(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】ビーコンを使った駐車場システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230530BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230530BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G07B15/00 510
G07B15/00 N
G06Q50/10
H04M1/00 U
(21)【出願番号】P 2020038661
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】599164916
【氏名又は名称】日本システムバンク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】梅田 泰永
(72)【発明者】
【氏名】東 孝二
(72)【発明者】
【氏名】坂東 上平
(72)【発明者】
【氏名】永棹 健治
(72)【発明者】
【氏名】野坂 嘉信
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 芳夫
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-191805(JP,A)
【文献】特開2016-085656(JP,A)
【文献】特開2018-106414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 - 17/04
G06Q 50/00 - 50/20,
50/26 - 99/00
H04M 1/00,
1/24 - 1/82,
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーコンを活用する駐車場(以下ビーコン駐車場と略す)の運営事業体と、複数のビーコン駐車場と、個々のビーコン駐車場において該駐車場固有の認識情報を発信する固定のビーコンと、該駐車場の車室に関する属性を認識情報として持つ複数の移動可能なビーコンと、該移動可能なビーコンをレンタル及び回収できるようにしたビーコン発行機と、レンタルされた移動可能なビーコンから発信される電波を受信する複数のビーコン受信機と、該ビーコン受信機が受信した認識情報の転送を受けることができるビーコン駐車場の運営事業体が設置する管理サーバーと、同管理サーバーから駐車情報や前記移動可能なビーコンを遠隔で発行できるようにした遠隔制御装置と、レンタルされた前記ビーコン受信機の転送を受けた同管理サーバーが受信した認識情報をもとに、個々のビーコン駐車場の駐車状況や駐車料金を管理、算出、運用できるプログラム及びファイルよりなる情報管理システムよりなるビーコン駐車場システムにおいて、利用者がビーコン駐車場に来て該駐車場を利用する際に携帯端末にインストールした専用アプリで、前記駐車場固有の認識情報を発信する固定のビーコンの電波を受信すると、自動的にビーコン駐車場を運営する事業体の管理サーバーに駐車場固有の認識情報と利用者の情報が送信され、同サーバーから利用者の携帯端末に駐車するかどうかの確認と、駐車の確認が取れた際に前記管理サーバーから前記遠隔制御装置に前記ビーコン発行機から移動可能なビーコンを発行し、駐車場から退場する際にも、利用者の携帯端末にインストールした専用アプリが前記駐車場に固定のビーコンの電波を受信すると、自動的に前記管理サーバーに駐車場固有の認識情報と利用者の情報が送信され、同サーバーは利用者のアプリに、退場する場合はレンタルした移動可能なビーコンをビーコン発行機に返却するよう促し、前記駐車場内に設置したビーコン受信機が返却した移動可能なビーコンの電波を受信できなくなることをもって実際に返却されたことを確認し、その後前記情報管理システムによって駐車料金を算出して利用者のアプリに表示し、電子決済を承認させるようにしたことを特徴とするビーコン駐車場。
【請求項2】
