(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】医療用雄コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20230530BHJP
F16L 37/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
A61M39/10
F16L37/02
(21)【出願番号】P 2018126713
(22)【出願日】2018-07-03
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日高 正人
(72)【発明者】
【氏名】横川 理史
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-534351(JP,A)
【文献】米国特許第01461385(US,A)
【文献】特表2011-525596(JP,A)
【文献】実開昭50-125125(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0312224(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
F16L 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌コネクタの接続凹部に挿入される、先端から基端側へ向かって次第に拡径されるテーパ状の外表面を有する接続凸部を備え、
前記テーパ状の外表面は、先端部に設けられた硬質表面と、前記硬質表面よりも基端側に設けられた軟質表面とを有し、
前記接続凸部は、前記硬質表面を構成する円筒状の凸部本体と、前記軟質表面を構成する柔軟部とを有し、
前記凸部本体は、中間部外面に形成され、先端面及び基端面を有する径方向に窪んだ側面凹部を有し、
前記柔軟部は、前記側面凹部を埋めるように形成され、
前記硬質表面と前記軟質表面とは一体成形されている、雄コネクタ。
【請求項2】
前記接続凸部を前記接続凹部に挿入した際に、前記軟質表面の基端は、前記接続凹部から突出する、請求項
1に記載の雄コネクタ。
【請求項3】
雌コネクタに挿入される、先端側から基端側へ向かって次第に拡径されるテーパ状の外表面を有する接続凸部を備え、
前記テーパ状の外表面は軟質表面を有しており、
前記接続凸部は前記軟質表面より先端側に硬質表面を有し、
前記接続凸部は、前記硬質表面を構成する円筒状の凸部本体と、前記軟質表面を構成する柔軟部とを有し、
前記凸部本体は、中間部外面に形成され、先端面及び基端面を有する径方向に窪んだ側面凹部を有し、
前記柔軟部は、前記側面凹部を埋めるように形成され、
前記硬質表面と前記軟質表面とは一体成形されている、雄コネクタ。
【請求項4】
雌コネクタの接続凹部に挿入される
円筒状の接続凸部を形成する工程を備え、
前記接続凸部を形成する工程は、先端から離間された位置に
先端面及び基端面を有する径方向に窪んだ側面凹部を有する凸部本体を形成するステップと、前記凸部本体よりも柔軟性の材料からなる柔軟部を、前記柔軟部の先端面及び内表面が前記側面凹部の先端面及び外表面に隙間無く固定されるように前記側面凹部に設けるステップとを含み、
先端部に設けられた硬質表面と、前記硬質表面よりも基端側に設けられた軟質表面とを有し、前記硬質表面と前記軟質表面とが連続する外表面を形成し、
前記柔軟部は、前記側面凹部に一体成形する、雄コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用雄コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器には、様々な輸液ラインが接続される。このような接続には、ルアーコネクタを用いることが一般的である。ルアーコネクタは、雄コネクタと雌コネクタとのテーパ面同士を面接触させることにより液密性が高い接続を実現している。医療用のルアーコネクタのテーパ面の形状は、ISO規格によって規定されており、メーカー等が異なっていても接続することができる。
【0003】
しかし、規格に適合したルアーコネクタ同士であっても、微妙な相性が存在し、緩みが発生しやすかったり、大きな力を加えないと充分な液密性が発揮できなかったりする場合がある。
【0004】
コネクタの液密性を向上させるために、テーパ面に溝を設けてOリングをはめ込んだり(例えば、特許文献1を参照。)、テーパ面の先端部分の材質をシリコンゴム等の柔軟な材質にしたりすることが検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-143832号公報
