(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】液浸冷却電子システムおよび装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20230529BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20230529BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230529BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/18 K
H05K7/20 W
G06F1/20 A
G06F1/20 C
(21)【出願番号】P 2020516619
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 US2018051999
(87)【国際公開番号】W WO2019060576
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-08-24
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515081763
【氏名又は名称】リキッドクール ソリューションズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】タフティ、ライル、 リック
(72)【発明者】
【氏名】リード、ゲイリー、 アレン
(72)【発明者】
【氏名】アーチャー、ショーン、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アルバ、ラファエル
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050548(JP,A)
【文献】米国特許第07905106(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0019614(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0103618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/18
H05K 7/20
G06F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液浸冷却される電子装置であって、
内部空間および最大誘電冷却液水位を規定する装置ハウジングと、
前記装置ハウジングの内部空間内に配置された発熱電子部品と、
前記内部空間において、前記発熱電子部品を浸し、前記発熱電子部品に直接接触する誘電冷却液と、
前記装置ハウジングに形成され、前記誘電冷却液が前記内部空間に入る際に通る誘電冷却液入口と、
前記装置ハウジングに形成され、前記誘電冷却液が前記内部空間を出る際に通る誘電冷却液出口堰であって、前記誘電冷却液出口堰は、前記装置ハウジングの前記最大誘電冷却液水位に設けられており、前記内部空間内の前記誘電冷却液の水位を定め、前記発熱電子部品の冷却に必要な、前記内部空間内の前記誘電冷却液の容積流量を定める誘電冷却液出口堰とを備えることを特徴とする、液浸冷却される電子装置。
【請求項2】
前記装置ハウジングは、第1の側と、前記第1の側の反対側の第2の側とを含み、前記誘電冷却液入口は前記第1の側にあり、前記誘電冷却液出口堰は前記第2の側にある、請求項1に記載の液浸冷却される電子装置。
【請求項3】
前記内部空間内に配置され、前記誘電冷却液入口に流体接続された
マルチポート分配マニホールドと、前記
マルチポート分配マニホールドから延びて、前記誘電冷却液の回帰流を前記発熱電子部品のうちの1つに直接方向付けるチューブとをさらに含む、請求項1に記載の液浸冷却される電子装置。
【請求項4】
前記誘電冷却液出口堰は、前記装置ハウジングの、前記誘電冷却液入口の位置よりも高い垂直高さに位置している、請求項1に記載の液浸冷却される電子装置。
【請求項5】
前記発熱電子部品は、ビットコインマイニングASICハードウェアを含む、請求項1に記載の液浸冷却される電子装置。
【請求項6】
前記発熱電子部品は、電源、プロセッサ、および、スイッチのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の液浸冷却される電子装置。
【請求項7】
液浸冷却電子システムであって、
複数の、請求項1に記載の液浸冷却される電子装置と、
少なくとも1つの入口および複数の送出出口を含む誘電冷却液送出マニホールドであって、各前記送出出口は、各誘電冷却液入口の誘電冷却液入口に流体接続されて、誘電冷却液を各装置ハウジングの内部空間に送出する、誘電冷却液送出マニホールドと、
前記誘電冷却液を供給するように構成されている誘電冷却液容器と、
前記誘電冷却液容器に流体接続されたポンプ入口と、前記誘電冷却液送出マニホールドの少なくとも1つの入口に流体接続されたポンプ出口とを備えるポンプと、
各誘電冷却液出口堰が流体接続された誘電冷却液重力戻しマニホールドであって、前記誘電冷却液重力戻しマニホールドは、前記誘電冷却液容器に流体接続されており、これによって、前記誘電冷却液出口堰を通って流出した前記誘電冷却液は、前記誘電冷却液重力戻しマニホールドによって、重力で前記誘電冷却液容器に回帰する誘電冷却液重力戻しマニホールドとを備えることを特徴とする、液浸冷却電子システム。
【請求項8】
前記複数の液浸冷却される電子装置は、垂直に離隔された複数の列を含むアレイ状に配置され、前記列はラック上に配置されている、請求項7に記載の液浸冷却システム。
【請求項9】
前記誘電冷却液容器は、前記垂直に離隔された複数の列の真下のラックの底部に配置されている、請求項8に記載の液浸冷却システム。
【請求項10】
前記誘電冷却液容器に流体接続され、前記誘電冷却液容器からの前記誘電冷却液を冷却する熱交換器をさらに備える、請求項8に記載の液浸冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子アレイシステムおよび装置の液浸冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
液浸冷却電子システムおよび装置が知られている。液浸冷却される電子装置のアレイの一例は、ラックシステムに配置された液浸サーバ(LSS)のアレイである。ラックシステム内のLSSのアレイの一例は、米国特許第7,905,106,7,911,793号、および、第8,089,764号に開示されている。液浸冷却される電子装置のアレイの別の例は、米国特許第9,451,726号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7,905,106号公報
【文献】米国特許第7,911,793号公報
【文献】米国特許第8,089,764号公報
【文献】米国特許第9,451,726号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
冷却液、例えば誘電冷却液を用いて電子装置のアレイを浸冷する液浸冷却システムを記載する。本明細書に記載の幾つかの実施形態では、ポンプ圧力を用いて冷却液を冷却液容器に戻すのではなく、重力を用いて冷却液重力戻しマニホールドを介して冷却液を容器に戻すことが可能であり、ポンプは、液体供給側において、冷却液を各電子装置に送出するためだけに使用可能である。
【0005】
本明細書に記載の一例では、電子装置は、それぞれ、完全に、または、部分的に上部が開いていることが可能なトレイによって形成された装置ハウジングを含み得る。装置ハウジングの内部空間内には、複数の発熱電子部品が配置され、これらの発熱電子部品のうちの少なくともいくつかが、装置ハウジング内の冷却液の中に浸される。冷却液の中に浸されることに加えて、回帰する冷却液の供給流が、発熱電子部品のうちの1つ、または、複数に向けられてもよく、これは「方向付けられた流れ」とも呼ばれ得る。
