(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 19/10 20060101AFI20230529BHJP
F02B 29/04 20060101ALI20230529BHJP
F02B 25/04 20060101ALI20230529BHJP
F02B 19/14 20060101ALI20230529BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
F02B19/10 P
F02B29/04 F
F02B25/04
F02B19/14 A
F02M21/02 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021099337
(22)【出願日】2021-06-15
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】PA 2020 70397
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】519441006
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ、フィリアル・エフ・マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー、ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・アントニー・ラモス・デ・マトス・オフテダル
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522941(JP,A)
【文献】実開平04-100055(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0167357(US,A1)
【文献】実開昭64-036623(JP,U)
【文献】実開昭56-067322(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 1/00-23/10
F02B 29/04
F02B 25/04
F02M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガス供給システムと、掃気空気システムと、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関であって、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは、前記シリンダの上部に配置され、排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中央軸に沿って前記シリンダ内に可動に配置され、前記掃気空気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され且つ圧縮ストローク中に前記シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスを掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、前記機関は、
少なくとも1つの予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、を備えるパイロット予燃室ユニットを更に備え、前記
少なくとも1つの予燃室は、予燃室壁を有
し、前記
パイロット予燃室
ユニットは、前記シリンダ内の前記掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成され、前記
パイロット予燃
室ユニットは、入口と出口とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項2】
前記第1の熱交換流路は、前記予燃室壁の一部と前記パイロット燃料弁ハウジングの一部との両方の内部に延在している、請求項1に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項3】
前記
少なくとも1つの予燃室及び前記パイロット燃料弁ハウジングは、共に連結された2つの別個の要素である、請求項1又は2に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項4】
前記
少なくとも1つの予燃室及び前記パイロット燃料弁ハウジングは、単一の工程で作られた1つの要素として形成されている、請求項1又は2に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項5】
前記少なくとも1つの予燃室は前記シリンダ内に開口する第1の開口部を備え、前記第1の熱交換流路は、前記
少なくとも1つの予燃室の前記第1の開口部に向かって前記熱交換流体を誘導するための第1の部分と、前記
少なくとも1つの予燃室の前記第1の開口部から離れる方へ前記熱交換流体を誘導するための第2の部分と、を備え、前記第1の部分の形状が、前記第2の部分の形状に実質的に対応する、請求項1~4のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項6】
前記パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有し且つ前記パイロット燃料弁ハウジングと前記予燃室壁とを通って延在する、熱交換流体を循環させるための第2の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、請求項5に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項7】
前記パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有し且つ前記パイロット燃料弁ハウジングと前記予燃室壁とを通って延在する、熱交換流体を循環させるための第3の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、請求項6に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項8】
前記第1、第2及び第3の熱交換流路は、回転対称に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項9】
