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特許7286897配向非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層を生成するためのプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】配向非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層を生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20230530BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230530BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230530BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20230530BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B41M3/14
B05D7/24 303A
B05D7/24 301T
B05D3/00 D
B05D1/36 Z
B05D5/06 Z
B05D3/00 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021512449
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019070990
(87)【国際公開番号】W WO2020052862
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】18193402.7
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベニンガー, ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ロギノフ, エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】デスプラント, クロード‐アラン
(72)【発明者】
【氏名】バウディン, ジゼル
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510651(JP,A)
【文献】国際公開第2017/080698(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/148789(WO,A1)
【文献】特開2008-213486(JP,A)
【文献】特開平10-021541(JP,A)
【文献】特開平06-076284(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0325578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/14
B05D 7/24
B05D 3/00
B05D 1/36
B05D 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学効果層(OEL)(x20)を基板(x10)上に生成するためのプロセスであって、
a)複数の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の状態の第1の放射線硬化性コーティング組成物を基板(x10)表面に塗布することにより、第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンを形成するステップと、
b)前記第1の放射線硬化性コーティング組成物を
(A)i)磁界発生装置(x30)とii)磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界であり、前記磁界発生装置(x30)がループ状磁界発生装置(x31)を備え、前記ループ状磁界発生装置(x31)が、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設され、磁気軸が結果的に前記基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石の組合せのいずれかであり、前記磁界発生装置(x40)が、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が結果的に前記基板(x10)表面と実質的に平行な2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せのいずれかである第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、或いは、
(B)i)磁界発生装置(x30)とii)磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界であり、前記磁界発生装置(x30)が、
支持マトリクス(x34)と、
磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石、又は、ループ状構成に配設され、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の双極子磁石の組合せのいずれかであるループ状磁界発生装置(x31)と、
磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、又は、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向を有する2つ以上の双極子磁石(x32)と、を備え、
前記磁界発生装置(x40)が、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石、又は、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せのいずれかである、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、或いは、
(C)i)磁界発生装置(x30)とii)磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界であり、前記磁界発生装置(x30)が、
支持マトリクス(x34)
磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設され、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の双極子磁石の組合せのいずれかであるループ状磁界発生装置(x31)と、
又は複数の磁極片(x33)と、を備え、
前記磁界発生装置(x40)が、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せのいずれかである第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、或いは、
(D)i)磁界発生装置(x30)とii)磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界であり、前記磁界発生装置(x30)が、
支持マトリクス(x34)と、
磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石、又は、ループ状構成に配設され、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の双極子磁石の組合せのいずれかであるループ状磁界発生装置(x31)と、
磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、又は、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向を有する2つ以上の双極子磁石(x32)と、
1つ又は複数の磁極片(x33)と、を備え、
前記磁界発生装置(x40)が、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石、又は、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せのいずれかである、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、或いは、
(E)i)磁界発生装置(x30)とii)磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界であり、前記磁界発生装置(x30)が、
支持マトリクス(x34)
単一のループ状磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せのいずれかである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)
磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の双極子磁石(x32)、又はそれぞれの磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)と、を備え
前記ループ状磁界発生装置(x31)を構成する前記単一のループ状磁石若しくは前記2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が前記基板(x10)表面側を向くか、又は、
前記ループ状磁界発生装置(x31)を構成する前記単一のループ状磁石若しくは前記2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が前記基板(x10)表面側を向き、
前記磁界発生装置(x40)が、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せのいずれかである第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、
に曝露することにより、前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるステップと、
c)ステップb)の第1の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第1のパターンを形成するステップと、
d)複数の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の状態の第2の放射線硬化性コーティング組成物をステップc)の少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第1のパターンに少なくとも部分的に塗布することにより、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンを形成するステップと、
e)ステップb)の前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)から選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に前記第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップであり、前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)が、ステップb)において使用される前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)と異なり、前記磁気アセンブリ(x00-b)の前記磁界発生装置(x40)の磁場方向が、前記基板(x10)の基準フレーム内において、前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)の前記磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対である、ステップと、
f)ステップe)の前記第2の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第2のパターンを形成するステップであり、前記光学効果層が、当該光学効果層の傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体の光学的印象を与える、ステップと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)及び/又は前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)が、
i)支持マトリクス(x34)、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のリング状双極子磁石である前記ループ状磁界発生装置(x31)、並びに1つ若しくは複数の磁極片(x33)を備えた前記磁界発生装置(x30)、並びにii)磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)である前記磁界発生装置(x40)、或いは、
ii)前記支持マトリクス(x34)、ループ状構成に配設され、それぞれの磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な4つ以上の双極子磁石(x31)の組合せである半径方向の磁化を有する前記ループ状磁界発生装置(x31)、及び磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向を有する2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた前記磁界発生装置(x30)、ii)磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である前記磁界発生装置(x40)であり、前記ループ状磁界発生装置(x31)を構成する前記4つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が前記基板(x10)表面側を向くか、又は、前記ループ状磁界発生装置(x31)を構成する前記4つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が前記基板(x10)表面側を向く、前記磁界発生装置(x40)、並びにiii)任意選択で1つ又は複数の磁極片(x50)、
を独立して備えた、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)の前記磁界発生装置(x30)が、前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)の前記磁界発生装置(x40)の上に配置され、前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)の前記磁界発生装置(x40)が、前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)の前記磁界発生装置(x30)の上に配置された、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)が、
i)前記支持マトリクス(x34)、磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のリング状双極子磁石である前記ループ状磁界発生装置(x31)、並びに1つ若しくは複数の磁極片(x33)を備えた前記磁界発生装置(x30)と、
ii)磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)である前記磁界発生装置(x40)と、
を備え、
前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)が、
i)前記支持マトリクス(x34)、ループ状構成に配設され、それぞれの磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な4つ以上の双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有する前記ループ状磁界発生装置(x31)、及び磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向を有する2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた前記磁界発生装置(x30)であり、前記ループ状磁界発生装置(x31)を構成する前記4つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が前記基板(x10)表面側を向くか、又は、前記ループ状磁界発生装置(x31)を構成する前記4つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が前記基板(x10)表面側を向く、前記磁界発生装置(x30)と、
ii)磁気軸が前記基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である前記磁界発生装置(x40)と、
iii)任意選択で1つ又は複数の磁極片(x50)と、
を備えた、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)の前記磁界発生装置(x30)が、前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)の前記磁界発生装置(x40)の上に配置され、前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)の前記磁界発生装置(x40)が、前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)の前記磁界発生装置(x30)の上に配置された、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップa)及び/又はステップd)が、印刷プロセスによって実行される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記複数の非球状磁性又は磁化可能粒子の少なくとも一部が、非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子により構成された、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が、前記第1の放射線硬化性コーティング組成物及び前記第2の放射線硬化性コーティング組成物において同じであるか、又は、前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が、前記第1の放射線硬化性コーティング組成物及び前記第2の放射線硬化性コーティング組成物においてサイズ及び/又は色特性に関して異なる、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が、前記第1の放射線硬化性コーティング組成物においておよそ2重量%~およそ40重量%の量だけ存在し、前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が、前記第2の放射線硬化性コーティング組成物においておよそ2重量%~およそ40重量%の量だけ存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が、前記第1の放射線硬化性コーティング組成物及び前記第2の放射線硬化性コーティング組成物において、およそ同じ量だけ存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
ステップc)が、ステップb)と一部同時に実行され、及び/又は、ステップf)が、ステップe)と一部同時に実行される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が、血小板状顔料粒子であり、当該プロセスが、前記放射線硬化性コーティング組成物を磁界発生装置の動的な磁界に曝露することにより、前記血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を2軸配向させるステップであり、ステップa)の後及びステップb)の前、並びに/又は、ステップd)の後及びステップe)の前に実行される、ステップをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1のコーティング層(x21)の前記1つ又は複数の第1のパターンの形状及び前記第2のコーティング層(x22)の前記1つ又は複数の第2のパターンの形状が、1つ又は複数のしるし、ドット、及び/又はラインを独立して表す、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、偽造及び違法複製に対する有価文書及び有価商品の保護の分野に関する。特に、本発明は、視角に応じたループ状の光学効果を示す光学効果層(OEL)、上記OELを生成する磁気アセンブリ及びプロセス、並びに文書上の偽造防止手段としての上記光学効果層の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]当技術分野においては、磁性又は磁化可能顔料粒子、特に非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子を含むインク、コーティング組成物、コーティング、又は層を用いることによって、セキュリティ要素及びセキュリティ文書を生成することが知られている。
【0003】
[003]例えばセキュリティ文書のセキュリティフィーチャは、「秘密」及び「公然」のセキュリティフィーチャに分類可能である。秘密のセキュリティフィーチャによる保護は、そのような特徴が隠蔽されており、検出には通常、特殊な機器及び知識が必要である、という概念に依拠している。一方、「公然」のセキュリティフィーチャは、人間の感覚のみで容易に検出可能であり、例えばそのような特徴の可視化及び/又は触覚による検出が可能でありながら、製造及び/又はコピーは依然として困難である。ただし、公然のセキュリティフィーチャの有効性は、そのセキュリティフィーチャとしての容易な認識に大きく依存している。ユーザは、このようなセキュリティフィーチャの存在及び性質に気付いている場合、そのセキュリティフィーチャに基づいて実際に安全確認を行うしかないためである。
【0004】
[004]配向磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング又は層については、例えば米国特許第2,570,856号、米国特許第3,676,273号、米国特許第3,791,864号、米国特許第5,630,877号、及び米国特許第5,364,689号に開示されている。コーティング中の磁性又は磁化可能顔料粒子によれば、対応する磁界の印加により、非固化コーティング中で磁性又は磁化可能顔料粒子を局所的に配向させた後、これらを固化させることによって、磁気誘導像、デザイン、及び/又はパターンを生成することができる。これにより、特定の光学効果すなわち偽造に対する耐性が高い固定磁気誘導像、デザイン、又はパターンが得られる。配向磁性又は磁化可能顔料粒子に基づくセキュリティ要素は、磁性若しくは磁化可能顔料粒子又は当該粒子を含む対応するインク若しくは組成物並びに上記インク若しくは組成物の塗布及び塗布インク若しくは組成物中の上記顔料粒子の配向に用いられる特定の技術の両者が利用可能な場合にのみ生成可能である。
【0005】
[005]移動リング効果が効率的なセキュリティ要素として開発されている。移動リング効果は、前記光学効果層の傾斜角に応じて任意のx-y方向に移動するように見える漏斗、円錐、ボウル、円、楕円、及び半球等の物体の光学的錯覚像から成る。移動リング効果を生む方法については、例えば欧州特許出願公開第1 710 756 A1号、米国特許第8,343,615号、欧州特許出願公開第2 306 222 A1号、欧州特許出願公開第2 325 677 A2号、及び米国特許出願公開第2013/084411号に開示されている。
【0006】
[006]国際公開第2011/092502 A2号は、視角の変化で見かけ上の移動リングを表示する移動リング像を生成する装置を開示している。開示の移動リング像は、軟磁化可能シートと、NS軸がコーティング層の平面に垂直であるとともに上記軟磁化可能シートの下側に配設された球状磁石との組合せにより発生した磁界によって磁性又は磁化可能粒子を配向可能な装置の使用により取得又は生成され得る。
【0007】
[007]従来技術の移動リング像は一般的に、唯一の回転又は固定磁石の磁界による磁性又は磁化可能粒子の整列によって生成される。唯一の磁石の磁力線は一般的に、比較的緩やかな屈曲すなわち低い曲率を呈しているため、磁性又は磁化可能粒子の配向の変化もOELの表面上で比較的緩やかである。さらに、単一の磁石のみが用いられる場合は、磁石からの距離の増加とともに磁界の強度が急激に低下する。このため、磁性又は磁化可能粒子の配向により極めて動的且つ明確に規定された特徴を得るのは難しく、リング縁部がぼやけた視覚効果となる可能性がある。
【0008】
[008]国際公開第2014/108404 A2号は、コーティング中に分散した複数の磁気配向非球状磁性又は磁化可能粒子を含む光学効果層(OEL)を開示している。開示のOELの特定の磁気配向パターンは、OELの傾斜に際して移動するループ状体の光学効果又は印象を観察者に与える。さらに、国際公開第2014/108404 A2号は、ループ状体の中央領域において、突起の光学効果又は印象をさらにもたらすOELを開示しており、上記の突起はループ状体に囲まれた中央領域の反射帯により生成される。開示の突起は、ループ状体に囲まれた中央領域に存在する半球等の3次元物体の印象を与える。
