(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】電子部品の配線構造、電子部品の接続方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20230530BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20230530BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H05K1/14 A
H05K3/36 A
H05K1/18 F
(21)【出願番号】P 2022089062
(22)【出願日】2022-05-31
【審査請求日】2022-06-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522216709
【氏名又は名称】前田 眞一
(73)【特許権者】
【識別番号】522216710
【氏名又は名称】KEITAスマート未来クリエーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】前田 眞一
(72)【発明者】
【氏名】宮里 桂太
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-002628(JP,A)
【文献】特開2017-157807(JP,A)
【文献】特開2010-109152(JP,A)
【文献】特開2003-069181(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051649(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/119248(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
H05K 3/36
H05K 1/18
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、上記基板上に設置される電子部品との間に、導電性の配線部が形成された柔軟性を有する柔軟配線体を介装させ、
上記柔軟配線体における配線部は、上記電子部品及び/又は上記基板と電気的に接続され、
上記柔軟配線体と上記基板と上記電子部品とが上記柔軟配線体が介装される領域で直接的に電気接続されており、
上記柔軟配線体における配線部が一の上記基板上に設置される互いに離間する2以上の電子部品間を互いに電気的に接続し、上記柔軟配線体における上記電子部品間を跨ぐ領域を上記基板に対して離間させてなること
を特徴とする電子部品の配線構造。
【請求項2】
上記柔軟配線体における何れか一端側又は両端側に設けられた配線部は、一の上記基板上に設置される2以上の各電子部品間を、又は2以上の上記基板のそれぞれに設定される各電子部品間を、互いに電気的に接続すること
を特徴とする請求項1記載の電子部品の配線構造。
【請求項3】
上記柔軟配線体は、複数枚に亘り積層され、
各柔軟配線体における配線部は、一の上記電子部品と電気的に接続されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の電子部品の配線構造。
【請求項4】
上記基板よりも下側に設けられた他の基板をさらに備え、
上記基板と上記他の基板との間に他の上記柔軟配線体がさらに介装され、当該他の上記柔軟配線体における配線部は、上記基板と電気的に接続されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の電子部品の配線構造。
【請求項5】
上記柔軟配線体における配線部は、2層以上に亘り設けられた導体部の各層に設けられていること
を特徴とする請求項1又は2記載の電子部品の配線構造。
【請求項6】
筐体と、上記筐体の基板として機能する内壁面上に設置される電子部品との間に、導電性の配線部が形成された柔軟性を有する
柔軟配線体を介装させ、
上記柔軟配線体における配線部は、上記電子部品及び又は上記筐体の内壁面に形成された配線部と電気的に接続され、
上記柔軟配線体と上記筐体の内壁面と上記電子部品とが上記柔軟配線体が介装される領域で直接的に電気接続されており、
上記柔軟配線体における配線部が上記内壁面と他の基板上に分離して設置される互いに離間する2以上の電子部品間を互いに電気的に接続し、上記柔軟配線体における上記電子部品間を離間させてなること
を特徴とする電子部品の配線構造。
【請求項7】
基板と、上記基板上に設置される電子部品との間に、導電性の配線部が形成された柔軟性を有する柔軟配線体を、当該配線部と上記電子部品及び/又は上記基板とが電気的に接続されるように介装し、
上記柔軟配線体と上記基板と上記電子部品とが上記柔軟配線体が介装される領域で直接的に電気接続され、
上記柔軟配線体における配線部を一の上記基板上に設置される互いに離間する2以上の電子部品間を互いに電気的に接続し、上記柔軟配線体における上記電子部品間を跨ぐ領域を上記基板に対して離間させること
を特徴とする電子部品の接続方法。
【請求項8】
上記柔軟配線体における何れか一端側又は両端側に設けられた配線部を、一の上記基板上に設置される2以上の各電子部品間に、又は2以上の上記基板のそれぞれに設定される各電子部品間に、互いに電気的に接続すること
を特徴とする請求項7記載の電子部品の接続方法。
【請求項9】
上記柔軟配線体を複数枚に亘り積層する上で、各柔軟配線体における配線部を一の上記電子部品と電気的に接続すること
