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特許7286766航空機の油圧装置の寿命を監視するためのデバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-26
(45)【発行日】2023-06-05
(54)【発明の名称】航空機の油圧装置の寿命を監視するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 45/00 20060101AFI20230529BHJP
   B64C 13/40 20060101ALI20230529BHJP
   B64D 33/10 20060101ALI20230529BHJP
   F02C 9/00 20060101ALI20230529BHJP
   G01M 15/14 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
B64D45/00 A
B64C13/40
B64D33/10
F02C9/00 A
G01M15/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021523263
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 FR2019052566
(87)【国際公開番号】W WO2020089555
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】1860113
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルバ,ルーベン・アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ギユ,ランスロ
(72)【発明者】
【氏名】ファブロ,ニコラ・アンドレア
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-129600(JP,A)
【文献】特開2000-213322(JP,A)
【文献】特開2005-351129(JP,A)
【文献】特表2015-529765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0058250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 45/00
B64C 13/40
B64D 33/10
F02C 9/00
G01M 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行中に油圧(P)の変動を受ける航空機の少なくとも1つの油圧装置(130)の寿命を監視するためのデバイス(400)であって、飛行時間(t)に応じて装置(130)の油圧(P)を表す測定データ(403、408)を受信するためのインターフェース(401)を備え、
デバイス(400)が、
測定データ(403、408)に基づいて、圧力(P)が、ゼロより大きい所定の損傷閾値(SΔP)より大きい圧力上昇(ΔPAUG)に続いて、所定の損傷閾値(SΔP)より大きい圧力低下(ΔPDIM)を含むという事実によって定義される、損傷性の圧力(P)負荷(SOLLEND)を検出するための手段(404)を備える処理デバイス(402)、
損傷性の圧力(P)負荷(SOLLEND)の圧力上昇(ΔPAUG)の絶対値と、損傷性の圧力(P)負荷(SOLLEND)の圧力低下(ΔPDIM)の絶対値とのうちの最大値に等しい圧力変動振幅(DeltaP)を計算するための手段(414)、
計算された圧力変動振幅(DeltaP)に対応する損傷性の圧力(P)負荷の許容数(NSOLLN)を決定するために、圧力変動振幅(DeltaP)を、圧力変動振幅(DeltaP)に応じて損傷性の圧力(P)負荷の許容数(NSOLL)を与える損傷モデルの規定の減少曲線(MOD)または損傷モデルの規定の減少直線(MOD)に投影するための手段(415)、
計算された損傷性の圧力(P)負荷の許容数(NSOLLN)で割られた、基準負荷の決定された数(NRef)に等しい損傷可能性率(R)を計算するための計算手段(416)、
累積(RNCUM)可能性率(R)カウンタ(405)を、計算された損傷可能性率(R)だけインクリメントするための手段(417)、
を備えることを特徴とする、デバイス(400)。
【請求項2】
デバイスが、時間(t)に応じての航空機の他の装置(131)の他の油圧の値に基づいて、装置の油圧(P)を決定するための推定器(407)を備え、時間(t)に応じての航空機の他の装置(131)の他の油圧の値が、測定データ(408)に含まれ、この他の装置(131)に設けられた測定センサ(133)によって測定されていることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
油圧装置が、ターボ機械(10)の油圧油を循環させるための油圧回路(100)の一部を形成する熱交換器(130)を備え、油圧回路(100)が、油圧油を冷却するために、ターボ機械(10)のナセル(42)とケーシング(44)との間に配置された、ターボ機械の二次ガス流(52)内に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
所定の損傷閾値(SΔP)が、油圧装置の最大公称油圧(PMAX)の15%以上であり、最大公称油圧(PMAX)の35%以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
損傷モデルの規定の減少曲線(MOD)が、圧力変動振幅(DeltaP)に応じて損傷性の圧力(P)負荷の許容数(NSOLL)を与える減少指数曲線または減少線形曲線を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