【0009】
[009]国際公開第2014/108303 A1号は、コーティング中に分散した複数の磁気配向非球状磁性又は磁化可能粒子を含む光学効果層(OEL)を開示している。開示のOELの特定の磁気配向パターンは、1つの共通中央領域を囲み、視角に応じた見かけ上の運動を示す複数の入れ子になったループ状体の光学効果又は印象を観察者に与える。さらに、国際公開第2014/108303 A1号は、最も内側のループ状体に囲まれ、これにより規定された中央領域を部分的に満たす突起をさらに含むOELを開示している。開示の突起は、中央領域に存在する半球等の3次元物体の錯覚を与える。
【0010】
[0010]国際公開第2017/064052 A1号、国際公開第2017/080698 A1号、及び国際公開第2017/148789 A1号は、磁気配向非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を基板上に生成するための磁気アセンブリ及びプロセスを開示しており、前記光学効果層は、当該光学効果層の傾斜によりサイズが変化する1つ又は複数のループ状体の光学的印象を与える。
【0011】
[0011]外観が変化して人目を引く動的なループ状効果であって、セキュリティ文書の向きに関わらず容易に確認可能であり、偽造者が利用可能な機器で大規模に製造することが難しく、非常に多くの考え得る形状及び形態にて提供可能である、ループ状効果を良い品質で基板上に表示するセキュリティフィーチャが依然として求められている。
【発明の概要】
【0012】
[0012]したがって、本発明は、上述の従来技術の不備を克服することを目的とする。
【0013】
[0013]第1の態様において、本発明は、光学効果層(OEL)(x20)を基板(x10)上に生成するプロセス及びこれにより得られる光学効果層(OEL)であって、当該プロセスが、
a)非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の状態の第1の放射線硬化性コーティング組成物を基板(x10)表面に塗布することにより、第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンを形成するステップと、
b)第1の放射線硬化性コーティング組成物を
i)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設され、磁気軸が結果的に基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(x31)、任意選択で1つ若しくは複数の磁極片(x33)、並びに/又は任意選択で支持マトリクス(x34)を備えた磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が結果的に基板(x10)表面と実質的に平行な2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、
i)支持マトリクス(x34)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設され、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(x31)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向を有する2つ以上の双極子磁石(x32)、並びに/又は1つ若しくは複数の磁極片(x33)を備えた磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、或いは、
i)支持マトリクス(x34)、単一のループ状磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の双極子磁石(x32)、又はそれぞれの磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界、
に曝露することにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるステップと、
c)ステップb)の第1の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第1のパターンを形成するステップと、
d)非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の状態の第2の放射線硬化性コーティング組成物をステップc)の少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第1のパターンに少なくとも部分的に塗布することにより、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンを形成するステップと、
e)ステップb)の第1の磁気アセンブリ(x00-a)から選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップであり、前記第2の磁気アセンブリ(x00-b)が、ステップb)において使用される前記第1の磁気アセンブリ(x00-a)と異なり、前記磁気アセンブリ(x00-b)の磁界発生装置(x40)の磁場方向が、基板(x10)の基準フレーム内において、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対である、ステップと、
f)ステップe)の第2の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第2のパターンを形成するステップと、
を含み、
光学効果層が、当該光学効果層の傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体の光学的印象を与え、
光学効果層が、当該光学効果層の傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体の光学的印象を与える、プロセス及び光学効果層(OEL)を提供する。
【0014】
[0014]別の態様において、本発明は、上記のプロセスにより作成された光学効果層(OEL)(x20)を提供する。
【0015】
[0015]別の態様において、偽造若しくは不正に対するセキュリティ文書の保護又は装飾用途のための光学効果層(OEL)(x20)の使用が提供される。
【0016】
[0016]別の態様において、本発明は、本明細書に記載のような1つ又は複数の光学効果層を備えたセキュリティ文書又は装飾要素若しくは装飾物体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明に係る、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)(120)を基板(110)上に生成するのに適したプロセスの例であり、a)非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の放射線硬化性コーティング組成物を基板(110)表面に塗布することにより、第1のコーティング層(121)の第1のパターンを形成するステップと、b)第1の放射線硬化性コーティング組成物を第1の磁気アセンブリ(100-a)の磁界に曝露することにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるステップと、c)ステップb)の第1の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した第1のパターンを形成するステップと、d)非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第2の放射線硬化性コーティング組成物をステップc)の少なくとも部分的に硬化した第1のパターンに少なくとも部分的に塗布することにより、第2のコーティング層(122)の第2のパターンを形成するステップと、e)第2の放射線硬化性コーティング組成物を第2の磁気アセンブリ(100-b)の磁界に曝露するステップと、f)ステップd)の第2の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した第2のパターンを形成するステップと、を含む、プロセスであって、図1A(左)が、第1のコーティング層(121)が第2のコーティング層(122)と同じサイズを有し、第2のコーティング層(122)が第1のコーティング層(121)を完全に覆う、すなわち、第2のコーティング層(122)が第1のコーティング層(121)に完全に重なるプロセスを模式的に示し、図1A(中央)及び図1A(右)が、第1のコーティング層(121)が第2のコーティング層(122)と異なるサイズを有し、特に、第2のコーティング層(122)が第1のコーティング層(121)よりも小さなサイズを有し、第2のコーティング層(122)が第1のコーティング層(121)を部分的に覆う、すなわち、第2のコーティング層(122)が第1のコーティング層(121)に部分的に重なるプロセスを模式的に示した図である。
図1B】本発明に係る、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)(120)を基板(110)上に生成するのに適したプロセスの一例であり、a)非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の放射線硬化性コーティング組成物を基板(110)表面に塗布することにより、第1のコーティング層(121)の2つの第1のパターン、特に2つの離隔した第1のパターンを形成するステップと、b)第1の放射線硬化性コーティング組成物を第1の磁気アセンブリ(100-a)の磁界に曝露することにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるステップと、c)ステップb)の第1の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した2つの第1のパターンを形成するステップと、d)非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第2の放射線硬化性コーティング組成物をステップc)の少なくとも部分的に硬化した2つの第1のパターンに少なくとも部分的に塗布することにより、第2のコーティング層(122)の第2のパターンを形成するステップと、e)第2の放射線硬化性コーティング組成物を第2の磁気アセンブリ(100-b)の磁界に曝露するステップと、f)ステップb)の第1の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した第2のパターンを形成するステップと、を含む、プロセスであって、図1Bが、第1のコーティング層(121)が第2のコーティング層(122)と異なるサイズを有し、第2のコーティング層(122)が第1のコーティング層(121)を部分的に覆うプロセスを模式的に示した図である。
図2】本発明に係るプロセスに適した第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)であって、前記プロセスが、第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために一方がステップb)において第1の磁気アセンブリ(x00-a)と併用され、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために他方がステップe)において第2の磁気アセンブリ(x00-b)と併用される前記磁気アセンブリのうちの2つを使用し、第2の磁気アセンブリ(x00-b)が第1の磁気アセンブリ(x00-a)と異なり、前記磁気アセンブリ(x00-b)の磁界発生装置(x40)の磁場方向が、基板(x10)の基準フレーム内において、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対である、第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を模式的に示した図である。
図2A】i)支持マトリクス(234)、磁気軸が基板(210)表面と実質的に垂直なループ状磁界発生装置(231)、特にリング状双極子磁石、及びループ状磁極片(233)、特にリング状磁極片(233)を備えた磁界発生装置(230)と、ii)磁気軸が基板(210)表面と実質的に平行な2つ以上、特に7つの双極子磁石(241)及び6つのスペーサ(242)を備えた磁界発生装置(240)とを備えた第1/第2の磁気アセンブリ(200-a、200-b)を模式的に示した図である。
図2B1図2Aの磁界発生装置(230)の模式底面図である。
図2B2図2Aの支持マトリクス(234)の断面を模式的に示した図である。
図3】本発明に係るプロセスに適した第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)であって、前記プロセスが、第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために一方がステップb)において第1の磁気アセンブリ(x00-a)と併用され、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために他方がステップe)において第2の磁気アセンブリ(x00-b)と併用される前記磁気アセンブリのうちの2つを使用し、第2の磁気アセンブリ(x00-b)が第1の磁気アセンブリ(x00-a)と異なり、前記磁気アセンブリ(x00-b)の磁界発生装置(x40)の磁場方向が、基板(x10)の基準フレーム内において、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対である、第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を模式的に示した図である。
図3A】i)支持マトリクス(334)、ループ状磁界発生装置(331)、特に、ループ状、特に正方形状構成に配設され、半径方向の磁化を有する4つの双極子磁石の組合せ、及び磁気軸が基板(310)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(332)、特に8つの双極子磁石を備えた磁界発生装置(330)と、i)磁気軸が基板(310)表面と実質的に平行な磁界発生装置(340)、特に単一の棒状双極子磁石とを備えた第1/第2の磁気アセンブリ(300-a、300-b)を模式的に示した図である。
図3B1図3Aの磁界発生装置(330)の模式上面図である。
図3B2図3Aの支持マトリクス(334)の線(D-D’)に沿った断面を模式的に示した図である。
図4】本発明に係るプロセスに適した第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)であって、前記プロセスが、第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために一方がステップb)において第1の磁気アセンブリ(x00-a)と併用され、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために他方がステップe)において第2の磁気アセンブリ(x00-b)と併用される前記磁気アセンブリのうちの2つを使用し、第2の磁気アセンブリ(x00-b)が第1の磁気アセンブリ(x00-a)と異なり、前記磁気アセンブリ(x00-b)の磁界発生装置(x40)の磁場方向が、基板(x10)の基準フレーム内において、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対である、第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を模式的に示した図である。
図4A】i)支持マトリクス(434)、ループ状磁界発生装置(431)、特に、ループ状、特に正方形状構成に配設され、半径方向の磁化を有する4つの双極子磁石の組合せ、及び磁気軸が基板(410)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(432)、特に19個の双極子磁石を備えた磁界発生装置(430)と、b)磁気軸が基板(410)表面と実質的に平行な磁界発生装置(440)、特に単一の棒状双極子磁石と、c)1つ又は複数の磁極片(450)、特に1つのディスク状磁極片(450)とを備えた第1/第2の磁気アセンブリ(400-a、400-b)を模式的に示した図である。
図4B1図4Aの磁界発生装置(430)の模式上面図である。
図4B2図4Aの支持マトリクス(434)の線(D-D’)に沿った断面を模式的に示した図である。
図5】本発明に係るプロセスに適した第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)であって、前記プロセスが、第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために一方がステップb)において第1の磁気アセンブリ(x00-a)と併用され、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンの非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるために他方がステップe)において第2の磁気アセンブリ(x00-b)と併用される前記磁気アセンブリのうちの2つを使用し、第2の磁気アセンブリ(x00-b)が第1の磁気アセンブリ(x00-a)と異なり、前記磁気アセンブリ(x00-b)の磁界発生装置(x40)の磁場方向が、基板(x10)の基準フレーム内において、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対である、第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を模式的に示した図である。
図5A】i)支持マトリクス(534)、磁気軸が基板(510)表面と実質的に垂直なループ状磁界発生装置(531)、特にリング状双極子磁石、及びループ状磁極片(533)、特にリング状磁極片(533)を備えた磁界発生装置(530)と、i)磁気軸が基板(510)表面と実質的に平行な2つ以上、特に7つの双極子磁石(541)及び6つのスペーサ(542)を備えた磁界発生装置(540)とを備えた第1/第2の磁気アセンブリ(500-a、500-b)を模式的に示した図である。
図5B1図5Aの磁界発生装置(530)の模式底面図である。
図5B2図5Aの支持マトリクス(534)の断面を模式的に示した図である。
図6】本発明に係る、図2図4に示す2つの異なる第1又は第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を順次使用するプロセスにより得られたOEL(620)を異なる視角で見た写真である。 Fig.6Aは、図2A図2B2に示す第1の磁気アセンブリ(200-a)及び図3A図3B2に示す第2の磁気アセンブリ(300-b)を使用するプロセスにより得られたOEL(620)を異なる視角で見た写真である。 Fig.6Bは、図2A図2B2に示す第1の磁気アセンブリ(200-a)及び図4A図4B2に示す第2の磁気アセンブリ(400-b)を使用するプロセスにより得られたOEL(620)を異なる視角で見た写真である。 Fig.6Cは、図2A図2B2に示す第1の磁気アセンブリ(200-a)及び図4A図4B2に示す第2の磁気アセンブリ(400-b)を使用するプロセスにより得られたOEL(620)を異なる視角で見た写真である。
図7図5A図5B2に示す第1の磁気アセンブリ(500-a)及び図4A図4Bに示す第2の磁気アセンブリ(400-b)を使用するプロセスにより得られた比較OELであって、第1の配向ステップにおいて使用される磁界発生装置(540)の磁場方向が、第2の配向ステップにおいて使用される磁界発生装置(440)の磁場方向と同じである、比較OELを異なる視角で見た写真である。
【詳細な説明】
【0018】
定義
[0017]以下の定義を用いることによって、本明細書及び特許請求の範囲に記載の用語の意味を解釈するものとする。
【0019】
[0018]本明細書において、不定冠詞「a」は、1つ及び2つ以上を示し、必ずしもその指示対象の名詞を単数に限定するものではない。
【0020】
[0019]本明細書において、用語「およそ(about)」は、対象とする量又は値が指定された特定の値又はその近傍の他の値であってもよいことを意味する。一般的に、ある値を示す用語「およそ」は、その値の±5%の範囲を示すことを意図している。一例として、表現「およそ100」は、100±5の範囲すなわち95~105の範囲を示す。一般的に、用語「およそ」を使用する場合は、本発明に係る類似の結果又は効果が指定値の±5%の範囲で得られることが予想され得る。
【0021】
[0020]用語「実質的に平行(substantially parallel)」は、平行整列からの逸脱が10°以下であることを表し、用語「実質的に垂直(substantially perpendicular)」は、垂直整列からの逸脱が10°以下であることを表す。
【0022】
[0021]本明細書において、用語「及び/又は(and/or)」は、前記群の要素のすべて又は1つだけが存在していてもよいことを意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両者」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しない可能性すなわち「AのみであってBではない」という可能性も網羅している。
【0023】
[0022]本明細書において、用語「備える(具備する、含む)(comprising)」は、非排他的且つオープンエンドであることを意図している。したがって、例えば化合物Aを含む湿し水は、A以外の他の化合物を含んでいてもよい。ただし、用語「備える(具備する、含む)」は、その特定の一実施形態として、「~から本質的に成る(consisting essentially of)」及び「~から成る(consisting of)」というより限定的な意味も網羅するため、例えば「A、B、及び任意選択でCを含む湿し水」は、A及びBから(本質的に)成っていてもよいし、A、B、及びCから(本質的に)成っていてもよい。
【0024】
[0023]用語「コーティング組成物(coating composition)」は、本発明の光学効果層(OEL)を固体基板上に形成可能であるとともに、印刷法によって優先的且つ非排他的に塗布可能な任意の組成物を表す。コーティング組成物は、少なくとも複数の非球状磁性又は磁化可能粒子及びバインダを含む。
【0025】
[0024]本明細書において、用語「光学効果層(optical effect layer:OEL)」は、少なくとも複数の磁気配向非球状磁性又は磁化可能粒子及びバインダを含み、非球状磁性又は磁化可能粒子の配向がバインダ内で固定又は停止(固定/停止)された2つの層の組合せを示す。
【0026】
[0025]用語「磁気軸(magnetic axis)」は、磁石の対応するNS極を接続するとともに、前記両極を通って延びた仮想線を示す。この用語には、如何なる特定の磁界方向も含まない。
【0027】
[0026]用語「磁界方向(magnetic field direction)」は、磁石の外部でN極からS極へと向かう磁界線に沿った磁界ベクトルの方向を示す(Handbook of Physics,Springer 2002の463~464頁参照)。
【0028】
[0027]用語「硬化(curing)」は、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子がそれぞれの現在位置及び配向に固定/停止されて移動も回転もできなくなる状態すなわち固化又は固体状態へと材料を変換する刺激に応答してコーティング組成物の粘度が高くなるプロセスを示すのに使用する。
【0029】
[0028]本明細書において「好適な」実施形態/特徴に言及する場合は、これら「好適な」実施形態/特徴の組合せについても、その「好適な」実施形態/特徴の組合せが技術的に有意である限り開示されているものと考えられる。
【0030】
[0029]本明細書において、用語「少なくとも(at least)」は、1つ又は2つ以上(例えば、1つ、2つ、又は3つ)を規定するものである。
【0031】
[0030]用語「セキュリティ文書(security document)」は、少なくとも1つのセキュリティフィーチャにより偽造又は不正に対して通例保護される文書を表す。セキュリティ文書の例としては、有価文書及び有価商品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
[0031]用語「セキュリティフィーチャ(security feature)」は、認証目的で使用可能な像、パターン、又は図形要素を示すのに使用する。
【0033】
[0032]用語「ループ状体(loop-shaped body)」は、それ自体で再結合することにより1つの中央暗領域を囲む閉ループ状体を構成する閉じた物体の視覚的印象をOELが観察者に与えるように非球状磁性又は磁化可能粒子が設けられたことを示す。「ループ状体」としては、円形、長円形、楕円形、正方形、三角形、長方形、又は任意の多角形を有し得る。ループ形状の例としては、リング又は円、長方形又は正方形(角丸の有無に依らず)、三角形(角丸の有無に依らず)、(正又は不規則)五角形(角丸の有無に依らず)、(正又は不規則)六角形(角丸の有無に依らず)、(正又は不規則)七角形(角丸の有無に依らず)、(正又は不規則)八角形(角丸の有無に依らず)、任意の多角形(角丸の有無に依らず)等が挙げられる。本発明において、ループ状体の光学的印象は、非球状磁性又は磁化可能粒子の配向によって形成される。