を特徴とする請求項7又は8記載の電子部品の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器、電子機器、コンピューター、通信機器等に用いられる電子部品の配線構造、電子部品の接続方法に関し、特に高速大容量の高速伝送システムにおいて伝送損失の低減を図り、基板の放熱性を向上させる上で好適な電子部品の配線構造、電子部品の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気機器、電子機器、コンピューター、通信機器等に用いられる半導体素子やデバイス、集積回路等の電子部品は、プリント配線板(以下、基板という。)上に実装していた。従来においては、エポキシ系樹脂やEガラス繊維を利用した銅張積層板製の基板の利用でも対応できていた。
【0003】
しかしながら、第5世代移動通信システム(5G)に代表される、伝送システムの高速化、大容量化、低遅延化が要求される中、上述した従来の基板では、必要とされる伝送損失の要求性能を満足することが困難になってくる。これに加えて、半導体回路配線の更なる微細化が進展する結果、5G以降では、特に基板の放熱性についても対処する必要が大きくなってくる。特に5G以降では、電子部品の大規模化、高速化、高集積化による発熱の増大により、熱応力による故障対策や放熱対策が重要になる。通常の基板は、熱伝導性の良好なGND(グランド)層を最外層に十分に配置できないため、放熱が難しい。特に、電子部品の大規模化、高速化、高集積化による発熱の増大により、熱応力による故障対策や放熱対策が喫緊の課題となる。
【0004】
このため、近年において、このような高速伝送システムにおいて求められる伝送損失や放熱性の要求特性に応えるために以下の改善が試みられている。
【0005】
伝送損失を抑えるためには、半導体の回路設計や基板の配線回路設計の改善が行われている。また基板の材質についても各種改善が行われている。また、放熱性を向上させるためには、上述した基板の材質改善に加え、送風ファンの設置や、半導体パッケージへのヒートシンクの装着、更には空冷や水冷の機構を設ける等の試みが行われている。
【0006】
しかしながら、低誘電特性、高放熱性の更なる改善を図る上では、基板材料の改善やその信頼性確認試験を行う必要があり、これを実現する上で長時間を要する。特に、基板材料の更なる低誘電特性向上を図る上で、その商品設計の難易度は格段に上がり、基板材料コストや基板の開発コスト等も上昇する。
【0007】
また高周波数帯域において伝送損失の増加が著しくなる結果、基板に対する回路設計への制限事項が増えてしまう。また、基板の材料として一般的に用いられるEガラスクロスは、基板の熱膨張の防止、機械的強度の確保の観点からは好適ではある一方で、基板に対し要求される誘電率、誘電正接に代表される電気的特性と表面の平滑性の低下要因にもなりえる。
【0008】
また多層配線板では、配線密度が上がるため、ビアで配線層を切り替えるX-Y配線が用いられる場合が多いが、ビアにより伝送損失に悪影響を及ぼす不利益があり、また、配線が長くなる分、伝送損失が大きくなる。
【0009】
またビアによる電気特性低下や配線密度低下を避けるために多層基板において、穴を貫通させずに必要な層間のみを接続するIVH(Interstitial Via Hole)、バックドリル等が用いられるが、基板のコストが上昇し、基板回路設計にも制限を与えることとなる。
【0010】
一方で、基板の材質や構造自体に改良を施すのではなく、電子部品同士の電気的な接続を、基板を介するのではなく、コネクタを介して直接接続する方法も考えられる。しかしながら、このような方法では、電子部品ないしは電子部品の近傍にコネクタを取り付ける必要がある。より小型化された電子部品においてコネクタを取り付けるための領域を確保するのが困難な場合が多く、またコネクタにおいて伝送損失が生じてしまう場合もある。
【0011】
更に通常の基板は、電子部品が直接的に接続されているため、電子部品の一部が故障した場合においてその修理をする上での利便性が低下するという問題がある。
【0012】
上述した従来の問題点を解決するため、以下の特許文献1、2の技術が提案されている。特許文献1の開示技術は、基板上に設置された集積回路パッケージ間をダイレクトコネクトケーブルを介して直接結合するものである。特許文献2の開示技術は、半導体素子が配設された回路基板同士を部材を介して熱的に接続するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2010-192918号公報
【文献】特開2016-213361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上述した特許文献1、2の開示技術では、伝送損失や放熱性を改善することを意図した技術ではない。このため、基板上に設置される電子部品間を、基板以外の配線体を介して電気的に接続する点については特段言及がなされていない。
【0015】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、高速大容量の高速伝送システムにおいて、伝送損失の低減を図り、基板の放熱性を向上させる上で好適な電子部品の配線構造、電子部品の接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上述した課題を解決するために、基板と、上記基板上に設置される電子部品との間に、柔軟性を有する絶縁性基材に導電性の配線部が形成された柔軟配線体を、当該配線部と上記電子部品とが電気的に接続されるように介装した電子部品の配線構造、電子部品の接続方法を発明した。
【0017】
第1発明に係る電子部品の配線構造は、基板と、上記基板上に設置される電子部品との間に、導電性の配線部が形成された柔軟性を有する柔軟配線体を介装させ、上記柔軟配線体における配線部は、上記電子部品及び/又は上記基板と電気的に接続され、上記柔軟配線体と上記基板と上記電子部品とが上記柔軟配線体が介装される領域で直接的に電気接続されており、上記柔軟配線体における配線部が一の上記基板上に設置される互いに離間する2以上の電子部品間を互いに電気的に接続し、上記柔軟配線体における上記電子部品間を跨ぐ領域を上記基板に対して離間させてなることを特徴とする。
