(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】試料における細胞間相互作用を検出するためのキット、方法、およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20230529BHJP
C12Q 1/25 20060101ALI20230529BHJP
C12Q 1/26 20060101ALI20230529BHJP
C12Q 1/34 20060101ALI20230529BHJP
C12Q 1/42 20060101ALI20230529BHJP
C12Q 1/44 20060101ALI20230529BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230529BHJP
G01N 33/542 20060101ALI20230529BHJP
G01N 33/566 20060101ALI20230529BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
C12Q1/25
C12Q1/26
C12Q1/34
C12Q1/42
C12Q1/44
G01N21/64 F
G01N33/542 A
G01N33/542 B
G01N33/566
G01N33/574 A
(21)【出願番号】P 2020514331
(86)(22)【出願日】2018-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2018062719
(87)【国際公開番号】W WO2018210927
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-03-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-29
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519408261
【氏名又は名称】ファストベース ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】バナフシェ ラリジャニ
(72)【発明者】
【氏名】ラージ メータ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター パーカー
(72)【発明者】
【氏名】リセテ サンチェス マグラネル
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】松本 隆彦
【審判官】樋口 宗彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/050855(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/140554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞間相互作用を検出するためのインビトロ方法であって、該方法が、
a.少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1の分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2の分子に結合し、前記第1の一次結合剤および前記第2の一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
b.少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が前記第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が前記第2の一次結合剤に結合し、前記第1の二次結合剤が前記第2の一次結合剤に結合せず、前記第2の二次結合剤が前記第1の一次結合剤に結合せず、
前記第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび
酵素に特異的な基質を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
前記基質がチラミドであり、前記方法が、
i.細胞を含む単離された試料を前記少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
ii.前記試料を前記少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
iii.洗浄ステップを行うことと、
iv.前記二次結合剤間の相互作用を検出することと、を含む、インビトロ方法。
【請求項2】
前記二次結合剤間の相互作用を検出することが、発せられた蛍光を検出することによる、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項3】
前記二次結合剤間の相互作用を検出することが、変化した蛍光挙動を検出することによる、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項4】
前記変化した蛍光挙動を検出することは、時間分解である、請求項3に記載のインビトロ方法。
【請求項5】
前記第1の細胞および前記第2の細胞が、同じ細胞型である、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項6】
前記第1の細胞および前記第2の細胞が、同じ細胞型ではない、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項7】
前記単離された試料が、固定細胞試料である、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項8】
前記固定細胞試料は、固定腫瘍細胞試料である、請求項7に記載のインビトロ方法。
【請求項9】
前記第1の分子および前記第2の分子がタンパク質である、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項10】
前記タンパク質が内因性タンパク質である、請求項9に記載のインビトロ方法。
【請求項11】
前記タンパク質が免疫チェックポイントタンパク質である、請求項9に記載のインビトロ方法。
【請求項12】
前記第1の分子がPD-1であり、前記第2の分子がPD-L1またはPD-L2である、請求項9に記載のインビトロ方法。
【請求項13】
前記第1の一次結合剤が、前記第1の細胞上のPD-1に結合し、少なくとも1つの他の前記一次結合剤が、前記第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合する、請求項9に記載のインビトロ方法。
【請求項14】
前記PD-1のPD-L1またはPD-L2への結合を検出する、請求項13に記載のインビトロ方法。
【請求項15】
前記第1の分子がCTLA-4またはCD28であり、前記第2の分子がCD80またはCD86である、請求項9に記載のインビトロ方法。
【請求項16】
前記第1の一次結合剤が、前記第1の細胞上のCTLA-4またはCD28に結合し、前記第2の一次結合剤が、前記第2の細胞上のCD80またはCD86に結合する、請求項15に記載のインビトロ方法。
【請求項17】
前記CTLA-4またはCD28のCD80またはCD86への結合を検出する、請求項16に記載のインビトロ方法。
【請求項18】
前記第1の分子が、MHCクラスIまたはIIペプチドであり、前記第2の分子が、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載のインビトロ方法。
【請求項19】
前記第1の一次結合剤が、MHCクラスIまたはMHCクラスIIペプチドに結合し、前記第2の一次結合剤が、前記第2の細胞上のTCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせに結合する、請求項18に記載のインビトロ方法。
【請求項20】
前記MHCクラスIまたはMHCクラスIIペプチドの、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせへの結合を検出する、請求項19に記載のインビトロ方法。
【請求項21】
前記第1の細胞がリンパ球であり、および/または、前記第2の細胞が非リンパ球細胞である、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項22】
前記第1の細胞がT細胞であり、前記第2の細胞が抗原提示細胞である、請求項21に記載のインビトロ方法。
【請求項23】
前記方法が、第1のリンパ球細胞上のPD-1と、第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を検出する、請求項21に記載のインビトロ方法。
【請求項24】
前記方法が、第1のリンパ球細胞上のCTLA-4またはCD28と、第2の非リンパ球細胞上のCD80またはCD86との間の相互作用を検出する、請求項21に記載のインビトロ方法。
【請求項25】
前記方法が、第1のリンパ球細胞上のMHCクラスIまたはIIペプチドと、第2の非リンパ球細胞上のTCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせとの間の相互作用を検出する、請求項21に記載のインビトロ方法。
【請求項26】
前記少なくとも2つの一次結合剤が、全免疫グロブリン、抗体足場、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項27】
前記少なくとも2つの二次結合剤が、全免疫グロブリン、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項28】
前記二次結合剤のうちの少なくとも1つが、抗体足場、抗体、または抗原結合断片である、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項29】
前記少なくとも2つの二次結合剤が、抗体足場、抗体結合断片、または抗原結合断片である、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項30】
前記抗体または抗原結合断片が、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせである、請求項26に記載のインビトロ方法。
【請求項31】
前記抗体足場が、二環式ペプチド、システインノット、クニッツドメイン、オボディ、およびTn3から選択される、請求項26に記載のインビトロ方法。
【請求項32】
前記第1および第2の一次結合剤が標識されていない、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項33】
前記第1の一次結合剤がマウス結合剤であり、前記第2の一次結合剤がウサギ結合剤である、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項34】
前記第1の二次結合剤が抗マウス結合剤であり、前記第2の二次結合剤が抗ウサギ結合剤である、請求項33に記載のインビトロ方法。
【請求項35】
前記FRETドナーが、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、ATTO488、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項36】
前記FRETアクセプターが、ALX 594、mRFP、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、ダブシル、BODIPY FL、QSY 7、QSY 9、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項37】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼからなる群から選択される、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項38】
前記酵素が、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼからなる群から選択される、請求項37に記載のインビトロ方法。
【請求項39】
前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼからなる群から選択される、請求項38に記載のインビトロ方法。
【請求項40】
前記少なくとも2つの一次結合剤が、互いに同時にまたは順次に前記試料と接触する、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項41】
前記少なくとも2つの二次結合剤が、互いに同時にまたは順次に前記試料と接触し、
前記少なくとも2つの一次結合剤が、前記少なくとも2つの二次結合剤と同時に、または、前記少なくとも2つの二次結合剤の前に、前記試料と接触する、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項42】
洗浄ステップが、前記少なくとも2つの一次結合剤が前記試料と接触した後に、かつ前記少なくとも2つの二次結合剤が前記試料と接触する前に行われる、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項43】
前記方法が、前記第1の細胞上の第1の分子と前記第2の細胞上の第2の分子との間の相互作用を定量化するステップをさらに含む、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項44】
前記第1の分子が、前記第1の細胞の細胞表面上にあり、前記第2の分子が、前記第2の細胞の細胞表面上にある、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項45】
チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合することができるような様式で、前記少なくとも2つの一次結合剤が前記第1の分子または前記第2の分子に結合する、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項46】
前記少なくとも2つの一次結合剤が、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない、請求項1に記載のインビトロ方法。
【請求項47】
チェックポイント活性化剤または阻害剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、該方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、前記第1の一次結合剤および前記第2の一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が前記第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が前記第2の一次結合剤に結合し、前記第1の二次結合剤が前記第2の一次結合剤に結合せず、前記第2の二次結合剤が前記第1の一次結合剤に結合せず、
前記第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび
酵素に特異的な基質を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
前記基質がチラミドであり、
前記方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を前記少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)蛍光スコアの全スコアを決定することによって前記二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)前記試料を前記チェックポイント活性化剤または阻害剤と接触させることと、
(f)前記二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出すること
と、を含み、
a.前記試料をチェックポイント阻害剤と接触させる場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、前記チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.前記試料をチェックポイント活性化剤と接触させる場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、前記チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される
、インビトロ一致アッセイ方法。
【請求項48】
前記チェックポイント阻害剤が抗PD-1結合剤であり、前記第1の一次結合剤がPD-1に結合し、前記第2の一次結合剤がPD-L1またはPD-L2に結合する、請求項
47に記載の方法。
【請求項49】
前記チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4またはCD28結合剤であり、前記第1の一次結合剤がCTLA-4またはCD28に結合し、前記第2の一次結合剤がCD80またはCD86に結合する、請求項
47に記載の方法。
【請求項50】
前記チェックポイント阻害剤が抗MHCクラスIまたはIIペプチド結合剤であり、前記第1の一次結合剤がMHCクラスIまたはIIペプチドに結合し、前記第2の一次結合剤が、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせに結合する、請求項
47に記載の方法。
【請求項51】
前記チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ニボルマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)、ペムブロリズマブ(イアムブロリズマブまたはMK-3475)、ピディリズマブ(CT-Q1 1)、ED-0680(AMP-514)、AMP-224、BMS-936559(MDX-1 105)、ED 4736、MPDL3280A(RG7448)、MSB0010718C、ならびにそれらの断片および塩からなる群から選択される、請求項
47に記載の方法。
【請求項52】
ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%の増加は、前記チェックポイント活性化剤が有効であろうことを示す、請求項
47に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの5%~10%の増加は、前記チェックポイント活性化剤が有効であろうことを示す、請求項
47に記載の方法。
【請求項54】
ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの10%超の増加は、前記チェックポイント活性化剤が有効であろうことを示す、請求項
47に記載の方法。
【請求項55】
ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%の減少は、前記チェックポイント阻害剤が有効であろうことを示す、請求項
47に記載の方法。
【請求項56】
ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの5%~10%の減少は、前記チェックポイント阻害剤が有効であろうことを示す、請求項
47に記載の方法。
【請求項57】
ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの10%超の減少は、前記チェックポイント阻害剤が有効であろうことを示す、請求項
47に記載の方法。
【請求項58】
前記チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1のチェックポイント標的分子または第2のチェックポイント標的分子に同時にまたは続いて結合することができるような様式で、前記少なくとも2つの一次結合剤が第1のチェックポイント標的分子または第2のチェックポイント標的分子に結合する、請求項
47に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも2つの一次結合剤が、前記チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1のチェックポイント標的分子または第2のチェックポイント標的分子への結合を阻害しない、請求項
47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に固定試料における細胞間相互作用を検出するキットおよび方法に関する。本発明は、細胞間相互作用の定量化をさらに提供する。具体的には、本発明は、極めて近接した2つの異なる細胞で発現される2つの分子間の相互作用の検出に関する。例えば、本発明は、極めて近接した異なる細胞の細胞表面にディスプレイされた細胞レベルでの免疫チェックポイントタンパク質間の相互作用、例えば、PD-1とPD-L1/PD-L2との間の相互作用に関する。
【0002】
本発明は、近接ライゲーションアッセイ、一致検出、またはフェルスター(蛍光)共鳴エネルギー移動(FRET)等の一致アッセイを、単独で、またはチラミドシグナル増幅(TSA)等の酵素活性化系と組み合わせて使用して、試料における細胞間相互作用の検出を改善するキットおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、2つの部位が異なる細胞で発現される異なる分子(例えば、タンパク質)上にある二部位方法に関する。この方法およびキットを使用して、チェックポイントタンパク質阻害剤ががんの治療に有効である可能性が高いかを決定することができる。
【0003】
本発明は、PD-1:PD-L1/PD-L2経路の阻害等のがん治療に応答する可能性の高い患者を予測および特定し、かつかかる治療に応答しない患者を層別化して、患者の応答者/無応答者プロファイルに基づいて患者に治療選択肢の決定を提供するためのキットおよび方法にも関する。
【0004】
本発明を使用して、腫瘍試料を分析することができ、本発明を、がん患者の診断、監視、層別化、および治療、ならびにがん分野における薬物開発に適用することができる。
【背景技術】
【0005】
多細胞生物が機能するためには、細胞間コミュニケーションが絶対不可欠である。細胞間シグナル伝達の調節、過剰刺激、または機能停止により、様々な病状が引き起こされ得る。したがって、(a)新たな治療標的の決定、(b)患者選択の導き、および(c)様々な病状における治療有効性の監視を目的として、細胞間相互作用の試験および解明に焦点を合わせた研究努力がなされている。
【0006】
細胞間相互作用の検出および定量化が絶対不可欠である一態様は、健康な免疫系の維持における免疫細胞と非免疫細胞との間の相互作用の試験にある。この文脈での崩壊または異常な相互作用により、過活動性免疫応答から低活動性免疫応答を引き起こす炎症性病状および腫瘍までの様々な病状が引き起こされ得る。
【0007】
実際には、T細胞の結合および阻害によって免疫細胞媒介性破壊を回避する腫瘍細胞の能力の理解、測定、および定量化が、大きな関心事になっている。これを理解できないことが、阻害性T細胞-腫瘍細胞相互作用を制限する治療的適用が特定のT細胞タンパク質と腫瘍細胞タンパク質との相互作用の調節に限定される主な理由のうちの1つであると考えられる。
【0008】
がん免疫療法研究は、免疫媒介性破壊を回避する腫瘍細胞の能力を打開し、個体の免疫系を刺激して腫瘍細胞を標的とすることを試みている。
【0009】
免疫細胞媒介性破壊を回避する腫瘍細胞の能力を打開するための最も有望なアプローチのうちの1つは、免疫チェックポイントマーカーの遮断である。免疫チェックポイントとは、非病原性組織への不必要な損傷を最小限に抑えるための自己寛容の維持および免疫応答の重症度の調節に不可欠な多数の免疫阻害経路を指す。腫瘍細胞が腫瘍抗原に特異的なT細胞による破壊を回避する主要機構としての役割を果たすこれらの免疫抑制性チェックポイント経路をハイジャックすることが知られている。それ故に、T細胞表面チェックポイントタンパク質と腫瘍細胞表面チェックポイントタンパク質との間の阻害性相互作用が、がん治療にとって魅力的な治療標的である。
【0010】
実際には、T細胞:腫瘍細胞チェックポイント阻害性相互作用を遮断する治療用抗体が、臨床状況下で腫瘍体積の低減を成功させた。しかしながら、これらの治療は、どの免疫チェックポイントががん治療に有望な標的であろうかを検出するのに利用可能な方法またはアッセイが存在しないため、ごく小数の免疫チェックポイントに限定されている。さらに、未だ発見されていないが、存在する可能性の高い潜在的に多数のチェックポイント相互作用が存在する。明らかに、T細胞:腫瘍細胞チェックポイント相互作用等の細胞間相互作用の検出を可能にする方法が必要とされている。
【0011】
十分に特徴付けされた免疫チェックポイントタンパク質相互作用は、プログラム細胞死-1(PD-1)受容体、別名、クラスター分類(CD)279と、リガンドであるプログラム細胞死-リガンド1または2(PD-L1または2)、別名、それぞれ、CD274またはCD273のいずれかとの結合である。PD-1が活性化T細胞の表面に発現する一方で、PD-L1/2は、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞およびマクロファージ、ならびに腫瘍細胞に発現する。PD-1のPD-L1/2への結合により、T細胞増殖およびサイトカイン産生を停止させるか、または制限する阻害シグナルがT細胞内で生成される。PD-1:PD-L1/2相互作用により、免疫系が正しい時点で活性化されることが確実になり、それ故に、潜在的な自己免疫を最小限に抑える。がん腫瘍細胞は、PD-1:PD-L1/PD-L2チェックポイント経路を利用して、検出、およびその後のT細胞媒介性破壊を回避するための機構を提供する。PD-1:PD-L1/PD-L2を遮断する療法により、様々ながん型において前例のない持続的腫瘍応答率が示されている(Ribas et al.,Clin.Cancer Res;20(19)2014)。
【0012】
別の十分に特徴付けされた免疫チェックポイントタンパク質相互作用は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、別名、CD152と、リガンドであるクラスター分類80(CD80)または86(CD86)、別名、それぞれ、B7-1およびB7-2のいずれかとの結合である。CTLA-4が活性化T細胞に発現する一方で、CD80およびCD86は、樹状細胞またはマクロファージ等の抗原提示細胞に発現する。CTLA-4のCD80/86への結合により、T細胞増殖およびサイトカイン産生を停止させるか、または制限する阻害シグナルがT細胞に生成される。CTLA-4/CD80/86相互作用により、免疫系が正しい時点で活性化されることが確実になり、それ故に、潜在的な自己免疫を最小限に抑える。がん腫瘍細胞は、CTLA-4/CD80/86チェックポイント経路を利用して、T細胞による検出、およびその後の破壊を回避するための機構を提供する。CTLA-4/CD80/86を遮断するモノクローナル抗体イピリムマブ等の療法により、様々ながん型における免疫系の増加した活性化および腫瘍退縮がもたらされる(Buchbinder,EI & Desai,A.American Journal of Clinical Oncology;39(1)2016)。
【0013】
細胞間相互作用の評価は、部分的には固定試料における細胞間相互作用の検出を可能にする利用可能な方法/技術の欠如により、大々的に報告されていない。典型的には、腫瘍試料に適用される通例のプロテオミクスは、相対タンパク質含量を決定するための免疫組織化学(IHC)、または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)等の抽出およびプロセシングに依存する。従来のIHCは、操作を最小限に抑え、組織の組織化を保持するが、その特異性が限定されている(一部位アッセイ)。ELISA型アプローチは、特異性をもたらす(二部位アッセイ)が、プロセシングを必要とし、プロセシングにより、試料サイズの課題が提示され、空間的情報が破壊される。現在のシステムは、溶液(可溶性組換えタンパク質)中または単一細胞内のいずれかの分子間の相互作用を検出するためのみに使用されている。例えば、FRETによるPD-1:PD-L1/PD-L2の相互作用が以前に研究されているが、組換えまたは精製タンパク質を使用した溶液中でのアッセイとの関連のみである。
【0014】
WO2014/140554は、二部位検出方法におけるチラミド活性化系(TSA)と組み合わせた蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した試料中の分子を検出するための方法を記載している。しかしながら、かかる方法の使用は、同じタンパク質上の二部位または同じ細胞との関連で異なるタンパク質上の2つの部位の検出および定量化に限定された。したがって、現在の検出方法の特異性および感度が限定されており、細胞レベルでの相互作用を検出および定量化することができない。
【0015】
当該技術分野で既知の以前の方法は、重複免疫シグナルの共局在化を検出して細胞間相互作用を検出し、重複シグナルの数を手動で計数し、かつシグナルの数:核の数の比率を推定することによる、定性的な強度に基づく評価に依存する。
【0016】
がん患者を特定および治療するための改善された有効な方法の開発を助けるために、2つの別個の細胞の細胞表面に提示される分子(例えば、2つのタンパク質)間の相互作用、具体的には免疫チェックポイントタンパク質相互作用を検出および定量化するための高感度の特異的な方法の提供が依然として必要とされている。
【0017】
本発明の目的は、組織切片等の固定試料における2つの異なる細胞に発現する2つの分子間の細胞間相互作用、具体的には異なる細胞の表面の免疫チェックポイントタンパク質相互作用(PD-1:PD-L1/PD-L2、腫瘍組織適合性複合体(MHC)I-II:T細胞受容体(TCR)/CD8/CD3またはCTLA-4/CD80/86等)を検出するための改善された方法およびキットを提供することである。本発明のさらなる目的は、PD-1:PD-L1/PD-L2経路、MHC I-II:TCR/CD8/CD3経路、またはCTLA-4/CD80/86経路の阻害等のがん治療に応答する可能性の高い患者を予測および特定し、かつかかる治療に応答しない患者を層別化して、患者の応答者/無応答者プロファイルに基づいて患者に治療選択肢の決定を提供するための有効な方法およびキットを提供することである。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、細胞間相互作用を検出および定量化するための方法を提供する。具体的には、本発明は、タンパク質が各々異なる細胞の表面にある、すなわち、トランス形態であるタンパク質間相互作用等の異なる細胞上の分子間の相互作用を検出および定量化するための方法に関する。具体的には、本発明は、PD-1とPD-L1もしくはPD-L2との間の相互作用、またはCTLA-4もしくはCD28とCD80もしくは86との間の相互作用、またはMHCクラスIもしくはMHCクラスIIペプチドと、TCR、CD83、CD3、およびそれらの組み合わせとの間の相互作用等の細胞レベルでの免疫チェックポイントタンパク質相互作用の検出および定量化に関する。
【0019】
本発明によれば、細胞間相互作用を検出するためのインビトロ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1の分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2の分子に結合し、第1の一次結合剤および第2の一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)細胞を含む単離された試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)二次結合剤間の相互作用を検出することと、を含む、インビトロ方法が提供される。
【0020】
本発明の方法、キット、および使用では、二次結合剤間の相互作用を検出することは、発せられた蛍光を検出することにより得る。
【0021】
本発明の方法、キット、および使用では、二次結合剤間の相互作用を検出することは、変化した蛍光挙動を検出することにより得る。好ましくは、変化した蛍光挙動を検出することは、時間分解である。
【0022】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞および第2の細胞は、同じ細胞型であり得る。
【0023】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞および第2の細胞は、異なる細胞型、すなわち、同じ細胞型ではない細胞型であり得る。
【0024】
本発明の方法、キット、および使用では、単離された試料は、固定細胞試料であり得る。
【0025】
本発明の方法、キット、および使用では、単離された試料は、固定腫瘍細胞試料であり得る。
【0026】
本発明の方法、キット、および使用では、第1および第2の分子は、タンパク質、好ましくは、内因性タンパク質であり得る。好ましくは、タンパク質は、免疫チェックポイントタンパク質である。
【0027】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、PD-1であり得、第2の分子は、PD-L1またはPD-L2であり得る。
【0028】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、CTLA-4またはCD28であり得、第2の分子は、CD80またはCD86であり得る。
【0029】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、MHCクラスIまたはIIペプチドであり得、第2の分子は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0030】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0031】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0032】
本発明の方法、キット、および使用では、二次結合剤のうちの少なくとも1つは、抗体足場、抗体、または抗原結合断片であり得る。本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、抗体足場、抗体結合断片、または抗原結合断片であり得る。
【0033】
本発明の方法、キット、および使用では、抗体または抗原結合断片は、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0034】
本発明の方法、キット、および使用では、抗体足場は、アドネクチン、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、センチリン、システインノット、DARPin、フィノマー、クニッツドメイン、オボディ、およびTn3であり得る。
【0035】
本発明の方法、キット、および使用では、一次結合剤は、標識されていなくてもよい。
【0036】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、ウサギ結合剤であり得る。
【0037】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、PD-1に結合し得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、PD-L1またはPD-L2に結合し得る。
【0038】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、第1の細胞上のPD-1に結合し得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合し得る。
【0039】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、PD-1のPD-L1またはPD-L2への結合を検出し得る。
【0040】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、CTLA-4またはCD28であり得、第2の分子は、CD80またはCD86であり得る。
【0041】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、第1の細胞上のCTLA-4またはCD28に結合し得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、第2の細胞上のCD80またはCD86に結合し得る。
【0042】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、CTLA-4またはCD28のCD80またはCD86への結合を検出し得る。