【0034】
[0033]本発明は、光学効果層(OEL)(x20)を基板(x10)上に生成するためのプロセス及びその得られた光学効果層(OEL)(x20)を提供し、このように得られた光学効果層(OEL)(x20)は、当該光学効果層を含む基板の傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体の光学的印象を観察者に与える。
【0035】
[0034]第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の磁界発生装置(x30)により生成された磁界及び磁界発生装置(x40)により生成された磁界はそれぞれ、磁気アセンブリの結果としての磁界中に配設され、傾斜によりサイズが変化するループ状体の光学効果層の光学的印象を与える未硬化の放射線硬化性コーティング組成物の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を磁気アセンブリの磁界が配向させ得るように相互作用する。このように得られた基板(x10)上の光学効果層の傾斜によりサイズが変化する異なるループ状体(例えば、一方が円、他方が正方形)の光学的印象をそれぞれ有するOEL(x20)の2つのコーティング層(x21、x22)の組合せは、光学効果層の傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体を示すOELの最終的な光学的印象を与える。一方、このように得られたOELの光学的印象では、基板の第1の方向の傾斜によって、第1の形状の第1のループ状体のサイズが小さくなるように認識され、同じ第1の方向の傾斜によって、第2の形状の第2のループ状体のサイズが大きくなるように認識され、基板を反対方向に傾斜させる場合には、その逆もまた同様である。組合せ効果の認識では、基板の第1の方向の傾斜によって、第1のループ状体が第2のループ状体の形状となるように認識される(それぞれの反対方向では、その逆もまた同様である)。このように得られたOELの光学的印象では、垂直な視角からある方向に基板が傾斜されると、ループ状体の第1の形状はサイズが小さくなり、別の第2の形状のサイズが大きくなるか、又は、ループ状体の第1の形状はサイズが大きくなり、別の第2の形状のサイズが小さくなる。図6のFig.6A~Fig.6Cは、本発明のプロセスに従って得られ、上述の通り、傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体の光学的印象を示す光学効果層(OEL)の例を示す。
【0036】
[0035]少なくとも本明細書に記載の光学効果層(OEL)(x20)は、少なくとも部分的に硬化した第1のコーティング層(x21)及び少なくとも部分的に硬化した第2のコーティング層(x22)により形成され、少なくとも部分的に硬化した第2のコーティング層(x22)は、少なくとも部分的に硬化した第1のコーティング層(x21)の上に少なくとも部分的に存在する。第1のコーティング層(x21)は、1つ又は複数の第1のパターンの形状を有し、第2のコーティング層(x22)は、1つ又は複数の第2のパターンの形状を有する。少なくとも部分的に硬化した第1のコーティング層(x21)の形状は、第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンの形状と同じであり、少なくとも部分的に硬化した第2のコーティング層(x22)の形状は、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンの形状と同じである。
【0037】
[0036]第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンの形状は、第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンの形状と同じであってもよいし、異なっていてもよい。本明細書に記載の第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターン及び第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンは、独立して連続していてもよいし、不連続であってもよい。第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンの形状及び第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンの形状は、1つ又は複数のしるし、ドット、及び/又はラインを独立して表しているのが好ましい。本明細書において、用語「しるし(indicia)」は、デザイン及びパターンを意味するものとし、記号、英数字記号、モチーフ、文字、単語、数字、ロゴ、及び図画を含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の基板(x10)上に第1のコーティング層(x21)の2つ以上の第1のパターン及び第2のコーティング層(x22)の2つ以上の第2のパターンが存在する場合、前記2つ以上の第1/第2のパターンは、それぞれ第1のコーティング層(x21)の空きエリア及び第2のコーティング層(x22)の空きエリアによって互いに離隔したライン、ドット、及び/又はしるしから独立して成っていてもよい。
【0038】
[0037]図1A及び図1Bに示すように、第1のコーティング層(x21)のサイズ及び前記第1のコーティング層(x21)の1つ又は複数の第1のパターンのサイズは、第2のコーティング層(x22)のサイズ及び前記第2のコーティング層(x22)の1つ又は複数の第2のパターンのサイズと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
[0038]図1A及び図1Bに示すように、第2のコーティング層(x22)は、第1のコーティング層(x21)の上に存在し、前記第2のコーティング層(x22)が第1のコーティング層(x21)を完全に覆っていてもよいし(図1A(左)参照)、第1のコーティング層(x21)を部分的に覆っていてもよい(図1A(中央)、図1A(右)、及び図1B参照)。
【0040】
[0039]例えば図1A及び図1Bに示すように、本発明は、本明細書に記載の光学効果層(OEL)(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための方法及びプロセス並びにその得られた光学効果層(OEL)(x20)を提供し、前記方法及びプロセスは、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の状態の放射線硬化性コーティング組成物を塗布する2つの独立ステップ(すなわち、ステップa)及びd))と、放射線硬化性コーティング組成物を磁気アセンブリ(100-a、100-b)の磁界に曝露することにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させる2つの独立ステップ(すなわち、ステップb)及びe))と、放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定する2つの独立ステップ(すなわち、ステップc)及びf))とを含む。
【0041】
[0040]本明細書に記載のプロセスは、a)塗布ユニット、好ましくは印刷ユニット、b)磁気配向ユニット、及びc)硬化ユニットを備えた装置上にて2つのパスで実行されるようになっていてもよく、磁気配向ユニットは、第1のパスにおいて第1の磁気アセンブリ(x00-a)を備え、第2のパスにおいて第2の磁気アセンブリ(x00-b)を備える。或いは、本明細書に記載のプロセスは、a)第1の塗布ユニット、好ましくは第1の印刷ユニット、b)第1の磁気アセンブリ(x00-a)を備えた第1の磁気配向ユニット、c)第1の硬化ユニット、d)第2の塗布ユニット、好ましくは第2の印刷ユニット、e)第2の磁気アセンブリ(x00-b)を備えた第2の磁気配向ユニット、及びf)第2の硬化ユニットを備えた装置上にて単一のパスで実行されるようになっていてもよい。本明細書に記載の磁気配向ユニットは、本明細書に記載の1つ又は複数の第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を含む回転磁気シリンダであって、本明細書に記載の前記1つ又は複数の第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)が周方向溝に取り付けられた、回転磁気シリンダから成っていてもよいし、本明細書に記載の1つ又は複数の第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を含む平台印刷ユニットであって、本明細書に記載の前記1つ又は複数の第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)が凹部に取り付けられた、平台印刷ユニットから成っていてもよい。本明細書に記載の回転磁気シリンダは、印刷若しくは被覆ユニット等の塗布ユニット中での使用、印刷若しくは被覆ユニット等の塗布ユニットとの併用、又は印刷若しくは被覆ユニット等の塗布ユニットの一部としての構成が意図されている。回転磁気シリンダは、高い印刷速度で連続動作する回転式、枚葉給紙式、又はウェブ給紙式の産業用印刷機の一部であってもよい。平台印刷ユニットは、非連続動作する枚葉給紙式の産業用印刷機の一部であってもよい。
【0042】
[0041]本明細書に記載のプロセスは、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む本明細書に記載の第1の状態の放射線硬化性コーティング組成物を塗布するステップa)及びステップd)を含む。本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第1の放射線硬化性コーティング組成物を基板(x10)表面に塗布することにより、本明細書に記載の第1のコーティング層(x21)の本明細書に記載の1つ若しくは複数の第1のパターンを形成するステップa)並びに/又は本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む第2の放射線硬化性コーティング組成物を基板(x10)表面に塗布することにより、本明細書に記載の第2のコーティング層(x22)の1つ若しくは複数の第2のパターンを形成するステップd)は、好ましくはスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、及び凹版印刷(当技術分野においては銅版凹版印刷及び鋼製金型凹版印刷とも称する)から成る群から選択され、より好ましくはスクリーン印刷、グラビア印刷、及びフレキソ印刷から成る群から選択される印刷プロセスにより独立して実行されるのが好ましい。
【0043】
[0042]本明細書に記載の基板(x10)表面又は少なくとも部分的に硬化した1つ若しくは複数の第1のパターンの少なくとも一部それぞれに対する本明細書に記載の第1の放射線硬化性コーティング組成物の塗布(ステップa))及び本明細書に記載の第2の放射線硬化性コーティング組成物の塗布(ステップd))の後、一部同時、又は同時に、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界及び第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界それぞれに対する放射線硬化性コーティング組成物(それぞれ、第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物)の曝露によって非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させることにより、各磁気アセンブリにより生成された磁界線に沿って非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を整列させる。
【0044】
[0043]本明細書に記載の磁界の印加により非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップ(ステップb)及びステップe))の後又は一部同時に、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の配向を固定又は停止する。このように特筆すべきこととして、第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は第1の状態すなわち液体又はペースト状態を有する必要があり、放射線硬化性コーティング組成物は十分に湿潤又は柔軟であるため、放射線硬化性コーティング組成物中に分散した非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、磁界への曝露により自由に移動、回転、及び/又は配向可能である。また、第2の硬化(例えば、固体)状態も有する必要があり、この場合の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、それぞれの位置及び配向で固定又は停止される。
【0045】
[0044]以上から、本明細書に記載の光学効果層(OEL)(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスは、ステップa)の第1の放射線硬化性コーティング組成物及びステップd)の第2の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するステップc)及びステップf)を独立して含む。第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるステップ(ステップa)及びd))は、本明細書に記載の磁界の印加により非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップ(ステップb)及びステップe))の後又は一部同時に独立して実行されるようになっていてもよい。第1の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第1のパターンを形成するステップ(ステップc))は、第1の放射線硬化性コーティング組成物を本明細書に記載の第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に曝露するステップ(ステップb))と一部同時に実行されるのが好ましい。第2の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させて第2の状態とすることにより、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子をそれぞれの選ばれた位置及び配向に固定するとともに、少なくとも部分的に硬化した1つ又は複数の第2のパターンを形成するステップ(ステップe))は、第2の放射線硬化性コーティング組成物を本明細書に記載の第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に曝露するステップ(ステップe))と一部同時に実行されるのが好ましい。本明細書に記載の光学効果層(OEL)(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスでは、ステップc)がステップb)と一部同時に実行され、ステップf)がステップe)と一部同時に実行されるのが好ましい。「一部同時」によって、両ステップの一部が同時に実行される。すなわち、各ステップの実行タイミングが部分的に重なることになる。本明細書に記載の背景において、配向ステップb)及び配向ステップe)それぞれと一部同時に硬化が実行される場合は、OELの完全又は部分的な固化の前に顔料粒子が配向するように、配向後に硬化が有効となることが理解される必要がある。
【0046】
[0045]第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物の第1及び第2の状態は、ある種の放射線硬化性コーティング組成物を用いることによって提供される。例えば、第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子以外の成分は、インク又はセキュリティ用途(例えば、紙幣印刷)に用いられるような放射線硬化性コーティング組成物の形態であってもよい。上述の第1及び第2の状態は、電磁放射線への曝露に応答して粘度が高くなる材料を用いることにより提供される。すなわち、流体のバインダ材料は、硬化又は凝固によって、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子がそれぞれの現在位置及び配向に固定されて、バインダ材料内で移動も回転もできなくなる第2の状態に変換される。
【0047】
[0046]当業者には既知の通り、基板等の表面上に塗布する放射線硬化性コーティング組成物に含まれる成分及び上記放射線硬化性コーティング組成物の物性は、放射線硬化性コーティング組成物の基板表面への移動に用いられるプロセスの要件を満たす必要がある。その結果、本明細書に記載の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物に含まれるバインダ材料は通常、当技術分野において既知の材料から選定されるとともに、第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物の塗布に用いられる被覆又は印刷プロセス及び選定された放射線硬化プロセスによって決まる。
【0048】
[0047]本明細書に記載の光学効果層(OEL)(x20)において、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、当該非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の配向を固定/停止する硬化バインダ材料を含む第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物中にそれぞれ分散している。硬化バインダ材料は、200nm~2500nmに含まれる様々な波長範囲の電磁放射線に対して、少なくとも一部が透明である。このように、バインダ材料は、少なくともその硬化又は固体状態(本明細書では第2の状態とも称する)において、200nm~2500nmすなわち通常「光学スペクトル」と称し、バインダ材料に含まれる硬化又は固体状態の粒子及びそれぞれの配向に応じた反射性がバインダ材料を通じて認識され得るように、電磁スペクトルの赤外、可視、及びUV部分を含む波長範囲内に含まれる様々な波長の電磁放射線に対して、少なくとも一部が透明である。硬化バインダ材料は、好ましくは200nm~800nm、より好ましくは400nm~700nmに含まれる様々な波長範囲の電磁放射線に対して、少なくとも一部が透明である。本明細書において、用語「透明(transparent)」は、該当する(1つ又は複数の)波長において、OEL(x20)(血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子は含まないが、OELのその他任意選択的な成分があれば、それらをすべて含む)に存在する硬化バインダ材料の20μmの層に対する電磁放射線の透過率が少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%であることを示す。これは、例えばDIN5036-3(1979-11)等の確立した試験方法に従って硬化バインダ材料(非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は含まず)の試験片の透過率を測定することによって決定可能である。OEL(x20)が秘密のセキュリティフィーチャとして機能する場合、選択した非可視波長を含む各照明条件下においてOEL(x20)が生成する(完全な)光学効果を検出するには通常、技術的な手段が必要となる。当該検出では、可視領域外(例えば、近UV領域)において入射放射線の波長が選択される必要がある。この場合、OEL(x20)は、入射放射線に含まれる可視スペクトルの外側の選択波長に応答して発光する発光性顔料粒子を含むのが好ましい。電磁スペクトルの赤外、可視、及びUV部分は、700~2500nm、400~700nm、及び200~400nmの波長範囲にそれぞれ略対応する。
【0049】
[0048]上述の通り、本明細書に記載の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、当該放射線硬化性コーティング組成物の塗布に用いられる被覆又は印刷プロセス及び選定された硬化プロセスによって決まる。第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物の硬化には、本明細書に記載のOEL(x20)を備えた物品の通常使用時に起こり得る(例えば、最大80℃の)単純な温度上昇では不可逆の化学反応を伴うのが好ましい。用語「硬化(curing)」又は「硬化性(curable)」は、塗布した放射線硬化性コーティング組成物中の少なくとも1つの成分が化学反応、架橋、又は重合によって開始物質よりも大きな分子量を有するポリマー材料に変化するプロセスを表す。放射線硬化では、硬化放射線への曝露により放射線硬化性コーティング組成物の粘度が瞬時に高くなり、顔料粒子の任意のさらなる移動が抑えられ、結果的に磁気配向ステップ後の任意の情報喪失が抑えられるため都合が良い。硬化ステップ(ステップc))は、好ましくはUV可視光放射線硬化を含む放射線硬化又は電子ビーム放射線硬化、より好ましくはUV可視光放射線硬化によって実行される。
【0050】
[0049]したがって、本発明に適した第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物としては、UV・可視光放射線(以下、UV・可視放射線硬化性と称する)又は電子ビーム放射線(以下、EBと称する)によって硬化可能な放射線硬化性組成物が挙げられる。放射線硬化性組成物は、当技術分野において既知であり、SITA Technology Limitedと提携したJohn Wiley & Sonsが1996年に4巻を発行したC.Lowe、G.Webster、S.Kessel、及びI.McDonaldによる「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints」シリーズ等の標準的な教科書に見られる。本発明の特に好適な一実施形態によれば、本明細書に記載の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、UV・可視放射線硬化性コーティング組成物である。
【0051】
[0050]第1及び第2のUV・可視放射線硬化性コーティング組成物は、ラジカル硬化性化合物及びカチオン硬化性化合物から成る群から選択される1つ又は複数の化合物を独立して含むのが好ましい。本明細書に記載の第1及び第2のUV・可視放射線硬化性コーティング組成物は、独立したハイブリッド系であってもよく、1つ若しくは複数のカチオン硬化性化合物並びに1つ若しくは複数のラジカル硬化性化合物の混合物を含む。カチオン硬化性化合物は、酸等のカチオン種を遊離させて硬化を開始することにより、モノマー及び/又はオリゴマーの反応及び/又は架橋によって放射線硬化性コーティング組成物を硬化させる1つ又は複数の光開始剤の放射による活性化を通常含むカチオン機構によって硬化する。ラジカル硬化性化合物は、1つ又は複数の光開始剤の放射によってラジカルを生成することにより重合を開始して放射線硬化性コーティング組成物を硬化させる活性化を通常含む遊離ラジカル機構によって硬化する。本明細書に記載の第1及び第2のUV・可視放射線硬化性コーティング組成物に含まれるバインダの作成に用いられるモノマー、オリゴマー、又はプレポリマーに応じて、異なる光開始剤を使用可能である。遊離ラジカル光開始剤の好適な例は、当業者に既知であり、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタル、α-アミノケトン、α-ヒドロキシケトン、ホスフィンオキシド、及びホスフィンオキシド誘導体のほか、これらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。カチオン光開始剤の好適な例は、当業者に既知であり、有機ヨードニウム塩(例えば、ジアリールヨードニウム塩)、オキソニウム(例えば、トリアリールオキソニウム塩)、及びスルホニウム塩(例えば、トリアリールスルホニウム塩)等のオニウム塩のほか、これらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有用な光開始剤の他の例は、G.Bradleyにより編集され、SITA Technology Limitedと提携したJohn Wiley & Sonsが1998年に発行したJ.V.Crivello及びK.Dietlikerによる「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints」第3巻の「Photoinitiators for Free Radical Cationic and Anionic Polymerization」第2版等の標準的な教科書に見られる。また、効率的な硬化を実現するため、1つ又は複数の光開始剤と併せて増感剤を含むのが好都合と考えられる。好適な光増感剤の代表例としては、イソプロピル-チオキサントン(ITX)、1-クロロ-2-プロポキシ-チオキサントン(CPTX)、2-クロロ-チオキサントン(CTX)、及び2,4-ジエチル-チオキサントン(DETX)、並びにこれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。UV・可視放射線硬化性コーティング組成物に含まれる1つ又は複数の光開始剤は、好ましくはおよそ0.1重量%~およそ20重量%、より好ましくはおよそ1重量%~およそ15重量%の総量で存在し、重量百分率は、UV・可視放射線硬化性コーティング組成物の総重量に基づく。