特許請求項1のビーコン駐車場において、駐車場に設置した固定のビーコンの電波を利用者の携帯端末の専用アプリが受信し、自動的に前記管理サーバーに駐車場固有の認識情報と利用者情報が送信されると、前記管理サーバーは位置情報または送信内容をもとにそのビーコン駐車場を特定し、該駐車場のビーコン発行機から移動可能なビーコンをレンタル発行すると同時に、駐車場内のビーコン受信装置が受信し始めた移動可能なビーコンの電波に含まれる識別情報を利用者がレンタルしたものと紐づけし、利用者の駐車終了時にレンタルされた移動可能なビーコンをビーコン発行機に返却すると、場内のビーコン受信機が受信できなくなったビーコンから、前記管理サーバーは前記返却された移動可能なビーコンを特定し、管理する該駐車場の車室管理ファイルを参照して、該移動可能なビーコンがレンタルされた時刻と返却時刻から、レンタルされていた時間を算出し、該ビーコン駐車場の駐車料金体系をもとに駐車料金を算出し、利用者の専用アプリにそれを請求表示しそれを承認すると電子的に利用者の口座から駐車料金が引き落とされることを特長とするビーコン駐車場。
【請求項3】
特許請求項1または2のビーコン駐車場において、一つの移動可能なビーコンがレンタルされたことを、ビーコン発行機内のビーコン受信機が該移動可能なビーコンの電波を受信できなくなることで認識し、また 該移動可能なビーコンが返却されることを前記ビーコン発行機内のビーコン受信機が該移動可能なビーコンの電波を再受信することによって認識することを特徴とするビーコン駐車場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場で車室ごとの駐車検出を行わず、入場時に認識情報を電波で発信するビーコンをビーコン発行機でレンタル購入して駐車中の車内に置かせ、退場時にレンタルしたビーコンを返却することにより、駐車料金の精算を完了するビーコン駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車室を持つ駐車場では、車室ごとに駐車検出装置や不正退出用のロック装置を設置し、精算機で駐車時間に応じた駐車料金を徴収する駐車場システムが普及している。一方で、これらの駐車場設備を設置すると、設備費用の回収が困難な場合に、車室ごとの駐車検出装置やロック装置を置かず、駐車料金を支払ったことを示すチケットを発行し、駐車した車内に置かせる簡易駐車場のチケットパーキングシステムも普及している。
【0003】
上記チケットパーキングシステムは、駐車場入り口に発券機を設置し、利用者は定額で同発券機からチケットを購入し、駐車する自車のダッシュボードなど外から見える位置におくシステムである。監視員が巡回してチケットの有無を目視で確認することで、不正な駐車を発見できるようなシステムである。
【0004】
しかしこのシステムでは、チケットを購入して駐車した利用者が、退場したことを自動的に検出する方法がないので、この駐車場が満車であるか、それとも空車室があるのかを自動的に表示をすることや、駐車時間に応じた駐車料金を徴収することも、また利用者が携帯端末を使って電子的に駐車料金を支払うこともできないといった欠点がある。
【0005】
一方、関連技術として、ビーコンを使った位置情報サービスが普及し始めている。これは、商店などの固定した場所にビーコンという弱電波を発信するビーコン端末を設置しておく。ビーコン受信機能と、利用アプリをインストールしているスマホなど携帯端末を持った人が設置されたビーコン端末に近づくと、その端末が発信するビーコンを受信し、自動的にビーコン受信情報がビーコン応用を管理するサイトのサーバーに送信される。そうすると、サーバーはそのビーコン端末に関して、あらかじめ登録されたセール情報などをプッシュ通信という手法でスマホなどの携帯端末に送信し画面に表示させる。このようにしてお店にお客を誘導することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-55279
【文献】特開2019-90992
【文献】特願2018-82260
【0007】
ビーコンを駐車場に応用する具体例が、特許文献に見られる。例えば
【文献】によれば、ビーコン端末を設置した駐車場に、専用のアプリをインストールしたスマホを持った利用者がくると、アプリは駐車場のビーコン端末が発信するビーコンを受信し、それをビーコンサービス事業体のサーバーに送信する。そしてサーバーは、ビーコンが持つ認識情報からあらかじめ登録されているその駐車場の近隣のお店のクーポンやセール情報を選んで、ビーコンを受信したスマホの所有者のスマホに送信できるようになっている。
【0008】
また
【文献】によれば、駐車場の車室の下にビーコンを、天井にビーコンの電波の受信機を置き、車両が駐車すると天井の受信機がビーコンを受信できなくなることを利用して、車室に駐車したかどうかを判定する方法が記述されている。
【0009】
また、