【0006】
一実施形態では、液浸冷却される電子装置は、内部空間および最大誘電冷却液水位を規定する装置ハウジングを含む。発熱電子部品が、装置ハウジングの内部空間内に配置され、誘電冷却液が、この内部空間において、発熱電子部品を浸し発熱電子部品に直接接触する。装置ハウジングには誘電冷却液入口があり、これを通って誘電冷却液が内部空間に入る。加えて、装置ハウジングには誘電冷却液出口堰が形成されており、ここから、誘電冷却液が、戻り側にあるポンプ圧力を用いずに内部空間を出ていく。誘電冷却液出口堰は、装置ハウジングの最大誘電冷却液水位に設けられており、冷却液出口堰は、内部空間内の誘電冷却液の水位を定め、発熱電子部品の冷却に必要な、内部空間内の誘電冷却液の容積流量を定める。
【0007】
液浸冷却電子システムは、複数の、上述の液浸冷却される電子装置と、誘電冷却液送出マニホールドと、誘電冷却液容器と、ポンプと、誘電冷却液重力戻しマニホールドとを含む。誘電冷却液送出マニホールドは、少なくとも1つの入口、および、複数の送出出口を含み、各送出出口は、各誘電冷却液入口の誘電冷却液入口に流体接続されて、誘電冷却液を各装置ハウジングの内部空間に送出する。誘電冷却液容器は、誘電冷却液を供給するように構成されている。ポンプは、誘電冷却液容器に流体接続されたポンプ入口と、誘電冷却液送出マニホールドの少なくとも1つの入口に流体接続されたポンプ出口とを備える。加えて、各誘電冷却液出口堰が、誘電冷却液重力戻しマニホールドに流体接続され、誘電冷却液重力戻しマニホールドは、誘電冷却液容器に流体接続されており、これによって、誘電冷却液出口堰を通って流出した誘電冷却液は、誘電冷却液重力戻しマニホールドによって、重力で誘電冷却液容器に回帰する。
【0008】
本明細書に記載の液浸冷却装置およびシステムの一適用例は、ラックシステムに配置されたLSSのアレイと共に使用するためのものである。しかしながら、本明細書に記載の原理は、電子装置のアレイが液浸冷却される他の用途にも使用可能である。これには、ブレードサーバ、ディスクアレイ/記憶システム、ソリッドステートメモリ装置、ストレージエリアネットワーク、ネットワーク接続ストレージ、ストレージ通信システム、ルータ、通信インフラストラクチャ/スイッチ、有線・光・無線通信装置、セルプロセッサ装置、プリンタ、電源等が含まれるが、これらに限定されない。
【0009】
本明細書に記載の液浸冷却装置およびシステムは、液浸冷却の利益を享受し得るあらゆる分野に使用可能である。一例では、液浸冷却装置およびシステムは、ブロックチェーンコンピューティング(仮想通貨)用途において、例えば、ASICまたはGPUコンピュータマイニング構成において使用可能である。液浸冷却装置およびシステムは、ディープラーニング用途、例えば、最大帯域幅をカバーするマルチGPU構成、および、高性能GPUのダイレクトメモリアクセス(DMA)において使用してもよい。液浸冷却装置およびシステムは、マルチコプロセッサ構成、例えば、GPUコプロセッサのDMA能力をカバーするマルチGPU構成を有する、人工知能および高性能コンピューティング(HPC)クラスタにおいて使用してもよい。他にも、本明細書に記載の液浸冷却装置およびシステムの多くの用途および使用が可能であり、期待される。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に記載の液浸冷却装置およびシステムは、完全に密閉された電子装置ハウジングを必要としない。むしろ、電子機器を収容するトレイは、その上部が完全に、または、部分的に開いていることが可能であり、完全に密閉された電子装置ハウジングを使用するシステムと比べて、コスト低減に役立ち、修理や改良のための電子機器へのアクセスを容易にする。液浸冷却はまた、空冷と比べて優れた冷却効率を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に記載の液浸冷却電子システムの一例を示す概略的な側面図である。
【
図2】本明細書に記載の液浸冷却される電子装置のうちの1つを示す概略的な側面図である。
【
図3】本明細書に記載の電子装置のうちの1つを示す概略的な上面図である。
【
図4】本明細書に記載の液浸冷却される電子装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図6】本明細書に記載の液浸冷却される電子装置のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図8】本明細書に記載の液浸冷却電子システムの他の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】
図8のシステムを示す斜視図であり、どのように電子装置から出る冷却液を重力戻しマニホールドの中に導入可能であるかの一例を説明するために、電子装置は図示していない。
【
図11】
図8のシステムにおいて使用される容器を示す図である。
【
図12】
図8のシステムにおける重力戻しマニホールドの内部を詳細に示す図である。
【
図13】本明細書に記載の液浸冷却システムの他の実施形態の一部を示す斜視図であり、電子装置は取り外されており、集水ウェルが容器の底部に形成されている。
【
図14】本明細書に記載の液浸冷却電子システムの他の例を示す正面斜視図である。
【
図17】
図14~16におけるシステムの液浸冷却される電子装置のうちの1つを示す斜視図である。
【
図19】
図17および
図18の電子装置、および、その水平戻しマニホールドとの相互作用を示す側面図である。
【
図20】本明細書に記載の液浸冷却電子システムのさらに他の例を示す正面斜視図である。
【
図21】本明細書に記載の液浸冷却電子システムのさらなる他の例を示す正面斜視図である。
【
図24】本明細書に記載の液浸冷却電子システムのさらに他の例を示す正面斜視図である。
【
図25】
図24におけるシステムのハウジングのうちの1つを示す正面図である。
【
図26】
図25におけるハウジングを示す上面図であり、上部カバーは取り外されている。
【
図29】本明細書に記載の液浸冷却電子システムのさらに他の例を示す側面図である。
【
図30】
図29におけるシステム内の電子装置ハウジングのうちの1つを示す斜視図である。
【
図31】
図30における装置ハウジング内の電子部品のうちの1つを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、液浸冷却電子システム10の一例が示されている。システム10は、ハウジング12と、ハウジング12内に配置された少なくとも一列の電子装置14とを含む。流体送出システムを用いて、冷却液を、システム10中に送出する。この流体送出システムは、電子装置14の発熱電子部品を液浸冷却するために冷却液を冷却液容器18から電子装置14に送出する冷却液送出マニホールド16と、重力を用いて、冷却液を電子装置14から冷却液容器18の中に戻す冷却液重力戻しマニホールド20とを含む。ポンプ22が、冷却液を容器18から送出マニホールド16に送る。
【0013】
この流体送出システムは、冷却液をシステム10中に送出する。例えば、ポンプ22は、冷却液を容器18から送出マニホールド16に送出する。そして、冷却液は、送出マニホールド16から各電子装置14に送出される。その後、冷却液は、電子装置14から出て重力戻しマニホールド20の中に放出され、重力により、冷却液は容器18の中に回帰する。
【0014】
電子装置14内の電子機器を冷却するために使用される冷却液は、誘電液体であり得るが、これに限定されない。冷却液は、単相または二相であり得る。単相の誘電冷却液が好ましい。冷却液は、冷却液の状態が変化しないように、浸された発熱電子部品によって生成される熱量を対処できる程度に十分に高い伝熱性を有していることが好ましい。発熱電子部品の浸冷とは、発熱電子部品が、冷却液に浸され冷却液に直接密着する程度に十分な冷却液が存在することを意味している。