【0052】
[0051]本明細書に記載の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、1つ若しくは複数のマーカ物質若しくはタガント並びに/又は磁性材料(本明細書に記載の血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子とは異なる)、発光材料、導電材料、及び赤外線吸収材料から成る群から選択される1つ若しくは複数の機械可読材料をさらに独立して含んでいてもよい。本明細書において、用語「機械可読材料(machine readable material)」は、肉眼では確認できない少なくとも1つの特別な特性を示し、ある層に含めることによって、特定の認証用機器の使用により当該層又は当該層を含む物品を認証する方法を提供可能な材料を表す。
【0053】
[0052]本明細書に記載の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、有機顔料粒子、無機顔料粒子、及び有機色素から成る群から選択される1つ若しくは複数の着色成分並びに/又は1つ若しくは複数の添加剤をさらに独立して含んでいてもよい。後者としては、粘度(例えば、溶媒、増粘剤、及び界面活性剤)、稠度(例えば、硬化防止剤、充填剤、及び可塑剤)、起泡性(例えば、消泡剤)、潤滑性(ワックス、オイル)、UV安定性(光安定剤)、密着性、帯電防止特性、保存性(重合防止剤)等の放射線硬化性コーティング組成物の物理的、流動学的、及び化学的パラメータの調整に用いられる化合物及び材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の添加剤は、当該添加剤の寸法のうちの少なくとも1つが1~1000nmの範囲であるいわゆるナノ材料等、当技術分野において既知の量及び形態で放射線硬化性コーティング組成物中に存在していてもよい。
【0054】
[0053]本明細書に記載の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物の(1つ又は複数の)バインダ、(1つ又は複数の)光開始剤、(1つ又は複数の)マーカ物質、(1つ又は複数の)タガント、(1つ又は複数の)機械可読材料、(1つ又は複数の)着色成分、及び(1つ又は複数の)添加剤は、独立して同じであってもよいし、独立して異なっていてもよい。
【0055】
[0054]本明細書に記載の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を独立して含む。非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、好ましくはおよそ2重量%~およそ40重量%、より好ましくはおよそ4重量%~およそ30重量%の量だけ存在する。この重量百分率は、バインダ材料、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子、及び第1の放射線硬化性コーティング組成物のその他任意選択的な成分をそれぞれ含む第1の放射線硬化性コーティング組成物の総重量に基づく。非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、好ましくはおよそ2重量%~およそ40重量%、より好ましくはおよそ4重量%~およそ30重量%の量だけ存在する。この重量百分率は、バインダ材料、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子、及び第2の放射線硬化性コーティング組成物のその他任意選択的な成分をそれぞれ含む第2の放射線硬化性コーティング組成物の総重量に基づく。
【0056】
[0055]本発明の一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の放射線硬化性コーティング組成物及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を異なる量だけ含み、第1の放射線硬化性コーティング組成物においては、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が好ましくはおよそ2重量%~およそ40重量%、より好ましくはおよそ4重量%~およそ30重量%の量で存在し、第2の放射線硬化性コーティング組成物においては、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が好ましくはおよそ2重量%~およそ40重量%、より好ましくはおよそ4重量%~およそ30重量%の量で存在する。本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載の第1の放射線硬化性コーティング組成物及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、当該第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物において、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を略同じ量だけ含み、好ましくはおよそ2重量%~およそ40重量%、より好ましくはおよそ4重量%~およそ30重量%の量だけ含む。
【0057】
[0056]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、形状が非球状であることから、固化バインダ材料の少なくとも一部が透明である入射電磁放射線に対して非等方的な反射性を有するように規定されている。本明細書において、用語「非等方的な反射性(non-isotropic reflectivity)」は、第1の角度からの入射放射線が粒子により特定の(観察)方向(第2の角度)に反射される割合が粒子の配向の関数であること、つまり、第1の角度に対する粒子の配向の変化に応じて観察方向への反射の大きさが異なり得ることを示す。本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、粒子の配向の変化によって当該粒子による反射が特定の方向に変化するように、好ましくはおよそ200~およそ2500nm、より好ましくはおよそ400~およそ700nmの波長範囲の一部又は全部における入射電磁放射線に対して非等方的な反射性を有する。当業者には既知の通り、本明細書に記載の磁性又は磁化可能顔料粒子は、すべての視角について同じ色を示す従来の顔料粒子と異なり、上述の通り非等方的な反射性を示す。
【0058】
[0057]非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、扁長若しくは扁平な楕円体状、血小板状、若しくは針状の粒子、又はこれらの2つ以上の混合物であるのが好ましく、血小板状の粒子であるのがより好ましい。
【0059】
[0058]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の好適な例としては、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ガドリニウム(Gd),及びニッケル(Ni)から成る群から選択される磁性金属、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、及びこれらの2つ以上の混合物の磁性合金、クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、及びこれらの2つ以上の混合物の磁性酸化物、並びにこれらの2つ以上の混合物を含む顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。金属、合金、及び酸化物に関する用語「磁性(magnetic)」は、強磁性又はフェリ磁性金属、合金、及び酸化物を対象とする。クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、又はこれらの2つ以上の混合物の磁性酸化物は、純粋又は混合酸化物であってもよい。磁性酸化物の例としては、赤鉄鉱(Fe)、磁鉄鉱(Fe)、二酸化クロム(CrO)、磁性フェライト(MFe)、磁性スピネル(MR)、磁性ヘキサフェライト(MFe1219)、磁性オルソフェライト(RFeO)、磁性ガーネット(M(AO)等の鉄酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、Mは2価、Rは3価、Aは4価の金属を表す。
【0060】
[0059]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の例としては、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ガドリニウム(Gd),又はニッケル(Ni)等の磁性金属及び鉄、コバルト、又はニッケルの磁性合金のうちの1つ又は複数で構成された磁気層Mを含む顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。上記血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子は、1つ又は複数の別の層を含む多層構造であってもよい。1つ又は複数の別の層は、好ましくはフッ化マグネシウム(MgF)等の金属フッ化物、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、硫化亜鉛(ZnS)、及び酸化アルミニウム(Al)から成る群から選択される1つ又は複数の材料、より好ましくは二酸化ケイ素(SiO)で独立して構成された層A、金属及び金属合金、好ましくは反射性金属及び反射性金属合金、より好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、及びニッケル(Ni)から成る群から選択される1つ又は複数の材料、さらにより好ましくはアルミニウム(Al)で独立して構成された層B、或いは上述のような1つ又は複数の層A並びに上述のような1つ又は複数の層Bの組合せである。上述の多層構造である血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の一般的な例としては、A/M多層構造、A/M/A多層構造、A/M/B多層構造、A/B/M/A多層構造、A/B/M/B多層構造、A/B/M/B/A多層構造、B/M多層構造、B/M/B多層構造、B/A/M/A多層構造、B/A/M/B多層構造、B/A/M/B/A多層構造が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、層A、磁気層M、及び層Bは、上述の層から選定される。
【0061】
[0060]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部は、非球状光学可変磁性若しくは磁化可能顔料粒子並びに/又は光学可変特性を持たない非球状磁性若しくは磁化可能顔料粒子で構成されていてもよい。本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部は、非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子によって構成されているのが好ましい。非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子の変色特性によってもたらされる公然のセキュリティは、本明細書に記載の非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子を含むインク、放射線硬化性コーティング組成物、コーティング、又は層を有する物品又はセキュリティ文書を人間の感覚のみで容易に検出、認識、及び/又はその考え得る偽造品から識別可能であるが、これに加えて、血小板状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子の光学特性をOEL認識用の機械可読ツールとして使用するようにしてもよい。したがって、顔料粒子の光学(例えば、スペクトル)特性を解析する認証プロセスにおいては、秘密又は準秘密のセキュリティフィーチャとして、非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子の光学特性を同時に使用するようにしてもよい。OEL(x20)を生成する放射線硬化性コーティング組成物に非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子を使用すると、前記OELのセキュリティ文書用途におけるセキュリティフィーチャとしての意義が高くなる。このような材料(すなわち、非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子)は、セキュリティ文書印刷業のためのものであって、一般には市販されていないためである。
【0062】
[0061]さらに、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、その磁性により機械可読であるため、これらの顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、例えば特定の磁気検出器により検出されるようになっていてもよい。したがって、本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、セキュリティ文書の秘密又は準秘密のセキュリティ要素(認証ツール)として使用可能である。
【0063】
[0062]上述の通り、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、少なくとも一部が非球状光学可変磁性又は磁化可能顔料粒子によって構成されているのが好ましい。これらは、非球状磁性薄膜干渉顔料粒子、非球状磁性コレステリック液晶顔料粒子、磁性材料を含む非球状干渉被覆顔料粒子、及びこれらの2つ以上の混合物から成る群から選択可能であるのがより好ましい。
【0064】
[0063]磁性薄膜干渉顔料粒子については、当業者に既知であって、例えば米国特許第4,838,648号、国際公開第2002/073250 A2号、欧州特許第0 686 675 B1号、国際公開第2003/000801 A2号、米国特許第6,838,166号、国際公開第2007/131833 A1号、欧州特許出願公開第2 402 401 A1号、及びこれらの引用文献に開示されている。磁性薄膜干渉顔料粒子は、5層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子及び/又は6層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子及び/又は7層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子を含んでいるのが好ましい。
【0065】
[0064]好ましい5層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造から成り、反射体及び/又は吸収体が磁性層でもあり、好ましくは反射体及び/又は吸収体が、ニッケル、鉄、及び/若しくはコバルト、ニッケル、鉄、及び/若しくはコバルトを含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む磁気層である。
【0066】
[0065]好ましい6層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/誘電体/吸収体の多層構造から成る。
【0067】
[0066]好ましい7層ファブリペロー多層構造は、米国特許第4,838,648号に開示されているような吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造から成る。
【0068】
[0067]本明細書に記載の反射体層は、金属及び金属合金から成る群から選択され、好ましくは反射性金属及び反射性金属合金から成る群から選択され、より好ましくはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金から成る群から選択され、さらにより好ましくはアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金から成る群から選択される1つ又は複数の材料、なおより好ましくはアルミニウム(Al)で独立して構成されているのが好ましい。誘電体層は、好ましくはフッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化アルミニウムナトリウム(例えば、NaAlF)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)等の金属フッ化物、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)等の金属酸化物から成る群から選択され、より好ましくはフッ化マグネシウム(MgF)及び二酸化ケイ素(SiO)から成る群から選択される1つ又は複数の材料、なおより好ましくはフッ化マグネシウム(MgF)で独立して構成されている。吸収体層は、好ましくはアルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、これらの金属酸化物、金属硫化物、金属炭化物、及び金属合金から成る群から選択され、より好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、これらの金属酸化物、及び金属合金から成る群から選択され、さらにより好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの金属合金から成る群から選択される1つ又は複数の材料で独立して構成されている。磁気層は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含むのが好ましい。7層ファブリペロー構造を含む磁性薄膜干渉顔料粒子が好ましい場合は、磁性薄膜干渉顔料粒子がCr/MgF/Al/M/Al/MgF/Cr多層構造から成る7層ファブリペロー吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造を有するのが特に好ましく、Mは、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む磁気層である。
【0069】
[0068]本明細書に記載の磁性薄膜干渉顔料粒子は、人間の健康及び環境に対して安全と考えられ、例えば5層ファブリペロー多層構造、6層ファブリペロー多層構造、及び7層ファブリペロー多層構造に基づく多層顔料粒子であってもよく、前記顔料粒子は、およそ40重量%~およそ90重量%の鉄、およそ10重量%~およそ50重量%のクロム、及びおよそ0重量%~およそ30重量%のアルミニウムを含む実質的にニッケルを含まない組成の磁性合金を含む1つ又は複数の磁気層を備える。人間の健康及び環境に対して安全と考えられる多層顔料粒子の一般的な例は、欧州特許出願公開第2 402 401 A1号に見られるため、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0070】
[0069]本明細書に記載の磁性薄膜干渉顔料粒子は通常、ウェブ上への異なる所要層の従来堆積技術によって製造される。例えば物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、又は電解析出によって所望数の層を堆積させた後は、好適な溶媒中での剥離層の溶解又はウェブからの材料の剥離によって層スタックをウェブから除去する。そして、このように得られた材料を粉砕することにより血小板状の顔料粒子が得られるが、これは、研削、ミル加工(例えば、ジェットミル加工プロセス等)、又は任意の好適な方法でさらに処理して所要サイズの顔料粒子を得る必要がある。得られる製品は、縁部が破砕され、形状が不規則で、アスペクト比が異なる平らな血小板状顔料粒子から成る。好適な血小板状磁性薄膜干渉顔料粒子の作成に関するさらなる情報については、例えば欧州特許出願公開第1 710 756 A1号及び欧州特許出願公開第1 666 546 A1号に見られるが、これらを本明細書に援用する。
【0071】
[0070]光学可変特性を示す好適な磁性コレステリック液晶顔料粒子としては、磁性単層コレステリック液晶顔料粒子及び磁性多層コレステリック液晶顔料粒子が挙げられるが、これらに限定されない。このような顔料粒子については、例えば国際公開第2006/063926 A1号、米国特許第6,582,781号、及び米国特許第6,531,221号に開示されている。国際公開第2006/063926 A1号は、高い輝度及び変色特性のほか、磁化可能性等の特定の特性を有する単層及び当該単層から得られた顔料粒子を開示している。この開示の単層及び当該単層の粉砕により得られた顔料粒子は、3次元架橋したコレステリック液晶混合物及び磁性ナノ粒子を含む。米国特許第6,582,781号及び米国特許第6,410,130号は、配列がA/B/Aのコレステリック多層顔料粒子を開示している。ここで、A及びAは、同じであってもよいし異なっていてもよく、それぞれ少なくとも1つのコレステリック層を含む。Bは、層A及びAから送られた光の全部又は一部を吸収するとともに磁気特性を付与する中間層である。米国特許第6,531,221号は、配列がA/Bであり、任意選択でCを含む血小板状のコレステリック多層顔料粒子を開示している。ここで、A及びCは、磁気特性を付与する顔料粒子を含む吸収層であり、Bはコレステリック層である。
【0072】
[0071]1つ又は複数の磁性材料を含む好適な干渉被覆顔料としては、1つ又は複数の層で被覆されたコアから成る群から選択される基板から成る構造が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、上記コア又は1つ若しくは複数の層の少なくとも一方は、磁気特性を有する。例えば、好適な干渉被覆顔料は、上記のような磁性材料で構成されたコアであって、1つ又は複数の金属酸化物で構成された1つ又は複数の層で被覆された、コアを含むか、合成又は天然雲母、層状ケイ酸塩(例えば、タルク、カオリン、及び絹雲母)、ガラス(例えば、ホウケイ酸塩)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、グラファイト、及びこれらの2つ以上の混合物で構成されたコアから成る構造を有する。さらに、着色層等の1つ又は複数の別の層が存在していてもよい。
【0073】
[0072]本明細書に記載の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子は、放射線硬化性コーティング組成物に生じ得る任意の劣化に対する保護及び/又は放射線硬化性コーティング組成物への組み込みの容易化のために表面処理されていてもよく、通常は、腐食防止材料及び/又は湿潤剤が用いられるようになっていてもよい。
【0074】
[0073]本発明の一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の放射線硬化性コーティング組成物及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、例えば光学可変特性を含むサイズ及び/又は色特性に関して、本明細書に記載の異なる非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む。本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載の第1の放射線硬化性コーティング組成物及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、例えば光学可変特性を含むサイズ及び/又は色特性に関して、本明細書に記載の同じ非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む。本発明の一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の放射線硬化性コーティング組成物及び第2の放射線硬化性コーティング組成物は、同じである。
【0075】
[0074]一実施形態によれば、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子が血小板状顔料粒子であることを前提として、本明細書に記載の光学効果層を生成するためのプロセスは、磁界発生装置の動的な磁界に対して本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物を曝露することにより、血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を2軸配向させる1つ又は2つのステップをさらに含んでいてもよい。一実施形態によれば、このプロセスは、磁界発生装置の動的な磁界に対して第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露することにより、血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を2軸配向させるステップであって、ステップa)の後且つステップb)の前に実行される、前記ステップ及び/又は磁界発生装置の動的な磁界に対して第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露することにより、血小板状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を2軸配向させるステップであって、ステップd)の後且つステップe)の前に実行される、前記ステップをさらに含む。