【文献】には、チケットパーキングシステムにおいて定額の駐車料金で駐車用のチケットを発行する代わりに、ビーコンカード発行機でビーコンカードをレンタルさせ駐車車両のダッシュボード上などへ置かせるようにしておくと、監視員がビーコンの電波を受信する方法で容易に駐車料金を支払っているかどうかを判定できるほか、ビーコンカードをビーコンカード発行機に返却させることにより、満車や空車の判定ができるというシステムが出願されている。しかしこのシステムは、現金による駐車料金の前払いを前提としているので、スマホなどの携帯端末を使って、ビーコンカードを発行させるような仕組みは用意されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明では上記特許文献3に記載されているシステム、すなわち車室ごとの駐車検出装置や不正退出用のロック装置を設置しない複数の車室を持つ駐車場において、レンタルさせ車内に置かせたビーコンの電波を受信することにより、監視員が不正駐車車両を容易に発見でき、且つ駐車場の満空表示をすることができるようにした駐車場システムにおいて、スマホなどの携帯端末を使って駐車時にビーコンのレンタル発行を行い、また退場時にビーコンを返却させることにより、キャッシュレスで駐車時間に応じた駐車料金を課金できるビーコン駐車場を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車室ごとの駐車検出装置や不正退出用のロック装置を設置しない複数の車室を持つ駐車場において、移動可能で固有の認識情報を発信する複数のビーコンAと、該ビーコンを保有し該駐車場の利用の際に利用者にレンタルさせたり返却させたりするビーコン発行機と、同ビーコン発行機内のビーコンAの電波のみを受信できるビーコン受信機Bと、レンタルされて該ビーコン発行機から取り出されたビーコンAの電波のみを受信できる該駐車場内に設けたビーコン受信機Cと、前記ビーコン発行機またはその近辺に該駐車場を認識する認識情報を発信する固定のビーコンDと、レンタルされたビーコンA および固定のビーコンDの発信する電波を受信し、本発明のビーコン駐車場を管理するサーバー(以下管理サーバーと略す)との間で利用情報を交換するアプリ(以下専用アプリと略す)を搭載したスマホなどの携帯端末と、前記管理サーバーと該ビーコン駐車場間で情報や制御信号を交換するビーコン発行機に設置した受信装置より構成される。
【0012】
本発明のビーコン発行機は、内部に該駐車場の車室数と同じかそれよりも多い数のビーコンAを保存しておく。この駐車場に本発明の専用アプリをインストールしたスマホなどの携帯端末をもつ利用者が来ると、駐車場の入り口付近に設置したビーコン発行機あるいはその近辺に設置した固定のビーコンD が発する電波を携帯端末が受信する。この受信情報は該駐車場名あるいは駐車場管理番号などの固有の識別情報を含んでいるが、専用アプリはその情報を自動的に管理サーバーに送信する。
【0013】
管理サーバーは、受信した駐車場固有の情報と送信された携帯端末の所有者情報(あらかじめ契約で登録しておく)から、本発明のビーコン駐車場を利用する人が該駐車場に来たことを認識し、利用者に該駐車場を利用するかどうかの問い合わせを行う。利用する旨応答すると、管理サーバーからの遠隔操作でビーコン発行機からレンタル用のビーコンAが発行されるので、それを駐車した自車のダッシュボードに置くようにといった指示を専用アプリによりスマホの画面に表示させる。
【0014】
利用者は、ビーコン発行機のビーコン取り出し口から排出される一個のビーコンAを受け取る。このとき専用アプリには、利用しようとしているビーコン駐車場名と発行されたビーコンAに割り当てられた仮想の車室番号、および駐車開始の日時が表示される。利用者は、取り出したビーコンAを駐車した自車のダッシュボードにおいて、駐車場から離れる。
【0015】
以上のように、利用者がレンタルしたビーコンAをダッシュボード上に置くことにより、場内に設置したビーコン受信機はレンタルされたビーコンAが発信する電波を受信する。その受信情報は、管理サーバーに送られるので、利用者が該ビーコン駐車場に駐車していることを把握できる。また、該ビーコンの認識情報には、駐車場名や、仮想車室番号が含まれているので、サーバーは、あらかじめ登録された車室と比較することにより、満空判断が可能となる。
【0016】
また、本発明のビーコン発行機には、部分的に電波シールドをしたボックス(以下シールドと略す)を設け、その内部にビーコン受信機Bと複数のビーコンAが発信する電波が外部に漏れないように、また外部に取り出されたビーコンAが発信する電波がシールドの内部に入ってこないように機能する。このようにしておくことにより、ビーコン発行機のシールド内に置いたビーコン受信機Bは、ビーコン発行機内にあるビーコンAの認識情報やその数を常に把握することができる。