前記機関は、予燃室ハウジングを更に備え、前記
少なくとも1つの予燃室は、前記予燃室ハウジング内に配置され、前記
少なくとも1つの予燃室は、前記予燃室ハウジングに当接し且つ前記
少なくとも1つの予燃室を前記予燃室ハウジングに固定するための少なくとも第1の接触部分及び第2の接触部分を有し、前記予燃室ハウジングは、前記
少なくとも1つの予燃室と前記機関との間の熱交換を制限するための、前記第1の接触部分と前記第2の接触部分との間に形成された第1の絶縁容積を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項10】
前記
少なくとも1つの予燃室及び温度調節流路は、単一の積層造形工程によって製造される、請求項9に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのシリンダを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニットにおいて、前記パイロット予燃室ユニットは、予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、を備え、前記
少なくとも1つの予燃室は、予燃室
壁を有し、前記
パイロット予燃室
ユニットは、前記シリンダ内の掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成され、前記
パイロット予燃
室ユニットは、入口と出口とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、パイロット予燃室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関及び2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃機関は、コンテナ船、ばら積み貨物船、及びタンカのような船舶において推進機関として使用されている。内燃機関からの望ましくない排気ガスの低減が、ますます重要になってきている。
【0003】
望ましくない排気ガスの量を低減させるための効果的な方法が、燃料油、例えば、重油(HFO)から燃料ガスに切り替えることである。燃料ガスは、圧縮ストロークの最後にシリンダ内に噴射され得、ここでこれは、シリンダ内のガスが圧縮されたときに到達する高温、又はパイロット燃料の着火のいずれかによって即座に着火され得る。しかしながら、圧縮ストロークの最後にシリンダ内に燃料ガスを噴射するには、シリンダ内の高圧を克服するために、噴射前に燃料ガスを圧縮するための高圧圧縮機が必要となる。
【0004】
しかしながら、高圧ガス圧縮機は、製造及び維持するのが高価であり、複雑である。高圧圧縮機の必要性を回避するための1つの方法が、シリンダ内の圧力が著しく低い圧縮ストロークの開始時に燃料ガスを噴射するように機関を構成することである。
【0005】
国際公開第2013007863号には、そのような機関が開示されている。燃料ガスの適正な着火を確保するために、パイロット着火予燃室がシリンダカバー内に設けられている。一定量のパイロット燃料油がパイロット着火予燃室内に噴射され、次いで、パイロット着火予燃室内の温度及び圧力により自己着火する。この結果、シリンダの主室内の燃料ガスを着火させるトーチが得られる。
【0006】
しかしながら、予燃室の適正な冷却を確保することは難しい。加えて、冷却流体(cooling fluid)の漏洩を防止し、容易なメンテナンスを可能にすることも困難であり得る。
【0007】
従って、予燃室を冷却する改善された方法を提供することが依然として課題となっている。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガス供給システムと、掃気空気システムと、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関であって、シリンダはシリンダ壁を有し、シリンダカバーは、シリンダの上部に配置され、排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間で中央軸に沿ってシリンダ内に可動に配置され、掃気空気システムは、シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、燃料ガス供給システムは、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され且つ圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を備え、燃料ガスを掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、
機関は、少なくとも1つの予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、を備えるパイロット予燃室ユニットを更に備え、少なくとも1つの予燃室は、予燃室壁を有し、パイロット予燃室ユニットは、シリンダ内の掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成され、パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路を更に備え、入口と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に関する。
【0009】
結果として、入口と出口との両方がパイロット燃料弁ハウジング内に配置されている熱交換流路をパイロット予燃室ユニットに設けることによって、効果的な温度調節と容易なメンテナンスとの両方が実現される。
【0010】
内燃機関は、好ましくは、1シリンダ当たり少なくとも400kWのパワーを有する船舶を推進するための、ユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージャ付き2ストローククロスヘッド型内燃機関である。内燃機関は、内燃機関によって生成された排気ガスによって駆動され且つ掃気空気を圧縮するように構成されたターボチャージャを備え得る。内燃機関は、燃料ガスで動くときのオットーサイクルモードと、代替燃料、例えば、重油又は船舶ディーゼル油で動くときのディーゼルサイクルモードと、を有する複式燃料機関であり得る。このような複式燃料機関は、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用の燃料供給システムを有する。
