時に吸収層によって吸収される創傷滲出液の観察を少なくとも部分的に遮断するための遮蔽要素。
【0053】
遮断要素は、部分的に半透明でありうる。
【0054】
遮断要素は、マスキング層でありうる。
【0055】
非陰圧創傷被覆材は、吸収性層を見ることができるように遮断要素内またはそれに隣接した領域をさらに含むことができる。例えば、遮断要素層は、吸収層の中央領域の上に提供され、および吸収層の境界領域上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮断要素は親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0056】
遮断要素は、三次元ニットスペーサ生地を含みうる。スペーサ生地は当業界で周知であり、ニットスペーサファブリック層を含みうる。
【0057】
遮断要素は、被覆材を変更する必要性を示すためのインジケータをさらに含みうる。
【0058】
いくつかの実施形態では、遮断要素は、少なくとも部分的に吸収性層の上に、使用中には吸収性層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0059】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするための遮断要素に複数の開口部をさらに含みうる。遮断要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するためのサイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、または被覆されうる。
【0060】
遮断要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的にマスクするように構成されうる。
【0061】
遮断要素は、50%以上の光吸収を減少させるように構成されうる。
【0062】
遮断要素は、CIEのL*値50以上、および任意に70以上を生み出すように構成されうる。いくつかの実施形態では、遮断要素は、CIEのL*値70以上を生み出すように構成されうる。
【0063】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡層、臭気抑制要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも1つをさらに含みうる。
【0064】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透明フィルムである。一般に、半透過性フィルムは500g/m/24時間以上の蒸気透過性を有する。
【0065】
半透過性フィルムは、細菌バリアでありうる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収性層が創傷接触層の上にある。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0067】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、単一層として提供される遮断要素および吸収性層を含みうる。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、発泡層を含み、遮断要素は、遮断要素の移動によって移動または破壊され得るコンポーネントを含む材料である。
【0069】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、臭気抑制要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気抑制要素を含まない。存在する時、臭気制御要素は、吸収層または遮断要素内またはそれに隣接して分散されうる。別の方法として、存在する場合、臭気制御要素は、発泡体層と吸収層との間に挟まれた層として提供されうる。
【0070】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層を提供することと、使用中に吸収性層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素を提供することと、を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層と、吸収性層の上に、さらに吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて設けられる遮蔽層と、を含み、創傷部位での保護を提供するのに好適であってもよい。遮蔽層は、吸収層の上に直接設けられてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽層は、三次元スペーサ生地層を含む。
【0072】
遮蔽層は、被覆材に印加される圧力が伝わる面積を25%以上、または印加の初期面積を増加させる。例えば、シールド層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を50%以上、随意に100%以上、随意に200%以上増加させる。
【0073】
遮蔽層は、2つ以上のサブ層を含んでもよく、第1のサブ層は貫通孔を含み、およびさらなるサブ層は貫通孔を含み、第1のサブ層の貫通孔はさらなるサブ層の貫通孔からずれている。
【0074】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気を通過することを可能にする透過性カバー層をさらに備えてもよく、カバー層は遮蔽層の上に設けられ、カバー層の貫通孔は遮蔽層の貫通孔からずらされる。
【0075】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適でありうる。
【0076】
本明細書に開示される非陰圧被覆材のより詳細な説明は、国際出願公開第2013/007973号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位から滲出液を吸収するための繊維質吸収性層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された支持層とを含む、多層創傷被覆材であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、液体不透過性フィルム層をさらに含み、支持層は吸収性層とフィルム層との間に配置される。
【0079】
本明細書に開示される支持層は、ネットを含みうる。ネットは、それを通って延びる複数の実質的に幾何学的な開口部を持つ幾何学的構造を含みうる。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的な開口部を形成するために、ポリマー鎖によって実質的に均等に間隔を置いて結合された複数の突起部を含みうる。
【0080】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成されうる。
【0081】
開口部は、0.005~0.32mmの面積を有しうる。
【0082】
支持層は、0.05~0.06Nmの引張強さを有しうる。
【0083】
支持層は、50~150μmの厚さを有しうる。
【0084】
いくつかの実施形態では、支持層は、吸収性層に直接隣接して配置される。典型的には、支持層は、吸収層のトップ面の繊維に結合される。支持層は、結合層をさらに備えてもよく、ここで支持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に積層される。結合層は、エチレンビニル酢酸塩接着剤などの低融点接着剤を含みうる。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、フィルム層を支持層に取り付ける接着層をさらに含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、創傷に隣接して位置付ける吸収性層に隣接して配置される創傷接触層をさらに含む。多層創傷被覆材は、創傷から吸収層へと滲出液を移動させるための創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含みうる。
【0087】
本明細書に開示される多層創傷被覆材のより詳細な説明は、2016年10月28日出願された出願番号GB1618298.2号の英国特許に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
いくつかの実施形態では、開示される技術が創傷被覆材に組み込まれてもよく、その創傷被覆材は、材料の吸収層の第1の層と材料の第2の層とを含む垂直重複材料を含み、第1の層は不織布繊維のうちの少なくとも1つの層から構築され、不織布繊維は複数の折り目で折り畳まれてプリーツ構造を形成する。いくつかの実施形態ではさらに、創傷被覆材は、材料の第一の層に一時的または永久的に結合された材料の第二の層を含む。
【0089】
通常、垂直重複材料は、切り込みが入れられている。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1の層は、ひだの深さによって、または切り込みの幅によって画定された深さを有する、プリーツ構造を有する。材料の第一の層は、成形、軽量、繊維系材料、材料の混合または組成物層でありうる。
【0091】
材料の第一の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース性、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの一つまたは複数を含みうる。
【0092】
創傷被覆材は、互いの上に積み重ねられた材料垂直重複材料の吸収層のうちの2つ以上の層を含んでもよく、2つ以上の層は、同じまたは異なる密度または組成を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料垂直重複材料の吸収層のうちの1つの層のみを含みうる。
【0094】
材料の吸収層は、天然または合成、有機もしくは無機繊維、およびバインダー繊維、または、特定温度で軟化し全体的なブレンドの結合剤として作用するように低溶融温度PETコーティングを用いたバイコンポーネント繊維、通常PET、である。
【0095】
いくつかの実施形態では、材料の吸収層は、5~95%の熱可塑性ポリマーと、5~95重量%のセルロースまたはその誘導体とのブレンドとすることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第2の層を含む。
【0097】
発泡体は、ポリウレタン発泡体でありうる。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖空孔構造を有しうる。
【0098】
被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、または裏当て層を含みうる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、積層または接着剤によって第2の層に直接接続された材料の吸収層を含み、第2の層は被覆材固定層に接続されている。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤でありうる。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維またはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、裏当て層をさらに含む。バッキング層は、透明または不透明なフィルムでありうる。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0102】
本明細書に開示される多層創傷被覆材の詳細な説明は、2016年12月12日に出願された出願番号1621057.7、および2017年6月22日に出願された出願番号1709987.0の英国特許に提供されており、その各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性コンポーネントを含み得、コンポーネントが、発泡層に結合されたゲル形成繊維を含む創傷接触層を含み、発泡層が、接着剤、ポリマー系溶融層、フレームラミネーション、または超音波によって創傷接触層に直接結合される。
【0104】
吸収性コンポーネントは、シート形態でありうる。
【0105】
創傷接触層は、織布または不織布またはニットゲル形成生地の層を含みうる。
【0106】
発泡体層は、開放セル発泡体、または閉鎖セル発泡体であってもよく、典型的には開放セル発泡体でありうる。発泡体層は、親水性発泡体である。
【0107】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周辺によって囲まれた、創傷と直接接触する島を形成するコンポーネントを含みうる。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤でありうる。
【0108】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面において、フィルム層によって被覆されうる。
【0109】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第2498829号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷で使用する多層創傷被覆材を含んでもよく、被覆材が、少なくとも24時間で300gmのMVTRを有する透過層と、滲出液を吸収および保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアに送るゲル形成繊維を含む創傷接触層と、吸収性コア上に位置付けられるキーイング層と、を含むことで特徴付けられ、吸収性コアおよび創傷接触層は、被覆材の滲出液の横方向の広がりを創傷領域に制限する。
【0111】
創傷被覆材は、24時間で被覆材の10cmあたりの流体のうち、少なくとも6g(または8g~15g)に対応する能力を有しうる。
【0112】
創傷被覆材は、化学修飾されたセルロース系繊維であるゲル形成繊維を生地の形態で含みうる。繊維は、カルボキシメチルセルロース繊維、一般的にナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を含みうる。
【0113】
創傷被覆材は、横方向の吸い上げ量が毎分5mm~毎分40mmの創傷接触層を含みうる。創傷接触層は、35gmなど25gm~55gmの繊維密度を有しうる。
【0114】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性を有してもよく、通常、横方向の吸い上げ量は、毎分20mmより少ない。
【0115】
吸収性コアは、重量で最大25%のセルロース系繊維、および重量で75%~100%のゲル形成繊維の範囲のブレンドを有しうる。
【0116】
あるいは、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維、および重量で50%~100%のゲル形成繊維の範囲のブレンドを有しうる。例えば、混合物は、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0117】
吸収性コアの繊維密度は、150gm2~250gm、または約200gmであってもよい。
【0118】
濡れた場合の創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有しうる。
【0119】
創傷被覆材は、透過層を含んでもよく、層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体でありうる。
【0120】
創傷被覆材は、可溶性薬剤フィルム層、臭気吸収層、拡散層、および追加の接着剤層を含む群から選択される、1つ以上の層を含みうる。
【0121】
創傷被覆材は、厚さ2mm~4mmであってもよい。
【0122】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合するという点で特徴付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアの創傷面側または吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーイング層はポリアミドウェブである。
【0123】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第1718257号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧縮包帯は、浮腫およびその他の静脈障害、ならびに下肢のリンパ障害の治療において使用するために周知である。
【0125】
圧迫包帯システムは、通常、皮膚と圧迫層(単数または複数)との間のパディング層を含む複数の層を用いる。圧迫包帯は、静脈性脚潰瘍を処置する等、創傷に有用でありうる。
【0126】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを含むことができ、内層は、発泡体の第1の層と、吸収性不織ウェブの第2の層とを含み、内層および外層は、患者の手足の周囲に巻かれることができるように、十分細長い。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第99/58090号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0127】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、a)(i)細長い弾性基材、および(ii)細長い発泡層を含む内側の皮膚に面した、細長い弾性包帯であって、発泡層が基材の面に取り付けられ、基材の面を横方向に33%以上横切って、および、基材の面を長手方向に67%以上横切って延在する、弾性包帯と、b)外側の、細長い、粘着弾性包帯であって、包帯が、延在されると圧縮力を有し、使用時には、内側包帯の発泡層が皮膚に面し、外側包帯が内側包帯の上にある、粘着弾性包帯と、を含む。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第2006/110527号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0128】
いくつかの実施形態では、米国特許第6,759,566号および米国特許出願公開第2002/0099318号に開示されているものなどの、他の圧迫包帯システムの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
陰圧創傷被覆材
いくつかの実施形態では、このような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に印加されうる。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0130】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)療法システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減しうる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援しうる。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0131】