【0017】
不正駐車の監視員は、ビーコンAが発信する電波を受信できるアプリをインストールしたスマホのような携帯端末を持って駐車場内を巡回する。そして、駐車中の車両に置いたビーコンAが発信する電波を受信すると、そのビーコンが持つ認識情報(駐車場名と仮想車室番号)と、スマホの位置情報がビーコンAを管理するサーバーに自動的に送信される。
【0018】
サーバーは、受信したビーコンAの認識情報と監視員が持つスマホの位置情報をあらかじめ登録された駐車場の情報と照合し、監視員のスマホにその駐車場のビーコン発行機が発行したビーコンAであるという情報を送信し、スマホの画面にその旨を表示する。こうして、駐車中の車両が、ビーコンAをレンタルした利用者の車両であることを確認できる。
【0019】
駐車している車両の数は、ビーコン発行機のシールド内部に設置したビーコン受信機で、内部に残るビーコンAからの電波を受信することでも判定できる。すなわち、保有するビーコンカAからの電波を受信していれば、その認識情報とビーコン受信機の位置情報が、管理するサーバーに送信されるので、駐車場名とビーコンカード発行機内部に残っているビーコンカードの数や認識情報が分かる。したがって、保有していたビーコンAの数から、残っているビーコンAの数を差し引いた数が、レンタルされたビーコンカードの数になるので、容易に満車あるいは空車の判定もできる。
【0020】
利用者が該駐車場に戻って退場する場合は、レンタルしたビーコンAを持った利用者がビーコン発行機前に来ると、専用アプリをインストールした携帯端末が前記固定のビーコンDの電波を受信する。受信情報は管理サーバーに送信されるが、同サーバーは記録されている利用者の駐車情報と照合し、すでに駐車した利用者であることを認識できるので、利用者の携帯端末に、駐車場から退場するかどうかを確認する表示と、退場する場合にはレンタルしたビーコンAをビーコン返却口に投入するようといった表示をする。利用者が退場する場合には、スマホに表示される指示に従ってレンタルしたビーコンAを返却口に投入する。
【0021】
そうすると、駐車場内のビーコン受信機CはレンタルしたAの電波を受信できなくなり、一方ビーコン発行機内のビーコン受信機Bは返却されたビーコンAの電波を受信するので、ビーコン受信機CとBから管理サーバーへの通信により、サーバーはレンタルされたビーコンAが返却されたことを確認する。
【0022】
管理サーバーは、ビーコンAの返却を確認後、ビーコンAが返却された時刻を退場時刻として計算した駐車料金などを利用者の携帯端末に表示す。利用者が承認ボタンを押すと電子決済による駐車料金の支払いが完了したので退場してよいことを表示する。利用者の携帯端末に表示される情報としては、駐車開始日時および精算時の日時、駐車した仮想車室番号なども表示できる。
【発明の効果】
【0023】
ビーコン駐車場には、駐車場内に設置したビーコン受信機、あるいはビーコン発行機のシールド内部に設置したビーコン受信機で、利用者がレンタルしたビーコンAが発信する固有の認識番号を持った電波を受信し、その情報をビーコン駐車場の管理サーバーに送信することにより、サーバー内のプログラムが駐車場内に駐車する車両数や駐車時間を算出できる特徴があるが、本発明では、利用者が携帯端末に搭載されたアプリによってビーコンAをレンタルできるようにしたので、キャッシュレスで、本発明のビーコン駐車場を利用や駐車料金の精算ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】は、本発明のビーコン駐車場の平面図である。
【
図2】は、本発明のビーコン駐車場におくビーコン発行機の外観の例である。
【
図3】は、本発明のビーコン駐車場に、利用者が入場する際の利用者行動、ビーコン発行機の動作プロセス、場内に置くビーコン受信機の動作プロセスを示した図である。
【
図4】は、本発明のビーコン駐車場において、利用者が退場する際の行動、ビーコン貸出機の動作プロセス、場内ビーコン受信機の動作プロセスを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明のビーコン駐車場の配置の例を示した図である。道路1に面して、本発明の駐車場2があり、複数の車室4を有している。また、本駐車場の入り口3の横には
図2に示す本発明のビーコン発行機6を設置している。なお、本駐車場の利用者が入場する際のプロセスは
図3に示してある。
【0026】