【0018】
第2発明に係る電子部品の配線構造は、第1発明において、上記柔軟配線体における何れか一端側又は両端側に設けられた配線部は、一の上記基板上に設置される2以上の各電子部品間を、又は2以上の上記基板のそれぞれに設定される各電子部品間を、互いに電気的に接続することを特徴とする。
【0019】
第3発明に係る電子部品の配線構造は、第1発明又は第2発明において、上記柔軟配線体は、複数枚に亘り積層され、各柔軟配線体における配線部は、一の上記電子部品と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
第4発明に係る電子部品の配線構造は、第1発明又は第2発明において、上記基板よりも下側に設けられた他の基板をさらに備え、上記基板と上記他の基板との間に他の上記柔軟配線体がさらに介装され、当該他の上記柔軟配線体における配線部は、上記基板と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0023】
第5発明に係る電子部品の配線構造は、第1発明又は第2発明において、上記柔軟配線体における配線部は、2層以上に亘り設けられた導体部の各層に設けられていることを特徴とする。
【0024】
第6発明に係る電子部品の配線構造は、筐体と、上記筐体の基板として機能する内壁面上に設置される電子部品との間に、導電性の配線部が形成された柔軟性を有する柔軟配線体を介装させ、上記柔軟配線体における配線部は、上記電子部品及び又は上記筐体の内壁面に形成された配線部と電気的に接続され、上記柔軟配線体と上記筐体の内壁面と上記電子部品とが上記柔軟配線体が介装される領域で直接的に電気接続されており、上記柔軟配線体における配線部が上記内壁面と他の基板上に分離して設置される互いに離間する2以上の電子部品間を互いに電気的に接続し、上記柔軟配線体における上記電子部品間を離間させてなることを特徴とする。
【0025】
第7発明に係る電子部品の接続方法は、基板と、上記基板上に設置される電子部品との間に、導電性の配線部が形成された柔軟性を有する柔軟配線体を、当該配線部と上記電子部品及び/又は上記基板とが電気的に接続されるように介装し、上記柔軟配線体と上記基板と上記電子部品とが上記柔軟配線体が介装される領域で直接的に電気接続され、上記柔軟配線体における配線部を一の上記基板上に設置される互いに離間する2以上の電子部品間を互いに電気的に接続し、上記柔軟配線体における上記電子部品間を跨ぐ領域を上記基板に対して離間させることを特徴とする。
【0026】
第8発明に係る電子部品の接続方法は、第7発明において、上記柔軟配線体における何れか一端側又は両端側に設けられた配線部を、一の上記基板上に設置される2以上の各電子部品間に、又は2以上の上記基板のそれぞれに設定される各電子部品間に、互いに電気的に接続することを特徴とする。
【0027】
第9発明に係る電子部品の接続方法は、第7発明又は第8発明において、上記柔軟配線体を複数枚に亘り積層する上で、各柔軟配線体における配線部を一の上記電子部品と電気的に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
上述した構成からなる本発明によれば、特に5G以降において、伝送システムの高速化、大容量化、低遅延化が要求される中、伝送損失性能等を向上させることができる。特に柔軟配線体は、電子部品間の配線を直線的にすることも可能であり、配線長による伝送損失の低減にも有効である。これに加えて、柔軟配線体の材料の最適化を行い、要求される伝送システムへの対応の可能性を高めることができる。また、導体部、導電部の材料の最適化を行い、要求される伝送システムへの対応の可能性を高めることができる。
【0031】
上述した構成からなる本発明によれば、特に5G以降において、電子部品の大規模化、高速化、高集積化による発熱が生じる場合に、柔軟配線体を基板に対して離間させることにより放熱性を向上させることができる。特に柔軟配線体は、導体部を配設していることから、電子部品からの熱を効果的に放熱することができる。これに加えて、電子部品と基板との間に柔軟配線体を介装させることで、電子部品と基板との間隔を大きくすることができ、更なる放熱特性、冷却特性を向上させることができる。特に、この導体部からなる配線部を広い面積に亘り展開することで電子部品からの放熱を、導体部の熱伝導率により効率よく柔軟配線体に伝導拡散させることができる。この柔軟配線体に伝わった熱は、表面から放熱されるが、基板との間で空間があることから、空冷又は液冷の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明を適用した電子部品の配線構造の断面模式図である。
【
図2】
図2は、配線部の両端に設けられる接続点を示す平面図である。
【
図3】
図3は、配線部に設けられる接続点を示す他の例の平面図である。
【
図5】
図5は、各接続点を構成する導電部の詳細を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す導電部についてより詳細な構成を説明するための図である。
【
図7】
図7は、棒状の端子が設けられた電子部品と柔軟配線体との接続例を示す図である。
【
図8】
図8は、電子部品間において柔軟配線体を配設する上で、他の電子部品を跨ぐようにして弾性変形させる例を示す図である。
【
図9】
図9は、柔軟配線体の平面的な配置の例を示す図である。
【
図10】
図10は、一の電子部品に対して複数の電子部品を柔軟配線体により接続する例を示す図である。
【
図11】
図11は、柔軟配線体を2以上に亘り積層する例を示す図である。
【
図12】
図12(a)は、2枚の柔軟配線体を積層させる例であり、
図12(b)は、一枚のみの柔軟配線体で構成する例を示す図である。
【
図13】
図13は、柔軟配線体における基板と電子部品との間に介装される領域を、間隙保持体により所定の間隙に亘り保持する構成を示す図である。