陰圧療法を使用して、大きすぎて自然には閉じられない、または別の方法でも創傷の部位への陰圧の印加では治癒しない、開放または慢性創傷を治療することができる。局所陰圧(TNP)療法または、陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、さまざまな手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)を被覆に接続することとを伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過剰な流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0132】
NPWTに使用される被覆材のいくつかとしては、異なる種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡パッド、または多層創傷被覆材を挙げることができる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、バッキング層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用され得る、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートに封止されうる。加えて、Smith&Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0133】
本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0134】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHgから-200mmHgの間であり得る。これらの圧力は、760mmHgでありうる、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間でありうる。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用されうる。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給されうる。
【0135】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または一つまたは複数の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見出すことができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0136】
本明細書に記載される創傷被覆材、創傷被覆材コンポーネント、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際公開第2013/175306A2号として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許出願公開第2015/0190286A1号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材コンポーネント、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日に米国特許出願公開第2016/0339158 A1号として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材のコンポーネントおよび原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含め、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0137】
さらに、本明細書に記載されるポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関連するいくつかの実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日に国際公開第2016/174048号として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
センサ対応の創傷監視および療法システム
図1Aは、いくつかの実施形態による創傷監視および療法システム10を示す。システムは、コントローラ24に接続されたセンサ対応の創傷被覆材22を含む。本明細書に記載されるように、被覆材22は、患者の創傷上または創傷内に配置されてもよく、包帯22に埋め込まれるか、たまは別の方法で配置される様々なセンサを利用して、創傷または傷創(無傷の皮膚を含むことができる)などの創傷を取り囲む領域うちの1つ以上からの測定データを収集することができる。コントローラ24は、被覆材22によって収集されたデータを受信、記憶、および処理できる。通信を促進するために、被覆材22は、本明細書に記載されるように、1つ以上のアンテナなどの、1つ以上の通信モジュールを含みうる。いくつかの事例では、コントローラ24は、被覆材22にコマンドおよびデータのうちの1つ以上を送信できる。
【0139】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材22は使い捨てでありえ、コントローラ24は再使用可能でありうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材22は再使用可能でありうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材22は、再滅菌または別の方法で殺菌または消毒することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ24は使い捨てでありうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材22およびコントローラ24は、永久的に接続されてもよく、また組み合わされた創傷被覆材および制御ボックスは、使い捨て、または再使用可能もしくは再滅菌、または別の方法で殺菌もしくは消毒されてもよい。コントローラ24は、創傷被覆材22上に位置付けることができる。コントローラ24は、ケーブルまたは別の有線または無線の電気的接続などによって、空間的に創傷被覆材22から分離されうる。コントローラ24は、電源(バッテリなど)、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のデータ記憶要素、および通信デバイスを含みうる。いくつかの実施形態では、コントローラ24は、創傷被覆材22から離れて位置している患者または環境条件に関する情報を収集するために、温度センサまたは光学センサなどの1つ以上のセンサを含みうる。いくつかの実施形態では、コントローラ24の1つ以上のセンサは、加速度計、運動センサ、またはジャイロスコープを含みうる。
【0140】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材22は、情報をユーザに通信するために、1つ以上のインジケータを含むことができる。インジケータは、視覚的、聴覚的、触覚的(haptic)、または触覚的(tactile)でありうる。通信された情報は、測定データ、創傷状態などを含みうる。
【0141】
コントローラ24は、要求に応じて、通信デバイス30にデータを定期的になど、通信することができる。通信デバイスが通信範囲に配置される場合、近距離無線通信(NFC)、RFIDなどを介して、有線または無線インターフェース上で通信を実施することができる。例えば、通信範囲は、コントローラ24におよそ3cm以下など、近接することができる。通信デバイス30は、初期化中および治療の終了時など、臨床医によって通信範囲に配置されうる。コントローラ24は、データを要求する通信デバイス30からのコマンドにデータを応答することができる。通信は、1つ以上のメモリ記憶デバイス(例えば、SDカード)などのハードウェアまたはデータ記憶装置の転送を介して実施することができる。いくつかの事例では、通信は、視覚的、聴覚的、または触覚的など、非電子的に実施することができ、コントローラ24または通信デバイス30のうちの1つ以上は、データのこのような非電子通信のためのインターフェースを提供することができる。
【0142】
通信デバイス30は、有線または無線インターフェースを介して、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのコンピューティングデバイス40に接続することができる。例えば、有線USBプロトコルは、デバイス30および40間のデータの通信に使用することができる。別の例として、データの通信は、1つ以上のメモリ記憶デバイス(例えば、SDカード)などのハードウェアまたはデータ記憶装置の転送を介して実施することができる。いくつかの事例では、データの通信は、視覚的、聴覚的、または触覚的など、非電子的に実施することができ、通信デバイス30またはコンピューティングデバイス40のうちの1つ以上は、データのこのような非電子通信のためのインターフェースを提供することができる。
【0143】
コンピューティングデバイス40は、被覆材22によって収集されたデータをさらに処理することができる。例えば、コンピューティングデバイス40は、被覆材22および灌流決定デバイス70から収集されたデータを集計して、有線または無線インターフェースを介して皮膚灌流圧力を決定し、データをコンピューティングデバイス40に通信するように構成され得る。例えば、有線USBプロトコルは、デバイス70および40間の通信に使用できる。
【0144】
コンピューティングデバイス40は、医療データを記憶および処理するリモートコンピューティングデバイス50と有線または無線インターフェースを介して通信するように構成されうる。いくつかの実施形態ではリモートコンピューティングデバイス50は、リモート記憶装置、サーバ、処理デバイス、または情報記憶装置の任意の手段のうちの1つ以上を含む、クラウドコンピューティングデバイスでありうる。例えば、リモートコンピューティングデバイス50は、健康保険ポータブルおよび説明責任法(HIPPA)、欧州連合のデータ保護に関する指令など、1つ以上の適用されるセキュリティおよびプライバシー基準に従って医療データを処理および記憶できる。リモートコンピューティングデバイス50は、モバイルデバイス60上などの、リモートアクセスおよび表示用に利用可能なコンピューティングデバイス40またはモバイルデバイス60のうちの1つ以上によって提供されるデータを作成することができる。特定の実施では、リモートコンピューティングデバイス50上の記憶装置に追加のデータを追加することができる。例えば、専用アプリケーション、ウェブブラウザインターフェースなどを介して、モバイルデバイス60によって追加のデータを追加することができる。リモートコンピューティングデバイス50は、創傷被覆材22、灌流決定デバイス70、またはモバイルデバイスのうちの1つ以上からのデータを処理し、1つ以上の治療療法を提案または調整するなど、治療計画を評価または決定できる。
【0145】
本明細書に記載されるように、モバイルデバイス60は、患者の創傷の1つ以上の画像を撮影することができる。このようなデータは、有線または無線インターフェースを介してリモートコンピューティングデバイス50に送信することができる。スマートフォンが図示されているが、モバイルデバイス60は、カメラなどの撮像機能を含む任意の好適なコンピューティングデバイスであってもよい。モバイルデバイス60は、アンケートに応答して医療提供者によるデータ入力などの追加のデータを収集することもできる。
【0146】
図1Aに示された様々なコンポーネントは、本開示の他の部分でより詳細に説明されている。
【0147】
図1Bは、いくつかの実施形態による、システム10などの創傷監視および療法システムの使用を示す。図示されるように、ブロック1102および1104では、ユーザ(医療提供者(HCP)など)のユーザは、患者の病歴および生活習慣に関する情報を提供できる。このような情報は、本明細書に記載されるように(アプリを介してなど)、リモートコンピューティングデバイス50に記憶するために、モバイルデバイス60を介して提供することができる。ブロック1106では、創傷の評価を実施することができる。例えば、創傷の画像をモバイルデバイス60によって撮影し、本明細書に記載されるように、リモートコンピューティングデバイス50にアップロードすることができる。別の方法としてまたは追加的に、皮膚灌流圧力をデバイス70によって測定し、本明細書に記載されるように、リモートコンピューティングデバイス50にアップロードすることができる。
【0148】
ブロック1108では、ユーザの治療決定を記録することができる。例えば、陰圧創傷療法などの1つ以上の治療療法を選択することができる。ブロック1110では、清潔であり、該当する場合、創面切除された創傷の追加の画像を撮影し、リモートコンピューティングデバイスにアップロードすることができる。ブロック1112で、創傷被覆材22は、患者の創傷内またはその上に配置されうる。ブロック1114では、コントローラ24は、創傷被覆材およびコントローラが分離されている場合に、創傷被覆材22に接続されうる。創傷被覆材は、本明細書に記載されるように、初期化することができる。ブロック1116では、1つ以上の選択された療法を適用できる。ブロック1118では、創傷被覆材22によって被覆された創傷の画像を撮影し、アップロードすることができる。ブロック1120では、本明細書に記載されるように、創傷被覆材22からの測定データを収集および記憶することができる。このステップは、創傷被覆材22が患者に塗布される間に好適な数回実施することができる。療法が完了すると、ブロック1122では、測定データを本明細書に記載されるように、リモートコンピューティングデバイス50にアップロードすることができる。ブロック1124では、治癒した創傷の画像を撮影することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、2017年5月15日出願の米国仮特許出願第62/506,551号、名称「NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY SYSTEM USING EULERIAN VIDEO MAGNIFICATION」、2017年5月15日出願の同第62/506,524号、名称「WOUND ANALYSIS DEVICE AND METHOD」に記載されているオイラー倍率技術を使用して創傷の1つ以上の画像を処理することができ、これらの出願の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。オイラー倍率技術は、モバイルデバイス60またはリモートコンピューティングデバイス50などのシステム10のコンポーネントのいずれかによって実施することができる。
【0150】
センサ対応の創傷被覆材
図1Cは、いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材22を示す。本明細書に記載されるように、創傷被覆材22は、実質的に可撓性の創傷接触層を含むことができ、これは本明細書に記載される創傷接触層のうちのいずれかの1つ以上の特徴部を含みうる。創傷被覆材22は、本明細書に記載される創傷被覆材層のうちのいずれかを含むことができる。創傷被覆材22の全体は、実質的に可撓性でありうる。図示されるように、1つ以上の電気的接続またはトラック27によって接続された1つ以上のセンサ26が、創傷被覆材22上に位置付けられるか、またはその中に埋め込まれる。例えば、1つ以上のセンサおよび接続は、創傷接触層上に位置付けられうる。また、創傷被覆材22をコントローラ24に接続するためのコネクタ28も示されている。コネクタ28は、1つ以上の電気的接続またはトラックを含む。いくつかの実施では、創傷接触層の境界または縁部は、患者の快適性を向上させるために、切断部によって滑らかにされ、滑らかな輪郭を有し、繊維を含むなどが可能である。
【0151】
いくつかの実施では、創傷接触層の境界または縁部は、患者の快適性を向上させるために、滑らかな輪郭を有し、繊維を含み、および/またはこれに類するものを含む切れ目によって滑らかになりうる。
【0152】
いくつかの実施形態では、被覆材は、無線通信用の1つ以上のアンテナを含むことができる。例えば、1つ以上のアンテナは、創傷接触層上の1つ以上の接続またはトレースとして印刷されうる。1つ以上のアンテナを使用して、コントローラ24のない1つ以上のセンサによって収集された測定データを通信することができる。1つ以上のアンテナをさらに使用して、電源から無線で電力を受け取ることができる。特定の事例では、1つ以上のアンテナトレースは、患者に使用する時に、創傷被覆材22が応力下に配置されたときに1つ以上のアンテナの共振周波数が固定されたままになるように、実質的に非伸縮性の材料(本明細書に記載されるように)に位置付けることができる。1つ以上の共振周波数を固定することは、RFIDなどの特定の通信プロトコルに対して有利でありうる。
【0153】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材22または本明細書に開示される他の任意の創傷被覆材の1つ以上のセンサは、インピーダンス、静電容量、電気検知、温度、pH、圧力(ひずみゲージを使用するなどによって)、組織の弾性(超音波センサ、圧電トランスデューサなどを使用するなどによって)、血流(ドップラ効果の測定などによって)、色、または光のうちの1つ以上を測定できる。1つ以上のセンサは、電子的または非電子的でありうる。非電子センサの例は、Phの関数として、または伸張され、変形され、または別の方法で圧力を受けるときに色を変化させるセンサを含む。こうしたセンサの測定は、視覚的監視を通して取得することができ、これはカメラを使用することによって、または1つ以上の光学センサを使用することなどによって自動的に実施されうる。
【0154】
特定の実施では、インピーダンス測定は、図1Dに示されるように、4点プローブ測定値を利用して作成され得る。AC駆動信号などの駆動信号は、駆動パッド1002にわたって生成でき、電圧測定は別々の測定パッド1004にわたって行うことができる。パッドは、図1Eに示されように、位置付けることができる。8つの測定パッド1004は、2つの同心の正方形の角部としてレイアウトされうる。外側正方形は、およそ80mmの側面またはその他任意の好適な寸法を有しうる。内側正方形は、およそ30mmの側面またはその他任意の好適な寸法を有しうる。
【0155】
いくつかの実施では、複雑な電圧測定を以下のように行うことができる:
【0156】
【表1】
【0157】
複雑な電圧測定は、駆動信号の後ろの最大電圧および最小電圧および位相角度(または時間)を識別できる。インピーダンス測定の追加の詳細は、2017年7月25日出願の米国仮特許出願第62/536,774号、名称「Skipwing Pad for Impedance Measurement」、2018年7月23日に出願の国際特許出願第PCT/EP2018/069886、名称「Skewing Pads for Impedance Measurement」のうちの1つ以上に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0158】
いくつかの実施形態では、インピーダンス測定は、AC測定値に基づく。励起信号は、センサまたはパッドを絶縁コーティングを有するセンサまたはパッドを通じて容量的に組織に結合することができる。第2の同様の電極は、一定の距離離れて配置され、接地に接続されうる。励起信号を印加することによって、AC電流はパッド間の組織を通って流れる。
【0159】
電極の第2の対(単数または複数)は、励起電極間に配置されてもよく、電圧を検知するために使用されうる。これらの2つの電極は各々、1つ以上の高インピーダンス増幅器に接続でき、その出力は差動アンプに供給されうる。出力電圧を測定し、励起電流で割ることによって、測定電極間のインピーダンスを測定することができる。