【文献】特開2011-525596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、Oリングをはめ込んだ場合、Oリングのみが雌コネクタの内面と当接するため、雌コネクタの内面との係合面が小さいという問題がある。コネクタの先端部分をシリコンゴム等とした場合には、先端部テーパ面が面接触するようにできるが、先端部分が摩耗しやすくなるという問題がある。具体的には、雄コネクタを雌コネクタに挿入する際に、先端部分がガイドとなるが、先端部分がシリコンゴム等である場合、先端部分が破損してしまうという問題がある。
【0007】
本開示の課題は、接続が容易で、液密性が高い新規の医療用コネクタを実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の雄コネクタの一態様は、雌コネクタの接続凹部に挿入される、先端から基端側へ向かって次第に拡径されるテーパ状の外表面を有する接続凸部を備え、当該テーパ状の外表面は、先端部に設けられた硬質表面と、硬質表面より基端側に設けられた軟質表面とを有している。
【0009】
雄コネクタの一態様によれば、接続の際に先端部が摩耗したり、損傷したりしにくく、軟質表面によるフィッティング力が好適に面接触を実現させる。
【0010】
雄コネクタの一態様において、接続凸部は、先端部よりも基端側に設けられた側面凹部を有する本体と、側面凹部を埋めるように、凸部本体よりも柔軟性の材料により形成され、軟質表面を構成する柔軟部とを有していることが好ましい。このような構成とすることにより、流路変形や流路閉塞が生じることを防止することができる。
【0011】
雄コネクタの一態様において、接続凸部を接続凹部に挿入した際に、軟質表面の基端は、接続凹部から突出していてもよい。このような構成とすることにより、柔軟部が雌コネクタのテーパ面に接する割合を高くすることができる。
【0012】
本開示の雄コネクタの他の態様は、雌コネクタに挿入される、先端側から基端側へ向かって次第に拡径されるテーパ状の外表面を有する接続凸部を備え、テーパ状の外表面は軟質表面を有しており、接続凸部は軟質表面より先端側に硬質表面を有している。
【0013】
本開示の雄コネクタの製造方法の一態様は、雌コネクタの接続凹部に挿入される接続凸部を形成する工程を備え、接続凸部を形成する工程は、先端から離間された位置に側面凹部を有する凸部本体を成型するステップと、凸部本体よりも柔軟性の材料からなる柔軟部を、柔軟部の先端面及び内表面が側面凹部の先端面及び外表面に隙間なく固定されるように側面凹部に設けるステップとを含み、先端部に設けられた硬質表面と、硬質表面よりも基端側に設けられた軟質表面とを有し、硬質表面と軟質表面とが連続する外表面を形成する。
【0014】
雄コネクタの製造方法の一態様によれば、雌コネクタの接続凹部と容易に面接触する外表面を有する雄コネクタを寸法精度良く形成することができる。また、柔軟部を縮径部に強固に固定することができる。
【0015】
雄コネクタの一態様において、柔軟部は側面凹部に一体成形することができる。このようにすれば、柔軟部が接続凸部の他の部分と強固に一体化されるため、柔軟部の脱落や捻れ等を生じにくくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の雄コネクタによれば、接続が容易で、液密性が高い医療用コネクタを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る雄コネクタを示す断面図である。
【
図2】一実施形態に係る雄コネクタを雌コネクタと接続した状態を示す断面図である。
【
図3】一実施形態に係る雄コネクタの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の雄コネクタ100は、雌コネクタ200の接続凹部210に挿入される、先端から基端側へ向かって次第に拡径されるテーパ状の外表面120を有する接続凸部110を備えている。接続凸部110の外表面120は、先端部に設けられた硬質表面121と、硬質表面121よりも基端側に設けられた軟質表面122とを有している。
【0019】
本実施形態において、接続凸部110は凸部本体111と凸部本体111よりも柔軟性の材料からなる柔軟部112とを有している。本実施形態において凸部本体111は、先端部と後端部との間に縮径された縮径部111a(側面凹部)を有しており、柔軟部112は縮径部111aを埋める円筒状に設けられている。凸部本体111の先端部は硬質表面121を構成し、縮径部111aに埋め込まれた柔軟部112は軟質表面122を構成している。外表面120の軟質表面122よりも基端側は、硬質の基端側表面123となっている。
【0020】
