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特許7286734カテーテル処置システム及び処置システムにより実行される方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】カテーテル処置システム及び処置システムにより実行される方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20230529BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A61B34/35
A61M25/01
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021178977
(22)【出願日】2021-11-01
(62)【分割の表示】P 2017567426の分割
【原出願日】2016-06-30
(65)【公開番号】P2022019740
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】62/186,832
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】コッテンステット、 ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ファルブ、 ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デイグナン、 ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン、 ペール
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-506621(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0235272(US,A1)
【文献】国際公開第2015/057821(WO,A1)
【文献】特表2011-519678(JP,A)
【文献】米国特許第05437290(US,A)
【文献】特表2018-519087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い医療デバイスを駆動するカテーテル処置システムであって、
ベースと、
長手方向軸を有し、前記ベースに対して前記長手方向軸に沿って可動なロボット機構と、
コントローラとを含み、
前記ロボット機構は、
該ロボット機構を通し配置された前記細長い医療デバイスを駆動する少なくとも1つの駆動機構を含むロボット駆動ベースと、
ロボット機構に対して固定された剛体ガイドであって、前記細長い医療デバイスの長手方向軸から離れる弓状部分を有し、遠位端及び近位端を有する可撓性トラックの少なくとも一部分が当該剛体ガイドの中に配置される、剛体ガイドと、
前記剛体ガイドに対する前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を測定するように構成された位置検出器とを含み、
前記剛体ガイドから延出する前記可撓性トラックの遠位部分を通って前記細長い医療デバイスが延伸し、
前記コントローラは、
前記ベースに対して前記ロボット機構を第1方向に移動させ、
前記ロボット機構に対して前記可撓性トラックを前記第1方向とは反対の第2方向に移動させ、
前記位置検出器により測定される、前記剛体ガイドに対する前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を使用して、前記ベースに対する前記ロボット機構の動きを制御又は制限するように構成される、カテーテル処置システム。
【請求項2】
前記可撓性トラックが複数の反射性セクションを含み、
前記位置検出器は、前記可撓性トラックの前記反射性セクションから反射された光を検出するように構成されると共に、該検出した反射光に基づいて前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を測定するように構成される、請求項1に記載のカテーテル処置システム。
【請求項3】
前記位置検出器は、前記可撓性トラックに近接して及び前記剛体ガイドの開口に近接して、配置されている、請求項2に記載のカテーテル処置システム。
【請求項4】
前記位置検出器は、少なくとも1つの光検出器を含む、請求項2又は3に記載のカテーテル処置システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光検出器は、発光ダイオード(LED)及び光ダイオードを含む、請求項4に記載のカテーテル処置システム。
【請求項6】
前記位置検出器はさらに、少なくとも1つの透明セクションを有するハウジングを含む、請求項4に記載のカテーテル処置システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光検出器は、前記ハウジングの前記透明セクションを通過して前記可撓性トラックへと向かう光を発するように構成されると共に、前記可撓性トラックの前記反射性セクションから反射された光を検出するように構成される、請求項6に記載のカテーテル処置システム。
【請求項8】
前記位置検出器は、並進型の第1の光検出器及び並進型の第2の光検出器を含む、請求項2又は3に記載のカテーテル処置システム。
【請求項9】
前記第1の光検出器及び前記第2の光検出器は、2ビットグレイコードを出力するべく前記位置検出器の中に配置される、請求項8に記載のカテーテル処置システム。
【請求項10】
細長い医療デバイスを駆動するカテーテル処置システムであって、
ベースと、
長手方向軸を有し、前記ベースに対して前記長手方向軸に沿って可動なロボット機構と、
コントローラとを含み、
前記ロボット機構は、
少なくとも1つの駆動機構を含むロボット駆動ベースと、
前記ロボット駆動ベースに操作可能に装着されるカセットであって、該カセットを通して前記細長い医療デバイスが配置されると共に、前記細長い医療デバイスの長手方向軸から離れる弓状経路を有する剛体ガイドが該カセットに画定され、遠位端及び近位端を有する可撓性トラックの少なくとも一部分が前記剛体ガイドの中に配置される、カセットと、
前記カセットに対する前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を測定するように構成された位置検出器とを含み、
前記剛体ガイドから延出する前記可撓性トラックの遠位部分を通って前記細長い医療デバイスが延伸し、
前記コントローラは、
前記ベースに対して前記ロボット機構を第1方向に移動させ、
前記ロボット機構に対して前記可撓性トラックを前記第1方向とは反対の第2方向に移動させ、
前記位置検出器により測定される、前記カセットに対する前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を使用して、前記ベースに対する前記ロボット機構の動きを制御又は制限するように構成される、カテーテル処置システム。
【請求項11】
前記可撓性トラックが複数の反射性セクションを含み、
前記位置検出器は、前記可撓性トラックの前記反射性セクションから反射された光を検出するように構成されると共に、該検出した反射光に基づいて前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を測定するように構成される、請求項10に記載のカテーテル処置システム。
【請求項12】
前記位置検出器は、前記可撓性トラックに近接して及び前記剛体ガイドの開口に近接して、配置されている、請求項10又は11に記載のカテーテル処置システム。
【請求項13】