【0160】
図1Fに示されるように、電圧および電流は、一対のロックインアンプを使用して電圧および電流を検出できる。測定されたインピーダンスは、特に電極と組織との接合部で比較的高くなる可能性があるため、測定電極アンプの入力インピーダンスが高いと有利な場合がある。初段アンプは、高い入力インピーダンスを有するように選択することができる。これらは、この高入力インピーダンスを活用するために、非反転アンプとして構成できる。低周波ゲインは、図1Fに示されるように、コンデンサC1、C2、C3、およびC4を使用して下向きに転移されうる。
【0161】
いくつかの場合、単一の供給動作などのために、非反転入力はミッドレールにおいてバイアスする必要がある。バイアスは、オペアンプの入力バイアス電流に対するDC経路を提供する必要もありうる。これは、非反転入力での抵抗分割器を使用して行うことができるが、次のようになる可能性がある。
1.バイアスネットワークは、オペアンプの入力インピーダンスの抵抗を使用しない限り、入力インピーダンスを低下させる(この値の抵抗は実用的ではないほど大きい)。
2.大きなバイアス抵抗器は、オペアンプの入力ノイズ電圧を圧倒する大きな熱ノイズ成分をもたらし、全体の信号対ノイズ比を低下させる。
【0162】
いくつかの実施形態では、抵抗器を使用する代わりに、図1Fに示されるように、入力バイアスは、一対の逆バイアスダイオードD1、D2、D3、およびD4を使用して達成される。逆バイアスダイオードは、高い熱ノイズの寄与を伴わずに、非常に高いインピーダンス(逆漏れによって決定される)を呈しうる。非常に低い逆漏れを有するダイオードを選択することができる。逆漏れは、オペアンプのバイアス電流に対するDC経路も提供する。
【0163】
いくつかの実施形態では、1つ以上の温度センサは、創傷のマップを提供する。図1Gに図示されるように、5×5グリッドの25(またはそれ以上もしくはそれ以下)の温度センサ1010のアレイを使用することができる。温度センサは、互いに対して等距離に位置付けることができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、光学センサ(例えば、色センサ、赤色、緑色、および青色(RGB)センサ、赤色、緑色、青色、および透明(RGBC)センサ、または赤色、緑色、青色、および白色(RGBW)センサ)は、1つ以上の光学測定値を取得するために創傷被覆材22に含めることができる。光学センサは、創傷被覆材を通して様々な位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、RGBセンサは、光学測定に使用することができる。図1Hに示されるように、RGBセンサ1020は、測定領域の中心に1個のセンサ、中心から中間距離(中心からおよそ20mmなど)に4個のセンサ、外側縁部(中心からおよそ35mmなど)に4個のセンサを組み込むことができる。9個のRGBセンサの各々は、1個のセンサおよび1個の白色LEDを組み込むことができる。
【0165】
前述の任意の距離、信号値などは、例示的な目的のために提供される。いくつかの実施形態では、測定領域のサイズ、関心のある特定の測定値などに応じて、他の好適な距離、信号値などを利用することができる。
【0166】
サイバーセキュリティ
創傷監視および療法システム10は、1つ以上のサイバーセキュリティ技術を組み込んでもよい。例えば、通信デバイス30は、システム10がNFCまたはセルラーネットワークなどの有線または無線通信ネットワークを介してデータを送信することを可能にしうる。例えば、NFCをコントローラ24との通信に使用することができ、また携帯ネットワークをリモートコンピューティングデバイス50との通信に使用することができる。通信ネットワークは、インターネットへのアクセスを提供できる。
【0167】
いくつかの実施形態では、システム10は、様々なサイバーセキュリティ対策を実施してもよい。特定の実施では、被覆材22がコントローラ24に接続されている(コントローラ24に差し込まれているなど)ときに、コントローラは初期化することができる。これは、以下のうちの1つ以上を実施するコントローラ24を含みうる。
【0168】
電源供給
例えば、コントローラ24および創傷被覆材22への連続的な電力供給を確立することができる(ラッチ回路などを介して)。
【0169】
デバイスクロックの生成。例えば、デバイスクロック時間は、ゼロ、乱数、ハードウェア識別番号などの一意の番号から開始時に開始することができ、コントローラ24の電源が入っているときは常に計数する。電力が遮断された場合、電力遮断前に計数が以前のクロック時間から再確立される場合がある。いくつかの実施形態では、デバイスクロックはリアルタイムクロックではなく、任意の値である。
【0170】
電源投入時セルフテスト(POST)およびその他のテストの実施
いくつかの実施では、ポストは、被覆材22の1つ以上のセンサが適切な範囲内で機能しているかどうかを決定することができる。例えば、1つ以上の温度センサ、酸素センサ、pHセンサ、光学センサ、または本明細書で説明される任意の追加のセンサの機能を試験することができる。試験は、センサ試験(単数または複数)の結果を閾値値(単数または複数)または範囲(単数または複数)と比較することを含みうる。1つ以上のセンサ測定値が閾値値(単数または複数)または範囲(単数または複数)外にあると決定された場合、指示または警告を生成することができる。警告は、視覚的、聴覚的、触覚的などでありうる。いくつかの実施形態では、警告は、どのセンサにエラー状態が発生しているかを示してもよい。被覆材22の1つ以上のセンサがPOSTに合格した場合、センサデータまたはデバイスクロック時間のうちの1つ以上が記録されうる。いくつかの実例では、システム10の1つ以上のコンポーネントは、センサが適切な範囲内で機能することをユーザに示しうる。POSTは、被覆材22がコントローラ24に接続または再接続されるときなどに、定期的に、被覆材22がコントローラ24に接続または再接続されるたびに実施されてもよい。
【0171】
いくつかの実施形態では、初期化の一部として適切なメモリ機能を検証することができる。例えば、システム10の1つ以上のコンポーネント(コンピューティングデバイス40またはコントローラ24など)は、被覆材22のコントローラ24への接続時または通信デバイス30へのデータの通信時に、十分なメモリが残っているかどうかを決定することができる。コントローラ24またはコンピューティングデバイス40は、いくつかの実例では、コントローラ24、通信デバイス30、またはコンピューティングデバイス40の現在の残りのメモリを1つ以上の閾値と比較してもよい。システム10の1つ以上のコンポーネントの現在の残りのメモリが1つ以上の閾値よりも低い場合、低いメモリ警告を生成することができる。
【0172】
特定の実施では、電源の適切な容量は、初期化の一部として検証することができる。これは、本明細書に記載されるメモリ試験と同様に実施されてもよく、低電力警告を生成することができる。本明細書に記載されるように、コントローラ24に接続されたセンサ対応の創傷被覆材22は、創傷上または創傷内に配置されてもよく、創傷から測定データを収集することができる。被覆材22またはコントローラ24のうちの少なくとも1つは、収集された測定データを記憶することができ、または測定データを、通信デバイス30を介してコンピューティングデバイス40に送信することができる。被覆材22またはコントローラ24は、有線または無線インターフェースを介して通信デバイス30とやり取りして、収集された測定データを送信するように構成されてもよい。通信デバイス30は、コンピューティングデバイス40(本明細書に記載される)に接続されてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、セキュリティおよび患者の機密性を促進するために、コントローラ24と通信デバイス30との間の通信は、通信デバイス30へのデータの一方向通信とすることができる。本明細書に記載されるように、このような通信は、通信デバイス30がコントローラ24の通信範囲内に配置されたときに、NFCを介してなど、無線で実施されうる。
【0174】
いくつかの実施形態では、コントローラ24と通信デバイス30との間の通信は、創傷被覆材22によって測定されたデータと共にデバイスクロック時間を通信デバイス30に送信することを含む。セキュリティおよび患者の機密保持のため、特定の実施では、デバイスクロック時間はリアルタイムクロックを反映しない場合がある。さらに、患者を識別する情報は、創傷被覆材22、コントローラ24、または通信デバイス30に記憶されない場合がある。コントローラ24は、一意の識別番号(ハードウェア識別番号など)を記憶することができるが、コントローラ24は複数の患者で使用されることがあるため、この情報だけでは患者を識別するのに十分ではない可能性がある。リアルタイムクロックがなければ、創傷被覆材22によって収集された測定データは、システムがハッキングされた場合でも、少なくとも匿名で機密情報を保持することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、リアルタイムクロックは、コンピューティングデバイス40またはリモートコンピューティングデバイス50のうちの1つ以上によって知ることができる。例えば、通信デバイス30からコンピューティングデバイス40へ送信される測定データおよびデバイスクロック時間に応答して、コンピューティングデバイス40は、受信したデバイスクロック時間およびリアルタイムクロック時間に基づいて、デバイスクロック時間をリアルタイムで相関させることができる。例えば、コンピューティングデバイス40は、初期化中に、デバイスクロックの時間を受信することができる。デバイスクロック時間に伴う測定データの後続の送信中に、リモートコンピューティングデバイスは、デバイスクロックの初期時間と測定データに関連付けられているデバイスクロックの現在受信された時間との比較に基づいて、最初の送信に対する経過時間を決定することができる。例えば、コンピューティングデバイス40は、現在受信されているデバイスクロックの時間からデバイスクロックの初期時間を減算して、経過時間を決定することができる。
【0176】
コンピューティングデバイス40は、医療グレードのコンピューティングデバイスなどの安全なシステムでありうる。コンピューティングデバイス40は、データをリモートコンピューティングデバイス50に送信するために一時的にデータを記憶することができ、これにより、データを患者識別と相関させて、データを特定の患者に関連付けることができる。データをリモートコンピューティングデバイス50に送信することが成功した後、コンピューティングデバイス40は記憶装置からデータを削除することができる。本明細書に記載されるように、リモートコンピューティングデバイス50は安全なシステムでありうる。リモートコンピューティングデバイス50は、特定の患者に関連付けられている測定データを、1つ以上の測定が行われたときのリアルタイムと共に記憶することができる。患者の識別情報および患者の写真(単数または複数)、患者データ、臨床医の識別情報などのその他の関連データは、モバイルデバイス60によってリモートコンピューティングデバイス50に提供することができる。モバイルデバイス60とリモートコンピューティングデバイス50との間の通信は、暗号化されるなど、安全でありうる。いくつかの実例では、リモートコンピューティングデバイス50と通信するために、アプリまたは別のプログラムがモバイルデバイス60に提供される。
【0177】
特定の事例では、コントローラ24は、最新の測定データをコンピューティングデバイス40に送信することができる。コントローラ24はさらに、ハードウェア識別番号などのその一意の識別番号を送信することができる。チェックサム、エラー修正などの追加のデータを送信することができる。
【0178】
いくつかの実施では、コントローラ24は、初期化後に最新の測定データを送信する。このような最初の送信が成功した場合、コンピューティングデバイス40は、追加の測定データを、適用される場合、創傷被覆材22によって収集できることをコントローラ24に示すことができる。最初の送信が成功しなかった場合、創傷被覆材22は、コンピューティングデバイス40との通信が正常に確立されるまで、追加の測定値を記録することを許可されない場合がある。いくつかの事例では、最初の送信の完了が成功できない場合、ハッキングされているシステムに関連付けられている可能性がある。最初の送信が成功した場合、いくつかの実施形態では、通信デバイスがコントローラ24の通信範囲内に配置されたときなど、好適な時点で、以前の送信以降のすべての測定データをコントローラ24によって通信デバイス30にアップロードすることができる。このような送信は、治療の終了後に実施することができる。
【0179】
いくつかの実施では、システムの様々なコンポーネント間で送信されるデータを暗号化することができる。例えば、コントローラ24によって記憶される測定データは暗号化することができる。
【0180】
被覆材22またはコントローラ24は、通信デバイス30から切断されてもよい。いくつかの実施形態では、システム10の1つ以上のコンポーネントは、被覆材22またはコントローラが切断されると、ユーザに警告しうる。例えば、被覆材22、コントローラ24、通信デバイス30、またはコンピューティングデバイス40は、システム10の1つ以上のコンポーネントが切断されているという警告を提供してもよい。いくつかの実例では、コンピューティングデバイス40は、被覆材22またはコントローラ24が切断されたときに、リアルタイムクロック時間を記録することができる。
【0181】
本明細書に記載されるように、被覆材22から記録された測定データは、コントローラ24などのシステム10の1つ以上のコンポーネントに記録および記憶されてもよい。データは、患者のプライバシーおよび機密性を保護しうるセキュリティプロトコルに従って記憶されうる。いくつかの実施形態では、記録された測定データは、いかなる患者識別情報も含まない。セキュリティプロトコルは、記録された測定データを任意の値と相関させることを含みうる。いくつかの実例では、任意の値は、測定データが取得された時間を示す非リアルタイムクロックからのデバイスクロックを含みうる。測定データは、通信デバイス30を介してコンピューティングデバイス40に転送されてもよい。いくつかの実施形態では、通信デバイス30は、コントローラ24とコンピューティングデバイス40との間の一方向通信のみを許容してもよい。あるいは、通信デバイス30は、コントローラ24およびコンピューティングデバイス40への情報の転送を許可してもよい。コンピューティングデバイス40に転送される測定データは、本明細書に記載されるように、暗号化されてもよい。いくつかの実例では、記録された測定データは、記録された測定データがリモートコンピューティングデバイス50などの安全なコンピューティングデバイスに転送されると、患者識別情報とのみ相関しうる。
【0182】
いくつかの実施形態では、灌流決定デバイス70によって取られるデータは、患者識別情報およびリアルタイムクロック情報を伴わずに、同様にコンピューティングデバイス40に通信される。コンピューティングデバイス40は、本明細書に記載されるように、データを同様に処理することができる。
【0183】
皮膚灌流圧力の測定
いくつかの実施形態では、デバイス70などの灌流決定デバイスは、以下の特徴のうちの1つ以上を含む。デバイスは、センサモジュールを通じて患者の腕または脚などの測定または標的領域に伝達される力を検知するための力センサの形態の第1のセンサと、センサモジュールの下の標的領域の皮膚組織内の血液灌流量に対応するパラメータを検知するための光学センサの形態の第2のセンサと、を含むことができる。特定の実施では、光学センサは、パルスセンサでありうるが、反射型パルスオキシメータセンサなどの他の好適なセンサを使用してもよい。力センサは、直径15mmおよび力範囲45Nの薄膜マイクロセンサでありうる。力センサはまた、関連する読み出し電子機器も含む。力センサは、光学センサの上部分に配設ことができ、光学センサは、力センサから離れて標的領域に面するように配置することができる。力および光学センサは、1つ以上のワイヤを使用することなどによって、電気的に接続されうる。
【0184】
いくつかの実装では、使用中、センサモジュールを患者の標的領域に当てて配置することができ、センサモジュールのハウジングの下部分は、開いていても透明であってもよく、皮膚組織の標的領域に隣接している。ハウジングの下部分は、標的領域と接触してもよい。次いで、皮膚灌流圧力決定デバイスを測定領域に固定することができる。力センサおよび光学センサからの出力を監視し、必要に応じて、表示するか、または別の方法でユーザに提供することができる。
【0185】
図6に示されるように、上部トレースは、フォトプレチスモグラム(PPG)であり、PPGは、標的領域の皮膚組織に吸収される光学センサによって放射される光の量の指示を提供する(すなわち、トレースは、目標領域の皮膚組織で反射され、フォトダイオードで受光される光の量に反比例する)。したがって、皮膚組織内の比較的大量の血液は、光学センサから放射される比較的大量の光を吸収し、比較的高い出力トレース値を生成し、逆もまた同様である。もちろん、皮膚組織によって反射される光の量がプロットされるようにトレースは反転させることができ、その場合、皮膚組織内の大量の血液が比較的低い出力トレース値を生成する。
【0186】
上部トレースは典型的には、拍動成分および非拍動成分を有する。拍動成分は、パルサタイル動脈血によって吸収される光を表す一方で、非拍動成分は、非パルス性動脈血、静脈血および皮膚組織によって吸収される光を表す。血管および毛細血管を通して血液を押す心臓サイクルの圧力パルスによって引き起こされる血液量の変化に起因して拍動成分が生じ、したがって血流に関連する。したがって、拍動成分は、下にある組織内の血液灌流量の表示を得るためにモニターされうる。
【0187】
皮膚灌流圧力決定デバイスが標的領域に固定されると、最初に皮膚組織によって吸収される光の量は、図6の上部トレースの時間tとtとの間に示される。各ピークは、標的エリアの皮膚組織を通る動脈血のパルスを表す。
【0188】
時間t2は、皮膚灌流圧力測定が開始される時間である。
【0189】
いくつかの実施形態では、使用中、医療提供者などのユーザは、センサモジュールを標的領域に押し付けて、標的領域の下の組織内の血管を閉塞する。時間tに示されるように、力の量は、トレースの拍動成分が所定のレベルを下回るかまたは明らかでなくなるまで増加する。トレースが所定のレベルよりも下回ると、時間tとtとの間に示されるように、ユーザは、センサモジュールを標的領域に当てて保持し続けて、拍動性動脈血流が標的領域の組織で停止したことを確認する。示した例では、所定のレベルより低いレベルで変動する、トレースの非ゼロノイズ成分が残っている。時間tで、ユーザは、センサモジュールが完全に解放され、標的領域の組織の拍動性動脈血流が完全に回復する時間tまで、センサモジュールに印加される力をゆっくりと減少させ始める。
【0190】
センサモジュールを介して標的領域の組織にユーザが印加したた力は、下部トレースによって記録される。下部トレースから分かるように、時間tとtとの間に力は記録されない。ユーザがセンサモジュールを患者の標的領域に押し付けると、時間tとtとの間で力が比較的急速に増加し、次いで、時間tとtとの間にユーザがセンサモジュールを標的領域に保持する間に水平状態になる。ユーザが時間tでセンサモジュールを徐々に解放し始めると、印加された力は、着実に減少して時間tでゼロに戻り、拍動性動脈血流が皮膚組織に戻る。
【0191】