【
図15】
図15は、基板の代替として筐体に配線構造を設ける例を示す図である。
【
図16】
図16は、電子部品に対して全ての端子が柔軟配線体に電気的に接続されていない構成について説明するための図である。
【
図17】
図17は、基板よりも下側に設けられた他の基板をさらに備える例を示す図である。
【
図18】
図18は、柔軟配線体の内部に複数層に亘り導体部を設けた例を示す図である。
【
図19】
図19は、柔軟配線体における一端側に上述した配線部を設け、他端側をコネクタで構成する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を適用した電子部品の配線構造について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0034】
図1(a)、(c)は、本発明を適用した電子部品の配線構造1の断面模式図である。配線構造1は、基板2と、基板2上に設置される2以上の電子部品3a、3bと、基板2と電子部品3との間に介装される柔軟配線体4とを備えている。電子部品3a、3bは、基板2に対して導電部51を介して接続されている。柔軟配線体4は、基板2に対して、導電部65を介して接続されている。本発明を適用した電子部品の配線構造1は、この電子部品3aと電子部品3bとを基板2、柔軟配線体4の片方または双方を介して互いに電気的に接続するものである。
【0035】
基板2は、いわゆるプリント配線板であり、絶縁体により構成されたボード上又はその内部に導体の配線が施されている。基板2は、複数のプリント配線板を取り付け、又は接続したボードで構成されるものであってもよい。基板2は、プリント配線板で片面板(配線部1層)、両面板(配線部2層)、多層板(配線部3層以上)の何れを適用してもよい。
【0036】
電子部品3は、半導体素子やデバイス、集積回路、モジュール等、基板2に対して搭載可能なあらゆる部品を含む。中でも、この電子部品3は、高速、低速、電源等多くの入出力信号を有する素子、モジュール等に特に有効である。この電子部品3は、基板2に対して直接に電気的接続されるもの、柔軟配線体4に対して電気的接続するものがある。
【0037】
導電部51、導電部65は、いわゆるハンダで構成されているが、これに限定されるものではなく、導電性のある材料で構成されるものであればいかなるものであってもよい。
【0038】
図2、3は、互いに接合する電子部品3aの底面と、柔軟配線体4の上面の対応関係を示す平面図である。
図4(a)は、この
図2における第1断面の断面図である。柔軟配線体4は、
図4に示すように、基材40の上面に形成された導体部41-1と、基材40の下面に形成された導体部41-2とを有し、更にこの導体部41-1の上面、及び導体部41-2の下面は、被覆層43により被覆されている。また柔軟配線体4は、電子部品3との間で電気的接続するための導電部63が各箇所に設けられている。
【0039】
基材40は、柔軟性を有する絶縁性の材料で構成されていればよい。柔軟性を有する絶縁性の材料としては、例えば有機系基板で構成されていてもよく、ポリイミド、モディファイドポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリエチレンナフタレート、フッ素系高分子、フェノール、エポキシ、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド等であってもよい。この有機系基板に用いられる有機材料は、熱硬化、熱可塑を問わない。
【0040】
また基材40は、無機系基板で構成されていてもよく、ガラスシートやその他無機材料でできている絶縁シート、セラミックス等であってもよい。
【0041】
また基材40は、柔軟性を有していれば有機無機複合基板でもよい。有機部は、ポリイミド、モディファイドポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリエチレンナフタレート、フッ素系ポリマー、フェノール、エポキシ、PPO、PPE、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド等で無機部は、ガラス材料やその他無機材料でも良い。
【0042】
基材40を構成するガラス材料やその他無機材料の形状は、シート状、繊維状、短繊維状、フィラー状(粒状、粉状等)等、形は、問わない。また、それらを加工し、ペーパー状、マット状、クロス状等、形は、問わない。
【0043】
また基材40は、柔軟性を有していれば無機材料の代替えとして有機材料ないし有機無機複合材料を使用しても良い。
【0044】
このような材料により構成される基材40は、弾性変形自在に構成される。
【0045】
導体部41-1、41-2は、実際の配線を構成する層である。実際には、導体部41に対してエッチング等の手段が施されることで所期の配線形状が構成される。
図2、3は、導体部41にエッチング等の手段が施されることで形成された配線部411と、配線部411の両端に設けられる接続点412、413、414を示している。
【0046】
配線部411は、接続点412、413を互いに導通可能となるように線状に形成されている。接続点412、413は、電子部品3と電気的接続される。また、
図3は、配線部411は、接続点412、413、414を互いに導通可能となるように線状に形成されている。接続点412、413、414は、電子部品3と電気的接続される。
【0047】
被覆層43は、柔軟配線体4の上下面を被覆するように形成される。ただし、被覆層を設けない場合もある。
【0048】