長手方向軸を有し、ベースに対して前記長手方向軸に沿って可動のロボット機構が、少なくとも1つの駆動機構を含むロボット駆動ベースと、前記ロボット駆動ベースに操作可能に装着されるカセットと、前記ロボット機構に対して固定された剛体ガイドであって可撓性トラックの少なくとも一部分が当該剛体ガイドの中に配置される剛体ガイドと、位置検出器とを含み、前記カセットを通して細長い医療バイスが配置され、前記剛体ガイドは、前記細長い医療デバイスの長手方向軸から離れる弓状部分を有し、前記剛体ガイドから延出する前記可撓性トラックの遠位部分を通って前記細長い医療デバイスが延伸する、カテーテル処置システムのコントローラにより実行される方法であって、
前記ロボット機構を前記ベースに対して第1方向に移動させ、
遠位端及び近位端を有する前記可撓性トラックを前記ロボット機構に対して前記第1方向とは反対の第2方向に移動させ、
前記位置検出器を使用して、前記剛体ガイドに対する前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を測定し、
前記剛体ガイドに対する前記可撓性トラックの前記遠位端の位置に基づいて、前記ベースに対する前記ロボット機構の動きを制御又は制限する、ことを含む、方法。
【請求項14】
前記可撓性トラックに複数の反射性セクションが設けられており、
前記位置検出器により、前記可撓性トラックの前記反射性セクションから反射された光を検出して、該検出した反射光に基づいて前記可撓性トラックの前記遠位端の位置を測定する、ことをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記位置検出器は、前記可撓性トラックに近接して及び前記剛体ガイドの開口に近接して、配置されている、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記位置検出器は、少なくとも1つの光検出器を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの光検出器は、発光ダイオード(LED)及び光ダイオードを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記位置検出器はさらに、少なくとも1つの透明セクションを有するハウジングを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの光検出器は、前記ハウジングの前記透明セクションを通過して前記可撓性トラックへと向かう光を発するように構成されると共に、前記可撓性トラックの前記反射性セクションから反射された光を検出するように構成される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2015年6月30日出願の米国仮出願第62/186,832号の利益を主張する。その全体がここに参照として組み入れられる。
【0002】
本発明は、一般に、診断及び/又は治療処置を行うロボットカテーテルシステムの分野に関し、詳しくは、ガイドカテーテル支持の位置を検出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルが、ガイドワイヤの挿入、ステントの送達、並びにバルーンの送達及び膨張を含む多くの医療処置のために使用される。心臓系及び血管系の疾患の診断及び治療を目的として、カテーテル処置が広く行われている。カテーテル処置は一般に、患者の身体の血管にガイドワイヤを挿入することから始められる。ガイドワイヤはその後、最も一般的には血管系における心臓の血管又は他の箇所の1つの中の所望箇所へとガイドされる。この時点で、カテーテルは、血管及び/又は心臓の中へとガイドワイヤをつたってスライドさせられる。いくつかの処置において、カテーテルには、病変の部位に展開されたときに、当該病変による影響を受ける冠動脈の部分を通る血流を増加させ得るバルーン又はステントが装備される。
【0004】
カテーテルの手動挿入を目的として、医師は、ガイドワイヤの近位端にトルク及び軸方向の押圧力を及ぼし、当該遠位端における先端方向及び軸方向の前進をもたらす。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のようなカテーテル処置を行うときに医師の補助となるべく使用可能なロボットカテーテルシステムが開発されている。医師は、例えば閉塞動脈を広げるべく、冠動脈ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、又はステント送達システムを正確に操舵するロボットカテーテルシステムを使用する。PCIを行うには、様々な細長い医療デバイス(例えばガイドワイヤ、ガイドカテーテル、ワーキングカテーテル)を、冠動脈の解剖学的構造物を通して標的病変へとナビゲートする必要がある。蛍光透視法を使用して冠動脈解剖学的構造物を観測しながら、医師は、細長い医療デバイスを操作して、病変へと向かう適切な血管の中へと入れ、側枝の中へと前進しないようにする。ロボットカテーテル処置システムは、カテーテル処置において使用される様々な細長い医療デバイス(例えばガイドワイヤ、ガイドカテーテル、ワーキングカテーテル)を駆動して当該細長い医療デバイスの線形動及び回転動を与える駆動機構を含む。
【0005】
一タイプのインターベンション処置の間、ガイドカテーテルは、イントロデューサを介して患者の大腿動脈又は橈骨動脈のいずれかに挿入され、当該ガイドカテーテルは、患者の心臓の冠動脈弁口の近くに位置決めされる。処置の間、ガイドカテーテルは、ガイドワイヤ及びバルーンカテーテルのような他の細長い医療デバイスを患者の中へとガイドするべく使用される。PCI処置の間にガイドカテーテルが弁口から抜け出るようになると、操作者は、ロボットによってガイドカテーテルの当該端を配置し直したいと望む場合がある。可撓性トラックのようなガイドカテーテル支持構造物を、動いている間のガイドカテーテルに支持を与えるべく使用することができる。
【0006】
ガイドカテーテル支持の位置を検出するシステム及び方法を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
一つの態様によれば、細長い医療デバイスを駆動するカテーテル処置システムは、ベースと、長手方向軸を有し、当該ベースに対して当該長手方向軸に沿って可動なロボット機構と、コントローラとを含み、ロボット機構は、該ロボット機構を通し配置された細長い医療デバイスを駆動する少なくとも1つの駆動機構を含むロボット駆動ベースと、ロボット機構に対して固定された剛体ガイドであって、細長い医療デバイスの長手方向軸から離れる弓状部分を有し、遠位端及び近位端を有する可撓性トラックの少なくとも一部分が当該剛体ガイドの中に配置される、剛体ガイドと、剛体ガイドに対する可撓性トラックの遠位端の位置を測定するように構成された位置検出器とを含み、剛体ガイドから延出する可撓性トラックの遠位部分を通って細長い医療デバイスが延伸し、コントローラは、ベースに対してロボット機構を第1方向に移動させ、ロボット機構に対して可撓性トラックを第1方向とは反対の第2方向に移動させ、位置検出器により測定される、剛体ガイドに対する可撓性トラックの遠位端の位置を使用して、ベースに対するロボット機構の動きを制御又は制限するように構成される。
別の態様によれば、細長い医療デバイスを駆動するカテーテル処置システムは、ベースと、長手方向軸を有し、当該ベースに対して当該長手方向軸に沿って可動なロボット機構と、コントローラとを含み、ロボット機構は、少なくとも1つの駆動機構を含むロボット駆動ベースと、ロボット駆動ベースに操作可能に装着されるカセットであって、該カセットを通して細長い医療デバイスが配置されると共に、細長い医療デバイスの長手方向軸から離れる弓状経路を有する剛体ガイドがカセットに画定され、遠位端及び近位端を有する可撓性トラックの少なくとも一部分がその剛体ガイドの中に配置される、カセットと、カセットに対する可撓性トラックの遠位端の位置を測定するように構成された位置検出器とを含み、剛体ガイドから延出する可撓性トラックの遠位部分を通って細長い医療デバイスが延伸し、コントローラは、ベースに対してロボット機構を第1方向に移動させ、ロボット機構に対して可撓性トラックを第1方向とは反対の第2方向に移動させ、位置検出器により測定される、カセットに対する可撓性トラックの遠位端の位置を使用して、ベースに対するロボット機構の動きを制御又は制限するように構成される。