【0015】
容器18に回帰する冷却液は、発熱電子装置からの熱を受け取るため、電子装置14に送出される冷却液よりも高い温度を有している。幾つかの実施形態において、戻ってきた冷却液は、容器18にある間に、周囲環境との周囲熱交換により十分に冷却され得る。追加的な冷却が必要とされる他の実施形態では、冷却液は、電子装置14に送出される前に、熱交換器を通過するように方向付けられることが可能である。
【0016】
例えば、
図1に示されるように、熱交換器24が設けられていることが可能であり、熱交換器24は、ポンプ22の出口に流体接続された熱交換器入口を有し、熱交換器24の出口は、送出マニホールド16の入口に接続されており、冷却液が送出マニホールド16に入る前に冷却されるようになっている。熱交換器24は、冷却液が電子装置14に送出される前に、冷却液の温度を低減することが可能な任意の熱交換器であり得る。例えば、熱交換器24は、液体-液体熱交換器であってよく、ここでは、熱交換液(水/グリコール混合物を含むがこれに限定されない)を使用して、送出マニホールド16に送出する前に熱をこの冷却液で交換する。熱交換液は、供給26によって熱交換器24に供給され、回帰28によって回帰可能である。他の実施形態では、熱交換器24は、液体-空気熱交換器であってよく、ここでは、冷却液は、熱を周囲空気で交換することによって冷却され、必要に応じて、熱交換器24を横断するように空気を移動させることが可能なファンが追加される。熱交換器24は、容器18の内部若しくは容器18の上に取り付けられてもよいし、または、熱交換器24は、ハウジング12から分離されていてもよい。
【0017】
図示される例では、送出マニホールド16、容器18、重力戻しマニホールド20、および、ポンプ22は、ハウジング12の内部に配置されているものとして示されている。しかしながら、冷却液が電子装置14に送出されると共に電子装置14から回帰することが可能であるならば、送出マニホールド16、容器18、重力戻しマニホールド20、および、ポンプ22のうちの1つ、またはそれ以上が、ハウジング12の外部に配置されていてもよい。
【0018】
ハウジング12は、電子装置14を包囲するために適した任意の構成を有していることが可能である。ハウジング12は、冷却液、流体送出システムの動作、または、電子装置14の電子機器の動作に障害を起こし得る塵、細菌、および、外部からの他の汚染物が、ハウジング12の内部に侵入することを最小化するように包囲されていることが好ましい。例えば、ハウジング12は、内部空間を規定する概ね長方形の筐体を規定する、上部パネル30、上部パネル30の反対側にある底部パネル32、後部パネル34、後部パネル34の反対側にある前部パネル36、および、対向する側面パネル(図示しない)を備えていることが可能である。ハウジング12の内部空間は、電子装置14を支持する、垂直方向に離隔された棚またはラックを含むことが可能である。
【0019】
前部パネル36は、ハウジング12にヒンジで連結されており、開閉されて、電子装置14、並びに、システム10の流体送出システムおよび他の部品にアクセス可能なドアのように機能し得る。ハウジング12に、EMIガスケットまたはシールが設けられて、FCC排出要件または感受性要件を満たすようになっていてもよい。システムの騒音が周囲環境に伝達されるのを最小化するために、防音装置がハウジング12に取り付けられていてもよい。底部パネル32は、調節可能な水平化脚部または他の水平化要素といった水平化要素38を備え、ハウジング12およびその中にある電子装置14を水平にすることが可能である。
【0020】
送出マニホールド16は、一般に、その長手方向軸が電子装置14の積み重ね方向と並行になるように垂直に向けられたものとして示されており、重力戻しマニホールド20も、その長手方向軸が電子装置14の積み重ね方向に並行、かつ、送出マニホールド16の長手方向軸に並行になるように垂直に向けられたものとして示されている。
【0021】
送出マニホールド16は、電子装置14の高さとほぼ同じかそれ以上に延びており、その底部に隣接して、少なくとも1つの冷却液入口40を含む。少なくとも1つの冷却液入口40は、例えば熱交換器出口44を介して、ポンプ22の出口42と流体連通している。送出マニホールド16はまた、長さ方向に沿って離隔された複数の液体送出出口46、例えば、各電子装置14用の少なくとも1つの送出出口46を含む。各液体送出出口46は、関連付けられた電子装置14に流体接続されており、冷却液をその電子装置14に送出する。
【0022】
容器18は、ハウジング12の底部に位置しているものとして示されている。内壁48が、ハウジング12の内部を、電子装置14を収容する上部空間と容器18を収容する下部空間とに分けている。
図1の破線は、容器18内の冷却液の水位50を示している。
【0023】
図1はまた、ハウジング12の上方に設けられることが可能な、任意の上部冷却液容器52を示している。この液体容器52は、ポンプ22を使用する代わりに、重力を用いて冷却液を電子装置14に供給する重力供給システムにおいて使用され得る。ポンプ22が、冷却液を、下方の容器18から上方の容器52に移動させ、その後、容器52が、重力により垂直の送出マニホールド16に冷却液を供給することになる。後に説明する他の実施形態では、上方の容器52は、定圧冷却液送出スキーム用の緩衝容積を提供する貯水/圧力タンクとして機能し得る。
【0024】
ポンプ22は、容器18内の冷却液の中に浸されたものとして示されている。しかしながら、ポンプ22は、容器18の外側に配置されていてもよい。ポンプ22は、冷却液を吸入するために容器18内の冷却液に向かって開口したポンプ入口(図示しない)を有しており、出口42は、送出マニホールド16の冷却液入口40に、例えば熱交換器24を介して流体接続されている。電子装置14に送出される前に冷却液をろ過する任意のフィルタ54が設けられていてよい。フィルタ54は、ポンプ入口に設けられていてもよい。
【0025】
重力戻しマニホールド20は、電子装置14の高さとほぼ同じかそれ以上に延びており、上端60が、ほぼ、電子装置14のうちの最上位の電子装置の位置にある。
図1に示される例では、戻しマニホールド20の下端62は、容器18内に配置されており、冷却液の水位50よりも下で冷却液中に浸されている。冷却液は、電子装置14内の電子部品を冷却した後、電子装置からマニホールド20に放出される。その後、回帰する冷却液は、重力によって容器18内のバルク冷却液の中に戻る。
【0026】
電子装置14は、液浸冷却される電子装置のアレイとして構成されていることが可能である。例えば、電子装置14は、LSS、ブレードサーバ、ディスクアレイ/記憶システム、ソリッドステートメモリ装置、ストレージエリアネットワーク、ネットワーク接続ストレージ、ストレージ通信システム、ルータ、通信インフラストラクチャ/スイッチ、有線・光・無線通信装置、セルプロセッサ装置、プリンタ、電源等、および、これらの任意の組み合わせであり得る。
【0027】
1つの電子装置14の構成例が、
図2および
図3に示されている。他の各電子装置14は、同様の構造を有していることが可能である。電子装置14は、内部空間72を規定する装置ハウジング70を含む。図示される例では、装置ハウジング70は、上部が完全に、または、部分的に開いたトレイの形をしている。トレイは、円形、三角形、四角形、長方形、または、他の任意の形状をしていることが可能である。図示されたトレイは、長方形であり、底部パネル74、第1の端部パネル76、第1の端部パネル76の反対側にある第2の端部パネル78、第1の側面パネル80、および、第1の側面パネルの反対側にある第2の側面パネル82を有している。トレイの、底部パネル74の反対側の上部は、完全にまたは部分的に開いており、これは、パネルまたは他の閉鎖体が上部を閉じていないことを意味している。底部パネル74、端部パネル76、78、および、側面パネル80、82は、電子部品および冷却液が収容されることになる内部空間72を形成する。トレイは液密であり、冷却液がハウジング70から意図せずに漏れることを回避している。