図2は、ビーコンカード発行機の例を示す。21はビーコン発行機本体、22は、利用者に対する利用方法や駐車料金などを表示する表示器、23はビーコン発行ボタン、24は紙幣投入口、25はコイン投入口、26はつり銭取り出し口、27は、ビーコンAの返却ボタン、28はビーコンAの返却口、29はビーコンA、30は電波シールドを施したボックス(以下シールドと略す)で、31はその内部にビーコンAを収納するボックス、32はビーコンAの取り出し口、33はビーコンAの排出を制御する制御弁、34はビーコン発行機内に設置したビーコン受信機B、35はビーコン駐車場を運営している事業体のサーバーと公衆回線を通して通信する駐車情報受信機、36はビーコン発行機内駐車管理ファイル、37はビーコン発行機に設置した固定のビーコンDである。
【0027】
本発明の駐車場の利用者は、駐車に際してビーコンカード発行機21を使いビーコンAをレンタルし、駐車した車両のたとえばダッシュボードに置いておく。退場時には、レンタルしたビーコンAをビーコン発行機に返却する。駐車場内に適切に設置したビーコン受信機C7,8は、レンタルされたビーコンAの電波を受信し、一方ビーコン発行機内に設置したビーコン受信機B34はレンタルされたビーコンAの電波を受信できなくなることにより、個別認識情報を持つビーコンAがレンタルされた時刻と、返却された時刻を判定できるような仕組みにしている。
【0028】
本発明が対象とするビーコン駐車場2の利用方法は、特許文献3に詳細に記述されているが、基本は、駐車時にビーコン発行機でビーコン発行ボタン23を押し現金を投入することによりビーコンAをレンタルし、退場時にはビーコンの返却ボタン27を押してビーコンAを返却することとしている。本発明では、専用のアプリを搭載した携帯端末を使って、ビーコン発行ボタンや返却ボタンを押さなくても、キャッシュレスでビーコンAをレンタルしたり、また返却したりできるような仕組みと、ビーコンAを返却した際に駐車料金の支払いも携帯端末を使って電子的に行う仕組みを追加したものである。
【0029】
以下、本発明のビーコン駐車場を利用するプロセスを、
図3を使って説明する。本発明ではビーコン発行機に固定のビーコンD37を設置したので、まずプロセスS1で、ビーコン駐車場専用のアプリを搭載した携帯端末を持つ利用者がこの駐車場に来ると、ビーコンD37の電波を受信する。専用アプリは、ビーコンDの電波を受信すると自動的に管理サーバーに受信情報が送られる。ビーコンDの電波は、その駐車場の名称あるいはビーコン駐車場としての管理番号、または位置情報を固有の情報として持っているので、管理サーバーは、ビーコンDに関してあらかじめ登録してある情報とも照合して利用者が来ている駐車場も特定できる。また、送信した携帯端末からは利用者を認識できる。
【0030】
利用者が、特定した駐車場に到着したことを認識した管理サーバーは、S2でプッシュ通信により利用者の携帯端末に駐車するのかどうかの意思を問い合わせる。利用者がS3で駐車すると画面上で駐車すると意思表示をすると、以下に示す遠隔指令によりビーコン発行機からビーコンAが排出される。
【0031】
特許文献3では、レンタルするビーコンカードは、ビーコンカード発行ボタンを押し現金を投入してビーコンカードを排出するようにしてある。そのメカニズムは図示しないが、現金の投入を検知したセンサーが、ビーコンの排出用の電磁弁の励磁回路のスィッチをオンにすることによって電磁弁を開くようにしている。本発明の場合は、S4で管理サーバーからビーコン発行機の内部に設置した駐車情報受信機に信号を送って該電磁弁の励磁回路のスィッチを閉じるように遠隔操作をおこなう。
【0032】
以上のような方法で、本発明では、利用者がキャッシュレスでビーコンAをレンタルすることができる。ビーコン発行機内のビーコンの電波は、S6で受信機B34が常時受信しているが、ビーコンAが貸し出されると、S7ではビーコン発行機の内部にある受信機BがそのビーコンAの電波を受信できなくなる。
【0033】
利用者は、S5で空いたスペースに駐車し、レンタルしたビーコンAを自車両のダッシュボードなどに置いておく。これにより、場内に設置した受信機CがビーコンAの電波を受信できるようになり、S8で受信結果は管理サーバーに自動的に送信される。
【0034】
前記受信機BとCが受信したビーコンAの電波に含まれる認識情報は、S9で管理サーバーに送信されるので、管理サーバーはその内容からビーコンAがレンタルされたこと、およびレンタルされた日時(これが 駐車開始日時となる)、駐車場名、仮想車室番号が分かり、これらのデータは該管理サーバーの車室管理データファイルに記録される。
【0035】