拍動性動脈血流は、血圧が組織内の血管の、センサモジュールを押すユーザによって印加される閉塞圧力に打ち勝つのに十分なときに戻る。血流の戻りは、時間tSPPに示すとおり、上部トレースにおける拍動成分の戻りによって表される。パルサタイル動脈血流の戻りを決定するために異なる基準を使用することができる。例えば、血流の戻りは、上部トレースの値が、予想される最大ノイズ値よりも大きい値などの所定の閾値ISPP値に戻ることによって決定されうる。あるいは、閾値ISPPは、血管(すなわち、時間tとt)の間のパルス振幅)を塞ぐために力がかけられる前に観察されたパルス振幅に基づいて決定される値としうる。一例では、血管を閉塞するために力が印加される前に観察されるパルス振幅の所定の割合である閾値ISPPが使用されてもよい。他のアルゴリズムを使用して、トレースの拍動成分の戻りを決定してもよい。
【0192】
時間tSPPでの下部トレースの力FSPPの大きさが、次いで記録される。記録された力FSPPは、その後、皮膚灌流圧を決定するために使用することができる。これは、計算、ルックアップテーブルによって、または力センサの事前較正に基づいて行うことができる。例えば、皮膚組織に押し付けられたセンサモジュールの部分の接触面積が分かっている場合、皮膚組織に印加された圧力を計算することができる。この場合、標的領域は、センサモジュールの接触面積に対応する。
【0193】
いくつかの実施形態では、センサモジュールの接触面積は円形および平面であってもよい。いくつかの実施形態では、センサモジュールの接触領域は円形および凸状でありえ、結果として得られるドーム型構造は対称または非対称でありうる。構造は、ドームによって皮膚に作られる接触面積などの片面とすることができ、または構造は、凸状の多面体(地理的ドーム、フットボール、バックミンスターフラーレンの骨格形式で見られる構造と類似し得うる)を含むことができる。いくつかの実施形態では、隆起またはスカラップドドーム、および構造を使用することができる。いくつかの実施形態では、接触面積の中心での光学測定のための平坦な窓など、上記の混合物を用いることができ、これは凸状のドーム型表面によって囲まれうる。ドームの内半径は、評価中の皮膚の領域全体に力、したがって圧力を均等に負荷できるように設計することができる。いくつかの実施形態では、センサモジュールの接触面積は、円形であり、直径は10mmであり、したがって表面積はおよそ80mmである。接触面積が大きいほど、血流を止めるために必要な力は大きくなる。接触面積が小さいほど、印加される力の変動によって引き起こされる圧力の変動が大きくなるため、非常に小さい接触面積では、血流が戻る力を決定するために、ユーザが制御された方法で印加された力を解放することが困難になる。接触面積が非常に小さいと、血液灌流センサによる正確な読み取りが困難になる場合がある。したがって、センサモジュールの接触面積は、1mm~1000mm、例えば、10mm~400mmである。
【0194】
この配置の利点は、センサモジュールが標的領域に及ぼす圧力と血液灌流の量との同時測定が標的領域で行われることである。測定を同時に行って記録することで、患者の体の所望の位置での血液灌流圧の正確で信頼性の高い測定値を生成できる。
【0195】
皮膚灌流圧の測定は、単一の測定として実施することも、長期にわたる繰り返し測定からの明らかな傾向から決定することもできる。こうした測定は、創傷治癒の予測を補助するために使用されうる。
【0196】
皮膚灌流圧力の測定に関する追加の詳細は、2018年3月9日出願の国際出願第PCT/EP2018/055940号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0197】
陰圧創傷療法システム
図2Aは、創傷空洞110の内部に配置される創傷充填材130を含む陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の一実施形態を示ており、創傷くぼみは、創傷カバー120によって封止されている。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は、創傷被覆材と呼ばれうる。創傷被覆材は、本明細書に記載されるように、1つ以上のセンサを含みうる。単一または複数の内腔管または導管140は、創傷カバー120と、減圧圧力を供給するように構成されるポンプアセンブリ150とを接続する。創傷カバー120は、創傷空洞110に流体連通することができる。図2Aに示される実施形態のような本明細書で開示されるシステムの実施形態のいずれかにおいて、ポンプアセンブリは、キャニスタレスポンプアセンブリ(滲出液が、創傷被覆材に収集される、または収集するために管140を介して別の位置に運ばれることを意味する)であることができる。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に取付けられ、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。
【0198】
創傷充填材130は、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の好適なタイプであってもよい。創傷充填材130は、それが実質的に空洞を充填するように、創傷空洞110に適合することができる。創傷カバー120は、創傷空洞110を覆う実質的に流体不浸透性の封止を提供することができる。創傷カバー120は、頂側および底側を有することができ、底側は、創傷空洞110を粘着的に(または任意のその他の適切な手法において)封止する。本明細書で開示される導管140もしくは内腔またはいくつかのその他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意のその他の適切な材料から形成され得る。
【0199】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端部を受容するように構成される、ポート(図示せず)を有し得る。例えば、ポートは、Smith & Nephewから入手可能なRenays Soft Portであることができる。その他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創傷くぼみ内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷くぼみ110に供給するために創傷カバー120を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管140は、ポンプアセンブリ150によって提供される減圧圧力を創傷空洞110に供給するように、ポンプアセンブリ150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的に密封された流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。
【0200】
創傷カバー120および創傷充填材130は、単一な物品または一体型の単一なユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされ得る。ついで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプアセンブリ150といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用され得る。
【0201】
創傷カバー120は、治療されることになる創傷部位の上に配置され得る。創傷カバー120は、創傷部位を覆う実質的に密封された空洞またはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開およびその他の切開、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0202】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管140がポンプアセンブリ150から迅速にかつ容易に取り除かれ得るようにポンプアセンブリ150および管140を構成することは、必要に応じて、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管とポンプとの間の任意の好適な連結を有するように構成され得る。
【0203】
ポンプアセンブリ150は、およそ-80mmHgの陰圧、またはいくつかの実施では、約-20mmHg~200mmHgの陰圧を送達するように構成され得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHgから-150mmHgの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。別の方法として、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ150により供給され得る。
【0204】
動作時に、創傷充填材130は創傷空洞110内に挿入され、創傷カバー120は創傷空洞110を封止するように配置される。ポンプアセンブリ150は、創傷充填材130を介して創傷空洞110に送られる陰圧源を創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材130または一つまたは複数の吸収性層(図示せず)によって吸収される。
【0205】
本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態で利用され得る創傷被覆材は、Smith & Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys AB、およびPico被覆材を含む。本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに使用され得る陰圧創傷治療システムのこうした創傷被覆材およびその他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2011/0213287号、第2011/0282309号、第2012/0116334号、第2012/0136325号および第2013/0110058号において見出され、それらの全体が参照により組み込まれる。その他の実施形態では、その他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0206】
創傷被覆材の概要
図2Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材155を通る断面図を示す。図2Bはまた、いくつかの実施形態による、流体コネクタ160を示す。創傷被覆材155は、国際特許公開2013/175306 A2に記載される創傷被覆材と類似している場合があり、これは参照によりその全体が組み込まれる。あるいは、創傷被覆材155は、明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または、本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得、治療される創傷部位の上に置かれ得る。創傷被覆材155は、創傷空洞110といった創傷の上に密封された空洞を形成するために配置されてもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材155は、最上層もしくは被覆層、または任意の創傷接触層222に取り付けられるバッキング層220を含むことが好ましく、それらについて以下により詳細に記載する。これら二つの層220、222は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止されうる。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応し得る追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能とを備えてもよい。以下に記載するそのような構造の例は、透過層226および吸収層221を含む。
【0207】
本明細書で使用される通り、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0208】
創傷接触層222は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、または、例えば、ホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、または超音波プロセスによって、またはその他のいくつかの方法で穿孔される、あるいは別の方法で液体および気体に対して透過性にされたその他の可撓性の層であってもよい。創傷接触層222は、下表面224(例えば、創傷と向かい合う)および上表面223(例えば、創傷から見て外を向く)を有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が層222を通って流れることが可能になる。創傷接触層222は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。いくつかの実施形態では、穿孔は、流体が穿孔を通って流れることを依然として可能にしながら、この要件を満たすほど充分に小さい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。いくつかの構成では、創傷接触層222は、陰圧を創傷に維持するために、吸収性パッドの周りに気密状態をも作り出しながら、被覆材155全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、陰圧が創傷に加えられるとき、創傷接触層を通る流体の、単向性または実質的に一方向または単向性の流れを許可するように構成される。例えば、創傷接触層は、流体が、創傷接触層を通して創傷から流れるのは許可するが、流体が創傷に向かって戻ることは許可しない。特定の事例では、創傷接触層の穿孔は、創傷接触層を通る流体のこうした一方向または単向性の流れを許容するように構成される。
【0209】
創傷接触層222のいくつかの実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材155の下面224上に提供されてもよい一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面223上に提供されてもよい。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であり得る感圧接着剤は、創傷接触層の両面上、もしくは任意で選択された片面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材155を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを含んでもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するのを助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全3層は共に孔加工されていてもよい。
【0210】
多孔質材料の層226は、創傷接触層222の上方に配置されうる。この多孔質層または透過層226により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷領域全体に陰圧を伝えるように維持されうることを保証できる。層226は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層226は、三次元構造を有する材料から形成されうる。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用されうる。
【0211】
いくつかの実施形態では、透過層226は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、ニットポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら2つの層の間に挟まれて形成される第3の層と、を含む、3Dポリエステルのスペーサ生地層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用されうる。
【0212】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0213】
間隔を置いて配置された層におけるフィラメント数のこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する一助となる。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層221が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得る被覆層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0214】
いくつかの実施形態では、透過層226を横切る(すなわち、最上部および最下部スペーサ層の間に形成されるチャネル領域と垂直に液体の流れを改善するために、3D生地は、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、以前に使用された鉱油、油脂またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。続いて、3Dスペーサ生地が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0215】
吸収性材料の層221を、透過層226の上に提供することができる。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意で超吸収材料を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。一部の実施形態では、層221もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0216】
吸収性層221の材料はまた、創傷被覆材155に収集された任意の液体が被覆材内を自由に流れるのを防止し、被覆材内に収集された液体を含むように作用することができる。吸収層221はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層の領域における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層221は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg 114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層221は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。一部の実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0217】
いくつかの実施形態では、吸収性層221は、全体に分散した乾燥粒子の形態の超吸収性材料を有する不織セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材料に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0218】