【0028】
発熱電子部品86が取り付けられた少なくとも1つの回路基板84が、ハウジング70の内部空間72内に配置されている。幾つかの実施形態では、それぞれに発熱電子部品が取り付けられた複数の回路基板が、ハウジング70内に配置されていることが可能である。回路基板84は、ハウジング70内で任意の好適な方向に取り付けられることが可能である。図示される例では、回路基板84は、内部空間72において水平方向に配置されており、これによって、回路基板84の平面は、送出マニホールド16および重力戻しマニホールド20の長手方向軸に対してほぼ直角になっている。
【0029】
発熱電子部品86は、回路基板84の上部表面、回路基板84の底部表面、または、図示されるように回路基板84の上部および底部表面の両方に取り付けられることが可能である(
図3の破線は、回路基板84の底部表面に取り付けられた電子部品86を示しており、したがって、
図3の上面図では視認できない)。発熱電子部品86は、発熱する任意の電子部品であることが可能であり、ユーザは、電子部品を冷却液の中に浸すことによって冷却することを所望する。例えば、電子部品86は、1つまたはそれ以上のプロセッサ、例えば、CPU、および/または、GPU、1つまたはそれ以上の電源、1つまたはそれ以上のスイッチ、および、他の電子部品を含むことが可能である。
【0030】
冷却させる電子部品86は、内部空間72内の冷却液中に浸される。
図2の水平破線88は、ハウジング70内の冷却液の最大水位を示しており、このため、回路基板84およびそれに取り付けられた全ての電子部品86は、冷却液中に完全に浸されてこれに直接接触する。
【0031】
冷却液は、供給マニホールド16の液体送出出口46のうちの1つに流体接続された冷却液供給ライン90を介して、ハウジング70の中に導入される。供給ライン90には、弁92が設けられており、入ってくる冷却液の流れを制御する。供給ライン90は、電子装置14のマルチポート分配マニホールド94に流体接続されている。図示される例では、この分配マニホールド94は、ハウジング70内に配置されて、冷却液中に浸されている。しかしながら、幾つかの実施形態では、分配マニホールド94は、ハウジング70の外部に位置していてもよいし、または、ハウジング70の内部であるが最大冷却液水位50よりも上に位置していてもよい。分配マニホールド94に対して選択的または追加的に、
図2の破線で示される流入ライン96を介して、冷却液がハウジング70の中に直接流入してもよい。
【0032】
分配マニホールド94は、複数の分配出口ポート98を含む。出口ポート98のうちの1つまたはそれ以上は、例えば、弁によって、または、取り外し可能なキャップまたはプラグによって閉鎖されており、冷却液がこれからハウジング70内のバルク冷却液の中に流れることを回避することが可能である。加えて、出口ポート98のうちの1つまたはそれ以上は、冷却液がハウジング70内のバルク冷却液の中に直接流入するように、開放されていることが可能である。
【0033】
他の実施形態では、流体ラインまたはチューブ100が、出口ポート98のうちの1つまたはそれ以上に接続されていることが可能である。流体ライン100を用いて、回帰する冷却液を、直接、発熱電子部品86のそれぞれに方向付けることが可能である。これを、「方向付けられた流れまたは方向付けられた液体冷却」と呼ぶことが可能であり、ここでは、回帰する冷却液の供給流は、直接、ハウジング70内のバルク冷却液中にも浸された発熱電子部品86に向けられる。幾つかの実施形態では、分散プレナムハウジング(図示しない)が発熱電子部品86上に配置されていると共に、流体ライン100の端部に流体接続されて、回帰する冷却液が発熱電子部品86の上を流れる際に、この回帰する冷却液の流れを拘束することが可能である。方向付けられた液体冷却および分散プレナムハウジングの使用は、米国特許第790106号に開示されており、その内容全体は、参照することにより本願に組み込まれる。
【0034】
図2および
図3をさらに参照すると、ハウジング70は、少なくとも1つの冷却液戻り出口102をさらに含む。これを通って、冷却液がハウジング70から出ると共に重力戻しマニホールド20の中に流れ込む。
図2に示されるように、出口102は、最大冷却液水位88に設けられている。加えて、出口102は、ハウジング70内の冷却液の水位を定め、発熱電子部品86の冷却に必要な、ハウジング70内の冷却液の容積流量を定める。冷却液が最大水位88にない場合、冷却液は出口102から流出しない。しかしながら、一旦、冷却液が最大水位88に到達すると、冷却液は出口102から流れ出て、冷却液は最大水位88で維持される。出口102は、冷却液の水位を制御して最大水位88を維持すると共に冷却液の放出を許容する任意の構成を有していることが可能である。例えば、出口102は、堰であることが可能である。
図3は、堰または出口102を、ハウジング70の第2の端部パネル78の幅全体を渡って延びるものとして示している。しかしながら、堰または出口102は、第2の端部パネル78の幅の一部に渡って延びていてもよい。
【0035】
本明細書および特許請求の範囲を通して使用されるように、堰は、冷却液用の出口であり、ここで冷却液は、堰に接続されたポンプ圧力を使用せずに、重力によって内部空間から出ていく。堰は、内部空間内の誘電冷却液の水位を定め、発熱電子部品を冷却するために必要な、内部空間内の誘電冷却液の容積流量を定める。堰は、米国特許第7905106号に記載の出口52b、112のような、使用中にポンプに接続されることが意図され、ポンプ圧力により冷却液が出ていく出口とは、異なると共に区別される。
【0036】
図4および
図5を参照すると、
図1のシステム10において使用される液浸冷却される他の実施形態である電子装置110が示されている。電子装置110は、内部空間114を規定する装置ハウジング112を含む。図示される例では、装置ハウジング112は、上部が完全にまたは部分的に開いたトレイの形をしている。トレイは、円形、三角形、四角形、長方形、または、他の任意の形状をしていることが可能である。図示されたトレイは、長方形であり、底部パネル115、第1の端部パネル116、第1の端部パネル116の反対側にある第2の端部パネル118、第1の側面パネル120、および、第1の側面パネルの反対側にある第2の側面パネル122を有している。トレイの、底部パネル115の反対側の上部は、完全にまたは部分的に開いており、これは、パネルまたは閉鎖体が、上部を閉じていないことを意味している。底部パネル115、端部パネル116、118、および、側面パネル120、122は、電子部品および冷却液が収容されることになる内部空間114を形成する。トレイは液密であり、冷却液がハウジング112から意図せずに漏れることを回避している。
【0037】
他の実施形態では、各ハウジング/トレイ112(またはハウジング/トレイ70)の上部に、その開いた上部を部分的または完全に閉鎖するために、蓋が設けられていることが可能である。蓋の使用は、冷却液の微粒子、および/または、水の凝縮汚染が起こる可能性を低減することになる。蓋は、ハウジング/トレイ112の他の部分に対して密封/液密/気密である必要はない。なぜなら、例えば、ハウジング/トレイ内の電子機器に接続するための何らかの配線用の1つまたはそれ以上の開口部が形成される場合や、冷却液が容器に戻る時の通路用の(後に記載する、または、出口102として上述した)少なくとも1つの出口開口部が、ハウジング/蓋接合部に設けられる場合もあるからである。蓋を使用する場合、蓋は、電子部品への容易なアクセスを提供するために、ハウジング112から取り外し可能に取り付けられているか、または、ハウジング112にヒンジで連結されていることが可能である。
【0038】