被覆層43は、例えば、ポリイミドベース、PETベースやその他の材料を用いたフィルムタイプ、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系やその他の材料を用いた印刷タイプ等で構成される。また被覆層43は、感光性フィルムや感光性インクを用いた感光性タイプ等で構成されていてもよい。被覆層43は、導体部41を被覆できれば特に限定されない。この被覆層43で導体部41の表面被覆することで、導体部41が直接に露出しないように構成することができる。その結果、導体部41への防錆、疵付きや破損を防止することができる。柔軟配線体4における配線部411は、基板2上に設置される2以上の各電子部品3間を互いに電気的に接続可能とする。
図2において、一の電子部品3aの導電部51aを介して配線部411の接続点412が電気的に接続される。また、他の電子部品3bの導電部51aを介して配線部411の接続点413が接続される。その結果、この一の電子部品3aの導電部51aと、他の電子部品3bの導電部51aとが互いに配線部411を介して電気的に接続されることとなる。
【0049】
図3の場合も同様に、一の電子部品3aの導電部51aを介して配線部411の接続点412が電気的に接続される。また、他の電子部品3bの導電部51aを介して配線部411の接続点413が接続される。更に、他の電子部品3cの導電部51cを介して配線部411の接続点414が接続される。その結果、この一の電子部品3aの導電部51aと、他の電子部品3bの導電部51aと、更なる他の電子部品3cの導電部51cが互いに配線部411を介して電気的に接続されることとなる。
【0050】
なお、配線部411は、導体部41を貼り、その後回路形成により作成されるものであってもよいし、メッキ等により導体を析出させることで作成されるものであってもよい。更には、プリンテッドエレクトロニクスの技術等やそれらを共用する方法もあるが、少なくとも配線部411が形成できるものであればいかなる方法を適用するようにしてもよい。
【0051】
このとき、一の電子部品3aの端子31aの一部と、他の電子部品3bの端子31bの一部との電気的な接続は、基板2を介することなく、この柔軟配線体4に担わせることが可能となる。
【0052】
なお柔軟配線体4は、
図4(a)に示す構成のように、基材40の上面に形成された導体部41-1と、基材40の下面に形成された導体部41-2の2層構造で構成されることを前提としているがこれに限定されるものではなく、
図4(b)に示すように、基材40の上面に形成された導体部41のみの1層構造で構成されるものであってもよい。かかる場合には、基材40の下面に対する被覆層43の形成を省略することができる。また1層構造、2層構造共に、被覆層43の形成は必須ではなく、柔軟配線体4の上面及び下面への被覆層43の形成を省略するようにしてもよい。また導体部41は、3層以上で構成されてもよいことは勿論である。
【0053】
なお、柔軟配線体4は、基材40が弾性変形自在に構成されており、これに積層される導体部41、被覆層43も、この基材40に追従して弾性変形自在に構成されている。このため、
図1に示すように、柔軟配線体4を弾性変形させなくても、自在に弾性変形させて、折り曲げた状態で固定するようにしてもよい。即ち、一の基板2上に設置される2以上の電子部品3間を柔軟配線体4を介して互いに電気的に接続する場合において、柔軟配線体4における電子部品3間を跨ぐ領域を基板2に対して離間させる。これにより、特に5G以降では、電子部品3の大規模化、高速化、高集積化による発熱が生じる場合があるが、柔軟配線体4を基板2に対して離間させることにより放熱性を向上させることができる。特に柔軟配線体4は、導体部41を配設していることから、電子部品3からの熱を効果的に放熱することができる。これに加えて、電子部品3と基板2との間に柔軟配線体4を介装させることで、電子部品3と基板2との間隔を大きくすることができ、更なる放熱特性、冷却特性を向上させることができる。特に、この導体部41からなる配線部411を広い面積に亘り展開することで電子部品3からの放熱を、銅の高い熱伝導率により効率よく柔軟配線体4に伝導拡散させることができる。この柔軟配線体4に伝わった熱は、表面から放熱されるが、基板2との間で空間があることから、空冷又は液冷の効率を高めることができる。
【0054】
柔軟配線体4において、
図2、3に示すように、電子部品3に設けられた導電部51を、柔軟配線体4の各接続点412、413、414に接続する。
【0055】
ここで導電部51a-1、51b-1、51c-1は、柔軟配線体4の導体部41に接続することなく、基板2の導体部21のみに対して電気的に接続するための端子又はバンプ等である。また、導電部51a-2、51b-2、51c-2は、柔軟配線体4の導体部41及び基板2の導体部21の両方に対して電気的に接続するための端子又はバンプ等である。また導電部51a-3、51b-3、51c-3は、柔軟配線体4の導体部41のみに対して電気的に接続するための端子又はバンプ等である。このような各導電部51a、51bが、上述した導電部51aを介して柔軟配線体4へと連続することとなる。
【0056】
第1断面を例にとった場合、
図4に示すように、柔軟配線体4の各接続点412、413に対応する部分については上下に設けられた導電部63で構成されている。
【0057】
図5は、導電部の詳細を示している。
図5(a)は、導電部51a-1、51b-1等が、柔軟配線体4の導体部41に接続することなく、基板2の導体部21のみに対して電気的に接続する構成例である。導電部63が上述した接続点412、413になり得る。この導電部63は、基材40に形成された孔に対して導体を埋め込むことにより構成されている。この導電部63が形成されている箇所については被覆層43が形成されることなく取り除かれている。その結果、導電部63は、外部に直接露出する構成となる。
【0058】
このような導電部63に対して、電子部品3との間に介装させた導電部51を溶融させることによりこれらを電気的に接続することができる。この