陰圧を被覆材155に印加することができるように、開口部、孔、またはオリフィス227を裏当て層220内に提供することができる。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、被覆材155の中に作られるオリフィス227の上で、バッキング層220の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス227を通って陰圧を伝える。長い管が、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第一端部で流体コネクタ160に、第二端部でポンプユニット(図示せず)に連結されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長いチューブは、チューブまたは導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結されうる。流体コネクタ160は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、バッキング層220に接着および封止してもよい。流体コネクタ160は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0219】
いくつかの実施形態では、吸収性層221は、流体コネクタ160の下にあるように配置される、少なくとも1つの貫通孔228を含む。貫通孔228は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。図2Bに示されるように、単一の貫通孔は、流体コネクタ160の下にある開口部を生成するように使用されうる。複数の開口部が、代替として利用されうることは理解されるであろう。加えて、二つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、一つまたは二つ以上の開口部が、各流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および不明瞭化層に作られてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供しうる。
【0220】
開口部または貫通孔228は、図2Bに示されるように、オリフィスが透過層226に直接接続するように、オリフィス227の下方の吸収性層221に提供され得る。これによって、流体コネクタ160に適用される陰圧を、吸収層221を通過することなく、透過層226へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、隙間は吸収層221に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス227の下にある複数の隙間が提供されうる。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または参照することによりその全体が援用される、国際特許出願公開第2014/020440号に記載されるような不明瞭化層が、吸収層221の上およびバッキング層220の下方に提供されうる。
【0221】
裏当て層220は、気体不透過性であるが、水蒸気透過性であってもよく、創傷被覆材155の幅にわたって延在し得る。例えば、片方の面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であり得る、裏当て層220は、ガスに対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、バッキング層220と創傷部位との間に作られる。バッキング層220は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層222に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界範囲を通って引き込まれることを保証する。裏当て層220によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。バッキング層220は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの二つの層を含み得る。ポリウレタンフィルムは透湿性を持つことができ、濡れたときに水透過速度が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、バッキング層が濡れると、バッキング層の透湿性が増大する。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約10倍でありうる。
【0222】
吸収性層221は、透過層226の縁部と重複するように、透過層226よりも大きい面積を有してもよく、それによって、透過層が裏当て層220に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層222と直接接触する、吸収層221の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創傷空洞の外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある。図2Bに示されるように、吸収性層221は、裏当て層220の周囲よりも小さい周囲を画定してもよく、その結果、吸収性層221の縁部と裏当て層220の縁部との間に境界または境界領域が画定される。
【0223】
図2Bに示されるように、創傷被覆材155の一実施形態は、流体コネクタ160の下方に位置している吸収性層221に、開口部228を含む。使用中、例えば、陰圧が被覆材155に適用されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層226と接触してもよく、それゆえ、吸収層221が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷部位に陰圧を伝達するのに役立ち得る。いくつかの実施形態によって、裏当て層220を透過層226に少なくとも一部接着させてもよい。いくつかの実施形態では、隙間228は、流体コネクタ11の創傷に面する部分またはオリフィス227の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0224】
例えば、単一流体コネクタ160および貫通孔を有する実施形態では、流体コネクタ160および貫通孔が、中心から外れた位置に配置されるのが好ましい場合がある。そのような場所では、流体コネクタ160が被覆材155の残余部と比較して持ち上げられるように、被覆材155を患者の上に配置することが可能になってもよい。そのように配置すると、流体コネクタ160およびフィルタ214は、創傷部位への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ214を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0225】
ここで流体コネクタ160を参照すると、いくつかの実施形態は、封止面216と、近位端(陰圧源により近い)および遠位端140を有するブリッジ211と、フィルタ214と、を含む。密封面216は、創傷被覆材の最上表面に封止される、アプリケータを形成し得る。一部の実施形態では、流体コネクタ160の最下層は、密封表面216を含んでもよい。流体コネクタ160はさらに、一部の実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、密封表面216から垂直に間隔を空ける上表面を含んでもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成されうる。いくつかの実施形態では、封止面216は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも一つの開口部229を備えてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ214は、封止面の開口部229を横切って配置されてもよく、開口部229全体にわたってもよい。封止面216は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または溶接部を備えてもよい。いくつかの実施形態では、封止面216は、スペーサ要素215がフィルタ214と透過層226との間にギャップを作るよう構成され状態で、カバー層のオリフィスの上に配置されうる。他の実施形態では、密封表面216は、カバー層のオリフィスおよび吸収層220の開口部の上に位置してもよく、流体コネクタ160によって透過層226を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧源と連通する第一流体通路212を備えてもよく、第一流体通路212は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層226と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を備える。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第一の流体通路212を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封表面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに入ることを実質的に防止するように構成され、スペーサ要素215は、流体コネクタが透過層226に接触するのを防ぐように構成される。これらの要素については、以下により詳細に記載する。
【0226】
いくつかの実施形態は、第1の流体通路212の上方に位置付けられた任意の第2の流体通路をさらに含みうる。例えば、一部の実施形態によって、第一の流体通路212および被覆材155中への空気経路を提供するように構成され、最上層の近位端に配置される可能性がある、空気漏れ部を提供してもよく、これは、参照することによって全体が援用される、米国特許第8,801,685号に記載する吸引アダプタに類似する。
【0227】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、可撓性があり、スペーサがよじれるかまたは折り畳まれた場合でも流体が通過することを可能にする規格に準拠した材料から構成される。流体通路212の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編物、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層226に関して上に記載したものと、類似の材料から構築されうる。有利なことに、流体通路212に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路212が流体を創傷から陰圧源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供しうる。
【0228】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、ウィッキング生地、例えば、編まれたまたは織られたスペーサ生地(編まれたポリエステル3D生地、Baltex 7970(登録商標)、またはGehring 879(登録商標)など)または不織布から構成されうる。選択されたこれらの材料は、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有しうる。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、-40から-150mmHgの間の陰圧療法で使用される通常圧力下において、変わらず陰圧を創傷範囲に伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を備えてもよく、一部の場合には、陰圧の印加状況下において、流体通路212が崩れるのを妨げるのに有用でありうる。他の実施形態では、流体通路212に使用されるウィッキング生地は、1.5mmと6mmとの間であってもよく、より好ましくは、ウィッキング生地は、3mmと6mmとの間の厚さであってもよく、一つまたはいくつかの個別のウィッキング生地層から成ってもよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2~3mmの間の厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材と共に使用される吸引アダプタは、流体通路212に疎水性の層を用いてもよく、ガスのみが流体通路212を通って動いてもよい。加えて、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0229】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性であり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材155から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能しうる。通常、管孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな細孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、必須ではないものの、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートもしくはカバーフィルムに取り付けられ得るか、または封止され得る。例えば、フィルタ要素214は、流体コネクタ160に成型されてもよく、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、被覆層の最上部および吸引アダプタ160の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0230】
他のタイプの材料がフィルタ要素214に使用されうることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な細孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの細孔は、0.01マイクロメートルから10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にありうる。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、支持層と、支持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。いくつかの実施形態では、特定の実施形態による創傷被覆材155は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。多数のポリマーを用いて、MHMを形成しうる。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの一つまたは複数から形成されうる。これら任意のポリマーの全てが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特徴を得るために処理されうる。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0231】
MHMは、空気が膜を通って流れること、を可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として、よく知られる。それゆえ、MHMの組込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善しうる。
【0232】
フィルタ要素214はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体などの臭気吸収性材料を含みうる。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素214の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素214によって、オリフィスを通してガスを排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0233】
創傷被覆材155は、流体コネクタ160およびフィルタ214と共にスペーサ要素215を備えうる。こうしたスペーサ要素215を追加することで、流体コネクタ160およびフィルタ214は、吸収性層220または透過層226と直接接触しないよう支持され得る。吸収層220はまた、フィルタ214を透過層226に接触させるための追加的なスペーサ要素として作用し得る。従って、こうした構成により、フィルタ214の使用中の透過層226および創傷液体との接触が、最小化されうる。
【0234】
本明細書に記載される創傷被覆材の実施形態と同様に、いくつかの創傷被覆材は、創傷または皮膚接触面にシリコーン接着剤および/または裏面にアクリル接着剤を含むことができる、穿孔された創傷接触層を含む。創傷接触層は、特定の創傷に適した任意のパターンに合うように穿孔されうる。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ生地パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW)パッドを含みうる。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接しうる。吸収層は、一つの端部の方に向かう隙間または貫通孔を有しうる。隙間は直径約10mmでありうる。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムでありうる。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層の隙間の上に重なる、10mmの隙間を有しうる。孔の上方には、前述したアパーチャの上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを含む、流体コネクタを結合しうる。
【0235】
センサ付き創傷被覆材
本明細書に記載されるように、多数のセンサを組み込む創傷被覆材は、創傷が治癒するにつれて、その創傷の特性を監視するために利用することができる。良好に治癒する創傷、および、治癒しない創傷からのデータを収集すると、創傷の治癒または非治癒の軌道上にあるかどうかのうちの1つ以上を示す測定量を特定するための有用な知見が得られ、創傷状態、臨床フィードバックなどが得られる。創傷被覆材22などの開示された創傷被覆材のいずれかは、以下の特徴または本明細書に開示された他の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0236】
いくつかの実施では、創傷被覆材または全体的な創傷被覆材装置の一部を形成する1つ以上のコンポーネントで、多くのセンサ技術が使用されうる。例えば、いくつかの実施形態によるセンサアレイを有する創傷被覆材250および320を示す図3および図4Dに示されるように、1つ以上のセンサは、図4Dに示されるような穿孔された創傷接触層であってもよい、創傷接触層にまたはその中に組み込まれうる。図3および図4Dの創傷接触層は、正方形を有するように示されるが、創傷接触層が、例えば、長方形、円形、楕円形などの他の形を有してもよいことは理解されるであろう。一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷面積の上に設置される個々の材料層として提供され、その後、創傷被覆材装置、創傷被覆材装置の構成要素、例えば、ガーゼ、発泡体または他の創傷パッキング材料、超吸収層、ドレープ、PicoまたはAllevyn Life被覆材のような完全統合型被覆材など、によって被覆され得る。他の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、ここに記載するような、単一ユニット被覆材の一部であってもよい。