【0011】
内燃機関は、好ましくは、複数のシリンダ、例えば、4~14個のシリンダを備える。内燃機関は、複数のシリンダのシリンダごとに、シリンダカバーと、排気弁と、ピストンと、燃料ガス弁と、掃気空気入口と、を更に備える。
【0012】
燃料ガス供給システムは、好ましくは、音速状態下で、即ち音速に等しい速度、即ち等速で、1つ以上の燃料ガス弁を介して燃料ガスを噴射するように構成されている。音速状態は、ノズルのど部(断面の最小領域)にわたる圧力降下率(pressure drop ratio)が略2より大きくなるときに達成され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つ以上の燃料ガス弁は、圧縮ストローク中、下死点から0度から160度内で、下死点から0度から130度内で、又は下死点から0度から90度内で、シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成されている。
【0014】
1つ以上の燃料ガス弁は、好ましくは、掃気空気入口の上方の位置において、上死点と下死点との間のシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されている。1つ以上の燃料ガス弁は、シリンダ内に燃料ガスを噴射するために、シリンダ壁内に配置されたノズルを備え得る。(ノズル以外の)燃料ガス弁の他の部分は、シリンダ壁の外側に配置され得る。
【0015】
燃料ガスの例は、液化天然ガス(LNG)、メタン、アンモニア、エタン、及び液化石油ガス(LPG)である。
【0016】
パイロット燃料弁は、少なくとも1つの予燃室内にパイロット燃料を噴射するように構成され得る。少なくとも1つの予燃室は、パイロット燃料が、少なくとも1つの予燃室内の温度及び圧力により自己着火するように構成され得る。代替として、少なくとも1つの予燃室内のパイロット燃料は、スパークプラグ又はレーザ着火装置を備える手段によって着火され得る。パイロット燃料は、重油若しくは船舶ディーゼル油であり得、又はシリンダ内の燃料ガスと掃気空気との混合気を、その量だけ(the amount just)で着火させることができるように正確に測量された、好適な着火性を有するその他任意の燃料であり得る。パイロット燃料システムは、構成要素のサイズが大きいことにより本目的に好適でないことがある、代替燃料のための専用の燃料供給システムに比べて、サイズがはるかに小さく、正確な量のパイロット燃料を噴射するのにより好適であり得る。パイロット燃料弁は、上死点近くの、主チャージ(main charge)の最適な着火に適したクランク角度で、一定量のパイロット油を噴射するように構成され得る。パイロット燃料の着火は、パイロット油の噴射の直後に起こり、主チャージの着火は、パイロット油の着火の直後に起こる。
【0017】
パイロット予燃室ユニットは、シリンダ壁内又はシリンダカバー内に配置され得る。パイロット予燃室ユニットの少なくとも一部が、それが挿入される機関の部分の外に延在し得、例えば、パイロット予燃室ユニットの少なくとも一部が、シリンダ壁又はシリンダカバーの外に延在し得る。第1の熱交換流路の入口と出口との両方が、パイロット予燃室ユニットが挿入される機関の部分の外に延在している、パイロット予燃室ユニットの一部に配置され得る。パイロット予燃室ユニットは、それが挿入される機関の部分に着脱可能に連結され得、メンテナンスを目的としてパイロット予燃室ユニットを取り外すことを可能にする。
【0018】
第1の熱交換流路は、少なくとも1つの予燃室を冷却するように構成された予燃室冷却システムの一部であり得、例えば、予燃室冷却システムは、熱交換流体を第1の温度調節流路に供給する前に、熱交換流体を冷却するように構成され得る。
【0019】
予燃室冷却システムは、熱交換流体の流れ及び/又は熱交換流体の入口温度を制御するように構成された制御ユニットを備え得る。制御ユニットは、機関負荷、機関速度及び/又は掃気空気と燃料ガスとの混合気の空気-燃料等量比λに依存して、熱交換流体の流れ及び/又は熱交換流体の入口温度を制御するように構成され得る。
【0020】
代替として、第1の熱交換流路は、少なくとも1つの予燃室の冷却又は加熱のいずれかを行うように構成された複合型加熱冷却システムの一部であり得、例えば、複合型加熱冷却システムは、熱交換流体を第1の温度調節流路に供給する前に、熱交換流体の冷却又は加熱のいずれかを行うように構成され得る。複合型加熱冷却システムは、完全な機関停止からか、又は重油若しくは船舶ディーゼル油から燃料ガスに切り替わるときのいずれかで、ガススタートアップ手順の一部として少なくとも1つの予燃室を加熱するように構成され得る。複合型加熱冷却システムは、少なくとも1つの予燃室及び/又は周囲の機関部品への損傷を防止するために、ガススタートアップ手順が完了した後、即ち、通常のガス運転(gas operation)中に、少なくとも1つの予燃室を冷却するように構成され得る。
【0021】
熱交換流体の例は、水、空気、及びシステム油である。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の熱交換流路は、予燃室壁の一部とパイロット燃料弁ハウジングの一部との両方の内部に延在している。
【0023】
結果として、予燃室壁の内部に直接的に配置された第1の熱交換流路を有することによって、少なくとも1つの予燃室の温度は、効果的且つ正確に調節され得る。
【0024】
予燃室壁の内部に延在している第1の熱交換流路の部分は、例えば、積層造形技法(additive manufacturing techniques)を使用して、少なくとも1つの予燃室が形成されるのと同時に形成され得る。予燃室壁の内部に延在している第1の熱交換流路の部分及びパイロット燃料弁ハウジングの内部に延在している部分は、2つの別個の工程で形成され、その後連結され得る。代替として、予燃室壁の内部に延在している第1の熱交換流路の部分及びパイロット燃料弁ハウジングの内部に延在している部分は、例えば、積層造形を使用して、単一の工程で形成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの予燃室及びパイロット燃料弁ハウジングは、共に連結された2つの別個の要素である。
【0026】