図5(a)に示す例では、導電部63と、導体部41―1、41―2との間を互いに離間させ、導電部63を流れる電流を、導体部41-1、41-2に対して流さない構成とすることができる。この導電部63は、基板2と柔軟配線体4との間に形成された導電部65に接続する。このため、導電部63を流れる電流は、導電部65を介して基板2の導体部21へ流すことが可能となる。
【0059】
図5(b)は導電部51a-2、51b-2等が、柔軟配線体4の導体部41及び基板2の導体部21の両方に対して電気的に接続する構成例である。この
図5(b)に示す例では、導電部63と、導体部41―1との間を互いに離間させている。一方で、この導電部63は、導体部41-2に接続させている。これにより、導電部63を流れる電流を、導体部41-1に対して流さず、導体部41-2に流す構成とすることができる。この導電部63は、基板2と柔軟配線体4との間に形成された導電部65に接続する。このため、導電部63を流れる電流は、導電部65を介して基板2の導体部21へ流すことが可能となる。
【0060】
なお、この
図5(b)に示す構成において、更に導電部63と、導体部41―1とを接続させる構成とすることで、電子部品3に対して、導体部41-1、41-2の両方に加え、基板2の導体部21との間で電気的接続が可能となる。また導電部63と導体部41―1とを接続させ、導電部63と導体部41-2とを離間させることで、電子部品3に対して、導体部41-1、基板2の導体部21との間で電気的接続させ、導体部41-2との間では電気的に非接続とすることも可能となる。
【0061】
図5(c)は、導電部51a-3、51b-3等が、柔軟配線体4の導体部41のみに対して電気的に接続する構成例である。この
図5(c)に示す例では、この導体部41-1の露出した領域に対して導電部51を介して電子部品3を接続することにより、互いに電気的接続が可能となる。導体部41-1は、基材40を介して導体部41-2、導電部65とは互いに絶縁していることから、電子部品3との間では、導体部41-1のみ電気的接続がなされ、導体部41-2、導電部65との間では電気的に非接続とすることができる。
【0062】
図6(a)は、
図5(a)に示すように、導電部63と、導体部41―1、41―2との間を互いに離間させる構成において、導電部63を導体部41と同一の材質で構成する例を示している。導電部63は、導体部41-1、41-2との間では互いに離間させてなることで、電気的に非接続となるように構成している。
【0063】
図6(b)は、この導電部63を基材40の側端面に形成させた導電膜で構成する例である。この膜状の導電部63は、基材40の側端面と上下面を被覆するように構成されているが、導体部41-1、41-2との間では互いに離間させてなることで、電気的に非接続となるように構成している。このような膜状の導電部63を構成することにより、導電部63は、上下に貫通する孔61が中央に形成されることとなる。電子部品3がピン状の端子で構成される場合、導電部63に形成された孔61を介して挿入させることも可能となる。
【0064】
図7は、棒状の端子31が設けられた電子部品3と柔軟配線体4との接続例を示している。この
図7の例において柔軟配線体4に設けられる被覆層43の構成は省略している。
【0065】
この棒状の端子31は、基板2に対しては直接接続が可能となる。更にこの端子31に対して、柔軟配線体4中の導体部41-1、41-2との間で電気的な接続を実現するためには、その電気的接続を所望する導体部41-1、41―2の何れか一方又は両方と導通している導電部65を設ける。この導電部65は、基板2に対しては非接続となるように構成されるものであってもよい。このような導電部65と端子31とを電気的接続することで、導体部41-1、41-2との間で電気的接続が可能となる。なお、
図7(a)は、1枚の柔軟配線体4で構成する例であり、
図7(b)は2枚の柔軟配線体で構成する例であるが、いずれも同様の構成で具現化される。
【0066】
なお、本発明を適用した電子部品の配線構造1は、基板2と柔軟配線体4との接続は、導電部51による接続以外に、
図1(b)、(d)に示すように導電部51は、電子部品3から基板2ないし柔軟配線体4へ導通できればよい。その一例としてACF(異方性導電膜)52の圧着加工等を施すようにしてもよい。かかる場合には、ACF52を基板2と柔軟配線体4との間に予め介装させておき、圧着することで互いを接続することが可能となる。
【0067】
また、
図8に示すように既に基板2上に他の電子部品3´が既に取り付けられている場合には、電子部品3aから電子部品3bにかけて柔軟配線体4を配設する上で、当該他の電子部品3´を跨ぐようにして弾性変形させるようにしてもよい。これにより、既に基板2上に取り付けられている他の電子部品3´の配置をそのままの状態に維持しつつ柔軟配線体4を配設することが可能となる。このようにして、弾性変形自在な柔軟配線体4を弾性変形させ、電子部品3aと電子部品3bとを跨ぐ領域を基板2に対して離間させることにより、電子部品3´の配置をそのままの状態に維持することができる。
【0068】
また、この電子部品3にヒートシンクを取り付ける場合であっても、上述したように放熱性を向上させることができることから、取り付けるべきヒートシンクの高さを低くしても同程度の放熱性を確保できる。これによりヒートシンクの小型化または削除が図れることで、コストを減少することができる。更にはヒートシンクの低体積化または削除を図ることで小型の装置への実装においても利便性を向上させることができる。
【0069】
また、柔軟配線体4は、
図9(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示す配線構造1の平面図のように、電気的に接続すべき電子部品3aと電子部品3bの平面的な配置に応じて自在に接続させるようにしてもよい。特に
図9aに示す電子部品3aと電子部品3bのように互いに横方向に直線的に平面的な配置がなされている場合も、