様々な発熱電子部品が取り付けられた少なくとも1つの回路基板124が、ハウジング112の内部空間114に配置される。回路基板124は、ハウジング112内に任意の好適な配向で取り付けられていることが可能である。図示された例では、回路基板124は、内部空間114内において水平方向に配置されており、これによって、回路基板124の平面は、送出マニホールド16の長手方向軸、および、システム10の重力戻しマニホールド20に対してほぼ直角となる。
【0039】
回路基板124には、(さらに後で説明する分散プレナムハウジング126によって隠されている)一対のCPUが取り付けられている。加えて、回路基板124には、GPU(さらに後で説明する分散プレナムハウジング130によって隠されているがそのうちの1つだけが視認可能である)をそれぞれ備える複数のグラフィックスカード128が取り付けられている。加えて、電源132、並びに、データ、および/または、プログラム格納装置134が、ハウジング112内に配置されているが、これらは、回路基板124には取り付けられていない。
【0040】
冷却対象の電子装置110の電子部品は、内部空間114内の冷却液の中に浸される。
図4内の線140は、ハウジング112内の冷却液の最大水位を示しており、これによって、回路基板124、CPU、および、プレナムハウジング126、GPU、および、プレナムハウジング130、回路基板124上の他の電子部品、並びに、グラフィックスカード128は、冷却液中に完全に浸されてこれに直接接触する。加えて、電源132および格納装置134も、冷却液中に完全に浸されてこれに直接接触する。
【0041】
冷却液は、冷却液供給入口142を介してハウジング112の中に導入される。冷却液供給入口142は、
図1の供給マニホールド16の液体送出出口46のうちの1つに、供給ライン90に似た冷却液供給ラインを介して流体接続されている。入口142を通って入ってくる冷却液の流れを制御するために、
図2の弁92に似た弁が設けられていることが可能である。本実施形態では、入口142は、第1の端部パネル116に形成されている。入口142は電子装置110のマルチポート分配マニホールド144に流体接続されている。図示される例では、分配マニホールド144は、ハウジング112内に配置され、冷却液に浸されている。しかしながら、幾つかの実施形態では、分配マニホールド144は、ハウジング112の外部に位置しているか、または、ハウジング112の内部であるが最大冷却液水位140よりも上に位置していることが可能である。分配マニホールド144に対して選択的または追加的に、
図2に示される流入ライン96に似た流入ラインを介して、冷却液がハウジング112の中に直接流入してもよい。
【0042】
分配マニホールド144は、複数の分配出口ポート146を含む。出口ポート146のうちの1つまたはそれ以上は、例えば、弁によって、または、取り外し可能なキャップまたはプラグによって閉鎖されており、冷却液がこれからハウジング112内のバルク冷却液の中に流れることを回避することが可能である。加えて、出口ポート146のうちの1つまたはそれ以上は、冷却液がハウジング112内のバルク冷却液の中に直接流入するように、開放されていることが可能である。
【0043】
他の実施形態では、流体ラインまたはチューブ148が、出口ポート146のうちの1つまたはそれ以上に接続されていることが可能である。流体ライン148を用いて、回帰する冷却液を、直接、発熱電子部品のそれぞれに方向付けることが可能である。これを、「方向付けられた流れまたは方向付けられた液体冷却」と呼ぶことが可能であり、ここでは、回帰する冷却液の供給流が、ハウジング112内のバルク冷却液中にも浸された発熱電子部品に向けられる。
図4および
図5に示される実施形態では、流体ライン148のうちの1つが、各ポート146からCPUを介して分散プレナムハウジング126に延びていると共に、グラフィックスカード128上のGPUを介して分散プレナムハウジング130に延びている。分散プレナムハウジング126、130は、回帰する冷却液が、浸されたCPUおよびGPUの上を流れる際に、この回帰する冷却液の流れを拘束する。これによって、CPUおよびGPUの冷却を最大化することができる。方向付けられた液体冷却および分散プレナムハウジングの使用は、米国特許第790106号に開示されており、その内容全体は、参照することにより本願に組み込まれる。
【0044】
図4および
図5をさらに参照すると、ハウジング112は、少なくとも1つの冷却液戻り出口150をさらに含む。これを通って、冷却液がハウジング112から出ると共に
図1の重力戻しマニホールド20の中に流れ込む。出口150は、最大冷却液水位140に設けられている。冷却液が最大水位140にない場合、冷却液は出口150から流出しない。しかしながら、一旦、冷却液が最大水位140に到達すると、冷却液は出口150から流れ出て、最大水位140で維持される。出口150は、冷却液の水位を制御して最大水位140を維持すると共に冷却液の放出を許容する任意の構成を有していることが可能である。例えば、出口150は、堰であることが可能である。
図4および
図5は、第1の端部パネル116に形成され端部パネル116の一部だけに渡って延びているような堰または出口150を示している。しかしながら、堰または出口150は、他のパネル118、120、122に形成されて、それが形成されたパネルの長さ全体に渡って延びていてもよい。
【0045】
図6および
図7を参照すると、
図1のシステム10において使用され得る他の実施形態である電子装置200が示されている。本実施形態では、装置200は、上部が完全にまたは部分的に開いた装置ハウジング202またはトレイを含む。トレイは、円形、三角形、四角形、長方形、または、他の任意の形状をしていることが可能である。本実施形態では、ハウジング202またはトレイは、ハウジング70、112よりもかなり浅い(つまり、垂直方向の深さが小さい)。
【0046】
複数の電子装置204がトレイに取り付けられている。図示された例では、3つの装置204が設けられているが、より少ないまたは多い数のシステムを使用することが可能である。非限定の一実施形態では、各装置204は、ビットコインマイニングASICハードウェアであるAntminer(登録商標)システムである。各Antminer(登録商標)システムは、プリント回路基板、例えば3つの回路基板を含むことが可能である。これらの回路基板は、多数のASICが装着されており、これらのASICは、さらなる放熱のために受動フィンが接着された放熱板を有し得る。トレイには、各電子装置204用の電源208を収容する電源コンテナ206が設けられていてもよい。
【0047】
複数の分配出口ポート212を含むマルチポート分配マニホールド210が設けられている。マニホールド210は、入口211を介して、
図1の送出マニホールド16に流体接続されている。流体ライン214は、出口ポート212と電子装置204の入口ポート216との間、および、出口ポート212とコンテナ206の入口ポート218との間を延びている。流体ライン214は、回帰する冷却液を、装置204内の電子機器を液浸冷却するために分配マニホールド210から電子装置204の内部に向けると共に、電源208を液浸冷却するためにコンテナ206の内部に向けている。装置204の内部における冷却液の流れは、冷却液を回路基板によって形成されたパーティションの間に分配させる管理されたバルク流であり、回路基板上のASICや他の電子部品を冷却液中に浸す。
【0048】
図7を参照すると、流体は、各装置204から、装置204の、入口ポート216の反対側の側面に形成された出口開口部または堰220を通って出ていく。それ以外は、装置204は、概して液密であるので、装置204は、出口開口部220の高さまで冷却液で充填される。一旦、出口開口部220に到達すると、冷却液は、出口開口部220を通ってトレイの中にこぼれ出る。コンテナ206は、(図示されるように)その上部が開いていてもよいし、上部が閉じられていてもよい。出口開口部222が、コンテナ206の、入口ポート218の反対側の側面に形成されている。それ以外は、コンテナ206は、概して液密であるので、コンテナ206は、出口開口部222の高さまで冷却液で充填される。一旦、出口開口部222に到達すると、冷却液は、出口開口部222を通ってトレイの中にこぼれ出る。