少なくとも1つの予燃室及びパイロット燃料弁ハウジングは、例えば、ボルト連結又は溶接を使用するなど、任意の好適な連結方法を使用して連結され得る。少なくとも1つの予燃室及びパイロット弁ハウジングは、着脱可能に連結され得るか、又は着脱不能に連結され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの予燃室及びパイロット燃料弁ハウジングは、単一の工程で作られた1つの要素として形成されている。
【0028】
少なくとも1つの予燃室及びパイロット燃料弁ハウジングは、単一の鋳造工程で一緒に鋳造されることによって、又は、積層造形を使用することによって、1つの要素として形成され得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの予燃室はシリンダ内に開口する第1の開口部を備え、第1の熱交換流路は、少なくとも1つの予燃室の第1の開口部に向かって熱交換流体を誘導するための第1の部分と、少なくとも1つの予燃室の第1の開口部から離れる方へ熱交換流体を誘導するための第2の部分と、を備え、第1の部分の形状が、第2の部分の形状に実質的に対応する。
【0030】
結果として、パイロット予燃室ユニットのより均一な温度調節が達成され得る。これは、より効果的な温度調節を確保し、パイロット予燃室ユニット内の張力(tension)を防止し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有し且つパイロット燃料弁ハウジングと予燃室壁とを通って延在する、熱交換流体を循環させるための第2の熱交換流路を更に備え、入口と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている。
【0032】
結果として、複数の温度調節流路を有することによって、より均一な温度調節が達成され得る。これは更に、熱交換流体の必要な流速を低減させ得、これは順に、温度調節流路が、より小さい直径を有し、従って、予燃室のより一層近くに配置されることを可能にし得、より正確な温度調節を可能にする。
【0033】
第2の熱交換流路は、少なくとも1つの予燃室の第1の開口部に向かって熱交換流体を誘導するための第1の部分と、少なくとも1つの予燃室の第1の開口部から離れる方へ熱交換流体を誘導するための第2の部分と、を備え得、第1の部分の形状が、第2の部分の形状に実質的に対応する。
【0034】
いくつかの実施形態では、パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有し且つパイロット燃料弁ハウジングと予燃室壁とを通って延在する、熱交換流体を循環させるための第3の熱交換流路を更に備え、入口と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている。
【0035】
第3の熱交換流路は、少なくとも1つの予燃室の第1の開口部に向かって熱交換流体を誘導するための第1の部分と、少なくとも1つの予燃室の第1の開口部から離れる方へ熱交換流体を誘導するための第2の部分と、を備え得、第1の部分の形状が、第2の部分の形状に実質的に対応する。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1、第2及び第3の熱交換流路は、回転対称に配置されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、機関は、予燃室ハウジングを更に備え、少なくとも1つの予燃室は、予燃室ハウジング内に配置され、少なくとも1つの予燃室は、予燃室ハウジングに当接し且つ少なくとも1つの予燃室を予燃室ハウジングに固定するための少なくとも第1の接触部分及び第2の接触部分を有し、予燃室ハウジングは、少なくとも1つの予燃室と機関との間の熱交換を制限するための、第1の接触部分と第2の接触部分との間に形成された第1の絶縁容積(first insulation volume)を有する。
【0038】
結果として、少なくとも1つの予燃室をそれが挿入される機関の部分から絶縁させることによって、少なくとも1つの予燃室の温度は、より正確に制御され得る。これはまた、少なくとも1つの予燃室に近接した機関の部分が、鋳鉄などのより低い熱耐性を有する材料から作製されることを可能にし得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの予燃室は、予燃室ハウジングに当接するための第3の接触部分を更に有し、予燃室ハウジングは、第2の接触部分と第3の接触部分との間に形成された第2の絶縁容積を更に有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの予燃室及び温度調節流路は、単一の積層造形工程によって製造される。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシリンダは、ベース部材と予燃室部材と有し、予燃室部材は、ベース部材の上部に配置され、シリンダカバーは、予燃室部材の上部に配置され、パイロット予燃室ユニットは、予燃室部材のシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され、第1の開口部は、予燃室部材のシリンダ壁内に形成された開口部を通じてシリンダ内に開口している。
【0042】
これにより、予燃室部材を、例えば、好適な材料を選択することによって、予燃室内の高温及び高圧を取り扱うように特異的に設計することが可能になる。これは更に、予燃室に対してメンテナンスを行うことをより容易にし得る。予燃室部材は、ベース部材とシリンダカバーとの間の、どちらの方にも(towards either)ガスケット配置を有するか又は有さないインサートであり得る。これは、シリンダカバーが設置される前に、ベース部材と共に事前に組立てられ得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、シリンダの予燃室部材は、シリンダのベース部材とは異なる材料から作製される。
【0044】
シリンダのベース部材は、鋳鉄から作製され得、予燃室部材は、鋼から作製され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、予燃室は、第1の軸に沿って延びる流路を介して第1の開口部に連結され、第1の軸と、中央軸に垂直に配置された基準面との間の角度は、0度から85度の間、0度から80度の間、0度から60度の間、0度から45度の間、又は0度から30度の間である。