【0043】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、MHCクラスIまたはIIペプチドであり得、第2の分子は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0044】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、MHCクラスIまたはMHCクラスIIペプチドに結合し得、第2の一次結合剤は、第2の細胞上のTCR、CD83、CD3、およびそれらの組み合わせに結合し得る。
【0045】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、MHCクラスIまたはMHCクラスIIペプチドの、TCR、CD83、CD3、およびそれらの組み合わせへの結合を検出し得る。
【0046】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞は、リンパ球であり得、好ましくは、第1の細胞は、T細胞であり得る。
【0047】
本発明の方法、キット、および使用では、第2の細胞は、非リンパ球細胞であり得、好ましくは、第2の細胞は、抗原提示細胞であり得る。
【0048】
本発明の方法、キット、および使用では、第1のリンパ球細胞上のPD-1と第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用が検出され得る。
【0049】
本発明の方法、キット、および使用では、第1のリンパ球細胞上のCTLA-4またはCD28と第2の非リンパ球細胞上のCD80またはCD86との間の相互作用が検出され得る。
【0050】
本発明の方法、キット、および使用では、第1のリンパ球細胞上のMHCクラスIまたはIIペプチドと、第2の非リンパ球細胞上のTCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせとの間の相互作用が検出され得る。
【0051】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の二次結合剤は、抗マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の二次結合剤は、抗ウサギ結合剤であり得る。
【0052】
本発明の方法、キット、および使用では、FRETドナーは、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、ATTO488、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0053】
本発明の方法、キット、および使用では、FRETアクセプターは、ALX 594、mRFP、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、ダブシル、BODIPY FL、QSY 7、QSY 9、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0054】
本発明の方法、キット、および使用では、酵素は、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼからなる群から選択され得る。
【0055】
本発明の方法、キット、および使用では、酵素は、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼからなる群から選択され得る。
【0056】
本発明の方法、キット、および使用では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼからなる群から選択され得る。
【0057】
本発明の方法、キット、および使用では、基質は、チラミドであり得る。
【0058】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞は、T細胞であり得、第2の細胞は、腫瘍細胞であり得る。
【0059】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、互いに同時にまたは順次に接触し得る。
【0060】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、互いに同時にまたは順次に接触し得る。
【0061】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、少なくとも2つの二次抗体と同時に試料と接触し得る。
【0062】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、少なくとも2つの二次結合剤の前に試料と接触し得る。
【0063】
本発明の方法、キット、および使用では、洗浄ステップは、少なくとも2つの一次結合剤が試料と接触した後に、かつ少なくとも2つの二次結合剤が試料と接触する前に行われ得る。
【0064】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、第1の細胞上の第1の部位と第2の細胞上の第2の部位との間の相互作用を定量化するステップをさらに含み得る。
【0065】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞は、リンパ球であり得、第2の細胞は、非リンパ球細胞型であり得る。
【0066】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、第1のリンパ球細胞上のPD-1と第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を検出し得る。
【0067】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、第1の細胞の細胞表面上にあり得、第2の分子は、第2の細胞の細胞表面上にあり得る。
【0068】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0069】
本発明のいくつかの方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0070】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するための前述のインビトロ方法の使用も提供する。
【0071】
本発明は、細胞間相互作用を検出するためのインビトロ方法における使用のためのキットであって、本キットが、
a)少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1の分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2の分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
b)少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次抗体に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、
c)方法を行うための指示であって、この方法が、
i.細胞を含む単離された試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
ii.試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
iii.洗浄ステップを行うことと、
iv.二次結合剤間の相互作用を検出することと、を含む、指示と、を含む、キットをさらに提供する。
【0072】
本発明のキットでは、二次結合剤間の相互作用を検出するための指示は、発せられた蛍光を検出することによる検出のためであり得る。
【0073】
本発明のキットでは、二次結合剤間の相互作用を検出するための指示は、変化した蛍光挙動を検出することによる検出のためであり得る。
【0074】
本発明のキットでは、変化した蛍光挙動を検出することは、時間分解であり得る。
【0075】
本発明のキットでは、第1の細胞および第2の細胞は、同じ細胞型であり得る。
【0076】
本発明のキットでは、第1の細胞および第2の細胞は、異なる細胞型、すなわち、同じ細胞型ではない細胞型であり得る。本発明のキットでは、単離された試料は、固定細胞試料であり得る。
【0077】
本発明のキットでは、単離された試料は、固定腫瘍細胞試料であり得る。
【0078】
本発明のキットでは、第1および第2の分子は、タンパク質、好ましくは、内因性タンパク質であり得る。好ましくは、タンパク質は、免疫チェックポイントタンパク質である。
【0079】
本発明のキットでは、第1の分子は、PD-1であり得、第2の分子は、PD-L1またはPD-L2であり得る。
【0080】
本発明のキットでは、第1の分子は、CTLA-4またはCD28であり得、第2の分子は、CD80またはCD86であり得る。
【0081】
本発明のキットでは、第1の分子は、MHCクラスIまたはIIペプチドであり得、第2の分子は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0082】
本発明のキットでは、少なくとも2つの一次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0083】
本発明のキットでは、少なくとも2つの二次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0084】
本発明のキットでは、二次結合剤のうちの少なくとも1つは、抗体足場、抗体、または抗原結合断片であり得る。本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、抗体足場、抗体結合断片、または抗原結合断片であり得る。
【0085】
本発明のキットでは、抗体または抗原結合断片は、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0086】
本発明のキットでは、抗体足場は、アドネクチン、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、センチリン、システインノット、DARPin、フィノマー、クニッツドメイン、オボディ、およびTn3であり得る。
【0087】
本発明のキットでは、一次結合剤は、標識されていなくてもよい。
【0088】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、ウサギ結合剤であり得る。
【0089】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、PD-1に結合し得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、PD-L1またはPD-L2に結合し得る。
【0090】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、CTLA-4またはCD28に結合し得、第2の一次結合剤は、CD80またはCD86のいずれかに結合し得る。
【0091】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、MHCクラスIまたはIIペプチドに結合し得、第2の一次結合剤は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせに結合し得る。
【0092】
本発明のキットでは、第1の二次結合剤は、抗マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の結合剤結合剤は、抗ウサギ結合剤であり得る。
【0093】
本発明のキットでは、FRETドナーは、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、ATTO488、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0094】
本発明のキットでは、FRETアクセプターは、ALX 594、mRFP、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、ダブシル、BODIPY FL、QSY 7、QSY 9、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0095】
本発明のキットでは、酵素は、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼからなる群から選択され得る。
【0096】
本発明のキットでは、酵素は、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼからなる群から選択され得る。好ましくは、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼからなる群から選択され得る。
【0097】
本発明のキットでは、基質は、チラミドであり得る。
【0098】
本発明のキットでは、第1の細胞は、T細胞であり、第2の細胞は、腫瘍細胞である。
【0099】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤を互いに同時にまたは順次に接触させることを提供し得る。
【0100】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの二次結合剤を互いに同時にまたは順次に接触させることを提供し得る。
【0101】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤を、少なくとも2つの二次結合剤と同時に、試料と接触させることを提供し得る。
【0102】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤を、少なくとも2つの二次結合剤の前に、試料と接触させることを提供し得る。
【0103】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤が試料と接触した後に、かつ少なくとも2つの二次結合剤が試料と接触する前に、洗浄ステップを行うことを提供し得る。
【0104】
本発明のキットでは、指示は、第1の細胞上の第1の部位と第2の細胞上の第2の部位との間の相互作用を定量化するステップをさらに含む方法を提供する。
【0105】
本発明のキットでは、第1の細胞は、リンパ球であり得、第2の細胞は、非リンパ球細胞型であり得る。
【0106】
本発明のキットでは、指示は、第1のリンパ球細胞上のPD-1と第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を検出する方法を提供し得る。
【0107】
本発明のキットでは、第1の分子は、第1の細胞の細胞表面上にあり得、第2の分子は、第2の細胞の細胞表面上にあり得る。
【0108】
本発明のキットでは、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0109】
本発明のキットのいくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0110】
本発明は、細胞間相互作用を検出するためのインビトロ方法における本発明の前述のキットの使用も提供する。好ましくは、キットの使用は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法における使用である。
【0111】
本発明は、がんを有する患者を治療のために選択する方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)患者由来の単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することであって、
a.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、または
ii.全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
b.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント阻害剤を含む場合、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、方法をさらに提供する。
【0112】
本発明の方法では、第1のチェックポイント標的分子は、PD-1であり得、第2のチェックポイント標的分子は、PD-L1であり得、蛍光シグナルスコアを決定する際に、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が抗PD-1、抗PD-1:L1、または抗PD-L2結合剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が抗PD-1、抗PD-1:L1、または抗PD-L2結合剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する。
【0113】
本発明の方法では、第1のチェックポイント標的分子は、CTLA-4またはCD28であり得、第2のチェックポイント標的分子は、CD80またはCD86であり得、蛍光シグナルスコアを決定する際に、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が抗CTLA-4/CD28結合剤または抗CD80/86結合剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が抗CTLA-4/CD28結合剤または抗CD80/86結合剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する。
【0114】
本発明の方法では、第1のチェックポイント標的分子は、MHCクラスIまたはIIペプチドであり得、第2のチェックポイント標的分子は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせであり得、蛍光シグナルスコアを決定する際に、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が抗MHCクラスIもしくはII結合剤または抗TCR/CD8/CD3結合剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が抗MHCクラスIもしくはII結合剤または抗TCR/CD8/CD3結合剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する。
【0115】
本発明の方法のいくつかの態様では、患者は、がん療法を以前に受けていない、または患者は、チェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法を以前に受けていない。
【0116】
本発明の方法では、全スコアが0.5%~5%である場合、これは、患者がチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答しないであろうことを示し得る。
【0117】
本発明の方法では、全スコアが5%~10%である場合、これは、患者がチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答するかもしれないことを示し得る。
【0118】
本発明の方法では、全スコアが10%を超える場合、これは、患者がチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答するであろうことを示し得る。
【0119】
本発明の方法では、全スコアが0.5%~5%である場合、これは、患者がMHCクラスI/II-TCR/CD8/CD3相互作用を標的とする療法に応答するであろうことを示し得る。
【0120】
本発明の方法では、全スコアが5%~10%である場合、これは、患者がMHCクラスI/II-TCR/CD8/CD3相互作用を標的とする療法に応答するかもしれないことを示し得る。
【0121】
本発明の方法では、全スコアが10%を超える場合、これは、患者がMHCクラスI/II-TCR/CD8/CD3相互作用を標的とする療法に応答しないであろうことを示し得る。
【0122】
本発明の方法では、全スコアは、FRET効率パーセンテージであり得る。
【0123】
本発明の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0124】
本発明の方法のいくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0125】
本発明は、がんを有する患者の治療のための選択における本発明の前述の方法の使用であって、
a.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、または
ii.全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
b.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
ii.全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、使用も提供する。
【0126】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次抗体に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)試料をチェックポイント活性化剤または阻害剤と接触させることと、
(f)二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.チェックポイント分子が活性化剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法をさらに提供する。
【0127】
本発明の方法では、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1結合剤であり得、第1の一次結合剤は、PD-1に結合し得、第2の一次結合剤は、PD-L1またはPD-L2に結合し得る。
【0128】
本発明の方法では、チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4またはCD28結合剤であり得、第1の一次結合剤は、CTLA-4またはCD28に結合し得、第2の一次結合剤は、CD80またはCD86に結合し得る。
【0129】
本発明の方法では、チェックポイント活性化剤は、抗MHCクラスIまたはII結合剤であり得、第1の一次結合剤は、MHCクラスIまたはIIに結合し得、第2の一次結合剤は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせに結合し得る。本発明の方法では、チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ、ニボルマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)、ペムブロリズマブ(イアムブロリズマブまたはMK-3475)、ピディリズマブ(CT-Q1 1)、ED-0680(AMP-514)、AMP-224、BMS-936559(MDX-1 105)、ED 4736、MPDL3280A(RG7448)、MSB0010718C、ならびにそれらの断片および塩からなる群から選択され得る。
【0130】
本発明の方法では、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、チェックポイント活性化剤が有効であろうことを示し得る。
【0131】
本発明の方法では、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の減少は、チェックポイント阻害剤が有効であろうことを示し得る。
【0132】
本発明の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0133】
本発明の方法のいくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0134】
本発明は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であろうかを検出するための本発明の前述のインビトロ一致アッセイ方法の使用であって、
a.チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.チェックポイント分子が活性化剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用も提供する。
【0135】
本発明は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法における使用のためのキットであって、本キットが、
(a)少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
(b)少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、
(c)方法を行うための指示であって、この方法が、
a.単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
b.試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
c.洗浄ステップを行うことと、
d.全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
e.試料をチェックポイント活性化剤または阻害剤と接触させることと、
f.二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
チェックポイント分子が活性化剤である場合、
iii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
iv.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、検出することと、を含む、指示と、を含む、キットをさらに提供する。
【0136】
本発明のキットでは、二次結合剤間の相互作用を検出するための指示は、発せられた蛍光を検出することによる検出のためであり得る。
【0137】
本発明のキットでは、二次結合剤間の相互作用を検出するための指示は、変化した蛍光挙動を検出することによる検出のためであり得る。
【0138】
本発明のキットでは、変化した蛍光挙動を検出することは、時間分解であり得る。
【0139】
本発明のキットでは、第1の細胞および第2の細胞は、同じ細胞型であり得る。
【0140】
本発明のキットでは、第1の細胞および第2の細胞は、異なる細胞型、すなわち、同じ細胞型ではない細胞型であり得る。本発明のキットでは、単離された試料は、固定細胞試料であり得る。
【0141】
本発明のキットでは、単離された試料は、固定腫瘍細胞試料であり得る。
【0142】
本発明のキットでは、第1および第2の分子は、タンパク質、好ましくは、内因性タンパク質であり得る。好ましくは、タンパク質は、免疫チェックポイントタンパク質である。
【0143】
本発明のキットでは、第1の分子は、PD-1であり得、第2の分子は、PD-L1またはPD-L2であり得る。
【0144】
本発明のキットでは、第1の分子は、CTLA-4またはCD28であり得、第2の分子は、CD80またはCD86であり得る。
【0145】
本発明のキットでは、第1の分子は、MHCクラスIまたはIIペプチドであり得、第2の分子は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0146】
本発明のキットでは、少なくとも2つの一次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0147】
本発明のキットでは、少なくとも2つの二次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0148】
本発明のキットでは、二次結合剤のうちの少なくとも1つは、抗体足場、抗体、または抗原結合断片であり得る。本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、抗体足場、抗体結合断片、または抗原結合断片であり得る。
【0149】
本発明のキットでは、抗体または抗原結合断片は、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0150】
本発明のキットでは、抗体足場は、アドネクチン、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、センチリン、システインノット、DARPin、フィノマー、クニッツドメイン、オボディ、およびTn3であり得る。
【0151】
本発明のキットでは、一次結合剤は、標識されていなくてもよい。
【0152】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、ウサギ結合剤であり得る。
【0153】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、PD-1に結合し得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、PD-L1またはPD-L2に結合し得る。
【0154】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、CTLA-4またはCD28に結合し得、第2の一次結合剤は、CD80またはCD86のいずれかに結合し得る。
【0155】
本発明のキットでは、第1の一次結合剤は、MHCクラスIまたはIIペプチドに結合し得、第2の一次結合剤は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせに結合し得る。
【0156】
本発明のキットでは、第1の二次結合剤は、抗マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の二次結合剤は、抗ウサギ結合剤であり得る。
【0157】
本発明のキットでは、FRETドナーは、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、ATTO488、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0158】
本発明のキットでは、FRETアクセプターは、ALX 594、mRFP、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、ダブシル、BODIPY FL、QSY 7、QSY 9、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0159】
本発明のキットでは、酵素は、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼからなる群から選択され得る。
【0160】
本発明のキットでは、酵素は、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼからなる群から選択され得る。好ましくは、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼからなる群から選択され得る。
【0161】
本発明のキットでは、基質は、チラミドであり得る。
【0162】
本発明のキットでは、第1の細胞は、T細胞であり、第2の細胞は、腫瘍細胞である。
【0163】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤を互いに同時にまたは順次に接触させることを提供し得る。
【0164】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの二次結合剤を互いに同時にまたは順次に接触させることを提供し得る。
【0165】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤を、少なくとも2つの二次結合剤と同時に、試料と接触させることを提供し得る。
【0166】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤を、少なくとも2つの二次結合剤の前に、試料と接触させることを提供し得る。
【0167】
本発明のキットでは、指示は、少なくとも2つの一次結合剤が試料と接触した後に、かつ少なくとも2つの二次結合剤が試料と接触する前に、洗浄ステップを行うことを提供し得る。
【0168】
本発明のキットでは、指示は、第1の細胞上の第1の部位と第2の細胞上の第2の部位との間の相互作用を定量化するステップをさらに含む方法を提供する。
【0169】
本発明のキットでは、第1の細胞は、リンパ球であり得、第2の細胞は、非リンパ球細胞型であり得る。
【0170】
本発明のキットでは、指示は、第1のリンパ球細胞上のPD-1と第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を検出する方法を提供し得る。
【0171】
本発明のキットでは、指示は、第1のリンパ球細胞上のCTLA-4またはCD28と第2の非リンパ球細胞上のCD80またはCD86との間の相互作用を検出する方法を提供し得る。
【0172】
本発明のキットでは、指示は、第1のリンパ球細胞上のMHCクラスIまたはIIペプチドと、第2の非リンパ球細胞上のTCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせとの間の相互作用を検出する方法を提供し得る。
【0173】
本発明のキットでは、第1の分子は、第1の細胞の細胞表面上にあり得、第2の分子は、第2の細胞の細胞表面上にあり得る。
【0174】
本発明のキットでは、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0175】
本発明のキットのいくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0176】
本発明は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法における本発明の前述のキットの使用であって、
チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
チェックポイント分子が活性化剤である場合、
iii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
iv.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用も提供する。
【0177】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(iv)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(v)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(vi)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療前に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を、少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)ステップ(a)におけるチェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療中に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を使用して、ステップ(a)~(d)を繰り返すことと、
(f)試料間の全蛍光スコアを比較することであって、
a.療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、比較することと、を含む、インビトロ方法をさらに提供する。
【0178】
本発明の方法では、チェックポイント阻害剤は、抗PD-1またはPD-L1結合剤であり得、第1の一次結合剤は、PD-1に結合し得、第2の一次結合剤は、PD-L1またはPD-L2に結合し得る。第1の一次薬剤および第2の一次薬剤は、チェックポイント阻害剤と同じではない場合があり、チェックポイント阻害剤と同じエピトープに結合しない場合がある。
【0179】
本発明の方法では、チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4またはCD28結合剤であり得、第1の一次結合剤は、CTLA-4またはCD28に結合し得、第2の一次結合剤は、CD80またはCD86に結合し得る。
【0180】
本発明の方法では、チェックポイント阻害剤は、ニボイウマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)、ペムブロイイズマブ(イアムブロイイズマブまたはMK-3475)、ピディリズマブ(CT-Q1 1)、ED-0680(AMP-514)、AMP-224、BMS-936559(MDX-1 105)、ED 4736、MPDL3280A(RG7448)、MSB0010718C、ならびにそれらの断片および塩からなる群から選択され得る。