本実施形態の雄コネクタ100において、接続凸部110の外表面120は、通常の医療用の雄ルアーコネクタの規格に準拠したテーパ形状となっている。接続凸部110を、通常の医療用の雌ルアーコネクタの規格に準拠した雌コネクタ200の接続凹部210に挿入すると、接続凸部110の外表面120は、雌コネクタ200の接続凹部210の内表面と容易に面接触し、液密に接続することができる。
【0021】
本実施形態の雄コネクタ100は、接続凸部110の外表面120に軟質表面122が設けられており、硬質表面121と軟質表面122とが、接続凹部210の内表面と面接触する連続したテーパ面を形成している。このため、雄コネクタ100は軟質部材特有のフィッティング力を有し、製造公差や雌コネクタ200の製造メーカーが異なる等の理由により、接続凸部110のテーパ面と接続凹部210のテーパ面との間に僅かな形状の差異が存在している場合においても、その差異を吸収して、液密性の高い接続が可能となる。また、Oリングと異なり、大きな力を加えることなく液密性の確保をすることができ、接続時にコネクタが損傷したり、コネクタが分離できなくなったりするという問題を生じにくくすることができる。
【0022】
軟質表面122と先端側の硬質表面121との境界部は、段差なく連続していることが好ましい。ここで、段差なく連続しているとは、目視のレベルで段差が認められないことをいう。目視では容易に認識できない0.1mm程度以下の段差であれば、軟質表面122と硬質表面121との境界部に存在していても、接続凸部110の外表面は、テーパ形状の雌コネクタ200の接続凹部210の内表面に容易に面接触するテーパ状となる。なお、接続凸部110の外表面は実質的に(雌コネクタと面接触による係合が実現される程度に)テーパ状となっていればよく、柔軟部112の外表面である軟質表面122と、硬質表面121との境界部は多少の段差を有していてもよく、軟質表面122のテーパ角は硬質表面121のテーパ角と多少異なっていてもよい。
【0023】
軟質表面122と基端側表面123との境界部も、段差なく連続していることが好ましい。但し、雌コネクタ200と接続した際に、軟質表面122と基端側表面123との境界部が接続凹部210内に侵入しない場合には、軟質表面122と基端側表面123との境界部に大きな段差が存在していてもよい。なお、
図1及び
図2には、柔軟部112が凸部本体111の中間部に設けられた縮径部111aに固定されており、軟質表面122より基端側に基端側表面123が存在している例を示した。しかし、基端側表面123が存在せず硬質表面121を除く外表面120がすべて軟質表面122となっている構成とすることもできる。但し、縮径部111aを凸部本体111の中間部に設けることにより柔軟部112を軸方向に対して強固に固定することができる。
【0024】
接続凸部の中間にOリングを設けた従来の雄コネクタの場合、Oリングはテーパ面から突出した状態でコネクタの外周面の溝に載置されており、Oリングは雄コネクタに対し相対移動しやすい。また、Oリングは、雄コネクタを雌コネクタに挿入することにより押しつぶされ、これにより生じるOリングと雄コネクタ及び雌コネクタの壁面との間の反発力によってシールが行われる。このため、雄コネクタを雌コネクタから取り外す際にも、Oリングに大きな力が加わり、Oリングが相対移動してしまう可能性がある。また、Oリングより先端側においてデッドスペースが生じてしまうという問題がある。一方、本実施形態の雄コネクタ100の軟質表面122は、テーパ面を構成しているため、雄コネクタを雌コネクタから取り外す際、軟質表面122に過剰な力が加わることはなく、軟質表面122を構成する柔軟部112が雄コネクタに対して相対移動してしまう事態が生じにくい。また、雄コネクタと雌コネクタとを全体的に係合させることができる。
【0025】
接続凸部の中間に押しつぶされるOリングが設けられている場合には、雄コネクタを雌コネクタに挿入する際に、Oリングを押しつぶすための大きな力を加える必要がある。また、使用者がOリング付き雄コネクタを無理矢理押し込むような操作を行ってしまう可能性がある。一方、本実施形態の雄コネクタ100は、通常の雄コネクタと同様の操作で雄コネクタを雌コネクタに係合させることができ、使用者が挿入感を気にすることなく使用することができる。また、係合までの間で大きな力を加える必要がない。コネクタが固着したり、破損したりといった事態も生じにくい。
【0026】
接続凸部の全体又は先端部を含む部分が柔軟性の材料により形成されている場合は、雄コネクタを脱着する際に、柔軟な先端部が摩耗したり、破損したりするおそれがある。また、雄コネクタを接続する際に、コネクタが捻られたりすると、軟質の先端部に捻れが生じた状態で接続され、液漏れが発生したり、コネクタが外れやすくなったりするおそれがある。本実施形態の雄コネクタ100は、先端部121が通常の硬度を有する材料により形成された硬質表面121となっているため、先端部の摩耗や破損が生じにくく、先端部が捻れるおそれもないため、コネクタの着脱に伴い、接続性や液密性が低下する事態が防止されている。