図9(b)、(c)、(d)、に示すように電子部品3aと電子部品3bのように互いに斜め方向に向けて平面的な配置がなされている場合でもよい。
図9(e)に示すように電子部品3aと電子部品3bと電子部品3hのように平面的な配置がなされている場合でもよい。このとき、電子部品3は、2以上を連ねて配置するものであれば、いかなる個数であってもよい。また、柔軟配線体4を斜め方向に弾性変形させたり、或いは柔軟配線体4自体を弾性的に捻ることにより、これらを接続することも可能となる。
【0070】
また、
図10に示すように一の電子部品3bに対して複数の電子部品3a、3c、3dを柔軟配線体4により接続するようにしてもよい。このとき、電子部品3bと同一の基板2上に設置される電子部品3cを柔軟配線体4により接続するようにしてもよいし、電子部品3bと異なる基板2上に設置される電子部品3dを柔軟配線体4により接続するようにしてもよい。
【0071】
このように、柔軟配線体4を利用することにより、電子部品3が一の基板2上に設置されているか、或いは2以上の基板2のそれぞれに設置されているか否かに関わらず、これらを互いに電気的に接続することが可能となる。
【0072】
また
図11に示すように、一の電子部品3gに対して2以上の電子部品3e、3fを接続する場合、電子部品3g側において柔軟配線体4を複数枚に亘り積層するようにしてもよい。かかる場合には
図12(a)に示すように、電子部品3eに接続する柔軟配線体4aと、電子部品3fに接続する柔軟配線体4bとを互いに積層させ、電子部品3gの導電部63と互いに配線部411を介して電気的に接続する。柔軟配線体4aと柔軟配線体4bとの間は、互いに導電部65を介して接続される。また柔軟配線体4bと基板2との間も導電部65を介して接続される。
【0073】
その結果、
図12(a)に示すように、電子部品3と柔軟配線体4a、電子部品3と柔軟配線体4bとの電気的接続に加え、電子部品3と基板2との電気的接続も可能となる。また電子部品3以外に、柔軟配線体4a、柔軟配線体4bと基板2との電気的接続も可能となる。
【0074】
このような電流の並列/直列接続を行う場合には、柔軟配線体4a、柔軟配線体4bにおいて、導電部63を設ける位置を調整することで実現できる。つまり、各柔軟配線体4a、4bにおいて上下に電気を流すことで導通させる場合には、スルーホールを設け、そこにメッキを施すか、導電物を埋め込むことで導電部63を形成することで接続点412、413を形成する。一方で、各柔軟配線体4a、4bにおいて上下に電気を流すことなく導通させない場合には、スルーホールを設けることなくそのままにする。このように、接続点412、413を形成する箇所を適宜選択することで、上述した所望の並列/直列接続を実現することができる。
【0075】
このような所望の並列/直列接続を実現する上では、
図12(b)に示すように、一枚のみの柔軟配線体4で構成する場合も同様に所望の並列/直列接続を実現することができる。
【0076】
これにより、柔軟配線体4aと柔軟配線体4bを、一の電子部品3の共通する導電部63に接続することができる。即ち、一の電子部品3gの共通する導電部63をそれぞれ柔軟配線体4a、4bを介して、互いに異なる電子部品3e、3fに対して電気的接続が可能となる。
【0077】
なお、本発明を実施する一例を、
図13に示す。柔軟配線体4における基板2と電子部品3との間に介装される領域を、間隙保持体55により所定の間隙に亘り保持させるようにしてもよい。間隙保持体55は、基体部56と、基体部56の上方に突出されたピン57と、基体部56の下方に突出されたピン58とを備えている。間隙保持体55は、樹脂、金属、セラミックス等、あらゆる材料で構成されていてもよい。
【0078】
ピン57の上端に上述した電子部品3を載置する。またピン58は、基板2に挿入することにより固定する。基体部56は、基板2上に載置され、その上端面に柔軟配線体4を載置する。これにより、柔軟配線体4は、基体部56を介して、基板2に対して所定の間隙に亘り保持することが可能となる。また、この基体部56から上方に突出されたピン57を介して電子部品3自体を柔軟配線体4に対して所定の間隙に亘り保持することが可能となる。
【0079】
このような間隙保持体55を設ける際には、
図14(a)に示すように、先ず基板2に対して間隙保持体55のピン58を挿入する。次に
図14(b)に示すように挿入したピン58、及び基体部56から上方に突出されているピン57を所望の長さに亘り切断する。次に、
図14(c)に示すように、基体部56の上に柔軟配線体4を載置する。この柔軟配線体4を載置する前に、基板2上に導電部65を形成させるようにしてもよい。次に
図14(d)に示すように、ピン57上に電子部品3を載置する。この電子部品3を載置する前に、柔軟配線体4との間に導電部51を形成させるようにしてもよい。
【0080】
図14の例の場合、基板2と柔軟配線体4との間隔が0.4mmとなるように基体部56を設計し、また柔軟配線体4から電子部品3との間隔が0.4~0.6mmとなるように、ピン57を設計するが、このようなサイズに限定されるものではない。但し、このような実装方法に限定されない。
【0081】
このような基板2と柔軟配線体4との間隙、また柔軟配線体4と電子部品3との間隙を、間隙保持体55により所定量に亘り保持することにより、柔軟配線体4を基板2や電子部品3と接触することを回避することができ、放熱性を向上させることができる。
【0082】
上述した構成からなる本発明によれば、柔軟配線体4を介して配線が実現できることから、基板2は汎用品を適用することもできる。
【0083】
また多層配線板では、配線密度が上がるため、ビアで配線層を切り替えるX-Y配線が用いられる場合が多いが、柔軟配線体4を介して電子部品3間を接続する本発明によれば、柔軟配線体4でビアの無い配線が実現でき、伝送損失に影響を与えることなく配線密度の向上も可能となる。