【0181】
本発明の方法では、全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、チェックポイント活性化剤を含む療法が有効であろうことを示し得る。
【0182】
本発明の方法では、全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の減少は、チェックポイント阻害剤を含む療法が有効であろうことを示し得る。
【0183】
本発明の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0184】
本発明の方法のいくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0185】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するための本発明の前述の方法の使用であって、
a.療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用も提供する。
【0186】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法における使用のためのキットであって、本キットが、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、
方法を行うための指示であって、この方法が、
(a)チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療前に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を、少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)ステップ(a)におけるチェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療中に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を使用して、ステップ(a)~(d)を繰り返すことと、
(f)試料間の全蛍光スコアを比較することであって、
a.療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、比較することと、を含む、指示と、を含む、キットをさらに提供する。
【0187】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法における本発明の前述のキットの使用であって、
a.療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用も提供する。
【0188】
本発明は、目的とする分子がチェックポイント活性化剤であるかチェックポイント阻害剤であるかを特定するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)試料を目的とする分子と接触させることと、
(f)二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤である、または
b.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント阻害剤である、または
c.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤でもチェックポイント阻害剤でもない、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法をさらに提供する。
【0189】
本発明の方法では、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、目的とする分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤であることを示し得る。
【0190】
本発明の方法では、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの5%~0.5%、好ましくは10%~5%、より好ましくは10%超の減少は、目的とする分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント阻害剤であることを示し得る。
【0191】
本発明の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、目的とする分子が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0192】
本発明の方法のいくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、目的とする分子の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0193】
本発明は、がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上のPD-1に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光シグナルスコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することであって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、インビトロ方法も提供する。
【0194】
本発明の方法では、試料は、固定腫瘍細胞試料であり得る。
【0195】
本発明の方法では、方法は、
(i)PD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する単剤での治療、またはPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤および少なくとも1つの他の抗腫瘍剤での併用療法における治療の選択についての決定を導くために、治療前に患者から得られた生体試料に、かつ
(ii)対象の現在の治療レジメンへの応答を監視し、かつ単剤PD-1:PD-L1/PD-L2遮断療法での治療または併用療法での治療の選択についての決定を導くために、治療中に患者から得られた少なくとも1つの生体試料に行われ得る。
【0196】
本発明は、がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するための本発明の前述のインビトロ方法の使用であって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、使用も提供する。
【0197】
本発明は、がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法における使用のためのキットであって、本キットが、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上のPD-1に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、
方法を行うための指示であって、この方法が、
a.患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
b.試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
c.洗浄ステップを行うことと、
d.全蛍光シグナルスコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することであって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、指示と、を含む、キットをさらに提供する。
【0198】
本発明のキットでは、試料は、固定腫瘍細胞試料であり得る。
【0199】
本発明のキットでは、方法を行うための指示は、方法を、
(i)PD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する単剤での治療、またはPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤および少なくとも1つの他の抗腫瘍剤での併用療法における治療の選択についての決定を導くために、治療前に患者から得られた生体試料に、かつ
(ii)対象の現在の治療レジメンへの応答を監視し、かつ単剤PD-1:PD-L1/PD-L2遮断療法での治療または併用療法での治療の選択についての決定を導くために、治療中に患者から得られた少なくとも1つの生体試料に行うための指示をさらに含み得る。
【0200】
本発明は、がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法における本発明の前述のキットの使用であって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、使用をさらに提供する。
【0201】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
第1および第2の融合タンパク質であって、各融合タンパク質が、検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインを含む、第1および第2の融合タンパク質を含み、
検出ドメインが、DNA結合ドメインを含み、さらなる検出ドメインと協働して同族特異的ヌクレオチド配列に結合することができ、
認識ドメインが、標的分子に結合することができ、
コネクタードメインが、一方の末端で検出ドメインに融合しており、他方の末端で認識ドメインに融合しており、
検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインが互いに異種であり、
本方法が、
(i)試料を第1のおよび融合タンパク質と接触させるステップと、
(ii)インキュベートして結合を許容するステップと、
(iii)結合していない融合タンパク質を除去するステップと、
(iv)試料を、同族特異的ヌクレオチド配列を含む核酸と接触させるステップと、
(v)インキュベートして核酸のヘテロ三量体結合を許容するステップと、
(vi)試料に結合した核酸を検出するステップと、を含み、
核酸がステップ(vi)で検出された場合、これは、2つの標的分子が試料中に同時に存在することを示す、インビトロ一致アッセイ方法をさらに提供する。
【0202】
本発明の方法、キット、および使用では、二次結合剤間の相互作用を検出することは、発せられた蛍光を検出することにより得る。
【0203】
本発明の方法、キット、および使用では、二次結合剤間の相互作用を検出することは、変化した蛍光挙動を検出することにより得る。好ましくは、変化した蛍光挙動を検出することは、時間分解である。
【0204】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞および第2の細胞は、同じ細胞型であり得る。
【0205】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞および第2の細胞は、異なる細胞型、すなわち、同じ細胞型ではない細胞型であり得る。
【0206】
本発明の方法、キット、および使用では、単離された試料は、固定細胞試料であり得る。
【0207】
本発明の方法、キット、および使用では、単離された試料は、固定腫瘍細胞試料であり得る。
【0208】
本発明の方法、キット、および使用では、第1および第2の分子は、タンパク質、好ましくは、内因性タンパク質であり得る。好ましくは、タンパク質は、免疫チェックポイントタンパク質である。
【0209】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、PD-1であり得、第2の分子は、PD-L1またはPD-L2であり得る。
【0210】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、CTLA-4またはCD28であり得、第2の分子は、CD80またはCD86であり得る。
【0211】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、MHCクラスIまたはIIペプチドであり得、第2の分子は、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0212】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0213】
本発明の方法、キット、および使用では、二次結合剤のうちの少なくとも1つは、抗体足場、抗体、または抗原結合断片であり得る。本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、抗体足場、抗体結合断片、または抗原結合断片であり得る。
【0214】
本発明の方法、キット、および使用では、抗体または抗原結合断片は、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0215】
本発明の方法、キット、および使用では、抗体足場は、アドネクチン、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、センチリン、システインノット、DARPin、フィノマー、クニッツドメイン、オボディ、およびTn3であり得る。
【0216】
本発明の方法、キット、および使用では、一次結合剤は、標識されていなくてもよい。
【0217】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、ウサギ結合剤であり得る。
【0218】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、PD-1に結合し得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、PD-L1またはPD-L2に結合し得る。
【0219】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、CTLA-4またはCD28に結合し得、第2の一次結合剤は、CD80またはCD86のいずれかに結合し得る。
【0220】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の一次結合剤は、MHCクラスIまたはIIペプチドに結合し得、少なくとも1つの他の一次結合剤は、TCR、CD8、CD3、またはそれらの組み合わせに結合し得る。
【0221】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の二次結合剤は、抗マウス結合剤であり得、少なくとも1つの他の二次結合剤は、抗ウサギ結合剤であり得る。
【0222】
本発明の方法、キット、および使用では、FRETドナーは、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、ATTO488、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0223】
本発明の方法、キット、および使用では、FRETアクセプターは、ALX 594、mRFP、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、ダブシル、BODIPY FL、QSY 7、QSY 9、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0224】
本発明の方法、キット、および使用では、酵素は、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼからなる群から選択され得る。
【0225】
本発明の方法、キット、および使用では、酵素は、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼからなる群から選択され得る。
【0226】
本発明の方法、キット、および使用では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼからなる群から選択され得る。
【0227】
本発明の方法、キット、および使用では、基質は、チラミドであり得る。
【0228】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞は、T細胞であり得、第2の細胞は、腫瘍細胞であり得る。
【0229】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、互いに同時にまたは順次に接触し得る。
【0230】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの二次結合剤は、互いに同時にまたは順次に接触し得る。
【0231】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、少なくとも2つの二次結合剤と同時に試料と接触し得る。
【0232】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、少なくとも2つの二次結合剤の前に試料と接触し得る。
【0233】
本発明の方法、キット、および使用では、洗浄ステップは、少なくとも2つの一次結合剤が試料と接触した後に、かつ少なくとも2つの二次結合剤が試料と接触する前に行われ得る。
【0234】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、第1の細胞上の第1の部位と第2の細胞上の第2の部位との間の相互作用を定量化するステップをさらに含み得る。
【0235】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞は、リンパ球であり得、第2の細胞は、非リンパ球細胞型であり得る。
【0236】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、第1のリンパ球細胞上のPD-1と第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を検出し得る。
【0237】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞は、リンパ球であり得、第2の細胞は、非リンパ球細胞型であり得る。
【0238】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、第1のリンパ球細胞上のCTLA-4またはCD28と第2の非リンパ球細胞上のCD80またはCD86との間の相互作用を検出し得る。
【0239】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の細胞は、リンパ球であり得、第2の細胞は、非リンパ球細胞型であり得る。
【0240】
本発明の方法、キット、および使用では、方法は、第1のリンパ球細胞上のMHCクラスIまたはIIペプチドと、第2の非リンパ球細胞上のTCR、CD8、CD3、またはそれらの組み合わせとの間の相互作用を検出し得る。
【0241】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、第1の細胞の細胞表面上にあり得、第2の分子は、第2の細胞の細胞表面上にあり得る。
【0242】
本発明の方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0243】
本発明のいくつかの方法、キット、および使用では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0244】
当業者であれば、上に概説される任意の特徴が、本発明の方法、使用、およびキットに組み合わせで適用され得ることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0245】
本発明の非限定的な実施形態が、図を参照してこれからさらに説明される。
【0246】
【
図1】抗RTK薬物およびPD-1を遮断する結合剤で処置した患者におけるTSA-FRETによるPD-1:PD-L1相互作用の変化を示す。
【
図2】TSA-FRETによるPD-1:PD-L1相互作用の変化を示す。
【
図3】遮断モノクローナル結合剤の存在下および不在下でのPD-1のみおよびPD-1:PD-L1の代表的な強度および寿命画像を示す。
【
図4】免疫FRET(FRET)によって定量化したPD-1:PD-L1相互作用を示す。
【
図5】抗CTLA-4抗体イピリムマブの不在下または存在下での単一細胞におけるCTLA-4:CD80相互作用の変化を示す。
【
図6】免疫FRET(iFRET)によって定量化したCTLA-4:CD80相互作用を示す。
【
図7】抗CTLA-4抗体イピリムマブの不在下または存在下での転移性メラノーマ組織におけるCTLA-4:CD80相互作用の変化(A)および各試料についての各結果の定量化(B)を示す。
【
図8】原発性腎細胞癌組織におけるPD-1:PD-L1相互作用を示す。
【
図9】明細胞腎細胞癌(ccRCC)組織におけるプログラム死受容体-1(PD-1)とプログラム死-リガンド1(PD-L1)との相互作用を決定するための免疫-フェルスター共鳴エネルギー移動(i-FRET)アッセイの使用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0247】
本発明は、細胞レベルでの分子間の相互作用の検出における、FRET、増幅を伴うFRET(例えば、TSA-FRET)、近接ライゲーション、および一致検出を含む一致アッセイの方法、キット、および使用を提供する。具体的には、特許請求される発明は、タンパク質が各々異なる細胞の細胞表面にある、すなわち、トランス形態である2つのタンパク質の相互作用の検出および定量化を初めて提供する。本発明は、異なる細胞で発現される2つのタンパク質間の相互作用の検出および/または定量化を提供する。
【0248】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1の分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2の分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)細胞を含む単離された試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)二次結合剤間の相互作用を検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法を提供する。
【0249】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するための上記のインビトロ一致アッセイ方法の使用も提供する。
【0250】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するための上記のインビトロアッセイ方法における使用のためのキットをさらに提供する。
【0251】
本発明は、がんを有する患者を治療のために選択する方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)患者由来の単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することであって、
a.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、または
ii.全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
b.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント阻害剤を含む場合、
(iii)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(iv)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、方法をさらに提供する。
【0252】
本発明は、がんを有する患者を治療のために選択するための上記のインビトロ一致アッセイ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0253】
さらなる態様では、本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)試料をチェックポイント活性化剤または阻害剤と接触させることと、
(f)二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.チェックポイント分子が活性化剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法を提供する。
【0254】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するための上記のインビトロ一致アッセイ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0255】
さらなる態様では、本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療前に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を、少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)ステップ(a)におけるチェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療中に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を使用して、ステップ(a)~(d)を繰り返すことと、
(f)試料間の全蛍光スコアを比較することであって、
a.療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、比較することと、を含む、インビトロ方法を提供する。
【0256】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するための上記のインビトロ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0257】
本発明は、目的とする分子がチェックポイント活性化剤であるかチェックポイント阻害剤であるかを特定するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)試料を目的とする分子と接触させることと、
(f)二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤である、または
b.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント阻害剤である、または
c.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤でもチェックポイント阻害剤でもない、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法をさらに提供する。
【0258】
本発明は、目的とする分子がチェックポイント活性化剤であるかチェックポイント阻害剤であるかを特定するための上記のインビトロ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0259】
本発明は、がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上のPD-1に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光シグナルスコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することであって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、インビトロ方法をさらに提供する。
【0260】
本発明は、がんを有する患者がPD-1:PD-L1/L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するための上記のインビトロ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0261】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
第1および第2の融合タンパク質であって、各融合タンパク質が、検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインを含む、第1および第2の融合タンパク質を含み、
検出ドメインが、DNA結合ドメインを含み、さらなる検出ドメインと協働して同族特異的ヌクレオチド配列に結合することができ、
認識ドメインが、標的分子に結合することができ、
コネクタードメインが、一方の末端で検出ドメインに融合しており、他方の末端で認識ドメインに融合しており、
検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインが互いに異種であり、
本方法が、
(i)試料を第1および第2の融合タンパク質と接触させるステップと、
(ii)インキュベートして結合を許容するステップと、
(iii)結合していない融合タンパク質を除去するステップと、
(iv)試料を、同族特異的ヌクレオチド配列を含む核酸と接触させるステップと、
(v)インキュベートして核酸のヘテロ三量体結合を許容するステップと、
(vi)試料に結合した核酸を検出するステップと、を含み、
核酸がステップ(vi)で検出された場合、これは、2つの標的分子が試料中に同時に存在することを示す、インビトロ一致アッセイ方法をさらに提供する。
【0262】
本発明の方法およびキットは、細胞レベルでの分子間の相互作用の検出における、FRET、増幅を伴うFRET(例えば、TSA-FRET)、近接ライゲーション、および一致検出を含む一致アッセイを提供する。
【0263】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するための上記のインビトロ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0264】
本発明の方法、キット、および使用は、シグナル/ノイズ比が改善された低コストの包括的なロバスト方法論における、タンパク質が各々異なる細胞の細胞表面にある、すなわち、トランス形態である2つのタンパク質の相互作用の検出および定量化を初めて提供するという利点を有する。
【0265】
本発明の新規の使用は、具体的には、タンパク質が異なる細胞で発現される細胞レベルでのタンパク質(好ましくは、内因性タンパク質)間相互作用の研究の課題に対処し、とりわけ、検出および定量化されるリンパ球細胞型および非リンパ球細胞型で発現される免疫チェックポイント阻害剤間の相互作用を可能にする役目を果たすために使用され得る。
【0266】
したがって、本発明は、チェックポイント阻害剤の有効性を特定し、かつ患者が、がん療法、例えば、抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、抗CTLA-4、抗CD28、抗CD80、抗CD86、抗MHCクラスI、抗MHCクラスII、抗TCR、抗CD8、および/または抗CD3療法に応答する可能性が高いかを決定するための改善された方法をもたらし得る。本発明は、患者により的を絞ったがん療法を提供する助けとなるように、がん療法、例えば、抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、抗CTLA-4、抗CD28、抗CD80、抗CD86、抗MHCクラスI、抗MHCクラスII、抗TCR、抗CD8、および/または抗CD3療法への応答に対して患者を層別化するための改善された方法も提供する。
【0267】
定義
本発明は、極めて近接した2つの結合剤(例えば、抗体)の検出を可能にする様々な「一致アッセイ」の使用を用いることができる。本発明の例示的な一致アッセイには、フェルスター(蛍光)共鳴エネルギー移動(FRET)、増幅を伴うFRET(例えば、チラミド-シグナル増幅FRET(TSA-FRET))、近接ライゲーションアッセイ(PLA)、生体分子蛍光相補性(BiFC)、酵素断片相補性、および細菌発現系で産生される組換えタンパク質の生体検出器を使用するオリゴヌクレオチド捕捉を伴う一致生体検出が含まれる。
【0268】
「近接ライゲーションアッセイ」とは、極めて近接した2つの結合剤の検出を可能にする一致アッセイを指す。異なる抗原は、サークル形成オリゴヌクレオチドで共有結合的に修飾された種特異的二次結合剤によって結合される種の異なる一次結合剤によって検出される。サークル形成オリゴヌクレオチドは、ライゲートされ得、ローリングサークル増幅および蛍光検出の鋳型として使用され得る。あるいは、種の異なる一次結合剤は、サークル形成オリゴヌクレオチドと直接ライゲートされ得、サークル形成オリゴヌクレオチドは、ライゲートされ得、ローリングサークル増幅および蛍光検出の鋳型として使用され得る。これらの方法は、最大約40nmの抗体距離を検出し得る。好ましくは、これらの方法は、最大約28nmの抗体距離を検出し得る。
【0269】
「一致生体検出」とは、2つの標的分子の一致を検出する方法を指す。本方法は、2つの融合タンパク質を含み、各融合タンパク質は、検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインを含む。検出ドメインは、DNA結合ドメインを含み得、さらなる検出ドメインと協働して同族特異的ヌクレオチド配列に結合することができる。認識ドメインは、標的分子に結合することができる。コネクタードメインは、一方の末端で検出ドメインに融合しており、他方の末端で認識ドメインに融合している。検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインは、互いに異種である。本方法は、(i)試料を融合タンパク質と接触させるステップと、(ii)インキュベートして結合を許容するステップと、(iii)結合していない融合タンパク質を除去するステップと、(iv)試料を、同族特異的ヌクレオチド配列を含む核酸と接触させるステップと、(v)インキュベートして核酸のヘテロ三量体結合を許容するステップと、(vi)試料に結合した核酸を検出するステップとを含む。核酸がステップ(vi)で検出された場合、これは、2つの標的分子が前記試料中に同時に存在することを示す。かかる方法は、参照により全体が本明細書に組み込まれるWO/2011/161420に開示されている。
【0270】
より具体的には、これは、2つのはっきりと異なる親和性プローブ(認識モジュールを有する融合タンパク質)が極めて近接した2つの標的タンパク質における2つの異なる部位/エピトープに結合する一致結合アッセイを指す。本方法は、細菌発現系で産生される組換えタンパク質の生体検出器を使用し得る。融合タンパク質の検出ドメインは、それらの標的二本鎖DNA配列(DNAコンセンサス配列と称される)とヘテロ三量体複合体を形成し得る。各々がリンカー(コネクタードメイン)によって連結された検出モジュールおよび認識モジュールを含む組換え融合タンパク質が、本アッセイで使用され得る。リンカーは、5nm~40nmの長さを有し得る。好ましくは、リンカーは、5nm~30nm、より好ましくは5nm~20nm、または5nm~10nmの長さを有する。リンカーは、10nm、20nm、もしくは30nmの最小長さ、または40nm、30nm、20nm、もしくは10nmの最大長さも有し得る。シグナルは、検出ドメインがそれらのDNAコンセンサス配列に同時に結合してヘテロ三量体複合体を形成し、かつ認識ドメインが極めて近接したそれらの特異的エピトープ標的に結合したときにのみ、生成される。リンカーの長さは、上に詳述されるように、標的エピトープ間の距離を調節するように変化し得る。以下の図は、一致生体検出の原理を示す。
【0271】
「フェルスター(蛍光)共鳴エネルギー移動(FRET)」も、極めて近接した2つの結合剤(例えば、抗体)の検出を可能にする一致アッセイで使用され得る。FRETは、本方法で単独で、または酵素活性化系(例えば、チラミドシグナル増幅(TSA))等の増幅と組み合わせて使用され得る。
【0272】
FRETとは、エネルギーが無放射双極子間相互作用により励起されたFRET(ドナー)フルオロフォアから隣接するFRET(アクセプター)フルオロフォアに移動する光物理的プロセスである。エネルギー移動の効率は、距離の6乗に逆比例して変化し、ドナーフルオロフォアとアクセプターフルオロフォアを分離し、それ故に、FRETが生じ得る距離が9nmに制限される。したがって、FRETは、分子の近接性を測定するために使用される「化学定規」である。
【0273】
【0274】
FRETは、蛍光色素対で標識された極めて近接した(10nm未満の)2つのタンパク質間の相互作用(会合または解離)の測定を可能にする。
【0275】
「FRETドナー」とは、FRETアクセプターよりも短い励起/発光波長を有する発色基質または蛍光発生基質を指す。上の図では、FRETドナーは、シアン蛍光タンパク質(CFP)である。
【0276】