【0237】
センサ統合型創傷接触層は、創傷と接触するように配置することができ、流体が創傷内の組織への損傷を全くまたはほとんど引き起こさずに、接触層を通過することが可能になるであろう。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料から作ることができ、抗菌剤、または当該技術分野で知られる他の治療薬を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ、またはセンサアレイは、上に記載した吸収層またはスペーサ層など、創傷被覆材の他の構成要素内に取り込まれ得るか、または被包され得る。
【0238】
図3および図4Dに示されるように、例えば、温度センサ(5×5アレイ、およそ20mmピッチの25個のサーミスタセンサなど)、酸素飽和度またはSpO2センサ(創傷接触層の中心からその縁部まで単一直線、10mmピッチの4個または5個のSpO2センサなど)、組織色センサ(2×5アレイ、およそ20mmピッチの10個の光学センサ(アレイの各列の5個のセンサすべてが整列している必要はない)など)、pHセンサ(pH感受性パッドの色を測定することによって、任意に組織の色用と同じ光学センサを任意で使用することなど)、および伝導度センサ(3×3アレイ、およそ40mmピッチの9個の伝導度接触部など)を含む、5個のセンサが使用され得る。図4Aに示されるように、SpO2センサは、創傷接触層の中心からまたは中心付近から、その縁部への単一直線状に配置され得る。SpO2センサの直線によって、センサが、様々な領域間の変化を測定するように、創傷の真ん中で、縁もしくは創傷で、または無傷の皮膚上で測定値を得ることが可能になり得る。一部の実施形態では、創傷接触層またはセンサアレイは、創傷の全体表面範囲だけでなく周囲の無傷の皮膚も被覆するように、創傷のサイズよりも大きくなり得る。より大きなサイズの創傷接触層および/またはセンサアレイ、および複数のセンサによって、センサが創傷の中心にのみ設置されていた場合、または一度に領域の一箇所ずつの場合よりも、創傷領域についてより多くの情報を提供しうる。
【0239】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または当技術分野で知られている任意の材料と共に、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)を含む可撓性のポリマーから形成される、可撓性の回路基板上に組み込まれうる。センサアレイは二層の可撓性回路の中に組み込まれうる。いくつかの実施形態では、回路基板は、多層の可撓性回路基板でありうる。いくつかの実施形態では、これらの可撓性回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれうる。いくつかの実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれうる。例えば、可撓性回路は、図2Bを参照して記載された創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれ得る。創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷領域に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有しうる。
【0240】
いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の2層の間に挟まれる可撓性回路基板を伴う、第1および第2の創傷接触層を含みうる。第一の創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下表面と、可撓性回路基板と接触するように意図する上表面とを有する。第二の創傷接触層は、可撓性回路基板と接触するように意図する下表面と、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する、一つ以上の構成要素と接触するように意図する上表面とを有する。第一の創傷接触層の上表面および第二の創傷接触層の下表面は、二層の間に挟まれる可撓性回路基板と共に接着されうる。
【0241】
いくつかの実施形態では、可撓性回路基板の1つ以上のセンサは、創傷内の水分または流体との接触を妨げるように、創傷接触層によって完全に被包または被覆されうる。いくつかの実施形態では、第一の創傷接触層は、下表面から突出し、創傷領域に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有しうる。例えば、図4Dに示されるような1つ以上のSpO2センサは、創傷接触層の底面から突出して示されている。いくつかの実施形態では、SpO2センサは、第一の創傷接触層の下表面上に直接載置されうる。センサおよび電気もしくは電子コンポーネントのいくつかまたはすべては、ポリマー、例えば、シリコーンまたはエポキシベースのポリマーで、埋められるかまたは被包されてもよい(例えば、防水または防液の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、およびコンポーネントからの化学物質浸出を防ぎうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層材料は、水が進入したり化学物質が浸出したりしないように、コンポーネントを密閉しうる。
【0242】
いくつかの実施形態では、創傷に関係する情報を収集および処理することは、センサアレイ、制御または処理モジュール、およびソフトウェアを含む、3つのコンポーネントを利用し得る。三つの構成要素について、本明細書により詳細に記載する。
【0243】
図4Aは、いくつかの実施形態による、センサアレイ部分301、テール部分302、およびコネクタパッド端部分303を含む、可撓性のセンサアレイ回路基板300を示す。センサアレイ部分301は、センサおよび関連回路を含みうる。センサアレイの回路基板300は、センサアレイ部分301から延在する、長い尾部分302を含みうる。コネクタパッド端部分303は、センサアレイ回路からデータを受信するように、制御モジュールもしくは他の処理ユニットに接続することが可能になりうる。長い尾部分302によって、コントロールモジュールを、例えば、創傷から離れた、より都合の良い場所などの、創傷から遠くに配置することが可能になり得る。
【0244】
図4Bは、いくつかの実施形態による、4個の異なるセンサアレイの幾何学形状301A、301B、301C、301Dを有する可撓性の回路基板の実施形態を示す。図示した実施形態は、尾部分302A、302Bを含む。302C、および302D。いくつかの実施形態では、可撓性の回路基板は、短い部分を含むか、またはテール部分を含まない。いくつかの実施形態では、四つの異なるセンサアレイ形状は、可撓性回路に実装され得る。図4Bは、4個の異なるセンサアレイ形式および構成を示すが、設計301Bおよび302Bは、スポンサーアレイ301Bと制御モジュールとの間に電気または電子接続部を提供するように構成されたコネクタパッド端部分303も含む。301A、301C、または301Dの設計のうちの一つまたは複数は、部分303といった、コネクタパッド端部分を含み、可撓性回路基板301A、301C、または301Dがコントロールモジュールまたはその他の処理ユニットと通信できるようにする。いくつかの実施形態では、センサアレイはコントロールモジュールと無線通信し、尾部分は省略されてもよい。
【0245】
図4Cは、図4Bのセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301Bを、より詳細に示す。図3または図4A図4Dの実施形態のうちのいずれか1つ以上では、センサアレイ部分が、創傷接触層などの創傷被覆材コンポーネントの周囲近辺、または創傷被覆材コンポーネントの外縁から内方のいずれかに延在する複数の部分を含みうる。例えば、図示する実施形態は、創傷被覆材構成要素の縁に平行で、一部の実施形態では、創傷被覆材構成要素の全体周囲を辿ってもよい、複数の直線延在部分を含む。いくつかの実施形態では、センサアレイ部分は、第二の複数の平行な直線延在部分と垂直である、第一の複数の平行な直線延在部分を含みうる。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材コンポーネントの内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。センサアレイ部分は、創傷被覆材コンポーネント全体を被覆しないことが好ましく、そのため、センサアレイの部分間に割れ目が形成される。図3に示されるように、これにより、いくつか、および場合により大多数の創傷被覆材コンポーネントのカバーを、センサアレイによって取ることが可能になる。例えば、図3および4Dに示されるような穿孔された創傷接触層に対して、センサアレイ部分301は、創傷接触層の大多数の穿孔を遮断しなくてもよい。いくつかの実施形態では、センサアレイはまた、流体の流れへの穿孔の遮断を最小化するために、創傷接触層の穿孔に合致するように穿孔されてもよく、または形作られてもよい。
【0246】
図4Dは、いくつかの実施形態による、穿孔された創傷接触層320に組み込まれた可撓性のセンサアレイを示す。示す通り、センサアレイは、二つのフィルムまたは創傷接触層の間に挟まれ得る。創傷接触層は、創傷滲出液が被覆材の中へ流れるのが可能になる一方で、創傷被覆材の中への組織内殖を妨げるのに役立つほど充分小さい、上に記載した通りのスリットまたは孔として形成される穿孔を有しうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、統合型センサアレイを伴う創傷接触層の可撓性を増大させる、一つまたは複数のスリットを有しうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層のうちの一つは、センサが皮膚に直接接触し得るように、センサを収容する余分な切り取り部を有しうる。
【0247】
センサアレイの接続性は、利用される様々なセンサおよびセンサアレイ設計によって変化しうる。いくつかの実施形態では、例えば、図4Bに示されるように、総計79個の接続部を使用して、センサアレイのコンポーネントを接続することができる。センサアレイは、40本、ピッチ0.5mmの平行フラットフレキシブルケーブル(FFC)の二つの接触表面で終端することができ、最上表面上に端子を伴い、Molex 54104-4031などのFFCコネクタに接続するように設計される。
【0248】
いくつかの実施形態では、サーミスタ、伝導度センサ、SpO2センサ、または色センサなどのうちの1つ以上を、センサアレイ上で使用して、創傷および/または傷創の状態に関連する情報を提供することができる。本明細書に開示されるセンサアレイおよび/または個別のセンサのいずれかは、臨床医が創傷の治癒または創傷の非治癒(静的、劣化などのような)を含みうる創傷の状態の監視することを支援することができる。一つまたは複数のセンサは、創傷および創傷治癒特徴に関係するデータを提供するように、個々にまたは互いと連携して動作しうる。
【0249】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対またはサーミスタを使用することができる。サーミスタは、基礎を成す創傷の温度、もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定または追跡するように使用され得る。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理されうる。いくつかの実施形態では。周囲空気温度を測定する周囲センサは、環境温度シフトに関連する問題の排除を支援するためにも使用できる。
【0250】
光学センサを使用して、照射源を有するRGBセンサを使用して、創傷の外観を測定することができる。いくつかの実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0251】
組織の中の光伝播は、2つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配されうる。減弱に対して、光が組織を通過するとき、組織の様々な構成要素による吸収のために、光の強度が損なわれる場合がある。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0252】
散乱プロセスはより複雑である場合があり、考慮しなくてはならない様々な「方法」を有し得る。散乱の第一態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定されうる。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に関与する別の要素は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、スキャット事象はおよそ100ミクロン離れているため、1mmの行程距離により、光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0253】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光フィルタを、組織色分化を通して測定するための光学センサのコンポーネントとして使用することができる。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定されうる。これは、拡散した散光、すなわち、皮膚と接触するLEDからの色の感知を含みうる。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサと共に使用されうる。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像しうる。
【0254】
さらに、光学センサを使用して、自己蛍光を測定することができる。組織は一つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。加えて、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となりうる。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、一部の他の波長がシフトされたバンド)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0255】
伝導度センサは、生きている組織と死んだ組織との間の差を決定するか、または病的組織の中で開いている創傷に起因する、インピーダンスの変化を示すかに使用されうる。伝導度センサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含みうる。伝導度センサは、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用されうる。一部の実施形態では、センサアレイは、創傷サイズまたは創傷の形の変化による、周囲の電極上の伝導度の変化を測定するように、伝導度センサを利用し得る。一部の実施形態では、伝導度センサは、創傷床の中でまたは創傷の周囲で使用され得る。
【0256】
いくつかの実施形態では、pHが変化するパッドがpHセンサとして使用されうる。分光計、および広帯域の白色光源は、pH色素のスペクトル応答を測定するように使用されうる。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ面にある最下表面上とに提供されうる。代替として、いくつかの実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供されうる。
【0257】
いくつかの実施形態では、パルスオキシメトリSpO2センサが使用されうる。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、二つの異なる光波長で、光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。二つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0258】
センサアレイの中のコンポーネントは、複数の接続部を通じて接続されうる。一部の実施形態では、サーミスタは、五個一組で配設され得る。各サーミスタは名目上10kΩであり、五つの各グループは共通の接地を有する。五組のサーミスタがあり、全部で30個の接続部を供給する。一部の実施形態では、九個の伝導性端子が存在し得る。各伝導性端子は一つの接続部を必要とし、全部で九個の接続部を供給する。一部の実施形態では、五個のSpO2センサが存在し得る。SpO2センサは、電力および接地(これらは別途被覆される)に加え三つの接続部を必要とし、全部で15個の接続部を供給する。一部の実施形態では、10色のpHセンサが存在し得る。各色センサは、RGB LEDおよびRGBフォトダイオードを含む。各色センサは六個の接続部を必要とするが、しかしながら、これらのうちの五個は全センサに共通し、全部で15個の接続部を供給する。電力および設置は別途考慮される。一部の実施形態では、5個のpHセンサが存在し得る。pHセンサは色が変化するディスクであることができ、上に記載した色センサを使用して感知され得る。そのため、pHセンサは追加の接続部を必要としない。三つの電源レールおよび七個の接地リターン信号があり、全部で10個の共通接続部を供給し得る。いくつかの実施形態には、25サーミスタ(Murata NCP15WB473E03RC)、9導電率端子、5Spo2(ADPD144RI)、10RGB LED(KPTF-1616RGBC-13など)、10個のRGB色センサ、10FET、プリント回路基板(PCB)、および組立品を含み得る。
【0259】
本明細書に記載されるように、制御モジュールは、センサアレイと連動するように使用され得る。コントローラ24は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、センサを駆動するように、バッテリなどの電源および電子機器を包含し得る。また制御モジュールにより、適切な間隔でデータのログを取り、図1Aに示されるように、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部コンピュータデバイスへの、データ転送が可能となり得る。コントロールモジュールは、センサアレイで使用されるセンサと、センサにより収集されるデータとによって、様々な特徴部を有するようにカスタマイズされ得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、数週間継続して身に着けられるほど、充分快適で小型であり得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材近くまたは創傷被覆材上に位置し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材および付随のセンサアレイから遠隔の場所に位置し得る。コントロールモジュールは、被覆材上、被覆材近くまたは創傷被覆材から遠隔に位置していても、電線を介してまたは無線通信によって、センサアレイおよび創傷被覆材と通信し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、異なるセンサアレイと共に利用されるように適応することができ、センサアレイの容易な交換が可能となり得る。
【0260】
いくつかの実施形態では、制御モジュールは、以下の表1に列挙する特徴を含むが限定はされない、様々な要件および特徴の組み合わせを含み得る。
【0261】
【表1】
【0262】