【0049】
図6および
図7をさらに参照すると、ハウジング202またはトレイは、(
図7に示される)少なくとも1つの冷却液戻り出口224をさらに含む。これを通って、冷却液がハウジング202から出ると共に
図1の重力戻しマニホールド20の中に流れ込む。本実施形態では、大部分の冷却液は、電子装置204およびコンテナ206内部に配置され、浅いトレイが、
図1~3および
図4~5のトレイと比べて比較的少ない量の冷却液を保持する。出口224は、冷却液がトレイから流れ出て重力戻しマニホールドの中に流れ込むことを許容する任意の構成を有していることが可能である。例えば、出口224は、堰であることが可能である。
図7は、堰または出口224を、トレイの、分配マニホールド210の反対側の側面に形成されて、トレイの一部のみに渡って延びるものとして示している。しかしながら、堰または出口224は、トレイの他の側面に形成されて、それが形成された側面の長さ全体に渡って延びていてもよい。
【0050】
ここで、
図8~12を参照して、他の実施形態である液浸冷却電子システム300について記載する。本実施形態では、システム10の要素に類似の構成および動作を有する要素には、類似の参照符号を用いてこれらを参照する。本実施形態は、最小/最大圧力制限対を満たすようにポンプ22(
図11)の動作を制御する、「正の定圧」冷却液送出システムを含む。
【0051】
例えば、システム300では、圧力タンク302が、送出マニホールド16の上部に接続されている。圧力センサ304が、システム300内の適切な位置、例えば送出マニホールド16上の、概ね、マニホールド16の下に向かって3番目の電子装置14の高さに配置されている。センサ304から読み出した圧力を用いて、最小/最大圧力制限対を満たすようにポンプ22の動作を制御する。圧力タンク302は、貯水/圧力タンクとして機能して、冷却液の緩衝容積を提供し、流れの大幅な変動および圧力の大きな変化が電子装置14によって生じないようにする。この変化は、ポンプ22がセンサ制御コマンドに応答し、冷却液を熱交換器24、ホース、マニホールド等を通して移動させて、冷却液が供給されるセンサ304および全てのポートにおいて所望の圧力条件を満たす必要があることにより生じ得る時間遅延の結果生じ得る。
【0052】
図8~12をさらに参照すると、ハウジング/トレイ70の出口102からの冷却液の回帰流が、他のハウジング/トレイ70の回帰流路に悪影響せず、回帰する冷却液をシステム300内の下位の高度にあるハウジング/トレイ70に供給しないことが望ましい。加えて、ポンプ22内のキャビテーションが発生する可能性を最小化するために、容器18に戻る冷却液が最小空気連行を有していることが望ましい。さらに、重力戻しマニホールド20において、回帰する冷却液の水滴が垂直方向に長くならないようにすることが望ましい。なぜなら、垂直方向に長い水滴は、回帰する冷却液が容器18内の冷却液のバルク容積の表面にぶつかる時に、著しい空気連行を生じさせるため、望ましくない音響ノイズを生成することになる。
【0053】
これらの目的に達するための1つの方法が、
図9~12に示されている。電子装置14からの出口102は、
図8に示されるように、電子装置14の幅の一部に延びている(
図4および
図7の出口150、224に類似している)。
図9および
図10に最も良好に示されるように、戻しマニホールド20の外表面は、一連の冷却液流出傾斜路308、すなわち、各電子装置14につき1つの流出傾斜路308を含む。流出傾斜路308は、各出口102から冷却液を受け取る入口端部310、および、戻しマニホールド20の内部に繋がる出口端部312を有している。この傾斜路308は、入口端部310と出口端部312との間においてゆっくりと下方に傾斜し、冷却液が入口端部310から出口端部312に流れて、そこで、冷却液が戻しマニホールド20の内部に流れ込むようになっている。図示された例では、第1の群の4つの電子装置14の流出傾斜路308は、第1の群の4つの装置と似た第2の群の4つの電子装置14と、長さが異なっている。入口端部310は、垂直に積み重なって位置しているが、出口端部312は、各群の4つの電子装置14において、横方向に互いにシフトして配置されており、回帰する冷却液が、シフトされた位置にある戻しマニホールド20の中に放出されるようになっている。
【0054】
加えて、戻しマニホールド20の内部空間は、回帰する冷却液が長距離で自由落下することを回避するように構成されている。例えば、
図10および
図12に最も良好に示されるように、マニホールド20の内部において、概ね、最も上位にある電子装置14の水位から最も下位にある電子装置14の下方に延びる一連の流れ遮断装置320が設けられている。流れ遮断装置320は、戻しマニホールド20の対向する前後壁から突出する一連の壁として示されており、ここで、前壁から突出する壁と、後壁から突出する壁とが交互になっている。出口端部312の1つを通って戻しマニホールド20に入る冷却液が、前壁から突出する流れ遮断装置320のうちの1つに流れ、その後、次の後壁から突出する流れ遮断装置320に流れるように方向づけられており、その後、この液体は、次の前壁から突出する流れ遮断装置320(そしてその次という様に)流れるように方向づけられている。冷却液が戻しマニホールド20内の交互に設けられた流れ遮断装置320を斜面滑降することは、出口102のうちのいずれか1つからの回帰流が、他のハウジング/トレイ70の回帰流路に悪影響せず、回帰する冷却液をシステム300内の下位の高度にあるハウジング/トレイ70に供給されないことを確保し、回帰する冷却液の水滴が垂直方向に長くなることを防ぐことに役立ち、冷却液のはね上がりを最小化することにより空気連行を最小化する。
【0055】
(
図12と共に)
図13は、他の一例である液浸冷却システム400を示している。システム400は、システム300またはシステム10に構造が類似していることが可能である。本実施形態では、システム300またはシステム10における要素に類似の構成および動作を有する要素には、類似の参照符号を用いてこれらを参照する。本実施形態では、容器18は、凝縮水が存在する場合、溜まる位置を制御する起伏のある床面を含む。特に、冷却液は、典型的には比重が水よりも小さい油である。冷却液および水は、混和不可能であるので、容器18の床面の傾斜が水滴を底部の最も低い位置に導くならば、水は容器18のその最も低い位置に沈殿することになる。冷却液は、容器18内の凝縮した水の上で単に層を成すことになる。
【0056】
図12および
図13に示されるように、容器18の起伏のある床面は、凝縮水を収集することを意図したウェルまたは凹部402を有して形成されている。容器18の床面は、ウェル402に向かって起伏を形成しており、どんな凝縮水もウェル402の中にたまるようになっている。水センサ404が、溜まった水を検出するために、ウェル402の中に配置されていることが可能である。ウェル402から水を排水するための機構も設けられている。例えば、この機構は、ウェル402から容器18の上方かつ外部に延び得るサイフォンチューブ406を含むことが可能であり、水をシステムの外に流すために、サイフォンポンプ(図示しない)が取り付けられていてもよい。あるいは、ウェル402の底部からの排水ポートに、水をウェル402から排水するための、手動または自動的に動作する遮断弁が備えられていてもよい。
【0057】