別の態様によれば、長手方向軸を有し、ベースに対して当該長手方向軸に沿って可動のロボット機構が、少なくとも1つの駆動機構を含むロボット駆動ベースと、ロボット駆動ベースに操作可能に装着されるカセットと、ロボット機構に対して固定された剛体ガイドであって可撓性トラックの少なくとも一部分が当該剛体ガイドの中に配置される剛体ガイドと、位置検出器とを含み、カセットを通して細長い医療バイスが配置され、剛体ガイドは、細長い医療デバイスの長手方向軸から離れる弓状部分を有し、剛体ガイドから延出する可撓性トラックの遠位部分を通って細長い医療デバイスが延伸する、カテーテル処置システムのコントローラにより実行される方法は、ロボット機構をベースに対して第1方向に移動させ、遠位端及び近位端を有する可撓性トラックをロボット機構に対して第1方向とは反対の第2方向に移動させ、位置検出器を使用して、剛体ガイドに対する可撓性トラックの遠位端の位置を測定し、剛体ガイドに対する可撓性トラックの遠位端の位置に基づいて、ベースに対するロボット機構の動きを制御又は制限する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、添付図面と併せて以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。ここで、参照番号は同様の部分を示す。
図1】一実施形態に係る典型的なカテーテル処置システムの斜視図である。
図2】一実施形態に係るカテーテル処置システムの模式的なブロック図である。
図3】一実施形態に係るカテーテル処置システムのベッドサイドシステムの等角図である。
図4】一実施形態に係る、図3のカテーテル処置システムの、Y字コネクタ支持カバーが上げられた位置にある前部分の等角図である。
図5】一実施形態に係る、図3のカテーテル処置システムの、ガイドカテーテルが延ばされた位置にある前部分の平面図である。
図6】一実施形態に係る、図3のカテーテル処置システムの、可撓性トラックが延ばされた位置にある前部分の等角図である。
図7】一実施形態に係る、可撓性トラックが完全に後退された位置にあるカテーテル処置システムの平面図である。
図8】一実施形態に係る、可撓性トラックが延ばされた位置にあるカテーテル処置システムの平面図である。
図9】一実施形態に係る、ロボット機構が第1の位置にあるカテーテル処置システムの平面図である。
図10】一実施形態に係る、ロボット機構が第2の延ばされた位置にあるカテーテル処置システムの平面図である。
図11】一実施形態に係る、線形駆動を備えたカテーテル処置システムの後方等角図である。
図12】一実施形態に係る、ロボット駆動ベースに対するカセットの組み付け前の位置にあるカテーテル処置システムの斜視図である。
図13】一実施形態に係る、ロボット駆動ベースに取り付けられたカセットの斜視図である。
図14】一実施形態に係る、位置検出器を示すロボット駆動ベース及びカセットの前面断面図である。
図15】一実施形態に係る位置検出器の斜視図である。
図16】一実施形態に係る位置検出器の断面図である。
図17】一実施形態に係るロボット駆動ベース、カセット及び位置検出器の拡大前面断面図である。
図18】一実施形態に係る位置検出器の模式的なブロック図である。
図19】一実施形態に係る可撓性トラック及び剛体ガイドの近位端の断面図である。
図20】一実施形態に係る剛体ガイドの近位端の拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態に係る典型的なカテーテル処置システムの斜視図である。図1において、カテーテル処置システム100は、カテーテルベース医療処置(例えば経皮的インターベンション処置)を行うべく使用することができる。カテーテルベース医療処置は、1つ以上のカテーテルが患者の疾患の診断を補助するべく使用される診断カテーテル処置を含み得る。例えば、一実施形態のカテーテルベース診断処置の間、造影剤がカテーテルを介して1つ以上の冠動脈に注入され、患者の心臓の画像が撮られる。カテーテルベース医療処置はまた、疾患を治療するべくカテーテルが使用されるカテーテルベース治療処置(例えば血管形成術、ステント配置、末梢血管疾患治療等)も含み得る。しかしながら、行われる処置のタイプに基づいて所定の固有経皮的インターベンションデバイス又はコンポーネント(例えば一定タイプのガイドワイヤ、一定タイプのカテーテル等)が選択されることを当業者が認識することに留意するべきである。カテーテル処置システム100は、固有経皮的インターベンションデバイスを当該処置における使用に適合させるわずかな調整により、任意数のカテーテルベース医療処置を行うことができる。詳しくは、ここに記載されるカテーテル処置システム100の複数の実施形態が主に、冠動脈疾患の診断及び/又は治療に関連して説明されるが、カテーテル処置システム100は、カテーテルベース処置を介した診断及び/又は治療に適した任意タイプの疾患又は状態を診断及び/又は治療するべく使用することもできる。
【0010】
カテーテル処置システム100はラボユニット106及びワークステーション116を含む。カテーテル処置システム100は、ロボットカテーテルシステムを含む。これは、患者102に隣接するようにラボユニット106内に配置されたベッドサイドシステム110として示される。患者102はテーブル108上に支持される。一般に、ベッドサイドシステム110には、適切な経皮的インターベンションデバイス又は他のコンポーネント(例えばガイドワイヤ、ガイドカテーテル、バルーンカテーテル及びステント送達システムのようなワーキングカテーテル、造影剤、薬剤、診断カテーテル等)が装備され、ユーザは、ワークステーション116に配置された制御部のような様々な制御部を動作させることにより、ロボットシステムを介したカテーテルベース医療処置を行うことができる。ベッドサイドシステム110は、ここに記載の機能をベッドサイドシステム110に与える任意数の及び/又は任意の組み合わせのコンポーネントを含み得る。ベッドサイドシステム110は、とりわけ、患者102の動脈に設置されたガイドカテーテルの中にガイドワイヤを自動的に供給するべく使用されるロボットアーム112により支持されたカセット114を含む。
【0011】
ベッドサイドシステム110は、ワークステーション116と通信することにより、ワークステーション116のユーザ入力により生成された信号が、ベッドサイドシステム110の様々な機能を制御するべくベッドサイドシステム110に送信される。ベッドサイドシステム110はまた、フィードバック信号(例えば動作条件、エラーコード等)をワークステーション116に与えることもできる。ベッドサイドシステム110は、ワークステーション116及びベッドサイドシステム110間で行われる通信を許容することができる無線接続、ケーブル接続、又は任意の他の手段とすることができる通信リンク140(図2に示す)を介してワークステーション116に接続され得る。
【0012】
ワークステーション116は、カテーテル処置システム100の様々なコンポーネント又はシステムを動作させるユーザ入力を受信するように構成されたユーザインタフェイス126を含む。ユーザインタフェイス126は、カテーテルベース医療処置を行うべくベッドサイドシステム110を制御することをユーザに許容する制御部118を含む。例えば、制御部118は、ベッドサイドシステム110に装備され得る様々な経皮的インターベンションデバイスを使用して様々なタスクを行うこと(例えばガイドワイヤの前進、後退若しくは回転、ワーキングカテーテルの前進、後退若しくは回転、ガイドカテーテルの前進、後退若しくは回転、カテーテルに配置されたバルーンの膨張若しくは収縮、ステントの位置決め及び/又は展開、造影剤のカテーテルへの注入、薬剤のカテーテルへの注入、又はカテーテルベース医療処置の一部として行われ得る任意の他の機能を果たすこと)をベッドサイドシステム110にさせるべく構成することができる。カセット114は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドシステム110のコンポーネントの動き(例えば軸方向動、回転動)をもたらす様々な駆動機構を含む。