【0046】
結果として、予燃室からシリンダ内へと延びるトーチは、掃気空気と燃料ガスとの混合気の大部分に直接接触し得る。
【0047】
機関には、より多くの予燃室部材、例えば、シリンダ当たり少なくとも2つ、3つ又は4つの予燃室が設けられ得る。
【0048】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第2の態様に関連して開示されるような少なくとも1つのシリンダを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニットであって、パイロット予燃室ユニットは、少なくとも1つの予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、を備え、少なくとも1つの予燃室は、予燃室壁を有し、パイロット予燃室ユニットは、シリンダ内の掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成され、パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路を更に備え、入口と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、パイロット予燃室ユニットに関する。
【0049】
本発明の異なる態様は、上記及び以下で説明されるような2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関及びパイロット予燃室ユニットを含む、異なる方法で実施され得、上記で説明された態様の少なくとも1つに関連して説明される利益及び利点のうちの1つ以上をそれぞれもたらし、上記で説明された及び/又は従属請求項において開示される態様の少なくとも1つに関連して説明される好ましい実施形態に対応する1つ以上の好ましい実施形態をそれぞれ有する。更に、本明細書において説明される態様のうちの1つに関連して説明される実施形態は、他の態様にも等しく適用され得ることが理解されよう。
【0050】
2つの軸の間、2つの平面の間、又は軸と平面との間には、常に2つの角度、すなわち、小角度V1及び大角度V2が存在することになり、ここで、V2=180度-V1である。本開示では、常に小角度V1が指定されることになる。
【0051】
本発明の上記及び/又は追加の目的、特徴、及び利点は、添付の図を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的且つ非限定的な詳細な説明によって更に解明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による、2ストローク内燃機関の断面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による、ユニフロー掃気を有する2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略的な断面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による、ユニフロー掃気を有する2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略的な断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による、ユニフロー掃気を有する2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略的な断面図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニット114の概略図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニット114の概略図を示す。
【
図7a】
図7aは、本発明の実施形態による、船舶を推進するための、ユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージャ付き2ストローククロスヘッド型内燃機関の断面図を示す。
【
図7b】
図7bは、本発明の実施形態による、船舶を推進するための、ユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージャ付き2ストローククロスヘッド型内燃機関の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の説明では、添付の図面への参照がなされ、これは、本発明がどのように実施され得るかを例示として示す。
【0054】
図1は、本発明の実施形態による、船舶を推進するための、ユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージャ付き2ストローククロスヘッド型内燃機関100の断面図を概略的に示す。機関100は、掃気空気システム111と、排気ガスレシーバ108と、燃料ガス供給システムと、ターボチャージャ109と、を備える。機関は、複数のシリンダ101(断面図には単一のシリンダのみが示されている)を有する。各シリンダ101は、シリンダ壁115を有し、シリンダ101の底部に配置された掃気空気入口102を備える。機関は、シリンダごとに、シリンダカバー112と、ピストン103と、を更に備える。シリンダカバー112は、シリンダ101の上部に配置され、排気弁104を有する。ピストン103は、下死点と上死点との間で中央軸113に沿ってシリンダ内に可動に配置されている。燃料ガス供給システムは、圧縮ストローク中にシリンダ101内に燃料ガスを噴射するように構成された1つ以上の燃料ガス弁105(概略的にのみ図示される)を備え、燃料ガスを掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にする。燃料ガス弁105は、シリンダカバー112と掃気空気入口102との間のシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されている。機関は、シリンダ壁115内に少なくとも部分的に配置されたパイロット予燃室ユニット114(概略的にのみ図示される)を更に備える。パイロット予燃室ユニット114は、予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、を備え、予燃室は、予燃室壁を有し、第1の開口部を通じてシリンダ内に開口する。