【0084】
基板2に対して柔軟配線体4を非接触に設置できるため、任意の角度で電子部品3間を最短で配線することができる。また、基板2と柔軟配線体4の間隙を所定量に亘り設けることで、
図8に示すように、基板2と柔軟配線体4間に他の電子部品3´の配置を可能とし、部品配置密度を向上することができ、ひいては基板の回路設計の自由度を向上させることができる。
【0085】
また、本発明によれば、電子部品3間を柔軟配線体4を介して直接的に電気接続をするため、電子部品3から信号を引き出す際、電子部品3ないしは電子部品3の近傍にコネクタを設ける必要がなくなり、また電子部品3からコネクタの引き出し配線を設ける必要もなくなる。従って、本発明によれば、コネクタを設置する面積の低減ができる。コネクタを設置することによる伝送損失の増加を低減できる。このため、本発明によれば、回路設計のための制限が減り、自由度が増す。
【0086】
さらに本発明によれば電子部品3と基板2との間にこのような柔軟配線体4を介装させる構造としていることから、電子部品3と基板2が直接接続される構造ではないため、電子部品3の一部が故障した場合においてその修理をする上での利便性を向上させることが可能となる。
【0087】
なお本発明によれば、
図15に示すように、基板2の代替として筐体7に配線構造1を設けるようにしてもよい。かかる場合には、筐体7側に設けられる配線構造1に関しては、筐体7と、筐体7上に設置される2以上の電子部品3bと、筐体7と電子部品3との間に介装される柔軟配線体4とを備えている。この
図15に示す実施形態における詳細な構成は、上述した説明における基板2を筐体7に置き換えることにより以下での説明を省略する。
【0088】
また、本発明は、
図16(a)~(c)に示すように電子部品3に対して全ての導電部51、導電部63、導電部65が柔軟配線体4に電気的に接続されていなくてもよく、一部の導電部51、導電部63、導電部65については従来と同様に基板2に対して直接的に電気的接続されるものであってもよい。かかる場合には、基板2に対して直接的に電気的接続される導電部51、導電部63、導電部65の領域にまで柔軟配線体4が延長されていなくてもよい。
【0089】
図17は、基板2よりも下側に設けられた他の基板2´をさらに備える例を示している。基板2と他の基板2´との間に他の柔軟配線体4´がさらに介装されている。この柔軟配線体4´の配線部411は、導電部65を介して基板2と電気的に接続されている。このとき、柔軟配線体4´の配線部411は、基板2のみならず他の基板2´との間で更に導電部65を介して電気的接続されていてもよいことは勿論である。
図17(a)は一の他の基板2´上に形成する例であり、
図17(b)は、互いに別体として構成される基板2´上に形成する例である。
【0090】
図18(a)は、柔軟配線体4について、単層の導体部41からなる、いわゆる片面板で構成した例を示している。導電部51を介してこの導体部41のみ電気的接続を実現する。
【0091】
図18(b)は、柔軟配線体4について、2層の導体部41―1、41-2で構成した、いわゆる両面板で構成した例を示している。導体部41-1、41-2は、基材40を挟むようにして2層に亘り構成している。導電部51を介して導体部41-1のみに直接的に電気的接続させるようにしてもよいし、導電部63を導体部41-2のみに接続し、導体部41-1に対しては離間させる構成とすることで、導電部51aを介して導体部41-2のみに直接的に電気的接続させるようにしてもよい。更に、導電部63を導体部41-1、41-2に対して離間させることで基板2のみに電気的接続する構成としてもよい。
【0092】
図18(c)は、柔軟配線体4について、3層の導体部41―1、41-2、41-3で構成した、いわゆる多層板で構成した例を示している。導体部41-1と導体部41-2の間には、基材40-1が介装される。また導体部41-2と導体部41-3の間には、基材40―2が介装される。
【0093】
かかる場合も同様に導体部41-1まで到達する導電部63、導体部41-2、又は41-3まで到達する導電部63かで、各導体部41-1、41―2、41-3に流すべき電流を並列/直列接続することもできるし、電流を流すべきではない導体部41-1、41-2、41-3については、適宜離間させるようにしてもよいことは勿論である。なお、導体部41(配線部411)は、配線部1層である片面板、配線部2層である両面板や配線部3層以上である多層板で構成されていてもよい。但し、配線部が1層である片面板よりも配線部が2層である両面板や配線部3層以上である多層板の方が、伝送損失を減少させやすく、放熱性も向上させやすい。
【0094】
図19は、柔軟配線体4における一端側に上述した配線部411(接続点412、413、414)を設け、他端側をコネクタ60に接続する例を示している。このような構成においても上述した効果を得られることは勿論である。但し、当該構成に限定されるものではなく、
図19に示す構成も本発明に含まれることから、接続点412、413、414は、柔軟配線体4に設けられていればよい。
【符号の説明】
【0095】
1 配線構造
2 基板(プリント配線板)
3 電子部品
4 柔軟配線体
7 筐体
21 基板2の導体部
31 端子
40 基材
41 柔軟配線体4の導体部
43 被覆層
51 導電部
55 間隙保持体
56 基体部
57、58 ピン
60 コネクタ
61 孔
63、65 導電部
411 配線部
412、413、414 接続点
【要約】
【課題】高速大容量の高速伝送システムにおいて伝送損失の低減を図り、基板の放熱性を向上させる。
【解決手段】基板2と、基板2上に設置される電子部品3との間に、柔軟性を有する絶縁性基材40に導電性の配線部411が形成された柔軟配線体4を、当該配線部411と電子部品3とが電気的に接続されるように介装することを特徴とする。
【選択図】
図1