【0027】
さらに、雄コネクタの先端部は、構造上コネクタ内を通る液体と接液する。ゴム等の軟質の部材は、硬質の部材と比べて安定性に劣るため、液体に触れると可塑剤等が溶出したり、液体中に含まれる成分と反応したりするおそれがある。本実施形態の雄コネクタ100は、軟質表面122が先端に設けられた硬質表面121よりも基端側に存在しており、軟質表面122が接液するリスクを大幅に低減することができる。
【0028】
さらに、少なくとも先端が柔軟性の材料により形成された雄コネクタの場合、雌コネクタ内に設けられた逆止弁等を押し拡げることが困難になる。しかし、本実施形態の雄コネクタ100は、通常の雄コネクタと同様に逆止弁等が設けられている雌コネクタに接続することができる。
【0029】
先端に設けられた硬質表面121の軸方向長さは、摩耗及び接液のリスクを低減する観点から、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、好ましくは2.2mm以下、より好ましくは1.7mm以下である。なお、先端部はアール加工を施されているのが好ましく、また、肉厚であることが好ましい。
【0030】
軟質表面122は、雌コネクタ200と接続した際に、軟質表面122の基端が接続凹部210内に侵入せず、軟質表面の基端が接続凹部210から突出した位置となることが好ましい。接続凹部と接続凸部との嵌合表面の基端は、通常、接続凸部の先端から5.0mm~6.5mmの位置に形成されるため、軟質表面122の基端は接続凸部の先端から5.0mm程度基端側に形成されるのが好ましく、接続凸部の先端から6.5mm程度基端側に形成されるのが好ましい。このような場合、接続凸部110の外表面における接続凹部210の内表面と接する部分の大部分が軟質表面122となるため、接続凸部110の外表面と接続凹部210の内表面との密着性をさらに向上させることができる。但し、雌コネクタ200と接続した際に、軟質表面122がすべて接続凹部210内に収容されるようにすることも可能である。
【0031】
軟質表面122の軸方向長さは、軟質表面122による接続性の向上効果を発揮させる観点から、、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、好ましくは9mm以下、より好ましくは8.5mm以下である。なお、硬質表面121の軸方向長さ及び軟質表面122の軸方向長さは、テーパ面の長さではなく、雄コネクタ100の軸Cに沿った長さである。
【0032】
本実施形態の雄コネクタ100において、凸部本体111の縮径部123は、本来のテーパ面から掘り下げられた凹部であり、柔軟部112は、凹部である縮径部123と相補的な形状である。縮径部123の外径は、ある程度の厚さの柔軟部112を形成する観点から、本来のテーパ面の外径の好ましくは97%以下、より好ましくは95%以下であり、凸部本体111の強度を確保する観点から、本来のテーパ面の外径の好ましくは87%以上、より好ましくは90%以上である。例えば、通常の規格サイズの雄ルアーコネクタの場合には、本来のテーパ面から好ましくは0.12mm以上、より好ましくは0.2mm以上、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下掘り下げられた凹部とすることができる。
【0033】
図1において、縮径部123が、接続凸部110の本来のテーパ面からの深さが一定であり、先端側から基端側に向かって次第に拡径するテーパ状である例を示したが、縮径部の形状は自由に変更してもよい。例えば、先端側から基端側まで縮径部123の外径を一定にすることもできるし、不連続にすることもできる。
【0034】
凸部本体111は、通常の医療用コネクタを形成する樹脂により形成することができる。例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、硬質塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレン等とすることができる。
【0035】
柔軟部112は、凸部本体111よりも柔軟性の材料により形成することができる。例えば、シリコンゴム、及びフッ素ゴム等の医療用のゴム材料、ウレタン等のエラストマー、並びに軟質塩化ビニル等の軟質の樹脂等を用いることができる。
【0036】