予燃室は、シリンダ101内の掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成されている。予燃室パイロットユニット114は、入口と出口とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路を更に備える。第1の熱交換流路の入口と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている。掃気空気入口102は、掃気空気システムに流体的に連結されている。ピストン103は、その最も低い位置(下死点)で示される。ピストン103は、クランクシャフト(図示せず)に連結されたピストン棒を有する。燃料ガス弁105は、圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成されており、燃料ガスを掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にする。燃料ガス弁105は、好ましくは、圧縮ストロークの開始において、下死点から0度から130度内で、すなわち、クランクシャフトが下死点にあるその配向から0度から130度の間で回転したときに、シリンダ101内に燃料ガスを噴射するように構成されている。好ましくは、燃料ガス弁105は、燃料ガスが排気弁104及び掃気空気入口102を通って流出することを防止するために、クランクシャフト軸が下死点から数度回転し、それによって、ピストンが掃気空気入口102を通り過ぎた後に燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。掃気空気システム111は、掃気空気レシーバ110と、空気冷却器106と、を備える。
【0055】
機関100は、好ましくは、燃料ガスで動くときのオットーサイクルモードと、代替燃料、例えば、重油又は船舶ディーゼル油で動くときのディーゼルサイクルモードと、を有する複式燃料機関である。このような複式燃料機関は、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用の代替燃料供給システムを有する。従って、オプションで、機関100は、代替燃料供給システムの一部を形成する、シリンダカバー112内に配置された1つ以上の燃料噴射器116を更に備える。機関100が代替燃料で動くとき、燃料噴射器116は、高圧下で圧縮ストロークの最後に代替燃料、例えば、重油を噴射するように構成されている。
【0056】
図2は、本発明の実施形態による、ユニフロー掃気を有する2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略的な断面図を示す。シリンダ101、シリンダカバー112、ピストン103、及び排気弁104が示される。ピストン103は、上死点に配置されている。シリンダ101は、第1のパイロット予燃室ユニット114と第2のパイロット予燃室ユニット116とが設けられたシリンダ壁115を有し、第1及び第2のパイロット予燃室ユニット114、116は、予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、入口および出口を有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路と、をそれぞれ備え、ここで、入口と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている。第1及び第2のパイロット予燃室ユニット114、116の予燃室は、両方がシリンダ壁115内に形成された開口部を通じてシリンダ101内に開口し、これら予燃室は、シリンダ内の掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成されている。
【0057】
図3は、本発明の実施形態による、ユニフロー掃気を有する2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略的な断面図を示す。この部分は、
図2に示される部分に対応するが、シリンダ101が、ベース部材117と、予燃室部材118と、を有し、予燃室部材118がベース部材117の上部に配置され、シリンダカバー112が予燃室部材118の上部に配置されている点が異なる。第1及び第2のパイロット予燃室ユニット114、116は、予燃室部材118のシリンダ壁内に配置されている。これにより、予燃室部材を、例えば、好適な材料を選択することによって、予燃室内の高温及び高圧を取り扱うように特異的に設計することが可能になる。
【0058】
図4は、本発明の実施形態による、ユニフロー掃気を有する2ストローククロスヘッド型内燃機関の一部の概略的な断面図を示す。この部分は、
図2に示される部分に対応するが、第1及び第2のパイロット予燃室ユニット114、116がシリンダカバー112内に配置されている点が異なる。
【0059】
図5は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニット114の概略図を示す。パイロット予燃室ユニット114は、予燃室134と、パイロット燃料弁ハウジング130と、パイロット燃料弁ハウジング130内に配置されたパイロット燃料弁132と、を備える。予燃室134は、予燃室壁と、機関のシリンダ内に開口するための第1の開口部と、を有する。予燃室134は、シリンダ内の掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成されている。予燃室パイロットユニット114は、入口136と出口137とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路133を更に備える。入口136と出口137との両方が、パイロット燃料弁ハウジング130内に配置されている。この実施形態では、予燃室134及びパイロット燃料弁ハウジング130は、共に連結された2つの別個の要素である。予燃室134及びパイロット燃料弁ハウジング130は、例えば、ボルト連結又は溶接を使用してなど、任意の好適な連結方法を使用して連結され得る。
【0060】
図6は、本発明の実施形態による、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニット114の概略図を示す。パイロット予燃室ユニット114は、