【0013】
一実施形態において、制御部118は、タッチスクリーン124、1つ以上のジョイスティック128、及びボタン130、132を含む。ジョイスティック128は、例えばガイドワイヤ、ガイドカテーテル又はワーキングカテーテルのような様々なコンポーネント及び経皮的インターベンションデバイスを前進、後退又は回転させるように構成することができる。ボタン130、132は、例えば緊急停止ボタン及び乗算器ボタンを含み得る。緊急停止ボタンが押されると、継電器にトリガがかかり、ベッドサイドシステム110への電力供給が切断される。乗算器ボタンは、関連付けられたコンポーネントが制御部118の操作に応答して動く速度を増加又は減少させるべく作用する。一実施形態において、制御部118は、タッチスクリーン124に表示された1つ以上の制御部又はアイコン(図示せず)を含み得る。これらは、アクティブになるとカテーテル処置システム100のコンポーネントの動作を引き起こす。制御部118はまた、バルーン及び/又はステントを膨張又は収縮させるように構成されたバルーン又はステント制御部も含み得る。各制御部は、固有コンポーネントを制御することが望ましい1つ以上のボタン、ジョイスティック、タッチスクリーン等を含み得る。当該固有コンポーネントは、当該制御に専用とされる。加えて、タッチスクリーン124は、制御部118の様々な部分に、又はカテーテル処置システム100の様々なコンポーネントに関連する1つ以上のアイコン(図示せず)を表示することができる。
【0014】
ユーザインタフェイス126は、第1のモニタ又はディスプレイ120、及び第2のモニタ又はディスプレイ122を含み得る。第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、情報又は患者固有データを、ワークステーション116に配置されたユーザに表示するように構成される。例えば第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、画像データ(例えばX線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像等)、血行動態データ(例えば血圧、心拍数等)、患者記録情報(例えば治療歴、年齢、体重等)を表示するように構成することができる。加えて、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、処置固有情報(例えば処置の持続時間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送達される薬剤又は造影剤の体積等)を表示するように構成することができる。第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、ガイドカテーテルの位置に関する情報を表示するように構成することができる。さらに、第1のモニタ120及び第2のモニタ122は、以下に記載の制御器134(図2に示す)に関連付けられた機能を与えるための情報を表示するように構成することができる。他実施形態において、ユーザインタフェイス126は、ここに記載されるディスプレイコンポーネント及び/又はタッチスクリーンコンポーネントの1つ以上を表示するのに十分なサイズの単一のスクリーンを含む。
【0015】
カテーテル処置システム100はまた、ラボユニット106の中に配置されたイメージングシステム104も含む。イメージングシステム104は、カテーテルベース医療処置と併せて使用可能な任意の医療イメージングシステムであってよい(例えば非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波等)。典型的な実施形態において、イメージングシステム104は、ワークステーション116と通信するデジタルX線イメージングデバイスである。一実施形態において、イメージングシステム104は、患者102に対する異なる角度位置での画像(例えば矢状図、尾側図、前方後方図等)を取得するべくイメージングシステム104が患者102まわりに部分的又は完全に回転することを許容するC字アーム(図示せず)を含む。
【0016】
イメージングシステム104は、特定の処置の間、患者102の適切な領域のX線画像を撮るように構成することができる。例えば、イメージングシステム104は、心臓の状態を診断するべく心臓の1つ以上のX線画像を撮るように構成することができる。イメージングシステム104はまた、ワークステーション116のユーザがガイドワイヤ、ガイドカテーテル、ステント等を処置の間に適切に位置決めするのを補助するべく、カテーテルベース医療処置の間に1つ以上のX線画像(例えばリアルタイム画像)を撮るように構成することもできる。単数又は複数の画像が、第1のモニタ120及び/又は第2のモニタ122に表示され得る。詳しくは、例えばガイドカテーテルを適切な位置に正確に動かすことをユーザに許容するべく、複数の画像が第1のモニタ120及び/又は第2のモニタ122に表示され得る。
【0017】
図2を参照すると、典型的な実施形態に係るカテーテル処置システム100のブロック図が示される。カテーテル処置システム100は、制御器134として示される制御システムを含み得る。制御器134は、ワークステーション116の一部としてよい。制御器134は一般に、ここに記載の様々な機能をカテーテル処置システム100に与えるのに適した電子制御ユニットとしてよい。例えば、制御器134は、埋め込みシステム、専用回路、ここに記載の機能を備えるようにプログラムされた汎用システム等としてよい。制御器134は、1つ以上のベッドサイドシステム110、制御部118、第1及び第2のモニタ120及び122、イメージングシステム104、並びに患者センサ136(例えば心電図(「ECG」)デバイス、脳波図(「EEG」)デバイス、血圧モニタ、体温モニタ、心拍数モニタ、呼吸器モニタ等)と通信する。様々な実施形態において、制御器134は、ユーザの制御部118との相互作用に基づいて、及び/又は制御器134にアクセス可能な情報に基づいて制御信号を生成するように構成される。その結果、カテーテル処置システム100を使用して医療処置を行うことができる。加えて、制御器134は、病院データ管理システム又は病院ネットワーク142、及び1つ以上の付加的出力デバイス138(例えばプリンタ、ディスクドライブ、cd/dvdライター等)と通信することができる。
【0018】
カテーテル処置システム100の様々なコンポーネント間の通信は、通信リンク140を介して達成することができる。通信リンク140は、専用の有線又は無線接続としてよい。通信リンク140はまた、ネットワーク経由の通信を代表してもよい。カテーテル処置システム100は、明示的には示されない他のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成することができる。例えば、カテーテル処置システム100は、IVUSシステム、画像処理エンジン、データ格納及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又はロギングシステム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテル処置システム100のアクセス又は使用を制限するシステム等を含み得る。
【0019】