システム400において、ポンプ22の入口は、水がポンプ22の中に吸引されることを回避し、水が電子装置14に流れて電子機器と接触することを回避するのに適した、ウェル402に対する位置および高度に配置されている必要がある。またポンプの入口は、泡がポンプ22の中に引き込まれることを最小化する高さという点から、容器18内の比較的低い位置ではあるが、ポンプ22が水を容器18の最も低い部分から冷却液の流れの中に流し得る程低くはない位置にある必要がある。
図13は、ポンプ22の入口408とウェル402の相対位置の一例を示す。本実施形態では、ポンプ22に入る前の冷却液をろ過するフィルタ54が、ポンプ出口ではなく、入口408に配置されている。
【0058】
水を収集するためのウェル402を有する容器18に加えて、電子機器を収容する各ハウジング/トレイ70、112が、凝縮水を類似の方法で蓄積するように構成されていてもよい。例えば、容器18のように、ハウジング/トレイ70、112の床面は、凝縮水を、ハウジング/トレイ70、112の床面に形成されたウェルの中に方向付けるように、起伏を有していることが可能である。ハウジング/トレイ70、112内のウェルに溜まった水を排水するための機構が設けられていてもよい。
【0059】
図14~19は、他の実施形態である、液浸冷却電子システム450、および、システム450内で液浸冷却される電子装置452を示している。システム450において、装置452は、ラック454上で、装置452の垂直方向に離隔された複数の列456から成るアレイ状に支持されている。各列456は、複数の装置452を含むものとして示されている。しかしながら、各列456は、単一の装置452を含んでいてもよい。加えて、縦列である必要はなく、複数の装置452が、1つの水平アレイに配置されていてよい。
【0060】
システム450は、垂直供給マニホールド460、各列456につき1つの水平供給マニホールド462、各列456につき1つの水平戻しマニホールドまたは横樋464、垂直重力戻しマニホールドまたは横樋466(
図15に最も良好に示されている)、容器468、ポンプ470、および、熱交換器472を含んでいることが可能である。各電子装置452への動力は、各列456に関連付けられた電力配分装置474によって供給可能である。
【0061】
図14~16を参照すると、供給マニホールド460は、冷却された回帰する冷却液を各列456に供給する。
図14に示されるように、供給マニホールド460は、フレーム454に沿って、かつ、フレーム454に固定されて、上方に延びている。各供給マニホールド462は、供給マニホールド460に流体接続されて、冷却された回帰する冷却液を、各電子装置452に分配する。各電子装置452から出ていく冷却液は、各列456において、戻しマニホールド464の中に放出され、各戻しマニホールド464は、重力戻しマニホールド466に流体接続されている。重力戻しマニホールド466は、装置452内の発熱電子機器を冷却した後に重力によって回帰する冷却液を収集する容器468に流体接続されている。ポンプ470の入口は、容器468に接続されており、冷却液を容器から熱交換器472に送る。熱交換器472は、任意の好適な方法で冷却液を冷却する。好適な方法は、上述のように、液体-液体、または、液体-空気を含むがこれに限定されない。次に、冷却された冷却液は、各列456への分配のために、熱交換器472からマニホールド460の中に出される。
【0062】
図14、17、および、18を参照すると、各電子装置452は、そのそれぞれの供給マニホールド462に、マニホールド462から装置452の冷却液入口478まで延びる供給ラインまたは供給チューブ476を介して流体接続されている。各装置452は、電子装置204に似た構造を有していることが可能である。例えば、各装置452は、発熱電子機器が配置され冷却液中に浸される内部空間を規定するハウジング480を含む。非限定の一実施形態では、各装置452は、ビットコインマイニングASICハードウェアであるAntminerRシステムとして構成されている。各AntminerRシステムは、多数のASICが装着されたプリント回路基板、例えば3つの回路基板を含むことが可能である。ASICは、さらなる放熱のために、これに接着された受動フィンを備えた放熱板を有していてもよい。装置452の幾つかの電子機器482は、各装置452の上部に配置されて、冷却液中に浸されていなくてもよい。装置452用の電源490が、各装置452に隣接して配置されていてもよく、電源490は、空気で冷却されてもよいし、または、液浸により冷却されてもよい。
【0063】
入口478は、ハウジング480の第1の側または前側に配置されており、冷却液をハウジング480の内部空間の中に流入させる。出口開口部または堰484が、ハウジング480の、入口478を有する側の反対側である第2の側または後側に形成されている。冷却液は、装置204の、入口ポート216の反対側に形成された出口開口部または堰484を介して各装置452から出ていく。
図19に最も良好に示されるように、出口開口部484は、外に出ていく冷却液が戻しマニホールド464に収集されるように、戻しマニホールド464に接続されている。戻しマニホールド464はまた、重力戻しマニホールド466に流体接続されており、冷却液を容器468に戻すものである。ハウジング480の上部は開口している(つまり、ハウジング480を密閉する蓋はない)。それ以外は、ハウジング480は、通常、液密であり、装置452が冷却液で出口開口部484の水位まで充填されるようになっている。
【0064】
図20は、電子システム450に類似の、他の実施形態である液浸冷却電子システム500を示している。システム500における、システム450の要素に類似の要素には、類似の参照符号を用いてこれらを参照する。システム500は、システム450において用いられる容器468と比べてより小さい容器468を用いる。この小さい容器468は、ラック454の真下に取り付けられている。加えて、容器468に流体接続された予備容器468aが設けられている。この予備容器は、ラック454全体において装置452を充填および排水する際に冷却液を保持するさらなる容量を提供する。システム500の構成は、
図14のシステム450と比べて、ラック454上の装置452のさらなる列456のための空間的余裕を許容するものである。
【0065】
図21~23は、電子システム450および500に類似の、他の実施形態である液浸冷却電子システム510を示している。システム510の、システム450および500に類似の要素には、類似の参照符号を用いてこれらを参照する。システム510において、各列456は、専用のポンプ470および熱交換器472を含む。
図23を参照すると、各列456は、供給マニホールド462および戻しマニホールド464を含む。供給マニホールド462は、その列の装置452のそれぞれに冷却液を供給し、冷却液は、電子機器を冷却した後、出口開口部484を通って各装置を出ていき、この列の戻しマニホールド464に入る。ポンプ470の入口は、戻しマニホールド464に接続されており、回帰する冷却液をマニホールド464から熱交換器472を介して供給マニホールド462の中に送る。熱交換器472は、空冷式であってもよいし、液体-液体冷却用の二次流体ループが、垂直マニホールド(図示しない)を介して、各熱交換器472に接続されていてもよい。
【0066】
システム510のこの構成は、システム450、500の垂直供給マニホールド、および、戻しマニホールド460、466を必要としない。加えて、システム510の構成は、
図20のシステム500と比べて、ラック454上の装置452のさらなる列456のための空間的余裕を許容する。加えて、各列456において冷却液ループを維持することは、ポンプ470による送出をより効率的に行うことを可能にし、流れを装置452に分配することを容易にする。
【0067】
図24~27は、他の実施形態である液浸冷却電子システム520を示す。システム520は、複数の装置ハウジング522を含む。これらの装置ハウジング522は、ラック524上で、ハウジング522の、垂直方向に離隔された複数の列526から成るアレイ状に支持されている。各列526は、複数のハウジング522を含むものとして示されている。しかしながら、各列526は、単一のハウジング522を含んでいてもよい。加えて、縦列である必要はなく、複数のハウジング522が1つの水平アレイに配置されていてよい。