「FRETアクセプター」とは、FRETドナーよりも長い励起/発光波長を有する発色基質または蛍光発生基質を指す。上の図では、FRETアクセプターは、黄色蛍光タンパク質(YFP)である。
【0277】
ドナー発色団(FRETドナー)は、ドナーの発光スペクトルとアクセプターの励起スペクトルが重複したときに、アクセプター分子(FRETアクセプター)を励起する。FRETドナー分子とFRETアクセプター分子は、極めて近接(10nm未満)していなければならない。ドナーとアクセプターとの間の距離が10nm未満である場合、アクセプターの励起が生じ、測定可能な蛍光レポーターシグナルを提供する。レポーターシグナルの検出と同様に、レポーターシグナルを定量化することも可能である。このアプローチを使用して、ドナー発色団とアクセプター発色団との間の距離を決定することができる。このアプローチを使用して、タンパク質間相互作用、タンパク質-脂質相互作用、タンパク質-DNA相互作用、およびタンパク質の立体構造変化、例えば、個々のタンパク質の立体構造修飾状態および翻訳後修飾状態を測定することもできる。
【0278】
FRET効率(E)とは、エネルギー移動遷移の量子収率、すなわち、FRETドナー励起事象毎に生じるエネルギー移動事象の分率である。
【数1】
式中、k
ETk
ETは、エネルギー移動速度であり、k
f k
f は、放射減衰速度であり、k
i k
i は、任意の他の脱励起経路の速度定数である。
【0279】
FRET効率は、ドナーとアクセプターとの間の距離、FRETドナー発光スペクトルとFRETアクセプター吸収スペクトルとのスペクトル重複、およびFRETドナー発光双極子モーメントとFRETアクセプター吸光双極子モーメントとの相対配向を含む多くの物理的パラメータに依存する。
【0280】
EEは、FRETドナーとFRETアクセプターとの分離距離rrに依存し、逆6乗法則は、双極子-双極子カップリング機構に起因する。
【数2】
式中、R
0 R
0 は、このFRETドナーとFRETアクセプターとの対のフェルスター距離である。これは、エネルギー移動効率が約50%である距離である。
【0281】
本発明のドナーには、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、およびATTO488が含まれる。
【0282】
本発明のアクセプターには、ALX 594、mRFP、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、ダブシル、BODIPY FL、ならびにQSY 7色素およびQSY 9色素が含まれる。
【0283】
上記のドナーとアクセプターとの対の組み合わせが本発明に包含される。
【0284】
他の例示的なドナー-アクセプター対には、シアン蛍光タンパク質(CFP)-黄色蛍光タンパク質(YFP)、YFP-CFP、ORG488-ALX594、およびATTO488-ALX594が含まれる。
【0285】
ドナーおよびアクセプターは、2つの異なる型のもの(異種FRET)または同じ型のもの(同種FRET)であり得る。同種FRETの場合、スペクトル差は、FRETを検出および測定するために使用されない。代わりに、ドナーおよびアクセプターを励起する光と発せられる光との間の異方性の差が検出および測定され得る。同種FRETを検出するための例示的な方法には、FRET異方性イメージングが含まれる。定量化された異方性のレベル(励起ビームと発光ビームとの間の偏光の差)により、いくつのFRET事象が生じたかの指標が提供される。
【0286】
以下の表は、例示的なFRETドナー-アクセプター対をそれらの典型的なR
0 値とともに提供する。
【0287】
ドナーまたはアクセプターによって発せられた蛍光の変化を監視することによってFRET効率を測定する方法がいくつか存在する。増感発光、光退色FRET、および寿命測定等のこれらの方法は、当業者に既知であり、本発明に包含される。
【0288】
FRETの例示的な使用には、タンパク質の構造および立体構造の決定、タンパク質複合体の分布および集合の決定、受容体/リガンド相互作用の決定、免疫アッセイ、酵素アッセイ、単一分子間相互作用の精査、核酸の構造および立体構造の決定、リアルタイムPCRアッセイおよびSNP検出、核酸ハイブリダイゼーションの検出、突然変異を検出するためのプライマー伸長アッセイ、自動DNA配列決定、脂質の分布および輸送の決定、膜融合アッセイ、膜電位感知、環状AMPおよびカルシウムの指標、ならびに乳房腫瘍等の腫瘍におけるAkt活性化の検出および定量化が含まれる。
【0289】
「一致FRET」または「二部位」FRETは、2つのはっきりと異なる部位上の単一タンパク質をドナーとアクセプターとの対で同時に標識し、かつそれらの間のFRETを検出する方法を説明する。
【0290】
「酵素活性化系」とは、少なくとも1つの酵素が当業者に既知の任意の様式で特異的結合対のメンバーにカップリングされる酵素系を指す。例えば、酵素は、特異的結合対にコンジュゲートまたは融合し得る。本発明では、特異的結合対は、抗体上にあり得る。ある特定の実施形態では、特異的結合対は、第1の一次抗体、第2の一次抗体、第1の二次抗体、および第2の二次抗体、ならびにそれらの組み合わせから選択される抗体上にある。
【0291】
酵素は、単独で、または第2の酵素と一緒にのいずれかで、検出可能に標識された基質を含むコンジュゲートと反応して、活性化コンジュゲートを形成する。活性化コンジュゲートは、その酵素に隣接する分子表面上の受容体(例えば、電子豊富な部分)に結合する。結合は、共有結合により得る。活性化コンジュゲートは、活性化コンジュゲートの受容体(例えば、電子豊富な部分)が見られるいずれの場所にも沈着し得る。分子表面上の受容体(例えば、電子豊富な部分)は、酵素活性化系と反応しない。したがって、検出可能に標識された基質は、検出可能に標識された基質が酵素によって活性化されて活性化コンジュゲートを形成した場合のみ、受容体(例えば、電子豊富な部分)に結合する。酵素の不在下では、検出可能に標識された基質は、活性化コンジュゲートを形成しない。
【0292】
コンジュゲートの検出可能に標識された基質は、1つ以上の成分を含み得る。一実施形態では、検出可能に標識された基質は、受容体(例えば、電子豊富な部分)の結合部位および検出可能な標識を含む1つの成分を含む。別の実施形態では、基質は、2つの成分を含み、一方の成分が、容体(例えば、電子豊富な部分)の結合部位を含み、検出可能に標識され得る。他方の成分は、酵素がコンジュゲートを活性化するまで、受容体(例えば、電子豊富な部分)への結合を阻止または妨害する構成物を含み得る。
【0293】
「検出可能に標識された」という用語は、基質が、検出可能な標識に直接カップリングされるか、検出可能な標識に間接的にカップリングされるかのいずれかを意味する。
【0294】
基質は、当業者に周知の方法を使用して検出可能に標識され得る。
【0295】
間接標識の場合、基質は、特異的結合対の標識されていない第1のメンバーにカップリングされ得る。活性化コンジュゲートによる活性化および受容体(例えば、電子豊富な部分)への結合後、特異的結合対の第1のメンバーは、検出可能な標識にカップリングされる特異的結合対の第2のメンバーと反応し得る。あるいは、特異的結合対の第1のメンバーは、活性化コンジュゲートによる活性化および受容体(例えば、電子豊富な部分)の結合の前に、レポーターにカップリングされる特異的結合対の第2のメンバーと事前に反応し得る。
【0296】
本発明では、検出可能な標識は、FRETアクセプターまたはFRETドナーを含み得る。好ましい実施形態では、検出可能な標識は、FRETアクセプターを含む。本発明のいくつかの態様では、基質は、チラミドを含む。いくつかの実施形態では、検出可能に標識された基質は、FRETドナーで標識されたチラミドを含む。好ましい実施形態では、検出可能に標識された基質は、FRETアクセプターで標識されたチラミドを含む。
【0297】
酵素は、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、およびそれらの組み合わせから選択され得る。ある特定の実施形態では、酵素は、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、グリコシダーゼ、およびそれらの組み合わせから選択される。好ましい実施形態では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0298】
「活性化コンジュゲート」という用語は、酵素活性化系に特異的であり、かつその系の酵素によって活性化された検出可能に標識された基質を含むコンジュゲートを指す。活性化後、活性化コンジュゲートは、その酵素に隣接する分子表面上の受容体(例えば、電子豊富な部分)に結合し得る。試料は、活性化コンジュゲートを形成するために酵素に基質の活性化を触媒させるのに十分な反応条件に供される。
【0299】
酵素に基質の活性化を触媒させるのに十分な反応条件は、当業者に周知である。チラミドシグナル増幅(TSA)の場合、用いられる酵素は、水素ペルオキシダーゼであり、検出可能に標識された基質は、検出可能に標識されたチラミドである。反応条件は、水素ペルオキシダーゼが検出可能に標識されたチラミドの活性化を触媒して、検出可能に標識されたチラミドラジカルを含む活性化コンジュゲートを形成するために、過酸化水素の存在を必要とする。好ましい実施形態では、検出可能な標識は、FRETアクセプターまたはFRETドナーである。特に好ましい実施形態では、検出可能な標識は、ALX594またはORG488である。他の好ましい実施形態では、検出可能な標識は、ALX594またはATTO488である。
【0300】
好ましい実施形態では、検出可能に標識された基質は、FRETアクセプターで標識されたチラミドを含み、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)は、チラミドを活性化して、FRETアクセプターにカップリングされた反応性の高い短命のチラミドラジカルを含む活性化コンジュゲートを形成し、これらのラジカルは、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に共有結合的にカップリングし得る。好ましい実施形態では、電子豊富な残基は、チロシン残基である。分子表面は、タンパク質または核酸配列であり得る。
【0301】
「増幅」という用語は、酵素活性化系によって活性化された検出可能に標識された基質を含むコンジュゲートの、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分への結合により、検出可能に標識された基質の検出可能な標識によって提供されるレポーターシグナルの増幅を指す。本発明では、レポーターシグナルは、蛍光を含み得る。いくつかの実施形態では、報告されたシグナルは、FRETアクセプターまたはFRETドナーによって発せられた蛍光を含む。好ましい実施形態では、レポーターシグナルは、FRETアクセプターによって発せられた蛍光を含む。
【0302】
本発明の酵素活性化系は、第1の一次抗体、第2の一次抗体、第1の二次抗体、第2の二次抗体、またはそれらの組み合わせに適用され得るが、但し、その系が第1の二次抗体および第2の二次抗体のうちの少なくとも一方に適用されることを条件とする。
【0303】
酵素活性化系との関連で「に隣接する」とは、酵素に極めて近接した位置にある受容体を指す。例えば、酵素と受容体との間の距離は、約2~9nmまたは100kDa未満の球状タンパク質(好ましくは、2~9nm、2~7nm、2~6nm、2~5nm、2~4nmまたは2~3nmまたは90kDa未満、80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、20kDa未満、または10kDa未満)であり得る。
【0304】
本発明の単一の酵素活性化系の1つの特定の実施形態は、チラミドシグナル増幅(TSA)系である。この系は、レポーターにカップリングされたチラミドを活性化して、反応性の高い短命のチラミドラジカルを含む活性化コンジュゲートを形成する西洋ワサビペルオキシダーゼの触媒活性を利用し、これらのラジカルは、西洋ワサビペルオキシダーゼに隣接する分子表面上のチロシン残基に共有結合的にカップリングし得る。分子表面は、タンパク質または核酸残基であり得る。
【0305】
ある特定の態様では、細胞試料は、治療前にまたは治療中に患者から得られる。「治療前に対象から得られる」とは、がんの治療を以前に受けた患者、例えば、抗腫瘍剤で以前に治療された患者から得られることを意味し得るか、またはがんの治療を以前に受けていない患者、すなわち、治療を受けていない患者から得られることを意味し得る。
【0306】
ある特定の態様では、「細胞試料」は、腫瘍細胞試料である。細胞試料は、好ましくは、固定細胞試料である。細胞試料は、患者周辺組織(例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞等)を含む腫瘍細胞試料であり得る。細胞試料は、腫瘍生検であり得る。
【0307】
「腫瘍細胞」という用語は、がん細胞を含む。これには、原発性腫瘍細胞、二次(転移性)腫瘍細胞、固形腫瘍、および関連患者組織(例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞等)が含まれる。腫瘍試料は、例えば、患者から得られた腫瘍生検または外科的切開であり得る。典型的には、腫瘍試料は、浸潤性腫瘍マージンを含む。腫瘍試料は、転移性病巣から得られ得る。試料は、末梢血を含み得る。患者は、転移性がんを有する疑いのある者であり得る。がんの例としては、メラノーマ、肺癌(例えば、非小細胞肺癌を含む)、乳癌、頭頸部癌、尿路上皮癌が挙げられるが、これらに限定されない。がんのさらなる例としては、副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、血液癌、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫、上衣腫、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、子宮頸癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝外胆管癌、ユーイングファミリー腫瘍(PNET)、頭蓋外胚細胞腫瘍、眼癌、眼内メラノーマ、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、性腺外胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、下咽頭癌、島細胞癌、腎癌(腎細胞癌)、喉頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、口唇口腔癌、肝癌、小細胞肺癌、リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および他の形質細胞腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、膵癌、島細胞癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、下垂体癌、形質細胞腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、カポジ肉腫、メラノーマ、小腸癌、軟部組織肉腫、胃癌(stomach cancer)、睾丸癌、胸腺腫、悪性甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、肉腫、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0308】
「抗PD-1抗体」または「抗PD-L1抗体」という用語は、例えば、PD-1とそのリガンドPD-L1もしくはPD-L2との間の相互作用を妨害するか、PD-1がPD-L1もしくはPD-L2と相互作用しているかとは無関係にPD-1の活性化を遮断するか、またはPD-L1もしくはPD-L2がPD-1と相互作用した時点で誘発されるPD-L1もしくはPD-L2シグナル伝達経路を遮断することによって、プログラム死1(PD-1)分子またはPD-L1およびPD-L2を標的とする抗体を指す。
【0309】
「抗PD-1」または「抗PD-L1療法」という用語は、例えば、PD-1とそのリガンドPD-L1もしくはPD-L2との間の確立された現在の相互作用を妨害するか、またはPD-1とPD-L1もしくはPD-1とPD-L2との間の未来の相互作用を遮断するか、PD-1がPD-L1もしくはPD-L2と相互作用しているかとは無関係にPD-1の活性化を遮断するか、またはPD-L1もしくはPD-L2がPD-1と相互作用した時点で誘発されるPD-L1もしくはPD-L2シグナル伝達経路を遮断することによって、プログラム死1(PD-1)分子またはPD-L1およびPD-L2を標的とする治療方針を意味する。抗PD-1免疫療法薬の例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、およびピディリズマブが挙げられるが、これらに限定されない。抗PD-L1免疫療法薬の例としては、BMS-936559およびアテゾイイズマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0310】
「抗CTLA-4」または「抗CD80/86」という用語は、例えば、CTLA-4とそのリガンドCD80もしくはCD86との間の相互作用を妨害するか、CTLA-4がCD80もしくはCD86と相互作用しているかとは無関係にCTLA-4の活性化を遮断するか、またはCD80もしくはCD86がCTLA-4と相互作用した時点で誘発されるCD80もしくはCD86シグナル伝達経路を遮断することによって、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)分子またはCD80もしくはCD86を標的とする治療方針を意味する。
【0311】
「抗CTLA-4療法」または「抗CD80/86療法」という用語は、例えば、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)とそのリガンドCD80もしくはCD86との間の確立された現在の相互作用を妨害するか、またはCTLA-4とCD80もしくはCTLA-4とCD86との間の未来の相互作用を遮断するか、CTLA-4がCD80もしくはCD86と相互作用しているかとは無関係にCTLA-4の活性化を遮断するか、またはCD80もしくはCD86がCTLA-4と相互作用した時点で誘発されるCD80もしくはCD86シグナル伝達経路を遮断することによって、CTLA-4分子またはCD80およびCD86を標的とする治療方針を意味する。抗CTLA-4免疫療法薬の例としては、イピリムマブが挙げられるが、これに限定されない。
【0312】
「抗MHCクラスI」、「抗MHCクラスII」、または「抗TCR」という用語は、例えば、T細胞受容体(TCR)とそのリガンドMHCクラスIもしくはMHCクラスIIとの間の相互作用を妨害するか、TCRがMHCクラスIもしくはMHCクラスIIと相互作用しているかとは無関係にTCRの活性化を遮断するか、またはMHCクラスIもしくはMHCクラスIIがTCRと相互作用した時点で誘発されるTCRシグナル伝達経路を遮断することによって、TCRまたはMHCクラスIもしくはMHCクラスIIを標的とする治療方針を意味する。
【0313】
「抗TCR療法」、「抗MHCクラスI療法」、または「抗MHCクラスII療法」という用語は、例えば、T細胞受容体(TCR)とそのリガンドMHCクラスIもしくはMHCクラスIIとの間の確立された現在の相互作用を妨害するか、またはTCRとMHCクラスIもしくはMHCクラスIIとの間の未来の相互作用を遮断するか、TCRがMHCクラスIもしくはMHCクラスIIと相互作用しているかとは無関係に活性化を遮断するか、またはMHCクラスIもしくはMHCクラスIIがTCRと相互作用した時点で誘発されるMHCクラスIもしくはMHCクラスIIシグナル伝達経路を遮断することによって、T細胞受容体分子またはMHCクラスIもしくはMHCクラスIIを標的とする治療方針を意味する。
【0314】
患者における疾患を「治療すること」またはその「治療」とは、(1)症状または疾患が疾患の症状をまだ呈していないヒトまたは動物に発症するのを予防すること、(2)疾患を阻害することまたはその進行を抑止すること、または(3)疾患もしくは疾患に関連する症状を改善することまたはその退縮を引き起こすことを指す。
【0315】
結合剤との関連で「免疫学的にはっきりと異なる」とは、異なる宿主種または同じ種由来の異なるアイソタイプで産生された結合剤を指す。本発明の一実施形態では、一次結合剤は、第1の抗体および第2の抗体であり、第1の一次抗体は、第2の一次抗体とは異なる宿主種で産生されるか、または第1の一次抗体は、ある種由来の第1のアイソタイプであり、第2の一次抗体は、同じ種由来の第2のアイソタイプであり、第1のアイソタイプおよび第2のアイソタイプは異なる。例示的な宿主種としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ラクダ、ヒツジ、またはウマが挙げられる。例えば、第1の一次抗体は、マウスで産生され得、第2の一次抗体は、ウサギで産生され得る。これにより、第1の二次結合剤が一般的な抗マウス抗体(ドナーで標識される)になり、第2の二次結合剤が一般的な抗ウサギ抗体(酵素にコンジュゲートしている)になることが可能になる。これにより、一般的なハイスループット方法論が提供される。好ましい一実施形態では、第1の一次抗体は、抗PD-1マウス抗体であり、第2の一次抗体は、抗PD-L1またはPD-L2ウサギ抗体である。他の好ましい実施形態では、第1の一次抗体は、抗CTLA-4またはCD28マウス抗体であり、第2の一次抗体は、抗CD80またはCD86ウサギ抗体である。別の好ましい実施形態では、第1の一次抗体は、抗MHCクラスIまたはIIマウス抗体であり、第2の一次抗体は、抗TCRウサギ抗体、抗CD8ウサギ抗体、抗CD3ウサギ抗体、および/またはそれらの組み合わせである。
【0316】
「結合剤」とは、別の分子に結合することができる任意の分子を指し、全免疫グロブリン、抗体足場、および抗体または抗原結合断片を必然的に含み得るが、これらに限定されない。
【0317】
「抗体」は、最も広義に使用され、全免疫グロブリン、ならびに抗体またはその抗原結合断片、例えば、可変ドメインを具体的に包含する。例示的な全免疫グロブリンとしては、全長および天然抗体、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、キメラ抗体が挙げられる。
【0318】
「モノクローナル抗体」とは、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る自然発生突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、エピトープとも称される単一の抗原決定基に対して向けられる。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、およびファージ抗体ライブラリからの単離を含む、当該技術分野で既知の任意の技法または方法論によって作製され得る。
【0319】
対照的に、「ポリクローナル抗体」は、典型的には、免疫グロブリンアイソタイプおよび/またはクラスの異種の集団であり、様々なエピトープ特異性も呈する。
【0320】
「キメラ抗体」とは、重鎖および/または軽鎖の1つ以上の領域またはドメインにおけるアミノ酸配列の一部分または完全なアミノ酸配列が、別の種由来であるか、または別の免疫グロブリンクラスもしくはアイソタイプに属するか、またはコンセンサス配列由来のモノクローナル抗体における対応する配列と同一であるか、それと相同であるか、またはそのバリアントである一種のモノクローナル抗体のタイプを指す。キメラ抗体には、かかる抗体の断片が含まれるが、但し、抗体が、その親抗体の所望の生物学的活性、例えば、同じエピトープへの結合を呈することを条件とする。
【0321】
「抗体または抗原結合断片」とは、親抗体の可変領域または機能的能力、例えば、特異的エピトープ結合が保持される全長抗体の一部分を指す。本発明の抗体または抗原結合断片は、二次認識のために定常領域に保存されたエピトープを有する。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2 、Fd、Fv、scFvおよびscFv-Fc断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体、ならびに抗体断片から形成された他の多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0322】
抗体足場とは、非天然抗原結合タンパク質、ペプチド、または抗体断片を指す。抗体足場としては、アドネクチン、アフィボディ、アフィリン、アンチカリン、アトリマー、アビマー、二環式ペプチド、センチリン、システインノット、DARPin、フィノマー、クニッツドメイン、オボディ、およびTn3が挙げられる。
【0323】
「Fab断片」は、抗原に結合する抗体上の領域である断片-抗原結合断片を指す。これは、重鎖および軽鎖の各々の1つの定常および1つの可変ドメインから構成される。これらのドメインは、その断片のアミノ末端に抗原結合部位を形成する。2つの可変ドメインは、それらの特異的抗原上のエピトープに結合する。本発明のFab断片は、二次抗体認識のために定常領域に保存されたエピトープを有する。
【0324】
Fab断片を調製する方法は当業者に周知であり、例えば、酵素パパインを使用して、全免疫グロブリンを2つのFab断片およびFc断片に切断することができる。
【0325】
Fab断片は、当業者に既知の方法を使用してさらに切断されて、F(ab’)2 およびFab’断片を形成することができる。例えば、酵素ペプシンを使用して、ヒンジ領域下のFab断片を切断して、F(ab’)2 断片およびpFc’断片を産生することができる。あるいは、酵素IdeS(Streptococcus pyogenes由来の免疫グロブリン分解酵素、商標名FabRICATOR)を使用して、配列特異的様式でIgGを中性pHで切断して、F(ab’)2 断片を産生することができる。F(ab’)2 断片は、例えば、穏和な還元によって、2つのFab’断片に分割され得る。
【0326】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片とは、抗体の重鎖可変ドメイン(VH )軽鎖可変ドメイン(VL )を含む一本鎖Fvバリアントであり、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖に存在し、抗原を認識し、それに結合することができる。本発明のscFv断片は、二次抗体認識のために定常領域に保存されたエピトープを有する。scFvポリペプチドは、任意選択的に、scFvが抗原結合のために所望の三次元構造を形成することを可能にする、VH ドメインとVL ドメインとの間に位置付けられたポリペプチドリンカーを含む。
【0327】
scFvを産生するための方法は、当業者に周知である。例えば、別個のVH 鎖およびVL 鎖が、一緒に融合し得る。scFvは、Fab断片のサイズのおよそ半分であり、親抗体の本来の特異性を依然として保持する。
【0328】
「ダイアボディ」とは、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片を指す。Each断片は、VL に連鎖されてVH -VL またはVL -VH ポリペプチドを形成するVH ドメインを含む。同じ鎖上のこれらの2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎる同じ鎖リンカーを使用することにより、連結されたVH -VL ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成させられ、2つの抗原結合部位を作製する。
【0329】
「直鎖状抗体」とは、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH -CH 1-VH -CH 1)を含む抗体を指す。直鎖状抗体は、二重特異性または単一特異性であり得る。
【0330】
本発明の抗体、抗体足場、および抗体またはその抗原結合断片は、タグ付けされ得る。好ましい実施形態では、タグは、FLAGである。
【0331】
「一次結合剤」とは、別の分子に結合することができる任意の分子を指し、全免疫グロブリン、抗体足場、および抗体または抗原結合断片を必然的に含み得るが、これらに限定されない。例えば、一次結合剤は、タンパク質、DNA、または脂質等の分子上の第1の部位に結合する抗体、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片であり得る。一次結合剤は、分子上の部位に対する結合特異性を有する。第1の一次結合剤は、タンパク質等の分子上の第1の部位に結合する。
【0332】
好ましい実施形態では、第1の部位は、PD-1である。第2の一次結合剤は、タンパク質等の分子上の第2の部位に結合する。好ましい実施形態では、第2の部位は、PD-L1である。
【0333】
他の好ましい実施形態では、第1の部位は、CTLA-4またはCD28である。第2の一次結合剤は、タンパク質等の分子上の第2の部位に結合する。好ましい実施形態では、第2の部位は、CD80またはCD86である。
【0334】
別の好ましい実施形態では、第1の部位は、抗MHCクラスIまたはIIペプチドである。第2の一次結合剤は、タンパク質等の分子上の第2の部位に結合する。好ましい実施形態では、第2の部位は、TCR、CD8、CD3、および/またはそれらの組み合わせである。
【0335】
好ましい実施形態では、一次結合剤は、標識されていない。他の実施形態では、一次結合剤は、標識されていてもよい。例えば、標識は、FLAGタグ等のタグであり得る。
【0336】
本発明の実施形態では、一次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片であり得る。上記の組み合わせも想定される。好ましい抗体断片は、Fab断片またはscFv断片である。例えば、本発明の方法では、第1の一次抗体および第2の一次抗体の両方が、全免疫グロブリンであり得る。あるいは、第1の一次抗体および第2の一次抗体の両方が、抗体または抗原結合断片であり得る。いくつかの実施形態では、第1の一次抗体および第2の一次抗体は、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせである。あるいは、第1の一次は、全免疫グロブリンであり得、第2の一次抗体は、抗体または抗原結合断片であり得るか、または第2の一次抗体は、抗体または抗原結合断片であり得、第2の一次抗体は、全免疫グロブリンであり得る。いくつかの実施形態では、一次抗体は、タグ付けされ得(例えば、FLAGタグで)、二次抗体は、タグ(例えば、抗FLAG)に対する結合特異性を有し得る。
【0337】
「二次結合剤」とは、別の分子に結合することができる任意の分子を指し、全免疫グロブリン、抗体足場、および抗体または抗原結合断片を必然的に含み得るが、これらに限定されない。例えば、二次結合剤は、第1もしくは第2の一次結合剤等の一次結合剤、またはFLAGタグ等の一次結合剤上の標識に結合する抗体、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片であり得る。
【0338】
本発明の実施形態では、二次結合剤は、全免疫グロブリン、抗体足場、または抗体もしくはその抗原結合断片であり得る。上記の組み合わせも想定される。好ましい抗体断片は、Fab断片またはscFv断片である。特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの二次結合剤は、抗体、抗体足場、または抗原結合断片である。好ましい実施形態では、第1の一次結合剤および第2の一次結合剤の両方が、抗体、抗体足場、または抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、第1の二次結合剤および第2の二次結合剤は、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせである。あるいは、第1の二次結合剤は、抗体、抗体足場、または抗原結合断片であり得、第2の二次結合剤は、全免疫グロブリンであり得るか、または第1の二次結合剤は、全免疫グロブリンであり得、第2の二次結合剤は、抗体、抗体足場、または抗原結合断片であり得る。いくつかの実施形態では、第1の二次結合剤および第2の二次結合剤はいずれも全免疫グロブリンではない。第1の二次結合剤および第2の二次結合剤の両方が全免疫グロブリンである場合、本発明がいくつかの二次結合剤に機能しないことが見出され、これは、恐らく、FRETドナーとFRETアクセプターとの間の距離をFRETが生じるのに必要とされる距離よりも長くする(10nm超)立体構造の問題のためである。一次結合剤および二次結合剤の適用の順序にかかわらず、そうであることが見出された。
【0339】
いくつかの実施形態では、酵素は、二次結合剤にコンジュゲートまたは融合している。好ましい実施形態では、酵素は、第2の二次結合剤にコンジュゲートまたは融合している。第2の二次結合剤がscFv断片である実施形態では、scFv断片は、酵素に組換えで融合し得る。
【0340】
本発明では、第1の部位は、第2の部位とは異なり、FRETが異なる部位間で検出されることが可能になる。好ましい実施形態では、第1の部位および第2の部位は、同じ分子上にある。特に好ましい実施形態では、第1の部位および第2の部位は、同じタンパク質上にある。他の実施形態では、第1の部位および第2の部位は、異なる分子、例えば、複合体中の異なるタンパク質上にある。好ましくは、単離された試料中で検出されるタンパク質は、内因性タンパク質である。
【0341】
「単離された」試料とは、対象から単離された生体試料、例えば、単離された腫瘍試料である。生体試料には、臓器、組織、細胞、および/または体液が含まれ得る。
【0342】
「対象」という用語は、任意の動物、具体的には、ヒト、家畜化動物および家畜、ならびに動物園の動物、競技用動物、または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を含む哺乳動物に分類される動物を指す。好ましくは、対象は、ヒトである。
【0343】
本発明との関連での「洗浄ステップ」は、免疫組織化学におけるその通常の意味で使用されて、試料が生理食塩水溶液等の許容される溶液で洗浄されることを意味する。例えば、洗浄ステップを使用して、前のステップから任意の結合していない結合剤を除去するか、または活性化コンジュゲートを形成するように活性化されていない任意の検出可能に標識された基質を除去することができる。
【0344】
「チェックポイントタンパク質」は、当該技術分野で既知である。通常の生理学的条件下で、免疫チェックポイントは、免疫系が病原性感染に応答しているときに、自己免疫を予防し、組織を損傷から保護する。チェックポイントタンパク質の発現は、免疫耐性機構の一部として腫瘍によって調節不全になり得る。免疫チェックポイントタンパク質は、免疫チェックポイント経路活性化剤または阻害剤であり得、抗腫瘍免疫応答を提供することによって様々ながんの治療に、または炎症性疾患に使用されて、免疫応答の分解能を向上させることができる。具体的には、チェックポイントタンパク質の阻害または活性化により、抗原特異的T細胞応答の増幅が提供され得る。例示的なチェックポイントタンパク質としては、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、PD-1リガンド(PD-L1)、PD2リガンド(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、B7ファミリータンパク質、TNFファミリータンパク質、CD40L、アデノシンA2a受容体(A2aR)、B7関連タンパク質1(B7RP1)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、ガラクチン9(GAL9)、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、誘発性T細胞共刺激因子(ICOS)、インターロイキン(IL)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、形質転換成長因子-β(TGF-β)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ならびにMHCクラスIまたはIIペプチドが挙げられる。好ましいチェックポイント標的は、PD-1である。PD-L1も好ましいチェックポイント標的である。CTLA-4は、好ましいチェックポイント標的である。MHCクラスIまたはIIペプチドも好ましいチェックポイント標的である。LAG3、B7-H3、B7-H4、およびTIM3も好ましいチェックポイント標的である。
【0345】
CTLA-4、PD-1、LAG3、およびTIM3は、阻害性受容体である。PD-1、B7-H3、およびB7-H4は、阻害性リガンドである。これらは全て、様々ながん治療のために臨床開発を経ている。
【0346】
CTLA-4は、T細胞で排他的に発現され、そこで、CTLA-4は、T細胞活性化の初期段階の振幅を主に調節する。主に、CTLA-4は、T細胞共刺激受容体CD28の活性と対抗する。CD28およびCTLA-4は、同一のリガンドCD80(別名、B7.1)およびCD86(別名、B7.2)を共有する。