上述のように、制御器134は、ベッドサイドシステム110と通信して、経皮的インターベンションデバイス(例えばガイドワイヤ、カテーテル等)を駆動するべく使用されるモータ及び駆動機構の動作を制御する制御信号をベッドサイドシステム110に与えることができる。ベッドサイドシステム110は、例えば、ガイドワイヤの前進及び/又は後退を与えるガイドワイヤ軸方向駆動機構、ワーキングカテーテルの前進及び/又は後退を与えるワーキングカテーテル軸方向駆動機構、並びにガイドワイヤをその長手方向軸まわりに回転させるように構成されたガイドワイヤ回転駆動機構を含み得る。一実施形態において、様々な駆動機構はカセット114(図1に示す)に収容される。
【0020】
図3は、一実施形態に係るカテーテル処置システムのベッドサイドシステムの等角図である。図3において、ベッドサイドシステム210は、ロボットにより細長い医療デバイスを動かすべく使用され得るロボット機構212を含む。ロボット機構212はベース214に対して可動である。ロボット機構212は、ベース214に対して可動なロボット駆動ベース220と、ロボット駆動ベース220に動作可能に固定されるカセット222とを含む。一実施形態において、ベース214は、ユーザがロボット機構212を患者の近くに位置決めすることが可能な関節アーム224に固定される。一実施形態において、ベース214は、関節アーム224の遠位部分である。関節アーム224は、レールクランプ又はベッドクランプ226により患者ベッドに固定される。この態様において、ベース214は患者ベッドに固定される。関節アーム224を操作することにより、ベース214は、患者ベッドに横になる患者に対する固定箇所に配置される。関節アームのアームは、ひとたびロボット機構212の所望配置が患者に対して設定されると固定することができる。
【0021】
ここで使用される、遠位方向とは患者に向かう方向であり、近位方向とは患者から離れる方向である。用語「上」及び「上側」は、重力の方向から離れる一般的な方向を言及し、用語「底」、「下側」及び「下」は重力の一般的な方向を言及する。用語「前」とは、ロボット機構の、ユーザに面して関節アームから離れる側を言及する。用語「後」とは、ロボット機構の、関節アームに最も近い側を言及する。用語「内側」とは、一特徴部の内側部分を言及する。用語「外側」とは、一特徴部の外側部分を言及する。
【0022】
ベッドサイドシステム210はまた、非線形部分を有する剛体ガイド218に沿って可動な可撓性トラック216を含む。可撓性トラック216は、近位端228及び遠位端230を含む。可撓性トラック216は、ガイドカテーテルのような細長い医療デバイスを支持するので、ガイドカテーテルは、座屈することなく患者の中へと前進させることができる。一実施形態において、カセット222は、剛体ガイド218を画定する構造物を含む。他実施形態において、ベース214は単独で又はカセット222との組み合わせで、剛体ガイド218を画定する構造物を含む。
【0023】
図4及び図5を参照すると、ガイドカテーテル238のような細長い医療デバイスが、カセット222を介してロボット機構212に動作可能に固定される。ガイドカテーテル238は、近位端240、及び対向遠位端242を含む。一実施形態において、ガイドカテーテル238の近位端240は、Y字コネクタ244及びY字コネクタ係合機構246に動作可能に固定することができる。Y字コネクタ244は、例えば、Y字コネクタ係合機構246を介してカセット222に固定される止血バルブとしてよい。Y字コネクタ係合機構246は、カセット222の一部となるY字コネクタベース248と、蓋250及び支持部材254を含むエンクロージャ部材252とを含む。Y字コネクタベース248は、カセット222に配置されたガイドカテーテル駆動機構(図示せず)を含み得る。これは、ロボット駆動ベース220に動作可能に接続される。ガイドカテーテル駆動機構は、制御器(図2に示される制御器134のような)により与えられる指令に基づいて、その長手方向軸に沿って動作可能にガイドカテーテル238に係合し及びこれを回転させる駆動機構を含む。
【0024】
図5を参照すると、ガイドカテーテル238は、その長手方向軸256に沿った線形位置をカセット222内で、遠位のカセット222の少なくとも所定距離に対し、維持する。一実施形態において、長手方向軸256はカセット222の長手方向軸に対応する。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のような医療処置の間、ガイドカテーテル238は、ガイドワイヤ及びバルーンステントカテーテルのような他の細長い医療デバイスを患者の中へとガイドし、例えば探索的診断を行い、又は患者の血管系内の狭窄を処置するべく使用される。一つのそのような処置において、ガイドカテーテル238の遠位端242は、患者の心臓の弁口内に載置される。ロボット機構212は、ガイドワイヤ、及び/又はバルーンステントカテーテルのようなワーキングカテーテルを患者の中及び外に駆動する。ガイドワイヤ及びワーキングカテーテルは、ガイドカテーテル238内においてロボット機構212の遠位端と患者との間で駆動される。一実施形態において、長手方向軸256は軸3であり、そのまわりにおいてカセット222がガイドワイヤの回転をもたらし、カセット222がその長手方向軸に沿ってガイドワイヤを駆動し、その長手方向軸に沿ってバルーンステントカテーテルのようなワーキングカテーテルを駆動する。
【0025】
図5及び図6を参照すると、カラー258が、剛体ガイド218の遠位端260に形成される。可撓性トラック216の終端230が、カセット222に解放可能に接続されたシースクリップ232に固定される。剛体ガイド218は、内側チャネルを含む。可撓性トラック216は、内側チャネルを通って剛体ガイド218に対して動く。可撓性トラック216は、可撓性トラック216の終端遠位端230の近くに配置された開口264を含む。可撓性トラック216の遠位端230がカラー258の近くに位置決めされると、開口264は、カラー258から、剛体ガイド218が長手方向軸256から離れる弓状経路を開始する領域に向かうように延びる。一実施形態において、弓状経路は、当該弓状経路に沿った少なくとも1つの変曲点を有するS字曲線を形成する。開口264は、可撓性トラック216の中空キャビティの中へと配置されるガイドカテーテル238のための経路を与える。開口264は、可撓性トラック216の実質全長に延びるスリット266に向かって先細になる。一実施形態において、スリット266は、ロボットカテーテルシステムの意図された動作全体にわたってガイドカテーテル238が可撓性トラック216の内側部分に入り及びそこから出ることができるのに十分な距離だけ、開口264から延びる。
【0026】
図3を参照すると、可撓性トラック216は、可撓性トラック216の遠位端230を剛体ガイド218の近位開口234へと、可撓性トラック216の遠位端230が剛体ガイド218のカラー258を超えて延びるようになるまでフィードさせることにより、最初に剛体ガイド218の中に位置決めされる。可撓性トラック216の遠位端230は、シースクリップ232に動作可能に接続される。剛体ガイドは、近位開口234から始まる線形部分、及び非線形部分を含む。一実施形態において、非線形部分は、少なくとも1つの変曲点を有する弓状部分である。図6は、可撓性トラック216の、カラー258を超えて延びる一部分を示す。可撓性トラック216は、剛体ガイド材料の弾性係数よりも小さい弾性係数を有する可撓性材料から形成されるので、可撓性トラック216は、剛体ガイド218により画定されたチャネルの曲がった非線形部分に沿って動く。
【0027】