【0076】
[0075]第2の磁界発生装置に対してコーティング組成物をさらに曝露するステップの前に、第1の磁界発生装置の動的な磁界に対してコーティング組成物を曝露することにより、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を2軸配向させるこのようなステップを含むプロセスは、国際公開第2015/086257 A1号に開示されている。本明細書に記載の第1の磁界発生装置の動的な磁界に対する放射線硬化性コーティング組成物の曝露の後、内部の血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子がさらに移動及び回転し得るように放射線硬化性コーティング組成物が依然として湿潤又は柔軟な間に、本明細書に記載の第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の磁界を用いて、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子をさらに再配向させる。
【0077】
[0076]2軸配向を実行することは、2つの主軸が拘束されるように血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を配向させることを意味する。すなわち、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子はそれぞれ、顔料粒子の面内に長軸を有し、顔料粒子の面内に直交する短軸を有するものと考えられる。血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の長軸及び短軸はそれぞれ、動的な磁界に従って配向される。実用上は、これにより、空間中で互いに近く隣接する血小板状磁性顔料粒子が本質的に相互平行となる。2軸配向を実行するため、血小板状磁性顔料粒子は、時間に強く依存する外部磁界を受ける必要がある。言い換えれば、2軸配向によって、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の平面が(全方向に)隣接する顔料粒子の平面に対して本質的に平行となるように配向するように、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の平面が整列される。一実施形態において、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の平面の上記長軸及び当該長軸に垂直な短軸はいずれも、(全方向に)隣接する顔料粒子の長軸及び短軸が互いに整列するように、動的な磁界によって配向される。
【0078】
[0077]一実施形態によれば、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の2軸配向を実行するステップによって、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の2つの主軸が基板表面に対して実質的に平行となる磁気配向が得られる。このような整列の場合、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子は、基板上の放射線硬化性コーティング組成物内で平坦化しており、基板表面と平行なそれぞれのX軸及びY軸(国際公開第2015/086257 A1号の図1に示す)の両者で配向している。
【0079】
[0078]別の実施形態によれば、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の2軸配向を実行するステップによって、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子が基板表面と実質的に平行なXY平面内の第1の軸と、基板表面に対して実質的に非ゼロの仰角で上記第1の軸と垂直な第2の軸とを有する磁気配向が得られる。
【0080】
[0079]別の実施形態によれば、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の2軸配向を実行するステップによって、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子のXY平面が仮想回転楕円体表面に対して平行となる磁気配向が得られる。
【0081】
[0080]血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる特に好ましい磁界発生装置は、欧州特許出願公開第2 157 141 A1号に開示されている。欧州特許出願公開第2 157 141 A1号に開示の磁界発生装置は、X軸及びY軸という両主軸が基板表面に対して平行になるまで血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を急激に振動させる方向を変化させる動的な磁界を与える。すなわち、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子は、基板表面に平行なX軸及びY軸との安定したシート状構成になり、前記2つの次元で平坦化するまで回転する。
【0082】
[0081]血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる特に好ましい他の磁界発生装置は、直線状の永久磁石ハルバッハ配列すなわち磁化方向が異なる複数の磁石を備えたアセンブリを含む。ハルバッハ永久磁石の詳細な説明は、Z.Q.Zhu及びD.Howe(Halbach permanent magnet machines and applications:a review,IEE.Proc.Electric Power Appl.,2001,148,p.299-308)によって与えられている。このようなハルバッハ配列により生成される磁界は、一方側に集中し、他方側ではほぼゼロまで弱まる特性を有する。同時係属の欧州特許出願第14195159.0号は、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる好適な装置であって、ハルバッハ円筒アセンブリを備えた、装置を開示している。血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる特に好ましい他の磁界発生装置は、回転磁石であり、それぞれの直径に沿って本質的に磁化されるディスク状の回転磁石又は磁気アセンブリを含む。好適な回転磁石又は磁気アセンブリは、米国特許出願公開第2007/0172261 A1号に記載されており、半径方向に対称的な時間可変磁界を発生させることによって、未固化コーティング組成物の血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子の2軸配向が可能になる。これらの磁石又は磁気アセンブリは、外部のモータに接続されたシャフト(又は、スピンドル)によって駆動される。中国特許第102529326 B号は、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させるのに適し得る回転磁石を備えた磁界発生装置の例を開示している。好適な一実施形態において、血小板状の磁性又は磁化可能顔料粒子を2軸配向させる好適な磁界発生装置は、非磁性材料、好ましくは非導電性材料で構成されたハウジング中に拘束されたシャフトのないディスク状回転磁石又は磁気アセンブリであり、ハウジングに巻回された1つ又は複数の磁石ワイヤコイルによって駆動される。このようにシャフトのないディスク状回転磁石又は磁気アセンブリの例は、国際公開第2016/026896 A1号に開示されている。
【0083】
[0082]本明細書に記載の基板(x10)は、紙又はセルロース、紙含有材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチック、及びポリマー等のその他の繊維材料、金属化プラスチック若しくはポリマー、複合材、並びにこれらの混合物又は組合せから成る群から選択されるのが好ましい。代表的な紙、紙状、又はその他の繊維材料は、アバカ、綿、麻、木材パルプ、及びこれらの混合等、様々な繊維で構成されるが、これらに限定されない。当業者には周知の通り、紙幣には綿及び綿/麻混合が好ましく、紙幣以外のセキュリティ文書には、木材パルプが一般的に用いられている。プラスチック及びポリマーの代表例としては、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレン 2,6-ナフトエート)(PEN)等のポリエステル、並びにポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。基板(x10)としては、例えばTyvek(登録商標)という商標で販売されているスパンボンドオレフィン繊維も使用可能である。金属化プラスチック又はポリマーの代表例としては、表面に連続的又は不連続的に配設された金属を有する上述のプラスチック又はポリマー材料が挙げられる。金属の代表例としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、これらの組合せ、又はこれら金属の2つ以上の合金が挙げられるが、これらに限定されない。上述のプラスチック又はポリマー材料の金属化は、電着プロセス、高真空被覆プロセス、又はスパッタリングプロセスによって行われるようになっていてもよい。複合材の代表例としては、紙及び上記のような少なくとも1つのプラスチック若しくはポリマー材料の多層構造又は積層並びに上記のような紙状又は繊維材料に組み込まれたプラスチック及び/若しくはポリマー繊維等が挙げられるが、これらに限定されない。当然のことながら、基板(x10)には、サイジング剤、漂白剤、加工助剤、補強又は湿潤増強剤等、当業者に既知の別の添加剤を含むことも可能である。本明細書に記載の基板(x10)は、ウェブ(例えば、上述の材料の連続シート)の形態又はシートの形態で提供されるようになっていてもよい。本発明に従って生成されたOEL(x20)がセキュリティ文書上にある場合は、当該セキュリティ文書の偽造及び違法複製に対するセキュリティレベル及び耐性をさらに高くすることを目的として、上記基板(x10)は、印刷、被覆、レーザマーキング、又はレーザ穿孔しるし、透かし、セキュリティスレッド、繊維、プランシェット、発光化合物、窓、箔、デカール、及びこれらの2つ以上の組合せを備えていてもよい。セキュリティ文書の偽造及び違法複製に対するセキュリティレベル及び耐性をさらに高くするという同じ目的で、上記基板(x10)は、1つ又は複数のマーカ物質若しくはタガント並びに/又は機械可読物質(例えば、発光物質、UV/可視/IR吸収物質、磁性物質、及びこれらの組合せ)を含んでいてもよい。
【0084】
[0083]また、本明細書には、本明細書に記載のように硬化した第1の放射線硬化性コーティング組成物中で配向した非球状磁性又は磁化可能顔料粒子及び硬化した第2の放射線硬化性コーティング組成物中で配向した非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含む本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)を記載している。
【0085】
[0084]第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)それぞれについて、磁界発生装置(x30)により生成された磁界及び磁界発生装置(x40)により生成された磁界は、第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の結果としての磁界がそれぞれ、第1/第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)それぞれの磁界中に配設されて光学効果層(x10)の傾斜によりサイズが変化する1つ又は複数のループ状体の光学的印象を生成する未硬化の第1及び第2の放射線硬化性コーティング組成物中の非球状磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を独立して配向可能となるように相互作用する。
【0086】
[0085]好適な磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)が国際公開第2017/064052 A1号、国際公開第20170/80698 A1号、及び国際公開第2017/148789 A1号に開示されており、これらのすべての内容を本明細書に援用する。
【0087】
[0086]図2図5は、2つの独立した配向ステップ(ステップb)及びe))での使用に際して、本明細書に記載の光学効果層(OEL)(x20)を生成するのに適した磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)であって、本明細書に記載の磁界発生装置(x30)及び磁界発生装置(x40)を備えた、磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の例を示している。
【0088】
[0087]本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(x31)を備えた本明細書に記載の磁界発生装置(x30)を備える。ループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せの代表例としては、円形のループ状構成に配設された2つの双極子磁石の組合せ、三角形のループ状構成に配設された3つの双極子磁石の組合せ、又は正方形若しくは長方形のループ状構成に配設された4つの双極子磁石の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
[0088]いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、本明細書に記載の支持マトリクス(x34)をさらに備えた本明細書に記載の磁界発生装置(x30)を備える。本明細書に記載の支持マトリクス(x34)は、本明細書に記載の磁界発生装置(x30)に備えられたすべての部分すなわちループ状磁界発生装置(x31)、単一の双極子磁石(x32)若しくは2つ以上の双極子磁石(x32)(存在する場合)、並びに1つ若しくは複数の磁極片(x33)(存在する場合)を一体的に保持する。特に、本明細書に記載の支持マトリクス(x34)は、単一のループ状磁界発生装置(x31)により規定されるとともに離隔したループ内又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石により規定されるとともに離隔したループ内に単一の双極子磁石(x32)又は2つ以上の双極子磁石(x32)を保持する。ループ状磁界発生装置(x31)は、支持マトリクス(x34)内で対称的に配設されていてもよいし、支持マトリクス(x34)内で非対称的に配設されていてもよい。
【0090】
[0089]本明細書に記載の支持マトリクス(x34)は、本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)、本明細書に記載の単一の双極子磁石(x32)若しくは2つ以上の双極子磁石(x32)(存在する場合)、並びに1つ若しくは複数の磁極片(x33)(存在する場合)を受容する1つ又は複数の窪み又は溝を備える。
【0091】
[0090]本明細書に記載の磁界発生装置(x30)の支持マトリクス(x34)は、1つ又は複数の非磁性材料で構成されている。非磁性材料は、例えば産業用プラスチック及びポリマー、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、及びオーステナイト鋼(すなわち、非磁性鋼)等、低導電性材料、非導電性材料、及びこれらの混合物から成る群から選択されるのが好ましい。産業用プラスチック及びポリマーとしては、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)とその誘導体であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、コポリエーテルエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマー、フッ素化及び過フッ素化ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、並びに液晶ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン(Nylon)(登録商標)(ポリアミド)、及びPPSである。
【0092】
[0091]本明細書に記載の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである本明細書に記載の磁界発生装置(x40)を備える。磁界発生装置(x40)が2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである場合、当該2つ以上の棒状双極子磁石(x41)は、非磁性材料で構成された1つ又は複数のスペーサ片(x42)により分離されていてもよいし、非磁性材料で構成された支持マトリクス中に含まれていてもよい。非磁性材料は、支持マトリクス(x34)に関して与えられた材料から選択されるのが好ましい。
【0093】
[0092]第1の配向ステップ(ステップb))及び第2の配向ステップ(ステップe))において、磁界発生装置(x30)の上面又は磁界発生装置(x40)の上面(すなわち、基板(x10)表面に最も近い部分)と当該磁界発生装置(x30)又は当該磁界発生装置(x40)に面する基板(x10)の表面との間の距離(h)は独立して、好ましくはおよそ0.1~およそ10mm、より好ましくはおよそ0.2~およそ5mmである。
【0094】
[0093]第1の配向ステップ(ステップb))及び第2の配向ステップ(ステップe))において、磁界発生装置(x30)と磁界発生装置(x40)との間の距離(d)は独立して、およそ0~およそ10mm、好ましくはおよそ0~およそ3mmの範囲に含まれていてもよい。
【0095】
磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の第1の実施形態
[0094]第1の実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、
i)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設され、磁気軸が結果的に基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(x31)を備えた磁界発生装置(x30)であり、本明細書に記載のような支持マトリクス(x34)及び本明細書に記載のような1つ又は複数の磁極片(x33)をさらに備え得る、磁界発生装置(x30)と、
ii)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が結果的に基板(x10)表面と実質的に平行な2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)と、を備える。磁界発生装置(x40)が、磁気軸が結果的に基板(x10)表面と実質的に平行な2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである場合、前記2つ以上の棒状双極子磁石(x41)は、対称構成に配置されていてもよいし、非対称構成に配置されていてもよい。2つ以上の棒状双極子磁石(x41)は、すべてが同じ磁場方向を有するのが好ましい。すなわち、すべてのN極が同じ方向を向いているのが好ましい。
【0096】
[0095]磁界発生装置(x30)が磁界発生装置(x40)の上に配置されていてもよいし、或いは、磁界発生装置(x40)が磁界発生装置(x30)の上に配置されていてもよい。磁界発生装置(x30)と磁界発生装置(x40)との間の距離(d)は、およそ0~およそ10mm、好ましくはおよそ0~およそ3mmの範囲に含まれていてもよい。
【0097】
[0096]図2A図2B図5A、及び図5Bに示す一実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な本明細書に記載の単一のループ状、特にリング状双極子磁石であるループ状磁界発生装置(x31)、及びi-3)本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x33)、特に1つ又は複数のループ状磁極片を備えた本明細書に記載の磁界発生装置(x30)であり、前記1つ又は複数のループ状、特にリング状磁極片がループ状磁界発生装置(x31)のループ内で対称的に配設された、磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する本明細書に記載の2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)であり、2つ以上の棒状双極子磁石(x41)が本明細書に記載の1つ又は複数のスペーサ片(x42)により分離されていてもよく、磁界発生装置(x30)が上に配置された、磁界発生装置(x40)とを備える。
【0098】
[0097]図2A図2B図5A、及び図5Bは、本明細書に記載の第1の配向ステップ(ステップb))又は第2の配向ステップ(ステップe))に適した磁気アセンブリ(200-a、200-b/500-a、500-b)であって、磁界発生装置(230/530)及び磁界発生装置(240/540)を備えた、磁気アセンブリ(200-a、200-b/500-a、500-b)の例を示している。
【0099】
[0098]図2A及び図5Aの磁気アセンブリ(200-a、200-b/500-a、500-b)は、本明細書に記載の2つ以上の棒状双極子磁石(241/641)の組合せである磁界発生装置(240/540)であって、磁界発生装置(230/630)の下方に配設された、磁界発生装置(240/540)を備えており、2つ以上の棒状双極子磁石(241/541)はそれぞれ、基板(210/510)表面に対して実質的に平行な磁気軸を有し、N極が同じ方向を向いている。
【0100】
[0099]磁界発生装置(240/540)は、2つ以上の棒状双極子磁石(241/541)(図2A及び図5Aでは7つの棒状双極子磁石)並びに1つ若しくは複数のスペーサ片(242/542)(図2A及び図5Aでは6つのスペーサ片)の組合せであり、支持マトリクス(x34)に関して本明細書に記載のような非磁性材料で構成されている。図2A及び図5Aに示すように、2つ以上の棒状双極子磁石(241/541)及びスペーサ片(242/542)の配置は、非対称的であってもよい。
【0101】
[00100]図2Aに示すように、2つ以上の棒状双極子磁石(241)はそれぞれ、長さ(B1)、幅(B2)、及び厚さ(B3)を有する直方体であってもよい。スペーサ片(242)はそれぞれ、長さ(B4)、幅(B5)、及び厚さ(B6)を有する直方体であってもよい。図5Aに示すように、2つ以上の棒状双極子磁石(541)はそれぞれ、長さ(L1)、幅(L2a)、及び厚さ(L3)を有する直方体であってもよい。スペーサ片(542)はそれぞれ、長さ、幅(L2b)、及び厚さ(L3)を有する直方体であってもよい。
【0102】
[00101]図2Aに示すように、磁界発生装置(230)は、支持マトリクス(234)を備えており、これは、長さ(A6)、幅(A7)、及び厚さ(A8)を有する直方体であってもよい。図5Aに示すように、磁界発生装置(530)は、支持マトリクス(534)を備えており、これは、長さ(L4)、幅(L5)、及び厚さ(L6)を有する直方体であってもよい。
【0103】
[00102]図2A及び図5Aに示すように、図2A及び図5Aの磁界発生装置(230/530)は、支持マトリクス(234/534)、リング状双極子磁石(231/531)であるループ状磁界発生装置、並びに1つ若しくは複数のループ状磁極片(233/533)、特に、本明細書に記載のような1つのリング状磁極片を備える。リング状双極子磁石(231)であるループ状磁界発生装置は、外径(A1)、内径(A2)、及び厚さ(A5)を有する。リング状双極子磁石(531)であるループ状磁界発生装置は、外径(L7)、内径(L8)、及び厚さ(L9)を有する。リング状双極子磁石(231/531)の磁気軸は、磁界発生装置(240/540)の磁気軸と実質的に垂直である。すなわち、S極が基板(210/510)に面した状態で、基板(210/510)の表面と実質的に垂直である。
【0104】
[00103]リング状磁極片(233)である1つ又は複数、特に1つのループ状磁極片(233)は、外径(A3)、内径(A4)、及び厚さ(A5)を有する。リング状磁極片(533)である1つ又は複数、特に、1つのループ状磁極片(533)は、外径(L10)、内径(L11)、及び厚さ(L9)を有する。
【0105】