【0068】
各ハウジング522は、冷却液を収容することを意図した内部空間を規定する液密の底部トレイ528、および、トレイ528の上に配置された取り外し可能な上部カバー530を含む。上部カバー530は、内部空間を閉鎖して、汚染物質がトレイ528内の冷却液に入ることを回避する。
【0069】
図25~27に最も良好に示されるように、各ハウジング522には、複数の電子装置532が配置されている。各装置532は、装置204に類似した構成を有している。具体的には、各装置532は、上述のようなビットコインマイニングASICハードウェアであるAntminerRシステムとして構成されていることが可能である。図示された例では、各ハウジング532に10個の装置532が示されている。しかしながら、より少ないまたは多い数の装置532が、各ハウジング522に配置されていてもよい。
【0070】
各装置532は、発熱電子部品536を収容する内部空間を規定する蓋なしの装置ハウジング534を含む。装置ハウジング534は、冷却液をその中に収容し、少なくともいくつかの電子部品536がその中で浸されるように構成されている。
図26に示されるように、電子部品の幾つかは、
図4~5の分散プレナムハウジング126、130に類似の機能を有する分散プレナムハウジング538によって覆われていることが可能である。冷却液は、各ハウジング534の中に入口ライン540を介して入ることが可能である。入口ライン540は、入ってきた冷却液が、CPUまたはGPUといった発熱部品536の上を流れる時にこの冷却液を拘束する各プレナムハウジング538に接続されている。入ってきた冷却液は、その後、ハウジング534に収容されたバルク冷却液に流入する。冷却液は、各ハウジング534に形成された(
図7の出口開口部220に似た)出口開口部または堰542を介して、各ハウジング534を出ていく。その後、出ていった冷却液は、重力によって、トレイ528の内部空間に収容されたバルク液体の中に落下する。
【0071】
加えて、装置532の少なくともいくつかの電子機器は、ハウジング522の底部トレイ528内に収容されたバルク冷却液に浸される。例えば、
図25に示されるように、各装置532用の電源544が、各装置532の真下に配置されていてもよく、各電源544は、トレイ528内のバルク冷却液中に部分的または完全に浸される。トレイ528内のバルク冷却液は、水位546で維持され、電源544または電子機器が適切に浸されることを確保している。
【0072】
冷却液は、ポンプ548によってシステム520内を循環する。ポンプ548は、その送り出し機能を実施するために、ハウジング522内または任意の好適な位置に配置されることが可能である。ポンプ548は、トレイ528内のバルク冷却液中に配置された入口550を有しており、冷却液を、冷却液を冷却するための熱交換器552に送る。熱交換器552は、その熱交換機能を実施するために、ハウジング552内または任意の好適な位置に位置していてもよい。熱交換器552は、例えば、液体-液体熱交換用の外部冷却液ループ554に接続されていてもよく、または、熱交換器552は、液体-空気熱交換により冷却液を冷却してもよい。ポンプ548の出口は、ハウジング522において、入口ライン540が流体接続されている供給マニホールド556に接続されており、冷却された冷却液を各装置532に戻す。
【0073】
図示されるシステム520では、冷却液は、ハウジング522を出て行かない。冷却液は、装置532の各ハウジング534に入り、その中の電子機器を冷却し、その後、出口開口部または堰542から出て、トレイ528内のバルク冷却液中に重力によって落下する。その後、冷却液は、冷却用の熱交換器に送られ、各装置532のハウジング534に戻る。同時に、トレイ528内のバルク冷却液は、冷却液に接触した、システム520の電源544および他の任意の部材を冷却する。このシステム520の構成では、流体容器と供給および戻しマニホールドとを分離する必要はない。
【0074】
図28は、システム520に類似の、他の実施形態である液浸冷却電子システム560を示している。同様の要素は、同様の参照符号を用いて参照する。システム560において、各列526内のハウジング522は、ポンプと、ポンプ564および熱交換器566を収容する熱交換モジュール562とを共有する。各ハウジング522のトレイ528からの冷却液は、ポンプ564によって熱交換器566に送り出される。熱交換器566は、冷却液を冷却した後、冷却された冷却液を、供給マニホールド556を介して装置532に戻す。熱交換器566は、二次冷却液を運ぶ二次冷却剤ループでの熱交換によって冷却液を冷却するように構成されていてもよいし、または、適切であると判定される場合には、空気を用いた冷却を行ってもよい。
図28の矢印は、冷却液のモジュール562を介した流れを示している。ハウジング522がモジュール562を共有しているので、冷却液は、2つのハウジング522に共有され得る。
【0075】
図29~31は、他の実施形態である液浸冷却電子システム570を示している。本実施形態では、システム570は、複数の電子装置ハウジング572がラック上で好適に支持された高密度のGPUまたはCPUアレイとして構成されている。
図30に示されるように、各ハウジング572は、蓋なしの液密トレイ574を含み、液密トレイ574は、必要に応じて取り外し可能なカバーによって覆われることが可能である。トレイ574は、その中に冷却液を収容するように構成されている。複数のカードまたは回路基板576が、トレイ574内に配置されている。図示された例では、カード576は、互いに垂直および平行に配置されている。カード576は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)または中央処理装置(CPU)として構成されており、各カード576は、その上に設けられた1つまたはそれ以上のプロセッサを有している。
【0076】
供給マニホールド578は、回帰する冷却液を、冷却された後に、各カード576に供給する。供給マニホールド578は、トレイ574の内部空間の外側に配置されたものとして示されている。しかしながら、供給マニホールド578は、他の位置に配置されていてもよい。トレイ574の反対側に、出口開口部または堰580を含む。これを通って、冷却液が、トレイ574から出ていく。
図29に最も良好に示されるように、開口部580を出た冷却液は、重力によって、回帰横樋またはマニホールド582の中に落下する。回帰横樋またはマニホールド582は、冷却液を容器に戻す。この容器において、液体は熱交換器(図示しない)によって冷却され、ポンプ(図示しない)によって戻しマニホールドを介して、ラック上のハウジング572の各列に送り返され、最終的に、トレイ574に戻るために供給マニホールド578に送られる。
【0077】
図30および
図31を参照すると、供給ライン584が、供給マニホールド578からカード576に向かって延びている。各供給ライン584を通る流れは、適した弁586によって制御可能である。冷却を促進するために、カード576上のプロセッサは、分散プレナムハウジング588によって包囲されていてもよい。分散プレナムハウジング588は、トレイ574に収容されたバルク冷却液の中に流れ込む前に、
図31の矢印によって示されるようなプロセッサの上を流れる際の、冷却された回帰冷却液を拘束する。
【0078】
本願に開示した例は、あらゆる点において、例示的であると見なされ、決して限定的であると見なされるべきではない。本発明の範囲は、上述の明細書によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同じ意味および範囲内のあらゆる変形は、本発明に含まれるものである。