図4Eは、いくつかの実施形態による、制御モジュールのブロック図330を示す。コントローラ24は、図示および説明された特徴のうちの1つ以上を含むことができる。制御モジュールのブロック図は、伝導度ドライバの特性を表示する、伝導度ドライバボックス391を含む。ボックス392は、サーミスタインターフェースの特性を示し、ボックス393は光インターフェースの特性を示す。コントロールモジュールは、ボックス394に示されるものと類似の特徴を伴う、コントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。リアルタイムクロック(RTC)、状態LED、USBコネクタ、シリアルフラッシュ、およびデバッグコネクタは、図4Eに示されるように、制御モジュールの特徴部として含まれ得る。
【0263】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの1つ以上を有し得る。2.4GHzまたは好適なアンテナを備えた別の適切な周波数無線395(統合型または外付けのいずれか)、付属のBluetooth(登録商標)ソフトウェアスタック、SPIインターフェース、USB(または外部USBドライバの場合はUART)、I2C、3チャネルPWM、32 GPIO、または6チャネルADC。いくつかの実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要としうる。Bluetooth(登録商標)スタックは通常、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされうる。いくつかの実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされうる。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアでありうる。いくつかの実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0264】
いくつかの実施形態では、制御モジュールは、ローカル記憶装置の量がサンプルレートおよびセンサ解像度によって異なるメモリコンポーネントを含むことができる。例えば、推定されるデータ要件である256Mb(32MB)は、いくつかの製造業者(Micron、Spansion)のシリアルフラッシュデバイスを使用することによって満たされ得る。
【0265】
制御モジュールは、1つ以上のアナログスイッチを利用することができる。いくつかの実施形態では、優れたオン抵抗および合理的な帯域幅を伴うアナログスイッチが使用されうる。例えば、Analog DevicesのADG72またはNXPのNX3L4051HRが使用されうる。初期システムアーキテクチャに基づき、これらのうちの8つが必要となる。
【0266】
制御モジュールは、バッテリなどの電源を組み込み得る。例えば、300mWh/日のバッテリが使用されうる。7日間で2100mWhである。これは、10日間分の非充電式ER14250(直径14.5mm×25mm)LiSOCl2セル、または7日間分の充電式Li 14500(直径14.5mm×500mm)Li-Ionにより提供されうる。
【0267】
制御モジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込みうる。RTCは、結晶を伴ういずれのRTCデバイスより選ばれうる。制御モジュールはまた、種々の抵抗器、コンデンサ、コネクタ、充電コントローラおよび他の電力供給部も含みうる。
【0268】
制御モジュールのPCBは、およそ50mm×20mmまたは25mm×40mmの4層基板でありうる。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動されうる。
【0269】
制御モジュールの筺体は、センサアレイまたはバッテリを充電するために、容易にアクセスが可能になるクリップ特性部を有する、2つの部分からなる成形品でありうる。
【0270】
センサアレイを通して収集されるデータは、制御モジュールを通過し、ホストソフトウェアによって処理され得る。ソフトウェアは、コンピューティングまたは処理デバイス上で実行されてもよい(図1Aを参照)。処理デバイスは、PC、タブレット、スマートフォン、またはホストソフトウェアを実行可能な他のコンピュータであってもよい。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通してまたは無線通信によって、コントロールモジュールと通信し得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、ビッグデータ解析を実施するのではなく、コントロールモジュール上に保管するデータへのアクセスを提供するように構成されてもよい。ホストソフトウェアは、Bluetooth(登録商標)またはUSBを介した、コントロールモジュールに対するインターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、ホストソフトウェアは、制御モジュールの状態読み取り、制御モジュールからのログデータのダウンロード、制御モジュールへのサンプル速度制御のアップロード、制御モジュールデータのビッグデータ解析エンジンによる処理に好適な形式への変換、または解析エンジンによる処理用クラウドへのデータのアップロード(図1Aを参照)を行い得る。
【0271】
ソフトウェアは、PC(Windows/Linux(登録商標))、タブレットもしくはスマートフォン(Android/iOS)、または複数のプラットフォーム向けに開発されてもよい。
【0272】
センサおよびその他の関連システムを備えた創傷被覆材の追加の実施形態は、2017年5月12日出願の国際出願PCT/IB2017/000693号、名称「SENSOR ENABLED WOUND MONITORING AND THERAPY APPARATUS」に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0273】
いくつかの実施形態では、陰圧の源(ポンプなど)、ならびに電源(単数または複数)、センサ(単数または複数)、コネクタ(単数または複数)、ユーザインターフェースコンポーネント(単数または複数)(ボタン(単数または複数)、スイッチ(単数または複数)、スピーカ(単数または複数)、画面(単数または複数)などのような)など、局所陰圧システムの他のコンポーネントのいくつかまたはすべては、創傷被覆材と統合されうる。いくつかの実施形態では、構成要素は、バッキング層の最上部下方、最上部内、最上部上、またはバッキング層に隣接して統合され得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれの上に、位置決め用第二のカバー層または第二のフィルタ層を含み得る。第二カバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合されたコンポーネントを取り囲んでいた、別個の外皮でありうる。
【0274】
本明細書で使用される通り、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0275】
センサ対応の創傷被覆材におけるコンポーネントの配置
いくつかの実施形態では、センサ、接続部などのような電気または電子コンポーネントは、1つ以上の創傷被覆材コンポーネント上に配置もしくは位置付けられるか、または埋め込まれ得、その創傷被覆材コンポーネントは、創傷、皮膚、または創傷および皮膚の両方の中または上に配置され得る。例えば、1つ以上の電子コンポーネントは、図2Bの創傷接触層222の下面224などの、創傷に面する創傷接触層側に位置付けられ得る。創傷接触層は、創傷に適合するか、または覆うために可撓性、弾性、または伸縮性、もしくは、実質的に可撓性、弾性、または伸縮性であってもよい。例えば、創傷接触層は、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの一つまたは複数といった、伸縮性または実質的に伸縮性のある材料から作製されうる。いくつかの実例では、一つまたは複数の電子部品は、あるいは、またはさらに、透過層、吸収性層、バッキング層、または創傷被覆材のその他任意の好適な層のうちの、いずれか一つまたは複数に位置決めまたは埋め込まれ得る。
【0276】
伸縮可能または実質的に伸縮可能な材料は、長さまたは幅など、その開始寸法の5%以下、10%以下、20%以下、または20%以上伸張することができる。いくつかの事例では、伸縮可能または実質的に伸縮可能な材料は、伸張後の開始寸法(長さまたは幅など)の5%以下以内に戻ることができる。
【0277】
いくつかの実施では、創傷により良く適合するか、または創傷を被覆するように、創傷接触層に伸縮性があることが望ましい場合があるが、電子コンポーネントのうちの少なくともいくつかに伸縮性または可撓性がなくてもよい。こうした事例では、創傷が創傷被覆材で被覆され、創傷接触層が創傷の中、または上に位置決めされると、電子部品の支持領域または取付部上といった、一つまたは複数の電子部品上に、望ましくないまたは過剰な、局所的な歪みまたは応力が加えられ得る。例えば、このような応力は、患者の動き、創傷の形状またはサイズの変化(その治癒のため)などに起因することがある。このような応力は、一つまたは複数の電子部品の移動、脱落、または誤作動(例えば、ピンまたは別のコネクタが接続解除されることによる開回路の発生)を引き起こす場合がある。一つまたは複数の電子部品によって回収された測定値が、創傷の、同一または実質的に同一の配置または領域における経時変化を正確に捕えるよう、創傷に対して(例えば、創傷に接触して、創傷接触層上で同一または実質的に同一の配置または領域に一つまたは複数のセンサといった、一つまたは複数の電子部品の位置を維持することが望ましい場合がある。伸縮性の創傷接触層の表面は、例えば、患者が動くと移動し得るが、創傷に対して同一配置または領域に配置された一つまたは複数の電子部品を有することが望ましい場合がある。
【0278】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、非伸縮性または実質的に非伸縮性材料の1つ以上の領域などの、1つ以上の固く、剛性があり、もしくは非伸縮性の、または、実質的に固く、剛性があり、もしくは非伸縮性の領域は、1つ以上の電子コンポーネントを支持するための創傷接触層(または別の好適な創傷被覆材コンポーネント)上に装着され得るか、位置付けられ得るか、または配置され得る。一つまたは複数の非伸縮性または実質的に非伸縮性領域に一つまたは複数の電子部品を取り付けること、位置決めすること、または配置することは、創傷に対して一つまたは複数の電子部品の位置を維持することに伴って、局所的な応力または助力が形成されることを防止し得る。いくつかの実例では、あるいは、またはさらに、一つまたは複数の電子構成要素は、一つまたは複数の可撓性材料上に取り付けられるか、または印刷されるか、またはそれによって支持されるなど、可撓性であってよい。例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエステル、シリコーン、等といった、可撓性プラスチックシートまたは基板が使用されてもよい。
【0279】
図5A図5Bは、いくつかの実施形態による、複数の電子コンポーネントを備える創傷被覆材400を示す。示されるように、シートまたは基板430は、複数のコネクタ404および複数の電子接続部410を有する電子部品またはモジュール402を含む一つまたは複数の電子部品と、非伸縮性または実質的に非伸縮性領域422および424を支持するよう構成される。基材430は、本明細書に記載されるように、伸縮性または実質的に伸縮性の創傷接触層であってもよい。電子モジュール402は、センサ、光源(LED、温度センサ、光センサ、等)、コントローラ、またはプロセッサ(通信プロセッサ、等)、等といった、本明細書に記載される任意の電子部品であってもよい。電子接続410は、導電性銅、導電性インク(銀インク、銀インク、銀/銀クロリドインク、銅インク、黒鉛インク、炭素インク、誘電インク、等)を使用するなど、基板430上に印刷されたトラックであってもよい。電子接続部410の少なくともいくつかは、可撓性または伸縮性であるか、または、実質的に可撓性または伸縮性であってもよい。コネクタ404は、電子モジュール402を電子接続部410に電気的に接続するよう構成され得(図4Bに示すように)、さらに、基材430上、創傷被覆材の他の構成要素上または中、または、創傷被覆材の外側に位置決めされたその他の電子モジュール(図示なし)に接続され得る。コネクタ404は、ピン、リード線、バンプ、パッド等であってもよい。さらに、またはあるいは、ソケットを使用して、電子モジュール402を支持、および電気的に接続することができる。領域422および424は、接着剤、エポキシ、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、PET、PBT、または高いヤング率を有する別のタイプの材料のうちの一つまたは複数といった、非伸縮性または実質的に非伸縮性材料を含み得る。領域422および424のうちの一つまたは複数を、基板430上に印刷することができる。本明細書で使用されるように、基板上に材料を印刷することは、ラミネートすること、接着させること、またはその他好適な技術のうちの一つまたは複数を含み得る。
【0280】
図5Bは、基材430上に位置付けられたコンポーネントを示す。示されるように、電子モジュール402は、領域422に取り付けられるか、またはそれによって支持される。電子接続部410の一部分または一部は、領域424に取り付けられるか、またはそれによって支持される。また、一部の実施形態により、基板430に形成されたスリット、穴、または穿孔が図示されている。本明細書に記載されるように、基板430は、冷ピン穿孔、温ピン穿孔、レーザー切除穿孔、超音波または超音波穿孔、等のうちの一つまたは複数を使用して穿孔されて、創傷接触層を液体および気体に対して浸透性とすることができる。いくつかの実装では、一つまたは複数の利用された穿孔プロセスは、穴周りの平坦な、または実質的に平坦な基板か、不均等な表面(ドーナツ形状面、等)のいずれかを生成できる。相似被覆が適用される(本明細書に記載されるような、スプレー、ブラシ、押出料、等を介して、等)場合、平坦な、または実質的に平坦な基板を有することは、均質な層を生成することを支援することができる。さらに、構成要素の周りに穿孔が行われるとき、基板の表面を不均等に、または実質的に不均等のまま残す穿孔プロセスを使用することによって、電子接続部410または電子モジュール402などの一つまたは複数の構成要素が除去されるリスクが大きくなり得る。
【0281】
特定の実施では、電子接続部410、電子モジュール402、または領域422もしくは424などの、基材430上に配置された1つ以上のコンポーネントの周囲に穿孔が作製されるか、またはパターン化される。コンポーネントのインデックス付けを使用して、1つ以上のコンポーネントが穿孔によって損傷されないように、基材430上の1つ以上のコンポーネントの位置を自動的に特定することができる。いくつかの実施形態では、基材上に配置されている、図4Aに示された一つまたは複数の構成要素の前に、基板を穿孔することができる。
【0282】
いくつかの実施形態では、より多くの領域422または424のうちの1つに加えて、またはその代わりに、基材430によって支持される電子コンポーネントは、特に基材430が伸縮可能または実質的に伸縮可能である場合に、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング(図示せず)でコーティングされうる。本明細書に記載されるように、このようなコーティングは、電子コンポーネント(電子モジュールまたは電子接続部を含みうる)に応力緩和を提供することができる。コーティングを、電子コンポーネントの上および周囲に塗布することができる。コーティングは、生体適合性または疎水性のうちの1つ以上であり得る。
【0283】
本明細書に記載される非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングを、アクリレートまたは修飾ウレタン材料(Henkel Loctite 3211など)から形成することができる。例えば、コーティングは、Dymax 1901-M、Dymax 9001-E、Dymax 20351、Dymax 20558、Henkel Loctite 3211、または別の好適な材料のうちの一つまたは複数とすることができる。
【0284】
いくつかの実施形態では、電子接続部410または電子モジュール402などの、基材430または基材によって支持される構成要素のうちの1つ以上を被包またはコーティングするように構成される共形コーティング(図示せず)を塗布することができる。このようなコーティングは、生体適合性を提供するか、電子機器が流体などと接触することから遮断または保護し得る。コーティングは、一つまたは複数の好適なポリマー、接着剤、例えば1072-M接着剤(例えば、Dymax 1072-M)、1165-M接着剤(例えば、NovAchem Optimax 8002-LV、Dymax 1165-M、など)、10901-M接着剤(例えば、Dymax 1901-M、または9001-E Dymax)、パリレン(例えば、Parylene C)、シリコーン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、アクリル化ウレタン代替品(例えば、Henkel Loctite 3381)、または他の好適な生体適合性および実質的に伸縮性材料を含みうる。基材430を共形コーティングで被包するために、共形コーティングを基材430の反対側(コンポーネントを指示しない側など)に塗布することができる。
【0285】
創傷被覆材400、非伸縮性もしくは実質的に非伸縮性のコーティング、または共形コーティングのうち1つ以上に関する追加の詳細は、2018年4月11日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/059333号、または2018年7月23日に出願の国際特許出願第PCT/EP2018/069883に記載されており、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0286】
いくつかの実施形態では、創傷と直接接触していない創傷被覆材または別の構造の層(単数もしくは複数)の中またはその上に、1つ以上のセンサを位置付けることができる。そのような場合、センサは、創傷および/または傷創に関連付けられているインピーダンス、温度、色、圧力などのうちの1つ以上を測定することができる。例えば、創傷滲出液を輸送または吸収する被覆材層の上に1つ以上のセンサを配置することができる。この例では、1つ以上のセンサは、創傷滲出液のインピーダンス、温度、色などうちの1つ以上を測定することができる。これらの測定値を使用して、創傷の状態を決定することができ、これは(本明細書に記載されるように)創傷の治癒または創傷の非治癒を含むことができる。
【0287】
他の変形
いくつかの実施形態では、創傷監視および/または療法システムは、創傷または傷創のうちの少なくとも1つの測定データを得取得するように構成された1つ以上のセンサを含む創傷被覆材を含む。システムは、以下のうちの1つ以上を含むこともできる:創傷被覆材に接続されるように構成され、創傷被覆材から測定データを受信するようにさらに構成されたコントローラと、コントローラに接続されるように構成され、コントローラから定期的にデータを受信するようにさらに構成された通信デバイスと、患者の標的領域の皮膚灌流圧を測定するように構成された皮膚灌流測定デバイスと、通信デバイスおよび灌流測定デバイスに接続されるように構成されたコンピューティングデバイスであって、コンピューティングデバイスが、通信デバイスおよび灌流測定デバイスからデータを受信するようにさらに構成されている、コンピューティングデバイスと、コンピューティングデバイスからデータを受信および集約するように構成されたリモートコンピューティングデバイス。