損傷モデルの規定の減少曲線(MOD)が、損傷性の圧力(P)負荷の許容数(NSOLL)を与えるための圧力変動振幅(DeltaP)の逆数に依存する、減少曲線部分を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
処理デバイス(402)が、カウンタ(405)の損傷可能性率(R)の累積値(RNCUM)が事前定義された警報閾値(SAL)以上であるときに、警報メッセージ(AL)を外部に送信するための警報手段(418)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
飛行中に油圧(P)の変動を受ける航空機の少なくとも1つの油圧装置(130)の寿命を監視するための方法であって、受信ステップ(E1)中に、飛行時間(t)に応じての装置(130)の油圧(P)を表す測定データ(403、408)が、受信インターフェース(401)上に受信され、
検出ステップ(E2)中に、圧力(P)が、ゼロより大きい所定の損傷閾値(SΔP)より大きい圧力上昇(ΔPAUG)に続いて、所定の損傷閾値(SΔP)より大きい圧力低下(ΔPDIM)を含むという事実によって定義される、損傷性の圧力(P)負荷(SOLLEND)が、測定データ(403、408)に基づいて、処理デバイス(402)によって検出され、
計算ステップ(E30)中に、損傷性の圧力(P)負荷(SOLLEND)の圧力上昇(ΔPAUG)の絶対値と、損傷性の圧力(P)負荷(SOLLEND)の圧力低下(ΔPDIM)の絶対値とのうちの最大値に等しい圧力変動振幅(DeltaP)が、処理デバイス(402)によって計算され、
投影ステップ(E40)中に、計算された圧力変動振幅(DeltaP)に対応する損傷性の圧力負荷(P)の許容数(NSOLLN)を決定するために、処理デバイス(402)が、圧力変動振幅(DeltaP)を、圧力変動振幅(DeltaP)に応じて損傷性の圧力負荷(P)の許容数(NSOLL)を与える損傷モデルの規定の減少曲線(MOD)または損傷モデルの規定の減少直線(MOD)に投影し、
別の計算ステップ(E50)中に、処理デバイス(402)が、計算された損傷性の圧力(P)負荷の許容数(NSOLLN)で割られた、基準負荷の決定された数(NRef)に等しい損傷可能性率(R)を計算し、
カウントするステップ(E60)中に、損傷可能性率(R)の累積(RNCUM)カウンタ(405)が、計算された損傷可能性率(R)だけインクリメントされること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
経時的に間隔を置いて存在する圧力値(P1,P2,P)間の欠落した圧力値(P3)の場合、存在するこれらの圧力値(P1,P2,P)の間で線形に変化する置き換え圧力値(P4)が挿入されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
測定データ(408)が、受信ステップ(E1)の前に、時間(t)に応じての航空機の別の装置(131)の別の油圧の値を含み、時間(t)に応じての航空機の別の装置(131)の別の油圧の値は、この別の装置(131)に設けられた測定センサ(133)によって測定されており、
方法が、受信ステップ(E1)の後、検出ステップ(E2)の前に推定ステップ(E4)を含み、その間、処理デバイス(402)の推定器(407)が、航空機の他の装置(131)の他の油圧の値に基づいて、装置の油圧(P)を推定することを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
油圧装置が、ターボ機械(10)の油圧油を循環させるための油圧回路(100)の一部を形成する熱交換器(130)を備え、油圧回路(100)が、油圧油を冷却するために、ターボ機械(10)のナセル(42)とケーシング(44)との間に配置された、ターボ機械の二次ガス流(52)内に配置されていることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
所定の損傷閾値(SΔP)が、油圧装置の最大公称油圧(PMAX)の15%以上であり、最大公称油圧(PMAX)の35%以下であることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
損傷モデルの規定の減少曲線(MOD)が、圧力変動振幅(DeltaP)に応じて損傷性の圧力負荷(P)の許容数(NSOLL)を与える減少指数曲線または減少線形曲線を含むことを特徴とする、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
損傷モデルの規定の減少曲線(MOD)が、損傷性の圧力(P)負荷の許容数(NSOLL)を与えるための、圧力変動振幅(DeltaP)の逆数に依存する減少曲線部分を含むことを特徴とする、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
カウントするステップ(E60)に続く警報ステップ(E8)中に、カウンタ(405)の損傷可能性率(R)の累積値(RNCUM)が事前定義された警報閾値(SAL)以上であるときに、処理デバイス(402)が、警報メッセージ(AL)を外部に送信することを特徴とする、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行中に油圧の変動を受ける航空機の少なくとも1つの油圧装置の寿命を監視するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の適用分野の1つは、航空機、特にターボジェットを装備した航空機の保全である。
【0003】