図5に関連して開示されたパイロット予燃室ユニットに対応するが、予燃室134及びパイロット燃料弁ハウジング130が、単一の工程で作られた1つの要素として形成されている点が異なる。予燃室134及びパイロット燃料弁ハウジング130は、単一の鋳造工程で一緒に鋳造されることによって、又は、積層造形を使用することによって、1つの要素として形成され得る。
【0061】
図7aは、本発明の実施形態による、船舶を推進するための、ユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージャ付き2ストローククロスヘッド型内燃機関の断面図を示す。機関は、燃料ガスで動くときのオットーサイクルモードと、代替燃料、例えば、重油又は船舶ディーゼル油で動くときのディーゼルサイクルモードと、を有する複式燃料機関である。各シリンダは、シリンダ壁を有し、シリンダの底部に配置された掃気空気入口(図示せず)を備える。機関は、シリンダごとに、シリンダカバー112と、ピストン103と、を更に備える。シリンダカバー112は、シリンダの上部に配置され、排気弁104を有する。ピストン103は、下死点と上死点との間で中央軸に沿ってシリンダ内に可動に配置されている。この図では、ピストン103は、上死点に配置されている。燃料ガス供給システムは、(機関がガスモードにあるとき)圧縮ストローク中にシリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された1つ以上の燃料ガス弁(図示せず)を備え、燃料ガスを掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にする。燃料ガス弁は、シリンダカバー112と掃気空気入口との間のシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されている。機関は、2つのパイロット予燃室ユニット131を更に備え、各パイロット予燃室ユニット131は、予燃室114と、パイロット燃料弁ハウジング130と、パイロット燃料弁ハウジング130内に配置されたパイロット燃料弁132と、を備える。シリンダは、ベース部材117と、予燃室部材118と、を有し、予燃室部材118は、ベース部材117の上部に配置され、シリンダカバー112は、予燃室部材118の上部に配置されている。予燃室114は、予燃室部材118のシリンダ壁内に配置されている。予燃室114は、予燃室部材118のシリンダ壁内に形成された開口部を通じてシリンダ内に開口している。掃気空気入口は、掃気空気システムに流体的に連結されている。ピストン103は、ピストン棒、クロスヘッド及び連結棒を介して、クランクシャフト(図示せず)に連結されている。パイロット燃料弁132は、少なくとも機関がガスモードにあるとき、予燃室114内に少量のパイロット燃料を噴射するように構成されている。パイロット燃料弁132はまた、パイロット燃料弁が動かなくなることを防止するために、機関が純ディーゼルで動くときに、少量のパイロット燃料を予燃室114内に噴射するように構成され得る。予燃室114は、パイロット燃料が、予燃室114内の温度及び圧力により自己着火するように構成されている。パイロット燃料油は、重油、船舶ディーゼル油、又は好適な自己着火性を有するその他任意の燃料であり得る。
【0062】
機関は、代替燃料供給システムの一部を形成する、シリンダカバー112内に配置された1つ以上の燃料噴射器116を更に備える。機関100が代替燃料で動くとき、燃料噴射器116は、高圧下で圧縮ストロークの最後に代替燃料、例えば、重油を噴射するように構成されている。
【0063】
図7bは、
図7aに示された右側のパイロット予燃室ユニット131の拡大図を示す。予燃室パイロットユニット131は、入口136と出口(図示せず)とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路145を備え、ここで、入口136と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング130内に配置されている。予燃室パイロットユニット131は、入口138と出口(図示せず)とを有する、熱交換流体を循環させるための第2の熱交換流路146を更に備え、ここで、入口138と出口との両方が、パイロット燃料弁ハウジング130内に配置されている。第1及び第2の熱交換流路145、146は、予燃室114の壁の一部と、パイロット燃料弁ハウジング130の一部との両方の内部にある。第1及び第2の熱交換流路145、146は、予燃室の第1の開口部144に向かって熱交換流体を誘導するための第1の部分と、予燃室の第1の開口部から離れる方へ熱交換流体を誘導するための第2の部分と、を備える(この断面図では、第1の部分のみが見られる)。第1の部分の形状が、第2の部分の形状に実質的に対応する。この実施形態では、予燃室部材118は、予燃室ハウジングとして機能し、予燃室114は、予燃室ハウジング内に配置され、予燃室114は、予燃室ハウジングに当接し且つ予燃室を予燃室ハウジングに固定するための第1の接触部分143及び第2の接触部分142を有する。この実施形態では、第1の接触部分143と第2の接触部分142との両方が、円環形状を有する。予燃室ハウジングは、予燃室114と機関との間の熱交換を制限するための、第1の接触部分143と第2の接触部分142との間に形成された第1の絶縁容積141(例えば、空気が充填されている)を有する。予燃室は、予燃室ハウジングに当接するための第3の接触部分147を更に有する。この実施形態では、第3の接触部分147は、円環形状を有する。予燃室ハウジングは、第2の接触部分142と第3の接触部分147との間に形成された第2の絶縁容積140を更に有する。
【0064】
いくつかの実施形態が詳細に説明され示されてきたが、本発明はこれらに制限されず、以下の特許請求の範囲において定義される主題の範囲内で、他の方法でも具現化され得る。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、構造的及び機能的な修正が行われ得ることが理解されるべきである。
【0065】
いくつかの手段を列挙するデバイスの請求項では、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化され得る。ある特定の方策が、相互に異なる従属請求項において記載されているか、又は異なる実施形態において説明されているという事実だけで、これらの方策の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0066】