図7及び図8を参照すると、処置を行うべく、シースクリップ232は、カセット222から離れるように、シースクリップ232の遠位端262が患者に近接するまで長手方向軸256に沿った方向に引っ張られる。一実施形態において、イントロデューサ(図示せず)が、シースクリップ232の遠位端262に固定される。イントロデューサは、当該イントロデューサを患者に確実に位置決めするべく患者に固定されるデバイスである。これにより、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ及び/又はワーキングカテーテルのような細長い医療デバイスの、患者にとって最小の組織損傷で当該患者に挿入及び除去することが許容される。ひとたび操作者が、イントロデューサが患者に近づくようにシースクリップ232及び付随の可撓性トラック216を患者に向けて引っ張ると、可撓性トラック216は、ロック用クランプ236により一定位置にロックされる。ロック用クランプ236は、可撓性トラック216をベース214に固定する。可撓性トラック216の一部分が、患者が依然として患者ベッド上に横になる程度まで患者ベッド及び患者に対する固定位置に存在する。
【0028】
図11を参照すると、ロボット機構212は線形駆動機構276を含む。図11に示される線形駆動機構276は、遠隔ワークステーション(例えば図1に示されるワークステーション116)を介してユーザがロボットにより制御する線形スライドを含む。線形駆動機構276は、ロボット機構212を長手方向軸256に沿って駆動する。剛体ガイド218がロボット機構212に対して固定されているので、剛体ガイド218及びロボット機構212は、ロボット機構212が長手方向軸256に沿って動くにときに可撓性トラック216に対して動く。
【0029】
図7及び図8を参照すると、可撓性トラック215の動作及び、剛体ガイド218に対する移動が説明される。図7を参照すると、可撓性トラック216が、上述したようにガイドカテーテル238がシースクリップ232及び可撓性トラック開口264の中に位置決めされた第1の設置位置にあることが示される。図8を参照すると、ひとたびシースクリップ232がカセット222から解放され、シースクリップ232、及び可撓性トラック216の遠位端230が、ユーザによりカセット222から離れるように引っ張られる。その結果、シースクリップ232の遠位端262が、経皮的インターベンションが行われる患者の侵入ポイント近くに存在する。ロック用クランプ236が、可撓性トラック216の一部分を動作可能に締め付け、可撓性トラック216がベース214に対して固定される。
【0030】
図7及び図8を参照すると、剛体ガイド218の弓状部分内に位置決めされた可撓性トラック216の部分が、ほぼ長手方向軸256に沿った方向に剛体ガイド218の遠位端262から外へ引っ張られる。同様に、剛体ガイド218の弓状部分の外側にあってその中には配置されなかった可撓性トラック216の部分268が、剛体ガイド218の弓状部分の中へと引っ張られる。可撓性トラック216の終端遠位端230が患者に向かうようにどれほどの距離引っ張られるのかに応じて、可撓性トラック216の部分268は、剛体ガイドの弓状部分の中に入り、そこから延出する。別の言い方をすれば、可撓性トラック216は、ガイドカテーテルシステムの動作によって変化するおおよそ3つの領域を有する。まず、可撓性トラック216の近位端228から剛体ガイド218の弓状部分の近位端270への可撓性トラック部分を含む近位領域である。可撓性トラック216は、剛体ガイド218の弓状部分の近位端270と、カラー258に近い剛体ガイド218の弓状部分の遠位端272との間に配置された第2の領域を含む。可撓性トラック216は、剛体ガイド218のカラー258から、ほぼ長手方向軸256に沿ったベクトルにより画定される方向に延びる第3の領域を含む。ここで、ベクトルは、Y字コネクタから始まりカラー258に向かう方向に延びる。可撓性トラック216の第1の領域及び第2の領域は、上述のように、長手方向軸256からオフセットされており、長手方向軸256と整列することはない。可撓性トラック216の第3の領域は、可撓性トラック216が剛体ガイド218のカラー258から出るとき、ほぼ長手方向軸256と同軸である。
【0031】
一タイプのインターベンション処置の間、ガイドカテーテル238は、イントロデューサを通して患者の大腿動脈に挿入され、患者の心臓の冠動脈弁口近くに位置決めされる。操作者は、ガイドカテーテルの遠位端をロボットにより配置し直したいと望むかもしれない。図9及び図10を参照すると、ガイドカテーテル238の遠位端の制御、並びにロボット機構212及び剛体ガイド218の可撓性トラック216に対する動きが説明される。図9を参照すると、ガイドカテーテル238は、ガイドカテーテル238の終端が、シースクリップ232の終端遠位端262から離れる方向に延びるように、シースクリップ232の遠位端262を超えて延びる遠位部分を有する。上述のように、ガイドカテーテル238の遠位端は、患者の弁口近くに配置することができる。ガイドカテーテル238の遠位端のロボット制御は、線形駆動機構276によるベース214及び可撓性トラック216に対するロボット機構212の動きによって達成される。ガイドカテーテル238は、カセット222からシースクリップ232までの可撓性トラック216のチャネルの中に配置される。
【0032】
PCI処置の間にガイドカテーテルが弁口から抜け出るようになると、ロボット機構212を患者に向けてロボット的に動かすことにより、ガイドカテーテル238の遠位端を、患者の弁口に戻るように延ばすことができる。これを行うとき、ガイドカテーテル238の遠位端は患者に向かうように動かされ、一例では、ガイドカテーテルの遠位端が患者の弁口に再挿入され又は載置される。ロボット機構212が長手方向軸256に沿って動かされると、剛体ガイド218は、可撓性トラック216に対して動かされる。剛体ガイド218の弓状セクションの中に配置される可撓性トラック216の部分は、ロボット機構212及び剛体ガイド218が動くにつれて変化する。剛体ガイドの中に配置される可撓性トラック216の部分は、ロボット機構212が動いている方向に応じて、長手方向軸256に向かうように及び長手方向軸256から離れるように動く。ガイドカテーテル238は、剛体ガイド218の弓状部分の中に入り及び当該部分から出るように動いている可撓性トラック216のセクションの中に入り又は当該セクションから出るように動く。この態様において、カセット222及びシースクリップ232間にあるガイドカテーテル238の部分は常に、可撓性トラック216のチャネル内に配置される。この態様において、ガイドカテーテル238は、経皮的インターベンション処置の間、可撓性トラック216内で、座屈なしに、又は他の望ましくない動きをもたらすことなく、操作することができる。
【0033】
図9及び図10を参照すると、剛体ガイド218に対する可撓性トラック216の位置は、可撓性トラック216上の1つのセクションAに関連付けられるように記載される。一例において、可撓性トラック216上のセクションAは、剛体ガイド218のカラー258よりも遠位に配置される。操作者がガイドカテーテル238をさらに、カラー258から離れる方向において患者の中に又は患者に向かうように挿入しようと決定すると、長手方向軸256に沿ってロボット機構212を遠位に駆動する遠隔ワークステーションにおいて、線形駆動機構276をアクティブにすることによってユーザが入力デバイスを操作する。ガイドカテーテル238の近位端は、カセット222の中に長手方向に固定されるので、カセット222を含むロボット機構212が、線形駆動機構276により、ベース214及び可撓性トラック216に対して、患者に向かう方向に動かされると、ガイドカテーテル238は長手方向軸256に沿って遠位方向に動く。その結果、ガイドカテーテル238の遠位端は、患者に向かって及び/又は患者の中へと動く。
【0034】