特に、油圧装置は、航空機ターボジェットにおいて、この装置の追加の冷却源として二次流内に配置された熱交換器とすることができる。このタイプの交換器は、例えば欧州特許出願公開第1916399号明細書から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第1916399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも1つの装置の寿命を監視するためのデバイスおよび方法であって、油圧装置の疲労を追跡することができ、この装置の予防保全を実行することができるデバイスおよび方法を得ることを目的とする。実際、装置を十分に早期に交換または修理するために装置の健全状態を監視することからなるこのタイプの予防保全は、飛行中のシャットダウン、地上の航空機の比率、ならびに飛行の遅延および取り消しの比率を低下させることを可能にし、この低下はターボジェットの収益性にとって重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明の第1の目的は、飛行中に油圧の変動を受ける航空機の少なくとも1つの油圧装置の寿命を監視するためのデバイスであって、飛行時間に応じて装置の油圧を表す測定データを受信するためのインターフェースを備え、
デバイスが、測定データに基づいて、圧力が、ゼロより大きい所定の損傷閾値より大きい圧力上昇に続いて、所定の損傷閾値より大きい圧力低下を含むという事実によって定義される、損傷性の圧力負荷を検出するための手段を備える処理デバイス、
損傷性の圧力負荷の圧力上昇の絶対値と、損傷性の圧力負荷の圧力低下の絶対値とのうちの最大値に等しい、圧力変動振幅を計算するための手段、
計算された圧力変動振幅に対応する損傷性の圧力負荷の許容数を決定するために、圧力変動振幅を、圧力変動振幅に応じて損傷性の圧力負荷の許容数を与える損傷モデルの規定の減少曲線または損傷モデルの規定の減少直線に投影するための手段、
計算された損傷性の圧力負荷の許容数で割られた、基準負荷の決定された数に等しい損傷可能性率を計算するための計算手段、
累積可能性率カウンタを、計算された損傷可能性率だけインクリメントするための手段、
を備えることを特徴とする、デバイスである。
【0007】
エンジンの動作時間にわたる航空機エンジンの油圧装置の疲労による摩耗は、それらが受ける負荷の数だけでなく、各サイクル中の圧力変動の振幅にも直接リンクしている。したがって、本発明は、各飛行について損傷性の負荷の重大度を個別に数値化することを可能にする。
【0008】
本発明は、経年劣化予測器の開発を可能にし、予測保全専用の手段の導入を可能にする。
【0009】
カウンタによって計算された累積損傷率は、動作中の装置の残存寿命を推定することを可能にする。
【0010】
したがって、本発明は、どの航空機団および動作条件が装置に最大の疲労を発生させ、その結果、装置の最も速い経年劣化を発生させるかを知るために、航空機の油圧装置のために就航中に記録された寿命の統計的検証、油圧装置を装備した航空機エンジンの分類を可能にする。本発明によって生成された損傷性の検出された圧力負荷に由来するデータは、機団が動作する状態に関する情報と連結され、油圧装置の経年劣化および残存寿命に関する推定値を供給することを可能にし、したがって予測保全の実施を可能にする。
【0011】
品質問題、不適合の修理もしくは再加工、または非公認の供給元によって保証または供給されていない部品の使用の場合、本発明の就航中の使用によってもたらされる装置の経年劣化率の統計的知識は、基準部品に対する疲労挙動のギャップの強調および装置の寿命に関する異常の検出をさらに容易にする。
【0012】
本発明は、油圧装置で実際に観察された圧力レベルに関する非常に大量のデータの収集および記憶を可能にし、将来のプログラムのための装置の耐性の必要性を正確に特定することを可能にする。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、監視デバイスは、時間に応じての航空機の他の装置の他の油圧の値に基づいて、装置の油圧を決定するための推定器を備え、時間に応じての航空機の他の装置の他の油圧の値は、測定データに含まれ、この他の装置に設けられた測定センサによって測定されている。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、カウンタの損傷可能性率の累積値が事前定義された警報閾値以上であるときに、処理デバイスが、警報メッセージを外部に送信するための警報手段を備える。
【0015】
本発明の第2の目的は、飛行中に油圧の変動を受ける航空機の少なくとも1つの油圧装置の寿命を監視するための方法であって、受信ステップ中に、飛行時間に応じての装置の油圧を表す測定データが、受信インターフェース上に受信され、
検出ステップ中に、圧力が、ゼロより大きい所定の損傷閾値より大きい圧力上昇に続いて、所定の損傷閾値より大きい圧力低下を含むという事実によって定義される、損傷性の圧力負荷が、測定データに基づいて、処理デバイスによって検出され、
計算ステップ中に、損傷性の圧力負荷の圧力上昇の絶対値と、損傷性の圧力負荷の圧力低下の絶対値とのうちの最大値に等しい圧力変動振幅が、処理デバイスによって計算され、
投影ステップ中に、計算された圧力変動振幅に対応する損傷性の圧力負荷の許容数を決定するために、処理デバイスが、圧力変動振幅を、圧力変動振幅に応じて損傷性の圧力負荷の許容数を与える損傷モデルの規定の減少曲線または損傷モデルの規定の減少直線に投影し、
別の計算ステップ中に、処理デバイスが、計算された損傷性の圧力負荷の許容数で割られた、基準負荷の決定された数に等しい損傷可能性率を計算し、
カウントするステップ中に、損傷可能性率の累積カウンタが、計算された損傷可能性率だけインクリメントされること