【0288】
先行する段落に記載のシステムは、以下の特徴のうちの1つ以上を含みうる。システムは、創傷または傷創の少なくとも1つの1つ以上の画像を撮影するように構成され、画像データをリモートコンピューティングデバイスに通信するように構成されたコンピューティングデバイスを含みうる。創傷被覆材は、1つ以上のセンサを支持する、実質的に可撓性の創傷接触層を含みうる。創傷被覆材は、測定データをコントローラまたは通信デバイスのうちの少なくとも1つに通信するように構成されたアンテナも含みうる。
【0289】
いくつかの実施形態では、創傷監視装置は、創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材を含み、創傷被覆材は、1つ以上のセンサを支持する少なくとも1つの実質的に可撓性の基材を含む。
【0290】
1つ以上の先行する段落のシステムおよび/または装置は、次の特徴のうちの1つ以上を含み得る。少なくとも1つの実質的に可撓性の基材は、実質的に可撓性のプリント回路を含み得る。実質的に可撓性のあるプリント回路は、可撓性ポリマーを含み得る。少なくとも一つの実質的に可撓性のある基材は、実質的に可撓性のある非導電メッシュを含み得る。メッシュは、複数の穿孔を含むことができる。1つ以上のセンサは、互いに電気的に接続された複数のセンサを含み、複数のセンサは、コントローラおよび電源と電気的に接続されるように構成されている。一つ以上のセンサは、一つ以上の温度センサ、伝導度センサ、マルチスペクトル光学測定センサ、pHセンサ、圧力センサ、比色センサ、光学センサ、紫外線(UV)センサまたは赤外線(IR)センサを含み得る。システムおよび/または装置は、1つ以上のセンサと電気的に連通するコントローラを含み、コントローラは、1つ以上のセンサからデータを受信し、創傷に関連付けられている1つ以上の状態を決定するように、1つ以上のセンサによって収集されるデータを処理するように構成された処理デバイスへ、データを通信するように構成され得る。
【0291】
1つ以上の先行する段落に記載のシステムおよび/または装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含みうる。コントローラまたは処理デバイスのうちの少なくとも1つは、創傷に関連付けられている1つ以上の状態に基づいて、創傷が治癒しているか治癒していないかを示すように構成されうる。コントローラは、一つ以上のセンサまたは処理デバイスのうちの少なくとも一つと無線通信するように構成され得る。コントローラは、1つ以上のセンサまたは処理デバイスのうちの少なくとも1つと、1つ以上の導電性トラックを通じて電気通信するように構成され得る。処理デバイスは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット形式のコンピュータデバイス、スマートフォンまたはカスタムコンピュータデバイスを含み得る。1つ以上のセンサによって収集されるデータは、クラウドコンピューティングデバイスに通信されるように構成され得る。
【0292】
1つ以上の先行する段落に記載のシステムおよび/または装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含みうる。創傷被覆材は創傷接触層を含むことができ、基材は創傷接触層上または中に位置し得る。創傷接触層は、第1の創傷接触層および第2の創傷接触層を含むことができ、基材は、第1および第2の創傷接触層の間に挟まれる。1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、創傷と直接接触するように構成され得、1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つは、第1の創傷接触層と第2の創傷接触層との間で被包され得る。1つ以上のセンサは、創傷と直接接触するように構成された少なくとも1つの第1のセンサと、創傷と接触しないように構成された少なくとも1つの第2のセンサと、を含み得る。
【0293】
1つ以上の先行する段落に記載のシステムおよび/または装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含みうる。システムおよび/または装置は、創傷接触層の上に位置付けられた吸収層と、創傷接触層の上に位置付けられた裏当て層とを含むことができ、創傷接触層は、裏当て層に封止される。システムおよび/または装置は、裏当て層上にポートを含むことができ、ポートは、創傷被覆材を陰圧源に接続するように構成される。創傷被覆材は、陰圧を使用せずに創傷を治療するように構成される、多層創傷被覆材の中に含まれ得る。システムおよび/または装置は、創傷被覆材とは別に、創傷の上に位置付けられるように構成された創傷パッキング層およびドレープを含み得る。システムおよび/または装置は、創傷被覆材と流体連通するように構成され、陰圧を創傷に印加するようにさらに構成された陰圧源を含み得る。
【0294】
いくつかの実施形態では、創傷監視装置は、創傷と接触するように構成された創傷被覆材を含み、創傷被覆材は、創傷または傷創のうちの少なくとも1つの測定データを取得するように構成された1つ以上のセンサと、1つ以上のセンサによって取得された測定データを受信し、かつセキュリティプロトコルに従って測定データをリモートコンピューティングデバイスに送信するように構成されたコントローラと、を含む。
【0295】
先行する段落に記載の装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。創傷被覆材は、1つ以上のセンサを支持する、実質的に可撓性の創傷接触層を含みうる。セキュリティプロトコルは、測定データを暗号化することを含みうる。セキュリティプロトコルは、測定データに関連付けられている患者識別情報またはリアルタイムクロック情報を送信に含めないことを含みうる。コントローラは、非リアルタイムクロックを維持するようにさらに構成されてもよく、セキュリティプロトコルは、測定データに関連付けられている非リアルタイムクロックデータを送信に含めることを含みうる。関連する非リアルタイムクロックデータを伴う測定データの送信は、リモートコンピューティングデバイスがリアルタイムクロックデータを利用して測定データをリアルタイムクロックデータを相関させることを引き起こしうる。
【0296】
開示された実施形態のいくつかは、創傷被覆材の中または上でのセンサなどの電子コンポーネントの配置を図示しているが、開示されたコンポーネントの配置は、そのように限定されない。いくつかの実施形態では、コンポーネントは、別の被覆材、構造体、もしくは基材上に配置されてもよく、または本明細書で広く定義されるように、任意の創傷上に位置付けられるために別個に提供されてもよい。コンポーネントの配置は、創傷の防止または治療のうち1つ以上に使用することができる。
【0297】
いくつかの実施形態では、創傷に面する側の反対にある創傷接触層の側に1つ以上の電子コンポーネントを位置付けることができる。本明細書に記載されるシステムおよび方法は、このようなコンポーネントの配置に等しく適用可能である。本明細書に記載される創傷被覆材の実施形態は、記載された他の創傷被覆材の実施形態のいずれかの特徴を含むことができる。同様に、本明細書に記載される任意のコントローラは、記述された他の創傷被覆材の実施形態のいずれかの特徴を含むことができる。さらに、特定の実施形態に記載された任意のデバイス、コンポーネント、またはモジュールは、デバイス、コンポーネント、またはモジュールの記述された他の実施形態のいずれかの特徴を含むことができる。
【0298】
本明細書に提供される閾値、制限、期間などの値は、絶対的な値を意図したものではなく、したがっておよその値とすることができる。さらに、本明細書で提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザによって、固定されるかまたは変えられうる。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下にある、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、種々のプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明されうるが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈されうる。
【0299】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特性のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特性またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0300】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変形がなされうる。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々なコンポーネントが、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェア構成要素は論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0301】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特徴および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定されうる。
【0302】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」等の条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特性、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特性、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特性、行為、および動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味しうる。
【0303】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」等の連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語等が、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも一つのXと、少なくとも一つYと、少なくとも一つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0304】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語等の、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味しうる。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特徴を意味する。
【0305】
本開示の範囲は、本節または本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節または本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義されうる。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、前記創傷または傷創のうちの少なくとも1つの測定データを取得するように構成された1つ以上のセンサを含む、創傷被覆材と、
コントローラであって、
非リアルタイムクロックを示すデバイスクロックを維持すること、
前記1つ以上のセンサによって取得された測定データを受信すること、および
セキュリティプロトコルに従って、測定データをリモートコンピューティングデバイスに送信することであって、前記セキュリティプロトコルが、前記測定データに関連付けられている前記デバイスクロックを前記送信に含む、送信すること、を行うように構成された、コントローラと、を備える、創傷監視および/または療法装置。
[付記項2]
前記創傷被覆材が、前記1つ以上のセンサを支持する実質的に可撓性の創傷接触層を含む、付記項1に記載の装置。
[付記項3]
前記セキュリティプロトコルが、前記測定データを暗号化することをさらに含む、付記項1または2に記載の装置。
[付記項4]
前記セキュリティプロトコルが、前記測定データに関連付けられている患者識別情報またはリアルタイムクロック情報を前記送信に含めないことをさらに含む、付記項1~3のいずれか一項に記載の装置。
[付記項5]
前記関連するデバイスクロックデータを伴う前記測定データの送信は、前記リモートコンピューティングデバイスが、前記デバイスクロックデータを用いて前記測定データを前記リアルタイムクロックデータと相関させることを引き起こす、付記項1~4のいずれか一項に記載の装置。
[付記項6]
前記コントローラが、初期化中に、初期デバイスクロックデータを前記リモートコンピューティングデバイスに送信するようにさらに構成されており、
前記関連するデバイスクロックデータを伴う前記測定データの送信は、前記リモートコンピューティングデバイスが、前記初期デバイスクロックデータと前記測定データに関連付けられている前記初期デバイスクロックデータとの比較に基づいて、前記初期送信に対する経過時間を決定することを引き起こす、付記項5に記載の方法。
[付記項7]
前記コントローラは、電力が前記コントローラに供給されたときに、前記デバイスクロックを維持するように構成されている、付記項1~6のいずれか一項に記載の装置。
[付記項8]
前記コントローラが、ゼロ、乱数、または一意の数から計数することによって、前記デバイスクロックを維持するように構成されている、付記項7に記載の装置。
[付記項9]
電力遮断に応答して、前記コントローラが、前記電力遮断前の以前のデバイスクロック値から前記デバイスクロックを再確立するようにさらに構成されている、付記項7または8に記載の装置。
[付記項10]
創傷監視および/または療法システムであって、
付記項1~9のいずれか一項に記載の装置と、
前記装置の前記コントローラに接続されるように構成され、前記コントローラから定期的にデータを受信するようにさらに構成された通信デバイスと、
前記通信デバイスに接続されるように構成されたコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスが、前記通信デバイスからデータを受信するようさらに構成され、前記コンピューティングデバイスが、前記コンピューティングデバイスからのデータを受信および集計するように構成された別のリモートコンピューティングデバイスに接続されるようにさらに構成されている、コンピューティングデバイスと、を備える、創傷監視および/または療法システム。
[付記項11]
前記創傷または傷創のうちの少なくとも1つの1つ以上の画像を取得するように構成された別のコンピューティングデバイスをさらに備える、付記項10に記載のシステム。
[付記項12]
前記コンピューティングデバイスが、前記1つ以上の画像を前記別のリモートコンピューティングデバイスに通信するように構成されている、付記項11に記載のシステム。
[付記項13]
前記創傷被覆材が、前記測定データを前記コントローラまたは通信デバイスのうちの少なくとも1つに通信するように構成されたアンテナをさらに含む、付記項10~12のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項14]
前記患者の標的領域内の皮膚灌流圧力を測定するように構成された皮膚灌流測定デバイスをさらに備え、前記コンピューティングデバイスが、前記灌流測定デバイスに接続され、かつ前記灌流測定デバイスからデータを受信するようにさらに構成されている、付記項10~13のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項15]
前記通信デバイスが、近距離無線通信(NFC)プロトコルを使用して前記コントローラに接続されるように構成されている、付記項10~14のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項16]
創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷被覆材を操作する方法であって、前記創傷被覆材が、前記創傷または傷創のうちの少なくとも1つの測定データを取得するように構成された1つ以上のセンサを含み、前記方法が、
前記創傷被覆材に接続されるか、またはそれによって支持されるように構成されたコントローラによって、
非リアルタイムクロックを示すデバイスクロックを維持すること、
前記1つ以上のセンサによって取得された測定データを受信すること、および
前記測定データに関連付けられている前記デバイスクロックを前記送信に含めることによって、セキュリティプロトコルに従って、測定データをリモートコンピューティングデバイスに送信すること、を含む、方法。
[付記項17]
前記セキュリティプロトコルが、前記測定データを暗号化することをさらに含む、付記項16に記載の方法。
[付記項18]
前記セキュリティプロトコルが、前記測定データに関連付けられている患者識別情報またはリアルタイムクロック情報を前記送信に含めないことをさらに含む、付記項16または17に記載の方法。
[付記項19]
前記関連するデバイスクロックデータを伴う前記測定データの送信は、前記リモートコンピューティングデバイスが、前記デバイスクロックデータを利用して前記測定データを前記リアルタイムクロックデータと相関させることを引き起こす、付記項16~18のいずれか一項に記載の方法。
[付記項20]
前記コントローラによって、初期化中に初期デバイスクロックデータを前記リモートコ
ンピューティングデバイスに送信することをさらに含み、前記関連するデバイスクロックデータを伴う前記測定データの送信は、前記リモートコンピューティングデバイスが、前記初期デバイスクロックデータと前記測定データに関連付けられているデバイスクロックデータとの比較に基づいて、前記初期送信に対する経過時間を決定することを引き起こす、付記項19に記載の方法。
[付記項21]
電力が前記コントローラに供給されるときに、前記デバイスクロックを維持することをさらに含む、付記項16~20のいずれか一項に記載の方法。
[付記項22]
ゼロ、乱数、または一意の数から計数することによって前記デバイスクロックを維持することをさらに含む、付記項21に記載の方法。
[付記項23]
電力遮断に応答して、前記電力遮断前の以前のデバイスクロック値から前記デバイスクロックを再確立することをさらに含む、付記項21または22のいずれかに記載の方法。
[付記項24]
付記項16~23のいずれか一項に記載の装置を操作および/または使用する方法。
[付記項25]
図示および/または説明されている創傷監視および/または療法システム。
[付記項26]
図示および/または説明されている創傷被覆材。
[付記項27]
図示および/または説明されている創傷被覆材を操作および/または使用する方法。
[付記項28]
図示および/または説明されている創傷監視および/または療法システムを操作および/または使用する方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F-1】
図1F-2】
図1G
図1H
図2A
図2B
図3
図4A
図4B-1】
図4B-2】
図4C
図4D
図4E-1】
図4E-2】
図4E-3】
図5A
図5B
図6