【0347】
PD-1は、感染への炎症応答時に末梢組織におけるT細胞の活性を制限し、かつ自己免疫を制限する免疫チェックポイント受容体である。PD-1発現は、T細胞が活性化されたときに誘導される。その2つのリガンドPD-L1またはPD-L2(B7ファミリーメンバー)のうちの一方によって会合されると、PD-1は、T細胞活性化に関与するキナーゼを阻害する。PD-L1は、CD80とも相互作用し得る。
【0348】
膜結合型リガンドのB7ファミリーは、共刺激受容体および阻害性受容体の両方に結合し得る。B7ファミリーメンバーの全ておよびそれらの既知のリガンドは、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。
【0349】
同族TNF受容体ファミリー分子に結合する腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバーは、調節リガンド-受容体対の第2のファミリーを代表するものである。これらの受容体は、それらの同族リガンドによって会合されたときに、主に共刺激シグナルを伝達する。
【0350】
T細胞の活性化を調節するシグナル別の主要なカテゴリーは、微環境下における可溶性サイトカインに由来する。T細胞とAPCとの間の伝達は、二方向性である。いくつかの場合では、これは、リガンド自体がAPCにシグナル伝達したときに生じる。他の場合では、活性化T細胞は、APC上の同族受容体を会合するCD40L等のリガンドを上方調節する。A2aR(アデノシンA2a受容体)、B7RP1(B7関連タンパク質1)、BTLA(BおよびTリンパ球アテニュエーター)、GAL9(ガレクチン9)、HVEM(ヘルペスウイルスエントリーメディエーター)、ICOS(誘発性T細胞共刺激因子)、IL(インターロイキン)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LAG3(リンパ球活性化遺伝子3)、PD-1(プログラム細胞死タンパク質1)、PDL(PD-1リガンド)、TGFβ(形質転換成長因子-β)、TIM3(T細胞膜タンパク質3)。
【0351】
「チェックポイント標的分子」とは、本発明の一致アッセイ方法によって標的とされるタンパク質等の分子を指す。上で説明されるように、「チェックポイント」とは、自己免疫を予防し、免疫系が病原性感染に応答しているときに組織を損傷から保護する免疫チェックポイントである。チェックポイントタンパク質の発現は、免疫耐性機構の一部として腫瘍によって調節不全になり得る。例示的なチェックポイント標的分子としては、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、PD-1リガンド(PD-L1)、PD2リガンド(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、B7ファミリータンパク質、TNFファミリータンパク質、CD40L、アデノシンA2a受容体(A2aR)、B7関連タンパク質1(B7RP1)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、ガラクチン9(GAL9)、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、誘発性T細胞共刺激因子(ICOS)、インターロイキン(IL)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、形質転換成長因子-β(TGF-β)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ならびにMHCクラスIまたはIIペプチドが挙げられる。好ましいチェックポイント標的は、PD-1である。PD-L1も好ましいチェックポイント標的である。CTLA-4は、好ましいチェックポイント標的である。MHCクラスIまたはIIペプチドも好ましいチェックポイント標的である。LAG3、B7-H3、B7-H4、およびTIM3も好ましいチェックポイント標的である。
【0352】
「チェックポイント活性化剤」とは、免疫チェックポイント経路を活性化するタンパク質等の分子を意味する。例示的なチェックポイント活性化剤としては、CD40(TNFSFR5)アゴニスト、GITR(グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体、TNFSFR18)刺激因子、OX40(CD134、TNFSFR4)アゴニスト、4-1BB(CD137、TNFSFR9)アゴニスト、CD27(TNFSFR7)アゴニスト、ICOS(誘発性共刺激因子)分子アゴニスト、Trail受容体アゴニスト、および/またはHVEM(ヘルペスウイルスエントリーメディエーター)受容体アゴニストを含む、TNF受容体およびB7-CD28スーパーファミリー由来のものが挙げられる。好ましいチェックポイント活性化剤としては、OX-40、GITR、および/または4-1BBアゴニストが挙げられる。
【0353】
「チェックポイント阻害剤」とは、免疫チェックポイント経路を阻害するタンパク質等の分子を意味する。例示的なチェックポイント阻害剤としては、抗PD-1結合剤、抗PD-L1結合剤、抗PD-L2結合剤、抗CTLA-4結合剤、抗MHCクラスI結合剤、および/または抗MHCクラスII結合剤が挙げられる。例示的な抗CTLA-4結合剤は、イピリムマブである。例示的な抗PD-1結合剤としては、ニボルマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)およびペムブロリズマブ(イアムブロリズマブまたはMK-3475)が挙げられる。
【0354】
例示的なチェックポイント阻害剤としては、イピリムマブ、ニボルマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)、ペムブロリズマブ(イアムブロリズマブまたはMK-3475)、ピディリズマブ(CT-Q1 1)、ED-0680(AMP-514)、AMP-224、BMS-936559(MDX-1 105)、ED 4736、MPDL3280A(RG7448)、MSB0010718C、ならびにそれらの断片および塩を含むか、またはそれらからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0355】
本発明の方法
本発明の方法は、細胞間相互作用、具体的には、各々異なる細胞の細胞表面にある2つのタンパク質の相互作用の検出および定量化に使用され得る。好ましくは、単離された試料中で検出されるタンパク質は、内因性タンパク質である。
【0356】
有利には、本発明の方法およびキットは、アクセプター発色団の存在下でのドナー発色団の寿命の低下を測定することによってFRETを定量的に計算することによって、細胞間相互作用を測定することができる。したがって、本発明は、試料における第1の細胞で発現される1つの分子および第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用の総量の平均測定値を提供する。これにより、測定可能な相互作用の改善されたダイナミックレンジがもたらされ、これは、がん患者をいくつかの群に層別化して療法によく応答するであろう患者を決定し、かつある細胞の別の細胞への結合を調節する新治療薬等の治療薬の有効性も層別化する臨床状況において有用である。
【0357】
本発明の方法の例示的な使用は、PD-1と、様々ながんにおける腫瘍進行に関与すると特定された免疫チェックポイントタンパク質であるPD-L1またはPD-L2との相互作用の試験における使用である。
【0358】
本発明の方法のさらなる例示的な使用は、CTLA-4またはCD28と、様々ながんにおける腫瘍進行に関与すると特定された免疫チェックポイントタンパク質であるCD80またはCD86との相互作用の試験における使用である。
【0359】
本発明の方法のさらなる例示的な使用は、MHC-ペプチド(例えば、MHCクラスIまたはクラスII)とTCR(またはCD8もしくはCD3)との相互作用の試験における使用である。具体的には、本発明の方法は、T細胞上のTCR複合体のメンバー(例えば、TCRもしくはCD8またはCD3複合体の任意のメンバー)と、抗原ペプチドと複合体形成されたMHCクラスIまたはクラスIIとの間の相互作用の検出および/または定量化使用され得る。
【0360】
本発明の方法を使用して、本明細書に例証されるもの等の他の免疫チェックポイントタンパク質間の相互作用を試験することもできる。
【0361】
本発明の方法は、高感度であり、定量的であり、従来の結合剤を使用して(改変された)分子経路の局在化の決定を可能にする。かかる方法は、薬力学的マーカーの検出に役立ち、新規の小分子阻害剤の創薬/開発を促進する。
【0362】
本発明の方法は、好ましくは、一致アッセイを利用する。
【0363】
本発明の方法は、蛍光寿命イメージング顕微鏡法(FLIM)による検出と組み合わせて使用され得る。時間分解FRETは、単一細胞にかかる情報を提供し得る。
【0364】
増幅を伴わない二部位FRET
一態様では、本発明は、増幅を伴わない二部位FRETを使用する。
【0365】
本発明の増幅を伴わない二部位FRET法では、この方法論は、異なる標的分子に結合し、免疫学的にはっきりと異なる少なくとも2つの一次結合剤と、それぞれの一次結合剤に結合し、それぞれ、FRETドナーおよびFRETアクセプターで標識される少なくとも2つの二次結合剤とを用いる。具体的には、第1の一次結合剤は、第1の細胞上の第1の分子(例えば、チェックポイント標的タンパク質)に結合し、第2の一次結合剤は、第2の細胞上の第2の分子(例えば、別のまたは異なるチェックポイント標的タンパク質)に結合し、第1の一次結合剤および第2の一次結合剤は、免疫学的にはっきりと異なる。第1の二次結合剤は、FRETドナーで標識されており、第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤は、FRETアクセプターで標識されており、第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤は、第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤は、第1の一次結合剤に結合しない。
【0366】
結合された第1の二次結合剤上のFRETドナーが第2の二次結合剤上のFRETアクセプターに十分に極めて近接している(10nm以下)実施形態では、正のFRETシグナルが検出され得る。
【0367】
結合された第1の二次結合剤上のFRETドナーが第2の二次結合剤上のFRETアクセプターに十分に極めて近接していない(10nm超)場合、FRETシグナルは、減少するか、または不在であろう。
【0368】
第1の分子または第2の分子のいずれかまたはそれらのいずれも試料中に存在しない場合、FRETシグナルは検出されないであろう。
【0369】
一例では、一次全免疫グロブリン抗PD-1(マウス)および抗PD-L1(T308)(ウサギ)が、がん患者由来の固定腫瘍細胞試料と接触する。二次Fab断片抗マウス-ORG488および抗ウサギ-ALX594が試料と接触し、それぞれ、抗PD-1(マウス)および抗PD-L1(T308)(ウサギ)抗体に結合する。正のFRETシグナルが、PD-1とPD-L1が異なる細胞の細胞表面上で極めて近接している(10nm以下)ORG488とALX594との間に生成される。FRETシグナルが、多周波ドメインFLIM(mFD-FLIM)によって時間分解様式で検出され得る。
【0370】
増幅を伴う二部位FRET
別の態様では、本発明は、少なくとも2つの一次結合剤、少なくとも2つの二次結合剤、およびコンジュゲート(例えば、二部位TSA-FRET等の増幅を伴う二部位FRET)を用いる方法論を提供する。
【0371】
第1の一次結合剤は、第1の細胞上の第1の分子(例えば、チェックポイント標的タンパク質)に結合し、第2の一次結合剤は、第2の細胞上の第2の分子(例えば、別のまたは異なるチェックポイント標的タンパク質)に結合し、第1の一次結合剤および第2の一次結合剤は、免疫学的にはっきりと異なる。
【0372】
第1の二次結合剤は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ドナーで標識されており、第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤は、酵素にコンジュゲートしており、第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤は、第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤は、第1の一次結合剤に結合しない。
【0373】
コンジュゲートは、FRETアクセプターおよび酵素に特異的な基質を含み、基質が酵素と反応すると、活性化コンジュゲートになり、活性化コンジュゲートは、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する。
【0374】
本発明の方法は、細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させるステップと、試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させるステップと、洗浄ステップを行うステップと、試料をコンジュゲートと接触させるステップと、FRETアクセプターによって生成されたいずれのFRETシグナルも検出するステップとを含み得る。
【0375】
本発明の方法を使用して、第1の分子および第2の分子が低レベルで発現される場合でさえも、第1の分子と第2の分子が空間的に極めて近接している(9nm以下)場合にFRETシグナルを検出することが可能である。
【0376】
本発明の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、細胞試料と接触する。少なくとも2つの一次結合剤は、互いに同時にまたは互いに順次に試料と接触し得る。したがって、第1の一次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第2の一次結合剤が試料と接触し得る。あるいは、第2の一次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第2の一次結合剤が試料と接触し得る。第1の一次結合剤および第2の一次結合剤が互いに順次に試料と接触する場合、任意選択的な洗浄ステップは、ステップ間でその順に行われ得る。
【0377】
第1の一次結合剤は、試料中に存在する第1の細胞上の任意の第1の分子に結合し、第2の一次結合剤は、試料中に存在する第2の細胞上の任意の第2の分子に結合する。任意選択的な洗浄ステップは、任意の結合していない一次結合剤を除去する。
【0378】
少なくとも2つの二次結合剤は、少なくとも2つの一次結合剤と同時に細胞試料と接触し得るか、または少なくとも2つの一次結合剤は、少なくとも2つの二次結合剤の前に試料と接触し得る。少なくとも2つの二次結合剤は、互いに同時にまたは互いに順次に試料と接触し得る。したがって、第1の二次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第2の二次結合剤が試料と接触し得る。あるいは、第2の二次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第1の二次結合剤が試料と接触し得る。第1の二次結合剤および第2の二次結合剤が互いに順次に試料と接触する場合、任意選択的な洗浄ステップは、ステップ間でその順に行われ得る。少なくとも2つの一次結合剤が少なくとも2つの二次結合剤の前に試料と接触する実施形態では、任意選択的な洗浄ステップは、少なくとも2つの一次結合剤の投与と少なくとも2つの二次結合剤の投与との間で行われ得る。
【0379】
第1の二次結合剤は、第1の一次結合剤に結合し、第2の一次結合剤は、第2の一次結合剤に結合する。任意選択的な洗浄ステップは、いずれの結合していない二次結合剤、または第1もしくは第2の部位に結合していない一次結合剤(すなわち、結合していない一次結合剤)に結合しているいずれの二次結合剤も除去する。
【0380】
少なくとも2つの一次結合剤および少なくとも2つの二次結合剤を試料と接触させた後、洗浄ステップは、コンジュゲートが試料と接触する前に行われる。洗浄ステップは、その標的(例えば、第1の部位、第2の部位、第1の一次結合剤、または第2の一次結合剤)に結合していないいずれの結合剤(一次または二次)も除去する。本発明の方法では、生理食塩水溶液または別の好適な溶液を使用して、洗浄ステップを行うことができる。洗浄ステップに使用される条件は、当業者に周知である。
【0381】
いくつかの態様では、洗浄ステップ後、コンジュゲートが試料と接触する。第2の一次結合剤が第2の分子に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合している場合、コンジュゲートの基質は、第2の二次結合剤にコンジュゲートして活性化コンジュゲートを形成する酵素と反応する。活性化コンジュゲートは、その酵素に隣接する分子表面(例えば、タンパク質表面)上の電子豊富な部分に結合するであろう。この酵素は、複数のコンジュゲートを活性化することができ、複数の活性化コンジュゲートの、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分への結合を提供する。これは、第2の部位の近くで結合されたFRETアクセプターを含む活性化コンジュゲートの数を増幅する。
【0382】
FRETアクセプターによって生成されたいずれのFRETシグナルも検出される。
【0383】
結合された第1の二次抗体上のFRETドナーが結合された活性化コンジュゲート上のFRETアクセプターに十分に極めて近接している(10nm以下)実施形態では、正のFRETシグナルが検出され得る。
【0384】
結合された第1の二次抗体上のFRETドナーが結合された活性化コンジュゲート上のFRETアクセプターに十分に極めて近接していない(10nm超)場合、FRETシグナルは、減少するか、または不在であろう。
【0385】
第1の分子または第2の分子のいずれかまたはそれらのいずれも試料中に存在しない場合、FRETシグナルは検出されないであろう。
【0386】
本発明の別の態様では、酵素活性化系は、第2の二次結合剤に加えて第1の二次結合剤に適用され得る。これにより、FRETドナーシグナルおよびFRETアクセプターシグナルの両方が有利に増幅される。この態様では、第1の二次結合剤は、FRETドナーの代わりに酵素にコンジュゲートしている。本方法は、FRETドナーおよび酵素に特異的な基質を含む第2のコンジュゲートをさらに用い、基質が酵素と反応すると、第2の活性化コンジュゲートが生じ、第2の活性化コンジュゲートは、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する。基質は、第2の二次結合剤にコンジュゲートしている酵素と反応しない。
【0387】
本発明の方法は、適宜に適応される。例えば、本方法は、試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させるステップと、試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させるステップと、洗浄ステップを行うステップと、試料を、第1の二次結合剤にコンジュゲートしている酵素に特異的な第1のコンジュゲートおよび第2の二次結合剤にコンジュゲートしている酵素に特異的な第2のコンジュゲートと接触させるステップと、FRETアクセプターによって生成されたいずれのFRETシグナルも検出するステップとを含み得る。第1のコンジュゲートは、第2のコンジュゲートに同時にまたは順次に適用され得る。例えば、第1のコンジュゲートが試料と最初に接触し得、その後、第2のコンジュゲートが試料と接触し得る。あるいは、第2のコンジュゲートが試料と最初に接触し得、その後、第1のコンジュゲートが試料と接触し得る。第1のコンジュゲートおよび第2のコンジュゲートが互いに順次に試料と接触する場合、任意選択的な洗浄ステップは、ステップ間でその順に行われ得る。
【0388】
結合された第1の活性化コンジュゲート上のFRETドナーが結合された第2の活性化コンジュゲートのFRETアクセプターに十分に極めて近接している(10nm以下)実施形態では、正のFRETシグナルが検出され得る。
【0389】
結合された第1の活性化コンジュゲート上のFRETドナーが結合された第2の活性化コンジュゲート上のFRETアクセプターに十分に極めて近接していない(9nm超)場合、FRETシグナルは、減少するか、または不在であろう。
【0390】
第1の分子または第2の分子のいずれかまたはそれらのいずれも試料中に存在しない場合、FRETシグナルは検出されないであろう。
【0391】
本発明の一態様では、一次結合剤は、標識されていない。例えば、一次結合剤は、FRETドナーでもFRETアクセプターでも標識されていない。これは、本発明の方法が、多大な時間および費用を必要とするFRETドナーまたはFRETアクセプターで標識されている個別の結合特異性を有する一次結合剤の産生に依存しない一般的なハイスループット方法論を提供し得るという利点を有する。
【0392】
一次結合剤は、標識されていてもよい。例えば、一次結合剤は、FRETドナーまたはFRETアクセプターで標識されていてもよい。この態様では、二次結合剤は、省かれ得る。あるいは、標識された一次結合剤は、一次結合剤-第2の結合剤対およびコンジュゲートと組み合わせて使用され得る。例えば、FRETアクセプターで標識された第1の一次結合剤は、酵素にコンジュゲートしている第2の二次結合剤によって結合された第2の一次結合剤およびコンジュゲートと組み合わせて使用され得る。この例では、第1の二次結合剤は、省かれ得る。あるいは、FRETアクセプターで標識された第1の二次結合剤によって結合された第1の一次結合剤は、酵素にコンジュゲートしている第2の一次結合剤およびコンジュゲートと組み合わせて使用され得る。この例では、第2の二次結合剤は、省かれ得る。これらの実施形態では、酵素活性化系は、第2の一次/二次結合剤に加えて第1の一次結合剤に適用され得る。これにより、FRETドナーシグナルおよびFRETアクセプターシグナルの両方が有利に増幅される。この態様では、第1の一次結合剤は、FRETドナーの代わりに酵素にコンジュゲートしている。本方法は、FRETドナーおよび酵素に特異的な基質を含む第2のコンジュゲートをさらに用い、基質が酵素と反応すると、第2の活性化コンジュゲートが生じ、第2の活性化コンジュゲートは、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する。基質は、第2の一次/二次結合剤にコンジュゲートしている酵素と反応しない。
【0393】
本発明の方法は、適宜に適応される。例えば、本方法は、試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させるステップと、任意選択的に試料を少なくとも1つの二次結合剤と接触させるステップと、洗浄ステップを行うステップと、試料を、第1の一次/二次結合剤にコンジュゲートしている酵素に特異的な第1のコンジュゲートおよび第2の一次/二次結合剤にコンジュゲートしている酵素に特異的な第2のコンジュゲートと接触させるステップと、FRETアクセプターによって生成されたいずれのFRETシグナルも検出するステップとを含み得る。第1のコンジュゲートは、第2のコンジュゲートに同時にまたは順次に適用され得る。例えば、第1のコンジュゲートが試料と最初に接触し得、その後、第2のコンジュゲートが試料と接触し得る。あるいは、第2のコンジュゲートが試料と最初に接触し得、その後、第1のコンジュゲートが試料と接触し得る。第1のコンジュゲートおよび第2のコンジュゲートが互いに順次に試料と接触する場合、任意選択的な洗浄ステップは、ステップ間でその順に行われ得る。
【0394】
結合された第1の活性化コンジュゲート、第1の一次結合剤、または第1の二次結合剤上のFRETドナーが結合された第2の活性化コンジュゲート上のFRETアクセプターに十分に極めて近接している(10nm以下)実施形態では、正のFRETシグナルが検出され得る。
【0395】
結合された第1の活性化コンジュゲート、第1の一次結合剤、または第1の二次結合剤上のFRETドナーが結合された第2の活性化コンジュゲート上のFRETアクセプターに十分に極めて近接していない(10nm超)場合、FRETシグナルは、減少するか、または不在であろう。
【0396】
第1の分子または第2の分子のいずれかまたはそれらのいずれも試料中に存在しない場合、FRETシグナルは検出されないであろう。
【0397】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、2つより多くの一次結合剤を用いる。
【0398】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、2つより多くの二次結合剤を用いる。
【0399】
本発明の試料は、単離された生体試料、単離された細胞、および組織切片を含む。好ましい実施形態では、試料は、乳房腫瘍組織切片を含む乳房腫瘍試料である。
【0400】
有利には、本発明で用いられる二次結合剤は、抗体または抗原結合断片、例えば、全免疫グロブリンではなく、Fab断片またはscFv断片であり得る。二次結合剤は、Fab断片、抗体足場、および全免疫グロブリンの組み合わせ(Fab断片混合物)であり得る。二次結合剤に抗体もしくは抗原結合断片(例えば、50kDa~100kDaのサイズ範囲)またはFab断片混合物を用いる本発明の実施形態が特に有効であることが見出された。具体的な利点は、FRETドナーからFRETアクセプター発色団までの距離の低減およびFRET効率の増大、組織の容易な浸透およびそれらの標的への結合である。加えて、それらの固有の特異性は、それらがFc領域を欠き、それ故に、内因性Fc受容体への非特異的結合に起因するいずれのバックグラウンドも著しく減少するという事実によってさらに強化される。これは、2つの標的部位が同じ分子上にある場合に特に有利である。
【0401】
本発明のFRET方法と組み合わせた酵素活性化系の使用により、FRET効率、特に二部位FRETのFRET効率が改善される。以前は、その系のサイズがFRETドナーとFRETアクセプターとの間の距離を増大させ、FRETの損失につながるであろうと予測されていた。しかしながら、本発明者らは、本発明の方法が、改善されたシグナル/ノイズ比、ならびに低費用の一般的かつロバストなハイスループット方法論を提供することを見出した。
【0402】
有利には、酵素活性化系は、低発現タンパク質、好ましくは、内因性タンパク質の検出を増加させ、一次結合剤の希釈も可能にし、それ自体が非特異的相互作用を減少させ、それ故に、特異性を改善する。
【0403】
本発明の方法は、バックグラウンドを増加させることなく感度を著しく増加させるという利点を有する。
【0404】
一例では、一次全免疫グロブリン抗PD-1(マウス)および抗PD-L1(T308)(ウサギ)が、がん患者由来の固定腫瘍細胞試料と接触する。二次Fab断片抗マウス-ORG488および抗ウサギ-HRPが試料と接触し、それぞれ、抗PD-1(マウス)および抗PD-L1(T308)(ウサギ)抗体に結合する。洗浄ステップ後、チラミド(TSA)-ALX594が試料に適用される。HRPは、TSA-ALX594の複数のコピーの活性化を触媒する。結果として生じた短命のチラミドラジカルは、HRPに隣接する電子豊富な残基に共有結合的にカップリングし、PD-L1標的部位に隣接するALX594の複数のコピーを沈着させる。チラミドラジカルの短半減期により、ALX594シグナル局在化の拡散関連損失が最小限に抑えられる。正のFRETシグナルが、PD-1とPD-L1が異なる細胞の細胞表面上で極めて近接している(10nm以下)ORG488とALX594との間に生成される。FRETシグナルが、多周波ドメインFLIM(mFD-FLIM)によって時間分解様式で検出され得る。
【0405】
一態様では、本発明は、高感度定量的一致アッセイに関する。ある特定の実施形態では、二部位TSA-FRETは、感度および特異性を最大にするために、免疫蛍光チラミドシグナル増幅(TSA)をFab断片二次抗体コンジュゲートと組み合わせる。
【0406】
「プラグイン」アルゴリズムを使用して、mFD-FLIMを自動化することができる。かかる小型機器は、細胞における関心領域(ROI)と腫瘍におけるROIを自動的に区別し、これにより、特定のROIの公平な選択が可能になる。
【0407】
本発明の実施形態では、小型自動mFD-FLIMを二部位TSA-FRETと組み合わせて使用して、腫瘍試料におけるPD-1および/またはPD-L1/PD-L2の活性化を容易に検出することができる。この方法を使用して、予後的、予測的、および診断的免疫チェックポイント阻害剤について日常的に通知することができる。
【0408】
有利には、本発明の方法は、多周波ドメインFLIM(mFD-FLIM)によって検出された時間分解FRETの時空間的特質および定量的特質を、チラミドシグナル増幅(TSA)システムの感度と組み合わせる。
【0409】
さらなる一例では、一次全抗CTLA-4または抗CD28免疫グロブリン(マウス)および一次全抗CD80または抗CD86免疫グロブリン(ウサギ)が、がん患者由来の固定腫瘍細胞試料と接触する。二次Fab断片抗マウス-ORG488および抗ウサギ-HRPが試料と接触し、それぞれ、抗CTLA-4/CD28(マウス)および抗CD80/CD86(ウサギ)抗体に結合する。洗浄ステップ後、チラミド(TSA)-ALX594が試料に適用される。HRPは、TSA-ALX594の複数のコピーの活性化を触媒する。結果として生じた短命のチラミドラジカルは、HRPに隣接する電子豊富な残基に共有結合的にカップリングし、CD80/CD86標的部位に隣接するALX594の複数のコピーを沈着させる。チラミドラジカルの短半減期により、ALX594シグナル局在化の拡散関連損失が最小限に抑えられる。正のFRETシグナルが、CTLA-4/CD28とCD80/CD86が異なる細胞の細胞表面上で極めて近接している(10nm以下)ORG488とALX594との間に生成される。FRETシグナルが、多周波ドメインFLIM(mFD-FLIM)によって時間分解様式で検出され得る。
【0410】
別の例では、一次全抗MHCクラスIまたはIIペプチド免疫グロブリン(マウス)および一次全抗TCR、CD8、またはCD3免疫グロブリン(ウサギ)が、がん患者由来の固定腫瘍細胞試料と接触する。二次Fab断片抗マウス-ORG488および抗ウサギ-HRPが試料と接触し、それぞれ、抗MHCクラスI/IIペプチド(マウス)および抗TCR/CD8/CD3(ウサギ)抗体に結合する。洗浄ステップ後、チラミド(TSA)-ALX594が試料に適用される。HRPは、TSA-ALX594の複数のコピーの活性化を触媒する。結果として生じた短命のチラミドラジカルは、HRPに隣接する電子豊富な残基に共有結合的にカップリングし、TCR/CD8/CD3標的部位に隣接するALX594の複数のコピーを沈着させる。チラミドラジカルの短半減期により、ALX594シグナル局在化の拡散関連損失が最小限に抑えられる。正のFRETシグナルが、MHCクラスI/IIペプチドとTCR/CD8/CD3が異なる細胞の細胞表面上で極めて近接している(10nm以下)ORG488とALX594との間に生成される。FRETシグナルが、多周波ドメインFLIM(mFD-FLIM)によって時間分解様式で検出され得る。当業者であれば、特許請求される方法、使用、およびキットを他の免疫チェックポイント標的対に適用して、細胞レベルでの免疫チェックポイント標的間の相互作用を検出および/または定量化することができることを理解するであろう。
【0411】
近接ライゲーション
別の態様では、本発明は、DNA配列にコンジュゲートまたは融合した少なくとも2つの一次結合剤および少なくとも2つの二次結合剤を用いる方法論を提供する。第1の二次結合剤にコンジュゲートまたは融合したDNA配列は、第2の二次結合剤にコンジュゲートまたは融合したDNA配列とは異なり得る。DNA配列は、ライゲートして、ローリングサークルDNA増幅によってサークルを形成し、増幅された環状DNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合される。
【0412】
外部から適用されたDNAプローブは、蛍光標識等の検出可能な標識で標識され得る。HRPおよび発色団等の他の検出可能な標識が想定される。
【0413】
第1の一次結合剤は、第1の細胞上の第1の分子(例えば、チェックポイント標的タンパク質)に結合し、第2の一次結合剤は、第2の細胞上の第2の分子(例えば、別のまたは異なるチェックポイント標的タンパク質)に結合し、第1の一次結合剤および第2の一次結合剤は、免疫学的にはっきりと異なる。
【0414】
第1の二次結合剤は、第1のDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤は、第2のDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、第2の一次vに結合する。第1のDNA配列および第2のDNA配列は、異なり得る。第1の二次vは、第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤は、第1の一次結合剤に結合しない。
【0415】
DNA配列は、ライゲートされてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合される。
【0416】
より具体的には、PLAプローブと呼ばれるそれぞれの一次結合剤の定常領域に対して向けられた二次結合剤は、それぞれの一次結合剤に結合する。第1のPLAプローブと呼ばれる第1の一次結合剤の定常領域に対して向けられた第1の二次結合剤は、第1の一次結合剤に結合する。第2のPLAプローブと呼ばれる第2の一次結合剤の定常領域に対して向けられた第2の二次結合剤は、第2の一次結合剤に結合する。第1のPLAプローブおよび第2のPLAプローブは、それらに結合した異なる短いDNA鎖を有する。第1のPLAプローブと第2のPLAプローブが極めて近接している(最大約40nm、好ましくは最大約28nm)場合、すなわち、目的とする2つの標的細胞が極めて近接している場合、DNA鎖は、ライゲートされ、その後、適切な基質および酵素の存在下で増幅され得る。ライゲーションは、プローブが極めて近接している(最大約40nm、好ましくは最大約28nm)ときにライゲーションが生じるように、PLAプローブ間の距離によって決定される。ライゲートされると、増幅が適切な基質および酵素の存在下で生じる。かかる基質および酵素は、当該技術分野で既知である。
【0417】
ローリングサークルDNA合成ステップにより、DNAサークルの数百倍の増幅がもたらされ得、増幅されたDNAに結合する蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブと接触したときに、高濃度の蛍光が、例えば、蛍光顕微鏡法によって検出され得る。
【0418】
本発明の方法は、細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させるステップと、試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させるステップと、洗浄ステップを行うステップと、ローリングサークルDNA増幅を行うステップと、試料を、増幅された環状DNA配列のものに相補的な蛍光標識DNAプローブと接触させるステップと、生成されたいずれの蛍光シグナルも検出するステップとを含み得る。
【0419】
本発明の方法を使用して、第1の分子と第2の分子が空間的に極めて近接している(約40nm未満、好ましくは約28nm未満)場合に、蛍光シグナルを検出することが可能である。
【0420】
本発明の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、細胞試料と接触する。少なくとも2つの一次結合剤は、互いに同時にまたは互いに順次に試料と接触し得る。したがって、第1の一次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第2の一次結合剤が試料と接触し得る。あるいは、第2の一次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第2の一次結合剤が試料と接触し得る。第1の一次結合剤および第2の一次結合剤が互いに順次に試料と接触する場合、任意選択的な洗浄ステップは、ステップ間でその順に行われ得る。
【0421】
第1の一次結合剤は、試料中に存在する第1の細胞上の任意の第1の分子に結合し、第2の一次結合剤は、試料中に存在する第2の細胞上の任意の第2の分子に結合する。任意選択的な洗浄ステップは、任意の結合していない一次結合剤を除去する。
【0422】
少なくとも2つの二次結合剤は、少なくとも2つの一次結合剤と同時に細胞試料と接触し得るか、または少なくとも2つの一次結合剤は、少なくとも2つの二次結合剤の前に試料と接触し得る。少なくとも2つの二次結合剤は、互いに同時にまたは互いに順次に試料と接触し得る。したがって、第1の二次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第2の二次結合剤が試料と接触し得る。あるいは、第2の二次結合剤が試料と最初に接触し得、その後、第1の二次結合剤が試料と接触し得る。第1の二次結合剤および第2の二次結合剤が互いに順次に試料と接触する場合、任意選択的な洗浄ステップは、ステップ間でその順に行われ得る。少なくとも2つの一次結合剤が少なくとも2つの二次結合剤の前に試料と接触する実施形態では、任意選択的な洗浄ステップは、少なくとも2つの一次結合剤の投与と少なくとも2つの二次結合剤の投与との間で行われ得る。