を特徴とする、方法である。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、経時的に間隔を置いて存在する圧力値間の欠落した圧力値の場合、存在するこれらの圧力値間で線形に変化する置き換え圧力値が挿入される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、測定データが、受信ステップの前に、時間に応じての航空機の別の装置の別の油圧の値を含み、時間に応じての航空機の別の装置の別の油圧の値は、この別の装置に設けられた測定センサによって測定されており、
方法が、受信ステップの後、検出ステップの前に推定ステップを含み、その間、処理デバイスの推定器が、航空機の他の装置の他の油圧の値に基づいて、装置の油圧を推定する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、カウントするステップに続く警報ステップ中に、カウンタの損傷可能性率の累積値が事前定義された警報閾値以上であるときに、処理デバイスが、警報メッセージを外部に送信する。
【0019】
監視デバイスおよび/または監視方法に適用され得る本発明の一実施形態によれば、油圧装置が、ターボ機械の油圧油(hydraulic fluid)を循環させるための油圧回路の一部を形成する熱交換器を備え、油圧回路が、油圧油を冷却するために、ターボ機械のナセルとケーシングとの間に配置された、ターボ機械の二次ガス流内に配置されている。
【0020】
監視デバイスおよび/または監視方法に適用され得る本発明の一実施形態によれば、所定の損傷閾値が、油圧装置の最大公称油圧の15%以上であり、最大公称油圧の35%以下である。
【0021】
監視デバイスおよび/または監視方法に適用されることができる本発明の一実施形態によれば、圧力変動振幅に応じて損傷性の圧力負荷の許容数を与える損傷モデルの規定の減少曲線は、減少指数曲線または減少線形曲線を含む。
【0022】
監視デバイスおよび/または監視方法に適用されることができる本発明の一実施形態によれば、損傷モデルの規定の減少曲線は、損傷性の圧力負荷の許容数を与えるために、圧力変動振幅の逆数に依存する、減少曲線部分を含む。
【0023】
本発明は、添付の図面を参照して非限定的な例としてのみ与えられる以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による監視デバイスおよび方法の対象となり得る装置が置かれたターボジェットの一例の長手方向断面図の概略図である。
図2】本発明による監視デバイスおよび方法の対象となり得る装置を備える、図1のターボジェットの油圧潤滑回路の一例の概略図である。
図3図1による本発明による監視デバイスおよび方法の対象となり得る装置の一例の斜視図の概略図である。
図4】本発明による監視デバイスおよび方法によって検出され得る、損傷性の圧力負荷の一例の概略図である。
図5】本発明による監視デバイスおよび方法によって使用され得る、縦座標の圧力変動振幅関数として、横座標において、損傷性の圧力負荷サイクル許容数を与える損傷モデルの一例を示す概略図である。
図6】本発明による監視方法のフローチャートの一例を示す図である。
図7】本発明による監視デバイスの一例の概略図である。
図8】本発明による監視デバイスおよび方法のための圧力測定が実行される別の装置の概略図である。
図9】本発明による監視デバイスおよび方法によって検出され得る、データが欠落している圧力サイクルの一例の概略図である。
図10】本発明による監視デバイスおよび方法によって検出されることができ、本発明の一実施形態により、欠落データが置き換えられた、圧力サイクルの概略および例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図2、および図3において、飛行中に油圧の変動を受け、本発明が適用されることができる航空機の油圧装置は、例えば飛行機などの航空機のターボ機械10またはガスタービン10のエンジンアセンブリの飛行中の動作に役立つ油圧油を循環させるための油圧回路100の一部を形成する、例えば熱交換器130を備えることができる。油圧回路100は、油圧油を冷却するために、例えば、ターボ機械10の二次ガス流52のバイパスダクト40内に配置され、ナセル42とターボ機械10の中央エンジン13の外部部分44またはケーシング44との間に配置され、例えば環状形状である。
【0026】
油圧装置130のこの例は、図1図2、および図3を参照してより詳細に以下で最初に説明される。
【0027】
図1において、ガスタービンエンジンアセンブリ10は、長手方向軸11を有する。ガスタービンエンジンアセンブリ10は、ファンアセンブリ12と、中央ガスタービンエンジン13とを備える。中央ガスタービンアセンブリ13は、高圧圧縮機14と、燃焼室16と、高圧タービン18とを備える。ガスタービンエンジンアセンブリ10はまた、低圧タービン20を備えることができる。ファンアセンブリ12は、ロータディスク26から半径方向外側に延在するファンブレード24のアレイを備える。エンジンアセンブリ10は、吸気側28および排気側30を有する。ガスタービンエンジンアセンブリ10はまた、例えば、ファンアセンブリ12に、高圧圧縮機14に、および低圧タービン20に回転および軸方向支持を供給するために使用される複数組の軸受(図示せず)を備える。
【0028】
動作中、空気はファンアセンブリ12を通って流れ、空気流の第一の部分50(一次流50)は高圧圧縮機14を通って導かれ、そこで空気流は圧縮されて燃焼室16に送られる。燃焼室16に由来する高温燃焼生成物(図示せず)は、タービン18および20を駆動し、したがってガスタービンエンジンアセンブリ10の推力を生成するために使用される。ガスタービンエンジンアセンブリはまた、中央ガスタービンエンジン13の周りのファンアセンブリ12から排出された空気流の第2の部分52(二次流52)を通過させるために使用されるバイパスダクト40を備える。より正確には、バイパスダクト40は、ファンシュラウド42またはナセル42の内壁201と、中央ガスタービンエンジン13を取り囲むセパレータ44の外壁203との間に延在する。