本実施形態の雄コネクタは、例えば、まず先端から離間された位置に縮径部111aを有する凸部本体111を含む硬質の部分を形成した後、凸部本体111よりも柔軟性の材料からなる柔軟部112を、柔軟部112の先端面及び内表面が、縮径部111aの先端面111b及び外表面に固定されるように、縮径部111aに設けることにより製造することができる。これにより、先端部に設けられた硬質表面121と、硬質表面121よりも基端側に設けられた軟質表面122とを有し、硬質表面121と軟質表面122とが連続する段差のない外表面120を容易に形成することができる。また、先端から基端側へ向かって次第に拡径されるテーパ状の外表面120とすることも容易である。軟質表面122を構成する柔軟部112の先端面及び内表面は、縮径部111aの先端面111b及び外表面と全体に亘って固定されるようにすることが好ましい。これにより柔軟部112が相対移動しにくくすることができる。
【0037】
なお、柔軟部112をより強固に固定する観点から、柔軟部112を縮径部111aに一体成形することが好ましい。一体成形することにより、柔軟部112の先端面及び内表面と、縮径部111aの先端面111b及び外表面とを隙間無く密着させて固定することが容易にできる。中でも、柔軟部112の凸部本体111と密着性や外表面120の寸法精度の観点から、凸部本体111を含む硬質の部分の成形と、柔軟部112の一体成形とを二色成形で行うことが好ましい。柔軟部112が凸部本体111の他の部分と強固に一体化していることにより、使用の際に柔軟部112が脱落したり、捻れたりしにくくすることができる。また、寸法精度を向上させることにより、雌コネクタ200の接続凹部210の内面と面接触させることが容易となる。
【0038】
但し、二色成形に代えて凸部本体111を含む硬質の部分を成形した後、別の成形機により柔軟部112を一体成形するインサート成形を用いることもできる。また、凸部本体111を含む硬質の部分と柔軟部112とを一体成形するのではなく、別々に成形した後、組み立てることもできる。さらに、凸部本体111を含む部分を複数部材で構成することもできる。
【0039】
図1及び
図2には、スリップコネクタである雄コネクタ100を示したが、
図3に示すように、ロックコネクタとすることもできる。
図3に示す、雄コネクタ100Aは、接続凸部110の周りに設けられたロックナット150を有している。ロックナット150は、雌コネクタの外周面に設けられたねじ山と係合するねじ山151を有している。ロックナット150を設けることにより、コネクタの接続信頼性をさらに向上させることができる。なお、ロックナット150は接続凸部110に対して固定されて自由に回転しない構成とすることも、接続凸部110に対して自由に回転できる構成とすることもできる。
【0040】
図1においては、接続凸部110の基端側に、接続凸部110よりも拡径したハブ130が設けられ、ハブ130の基端側にチューブを接続するチューブ接続部140が設けられた例を示している。ハブ130の形状は特に限定されず、把持しやすい形状とすることができる。また、ハブ130は必要に応じて設ければよく、設けなくてもよい。チューブ接続部140は、例えばチューブを外嵌できる構成とすることができるが、チューブが接続できればどのような構成としてもよい。ハブ130及びチューブ接続部140は、接続凸部110と一体成形することができるが、接続凸部110とは別に形成した後、一体化することもできる。
【0041】
また、本実施形態の雄コネクタは、基端側にチューブを接続する構成に限らない。雄ルアーコネクタを用いるあらゆる用途に用いることができる。例えば、シリンジの先端部のコネクタとしたり、活栓等に接続されたコネクタとしたりすることができる。さらに、標準的なルアーコネクタに限らず、テーパ面同士を当接させて接続するタイプのどのようなコネクタにおいても本実施形態の構成を採用し得る。本実施形態の雄コネクタは、血液の流路を構成するコネクタに特に有用である。なお、医療用のコネクタの中にはあえて接続凹部の形状をテーパ状としない場合もあるが、その場合、本開示の雄コネクタにおける軟質表面を接続凹部の形状と形が合うような形状とすることが好ましい。また、側面凹部が縮径部であり、柔軟部が円筒状である例を示したが、側面凹部の形状を非筒状(例えば、軸方向に延びる複数本の線状溝)とし、柔軟部を側面凹部を埋める非円筒状としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示の雄コネクタは、接続及び分離が容易で、液密性が高く、医療用コネクタ等として有用である。
【符号の説明】
【0043】
100 雄コネクタ
100A 雄コネクタ
110 接続凸部
111 凸部本体
111a 縮径部
111b 縮径部の先端面
112 柔軟部
121 硬質表面
122 軟質表面
123 基端側表面
130 ハブ
140 チューブ接続部
150 ロックナット
151 ねじ山
200 雌コネクタ
210 接続凹部