【0423】
第1の二次結合剤は、第1の一次結合剤に結合し、第2の一次結合剤は、第2の一次結合剤に結合する。任意選択的な洗浄ステップは、いずれの結合していない二次結合剤、または第1もしくは第2の部位に結合していない一次結合剤(すなわち、結合していない一次結合剤)に結合しているいずれの二次結合剤も除去する。
【0424】
少なくとも2つの一次結合剤および少なくとも2つの二次結合剤を試料と接触させた後、洗浄ステップは、コンジュゲートが試料と接触する前に行われる。洗浄ステップは、その標的(例えば、第1の部位、第2の部位、第1の一次抗体、または第2の一次結合剤)に結合していないいずれの結合剤(一次または二次)も除去する。本発明の方法では、生理食塩水溶液または別の好適な溶液を使用して、洗浄ステップを行うことができる。洗浄ステップに使用される条件は、当業者に周知である。
【0425】
ローリングサークルDNA増幅行われる。DNA配列がライゲートされてサークルを形成し、その後、ローリングサークルDNA増幅によって増幅される。その後、増幅されたDNAが、増幅された環状DNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブと接触する。任意選択的な洗浄ステップが行われる。その後、結合されたプローブがそれらの検出可能な標識によって検出される。
【0426】
ローリングサークルDNA増幅ステップは、標的分子相互作用の存在を示す外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合された環状DNA配列の数を増幅する。生成されたいずれの検出可能なシグナルも検出される。
【0427】
第1の標的分子が第2の標的分子に十分に極めて近接している(約40nm未満、好ましくは約28nm未満)実施形態では、正の検出可能な(蛍光)シグナルが検出され得る。
【0428】
第1の標的分子が第2の標的分子に十分に極めて近接していない(約40nm超、好ましくは約28nm超える)場合、検出可能な(蛍光)シグナルは、減少するか、または不在であろう。
【0429】
第1の分子または第2の分子のいずれかまたはそれらのいずれも試料中に存在しない場合、検出可能な(蛍光)シグナルは検出されないであろう。
【0430】
本発明の方法は、適宜に適応される。例えば、本方法は、試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させるステップと、試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させるステップと、洗浄ステップを行うステップと、ローリングサークルDNA増幅を行うステップと、試料を、増幅された環状DNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブと接触させるステップと、生成されたいずれの検出可能な(蛍光)シグナルも検出するステップとを含み得る。
【0431】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、2つより多くの一次結合剤を用いる。
【0432】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、2つより多くの二次結合剤を用いる。
【0433】
有利には、本発明で用いられる二次結合剤は、抗体または抗原結合断片、例えば、全免疫グロブリンではなく、Fab断片またはscFv断片であり得る。二次結合剤は、Fab断片、抗体足場、および全免疫グロブリンの組み合わせ(Fab断片混合物)であり得る。二次結合剤に抗体もしくは抗原結合断片(例えば、50kDa~100kDaのサイズ範囲)またはFab断片混合物を用いる本発明の実施形態が特に有効であることが見出された。具体的な利点は、標的距離の低減および蛍光効率の増大、組織の容易な浸透およびそれらの標的への結合である。加えて、それらの固有の特異性は、それらがFc領域を欠き、それ故に、内因性Fc受容体への非特異的結合に起因するいずれのバックグラウンドも著しく減少するという事実によってさらに強化される。
【0434】
本発明の方法は、バックグラウンドを増加させることなく感度を著しく増加させるという利点を有する。
【0435】
一例では、一次全免疫グロブリン抗PD-1(マウス)および抗PD-L1(T308)(ウサギ)が、がん患者由来の固定腫瘍細胞試料と接触する。DNA配列に融合した二次Fab断片抗マウス-および別のDNA配列に融合した二次Fab断片抗ウサギ-が試料と接触し、それぞれ、抗PD-1(マウス)および抗PD-L1(T308)(ウサギ)抗体に結合する。
【0436】
DNA配列がライゲートされてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、PD-1とPD-L1が異なる細胞の細胞表面上で極めて近接している(約40nm未満、好ましくは約28nm未満)増幅された環状DNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合される。蛍光シグナルが蛍光顕微鏡法によって検出され得る。本発明は、高感度定量的一致アッセイに関する。
【0437】
さらなる一例では、一次全抗CTLA-4または抗CD28免疫グロブリン(マウス)および一次全抗CD80または抗CD86免疫グロブリン(ウサギ)が、がん患者由来の固定腫瘍細胞試料と接触する。DNA配列に融合した二次Fab断片抗マウス-および別のDNA配列に融合した二次Fab断片抗ウサギ-が試料と接触し、それぞれ、抗CTLA-4/CD28(マウス)および抗CD80/CD86(ウサギ)抗体に結合する。
【0438】
DNA配列がライゲートされてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、CTLA-4/CD28とCD80/CD86が異なる細胞の細胞表面上で極めて近接している(約40nm未満、好ましくは約28nm未満)増幅された環状DNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合される。蛍光シグナルが蛍光顕微鏡法によって検出され得る。本発明は、高感度定量的一致アッセイに関する。
【0439】
別の例では、一次全抗MHCクラスIまたはIIペプチド免疫グロブリン(マウス)および一次全抗TCR、CD8、またはCD3免疫グロブリン(ウサギ)が、がん患者由来の固定腫瘍細胞試料と接触する。DNA配列に融合した二次Fab断片抗マウス-および別のDNA配列に融合した二次Fab断片抗ウサギ-が試料と接触し、それぞれ、抗MHCクラスI/IIペプチド(マウス)および抗TCR/CD8/CD3(ウサギ)抗体に結合する。
【0440】
DNA配列がライゲートされてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、MHCクラスI/IIペプチドとTCR/CD8/CD3が異なる細胞の細胞表面上で極めて近接している(約40nm未満、好ましくは約28nm未満)増幅された環状DNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合される。蛍光シグナルが蛍光顕微鏡法によって検出され得る。本発明は、高感度定量的一致アッセイに関する。
【0441】
本発明の方法がPLAを用いることができるが、かかる方法論が20nm~40nmの範囲の距離しか決定しないことが見出された。20nm未満のPLA距離を決定することができなかった。
【0442】
対照的に、本発明の二部位TSA FRET方法は、10nm以下の範囲の距離を測定することができた。かかる方法は、一般的に適用される(特定のがん型または特定の細胞間相互作用に限定されない)単に質的アッセイではなく定量的アッセイも可能にする。
【0443】
一致検出
別の態様では、本発明は、別個の細胞の表面上に提示される2つの標的分子間の相互作用を検出するための一致検出方法を使用する。
【0444】
本方法は、2つの融合タンパク質を含み、各融合タンパク質は、検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインを含む。検出ドメインは、DNA結合ドメインを含み得、さらなる検出ドメインと協働して同族特異的ヌクレオチド配列に結合することができる。認識ドメインは、標的分子に結合することができる。コネクタードメインは、一方の末端で検出ドメインに融合しており、他方の末端で認識ドメインに融合している。検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインは、互いに異種である。本方法は、(i)試料を融合タンパク質と接触させるステップと、(ii)インキュベートして結合を許容するステップと、(iii)結合していない融合タンパク質を除去するステップと、(iv)試料を、同族特異的ヌクレオチド配列を含む核酸と接触させるステップと、(v)インキュベートして核酸のヘテロ三量体結合を許容するステップと、(vi)試料に結合した核酸を検出するステップとを含む。核酸がステップ(vi)で検出された場合、これは、2つの標的分子が前記試料中に同時に存在することを示す。かかる方法は、参照により全体が本明細書に組み込まれるWO/2011/161420に開示されている。
【0445】
本発明は、第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
第1および第2の融合タンパク質であって、各融合タンパク質が、検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインを含む、第1および第2の融合タンパク質を含み、
検出ドメインが、DNA結合ドメインを含み、さらなる検出ドメインと協働して同族特異的ヌクレオチド配列に結合することができ、
認識ドメインが、標的分子に結合することができ、
コネクタードメインが、一方の末端で検出ドメインに融合しており、他方の末端で認識ドメインに融合しており、
検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインが互いに異種であり、
本方法が、
(i)試料を第1のおよび融合タンパク質と接触させるステップと、
(ii)インキュベートして結合を許容するステップと、
(iii)結合していない融合タンパク質を除去するステップと、
(iv)試料を、同族特異的ヌクレオチド配列を含む核酸と接触させるステップと、
(v)インキュベートして核酸のヘテロ三量体結合を許容するステップと、
(vi)試料に結合した核酸を検出するステップと、を含み、
核酸がステップ(vi)で検出された場合、これは、2つの標的分子が試料中に同時に存在することを示す、インビトロ一致アッセイ方法を提供する。
【0446】
一例では、第1の融合タンパク質は、PD-1を検出し、第2の融合タンパク質は、PD-L1を検出する。別の例では、第1の融合タンパク質は、CTLA-4またはCD28に結合し、第2の融合タンパク質は、CD80またはCD86に結合する。さらなる一例では、第1の融合タンパク質は、MHCクラスIまたはIIペプチドに結合し、第2の融合タンパク質は、TCR、CD8、またはCD3に結合する。
【0447】
がん患者の選択および層別化
本発明は、がんを有する患者を治療のために選択する方法を提供する。本方法は、患者をがん治療のために選択する方法における使用のための、FRET、増幅を伴うFRET(例えば、TSA-FRET)、近接ライゲーション、および一致検出を含む一致アッセイを提供する。本方法は、患者選択を導くために細胞レベルでの分子間の相互作用の検出を提供する。
【0448】
本発明は、がんを有する患者を治療のために選択する方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(iv)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(v)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(vi)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(e)患者由来の単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(f)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(g)洗浄ステップを行うことと、
(h)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することであって、
a.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、または
ii.全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
b.意図された療法が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント阻害剤を含む場合、
(v)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(vi)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、方法を提供する。
【0449】
本発明は、がんを有する患者を治療のために選択するための上記のインビトロ一致アッセイ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0450】
患者は、がん療法を以前に受けていなくてもよく、またはがん療法を以前に受けていてもよいが、患者が前述の方法で選択される標的分子(例えば、チェックポイント標的タンパク質)とは異なる標的分子に対するものである。
【0451】
全スコアが0.5%~5%である場合、これは、患者がチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答しないであろうことを示す。全スコアが5%~10%である場合、これは、患者がチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答するかもしれないことを示す。全スコアが10%を超える場合、これは、患者がチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答するであろうことを示す。全スコアは、FRET効率パーセンテージであり得る。
【0452】
いくつかの方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合する。いくつかの方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0453】
腫瘍細胞試料は、異なる標的分子に対する治療前にまたは治療後に患者から得られ得る。
【0454】
細胞試料は、好ましくは、固定細胞試料である。腫瘍細胞試料は、原発性腫瘍細胞、二次(転移性)腫瘍細胞、固形腫瘍、および関連患者組織(例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞等)を含み得る。細胞試料は、患者から得られた腫瘍生検または外科的切開であり得る。典型的には、腫瘍試料は、浸潤性腫瘍マージンを含む。腫瘍試料は、転移性病巣から得られ得る。試料は、末梢血を含み得る。
【0455】
患者は、転移性がんを有する疑いのある者であり得る。がんの例としては、メラノーマ、肺癌(例えば、非小細胞肺癌を含む)、乳癌、頭頸部癌、尿路上皮癌が挙げられるが、これらに限定されない。がんのさらなる例としては、副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、血液癌、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫、上衣腫、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、子宮頸癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝外胆管癌、ユーイングファミリー腫瘍(PNET)、頭蓋外胚細胞腫瘍、眼癌、眼内メラノーマ、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、性腺外胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、下咽頭癌、島細胞癌、腎癌(腎細胞癌)、喉頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、口唇口腔癌、肝癌、小細胞肺癌、リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および他の形質細胞腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、膵癌、島細胞癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、下垂体癌、形質細胞腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、カポジ肉腫、メラノーマ、小腸癌、軟部組織肉腫、胃癌(stomach cancer)、睾丸癌、胸腺腫、悪性甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、肉腫、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0456】
一例では、第1の融合タンパク質は、第1の細胞上の第1のチェックポイントタンパク質標的に結合し、第2の融合タンパク質は、第2の細胞上の第2のチェックポイントタンパク質標的を検出し、これにより、これらの融合タンパク質が細胞間相互作用を検出するようになる。
【0457】
例示的なチェックポイント標的分子としては、プログラム細胞死-1(PD-1)受容体、PD-リガンド1(PD-L1)、PD-リガンド2(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)、B7ファミリータンパク質、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリータンパク質、クラスター分類40L(CD40L)、アデノシンA2a受容体(A2aR)、B7関連タンパク質1(B7RP1)、BおよびTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、ガラクチン9(GAL9)、ヘルペスウイルスエントリーメディエーター(HVEM)、誘発性T細胞共刺激因子(ICOS)、インターロイキン(IL)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、形質転換成長因子-β(TGF-β)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ならびにMHCクラスIまたはIIペプチドが挙げられる。好ましいチェックポイント標的は、PD-1である。PD-L1またはPD-L2も好ましいチェックポイント標的である。CTLA-4は、好ましいチェックポイント標的である。MHCクラスIまたはIIペプチドも好ましいチェックポイント標的である。LAG3、B7-H3、B7-H4、およびTIM3も好ましいチェックポイント標的である。
【0458】
一例では、第1の融合タンパク質は、PD-1に結合し第2の融合タンパク質は、PD-L1またはPD-L2に結合する。蛍光シグナルスコアを決定する際、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗PD-L2抗体での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗PD-L2抗体での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する。
【0459】
別の例では、第1の融合タンパク質は、CTLA-4またはCD28に結合し、第2の融合タンパク質は、CD80またはCD86に結合する。蛍光シグナルスコアを決定する際、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が抗CTLA-4抗体、抗CD28抗体、抗CD80抗体、または抗CD86抗体での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が抗CTLA-4抗体、抗CD28抗体、抗CD80抗体、または抗CD86抗体での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する。
【0460】
さらなる一例では、第1の融合タンパク質は、MHCクラスIまたはIIペプチドに結合し、第2の融合タンパク質は、TCR、CD8、またはCD3に結合する。蛍光シグナルスコアを決定する際、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者が抗MHCクラスI抗体、抗MHCクラスII抗体、抗TCR抗体、抗CD8抗体、または抗CD3抗体での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者が抗MHCクラスI抗体、抗MHCクラスII抗体、抗TCR抗体、抗CD8抗体、または抗CD3抗体での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する。
【0461】
さらなる態様では、本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)試料をチェックポイント活性化剤または阻害剤と接触させることと、
(f)二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.チェックポイント分子が活性化剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法を提供する。
【0462】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するための上記のインビトロ一致アッセイ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0463】
例示的なチェックポイント阻害剤としては、抗PD-1結合剤、抗PD-L1結合剤、抗PD-L2結合剤、抗CTLA-4結合剤、抗MHCクラスI結合剤、および/または抗MHCクラスII結合剤が挙げられる。例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブである。例示的な抗PD-1結合剤としては、ニボルマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)およびペムブロリズマブ(イアムブロリズマブまたはMK-3475)が挙げられる。
【0464】
さらなる例示的なチェックポイント阻害剤としては、イピリムマブ、ニボルマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)、ペムブロリズマブ(イアムブロリズマブまたはMK-3475)、ピディリズマブ(CT-Q1 1)、ED-0680(AMP-514)、AMP-224、BMS-936559(MDX-1 105)、ED 4736、MPDL3280A(RG7448)、MSB0010718C、ならびにそれらの断片および塩を含むか、またはそれらからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0465】
例示的なチェックポイント活性化剤としては、CD40(TNFSFR5)アゴニスト、GITR(グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体;TNFSFR18)刺激因子、OX40(CD134;TNFSFR4)アゴニスト、4-1BB(CD137、TNFSFR9)アゴニスト、CD27(TNFSFR7)アゴニストCD27(TNFSFR7)アゴニスト、ICOS(誘発性共刺激因子)分子アゴニスト、Trail受容体アゴニスト、および/またはHVEM(ヘルペスウイルスエントリーメディエーター)受容体アゴニストを含むTNF受容体およびB7-CD28スーパーファミリー由来のものが挙げられる。好ましいチェックポイント活性化剤としては、OX-40、GITR、および/または4-1BBアゴニストが挙げられる。
【0466】
上記の方法では、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、チェックポイント活性化剤が有効であろうことを示す。ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の減少は、チェックポイント阻害剤が有効であろうことを示す。
【0467】
上記の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。いくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0468】
さらなる態様では、本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療前に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を、少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)ステップ(a)におけるチェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療中に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を使用して、ステップ(a)~(d)を繰り返すことと、
(f)試料間の全蛍光スコアを比較することであって、
a.療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、比較することと、を含む、インビトロ方法を提供する。
【0469】
本発明は、チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するための上記のインビトロ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【0470】
本発明は、がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上のPD-1に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(iv)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(v)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(vi)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(d)患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(e)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(f)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光シグナルスコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することであって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、全スコアは、患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、インビトロ方法をさらに提供する。
【0471】
本方法は、
(iii)PD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する単剤での治療、またはPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤および少なくとも1つの他の抗腫瘍剤での併用療法における治療の選択についての決定を導くために、治療前に患者から得られた生体試料に、
(iv)対象の現在の治療レジメンへの応答を監視し、かつ単剤PD-1:PD-L1/PD-L2遮断療法での治療または併用療法での治療の選択についての決定を導くために、治療中に患者から得られた少なくとも1つの生体試料に行われ得る。
【0472】
上記の方法では、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の減少は、PD-1:PD-L1/PD-L2経路が有効であろうことを示す。
【0473】
上記の方法は、免疫チェックポイント経路を遮断するか、または免疫チェックポイント経路を活性化する他の薬剤にも適用され得る。例示的なチェックポイント阻害剤および活性化剤は、上述されている。例えば、本製剤は、CTLA-4、CD28、CD80、および/またはCD86を遮断し得る。本製剤は、MHCクラスIペプチド、MHCクラスIIペプチド、TCR、CD8および/またはCD3を遮断し得る。
【0474】
本製剤がチェックポイント阻害剤である場合、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の減少は、本製剤が有効であろうことを示す。
【0475】
本製剤がチェックポイント活性化剤である場合、ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、本製剤が有効であろうことを示す。
【0476】
上記の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。いくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、チェックポイント阻害剤または活性化剤の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0477】
上記の方法で使用される試料は、固定腫瘍細胞試料であり得る。ある特定の態様では、細胞試料は、治療前にまたは治療中に患者から得られる。試料は、がんの治療を以前に受けた患者、例えば、抗腫瘍剤で以前に治療された患者から得られ得るか、またはがんの治療を以前に受けていない患者、すなわち、治療を受けていない患者から得られることを意味し得る。
【0478】
細胞試料は、原発性腫瘍細胞、二次(転移性)腫瘍細胞、固形腫瘍、および関連患者組織(例えば、マクロファージ、T細胞、B細胞等)を含み得る。腫瘍試料は、例えば、患者から得られた腫瘍生検または外科的切開であり得る。典型的には、腫瘍試料は、浸潤性腫瘍マージンを含む。腫瘍試料は、転移性病巣から得られ得る。試料は、末梢血管を含み得る。患者は、転移性がんを有する疑いのある者であり得る。がんの例としては、メラノーマ、肺癌(例えば、非小細胞肺癌を含む)、乳癌、頭頸部癌、尿路上皮癌が挙げられるが、これらに限定されない。がんのさらなる例としては、副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、血液癌、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫、上衣腫、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、子宮頸癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝外胆管癌、ユーイングファミリー腫瘍(PNET)、頭蓋外胚細胞腫瘍、眼癌、眼内メラノーマ、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、性腺外胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、下咽頭癌、島細胞癌、腎癌(腎細胞癌)、喉頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病、口唇口腔癌、肝癌、小細胞肺癌、リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および他の形質細胞腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、上皮性卵巣癌、卵巣胚細胞腫瘍、膵癌、島細胞癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、下垂体癌、形質細胞腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、カポジ肉腫、メラノーマ、小腸癌、軟部組織肉腫、胃癌(stomach cancer)、睾丸癌、胸腺腫、悪性甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、肉腫、膣癌、外陰癌、およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0479】
チェックポイント阻害剤または活性化剤を選択する方法
本発明は、目的とする分子がチェックポイント活性化剤であるかチェックポイント阻害剤であるかを特定するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、本方法が、
少なくとも2つの一次結合剤であって、第1の一次結合剤が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次結合剤が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、第1の一次結合剤および二次一次結合剤が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次結合剤と、
少なくとも2つの二次結合剤であって、第1の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合し、第2の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合し、第1の二次結合剤が第2の一次結合剤に結合せず、第2の二次結合剤が第1の一次結合剤に結合せず、
(i)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)第1の二次結合剤および第2の二次結合剤がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)第1の二次結合剤がFRETドナーで標識されており、第2の二次結合剤が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、その酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次結合剤と、を含み、
本方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を少なくとも2つの一次結合剤と接触させることと、
(b)試料を少なくとも2つの二次結合剤と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって二次結合剤間の相互作用を検出することと、
(e)試料を目的とする分子と接触させることと、
(f)二次結合剤間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤である、または
b.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント阻害剤である、または
c.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、分子が第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤でもチェックポイント阻害剤でもない、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法をさらに提供する。
【0480】
ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、目的とする分子が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤であることを示す。ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの5%~0.5%、好ましくは10%~5%、より好ましくは10%超の減少は、目的とする分子が、第1のチェックポイント標的分子および第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント阻害剤であることを示す。
【0481】
上記の方法では、少なくとも2つの一次結合剤は、目的とする分子が第1の分子または第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、第1の分子または第2の分子に結合し得る。