【0029】
図2は、図1のガスタービンエンジンアセンブリ10で使用され得る、例えばオイルなどの油圧潤滑流体を供給するための油圧回路100の一例の簡易化された概略図である。例示的な実施形態では、システム100は、オイル供給源120と、中央ガスタービンエンジン13の軸受104、106、108内およびそのギヤリング60内でオイルを循環させ、オイルをより低い温度に冷却する熱交換器130を介して高温オイルを戻す1つ以上のポンプ110および112とを備える。場合によっては、熱交換器130は、吸気弁132と、出口弁134と、手動または電気的に作動され得るバイパス弁136とを備える。
【0030】
図1に示す例では、熱交換器130は、バイパスダクト40内に配置された空冷式熱交換器である。熱交換器130は、ファンアセンブリ12とファンストラット150との間でファンシュラウド42の内壁201に結合される。図示されていない他の実施形態では、熱交換器130は、ファンアセンブリ12の上流および吸気側28の下流で内壁201に結合され得る。したがって、熱交換器130は、ファンシュラウド42の内側、またはセパレータ44の外壁203のいずれかに、バイパスダクト40の軸方向長さに沿ってどこにでも配置され得る。図3では、組み立て中に、熱交換器130は、熱交換器アセンブリ130がバイパスダクト40の少なくとも一部の周方向および軸方向輪郭形状と実質的に同様の周方向および軸方向輪郭形状を有するように湾曲されており、例えば、図1に示すようなファンシュラウド42の内面201、または図示しない他の実施形態におけるセパレータ44の外面203の周方向および軸方向輪郭形状に一致する。
【0031】
図3に示すように、熱交換器130は、実質的に円周の全体(約320°)を覆っている。変形形態として、熱交換器は、同じ周長を覆うように端から端まで取り付けられたいくつかのセグメントから形成され得る。
【0032】
図3では、熱交換器130は、第1の端部210と第2の反対側の端部212との間に延在するコレクタ部分202を備える。コレクタ部分202はまた、コレクタ部分202が実質的に矩形の軸方向横断面輪郭形状を有するように、半径方向内面220、半径方向外面222を備える。コレクタ202を形成する部分はまた、図1の場合には内面220から内部に向かって半径方向に延在して、二次流52に向かって曲げられた複数の冷却フィン230を備える。もちろん、例えば、熱交換器130がセパレータ44の外面203またはファンシュラウド42の外面に取り付けられる実施形態では、フィン230は外面222に配置され得る。もちろん、フィン230は、外面222および内面220の両方に配置され得る。
【0033】
コレクタ部分202はまた、コレクタ部分202内でその端部210と212との間に延在する、油圧油の少なくとも1つの通路チャネルを備える。油圧油のこの通路チャネルは、端部210に配置されバルブ132(図2に示す)の下流に結合された少なくとも1つの油圧油入口接続部240と、端部212に配置されバルブ134(図2に示す)の上流に結合された少なくとも1つの油圧油出口接続部242とにリンクされ、その結果、バルブ132および134が、熱交換器130のチャネルを通してシステム100の潤滑油を循環させるように作動され得る。熱交換器130内を循環する油圧油は、その熱の一部をチャネルを取り囲むコレクタ部分202にもたらし、このコレクタ部分202は、フィン230によって、バイパスダクト40内を通過する空気の二次流、またはシュラウド42の外側を通過する空気に受け取られる熱の一部をもたらす。
【0034】
図4から図10を参照して以下で最初に説明されるのは、本発明による油圧装置または油圧機器の寿命を監視するためのデバイス400、あるいは以下に言及されるステップを有する、本発明による油圧装置または油圧機器の寿命を監視するための方法の実施形態である。もちろん、本発明による油圧装置の寿命を監視するためのデバイス400および本発明による油圧装置の寿命を監視する方法は、飛行中に油圧の変動を受ける航空機の任意の油圧装置に適用されることができ、この装置は、上述され、以下に一般に油圧装置130で表される熱交換器130とは、場合によっては異なる。
【0035】
図6および図7に示すように、本発明による油圧装置の寿命を監視するためのデバイス400および本発明による油圧装置の寿命を監視するための方法は、測定データ403を処理することが意図され、測定データ403は、飛行中に航空機上に取得され、この飛行中の時間tに応じて油圧装置130の油圧P(例えば、図1から図3で上述した例では、油圧装置130の内部油圧P)を表し、飛行後に地上でこれらのデータ403は処理される。したがって、デバイス400は、第1の受信ステップE1中に測定データ403(または入力データ)を受信するための受信インターフェース401を備える。デバイス400は、油圧装置の寿命を監視するための方法を実施するように構成される。
【0036】
デバイス400は、受信インターフェース401に接続された処理デバイス402を備える。寿命を監視するためのデバイス400および方法は、自動的な手段によって実施される。処理デバイス402および記載された手段は、以下に記載する処理を実行するためのデータ処理プログラム、ならびに測定データ403および実行された処理を記録するための永久メモリを装備したプロセッサまたは計算機またはコンピュータまたはサーバによって実施されることができ、インターフェース401は、場合によってはそれらへのアクセスポートである。
【0037】
処理デバイス402は、第1の受信ステップE1に続く第2の検出ステップE2中に、測定データ403に基づいて、以下に、損傷性圧力負荷SOLLENDと表される、損傷性の圧力P負荷SOLLENDを検出するための検出器404を備える。