ロボット機構212が長手方向軸256に沿って動かされると、可撓性トラック216のセクションAは、カラー258を通りかつ剛体ガイドの弓状部分に沿って、可撓性トラック216のセクションAが剛体ガイド218の近位端に隣接するまで剛体ガイド218の弓状部分の中へと動く。この態様において、可撓性トラック216の遠位端230は、不変位置のままであるが、可撓性トラック216のセクションAが長手方向軸256から外に出て又はオフセットされるように動かされる。セクションAが、剛体ガイド218により画定される弓状チャネルの中へと動くと、ガイドカテーテル238は、カラー258よりも近位にある係合ゾーンに隣接するスリットを通って可撓性トラック216のチャネル又は中空ルーメンに入る。この態様において、可撓性トラック216は、ガイドカテーテル238の遠位端が患者に向かうように及び患者から離れるように動かされると、カラー258及び患者間にあるガイドカテーテル238のための連続的な支持及びガイダンスを与える。
【0035】
同様に、操作者がガイドカテーテル238の遠位端を患者の中から後退させたいと望む場合、ユーザは、遠隔ワークステーションを介して、患者から離れる方向にロボット機構212を動かすように線形駆動機構276に指令を与える。このように、可撓性トラック216のセクションAは、剛体ガイドの弓状部分の近位端に入り、セクションAが剛体ガイド218の遠位端から出るまで剛体ガイド218のチャネル内をガイドされる。ガイドカテーテル238はセクションAにおいてスリットに入る。別の言い方をすれば、ガイドカテーテル238の一部分が、可撓性トラック216のセクションAにおける同心円内に配置されたスリットの当該部分を介して可撓性トラック216に入る。なお、ロボット機構が患者に向かうように及び患者から離れるように動かされるとき可撓性トラックの複数のセクションが、剛体ガイドの異なる領域に位置決めされるにもかかわらず、可撓性トラックの近位端及び遠位端は、ロボット機構が長手方向軸に沿って動かされるとき固定箇所のままである。
【0036】
ロボット機構212はまた、可撓性トラック216の遠位端230が、長手方向軸256に沿ってカセット222から離れるように引っ張られた距離(例えばカラー258からの距離)を決定するべく位置センサを含んでよい。可撓性トラック216の遠位端230に関する位置情報は、ロボット機構212が長手方向軸256に沿って患者に向かうように動く距離を制御又は制限するべく使用することができる。図12は、一実施形態に係る、カセットがロボット駆動ベースに対する組み付け前の位置にあるベッドサイドシステムの分解図である。ロボット機構312の前面はおおよそ396で指定してあり、ロボット機構312の後面はおおよそ398で指定してある。位置検出器380は、ロボット機構312のロボット駆動ベース320に結合される。位置検出器380は、ロボット駆動ベース320の近位端394に配置される。位置検出器380は、カセット322がロボット駆動ベース320に取り付けられると、可撓性トラック316の近位部分の下方に載置されるように、ロボット駆動ベース320に位置決めされる。図13は、ロボット駆動ベース320に取り付けられて位置検出器380上に配置されたカセット322を示す。図14は、一実施形態に係る、位置検出器を示すロボット駆動ベース及びカセットの前面断面図である。図14において、位置検出器380の前面断面図が示される。位置検出器380は、ロボット駆動ベース320に取り付けられ、可撓性トラック316の下方に配置される。上述のように、可撓性トラック316が剛体ガイド318を貫通する。可撓性トラックが患者に向かうように又は患者から離れるように動かされると、位置検出器380は、可撓性トラック316の遠位端230(図8に示す)のカセット322からの変位量を決定するように構成される。
【0037】
位置検出器380は、例えば光検出器としてよい。したがって、可撓性トラックは、反射性セクション及び非反射性セクションのパターンを含み得る。図13を参照すると、可撓性トラック316は、可撓性トラック316の少なくとも近位部分に反射性ライン又はストライプ395を含む。反射性ライン395は、非反射性ライン又はセクション397によって分離される。反射性ラインは、例えば、半透明材料から形成されるトラック上に白色ラインを印刷することにより、可撓性トラック上に作ることができる。他例において、可撓性トラックは、高反射性の不透明表面(例えば二酸化チタンの表面)を有し、非反射性ラインがレーザエッチングにより加えられる。他実施形態において、可撓性トラック316は半透明の反射性材料から形成され、非反射性のライン又はセクションを、レーザを使用して可撓性トラック316にエッチングすることができる。他実施形態において、可撓性トラック316は非反射性材料から形成され、反射性ラインが、例えば印刷又はエッチングプロセスによって加えることもできる。一実施形態において、反射性ライン395は、可撓性トラック316の近位部分に沿って互いから均等に離間されるので、反射性ライン幅(tr)は非反射性ライン幅(ts)と等しい。この実施形態において、位置検出器380の結果的な分解能は、反射性ライン幅及び非反射性ライン幅が2Bに等しい(すなわちtr=ts=2B)Bユニットである。図14を参照すると、位置検出器380は、可撓性トラック316が位置検出器380の上を通過するときに反射性ストライプ又はライン395から反射された光を検出する光センサとして構成される。一実施形態において、反射光は、剛体ガイドの近位端内に反射性標的を与えることによって強めることができる。図19は、一実施形態に係る可撓性トラックの近位端、及び剛体ガイドの断面図である。図19において、反射性標的381が、剛体ガイド318及び可撓性トラック316の中に、及び位置検出器380の上に、配置されるように示される。反射性標的381は、反射性材料から形成される。可撓性トラック316は、例えば、レーザエッチングされた半透明トラックであり、トラック316が位置検出器380の上を通過するときに反射性標的を通過する。図20は、一実施形態に係る剛体ガイドの近位端の拡大上面図である。図20において、反射性標的381は、タブ399を使用して剛体ガイド318に取り付けることができる。上述のように、可撓性トラック316は、長さ方向スリット266(図6に示す)を含む。スリットは、可撓性トラックが患者に向かうように及び患者から離れるように動くと、タブ399の上でスライドする。
【0038】
図15及び図16は、一実施形態に係る典型的な位置検出器アセンブリを例示する。位置検出器380は、ハウジング384、窓及び/又はスリット382、並びにリードスイッチ386を含む。一実施形態において、窓及び/又はスリットは、Bユニット以下の幅を有する。窓382は、例えば、反射防止コーティングありの又はなしのガラスのような透明材料を含む。様々な実施形態において、位置検出器は1つ以上の窓382を含み得る。位置検出器380は、ハウジング384の中に配置された少なくとも1つの光検出器を含む。図16は、一実施形態に係る位置検出器の断面図である。光検出器は、窓382の下方においてハウジング384の中に配置された発光ダイオード(LED)388及び光ダイオード390を含む。LED388は、LEDからの光が可撓性トラック316へと向かって窓382を通過するように位置決めされる。光ダイオード390は、可撓性トラック316の反射性ラインから反射された光を検出できるように位置決めされる。LED388及び光ダイオード390は、回路基板(例えばプリント回路基板)392に結合される。1つの光検出器(すなわちLED388及び光ダイオード382の対)が図16に示されるが、様々な実施形態において、位置検出器380は1つを超える光検出器を含んでよい。図17は、一実施形態に係る位置検出器を備えたロボット機構の拡大断面図である。図17において、位置検出器370は4つの光検出器を含む。位置検出器380の断面図は、4つの光検出器、すなわち第1の光検出器383、第2の光検出器385、第3の光検出器387、及び第4の光検出器389、のそれぞれのLEDを示す。上述のように、可撓性トラック316の遠位端がカセットから離れるように又はカセットに向かうように移動すると、可撓性トラックの近位端は、位置検出器380上を通過する。