本明細書で使用される場合、「備える/備えている」という用語は、述べられる特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を明記するように捉えられるが、1つ以上のその他の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことが強調されるべきである。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガス供給システムと、掃気空気システムと、を備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関であって、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは、前記シリンダの上部に配置され、排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中央軸に沿って前記シリンダ内に可動に配置され、前記掃気空気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気空気入口を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され且つ圧縮ストローク中に前記シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスを掃気空気と混合することができ、掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、前記機関は、予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、を備えるパイロット予燃室ユニットを更に備え、前記予燃室は、予燃室壁を有し、第1の開口部を通じて前記シリンダ内に開口し、前記予燃室は、前記シリンダ内の前記掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成され、前記予燃室パイロットユニットは、入口と出口とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[2] 前記第1の熱交換流路は、前記予燃室壁の一部と前記パイロット燃料弁ハウジングの一部との両方の内部に延在している、[1]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[3] 前記予燃室及び前記パイロット燃料弁ハウジングは、共に連結された2つの別個の要素である、[1]又は[2]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[4] 前記予燃室及び前記パイロット燃料弁ハウジングは、単一の工程で作られた1つの要素として形成されている、[1]又は[2]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[5] 前記第1の熱交換流路は、前記予燃室の前記第1の開口部に向かって前記熱交換流体を誘導するための第1の部分と、前記予燃室の前記第1の開口部から離れる方へ前記熱交換流体を誘導するための第2の部分と、を備え、前記第1の部分の形状が、前記第2の部分の形状に実質的に対応する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[6] 前記パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有し且つ前記パイロット燃料弁ハウジングと前記予燃室壁とを通って延在する、熱交換流体を循環させるための第2の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、[5]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[7] 前記パイロット予燃室ユニットは、入口と出口とを有し且つ前記パイロット燃料弁ハウジングと前記予燃室壁とを通って延在する、熱交換流体を循環させるための第3の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、[6]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[8] 前記第1、第2及び第3の熱交換流路は、回転対称に配置されている、[1]~[7]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[9] 前記機関は、予燃室ハウジングを更に備え、前記予燃室は、前記予燃室ハウジング内に配置され、前記予燃室は、前記予燃室ハウジングに当接し且つ前記予燃室を前記予燃室ハウジングに固定するための少なくとも第1の接触部分及び第2の接触部分を有し、前記予燃室ハウジングは、前記予燃室と前記機関との間の熱交換を制限するための、前記第1の接触部分と前記第2の接触部分との間に形成された第1の絶縁容積を有する、[1]~[8]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[10] 前記予燃室及び温度調節流路は、単一の積層造形工程によって製造される、[9]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[11] [1]~[10]のいずれか一項に記載の少なくとも1つのシリンダを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のためのパイロット予燃室ユニットにおいて、前記パイロット予燃室ユニットは、予燃室と、パイロット燃料弁ハウジングと、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されたパイロット燃料弁と、を備え、前記予燃室は、予燃室壁と、前記シリンダ内に開口するための第1の開口部と、を有し、前記予燃室は、前記シリンダ内の掃気空気と燃料ガスとの混合気を着火させるように構成され、前記予燃室パイロットユニットは、入口と出口とを有する、熱交換流体を循環させるための第1の熱交換流路を更に備え、前記入口と前記出口との両方が、前記パイロット燃料弁ハウジング内に配置されている、パイロット予燃室ユニット。