【0038】
横軸の時間tに応じて圧力P曲線を縦軸に示す図4に示すように、損傷性の圧力P負荷SOLLENDは、圧力Pが所定の損傷閾値SΔPより大きい圧力上昇ΔPAUGを含み、この圧力上昇ΔPAUGに続いて所定の損傷閾値SΔPよりも大きい圧力低下ΔPDIMが続くという事実によって検出される。所定の損傷閾値SΔPは、油圧装置130の疲労閾値であり、予め定められている。所定の損傷閾値SΔPは正であり、0ではない。圧力上昇ΔPAUG、圧力低下ΔPDIMは、それらの絶対値としてそれぞれ取られる。
【0039】
飛行中の油圧装置130の圧力PサイクルCYCは、第1の規定の圧力値P1を有する特定の開始時点T1で開始し、第2の規定の圧力値P2によって特定の終了時点T2で終了する。圧力PサイクルCYCは、サイクルを開始する第1の規定の圧力値P1を取った後、第1の規定の圧力値P1に続いてサイクルを終了する第2の規定の圧力値P2を取る前に、損傷性の1つ以上の圧力P負荷SOLLENDを含まない可能性がある。例えば、図4では、損傷性の2つの圧力P負荷SOLLENDが検出される。図4では、上昇ΔPAUGを低下ΔPDIMから分離する圧力Pの最大値が星印で表されている。
【0040】
処理デバイス402は、検出ステップE2に続く計算ステップE30中に、検出された損傷性の圧力P負荷SOLLENDの圧力上昇ΔPAUGの絶対値と、この圧力上昇ΔPAUGに続く損傷性の圧力P負荷SOLLENDの圧力低下ΔPDIMの絶対値とのうちの最大値に等しい圧力変動振幅DeltaPを計算するための計算手段414を備える。
【0041】
処理デバイス402は、圧力変動振幅DeltaPに応じて、損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLを与える関数DeltaP=f(NSOLL)の形態の損傷モデルを含む投影手段415を備える。
【0042】
このタイプの損傷モデルMODの一例が図5に示されており、損傷モデルの規定の減少する直線MODを含み、圧力変動振幅DeltaPに応じて損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLを与える。例えば、損傷モデルの規定の直線MODは、以下のアフィン関数の形態である:
【0043】
DeltaP=A・NSOLL+B、
ここで、Aは規定の実数の負の非ゼロ値であり、
Bは、規定の実数の正の非ゼロ値である。
【0044】
モデルは、図5の例以外であることができ、例えば、圧力変動振幅DeltaPに応じて損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLを与える損傷モデルの規定の減少曲線MODの形態であることができる。
【0045】
別の例では、損傷モデルの規定の減少曲線MODは、以下の関数の形態である:
【0046】
DeltaP=C・exp(-D×NSOLL+E)+F、
ここで、Cは、規定の実数の正の非ゼロ値であり、
Dは、規定の実数の正の非ゼロ値であり、
EおよびFは、規定の実数値である。
【0047】
別の例では、損傷モデルの規定の減少曲線MODは、損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLを与える、圧力変動振幅DeltaPの逆数に依存する減少曲線部分を含む。曲線MODは、以下の関数の形態とすることができる:
【0048】
DeltaP=G/NSOLL+H、
ここで、Gは、規定の実数の正の非ゼロ値であり、
Hは規定の実数値である。
【0049】
投影手段415は、計算ステップE30に続く投影ステップE40中に、ステップE30の間に計算された圧力変動振幅DeltaPを、損傷モデルの規定の減少曲線MODまたは損傷モデルの規定の減少直線MOD上に投影して、計算されたこの圧力変動振幅DeltaPに対応する損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLNを決定するために提供される。
【0050】
一般に、関数の形式にかかわらず、損傷モデルDeltaP=f(NSOLL)は、以下の特定の圧力によって特徴付けられる:
【0051】
・DeltaPMax:圧力変動振幅DeltaPであり、ここから装置が第1の負荷SOLLENDから始まる塑性変形をする;DeltaPMaxで、装置130の寿命は完全に消費されると想定される。
【0052】
・DeltaPRef:基準圧力変動振幅DeltaPであり;DeltaPRefに対して、寿命は、規定され基準負荷数NRefと呼ばれる損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLに等しいと想定される。
【0053】
・DeltaPMin:圧力変動振幅DeltaPであり、それらは考察される装置130に損傷を与えないと考えられるため、圧力変動振幅DeltaPは、それより下でもはや考慮されない。これは、損傷性の圧力P負荷SOLLENDを検出することを可能にする所定の損傷閾値SΔPである。したがって、DeltaPMin=SΔPである。
【0054】
処理デバイス402は、別の計算ステップE50中に、計算された損傷性質の圧力P負荷の許容数NSOLLNで割られた、基準負荷の所定の数NRefに等しい損傷可能性率RN、すなわち:
=NRef/NSOLLN
を計算するための計算手段416を備える。
【0055】
したがって、本発明による監視方法およびデバイスは、飛行中に遭遇する負荷SOLLENDの重大度を推定することを可能にする。
【0056】
損傷性の圧力P負荷SOLLEND、圧力変動振幅DeltaP、損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLN、および損傷率Rは、測定データ403および/または408が取得された航空機の飛行に関連付けられる。