[00104]磁界発生装置(230/530)及び磁界発生装置(240/540)は、直接接触しているのが好ましい。すなわち、支持マトリクス(234/534)の底面と棒状双極子磁石(240/540)の上面との間の距離(d)は、およそ0mmである(図2A及び図5Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。支持マトリクス(234/534)の上面と当該支持マトリクス(234/534)に面する基板(210/510)の表面との間の距離は、距離(h)で示している。距離(h)は、好ましくはおよそ0.1~およそ10mm、より好ましくはおよそ0.2~およそ6mmである。
【0106】
磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の第2の実施形態
[00105]第2の実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、
i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設され、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(x31)、i-3)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向を有する2つ以上の双極子磁石(x32)、並びに/又は本明細書に記載の1つ若しくは複数の磁極片(x33)を備えた磁界発生装置(x30)と、
ii)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)と、
を備える。
【0107】
[00106]本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x33)は、ループ状磁極片(x33)であるのが好ましい。1つ又は複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ又は複数のループ状磁極片(x33)は、ループ状磁界発生装置(x31)内又はループ状構成に配設された双極子磁石の組合せ内に配設されているのが好ましい。1つ又は複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ又は複数のループ状磁極片(x33)は、(図2A及び図6のFig.6Aに示すように)ループ状磁界発生装置(x31)のループ内で対称的に配設されていてもよいし、ループ状磁界発生装置(x31)のループ内で非対称的に配設されていてもよい。磁極片は、軟磁性材料で構成された構造を示す。軟磁性材料は、低い保磁力及び高い飽和度を有する。好適な低保磁力・高飽和度材料は、1000A・m-1未満の保磁力を有することにより、高速磁化及び減磁を可能にするが、その飽和度は、好ましくは少なくとも0.1テスラ、より好ましくは少なくとも1.0テスラ、さらにより好ましくは少なくとも2テスラである。本明細書に記載の低保磁力・高飽和度材料としては、(焼き鈍し鉄及びカルボニル鉄に由来する)軟磁性鉄、ニッケル、コバルト、マンガン亜鉛フェライト又はニッケル亜鉛フェライトのようなソフトフェライト、(パーマロイ型材料のような)ニッケル・鉄合金、コバルト・鉄合金、シリコン鉄、及びMetglas(登録商標)(鉄・ホウ素合金)のようなアモルファス金属合金、好ましくは純鉄及びシリコン鉄(電気鋼)のほか、コバルト・鉄及びニッケル・鉄合金(パーマロイ型材料)が挙げられるが、これらに限定されない。磁極片は、磁石により生成された磁界を方向付ける働きをする。
【0108】
[00107]一実施形態によれば、本明細書に記載の磁界発生装置(x30)は、本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)並びに本明細書に記載の単一の双極子磁石(x32)若しくは2つ以上の双極子磁石(x32)を備える。単一の双極子磁石又は2つ以上の双極子磁石(x32)は、ループ状双極子磁石(x31)内又はループ状構成に配設された双極子磁石の組合せ内に配設されている。単一の双極子磁石(x32)又は2つ以上の双極子磁石(x32)は、ループ状磁界発生装置(x31)のループ内で対称的に配設されていてもよいし、ループ状双極子磁石(x31)のループ内で非対称的に配設されていてもよい。
【0109】
[00108]別の実施形態によれば、本明細書に記載の磁界発生装置(x30)は、本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)並びに本明細書に記載の1つ若しくは複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ若しくは複数のループ状磁極片(x33)を備える。1つ又は複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ又は複数のループ状磁極片(x33)は、ループ状双極子磁石(x31)内又はループ状構成に配設された双極子磁石の組合せ内に独立して配設されているのが好ましい。
【0110】
[00109]別の実施形態によれば、本明細書に記載の磁界発生装置(x30)は、本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)、本明細書に記載の単一の双極子磁石(x32)若しくは2つ以上の双極子磁石(x32)、並びに本明細書に記載の1つ若しくは複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ若しくは複数のループ状磁極片(x33)を備える。本明細書に記載の単一の双極子磁石(x32)若しくは2つ以上の双極子磁石(x32)並びに1つ若しくは複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ若しくは複数のループ状磁極片(x33)は、ループ状双極子磁石(x31)内又はループ状構成に配設された双極子磁石の組合せ内に独立して配設されている。本明細書に記載の単一の双極子磁石(x32)若しくは2つ以上の双極子磁石(x32)並びに1つ若しくは複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ若しくは複数のループ状磁極片(x33)は、ループ状磁界発生装置(x31)のループ内で対称的又は非対称的に独立して配設されていてもよい。
【0111】
[00110]磁界発生装置(x30)が磁界発生装置(x40)の上に配置されていてもよいし、或いは、磁界発生装置(x40)がループ状磁界発生装置(x30)の上に配置されていてもよい。磁界発生装置(x30)は、磁界発生装置(x40)の上に配置されているのが好ましい。
【0112】
[00111]磁界発生装置(x30)と磁界発生装置(x40)との間の距離(d)は、およそ0~およそ10mm、好ましくはおよそ0~およそ3mmの範囲に含まれていてもよい。
【0113】
磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の第3の実施形態
[00112]第3の実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、
i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載の通り、単一のループ状磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、及びi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の双極子磁石(x32)、又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、
ii)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)と、
を備える。
【0114】
[00113]一実施形態によれば、磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、本明細書に記載の磁界発生装置(x30)、本明細書に記載の磁界発生装置(x40)、並びに好ましくは1つ若しくは複数の磁極片(x33)に関して本明細書に記載の材料で構成された本明細書に記載の1つ若しくは複数の磁極片(x50)を備える。1つ又は複数の磁極片(x50)は、ループ状磁極片であってもよいし、中実状磁極片(すなわち、中央領域に前記磁極片の材料の欠けがない磁極片)であってもよく、好ましくは中実状磁極片、より好ましくはディスク状磁極片である。
【0115】
[00114]一実施形態によれば、ループ状磁界発生装置(x31)は、基板(x10)の表面に対して実質的に平行な磁気軸及び半径方向を有する単一のループ状磁石、すなわち、上方(すなわち、基板(x10)側)から見た場合に磁気軸がループ状磁石のループの中央領域から周辺に向いた単一のループ状磁石、言い換えると、N極又はS極が半径方向に、ループ状双極子磁石のループの中央領域側を向いた単一のループ状磁石である。好適な一実施形態によれば、ループ状磁界発生装置(x31)は、本明細書に記載のようなループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せであって、半径方向の磁化を有する。すなわち、各双極子磁石は、上方(すなわち、基板(x10)側)から見た場合に磁気軸がループ状磁石のループの中央領域から周辺に向く。言い換えると、N極又はS極が半径方向に、ループ状双極子磁石のループの中央領域側を向く。
【0116】
[00115]本明細書に記載の磁界発生装置(x30)は、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)であって、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、N極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、S極が基板(x10)表面側を向く、単一の双極子磁石(x32)、或いは、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)であって、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、当該2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、当該2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、2つ以上の双極子磁石(x32)を備えるのが好ましい。
【0117】
[00116]一実施形態によれば、本明細書に記載の磁界発生装置(x30)は、本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)並びに本明細書に記載の単一の双極子磁石(x32)若しくは2つ以上の双極子磁石(x32)を備える。単一の双極子磁石又は2つ以上の双極子磁石(x32)は、ループ状双極子磁石(x31)内又はループ状構成に配設された双極子磁石の組合せ内に配設されている。単一の双極子磁石(x32)又は2つ以上の双極子磁石(x32)は、ループ状磁界発生装置(x31)のループ内で対称的に配設されていてもよいし、ループ状磁界発生装置(x31)のループ内で非対称的に配設されていてもよい。
【0118】
[00117]磁界発生装置(x30)及び磁界発生装置(x40)は、一方が他方の上に配置されていてもよい。磁界発生装置(x40)は、磁界発生装置(x30)の上に配置されているのが好ましい。本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)が磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)に備えられている場合、磁界発生装置(x30)は、1つ又は複数の磁極片(x50)の上に配置されているのが好ましい(例えば、図4参照)。磁界発生装置(x30)の底面と1つ又は複数の磁極片(x50)の上面との間の距離(e)は、およそ0~およそ5mm、好ましくはおよそ0~およそ1mmの範囲に含まれていてもよい。
【0119】
[00118]支持マトリクス(x34)は、単一のループ状双極子磁石により規定されるとともに離隔したループ内又はループ状磁界発生装置(x31)のループ状構成の2つ以上の双極子磁石により規定されるとともに離隔したループ内に単一の双極子磁石(x32)又は2つ以上の双極子磁石(x32)を保持するようにしてもよい。
【0120】
[00119]磁界発生装置(x30)と磁界発生装置(x40)との間の距離(d)は、およそ0~およそ10mm、好ましくはおよそ0~およそ3mmの範囲に含まれていてもよい。
【0121】
[00120]図3A及び図3Bに示す一実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載のように、ループ状、特に正方形状構成に配設された2つ以上、特に4つの双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、及びi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、本明細書に記載の通り、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)本明細書に記載のように、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(x40)とを備え、磁界発生装置(x40)は、磁界発生装置(x30)の上に配置されるのが好ましい。
【0122】
[00121]図3A及び図3Bは、磁界発生装置(330)及び磁界発生装置(340)を備え、本明細書に記載の第1の配向ステップ(ステップb))又は第2の配向ステップ(ステップe))に適した磁気アセンブリ(300-a、300-b)の一例を示している。
【0123】
[00122]図3Aの磁気アセンブリ(300-a、300-b)は、磁界発生装置(330)の上に配設された単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(340)を備える。図3Aに示すように、磁界発生装置(340)は、長さ(B1)、幅(B2)、及び厚さ(B3)を有する直方体であってもよい。磁界発生装置(340)の磁気軸は、基板(310)表面と実質的に平行である。
【0124】
[00123]図3Aに示すように、図3Aの磁界発生装置(330)は、支持マトリクス(334)を備えており、これは、長さ(A4)、幅(A5)、及び厚さ(A6)を有する直方体であってもよい。
【0125】
[00124]図3Aの磁界発生装置(330)は、正方形状構成に配設された4つの双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(331)及び2つ以上、特に8つの双極子磁石(332)の組合せを備える。
【0126】
[00125]図3Aに示すように、正方形状磁気装置であるループ状磁界発生装置(331)を構成する4つの双極子磁石はそれぞれ、長さ(A1)、幅(A2)、及び厚さ(A3)を有する直方体であってもよい。これら4つの双極子磁石はそれぞれ、基板(310)表面と実質的に平行な磁気軸を有するとともに、N極が半径方向に、正方形状構成(331)のループの中央領域側を向いており、S極が、支持マトリクス(334)の外部側を向いている。
【0127】
[00126]組合せの2つ以上、特に8つの双極子磁石(332)はそれぞれ、直径(A7)及び厚さ(A8)を有し、磁気軸が磁界発生装置(340)の磁気軸と実質的に垂直である。すなわち、S極が基板(310)に面した状態で、基板(310)表面と実質的に垂直である。
【0128】
[00127]磁界発生装置(330)及び単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(340)は、直接接触しているのが好ましい。すなわち、磁界発生装置(330)の上面と磁界発生装置(340)の底面との間の距離(d)は、およそ0mmである(図3Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。磁界発生装置(340)の上面と当該磁界発生装置(340)に面する基板(310)の表面との間の距離は、距離(h)で示している。距離(h)は、好ましくはおよそ0.1~およそ10mm、より好ましくはおよそ0.2~およそ5mmである。
【0129】
[00128]図4A及び図4Bに示す別の実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するための磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、i)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、本明細書に記載の通り、ループ状、特に正方形状構成に配設された2つ以上、特に4つの双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、及び磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、本明細書に記載の通り、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である本明細書に記載の磁界発生装置(x40)と、iii)本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)とを備え、磁界発生装置(x40)は、磁界発生装置(x30)の上に配置されるのが好ましく、磁界発生装置(x30)は、1つ又は複数の磁極片(x50)の上に配置される。
【0130】
[00129]図4A及び図4Bは、磁界発生装置(430)、磁界発生装置(440)、並びに1つ若しくは複数の磁極片(450)を備え、本明細書に記載の第1の配向ステップ(ステップb))又は第2の配向ステップ(ステップe))に適した磁気アセンブリ(400-a、400-b)の一例を示している。
【0131】
[00130]図4Aの磁気アセンブリ(400-a、400-b)は、磁界発生装置(430)の上に配設された単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(440)を備える。図4Aに示すように、磁界発生装置(440)は、長さ(B1)、幅(B2)、及び厚さ(B3)を有する直方体であってもよい。磁界発生装置(440)の磁気軸は、基板(410)表面と実質的に平行である。
【0132】
[00131]図4Aに示すように、図4Aの磁界発生装置(430)は、支持マトリクス(434)を備えており、これは、長さ(A4)、幅(A5)、及び厚さ(A6)を有する直方体であってもよい。
【0133】
[00132]図4Aの磁界発生装置(430)は、正方形状構成に配設された4つの双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(431)及び2つ以上、特に19個の双極子磁石(432)の組合せを備える。
【0134】
[00133]図4Aに示すように、正方形状磁気装置であるループ状磁界発生装置(431)を構成する4つの双極子磁石はそれぞれ、長さ(A1)、幅(A2)、及び厚さ(A3)を有する直方体であってもよい。これら4つの双極子磁石はそれぞれ、基板(410)表面と実質的に平行な磁気軸を有するとともに、N極が半径方向に、正方形状構成(431)のループの中央領域側を向いており、S極が、支持マトリクス(434)の外部側を向いている。
【0135】
[00134]組合せの2つ以上、特に19個の双極子磁石(432)はそれぞれ、長さ(A8)及び直径(A7)を有し、磁気軸が磁界発生装置(440)の磁気軸と実質的に垂直である。すなわち、S極が基板(410)に面した状態で、基板(410)表面と実質的に垂直である。
【0136】
[00135]図4Aの磁気アセンブリ(400-a、400-b)は、1つ又は複数の磁極片(450)、特に直径(C1)及び厚さ(C2)を有する1つのディスク状磁極片(450)を備えており、磁界発生装置(430)が1つ又は複数の磁極片(450)の上に配置されている。
【0137】
[00136]磁界発生装置(430)及び単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(440)は、直接接触しているのが好ましい。すなわち、磁界発生装置(430)の上面と磁界発生装置(440)の底面との間の距離(d)は、およそ0mmである(図4Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。磁界発生装置(440)の上面と当該磁界発生装置(440)に面する基板(410)の表面との間の距離は、距離(h)で示している。距離(h)は、好ましくはおよそ0.1~およそ10mm、より好ましくはおよそ0.2~およそ5mmである。
【0138】
[00137]磁界発生装置(430)並びに1つ若しくは複数の磁極片(450)、特に1つのディスク状磁極片(450)は、直接接触しているのが好ましい。すなわち、磁界発生装置(430)の支持マトリクス(434)の底面とディスク状磁極片(450)の上面との間の距離(e)は、およそ0mmである(図4Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。
【0139】
[00138]ループ状磁界発生装置(x31)及びループ状構成に配設されるとともに磁界発生装置(x30)に備えられた2つ以上の双極子磁石(x31)は、高保磁力材料(強磁性材料とも称する)で独立して構成されているのが好ましい。好適な高保磁力材料は、エネルギー積の最大値(BH)maxが少なくとも20kJ/m、好ましくは少なくとも50 kJ/m、より好ましくは少なくとも100 kJ/m、さらにより好ましくは少なくとも200 kJ/mの材料である。これらは、例えばアルニコ5(R1-1-1)、アルニコ5DG(R1-1-2)、アルニコ5-7(R1-1-3)、アルニコ6(R1-1-4)、アルニコ8(R1-1-5)、アルニコ8HC(R1-1-7)、及びアルニコ9(R1-1-6)等のアルニコ、式MFe1219のヘキサフェライト(例えば、ストロンチウムヘキサフェライト(SrO6Fe)又はバリウムヘキサフェライト(BaO6Fe))、式MFeのハードフェライト(例えば、コバルトフェライト(CoFe)又は磁鉄鉱(Fe))(ただし、Mは二価金属イオン)、セラミック8(SI-1-5)から成る群から選択される1つ又は複数の焼結又はポリマー接合磁性材料、RECo(RE=Sm又はPr)、RETM17(RE=Sm、TM=Fe、Cu、Co、Zr、Hf)、RETM14B(RE=Nd、Pr、Dy、TM=Fe、Co)から成る群から選択される希土類磁性材料、Fe、Cr、Coの異方性合金、PtCo、MnAlC、REコバルト5/16、REコバルト14から成る群から選択される材料で構成されているのが好ましい。磁気棒の高保磁力材料は、好ましくは希土類磁性材料から成る群、より好ましくはNdFe14B及びSmCoから成る群から選択されるのが好ましい。特に好ましいのは、ストロンチウムヘキサフェライト(SrFe1219)又はネオジム/鉄/ホウ素(NdFe14B)粉末等の永久磁石充填剤をプラスチック系又はゴム系マトリクスに含む加工が容易な永久磁石複合材である。
【0140】
[00139]本明細書に記載の磁界発生装置(x30)の単一の双極子磁石(x32)及び2つ以上の双極子磁石(x32)は、ループ状磁界発生装置(x31)のループ状磁石及び2つ以上の双極子磁石に関して本明細書中に上述したような強磁性材料で独立して構成されているのが好ましい。
【0141】
[00140]磁界発生装置(x40)の棒状双極子磁石は、ループ状磁界発生装置(x31)のループ状磁石及び2つ以上の双極子磁石の材料に関して本明細書中に上述したような強磁性材料で構成されているのが好ましい。
【0142】
[00141]ループ状磁界発生装置(x31)の材料、双極子磁石(x32)の材料、1つ若しくは複数の磁極片(x33)の材料(存在する場合)、磁界発生装置(x40)の材料、2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の材料、1つ若しくは複数の磁極片(x50)の材料(存在する場合)、並びに距離(d)、(h)、及び(e)は、光学効果層(x10)の傾斜によりサイズが変化する1つ又は複数のループ状体の光学的印象を生成するため、磁界発生装置(x30)により生成された磁界及び磁界発生装置(x40)により生成された磁界の相互作用の結果としての磁界すなわち本明細書に記載の装置の結果としての磁界が必要な磁気的配向の生成、すなわち、第1の放射線硬化性コーティング組成物中の粒子の磁気配向パターン及び第2の放射線硬化性コーティング組成物中の粒子の磁気配向パターンの両者に適するように選択されている。
【0143】
[00142]本明細書に記載のOEL(x20)を生成するための第1の磁気アセンブリ(x00-a)及び/又は第2の磁気アセンブリ(x00-b)は、例えば国際公開第2005/002866 A1号及び国際公開第2008/046702 A1号に開示されているような彫刻磁性板をさらに備えていてもよい。彫刻磁性板は、磁界発生装置(x30)又は磁界発生装置(x40)と基板(x10)表面との間に位置付けられているため、磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)の磁界を局所的に修正する。このような彫刻板は、鉄(鉄ヨーク)で構成されていてもよい。或いは、このような彫刻板は、磁性粒子が分散した本明細書に記載のようなプラスチック材料(例えば、プラストフェライト等)で構成されていてもよい。
【0144】