【0482】
いくつかの態様では、少なくとも2つの一次結合剤は、目的とする分子の第1の分子または第2の分子への結合を阻害しない。
【0483】
本発明は、目的とする分子がチェックポイント活性化剤であるかチェックポイント阻害剤であるかを特定するための上記のインビトロ方法の使用、およびこの点における使用のためのキットも提供する。
【実施例】
【0484】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照してより詳細に記載されており、これらの実施例は、本発明をより完全に説明するために提供されており、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0485】
本発明の方法を使用して、ドナー寿命の変化を定量化することができる。
【0486】
実施例1:固定組織切片におけるハイスループット周波数ドメイン蛍光寿命イメージング顕微鏡法(f-FLIM)によって分析した二部位TSA-FRET
PD-1:PD-L1相互作用研究のために、FFPE切片を覆い、Tris-EDTA緩衝液で加熱し、その後、さらに10分間インキュベートした。その後、スライド容器を20~30分間冷却した後、PBSで2回、5分間洗浄した。スライドをPAPペンでマークして、次のステップで液体が組織から漏出するのを防いだ。液体を組織に添加する度に、組織が完全に覆われるように十分な液体を添加した。内因性ペルオキシダーゼ抑制因子を室温で30分間添加することによって内因性ペルオキシダーゼをクエンチし、その後、組織をPBSで洗浄した。その後、PBS中(10mg/mL)BSAを使用して組織を室温で60分間遮断した。
【0487】
その後、組織切片を2つの条件:ドナーのみ(D)とドナー/アクセプター(D/A)に分けた。使用した2つの一次抗体は、それぞれ、1%BSA/PBS緩衝液中1:100希釈および1:500希釈のマウス抗PD-1およびウサギ抗PD-L1であった。ドナーのみ条件をマウス抗PD-1とインキュベートし、ドナー/アクセプター条件をマウス抗PD-1およびウサギ抗PD-L1の両方とインキュベートした。一次抗体インキュベーションを4℃で一晩放置した。
【0488】
インキュベーション後、組織切片をPBS+0.02%Tween 20で2回洗浄して、一次抗体の非特異的結合を除去した。マウス抗PD-1のみ(ドナーのみ)で標識した切片を、抗マウスFAB-ATTO488(1:100)とさらにインキュベートした。マウス抗PD-1およびウサギ抗PD-L1で標識した切片を、抗マウスFAB-ATTO488(1:100)および抗ウサギFabHRP(1:200)の両方とインキュベートした。その後、抗ウサギFabHRP抗体をチラミド-Alexa 594とさらに反応させ、それで増幅した。組織を室温で2時間インキュベートし、その後、PBSで2回洗浄した。その後、スライドをチラミド緩衝液と室温で20分間インキュベートした後、PBSで2回洗浄した。その後、スライドをマウントした。
【0489】
異なる種の4期メラノーマを有する3名の患者を、抗受容体チロシンキナーゼ(RTK)薬物およびPD-1を遮断する抗体で処置した。
【0490】
組織試料をそれらの3名の患者から採取し、これらの組織試料は以下の特徴を有した。
●MM14(4期粘膜メラノーマを有する82歳女性)
○BRAF野生型
○cKIT突然変異体
○KITは、高活性突然変異を経る受容体チロシンキナーゼである
○現在進行中の療法なし
○チロシンキナーゼ阻害剤であるニロチニブで以前に治療された患者
○組織は、リンパ節転移であった
●MM17(4期皮膚メラノーマを有する61歳男性)
○BRAF野生型
○現在進行中の療法なし
○イピリムマブ(抗CTLA-4)およびニボルマブ(抗PD-1)で以前に治療されていた
○組織は、リンパ節転移であった
●MM19(4期皮膚メラノーマを有する49歳男性)
○BRAF野生型
○NRAS突然変異体
○NRASは、MAPK経路の高活性化を引き起こす癌遺伝子である
○治療を受けていない
○組織は、リンパ節転移および横行結腸転移であった
【0491】
結果を
図1および
図2に示す。
図1および
図2は、抗RTKおよびPD-1を遮断する抗体で処置した患者におけるTSA-FRETによるPD-1:PD-L1相互作用の変化を示す。ドナー(PD-1)、ATTO488の寿命の変化が、アクセプター(PD-L1)フルオロフォア、ALX 594の存在下での寿命の短縮によって
図1に示される。
【0492】
図2は、FRET効率中央値を示し、かつPD-1:PD-L1相互作用の変化を強調する箱ひげプロットを提供する。P値は、FRET効率の極めて有意な差を示す。各データ点は、最も高い受容体(PD-1)濃度が存在した提供された組織上の領域を表す。結果は、本発明の方法が組織におけるPD-1:PD-L1相互作用等の分子間相互作用の定量化を可能にし、かつ薬物処置後に分子間相互作用の差を検出することができることを示す。
【0493】
実施例2:細胞におけるハイスループット周波数ドメイン蛍光寿命イメージング顕微鏡法(f-FLIM)によって分析した二部位TSA-FRET
細胞におけるPD-1とPD-L1との間の相互作用を、以下のアッセイを使用して決定した。実験を、表1に示されるように8つのウェルプレートを使用して抗PD-1抗体の存在下で行った。
【表1】
【0494】
PD-L1 APC/CHO-K1細胞を8つのウェルプレートに添加し、37℃、5%CO2 のインキュベーター内で19時間インキュベートした。培地を除去し、25μg/mLの抗PD-1遮断抗体をウェルプレートの半数に添加し、アッセイ緩衝液を残りのウェルプレートに添加した。PD-1エフェクター細胞(Jurkat)を添加し、37℃、5%CO2 のインキュベーター内で22時間インキュベートした。
【0495】
結合していない細胞を除去し、ウェルプレートをPBSで2回洗浄した。細胞を4%PFAで固定し、再度PBSで2回洗浄し、PBS中に4℃で保管した。抗体処置前に、細胞にはいずれの洗剤も浸透させなかった。
【0496】
FRETプロトコル:
内因性ペルオキシダーゼを、内因性ペルオキシダーゼ抑制因子を使用して室温で30分間クエンチした。ウェルをPBSで2回洗浄し、1%BSAで、室温で1時間遮断し、PBSで2回洗浄した。
【0497】
ウェルを1%BSA中80μLのPD-1に対する一次抗体(1:100)と4℃で一晩インキュベートし、ドナー/アクセプター条件の場合、それらをPD-L1に対する一次抗体(1:500)と同時にインキュベートした。ウェルプレートを0.02%PBS-Tweenで2回洗浄した。
【0498】
ドナーのみ条件を二次抗マウスFabATTO 488(1:100)で標識し、ドナー/アクセプター条件を二次抗マウスFabATTO 488(1:100)および抗ウサギFab-HRP(1:200)の両方で標識した。Fab断片をこれらの両方の条件において2時間インキュベートした。ウェルプレートを0.02%PBS-Tweenで2回洗浄し、アクセプターの増幅のためにチラミドシグナル増幅を利用した。その後、スライドをマウントした。相互作用の妨害を促進するモノクローナル遮断抗体を陰性対照として使用した。
【0499】
時間分解FRET取得:
自動多周波ハイスループット寿命イメージング顕微鏡を、Lambert Instrumentsの多周波ドメインFLIM寿命イメージング顕微鏡を改変することによって作製した。
【0500】
FRET効率(Ef )を、以下の式:Ef (%)1/4[[1(tDA/tD )]100](式中、(FRET tD /A ≪tD であるとき)tD がドナー寿命であり、tD/A がドナー+アクセプター寿命である)を使用して決定した。
【0501】
データ取得を、60倍油浸対物レンズ(開口数1.49)を使用して行い、ATTO 488のドナー寿命および強度を、40MHzの変調した473nmレーザービームおよび70ミリ秒の露光時間(閾値35%)を使用して70mWのピーク電力で決定した。アクセプター強度取得のために、TRITC励起/発光フィルターを有する水銀源を、8倍中性密度フィルターとともに1ミリ秒使用した。
【0502】
データ分析:
結果を
図3および
図4に示す。
図3の上パネルは、アクセプターPD-L1の存在下での1.39ナノ秒から1.19ナノ秒へのドナー寿命短縮を示す。この寿命短縮は、これらの2つのタンパク質の相互作用に起因する。遮断抗体の存在下で、ドナー(アクセプター有り)の寿命は、1.29ナノ秒である。したがって、遮断抗体有りでのドナー寿命は、同じ程度に短縮しなかった。
【0503】
FRET効率を、遮断抗体有りまたは無しでのアクセプターの存在下でのドナー寿命から計算し、
図4に示されるように箱ひげ分布としてプロットした。
【0504】
図4は、PD-1:PD-L1相互作用をFRETによって定量化することができることを示す。データは、受容体/リガンド相互作用および遮断抗体でのその阻害の極めて有意な差を示す。箱ひげプロット上の各点は、平均5個の細胞を含む関心領域であった。P値をマンホイットニーノンパラメトリック検定によって決定した。
【0505】
結果は、本発明の方法が細胞におけるPD-1:PD-L1相互作用等の分子間相互作用の定量化を可能にし、かつ薬物処置後に分子間相互作用の差を検出することができることを示す。
【0506】
実施例3:細胞培養におけるCTLA-4:CD80相互作用についてのi-FRETアッセイ
細胞傷害性Tリンパ球抗原4/クラスター分類80相互作用(CTLA-4-CD80)の抗体遮断を発光によって測定するために元来設計されたPromega Blockade Bioassay(CS186907)プロトコルを、i-FRETプロトコルに適応させた。
【0507】
プレート調製
Promega遮断バイオアッセイによって提供されたCTLA-4発現Jurkat細胞を、Millicell(登録商標)8ウェルプレート上に100μL/ウェルで播種した。Qualaseptから入手した抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)をウェルの半分に添加して、100μL/mLの最終濃度にした(表1)。100μLのCD80発現Raji細胞を各ウェルに添加し、プレートを37℃および5%CO
2 で19時間インキュベートした。結合していない細胞をPBS洗浄によって除去し、細胞を4%パラホルムアルデヒド(PFA)で12分間固定した。PFAを除去し、全てのウェルをPBSで洗浄した。
【表2】
【0508】
抗CTLA-4および抗CD80での一次抗体染色
Thermo Fisher ScientificのPierce Endogenous Peroxidase Suppressorを各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、1%(10mg/mL)ウシ血清アルブミン(BSA)と1時間インキュベートし、再度PBSで洗浄した。一次抗体染色を、それぞれ、AbcamおよびMyBioSourceから入手したマウスモノクローナル抗CTLA-4およびウサギポリクローナル抗CD80を使用して行った。それらのいずれもBSA中で希釈した(1:100)。抗CTLA-4を使用してドナーのみ条件(1~4)を標識し、抗CTLA-4および抗CD80の両方を使用してドナー/アクセプター条件(5~8)を標識した。プレートを4℃で一晩インキュベートした後、PBS中0.02%Tween20(PBST)で2回洗浄し、PBSで1回洗浄した。
【0509】
抗マウスFab-ATTO488および抗ウサギFab-HRPでの二次染色
二次FabATTO488を、1%BSAを使用して希釈し(1:15)、ドナーウェルおよびドナー/アクセプターウェル(1~8)の両方に添加した。FabATTO488コンジュゲーションは、Fab断片タンパク質1分子当たり4.1分子のATTO488を含有した。二次FabHRPを、1%BSAを使用して希釈し(1:200)、ドナー/アクセプターウェル(5~8)のみに添加した。プレートを2時間インキュベートした後、0.02%PBSTで2回洗浄し、PBSで1回洗浄した。
【0510】
チラミド増幅
Alexa594コンジュゲートチラミドを、0.15%H2 O2 の存在下で、増幅緩衝液中で希釈した(1:100)。この混合物のうち、100μLを各ドナー/アクセプターウェル(5~8)に添加し、プレートを暗所で20分間インキュベートした。チラミド除去するために、ウェルをPBSTで2回洗浄し、PBSで1回洗浄した。5μLのProlong Diamond褪色防止マウント剤を各ウェルに添加し、カバースリップを使用してマウントした。
【0511】
i-FRETを使用して決定したCTLA-4-CD80相互作用
細胞間CTLA-4-CD80相互作用を、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を使用して評価した。CTLA-4強度およびCD80強度を、それぞれ、40MHzの変調した473nmレーザービームおよび水銀源を使用して決定した。CTLA-4強度、CD80強度、および寿命マップを
図5に提示する。ドナーのみウェルとドナー/アクセプターウェルを比較すると、ドナー寿命(τ)のより著しい短縮が、100μLイピリムマブ条件と比較して処置なし条件で観察される。
【0512】
FRET効率値(
図6)は、100μL/mLイピリムマブ条件と比較して0μL/mLイピリムマブ条件で有意に(
*** )高い(p=0.00044、p=0.00024)。FRET値は、イピリムマブを含有していないウェル間で有意な差はなかった(p=0.054)。
【0513】
結論
1)細胞間接触を、CTLA-4-CD80対を使用してi-FRETによって定量化することができる。
2)FRET効率は、未処理細胞と比較してイピリムマブの存在下で有意に低下する。
3)FRET効率値は、100μL/mLイピリムマブ条件で低下し、これは、イピリムマブの不在下で観察された相互作用がCTLA-4とCD80との間の特異的相互作用に起因したことを強く示唆する。
【0514】
実施例4:転移性メラノーマ組織におけるCTLA-4:CD80相互作用についてのiFRETアッセイ
細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質-4(CTLA-4)とクラスター分類80(CD80)との間の相互作用を決定する免疫-フェルスター共鳴エネルギー移動(i-FRET)アッセイを転移性メラノーマ組織で行った。試料を、表3(以下)に詳述される異なる患者から得た。
【0515】
方法
抗原回収
抗原回収をFastbase研究室でPTLinkを使用して行った後、1~2滴/スライドのPierce Endogenous Peroxidase Suppressorを添加して、内因性ペルオキシダーゼをクエンチし、30分間インキュベートした。その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で希釈した300μLの10mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)を各スライドに添加して、非特異的一次抗体結合を阻止した。両インキュベーションを加湿トレイ内で行った。
【0516】
一次抗体染色
一次抗体染色を、マウスモノクローナル抗CTLA-4およびウサギポリクローナル抗CD80を使用して行った。それらのいずれもPBS中1%BSA中で希釈した(1:100)。抗CTLA-4を使用してドナーのみ条件を標識し、抗CTLA-4および抗CD80の両方を使用してドナー/アクセプター条件を標識した。150μLを各スライドに添加した後、一晩インキュベートした。
【0517】
二次抗体染色
ドナーのみスライドを抗マウスFab-ATTO488(1:15)最終希釈液とインキュベートし、ドナーアクセプタースライドを抗マウスFab-ATTO488(1:15)+抗ウサギFab-HRP(1:200)最終希釈液とインキュベートした。希釈液を、PBS中1%BSAを使用して作製した。150μLを各スライドに添加した後、加湿トレイ内で、室温で2時間インキュベートした。
【0518】
チラミド標識
Alexa594コンジュゲートチラミドを、0.15%H2 O2 の存在下で、増幅緩衝液中で希釈した(1:100)。この混合物のうち、150μLを各ドナー/アクセプタースライドに添加し、暗所で、室温で20分間インキュベートした。150μLのProlong Diamond褪色防止マウント剤を各スライドに添加し、カバースリップを使用してマウントした。
【0519】
ヘマトキシリンおよびエオシン染色
ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を、追加で提供された対応する試料のスライド上で行った。H&E染色により、免疫細胞浸潤領域を特定するための病理学的分析が可能になった。選択された領域は、このアッセイにおけるi-FRET分析の焦点であった。
【0520】
表3は、遺伝的背景、過去の治療および現在進行中の治療の詳細、ならびに試料起源を含む、このアッセイに使用した試料の患者背景を示す。
【表3】
【0521】
図6は、CTLA-4とCD80との間の相互作用を転移性メラノーマ組織におけるFRETによって測定することができることを示す。
【0522】
実施例5:i-FRET-PD-1/PD-L1対を使用した腎細胞癌における細胞間接触の検出
プログラム死受容体-1(PD-1)とプログラム死-リガンド1(PD-L1)との間の相互作用、ひいては細胞間接触を決定する免疫-フェルスター共鳴エネルギー移動(i-FRET)アッセイを腎細胞癌組織で行った。試料を異なる患者から得て、様々な腎細胞癌、すなわち、明細胞腎細胞癌(ccRCC)、乳頭状腎細胞癌(PRCC)、および嫌色素性腎細胞癌(ChRCC)を含んだ。全ての試料は、原発腫瘍であった。
【0523】
方法
抗原回収
抗原回収をFastbase研究室でPTLinkを使用して行った後、1~2滴/スライドのPierce Endogenous Peroxidase Suppressorを添加して、内因性ペルオキシダーゼをクエンチし、30分間インキュベートした。その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で希釈した300μLの10mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)を各スライドに添加して、非特異的一次抗体結合を阻止した。両インキュベーションを加湿トレイ内で行った。
【0524】
一次抗体染色
一次抗体染色を、それぞれ、PBS中1%BSA中で希釈(1:100)および(1:500)した、マウスモノクローナル抗PD-1およびウサギモノクローナル抗PD-L1を使用して行った。抗PD-1を使用してドナーのみ条件を標識し、抗PD-1および抗PD-L1の両方を使用してドナー/アクセプター条件を標識した。150μLを各スライドに添加した後、一晩インキュベートした。
【0525】
二次抗体染色
ドナーのみスライドを抗マウスFab-ATTO488(1:15)最終希釈液とインキュベートし、ドナーアクセプタースライドを抗マウスFab-ATTO488(1:15)+抗ウサギFab-HRP(1:200)最終希釈液とインキュベートした。希釈液を、PBS中1%BSAを使用して作製した。150μLを各スライドに添加した後、加湿トレイ内で、室温で2時間インキュベートした。
【0526】
チラミド標識
Alexa594コンジュゲートチラミドを、0.15%H2 O2 の存在下で、増幅緩衝液中で希釈した(1:100)。この混合物のうち、150μLを各ドナー/アクセプタースライドに添加し、暗所で、室温で20分間インキュベートした。150μLのProlong Diamond褪色防止マウント剤を各スライドに添加し、カバースリップを使用してマウントした。
【0527】
【0528】
実施例6:i-FRET-PD-1/PD-L1対を使用したccRCC組織における細胞間相互作用の検出
プログラム死受容体-1(PD-1)およびプログラム死-リガンド1(PD-L1)相互作用、ひいては細胞間相互作用を決定する免疫-フェルスター共鳴エネルギー移動(i-FRET)アッセイを、明細胞腎細胞癌(ccRCC)組織で行った。試料をCruces Hospital(Bilbao)から入手した。アッセイ前に、試料がPD-L1+/+であるかPD-L1-/-であるかを決定した。
【0529】
方法
抗原回収
抗原回収をFASTBASE SOLUTIONS研究室でPTLinkを使用して行った後、1~2滴/スライドのPierce Endogenous Peroxidase Suppressorを添加して、内因性ペルオキシダーゼをクエンチし、30分間インキュベートした。その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中300μLの10mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)を各スライドに添加して、非特異的一次抗体結合を阻止した。両インキュベーションを加湿トレイ内で行った。
【0530】
一次抗体標識
一次抗体標識を、それぞれ、PBS中1%BSA中で希釈(1:100)および(1:500)した、マウスモノクローナル抗PD-1およびウサギモノクローナル抗PD-L1を使用して行った。抗PD-1を使用してドナーのみ条件を標識し、抗PD-1および抗PD-L1の両方を使用してドナー/アクセプター条件を標識した。150μLを各スライドに添加した後、一晩インキュベートした。
【0531】
二次抗体標識
ドナーのみスライドを抗マウスFab-ATTO488(1:15)最終希釈液とインキュベートし、ドナーアクセプタースライドを抗マウスFab-ATTO488(1:15)+抗ウサギFab-HRP(1:200)最終希釈液とインキュベートした。希釈液を、PBS中1%BSAを使用して作製した。150μLを各スライドに添加した後、加湿トレイ内で、室温で2時間インキュベートした。
【0532】
チラミド標識
Alexa594コンジュゲートチラミドを、0.15%H2 O2 の存在下で、増幅緩衝液中で希釈した(1:100)。この混合物のうち、150μLを各ドナー/アクセプタースライドに添加し、暗所で、室温で20分間インキュベートした。150μLのProlong Diamond褪色防止マウント剤を各スライドに添加し、カバースリップを使用してマウントした。
【0533】
上記の実施例の結果を
図8に示し、i-FRETが低PD-L1発現で浸潤領域におけるPD-1とPD-L1との間の特異的相互作用を決定することを示す。この事実は、PD-1とPD-L1の近接性を低PD-L1発現では検出することができないPLAを使用したときには当てはまらない。さらに、浸潤領域の不均一性をi-FRETによって定量化することができる。i-FRETの精度により、治療的治療のための他の方法では恐らく除外される外れ値の特定が可能になる。
【0534】
実施例7:固定組織切片におけるハイスループット周波数ドメイン蛍光寿命イメージング顕微鏡法(f-FLIM)によって分析した二部位TSA-FRET
T細胞は、T細胞受容体(TCR)と、抗原提示細胞(APC)の表面上のMHC分子(pMHC)中に埋め込まれたペプチドとの相互作用によって抗原を認識する。細胞傷害性Tリンパ球TCRは、「自己」抗原と外来抗原(ウイルス感染細胞)を区別し、腫瘍細胞によって提示される新抗原も区別するために、体内の細胞の表面上のMHCクラスI分子によって提示されたエピトープを認識する。ヘルパーT細胞TCRは、抗原提示免疫細胞の表面上のMHCクラスII分子によって提示されたエピトープを認識する。他の型のT細胞上のTCRも、CD1dファミリー由来のMHC様分子と相互作用し、例えば、インバリアントNKT細胞によって発現されたセミインバリアントTCRとCD1d-脂質複合体との間の相互作用、Mucosal関連インバリアントT細胞(MAIT細胞)によって発現されたTCRとMHC様分子MR1との相互作用である(Bhati et al,2013)。
【0535】
TCRは、CD3分子と相互作用して、TCR複合体を形成する。CD3は、3つのはっきりと異なるポリペプチド鎖、γ、ε、およびδを含む。TCR複合体も、TCRを発現するT細胞の型に応じてCD4分子またはCD8分子とさらに相互作用することができる。
【0536】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、TCRまたはTCR複合体の他のメンバー(CD3γ、CD3ε、およびCD3δ、またはCD8もしくはCD4、ならびにそれらの組み合わせを含む)であり得、第2の分子は、抗原負荷MHCクラスI、MHCクラスII、またはMHC様分子、例えば、CD1dまたはMRであり得る。
【0537】
TCR-pMHC相互作用の測定は、これまで、組換えpMHC複合体(Huang et al,2010)または蛍光ペプチドに結合したMHC(Axmann et al,2015)を使用して、FRETによって達成されている。しかしながら、固定組織上での内因的に発現されたTCR-pMHC相互作用を測定するための方法を欠いている。
【0538】
本発明の方法、キット、および使用では、第1の分子は、内因的に発現されたTCRまたはTCR複合体の他のメンバー(CD3γ、CD3ε、およびCD3δ、またはCD8もしくはCD4、ならびにそれらの組み合わせを含む)であり得、第2の分子は、内因的に発現された抗原負荷MHCクラスI、MHCクラスII、またはMHC様分子、例えば、CD1dまたはMR1であり得る。
【0539】
TCR-pMHC相互作用研究のために、FFPE切片を覆い、Tris-EDTA緩衝液で加熱し、その後、実施例1に記載の方法に従って処理する。
【0540】
その後、組織切片を2つの条件:ドナーのみ(D)とドナー/アクセプター(D/A)に分けた。使用した2つの一次抗体は、例えば、それぞれ、1%BSA/PBS緩衝液中で1:100および1:500に希釈した、マウス抗TCRおよびウサギ抗MHCである。ドナーのみ条件をマウス抗TCR抗体とインキュベートし、ドナー/アクセプター条件をマウス抗TCRおよびウサギ抗MHCの両方とインキュベートする。
【0541】
本明細において、「を含む(comprise)」とは、「を含む(include)またはからなる(consist of)」を意味し、「を含む(comprising)」とは、「を含む(including)またはからなる(consisting of)」を意味する。
【0542】
特定の形態で、または開示される機能を行う手段または開示される結果を得るための方法もしくはプロセスの観点で表される、前述の発明を実施するための形態に開示される特徴、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面は、必要に応じて、別々に、またはかかる特徴の任意の組み合わせで、本発明を実現するためにそれらの多様な形態で利用され得る。
【0543】
本発明は、これから、以下の条項を参照することにより定義される。
条項1.第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、前記方法が、
少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1の分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2の分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、を含み、
前記方法が、
(a)細胞を含む単離された試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)前記二次抗体間の相互作用を検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法。
【0544】
条項2.前記二次抗体間の相互作用を検出することが、発せられた蛍光を検出することによる、条項1に記載の方法。
【0545】
条項3.前記二次抗体間の相互作用を検出することが、変化した蛍光挙動を検出することによる、条項1に記載の方法。
【0546】
条項4.前記変化した蛍光挙動を検出することが、時間分解である、条項3に記載の方法。
【0547】
条項5.前記第1の細胞および前記第2の細胞が、同じ細胞型である、条項1に記載の方法。
【0548】
条項6.前記第1の細胞および前記第2の細胞が、同じ細胞型ではない、条項1に記載の方法。
【0549】
条項7.前記単離された試料が、固定細胞試料である、条項1に記載の方法。
【0550】
条項8.前記単離された試料が、固定腫瘍細胞試料である、条項7に記載の方法。
【0551】
条項9.前記第1の分子および前記第2の分子が、タンパク質、好ましくは、内因性タンパク質である、条項1~8のいずれかに記載の方法。
【0552】
条項10.前記タンパク質が、免疫チェックポイントタンパク質である、条項9に記載の方法。
【0553】
条項11.前記第1の分子がPD-1であり、前記第2の分子がPD-L1またはPD-L2である、条項9または10に記載の方法。
【0554】
条項12.前記第1の分子がCTLA-4またはCD28であり、前記第2の分子がCD80またはCD86である、条項9または10に記載の方法。
【0555】
条項13.前記第1の分子が、MHCクラスIまたはIIペプチドから選択され、第2の分子が、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択される、条項9または10に記載の方法。
【0556】
条項14.前記少なくとも2つの一次抗体が、全免疫グロブリン、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1~13のいずれかに記載の方法。
【0557】
条項15.前記二次抗体のうちの少なくとも1つが、抗体または抗原結合断片である、条項1~14のいずれかに記載の方法。
【0558】
条項16.前記少なくとも2つの二次抗体が、抗体または抗原結合断片である、条項1~15のいずれかに記載の方法。
【0559】
条項17.前記抗体または抗原結合断片が、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせである、条項1~16のいずれかに記載の方法。
【0560】
条項18.前記一次抗体が標識されていない、条項1~17のいずれかに記載の方法。
【0561】
条項19.前記第1の一次抗体がマウス抗体であり、少なくとも1つの他の前記一次抗体がウサギ抗体である、条項1~18のいずれかに記載の方法。
【0562】
条項20.前記第1の一次抗体がPD-1に結合し、前記少なくとも1つの他の一次抗体がPD-L1またはPD-L2に結合する、条項11に記載の方法。
【0563】
条項21.前記第1の一次抗体がCTLA-4またはCD28に結合し、前記第2の一次抗体がCD80またはCD86のいずれかに結合する、条項12に記載の方法。
【0564】
条項22.前記第1の一次抗体がMHCクラスIまたはIIペプチドに結合し、前記少なくとも1つの他の一次抗体が、TCR、CD8、CD3、またはそれらの組み合わせに結合する、条項13に記載の方法。
【0565】
条項23.前記第1の二次抗体が抗マウス抗体であり、前記少なくとも1つの他の二次抗体が、抗ウサギ抗体である、条項19に記載の方法。
【0566】
条項24.前記FRETドナーが、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、ATTO488、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1~23のいずれかに記載の方法。
【0567】
条項25.前記FRETアクセプターが、ALX 594、mRFP、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、ダブシル、BODIPY FL、QSY 7、QSY 9、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1~24のいずれかに記載の方法。
【0568】
条項26.前記酵素が、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼからなる群から選択される、条項1~25のいずれかに記載の方法。
【0569】
条項27.前記酵素が、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼからなる群から選択される、条項26に記載の方法。
【0570】
条項28.前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼからなる群から選択される、条項27に記載の方法。
【0571】
条項29.前記基質がチラミドである、条項1~28のいずれかに記載の方法。
【0572】
条項30.前記第1の細胞がT細胞であり、前記第2の細胞が腫瘍細胞である、条項1~29のいずれかに記載の方法。
【0573】
条項31.前記少なくとも2つの一次抗体が、互いに同時にまたは順次に接触する、条項1~30のいずれかに記載の方法。
【0574】
条項32.前記少なくとも2つの二次抗体が、互いに同時にまたは順次に接触する、条項1~31のいずれかに記載の方法。
【0575】
条項33.前記少なくとも2つの一次抗体が、前記少なくとも2つの二次抗体と同時に前記試料と接触する、条項1~31に記載の方法。
【0576】
条項34.前記少なくとも2つの一次抗体が、前記少なくとも2つの二次抗体の前に前記試料と接触する、条項1~31に記載の方法。
【0577】
条項35.洗浄ステップが、前記少なくとも2つの一次抗体が前記試料と接触した後に、かつ前記少なくとも2つの二次抗体が前記試料と接触する前に行われる、条項34に記載の方法。
【0578】
条項36.前記方法が、前記第1の細胞上の前記第1の部位と前記第2の細胞上の前記第2の部位との間の相互作用を定量化するステップをさらに含む、条項1~35のいずれかに記載の方法。
【0579】
条項37.前記第1の細胞がリンパ球であり、前記第2の細胞が非リンパ球細胞型である、条項1~36のいずれかに記載の方法。
【0580】
条項38.前記方法が、前記第1のリンパ球細胞上のPD-1と前記第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を検出する、条項37に記載の方法。
【0581】
条項39.前記第1の分子が、前記第1の細胞の細胞表面上にあり、前記第2の分子が、前記第2の細胞の細胞表面上にある、条項1~38のいずれかに記載の方法。
【0582】
条項40.チェックポイント阻害剤または活性化剤が前記第1の分子または前記第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、前記少なくとも2つの一次抗体が前記第1の分子または前記第2の分子に結合する、条項1~39のいずれかに記載の方法。
【0583】
条項41.前記少なくとも2つの一次抗体が、チェックポイント阻害剤または活性化剤の前記第1の分子または前記第2の分子への結合を阻害しない、条項1~40のいずれかに記載の方法。
【0584】
条項42.第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するための、条項1~41のいずれかに記載のインビトロ一致アッセイ方法の使用。
【0585】
条項43.第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法における使用のためのキットであって、前記キットが、
a)少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1の分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2の分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
b)少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、
c)方法を行うための指示であって、前記方法が、
i.細胞を含む単離された試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
ii.前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
iii.洗浄ステップを行うことと、
iv.前記二次抗体間の相互作用を検出すること、を含む、指示と、を含む、キット。
【0586】
条項44.前記二次抗体間の相互作用を検出するための前記指示が、発せられた蛍光を検出することによる検出のためである、条項43に記載の使用のためのキット。
【0587】
条項45.前記二次抗体間の相互作用を検出するための前記指示が、変化した蛍光挙動を検出することによる検出のためである、条項43に記載の使用のためのキット。
【0588】
条項46.前記変化した蛍光挙動を検出することが、時間分解である、条項45に記載の使用のためのキット。
【0589】
条項47.前記第1の細胞および前記第2の細胞が、同じ細胞型である、条項43に記載の使用のためのキット。
【0590】
条項48.前記第1の細胞および前記第2の細胞が、同じ細胞型ではない、条項43に記載の使用のためのキット。
【0591】
条項49.前記単離された試料が、固定細胞試料である、条項43に記載の使用のためのキット。
【0592】
条項50.前記単離された試料が、固定腫瘍細胞試料である、条項49に記載の使用のためのキット。
【0593】
条項51.前記第1の分子および前記第2の分子が、タンパク質、好ましくは、内因性タンパク質である、条項43~50のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0594】