【0057】
処理デバイス402は、カウントするステップE60中に、損傷可能性率Rの累積値RNCUMカウンタ405をインクリメントする手段417を備える。累積値RNCUMカウンタ405は、データ405および/または408に対応する飛行に対するステップE50中に計算された損傷可能性率Rだけインクリメントされる。したがって、比率Rは、飛行中に装置が受ける圧力負荷SOLLENDの重大度を数値化することを可能にすることによって飛行を追跡することを可能にする。したがって、カウンタ405は、先行する飛行を考慮しながら飛行を追跡することを可能にする。したがって、カウンタ405は、この飛行および先行する飛行に対する損傷可能性率Rの累積値RNCUMを供給する。
【0058】
したがって、損傷率の累積カウンタ405は、重み付けされた圧力負荷SOLLENDのカウンタであり、飛行中に検出された各圧力負荷SOLLENDの圧力基準条件に相当する負荷の数を装置130の寿命の間に計算し、累積する。各負荷SOLLENDは、負荷SOLLENDを基準条件に正規化するように、その圧力変動振幅DeltaPに対して重み付けされる。
【0059】
これらの基準条件は、装置が、故障前に(亀裂、破断の出現によって明らかにされ得る)、この振幅で耐えることができる損傷性の圧力P負荷SOLLENDの数NRefに関連付けられた基準圧力変動振幅DeltaPRefに対応する。選択された基準条件DeltaPRefは、装置が故障前に耐えることができる許容負荷の数NRef=NSOLLNが既知である圧力に対応する;NRefは、例えば、装置130の認定または資格試験中に実証されている。しかしながら、全ての記録された負荷SOLLENDについて同じであるという条件で、別の基準(圧力、負荷の数)を定義することが可能である。したがって、これらの基準圧力条件に対する各負荷SOLLENDの重み付けは、負荷の基準数NRefと比較することが可能な累積カウンタ405を確立することを可能にする。カウンタ405によって計算された損傷可能性率Rの累積値RNCUMは、基準圧力変動振幅DeltaPRef条件に正規化された損傷可能性を表す。
【0060】
したがって、DeltaPMin<DeltaP<DeltaPRefの場合、カウンタ405は、ステップE60の間にインクリメンテーション手段417によって1未満の損傷可能性率Rだけインクリメントされ、
DeltaP=DeltaPRefの場合、カウンタは、ステップE60の間にインクリメンテーション手段417によって1に等しい損傷可能性率Rだけインクリメントされ、
DeltaPRef<DeltaP<DeltaPMaxである場合、ステップE60の間に、インクリメンテーション手段417によって1より大きい損傷可能性率Rだけカウンタがインクリメントされる。
【0061】
一実施形態によれば、DeltaP≦DeltaPMinである場合、カウンタ405は、ステップE60の間にインクリメンテーション手段417によってインクリメントされない。
【0062】
一実施形態によれば、DeltaP≧DeltaPMaxである場合、損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLNは、図5に示す直線MODによって示されるように、0に等しい。この場合、カウンタ405は、ステップE60の間にインクリメンテーション手段417によって、「無限」損傷可能性率Rだけインクリメントされるか(NSOLLN=0であるために)、または、非常に大きくなるように任意に選択された到達された損傷の規定値RENDに等しい;装置130の寿命は完全に消費されたと見なされる。達成された損傷のこの規定値RENDは、例えば、事前定義された警報閾値SAL以上の有限値になるように選択される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、処理デバイス402は、ステップE60に続く警報ステップE8中に、処理デバイス402が、図7に示すように、損傷可能性率Rの累積値RNCUMが事前定義された警報閾値SAL以上であるときに、警報メッセージALを外部に送信するための警報手段418を備える。したがって、例えば、DeltaP≧DeltaPMaxの場合は、警報手段418を通して警報メッセージALの送信をトリガする。
【0064】
したがって、このカウンタ405は、基準条件と同等の条件に正規化された、寿命中の装置130内の圧力Pの異なる過渡的な増減を報告する。これは、損傷性の圧力P負荷の許容数NSOLLNを、基準圧力変動振幅DeltaPRefに関連付けられる、理論的に許容されるサイクル数NRefと比較することを可能にするので、装置130の機械的損傷状態を述べることを可能にする正確なカウンタである。
【0065】
このカウンタ405によって計算される損傷可能性率RNの累積値RNCUMは、必ずしも整数ではなく;累積値RNCUMは、基準圧力変動振幅DeltaPRefで負荷SOLLENDのみを達成することによって装置130が受ける損傷性の圧力P負荷SOLLENDの数として解釈されるべきである。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、所定の損傷閾値SΔPは、油圧装置の最大公称油圧PMAXの15%以上であり、最大公称油圧PMAXの35%以下である。所定の損傷閾値SΔPは、特に、PMAXの20%以上およびPMAXの30%以下であることができる。例えば、所定の損傷閾値SΔPは、PMAXの25%に実質的に等しいことができる。
【0067】