また、ビーコン駐車場に巡回監視に来た監視員のスマホは、S11で駐車中の車両においてあるビーコンAの電波を受信すると管理サーバーに受信情報を送信する。管理サーバーは、S12でプッシュ通信により、監視員の受信機に仮想車室番号などの認識結果と、該車両が入庫した時刻を表示させるようにしてある。この方法で、不正なビーコンAの利用も発見でき、無断駐車の場合と同様な警告を車両のドアに張り付けるといった対応や、不良駐車の車両番号などを記録することができる。
【0036】
なお、駐車中の利用者は携帯端末に、その時点での駐車時間や駐車料金などを表示されることもできる。
【0037】
管理サーバーには、当該駐車場に駐車した車両数とその仮想車室番号が記録されるので、総車室数と比較して、満車または空車の判定ができる。さらに、残りの駐車可能台数もわかるので、満空表示に加えて残車室数の表示なども可能になる。
【0038】
利用者が駐車場に戻って退場する場合は、
図4でそのプロセスを説明する。利用者がビーコン発行機の近くに来ると、S31で利用者の持つ携帯端末は固定のビーコンDの電波を受信する。受信結果は、管理サーバーに送られるので、携帯端末の持ち主の情報、および駐車場名が特定され、入場時の記録と比較することにより、駐車していた利用者が駐車場にもどってきたことが分かる。
【0039】
管理サーバーは、S32で利用者の携帯端末に退場するかどうかを問い合わせる表示をし、S33で利用者が退場するとの応答をすると、レンタルしたビーコンAをビーコン発行機のビーコンAの返却口に投入するようにと指示が現れるので、駐車中に自車のダッシュボードなどに置いておいたビーコンAを、S34でビーコ発行機の返却口に投入する。これにより、S38で駐車場の場内にある受信機CはビーコンAの電波を受信できなくなり、S37でビーコン発行機の内部にある受信機BはビーコンAの電波を受信するので、管理サーバーはS39でレンタルされたビーコンAが確実に返却されたことを認識する。
【0040】
管理サーバーは、S40でビーコンAが持つ駐車場名、仮想車室番号などの認識情報と、ビーコンAが返却された日時と、ビーコンDを受信した利用者の携帯端末の情報を、入場時の除法と比較し、駐車時間を算出し、駐車料金を算出することができる。その結果は、プッシュ通信で利用者の携帯端末に送信され表示される。
【0041】
利用者は、S35でその表示内容が間違いないと確認できたら、承認して退場するという意思を送信する。これにより、駐車料金が指定の口座から引き落とされるようになる。必要に応じて、ビーコン発行機の領収書ボタンを押すことにより印刷した領収書、もしくは電子的な領収書のいずれかが発行される。
【0042】
管理サーバーからは、S41でビーコン発行機内の駐車情報受信機に、駐車状況に関する諸データを送信し、記録させる。
以上のようにして、駐車中の車室ごとの車両検出や、ロック装置を置かなくても駐車料金を電子的に精算できるので、新しい型の駐車場として大きな利点がある。
【実施例2】
【0043】
実施例1では、レンタルするビーコンAや、固定のビーコンDは、微弱電波を発信するビーコンであったが、光線を放射するLEDビーコンを使うこともできる。
【0044】
実施例1では、ビーコンAは現金の投入により発行もできるし、本発明の携帯端末を使って、管理サーバーからの指令で発行することもできるといった機能を持たせているが、ビーコン発行機の構成をシンプルにするため、携帯端末からのビーコンAのレンタルに絞った単機能のビーコン駐車場とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上で説明したように、本発明では、ビーコンカードをレンタル購入させる方式で、車室ごとの駐車検出装置や、不正退出防止用のロック装置など、設置費用のかかる装置をおくことなく、駐車料金の算出や、不正駐車の発見ができるなど、実用性の高い駐車場を提供できるので、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0046】
1.道路 2. ビーコン駐車場 3.駐車場出入り口 4.車室
5. 駐車車両 6. ビーコンカード発行機 7、8. ビーコン受信機C
21. ビーコン発行機 22. 表示器 23. ビーコン発行ボタン
24. 紙幣投入口 25. コイン投入口 26. つり銭・領収書排出口
27. ビーコン返却ボタン 28. ビーコン返却口
29. ビーコンA 30. シールド 31ビーコンAの収納ボックス
32. ビーコンAの排出口 33 ビーコンAの排出用電磁弁
34. ビーコン受信機B 35. 駐車情報受信機
36.駐車情報管理ファイル 37 固定のビーコンD