[00143]本明細書に記載の通り、本明細書に記載の光学効果層(OEL)(x20)を生成するとともに、光学効果層の傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体の光学的印象を与えるためのプロセスは、2つの独立した磁気配向ステップ(ステップb)及びステップe))を含むことにより、本明細書に記載の第1のコーティング層(x21)で構成された1つ若しくは複数の第1のパターン並びに本明細書に記載の第2のコーティング層(x22)で構成された1つ若しくは複数の第2のパターンを本明細書に記載の基板(x10)上に生成し、第2のコーティング層(x22)の少なくとも一部が第1のコーティング層(x21)の上に配置される。本明細書に記載の通り、2つの磁気配向ステップ(ステップb)及びステップe))はそれぞれ、2つの異なる磁気アセンブリ(x00-a及びx00-b)を使用し、前記磁気アセンブリ(x00-a及びx00-b)それぞれによって、前記光学効果層の傾斜によりサイズが変化するループ状体を示す光学効果層の生成が可能になるとともに、このように得られた前記ループ状体の形状が異なるため、都合が良い。前記光学効果層の傾斜によりサイズ及び形状が変化する1つ又は複数のループ状体の光学的印象は、ステップb)及びe)において取得され、ステップc)及びf)において固定/停止された特定の組合せ磁気配向パターンを使用することにより得られる。
【0145】
[00144]一方が第1の磁気アセンブリ(x00-a)において第1の磁気配向ステップ(b))中に使用され、他方が第2の磁気アセンブリ(x00-b)において第2の磁気配向ステップ(e))中に使用される磁界発生装置(x40)の2つの磁石は、磁場方向が反対である必要がある。すなわち、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界発生装置(x40)の磁場方向は、基板(x10)の基準フレーム内において、第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対である。
【0146】
[00145]本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスは、第1の放射線硬化性コーティング組成物を本明細書に記載の第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に曝露するステップb)と、第2の放射線硬化性コーティング組成物を本明細書に記載の第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に曝露するステップe)とを含み、前記第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は異なり、第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界発生装置(x40)の磁場方向は、基板(x10)の基準フレーム内において、第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界発生装置(x40)の磁場方向と反対であり、ステップc)(第1の放射線硬化性コーティング組成物の少なくとも一部の硬化)及びステップd)(第2の放射線硬化性コーティング組成物の塗布)は、前記ステップb)及びe)間に実行される。一実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスは、i)本明細書に記載の第1の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、ii)本明細書に記載の第1の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含み、前記磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)が異なる。或いは、i)本明細書に記載の第1の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、ii)本明細書に記載の第2の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含む。或いは、i)本明細書に記載の第1の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、i)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含む。
【0147】
[00146]別の実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスは、i)本明細書に記載の第2の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、ii)本明細書に記載の第1の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含む。或いは、i)本明細書に記載の第2の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、i)本明細書に記載の第2の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含み、前記磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)が異なる。或いは、i)本明細書に記載の第2の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、ii)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含む。
【0148】
[00147]別の実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスは、i)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、ii)本明細書に記載の第1の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含む。或いは、i)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、i)本明細書に記載の第2の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含む。或いは、i)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、ii)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含み、前記磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)が異なる。
【0149】
[00148]好適な一実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスは、
i)本明細書に記載の第1の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)、すなわち、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石又はループ状構成に配設され、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の双極子磁石の組合せであるループ状磁界発生装置(x31)、並びに任意選択でi-3)本明細書に記載の1つ若しくは複数の磁極片(x33)を備えた磁界発生装置(x30)と、ii)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、
ii)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)、すなわち、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載の通り、単一のループ状磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、並びにi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の双極子磁石(x32)、又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)とを備えた第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップであり、前記磁界発生装置(x40)が、本明細書に記載のような1つ又は複数の磁極片(x50)をさらに備えていてもよい、ステップと、
を含む。
【0150】
[00149]第1の放射線硬化性コーティング組成物を第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に曝露するステップは、i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)、好ましくは磁気軸が本明細書に記載の基板(x10)表面と実質的に垂直な単一のループ状双極子磁石、並びにi-3)単一のループ状双極子磁石(x31)又はループ状構成に配設された双極子磁石の組合せ内に独立して配設された1つ若しくは複数の磁極片(x33)、好ましくは1つ若しくは複数のループ状磁極片を備えた磁界発生装置(x30)を備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)によって実行されるのが好ましい。例えば図2A図2B図5A、及び図5Bに示すように、第1の放射線硬化性コーティング組成物を第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に曝露するステップは、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な本明細書に記載の単一のループ状、特にリング状双極子磁石であるループ状磁界発生装置(x31)、及びi-3)本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x33)、特に1つ又は複数のループ状磁極片を備えた本明細書に記載のような磁界発生装置(x30)であり、前記1つ又は複数のループ状、特にリング状磁極片(x33)がループ状磁界発生装置(x31)のループ内で対称的に配設された、磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する本明細書に記載の2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである本明細書に記載の磁界発生装置(x40)であり、2つ以上の棒状双極子磁石(x41)が本明細書に記載の1つ又は複数のスペーサ片(x42)により分離されていてもよく、磁界発生装置(x30)が上に配置された、磁界発生装置(x40)とを備えた第1の磁気アセンブリ(x00-a)によって実行されるのがより好ましい。
【0151】
[00150]第2の放射線硬化性コーティング組成物を第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に曝露するステップは、i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)単一のループ状磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、並びに本明細書に記載のように、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)本明細書に記載の通り、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである磁界発生装置(x40)と、任意選択でiii)1つ又は複数の磁極片(x50)、好ましくは1つ又は複数のディスク状磁極片(x50)とを備えた第2の磁気アセンブリ(x00-b)によって実行されるのが好ましい。例えば図3A図3B図4A、又は図4Bに示すように、第2の放射線硬化性コーティング組成物を第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に曝露するステップは、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載の通り、ループ状、特に正方形状構成に配設された2つ以上、特に4つの双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、並びにi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)本明細書に記載のように、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(x40)とを備えた第2の磁気アセンブリ(x00-b)であり、磁界発生装置(x40)が磁界発生装置(x30)の上に配置されるのが好ましい、第2の磁気アセンブリ(x00-b)、或いは、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、本明細書に記載の通り、ループ状、特に正方形状構成に配設された2つ以上、特に4つの双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、並びにi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)本明細書に記載のように、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(x40)と、iii)本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)、好ましくは本明細書に記載の1つ又は複数のディスク状磁極片(x50)とを備えた第2の磁気アセンブリ(x00-b)であり、磁界発生装置(x40)が磁界発生装置(x30)の上に配置されるのが好ましく、磁界発生装置(x30)が1つ又は複数の磁極片(x50)の上に配置された、第2の磁気アセンブリ(x00-b)によって実行されるのがより好ましい。
【0152】
[00151]別の実施形態によれば、本明細書に記載のOEL(x20)を本明細書に記載の基板(x10)上に生成するためのプロセスは、
i)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第1の磁気アセンブリ(x00-a)の磁界に第1の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップと、ii)本明細書に記載の第3の実施形態において説明するアセンブリから選択される第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に第2の放射線硬化性コーティング組成物を曝露するステップとを含む。すなわち、第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)は、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載のように、単一のループ状磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有する本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)、及びi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の双極子磁石(x32)、又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである本明細書に記載の磁界発生装置(x40)とを独立して備え、第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x00-b)が異なる。
【0153】
[00152]例えば図3A及び図3Bに示すように、第2の放射線硬化性コーティング組成物を第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に曝露するステップは、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載のように、ループ状、特に正方形状構成に配設された2つ以上、特に4つの双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、及びi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)本明細書に記載のように、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である磁界発生装置(x40)とを備えた第2の磁気アセンブリ(x00-b)によって実行されるのが好ましく、磁界発生装置(x40)は、磁界発生装置(x30)の上に配置されるのが好ましい。
【0154】
[00153]第2の放射線硬化性コーティング組成物を第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に曝露するステップは、i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)単一のループ状磁石又はループ状構成に配設された2つ以上の双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有する本明細書に記載のループ状磁界発生装置(x31)、並びにi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な単一の双極子磁石(x32)、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の双極子磁石(x32)、又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する単一のループ状磁石若しくは2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石又は磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行で、同じ磁界方向をそれぞれ有する2つ以上の棒状双極子磁石(x41)の組合せである本明細書に記載の磁界発生装置(x40)と、iii)本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)、好ましくは本明細書に記載の1つ又は複数のディスク状磁極片(x50)とを備えた第2の磁気アセンブリ(x00-b)によって実行されるのが好ましい。例えば図4A及び図4Bに示すように、第2の放射線硬化性コーティング組成物を第2の磁気アセンブリ(x00-b)の磁界に曝露するステップは、i)i-1)本明細書に記載の支持マトリクス(x34)、i-2)本明細書に記載のように、ループ状、特に正方形状構成に配設された2つ以上、特に4つの双極子磁石の組合せである半径方向の磁化を有するループ状磁界発生装置(x31)、及びi-3)磁気軸が基板(x10)表面と実質的に垂直な2つ以上の双極子磁石(x32)を備えた磁界発生装置(x30)であり、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のN極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のN極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのN極が基板(x10)表面側を向くか、又は、ループ状磁界発生装置(x31)を構成する2つ以上の双極子磁石のS極が前記ループ状磁界発生装置(x31)の周辺側を向く場合に、前記単一の双極子磁石(x32)のS極又は前記2つ以上の双極子磁石(x32)のうちの少なくとも1つのS極が基板(x10)表面側を向く、磁界発生装置(x30)と、ii)本明細書に記載のように、磁気軸が基板(x10)表面と実質的に平行な単一の棒状双極子磁石である本明細書に記載の磁界発生装置(x40)と、iii)1つ又は複数の磁極片(x50)、好ましくは1つ又は複数のディスク状磁極片とを備えた第2の磁気アセンブリ(x00-b)によって実行されるのがより好ましく、磁界発生装置(x40)は、磁界発生装置(x30)の上に配置されるのが好ましい。
【0155】
[00154]本明細書に記載のOEL(x20)は、基板(x10)上に直接設けて、永久に残るようにしてもよい(例えば、紙幣用途の場合)。或いは、製造のための暫定的な基板(x10)上にOEL(x20)を設け、後でOEL(x20)を取り外すようにしてもよい。これにより、特にバインダ材料が流体状態のままである場合に、例えばOEL(x20)の製造が容易化される可能性がある。その後、コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させてOEL(x20)を製造したら、暫定基板(x10)をOELから取り外してもよい。
【0156】
[00155]或いは、OEL(x20)又はOEL(x20)を備えた基板(x10)上に接着層が存在していてもよく、当該接着層は、OEL(x20)が設けられた面と反対側の基板面に存在していてもよいし、OEL(x20)と同じ面でOEL(x20)の上に存在していてもよい。したがって、OEL(x20)又は基板(x10)に接着層が塗布されていてもよい。このような物品は、機械類や大きな労力を伴う印刷等のプロセスなく、あらゆる種類の文書又は他の物品若しくは品目に取り付けられるようになっていてもよい。或いは、本明細書に記載のOEL(x20)を備えた本明細書に記載の基板(x10)は、独立した転写ステップにおいて文書又は物品に適用可能な転写箔の形態であってもよい。この目的のため、基板には剥離コーティングが設けられ、その上において、本明細書に記載の通り、OEL(x20)が生成される。このように製造されたOEL(x20)上には、1つ又は複数の接着層を塗布するようにしてもよい。
【0157】
[00156]また、本明細書には、本明細書に記載のプロセスにより得られた2つ以上すなわち2つ、3つ、4つ等の光学効果層(OEL)(x20)を備えた基板(x10)を記載する。
【0158】
[00157]また、本明細書には、本発明に従って生成された光学効果層(OEL)(x20)を備えた物品、特に、セキュリティ文書、装飾要素又は装飾物体を記載する。これらの物品、特に、セキュリティ文書、装飾要素又は装飾物体は、本発明に従って生成された2つ以上(例えば、2つ、3つ等)のOEL(x20)を備えていてもよい。
【0159】
[00158]前述の通り、本発明に従って生成された光学効果層(OEL)(x20)は、装飾目的並びにセキュリティ文書の保護及び認証に用いられるようになっていてもよい。装飾要素又は装飾物体の代表例としては、高級品、化粧品パッケージ、自動車部品、電子/家電製品、家具、及びネイルラッカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
[00159]セキュリティ文書としては、有価文書及び有価商品が挙げられるが、これらに限定されない。有価文書の代表例としては、紙幣、証書、チケット、小切手、証票、収入印紙及び納税印紙、契約書等、パスポート等の身分証明書類、身分証明書、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス書類又はカード、入場券、公共交通乗車券又は証書等が挙げられ、紙幣、身分証明書類、権利付与書類、運転免許証、及びクレジットカードが好ましいが、これらに限定されない。用語「有価商品(value commercial good)」は、特に化粧品、栄養補助食品、医薬品、アルコール、タバコ製品、飲料又は食料品、電気/電子製品、織物又は宝飾品、すなわち偽造及び/又は違法複製に対する保護により、例えば本物の薬等のパッケージの内容物を保証すべき物品のパッケージ材料を表す。これらパッケージ材料の例としては、認証ブランドラベル、不正防止ラベル等のラベル及びシールが挙げられるが、これらに限定されない。なお、開示の基板、有価文書、及び有価商品は、本発明の範囲を制限することなく、専ら例示目的で示している。
【0161】
[00160]或いは、本明細書に記載のOEL(x20)は、例えばセキュリティスレッド、セキュリティストライプ、箔、デカール、窓、又はラベル等の補助基板(x10)上に製造し、その結果、独立したステップにおいて、セキュリティ文書に転写されるようにしてもよい。
【実施例
【0162】
[00161]図6のFig.6A~Fig.6Cに示す光学効果層(OEL)(x20)を生成するため、表1に記載のUV硬化性スクリーン印刷インクの印刷層における非球状光学可変磁性顔料粒子の独立した磁気配向ステップにおいて、図2図4に示す磁気アセンブリを使用するとともに、本発明に従って作成した。図4及び図5に示す磁気アセンブリの使用により、表1に記載のUV硬化性スクリーン印刷インクの印刷層における非球状光学可変磁性顔料粒子を配向させ、図7に示す比較光学効果層(OEL)(720)を生成した。
【0163】
実施例E1~E3及び比較例C1の準備のための一般的プロセス