条項52.前記タンパク質が、免疫チェックポイントタンパク質である、条項51に記載の使用のためのキット。
【0595】
条項53.前記第1の分子がPD-1であり、前記第2の分子がPD-L1またはPD-L2である、条項51または52に記載の使用のためのキット。
【0596】
条項54.前記第1の分子がCTLA-4またはCD28であり、前記第2の分子がCD80またはCD86である、条項51または52に記載の使用のためのキット。
【0597】
条項55.前記第1の分子が、MHCクラスIまたはIIペプチドであり、前記第2の分子が、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせから選択される、条項51または52に記載の使用のためのキット。
【0598】
条項56.前記少なくとも2つの一次抗体が、全免疫グロブリン、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項43~55のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0599】
条項57.前記二次抗体のうちの少なくとも1つが、抗体または抗原結合断片である、条項43~56のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0600】
条項58.前記少なくとも2つの二次抗体が、抗体または抗原結合断片である、条項43~57のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0601】
条項59.前記抗体または抗原結合断片が、Fab断片、scFv断片、またはそれらの組み合わせである、条項43~58のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0602】
条項60.前記一次抗体が標識されていない、条項43~59のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0603】
条項61.前記第1の一次抗体がマウス抗体であり、少なくとも1つの他の前記一次抗体がウサギ抗体である、条項43~60のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0604】
条項62.前記第1の一次抗体がPD-1に結合し、前記少なくとも1つの他の一次抗体がPD-L1またはPD-L2に結合する、条項53に記載の使用のためのキット。
【0605】
条項63.前記第1の一次抗体がCTLA-4またはCD28に結合し、前記第2の一次抗体がCD80またはCD86のいずれかに結合する、条項54に記載の使用のためのキット。
【0606】
条項64.前記第1の一次抗体がMHCクラスIまたはIIペプチドに結合し、前記第2の一次抗体が、TCR、CD8、CD3、およびそれらの組み合わせに結合する、条項55に記載の使用のためのキット。
【0607】
条項65.前記第1の二次抗体が抗マウス抗体であり、前記少なくとも1つの他の二次抗体が抗ウサギ抗体である、条項61に記載の使用のためのキット。
【0608】
条項66.前記FRETドナーが、ORG 488、GFP、フルオレセイン、IAEDANS、EDANS、BODIPY FL、ATTO488、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項43~65のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0609】
条項67.前記FRETアクセプターが、ALX 594、mRFP、テトラメチルローダミン、フルオレセイン、ダブシル、BODIPY FL、QSY 7、QSY 9、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項43~66のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0610】
条項68.前記酵素が、オキシドレダクターゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼからなる群から選択される、条項43~67のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0611】
条項69.前記酵素が、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼからなる群から選択される、条項68に記載の使用のためのキット。
【0612】
条項70.前記酵素が、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼからなる群から選択される、条項69に記載の使用のためのキット。
【0613】
条項71.前記基質がチラミドである、条項43~70のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0614】
条項72.前記第1の細胞がT細胞であり、前記第2の細胞が腫瘍細胞である、条項43~71のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0615】
条項73.前記指示が、前記少なくとも2つの一次抗体を互いに同時にまたは順次に接触させることを提供する、条項43~72のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0616】
条項74.前記指示が、前記少なくとも2つの二次抗体を互いに同時にまたは順次に接触させることを提供する、条項43~73のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0617】
条項75.前記指示が、前記少なくとも2つの一次抗体を、前記少なくとも2つの二次抗体と同時に、前記試料と接触させることを提供する、条項43~73に記載の使用のためのキット。
【0618】
条項76.前記指示が、前記少なくとも2つの一次抗体を、前記少なくとも2つの二次抗体の前に、前記試料と接触させることを提供する、条項43~73に記載の使用のためのキット。
【0619】
条項77.前記指示が、前記少なくとも2つの一次抗体が前記試料と接触した後に、かつ前記少なくとも2つの二次抗体が前記試料と接触する前に、洗浄ステップを行うことを提供する、条項76に記載の使用のためのキット。
【0620】
条項78.前記指示が、前記第1の細胞上の前記第1の部位と前記第2の細胞上の前記第2の部位との間の相互作用を定量化するステップをさらに含む方法を提供する、条項43~77のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0621】
条項79.前記第1の細胞がリンパ球であり、前記第2の細胞が非リンパ球細胞型である、条項43~78のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0622】
条項80.前記指示が、前記第1のリンパ球細胞上のPD-1と前記第2の非リンパ球細胞上のPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を検出する方法を提供する、条項79に記載の使用のためのキット。
【0623】
条項81.前記第1の分子が、前記第1の細胞の細胞表面上にあり、前記第2の分子が、前記第2の細胞の細胞表面上にある、条項43~80のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0624】
条項82.チェックポイント阻害剤または活性化剤が前記第1の分子または前記第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、前記少なくとも2つの一次抗体が前記第1の分子または前記第2の分子に結合する、条項43~81のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0625】
条項83.前記少なくとも2つの一次抗体が、阻害剤または活性化剤の前記第1の分子または前記第2の分子への結合を阻害しない、条項43~82のいずれかに記載の使用のためのキット。
【0626】
条項84.第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法における、条項43~83のいずれかに記載のキットの使用。
【0627】
条項85.がんを有する患者を治療のために選択する方法であって、該方法が、
少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、を含み、
前記方法が、
(a)前記患者由来の単離された腫瘍細胞試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することであって、
a.意図された療法が、前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、または
ii.全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
b.意図された療法が、前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント阻害剤を含む場合、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、方法。
【0628】
条項86.前記第1のチェックポイント標的分子がPD-1であり、前記第2のチェックポイント標的分子がPD-L1またはPD-L2であり、蛍光シグナルスコアを決定する際に、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者が抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗PD-L2抗体での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者が抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗PD-L2抗体での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、条項75に記載の方法。
【0629】
条項87.前記患者が、がん療法を以前に受けていない、または前記患者が、前記チェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法を以前に受けていない、条項86または87に記載の方法。
【0630】
条項88.全スコアが0.5%~5%である場合、これは、前記患者が前記チェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答しないであろうことを示す、条項86~88に記載の方法。
【0631】
条項89.全スコアが5%~10%である場合、これは、前記患者が前記チェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答するかもしれないことを示す、条項86~88に記載の方法。
【0632】
条項90.全スコアが10%を超える場合、これは、前記患者が前記チェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とする療法に応答するであろうことを示す、条項86~88に記載の方法。
【0633】
条項91.全スコアが、FRET効率パーセンテージである、条項86~90に記載の方法。
【0634】
条項92.前記チェックポイント阻害剤または活性化剤が前記第1の分子または前記第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、前記少なくとも2つの一次抗体が前記第1の分子または前記第2の分子に結合する、条項86~91に記載の方法。
【0635】
条項93.前記少なくとも2つの一次抗体が、前記チェックポイント阻害剤または活性化剤の前記第1の分子または前記第2の分子への結合を阻害しない、条項86~92に記載の方法。
【0636】
条項94.がんを有する患者を治療のために選択する条項86~93に記載の方法の使用であって、
a.意図された療法が、前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、または
ii.全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
b.意図された療法が、前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方を標的とするチェックポイント阻害剤を含む場合、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者が前記意図された療法に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、使用。
【0637】
条項95.チェックポイント活性化剤または阻害剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、該方法が、
少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、を含み、
前記方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することと、
(e)前記試料を前記チェックポイント活性化剤または阻害剤と接触させることと、
(f)前記二次抗体間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.前記チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、前記チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.前記チェックポイント分子が活性化剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、前記チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法。
【0638】
条項96.前記チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体であり、前記第1の一次抗体がPD-1に結合し、前記第2の一次抗体がPD-L1またはPD-L2に結合する、条項95に記載の方法。
【0639】
条項97.前記チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ニボルマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)、ペムブロリズマブ(イアムブロリズマブまたはMK-3475)、ピディリズマブ(CT-Q1 1)、ED-0680(AMP-514)、AMP-224、BMS-936559(MDX-1 105)、ED 4736、MPDL3280A(RG7448)、MSB0010718C、ならびにそれらの断片および塩からなる群から選択される、条項95または96に記載の方法。
【0640】
条項98.ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、前記チェックポイント活性化剤が有効であろうことを示す、条項95~97に記載の方法。
【0641】
条項99.ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の減少は、前記チェックポイント阻害剤が有効であろうことを示す、条項95~97に記載の方法。
【0642】
条項100.前記チェックポイント阻害剤または活性化剤が前記第1の分子または前記第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、前記少なくとも2つの一次抗体が前記第1の分子または前記第2の分子に結合する、条項95~99に記載の方法。
【0643】
条項101.前記少なくとも2つの一次抗体が、前記チェックポイント阻害剤または活性化剤の前記第1の分子または前記第2の分子への結合を阻害しない、条項95~100に記載の方法。
【0644】
条項102.チェックポイント阻害剤または活性化剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であろうかを検出するための条項95~101のいずれかに記載のインビトロ一致アッセイ方法の使用であって、
a.前記チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、前記チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.前記チェックポイント分子が活性化剤である場合、
iii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、前記チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
iv.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用。
【0645】
条項103.チェックポイント阻害剤または活性化剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法における使用のためのキットであって、該キットが、
(a)少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
(b)少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、
(c)方法を行うための指示であって、前記方法が、
a.単離された腫瘍細胞試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
b.前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
c.洗浄ステップを行うことと、
d.全蛍光スコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することと、
e.試料をチェックポイント活性化剤または阻害剤と接触させることと、
f.前記二次抗体間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
前記チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、前記チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
前記チェックポイント分子が活性化剤である場合、
iii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、前記チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
iv.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、検出することと、を含む、指示と、を含む、キット。
【0646】
条項104.チェックポイント阻害剤または活性化剤が腫瘍応答の阻害または調節に有効であるかを検出するためのインビトロ一致アッセイ方法における条項83に記載のキットの使用であって、
前記チェックポイント分子が阻害剤である場合、
i.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、前記チェックポイント阻害剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント阻害剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
前記チェックポイント分子が活性化剤である場合、
iii.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、前記チェックポイント活性化剤が有効であることが示されるか、または予測される、または
iv.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記チェックポイント活性化剤が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用。
【0647】
条項105.チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法であって、該方法が、
少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、を含み、
前記方法が、
(a)前記チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療前に患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を、少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することと、
(e)ステップ(a)における前記チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療中に前記患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を使用して、ステップ(a)~(d)を繰り返すことと、
(f)前記試料間の全蛍光スコアを比較することであって、
a.前記療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.前記療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、比較することと、を含む、インビトロ方法。
【0648】
条項106.前記チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体であり、前記第1の一次抗体がPD-1に結合し、前記第2の一次抗体がPD-L1またはPD-L2に結合する、条項105に記載の方法。
【0649】
条項107.前記チェックポイント阻害剤が、ニボイウマブ(BMS-936558、DX 1106、またはONO-4538)、ペムブロイイズマブ(イアムブロイイズマブまたはMK-3475)、ピディリズマブ(CT-Q1 1)、ED-0680(AMP-514)、AMP-224、BMS-936559(MDX-1 105)、ED 4736、MPDL3280A(RG7448)、MSB0010718C、ならびにそれらの断片および塩からなる群から選択される、条項105または106に記載の方法。
【0650】
条項108.全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、前記チェックポイント活性化剤を含む療法が有効であろうことを示す、条項105~107に記載の方法。
【0651】
条項109.全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の減少は、前記チェックポイント阻害剤を含む療法が有効であろうことを示す、条項105~107に記載の方法。
【0652】
条項110.前記チェックポイント阻害剤または活性化剤が前記第1の分子または前記第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、前記少なくとも2つの一次抗体が前記第1の分子または前記第2の分子に結合する、条項105~109に記載の方法。
【0653】
条項111.前記少なくとも2つの一次抗体が、前記チェックポイント阻害剤または活性化剤の前記第1の分子または前記第2の分子への結合を阻害しない、条項105~110に記載の方法。
【0654】
条項112.チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するための条項105~111に記載の方法の使用であって、
c.前記療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
d.前記療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用。
【0655】
条項113.チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法における使用のためのキットであって、該キットが、
少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、
方法を行うための指示であって、前記方法が、
(a)前記チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療前に前記患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を、前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することと、
(e)ステップ(a)における前記チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む治療中に前記患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を使用して、ステップ(a)~(d)を繰り返すことと、
(f)前記試料間の全蛍光スコアを比較することであって、
a.前記療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.前記療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、比較することと、を含む、指示と、を含む、キット。
【0656】
条項114.チェックポイント活性化剤または阻害剤を含む療法が患者に有効であるかを決定するインビトロ方法における条項113に記載のキットの使用であって、
a.前記療法がチェックポイント阻害剤を含む場合、
i.全スコアが減少した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、または
b.前記療法がチェックポイント活性化剤を含む場合、
i.全スコアが増加した場合、前記療法が有効であることが示されるか、または予測される、または
ii.全スコアが変化しなかった場合、前記療法が有効ではないことが示されるか、または予測される、使用。
【0657】
条項115.目的とする分子がチェックポイント活性化剤であるかチェックポイント阻害剤であるかを特定するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、該方法が、
少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上の第1のチェックポイント標的分子に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上の第2のチェックポイント標的分子に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、を含み、
前記方法が、
(a)単離された腫瘍細胞試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光スコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することと、
(e)前記試料を前記目的とする分子と接触させることと、
(f)前記二次抗体間の相互作用のいずれの変化も検出することであって、
a.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で増加する場合、前記分子が前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤である、または
b.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で減少する場合、前記分子が前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント阻害剤である、または
c.全スコアがステップ(d)とステップ(f)との間で変化しない場合、前記分子が前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤でもチェックポイント阻害剤でもない、検出することと、を含む、インビトロ一致アッセイ方法。
【0658】
条項116.ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの0.5%~5%、好ましくは5%~10%、より好ましくは10%超の増加は、前記目的とする分子が、前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント活性化剤であることを示す、条項115に記載の方法。
【0659】
条項117.ステップ(d)とステップ(f)との間の全スコアの5%~0.5%、好ましくは10%~5%、より好ましくは10%超の減少は、前記目的とする分子が、前記第1のチェックポイント標的分子および前記第2のチェックポイント標的分子のうちの少なくとも一方に対するチェックポイント阻害剤であることを示す、条項115に記載の方法。
【0660】
条項118.前記目的とする分子が前記第1の分子または前記第2の分子に同時にまたは続いて結合し得るような様式で、前記少なくとも2つの一次抗体が前記第1の分子または前記第2の分子に結合する、条項115~117に記載の方法。
【0661】
条項119.前記少なくとも2つの一次抗体が、前記目的とする分子の前記第1の分子または前記第2の分子への結合を阻害しない、条項115~117に記載の方法。
【0662】
条項120.がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法であって、該方法が、
少なくとも2つの一次抗体であって、第1の一次抗体が第1の細胞上のPD-1に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、を含み、
前記方法が、
(a)前記患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
(b)前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
(c)洗浄ステップを行うことと、
(d)全蛍光シグナルスコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することであって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、インビトロ方法。
【0663】
条項121.前記試料が、固定腫瘍細胞試料である、条項120に記載の方法。
【0664】
条項122.前記方法が、
(i)PD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する単剤での治療、またはPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤および少なくとも1つの他の抗腫瘍剤での併用療法における治療の選択についての決定を導くために、治療前に前記患者から得られた生体試料に、かつ
(ii)対象の現在の治療レジメンへの応答を監視し、かつ単剤PD-1:PD-L1/PD-L2遮断療法での治療または併用療法での治療の選択についての決定を導くために、治療中に前記患者から得られた少なくとも1つの生体試料に行われる、条項120~121に記載の方法。
【0665】
条項123.がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するための条項120~122のいずれかに記載のインビトロ方法の使用であって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、使用。
【0666】
条項124.がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法における使用のためのキットであって、該キットが、
第1の一次抗体が第1の細胞上のPD-1に結合し、第2の一次抗体が第2の細胞上のPD-L1またはPD-L2に結合し、前記第1の一次抗体および前記二次一次抗体が免疫学的にはっきりと異なる、少なくとも2つの一次抗体と、
少なくとも2つの二次抗体であって、第1の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合し、第2の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合し、前記第1の二次抗体が前記第2の一次抗体に結合せず、前記第2の二次抗体が前記第1の一次抗体に結合せず、
(i)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体がFRETアクセプターで標識されているか、
(ii)前記第1の二次抗体および前記第2の二次抗体がDNA配列にコンジュゲートまたは融合しており、前記DNA配列が異なり、ライゲートしてサークルを形成し、ローリングサークルDNA増幅によって増幅され、前記増幅されたDNA配列のものに相補的な外部から適用された蛍光標識DNAプローブによって結合されるか、または
(iii)前記第1の二次抗体がFRETドナーで標識されており、前記第2の二次抗体が、酵素であって、FRETアクセプターおよび基質特異的酵素を含むコンジュゲートと反応して、前記酵素に隣接する分子表面上の電子豊富な部分に結合する活性化コンジュゲートを形成する、酵素に融合している、少なくとも2つの二次抗体と、
方法を行うための指示であって、前記方法が、
a.前記患者から得られた単離された腫瘍細胞試料を前記少なくとも2つの一次抗体と接触させることと、
b.前記試料を前記少なくとも2つの二次抗体と接触させることと、
c.洗浄ステップを行うことと、
d.全蛍光シグナルスコアを決定することによって前記二次抗体間の相互作用を検出することであって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、検出することと、を含む、指示と、を含む、キット。
【0667】
条項125.前記試料が、固定腫瘍細胞試料である、条項124に記載のキット。
【0668】
条項126.前記方法を行うための前記指示が、前記方法を、
(i)PD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する単剤での治療、またはPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤および少なくとも1つの他の抗腫瘍剤での併用療法における治療の選択についての決定を導くために、治療前に前記患者から得られた生体試料に、かつ
(ii)対象の現在の治療レジメンへの応答を監視し、かつ単剤PD-1:PD-L1/PD-L2遮断療法での治療または併用療法での治療の選択についての決定を導くために、治療中に前記患者から得られた少なくとも1つの生体試料に行うための指示をさらに含む、条項124~125のいずれかに記載のキット。
【0669】
条項127.がんを有する患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤に応答性を示すであろうかを決定するインビトロ方法における条項124~126のいずれかに記載のキットの使用であって、
(i)全スコアが閾値スコア以下である場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答しないであろうことを示すか、または予測する、または
(ii)全スコアが閾値スコアを超える場合、前記全スコアは、前記患者がPD-1:PD-L1/PD-L2経路を遮断する薬剤での治療に応答するであろうことを示すか、または予測する、使用。
【0670】
条項128.第1の細胞で発現される第1の分子と第2の細胞で発現される第2の分子との間の相互作用を検出するためのインビトロ一致アッセイ方法であって、該方法が、
第1および第2の融合タンパク質であって、各融合タンパク質が、検出ドメイン、認識ドメイン、およびコネクタードメインを含む、第1および第2の融合タンパク質を含み、
前記検出ドメインが、DNA結合ドメインを含み、さらなる検出ドメインと協働して同族特異的ヌクレオチド配列に結合することができ、
前記認識ドメインが、標的分子に結合することができ、
前記コネクタードメインが、一方の末端で前記検出ドメインに融合しており、他方の末端で前記認識ドメインに融合しており、
前記検出ドメイン、前記認識ドメイン、および前記コネクタードメインが互いに異種であり、
前記方法が、
(i)前記試料を前記第1のおよび融合タンパク質と接触させるステップと、
(ii)インキュベートして結合を許容するステップと、
(iii)結合していない融合タンパク質を除去するステップと、
(iv)前記試料を、前記同族特異的ヌクレオチド配列を含む核酸と接触させるステップと、
(v)インキュベートして前記核酸のヘテロ三量体結合を許容するステップと、
(vi)試料に結合した核酸を検出するステップと、を含み、
前記核酸がステップ(vi)で検出された場合、これは、前記2つの標的分子が前記試料中に同時に存在することを示す、インビトロ一致アッセイ方法。