規定の損傷閾値SΔP、モデルMOD、DeltaPRef、NRef、DeltaPMin、DeltaPMax、SAL、第1の規定の圧力値P1および第2の所定の圧力値P2は、方法およびデバイス400の構成パラメータの一部であり、処理デバイス402のメモリに予め記録される。計算された振幅DeltaPおよび/または個数NSOLLNおよび/または比率Rおよび/または累積値RNCUMは、処理デバイス402のメモリに記録され、実行ごとに更新される。処理デバイス402は、出力インターフェース406(表示画面または他のものであることができる)を備えて、ステップE8またはE60に続く出力ステップE7の間に、計算された振幅DeltaPおよび/もしくは数NSOLLNおよび/もしくは比率Rおよび/もしくは累積値RNCUM、ならびに/または警報メッセージAL、ならびに場合によっては規定の損傷閾値SΔP、モデルMOD、DeltaPRef、NRef、DeltaPMin、DeltaPMax、SAL、第1の規定の圧力値P1および第2の規定の圧力値P2などの他のインディケータを、出力データとして外部に供給することができる。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、これらの構成パラメータは、油圧装置130の材料およびその構造に応じて事前定義される。これらの構成パラメータは、同じタイプの油圧装置130および/または同じタイプの航空機に対して固定され得る。本発明の一実施形態によれば、所定の損傷閾値SΔPは、装置130の寿命の間に可変であり得る。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、第1の規定の圧力値P1および第2の規定の圧力値P2は実質的に0である。第1の規定の圧力値P1は、飛行の開始時にターボジェットが停止している、または飛行の開始直後にターボジェットがアイドリングしている場合の油圧装置130の圧力値に相当することができ、この場合、第1の規定の圧力値P1はゼロではない。第2の規定の圧力値P2は、飛行の終了時にターボジェットが停止している、または飛行の終了直前にターボジェットがアイドリングしている場合の油圧装置130の圧力値に相当することができ、この場合、第2の規定の圧力値P2はゼロではない。
【0070】
図7および図8に示す本発明の一実施形態によれば、油圧装置130は、その油圧Pを測定するための圧力センサを装備しない可能性がある。この場合、処理デバイス402は、受信ステップE1の後、検出ステップE2の前の推定ステップE4中に、時間tに応じての航空機の別の装置131または他の機器の別の油圧の値408に基づいて、装置130の油圧Pを決定するための推定器407を備え、時間tに応じての航空機の別の装置131または他の機器の別の油圧の値408は、測定データ403に含まれ、この他の装置に設けられた測定センサ133によって測定されている。この他の装置131は、例えば、図2の油圧装置100と同じ油圧回路100の一部であることができ、センサ133は、例えば、ターボ機械10の中央エンジン13の内部油圧を測定することを可能にし、このエンジン13に設けられる。推定器407は、他の装置131の他の油圧の値408に基づいて、装置130の油圧Pを計算または予測することを可能にする予め記録された油圧モデルまたは予め記録された関数を備えることができる。これは、油圧装置の設計、質量、性能またはコストに影響を及ぼさないという利点を有する。
【0071】
図示されていない本発明の別の実施形態では、油圧装置130は、油圧装置130の油圧Pを直接測定することを可能にする測定センサを装備する。
【0072】
圧力値P3は、経時的に間隔を置いて存在する圧力値の間で欠落する場合がある。例えば、図9に示すように、圧力サイクルCYC中に、圧力値P3は、第1の規定の圧力値P1に対応する開始時点T1とP1に続く現在の圧力Pとの間で(または図示されていない別の場合には、第2の規定の圧力値P2の前の現在の圧力Pと、第2の規定の圧力値P2に対応する終了時点T2との間で)、欠落する可能性がある。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、処理デバイス402の検出器404によるデータ検証のステップE5中に、直線的に変化する置き換え値P4が、現在の圧力P、P1またはP2の圧力値の間に、例えば、図10に示すように、第1の規定の圧力値P1に対応する開始時点T1と現在の圧力Pとの間に、例えば単一の直線の形態で挿入される(または前述の他の場合には、処理デバイス402は、現在の圧力Pと第2の規定の圧力値に対応する終了時点との間に、例えば単一の直線の形態で直線的に変化する置き換え圧力値P4を挿入する)。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、図9および図10を参照して上述したように、受信ステップE1とステップE2またはE4との間に、例えば無効データを検出し、欠落データを検出し、欠落データを置き換えるための方法を適用するためのデータ403または408検証ステップE5を含む。データ403、408はまた、圧力P測定値および時間t測定値、エンジンのシリアル番号、ターボジェットの別のカウンタによってカウントされた飛行回数、追跡された油圧装置のシリアル番号、圧力測定値Pの履歴を含むことができる。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、計算された振幅DeltaPおよび/または数NSOLLNおよび/または比率Rおよび/または累積値RNCUMの信頼度インディケータを計算するステップを含む。この信頼度インディケータは、ステップE2中に推定されたデータ403および/または408の品質によって、および欠落データの数によって重み付けされた数値として計算され得る。
【0076】
もちろん、上記の実施形態、特徴、可能性および例は、一緒に組み合わせることができ、または互いに独立して選択することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10