[00162]T90スクリーンを用いた手動スクリーン印刷によって厚さがおよそ20μmの第1のコーティング層(x21)(16mm×16mm)の第一の単一パターンを形成することにより、表1に記載のUV硬化性スクリーン印刷インクを黒色のコマーシャルペーパー基板(x10)(Papierfabrik Louisenthalによる信用本位ペーパーBNP(90g/m、50×50mm))に独立して塗布した(ステップa))。第1のコーティング層(x21)の塗布した単一パターンを有するペーパー基板(x10)を第1の磁気アセンブリ(x00-a)(図2及び図5)上に独立して配設した(ステップb))。このようにして得られた非球状光学可変顔料粒子の磁気配向パターンは、配向ステップと一部同時に、Phoseon社製UV-LEDランプ(ファイアフレックス(FireFlex)タイプ、50×75mm、395nm、8W/cm)を用いて、顔料粒子を含む印刷層のUV硬化(ステップc))によって少なくとも部分的に硬化させた。T90シルクスクリーンを用いて、同じUV硬化性スクリーン印刷インク(表1)を第1のコーティング層(x21)の第1の単一パターンに手動で独立して塗布する(ステップd))ことにより、厚さがおよそ20μmの第2のコーティング層(x22)(E1、E2(図6のFig.6A、Fig.6B))、及びC1(図7)については16mm×16mm、E3(図6のFig.6C)については10mm×10mm)で構成された第2のパターンを形成した。第1の固化コーティング層(x21)で構成された第1のパターン及びコーティング層(x22)で構成された未固化の第2のパターンを有するペーパー基板(x10)は、第1の磁気アセンブリ(x00-a)とは異なる第2の磁気アセンブリ(x00-b)(図3及び図4)上に独立して配設した(ステップe))。このようにして得られた非球状光学可変顔料粒子の磁気配向パターンは独立して、第2の配向ステップと一部同時に、Phoseon社製UV-LEDランプ(ファイアフレックス(FireFlex)タイプ、50×75mm、395nm、8W/cm)を用いて、顔料粒子を含む印刷層のUV硬化(ステップf))によって少なくとも部分的に硬化させた。
【表1】
【0164】
第1及び第2の磁気アセンブリ(x00-a、x100-b)の説明(図2図5
磁気アセンブリ(200-a、200-b)(図2A及び図2B
[00163]図2Aにおいて模式的に示すように、磁気アセンブリ(200-a、200-b)(図2A及び図2B)は、磁界発生装置(240)と、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物(221、221+222)を有する基板(210)との間に配設された磁界発生装置(230)を備えるものとした。
【0165】
[00164]磁界発生装置(230)は、リング状双極子磁石(231)、リング状磁極片(233)、並びにリング状双極子磁石(231)及びリング状磁極片(233)を適所に維持する正方形状支持マトリクス(234)を備えるものとした。
【0166】
[00165]リング状双極子磁石(231)は、外径(A1)がおよそ26.1mm、内径(A2)がおよそ18.3mm、厚さ(A5)がおよそ2mmであるものとした。リング状双極子磁石(231)の磁気軸は、磁界発生装置(240)の磁気軸と実質的に垂直であり、S極が基板(210)に向いた状態で、基板(210)表面と実質的に垂直であるものとした。リング状双極子磁石(231)は、NdFeB N40で構成した。
【0167】
[00166]リング状磁極片(233)は、外径(A3)がおよそ14mm、内径(A4)がおよそ10mm、厚さ(A5)がおよそ2mmであるものとした。リング状磁極片(233)は、リング状磁界発生装置(231)と中心を位置合わせした。リング状磁極片(233)は、鋼S235で構成した。
【0168】
[00167]支持マトリクス(234)は、長さ(A6)及び幅(A7)がおよそ29.9mm、厚さ(A8)がおよそ3mmであるものとした。支持マトリクス(234)は、POMで構成した。図2B2に示すように、支持マトリクス(234)の底面には、リング状双極子磁石(231)及びリング状磁極片(233)を受容する深さ(A5)がおよそ2mmの2つの円形窪みを含むものとした。
【0169】
[00168]磁界発生装置(240)は、7つの棒状双極子磁石(241)及び6つのスペーサ片(242)を備えるものとした。図2Aに示すように、7つの棒状双極子磁石(241)及び6つのスペーサ片(242)は、交互且つ非対称的に配設した。すなわち、2つの棒状双極子磁石(241)が1つのスペーサ片(242)と直接接触して隣り合い、その他5つの棒状双極子磁石がスペーサ片(242)と交互になるようにした。6つのスペーサ片(242)は、磁界発生装置(240)が磁界発生装置(230)の下方に正しく配置されるように使用した。7つの棒状双極子磁石(241)はそれぞれ、長さ(B1)がおよそ29.9mm、幅(B2)がおよそ3mm、厚さ(B3)がおよそ6mmであるものとした。6つのスペーサ片(242)はそれぞれ、長さ(B4)がおよそ20mm、幅(B5)がおよそ1.5mm、厚さ(B6)がおよそ6mmであるものとした。7つの各棒状双極子磁石(241)の磁気軸はそれぞれ、基板(210)の表面と実質的に平行で、すべてが同じ方向を向くものとした。7つの棒状双極子磁石(241)は、NdFeB N42で構成した。6つのスペーサ片(242)は、POMで構成した。
【0170】
[00169]磁界発生装置(230)及び磁界発生装置(240)は、直接接触させた。すなわち、磁界発生装置(230)の底面と磁界発生装置(240)の上面との間の距離(d)は、およそ0mmであるものとした(図2Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。磁界発生装置(230)及び磁界発生装置(240)は、互いに中心を位置合わせした。すなわち、磁界発生装置(230)の長さ(A6)及び幅(A7)の中央部は、磁界発生装置(240)の長さ(B1)及び幅(B7)の中央部と位置合わせした。磁界発生装置(230)の上面(すなわち、支持マトリクス(234)の上面)と当該磁界発生装置(230)に面する基板(210)の表面との間の距離(h)は、およそ3.5mmであるものとした。
【0171】
磁気アセンブリ(300-a、300-b)(図3A及び図3B
[00170]図3Aにおいて模式的に示すように、磁界発生アセンブリ(300-a、300-b)(図3A及び図3B)は、磁界発生装置(330)と、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物(321、321+322)を有する基板(310)との間に配設された磁界発生装置(340)を備えるものとした。
【0172】
[00171]磁界発生装置(330)は、正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(331)、8つの双極子磁石(332)、及び支持マトリクス(334)を備えるものとした。図3A及び図3Bにおいて模式的に示すように、8つの双極子磁石(332)は、第1の正方形及び第2の正方形それぞれの隅部に配設した。第1の正方形は、第2の正方形の入れ子となり、4つの棒状双極子磁石(331)の正方形状構成内に中心が配設されるものとした。
【0173】
[00172]図3A及び図3Bに示すように、正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(331)はそれぞれ、長さ(A1)がおよそ25mm、幅(A2)がおよそ2mm、厚さ(A3)がおよそ5mmであるものとした。正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(331)は、支持マトリクス(334)において、それぞれの磁気軸が磁界発生装置(340)の磁気軸と実質的に平行且つ基板(310)表面と実質的に平行であり、N極が半径方向に、正方形状構成のループの中心領域側を向き、S極が支持マトリクス(334)の外部側すなわち環境側を向くように配置した。正方形状構成に配設された4つの双極子磁石(331)により形成された正方形の中心は、支持マトリクス(334)の中心と一致するものとした。正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(331)はそれぞれ、NdFeB N48で構成した。
【0174】
[00173]8つの双極子磁石(332)はそれぞれ、直径(A7)がおよそ2mm、厚さ(A8)がおよそ4mmであるものとした。前記8つの双極子磁石(332)のうちの4つは、第1の正方形を構成するように、支持マトリクス(334)の中心周りの対角線上の4つの窪みに配設した。図3B1に示すように、8つの双極子磁石(332)のうちのその他の4つは、第2の正方形を構成するように、支持マトリクス(334)の対角線上の4つの窪みに配設した。8つの双極子磁石(332)それぞれの磁気軸は、S極が磁界発生装置(340)側を向いた状態で、基板(310)表面及び磁界発生装置(340)の磁気軸と実質的に垂直であるものとした。8個の双極子磁石(332)はそれぞれ、NdFeB N45で構成した。
【0175】
[00174]支持マトリクス(334)は、長さ(A4)及び幅(A5)がおよそ30mm、厚さ(A6)がおよそ6mmであるものとした。支持マトリクス(334)は、POMで構成した。図3B1及び図3B2に示すように、支持マトリクス(334)の上面には、各ラインに6つずつ6本のラインに配設され、深さ(A8)がおよそ4mm、直径(A7)がおよそ2mmの36個の窪みを含むものとし、これら36個の窪みのうちの8つが、8つの双極子磁石(332)の受容に用いられ、深さ(A3)がおよそ5mm、幅(A2)がおよそ2mmの窪みが、正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(331)の受容に用いられるものとした。2本の隣接ライン上に配設された2つの窪みの中心間の距離(A9)は、およそ3mmであるものとした。支持マトリクス(334)の対角線上に配設された2つの隣接窪みの中心間の距離(A10)は、およそ4.2mmであるものとした。
【0176】
[00175]磁界発生装置(340)は、長さ(B1)及び幅(B2)がおよそ29.9mm、厚さ(B3)がおよそ2mmの棒状双極子磁石であるものとした。棒状双極子磁石(340)の磁気軸は、基板(310)表面と平行であるものとした。棒状双極子磁石(340)は、NdFeB N30UHで構成した。
【0177】
[00176]磁界発生装置(340)及び磁界発生装置(330)は、直接接触させた。すなわち、磁界発生装置(340)の底面と磁界発生装置(330)の上面との間の距離(d)は、およそ0mmであるものとした(図3Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。磁界発生装置(340)及び磁界発生装置(330)は、互いに中心を合わせた。すなわち、磁界発生装置(340)の長さ(B1)及び幅(B2)の中央部は、磁界発生装置(330)の長さ(A4)及び幅(A5)の中央部と位置合わせした。磁界発生装置(340)の上面と当該磁界発生装置(340)に面する基板(310)の表面との間の距離(h)は、およそ1.5mmであるものとした。
【0178】
磁気アセンブリ(400-a、400-b)(図4A及び図4B
[00177]図4Aにおいて模式的に示すように、磁界発生アセンブリ(400-a、400-b)(図4A及び図4B)は、磁界発生装置(430)と、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物(421、421+422)を有する基板(410)との間に配設された磁界発生装置(440)を備えるものとした。磁界発生アセンブリ(400-a、400-b)は、ディスク状磁極片(450)をさらに備えるものとした。
【0179】
[00178]図4A及び図4B1において模式的に示すように、磁界発生装置(430)は、正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(431)と、19個の双極子磁石(432)(18個の双極子磁石(432)が2列の太い「V」を構成するように配設し、19番目の双極子磁石(432)を「V」の頂点に配置した)と、支持マトリクス(434)とを備えるものとした。
【0180】
[00179]図4A及び図4Bに示すように、正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(431)はそれぞれ、長さ(A1)がおよそ25mm、幅(A2)がおよそ2mm、厚さ(A3)がおよそ5mmであるものとした。正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(431)は、支持マトリクス(434)において、それぞれの磁気軸が磁界発生装置(440)の磁気軸と実質的に平行且つ基板(410)表面と実質的に平行であり、N極が半径方向に、前記正方形状構成のループの中心領域側を向き、S極が支持マトリクス(434)の外部側すなわち環境側を向くように配置した。正方形状構成に配設された4つの双極子磁石(431)により形成された正方形の中心は、支持マトリクス(434)の中心と一致するものとした。正方形状構成に配設された4つの棒状双極子磁石(431)はそれぞれ、NdFeB N48で構成した。
【0181】
[00180]2列の太い「V」を構成するように配設された19個の双極子磁石(432)及び「V」の頂点に配置された19番目の双極子磁石(432)はそれぞれ、直径(A7)がおよそ2mm、厚さ(A8)がおよそ1mmであるものとした。19個の双極子磁石(432)それぞれの磁気軸は、S極が磁界発生装置(440)に面した状態で、基板(410)表面及び磁界発生装置(440)の磁気軸と実質的に垂直であるものとした。19個の双極子磁石(432)はそれぞれ、NdFeB N48で構成した。
【0182】
[00181]支持マトリクス(434)は、長さ(A4)及び幅(A5)がおよそ30mm、厚さ(A6)がおよそ6mmであるものとした。支持マトリクス(434)は、POMで構成した。図4B1及び図4B2に示すように、支持マトリクス(434)の表面には、各ラインに9つずつ5本のライン及び各ラインに8つずつ4本のラインに交互に配設され、深さ(A8)がおよそ1mm、直径(A7)がおよそ2mmの77個の窪みを含むものとし、これら77個の窪みのうちの19個が、19個の双極子磁石(432)の受容に用いられ、深さ(A3)がおよそ5mm、幅(A2)がおよそ2mmの窪みが、正方形状の磁界発生装置(431)の受容に用いられるものとした。長さ(A4)に沿う2本の隣接ライン上に配設された2つの窪みの中心間の距離(A9)は、およそ4mmであるものとした。幅(A5)に平行なライン上に配設された2つの窪みの中心間の距離(A10)は、およそ2.5mmであるものとした。支持マトリクス(434)の窪みが9つのライン上の1番目の窪みの中心と窪みが8つのライン上の1番目の窪みの中心との間の距離(A11)は、およそ1.5mmであるものとした。窪みが9つの1番目のラインの中心と最も近い棒状双極子磁石(431)との間の距離(A12)及び(A13)は、およそ1.5mmであるものとした。
【0183】
[00182]磁界発生装置(440)は、長さ(B1)及び幅(B2)がおよそ29.9mm、厚さ(B3)がおよそ2mmの棒状双極子磁石であるものとした。棒状双極子磁石(440)の磁気軸は、基板(410)表面と平行であるものとした。棒状双極子磁石(440)は、NdFeB N30UHで構成した。
【0184】
[00183]ディスク状磁極片(450)は、直径(C1)がおよそ30mm、厚さ(C2)がおよそ2mmであるものとした。ディスク状磁極片(450)は、鋼S235で構成した。
【0185】
[00184]磁界発生装置(440)及び磁界発生装置(430)は、直接接触させた。すなわち、磁界発生装置(440)の底面と磁界発生装置(430)の上面との間の距離(d)は、およそ0mmであるものとした(図4Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。ディスク状磁極片(450)は、磁界発生装置(430)の支持マトリクス(434)の底面とディスク状磁極片の上面との間の距離(e)がおよそ0mmとなるように、磁界発生装置(430)の下方に配置した(図4Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。磁界発生装置(440)、磁界発生装置(430)、及びディスク状磁極片(450)は、互いに中心を合わせた。すなわち、磁界発生装置(440)の長さ(B1)及び幅(B2)の中央部は、磁界発生装置(430)の長さ(A4)及び幅(A5)の中央部並びにディスク状磁極片(450)の直径(C1)と位置合わせした。磁界発生装置(440)の上面と磁界発生装置(440)に面する基板(410)の表面との間の距離(h)は、およそ1.5mmであるものとした。
【0186】
磁気アセンブリ(500-a、500-b)(図5A及び図5B
[00185]図5Aにおいて模式的に示すように、磁気アセンブリ(500)(図5A図5B2)は、磁界発生装置(540)と、非球状磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物(521、521+522)を有する基板(510)との間に配設された磁界発生装置(530)を備えるものとした。
【0187】
[00186]磁気アセンブリ(530)は、国際公開第2017/080698 A1号に開示の実施例6と同じであり、リング状双極子磁石(531)、ループ状磁極片(533)、及び支持マトリクス(534)を備えるものとした。
【0188】
[00187]リング状双極子磁石(531)は、外径(L7)がおよそ26mm、内径(L8)がおよそ16.5mm、厚さ(L9)がおよそ2mmであるものとした。リング状双極子磁石(531)の磁気軸は、磁界発生装置(540)の磁気軸と実質的に垂直であり、S極が基板(520)に面した状態で、基板(510)表面と実質的に垂直であるものとした。リング状双極子磁石(531)は、NdFeB N40で構成した。
【0189】
[00188]ループ状磁極片(533)は、外径(L10)がおよそ14mm、内径(L11)がおよそ10mm、厚さ(L9)がおよそ2mmであるものとした。ループ状磁極片(533)は、ループ状磁界発生装置(531)と中心を位置合わせした。ループ状磁極片(533)は、鉄で構成した。
【0190】
[00189]支持マトリクス(534)は、長さ(L4)がおよそ30mm、幅(L5)がおよそ30mm、厚さ(L6)がおよそ3mmであるものとした。支持マトリクス(534)は、POMで構成した。図5B2に示すように、支持マトリクス(534)の底面には、リング状双極子磁石(531)及びループ状磁極片(533)を受容する深さ(L9)がおよそ2mmの2つの円形窪みを含むものとした。
【0191】
[00190]リング状磁界発生装置(531)、ループ状磁極片(533)、及び支持マトリクス(534)は、(534)の長さ(L4)及び幅(L5)に沿って中心を位置合わせした。
【0192】
[00191]磁界発生装置(540)は、7つの棒状双極子磁石(541)及び6つのスペーサ片(542)を備えるものとした。図5Aに示すように、7つの棒状双極子磁石(541)及び6つのスペーサ片(542)は、交互且つ非対称的に配設した。すなわち、2つの棒状双極子磁石(541)が1つのスペーサ片(542)と直接接触して隣り合い、その他5つの棒状双極子磁石がスペーサ片(542)と交互になるようにした。6つのスペーサ片(542)は、磁界発生装置(540)が磁気アセンブリ(530)の下方に正しく配置されるように使用した。7つの棒状双極子磁石(541)はそれぞれ、長さ(L1)がおよそ30mm、幅(L2a)がおよそ3mm、厚さ(L3)がおよそ6mmであるものとした。6つのスペーサ片(542)はそれぞれ、長さがおよそ20mm、幅(L2b)がおよそ1.5mm、厚さ(L3)がおよそ6mmであるものとした。7つの各棒状双極子磁石(541)の磁気軸は、基板(510)表面と実質的に平行であるものとした。7つの棒状双極子磁石(541)は、NdFeB N42で構成した。6つのスペーサ片(542)は、POMで構成した。磁場方向が磁界発生装置(540)の磁場方向と反対である点を除いて、磁界発生装置(540)は、磁界発生装置(240)(図2A)と同じであるものとした。
【0193】
[00192]磁界発生装置(530)及び磁界発生装置(540)は、直接接触させた。すなわち、磁界発生装置(530)の底面と磁界発生装置(540)の上面との間の距離(d)は、およそ0mmであるものとした(図5Aにおいては、図面の明瞭化のため、正確な縮尺では示していない)。磁界発生装置(530)の上面(すなわち、支持マトリクス(534)の上面)と磁界発生装置(530)に面する基板(510)の表面との間の距離(h)は、およそ3.5mmであるものとした。
【0194】
実施例E1(図6のFig.6A):図2A及び図2Bに示す磁気アセンブリを第1の磁気アセンブリ(200-a)として、図3A及び図3Bに示す磁気アセンブリを第2の磁気アセンブリ(300-b)として使用するプロセス
[00193]実施例E1は、第1の配向ステップ(ステップb))に磁気アセンブリ(200-a)(図2A及び図2B)を使用し、第2の配向ステップ(ステップe))に磁気アセンブリ(300-b)(図3A及び図3B)を使用することにより、上記のような一般的プロセスに従って準備した。磁気アセンブリ(200-a)の磁界発生装置(240)の磁場方向及び磁気アセンブリ(300-b)の磁界発生装置(340)の磁場方向が基板(610)に関して互いに反対となるように、第1の配向ステップに用いられる磁気アセンブリ(200-a)(図2A及び図2B)及び第2の配向ステップに用いられる磁気アセンブリ(300-b)(図3A及び図3B)の上に基板(610)を配設した。
【0195】
[00194]図6のFig.6Aには、基板(610)を+20°~-60°傾斜させて見られる様々な視角から、結果としてのOEL(620)を示している。結果としてのOEL(620)は、基板(610)の傾斜によって円のサイズが小さくなり、サイズが大きくなりながら正方形に変形され、その逆もまた同様である視覚的印象を与える。言い換えると、基板(610)の傾斜によって円が縮みながら変形され、その後、正方形が次第に大きくなり、その逆もまた同様である。
【0196】
実施例E2(図6のFig.6B):図2A及び図2Bに示す磁気アセンブリを第1の磁気アセンブリ(200-a)として、図4A及び図4Bに示す磁気アセンブリを第2の磁気アセンブリ(400-b)として使用するプロセス
[00195]実施例E2は、第1の配向ステップ(ステップb))に磁気アセンブリ(200-a)(図2A及び図2B)を使用し、第2の配向ステップ(ステップe))に磁気アセンブリ(400-b)(図4A及び図4B)を使用することにより、上記のような一般的プロセスに従って準備した。磁気アセンブリ(200-a)の磁界発生装置(240)の磁場方向及び第2の磁気アセンブリ(400-b)の磁界発生装置(440)の磁場方向が基板(610)に関して互いに反対となるように、第1の配向ステップに用いられる磁気アセンブリ(200-a)(図2A及び図2B)及び第2の配向ステップに用いられる磁気アセンブリ(400-b)(図4A及び図4B)の上に基板(610)を配設した。
【0197】
[00196]図6のFig.6Bには、基板(610)を+20°~-60°傾斜させて見られる様々な視角から、結果としてのOEL(620)を示している。結果としてのOEL(620)は、基板(610)の傾斜によって円のサイズが小さくなり、サイズが大きくなりながら三角形に変形され、その逆もまた同様である視覚的印象を与えており、基板(610)の傾斜によって、円及び三角形の両者のサイズが変化する。言い換えると、基板(610)の傾斜によって円が縮みながら変形され、その後、三角形が次第に大きくなり、その逆もまた同様である。
【0198】
実施例E3(図6のFig.6C):図2A及び図2Bに示す磁気アセンブリを第1の磁気アセンブリ(200-a)として、図4A及び図4Bに示す磁気アセンブリを第2の磁気アセンブリ(400-b)として使用するプロセス
[00197]第2のコーティング層(622)(10mm×10mm)で構成された第2の単一パターンが第1のコーティング層(621)(16mm×16mm)の第1の単一パターンよりも小さい点を除いて、実施例E3は、実施例E2と同様に準備した。
【0199】
[00198]図6のFig.6Cには、基板(610)を+20°~-60°傾斜させて見られる様々な視角から、結果としてのOEL(620)を示している。結果としてのOEL(620)は、基板(610)の傾斜によって円のサイズが小さくなり、サイズが大きくなりながら三角形に変形され、その逆もまた同様である視覚的印象を与えており、基板(610)の傾斜によって、円及び三角形の両者のサイズが変化する。言い換えると、基板(610)の傾斜によって円が縮みながら変形され、その後、三角形が次第に大きくなり、その逆もまた同様である。
【0200】
比較例C1(図7
[00199]比較例C1は、磁気アセンブリ(500-a)(図5A及び図5B)を使用するとともに、第2の配向ステップ(ステップe))に磁気アセンブリ(400-b)(図4A及び図4B)を使用することにより、上記のような一般的プロセスに従って準備した。第1の磁気アセンブリ(500-a)の磁界発生装置(540)の磁場方向及び第2の磁気アセンブリ(400-b)の磁界発生装置(440)の磁場方向が基板(710)に関して同じとなるように、第1の配向ステップに用いられる磁気アセンブリ(500-a)(図5A及び図5B)及び第2の配向ステップに用いられる磁気アセンブリ(400-b)(図4A及び図4B)の上に基板(710)を配設した。
【0201】
[00200]図7には、基板(710)を+20°~-60°傾斜させて見られる様々な視角から、結果としての比較OEL(720)を示している。結果としてのOEL(720)は、三角形が内接した円の視覚的印象を与えており、基板(710)の傾斜によって、円及び三角形の両者のサイズが大きくなる(或いは、サイズが小さくなる)。すなわち、光学効果層の傾斜によりサイズ及び形状が変化するループ状体の光学的印象を与えるOELではない。
図1A
図1B
図2A
図2B1
図2B2
図3A
図3B1
図3B2
図4A
図4B1
図4B2
図5A
図5B1
図5B2
図6
図7