【0039】
図16に戻ると、回路基板392は、光ダイオード390が検出する反射光に基づいて可撓性トラックの遠位端が移動した距離を示す信号を生成するように構成された回路を含んでよい。一実施形態において、位置検出器は、2ビットグレイコードを認識するように構成される。一実施形態において、位置検出器380は2つの光検出器を含む。これは、一実施形態に係る位置検出器のブロック図である図18に示される。図18において、位置検出器480は、ハウジング484の中に配置された第1の光検出器491及び第2の光検出器493を含む。第1の光検出器491はLED及び光ダイオードを含み、第2の光検出器493はLED及び光ダイオードを含む。2ビットグレイコードを認識するべく、第1の光検出器491が、ハウジング484の遠位端に位置決めされ、最上位ビット(MSB)として指定され得る。第2の光検出器493は、第1の光検出器487から距離l(例えばl={B,5B,9B,…})に位置決めされ、最下位ビット(LSB)として指定され得る。可撓性トラック416は反射性ライン495及び非反射性ライン497を含む。各反射性ライン495は同じ幅trを有し、互いから距離ts(例えばts=2Bユニット幅)だけ均等に離間される。一実施形態において、反射性ライン幅及び非反射性ライン幅が等しくなる(すなわちtr=ts)。第1の光検出器491及び第2の光検出器493それぞれが、当該光ダイオードが、可撓性トラック416の反射性ライン495から反射されたLEDからの光を検出するときに増加する出力電圧を生成する。反射性ライン495の存在又は不在を検出するべく、反射光が使用される。
【0040】
第1の光検出器491又は第2の光検出器493の出力電圧が所定値よりも大きいと(すなわち反射性ラインの存在が検出されると)、各光検出器には論理値1を割り当てることができる。第1の光検出器491又は第2の光検出器493の出力電圧が所定値未満になると(すなわち反射性ラインが検出されないと)、光検出器には論理値0を割り当てることができる。可撓性トラック416の遠位端がカセットから離れるように又はカセットに向かうように動かされ、可撓性トラック416の近位部分が位置検出器480の上を通過すると、第1の光検出器491及び第2の光検出器493は、論理1及び論理0間を遷移する。可撓性トラック416の遠位端がカセットから離れるように又はカセットに向かうように動かされる距離は、第1の光検出器491及び第2の光検出器493の遷移、並びに検出された反射性ライン495に基づいて決定することができる。一実施形態において、第1の光検出器491及び第2の光検出器493は、カセットから離れる可撓性トラックの遠位端の各変位すなわちBユニットの後、(0,0)→(0,1)→(1,1)→(1,0)→(0,0)のように遷移する。第1の光検出器491及び第2の光検出器493は、カセットへと向かう可撓性トラックの遠位端の各変位-Bユニットの後、(1,0)→(1,1)→(0,1)→(0,0)→(1,0)のように遷移する。
【0041】
他実施形態において、4つの光検出器は、2ビットグレイコードを認識するべく使用することができる。図17を参照すると、第2の光検出器385及び第3の光検出器387はそれぞれ、LSB光検出器及びMSB光検出器を代表する。この実施形態において、第1の光検出器383(~LSBとして指定)及び第4の光検出器389(~MSBとして指定)が、~LSB光検出器383が位置検出器380の近位端に最も近くなり、かつ~MSB光検出器389が位置検出器380の遠位端に最も近くなるように位置検出器380の中に配置される。換言すれば、位置検出器380の近位端から遠位端に向かって示すと、第1の光検出器383が~LSBとして指定され、第2の光検出器385がLSBとして指定され、第3の光検出器387がMSBとして指定され、第4の光検出器389が~MSBとして指定される。第3の光検出器387は、第2の光検出器385からl(例えばl={B,5B,9B…})の距離に位置決めされる。LSB光検出器385が反射性ラインを中心とする場合、対応する~LSB光検出器383が非反射性ラインを中心とするように、~LSB光検出器383はLSB光検出器385からlバー={2B,6B,8B,…}ユニットの距離に配置することができる。MSB光検出器387が反射性ラインを中心とする場合、対応する~MSB光検出器389が非反射性ラインを中心とするように、~MSB光検出器389はMSB光検出器387からlバー={2B,6B,8B,…}ユニットの距離に配置することができる。一実施形態において、距離l及びlバーは最小限にされる。図16を参照して上述したように、各反射性ライン495は同じ幅trを有し、互いから距離ts(例えばts=2Bユニット幅)だけ均等に離間される。一実施形態において、反射性ライン幅及び非反射性ライン幅は等しい(すなわちtr=ts)。MSB光検出器387と~MSB光検出器389との出力電圧の差、又はLSB光検出器385と~LSB光検出器383との出力電圧の差が所定値よりも大きい場合、それぞれの光検出器には論理値1が割り当てられる。MSB光検出器387と~MSB光検出器389との出力電圧の差、又はLSB光検出器385と~LSB光検出器383との出力電圧の差が所定値よりも小さい(すなわち反射性ラインが検出されない)場合、光検出器には論理値0が割り当てられる。上述のように、可撓性トラック416の遠位端が、カセットから離れるように又はカセットに向かうように動かされる距離は、論理1及び論理0間の光検出器の遷移に基づいて決定することができる。
【0042】
信号対雑音比は、MSB光検出器387の出力電圧と~MSB光検出器389の出力電圧との差、及びLSB光検出器385と~LSB光検出器383との出力電圧の差をとることによって増加させることができる。加えて、システムは、可撓性トラック316の反射性ライン及び非反射性ライン間の差を中心とするので、自らバランスをとることができる。この実施形態により、光アセンブリと、可撓性トラック316の表面における緩やかな凹凸とに起因するオフセットの補償が可能となる。
【0043】
上記方法により可撓性トラックの位置を決定するコンピュータ実行可能命令を、一形態のコンピュータ可読媒体に格納することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータのような情報を格納するための任意の方法又は技術で実装される揮発性及び不揮発性の、取り外し可能及び非取り外し可能の媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気格納デバイス、又は所望の命令を格納するべく使用可能な、及びインターネット若しくは他のコンピュータネットワークによるアクセス形態を含むシステム10(図1に示す)によりアクセス可能な任意の他の媒体を含むがこれらに限られない。
【0044】
本明細書において、本発明を開示するべく、さらには任意の当業者が本発明をなして使用できるようにするべく、ベストモードを含む複数の例が使用された。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者に想起される他の例も含み得る。かかる他の例は、請求項の文言とは異ならない構造要素を有する場合、又は請求項の文言と実質的ではない差異を有する同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。任意のプロセス又は方法ステップの順序及びシーケンスは、代替実施形態に従って変更又は再配列してよい。
【0045】
多くの他の変更及び修正を、本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明に加えることができる。これらの及び他の変更の範囲は、添付の請求項から明らかとなる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図20