(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
H01M 50/591 20210101AFI20230530BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20230530BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20230530BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/586
H01M50/533
(21)【出願番号】P 2019024608
(22)【出願日】2019-02-14
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】臼井 勇人
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-059507(JP,A)
【文献】特開2015-099699(JP,A)
【文献】特開2017-216119(JP,A)
【文献】特開2018-206731(JP,A)
【文献】特開2019-012589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
本体部、及び、前記本体部の第一方向側から突出し前記集電体に接合されるタブ部を有する電極体と、
前記タブ部の前記第一方向と交差する第二方向側に配置される絶縁性の第一タブ絶縁部、及び、前記第一タブ絶縁部を支持する支持部を有するタブ側方部材と、を備え、
前記支持部は、前記集電体の前記タブ部側の面に接続される第一支持部、及び、前記本体部に接続される第二支持部の少なくとも一方を有し、
前記タブ部は、前記第二方向とは反対方向に屈曲または湾曲する曲げ部を有し、
前記第一タブ絶縁部は、前記曲げ部に対向して配置される
蓄電素子。
【請求項2】
前記タブ側方部材は、さらに、前記タブ部の前記第二方向とは反対方向側に配置される絶縁性の第二タブ絶縁部を有する
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記支持部は、前記第一支持部を少なくとも有し、
前記第一支持部は、前記集電体と前記タブ部との間に挟まれて配置され、
前記第一支持部は、開口部を有し、
前記集電体と前記タブ部との接合部は、前記開口部内に配置される
請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記電極体は、さらに、前記本体部の外方に配置される絶縁部材を有し、
前記支持部は、前記第二支持部を少なくとも有し、
前記第二支持部は、前記本体部と前記絶縁部材との間に挟まれて配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記集電体及び前記本体部の少なくとも一方は、前記支持部を固定する固定部を有し、
前記支持部は、前記固定部に固定される被固定部を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記支持部は、前
記第二支持部を有する
請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記第一タブ絶縁部は、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記タブ部よりも大きい幅を有する
請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電体と、集電体に接合されるタブ部を有する電極体とを備える蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
集電体と、集電体に接合されるタブ部を有する電極体とを備える蓄電素子が広く知られている。例えば、特許文献1には、締結部材(集電体に相当)を備えた電極端子と、電極タブ(タブ部)を備えた電極板(電極体)とを有し、締結部材により電極端子と電極板とが電気的に接続される電池(蓄電素子)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の蓄電素子では、電極体のタブ部と他の導電部材とが短絡してしまうおそれがある。つまり、上記従来の蓄電素子では、電極体のタブ部が折れ曲がって集電体に接続されているが、本願発明者は、このような構成では、タブ部が容器等の他の導電部材と接触して短絡を起こすおそれがあることを見出した。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、電極体のタブ部と他の導電部材との短絡を抑制することができる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、集電体と、本体部、及び、前記本体部の第一方向側から突出し前記集電体に接合されるタブ部を有する電極体と、前記タブ部の前記第一方向と交差する第二方向側に配置される絶縁性の第一タブ絶縁部、及び、前記第一タブ絶縁部を支持する支持部を有するタブ側方部材と、を備え、前記支持部は、前記集電体の前記タブ部側の面に接続される第一支持部、及び、前記本体部に接続される第二支持部の少なくとも一方を有する。
【0007】
これによれば、蓄電素子は、電極体のタブ部の側方(第二方向側)に配置される絶縁性の第一タブ絶縁部と、それを支持する支持部と、を有するタブ側方部材を備えている。そして、支持部は、集電体のタブ部側の面に接続される第一支持部、及び、電極体の本体部に接続される第二支持部の少なくとも一方を有している。このように、タブ部の側方に絶縁性の第一タブ絶縁部を設け、第一タブ絶縁部を、集電体のタブ部側の面及び電極体の本体部の少なくとも一方に接続される支持部で支持する。これにより、タブ部の側方における絶縁性を向上することができるため、タブ部が容器等の他の導電部材に接触するのを抑制することができる。したがって、電極体のタブ部と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0008】
また、前記タブ部は、前記第二方向とは反対方向に屈曲または湾曲する曲げ部を有し、前記第一タブ絶縁部は、前記曲げ部に対向して配置されることにしてもよい。
【0009】
これによれば、タブ側方部材の第一タブ絶縁部は、電極体のタブ部に設けられた曲げ部に対向して配置されている。ここで、電極体のタブ部が屈曲または湾曲して曲げ部が形成され集電体に接続される構成の場合、タブ部の当該曲げ部が他の導電部材に接触するおそれがある。このため、第一タブ絶縁部を、タブ部の当該曲げ部に対向して配置する。これにより、タブ部の当該曲げ部が他の導電部材に接触するのを抑制することができるため、電極体のタブ部と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0010】
また、前記第一タブ絶縁部は、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記タブ部よりも大きい幅を有することにしてもよい。
【0011】
これによれば、タブ側方部材の第一タブ絶縁部は、電極体のタブ部よりも大きい幅を有している。つまり、第一タブ絶縁部がタブ部よりも幅が小さいとタブ部が他の導電部材に接触するおそれが生じるため、第一タブ絶縁部を、タブ部よりも大きい幅に形成する。これにより、タブ部が他の導電部材に接触するのを抑制することができるため、電極体のタブ部と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0012】
また、前記タブ側方部材は、さらに、前記タブ部の前記第二方向とは反対方向側に配置される絶縁性の第二タブ絶縁部を有することにしてもよい。
【0013】
これによれば、タブ側方部材は、さらに、タブ部の第一タブ絶縁部とは反対方向側に、絶縁性の第二タブ絶縁部を有している。このように、タブ側方部材に、第一タブ絶縁部に加えて第二タブ絶縁部も設けることで、タブ部の両側に絶縁性の部材が配置される。これにより、例えばタブ部が当該両側に突出している場合でも、タブ部の当該両側において、タブ部が他の導電部材に接触するのを抑制することができる。したがって、電極体のタブ部と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0014】
また、前記支持部は、前記第一支持部を少なくとも有し、前記第一支持部は、前記集電体と前記タブ部との間に挟まれて配置されることにしてもよい。
【0015】
これによれば、タブ側方部材の第一支持部は、集電体とタブ部との間に挟まれて配置されている。このように、第一支持部を、集電体とタブ部との間に挟んで配置することで、第一支持部を、集電体のタブ部側の面に容易に接続することができる。これにより、タブ部と他の導電部材との短絡を抑制する構成を、容易に実現することができる。
【0016】
また、前記第一支持部は、開口部を有し、前記集電体と前記タブ部との接合部は、前記開口部内に配置されることにしてもよい。
【0017】
これによれば、集電体とタブ部との接合部は、タブ側方部材の第一支持部の開口部内に配置されている。このように、第一支持部に開口部を形成し、集電体とタブ部との接合部を当該開口部内に配置することで、第一支持部が集電体とタブ部との接合の妨げになるのを抑制することができる。これにより、タブ部と他の導電部材との短絡を抑制する構成を、容易に実現することができる。
【0018】
また、前記電極体は、さらに、前記本体部の外方に配置される絶縁部材を有し、前記支持部は、前記第二支持部を少なくとも有し、前記第二支持部は、前記本体部と前記絶縁部材との間に挟まれて配置されることにしてもよい。
【0019】
これによれば、タブ側方部材の第二支持部は、電極体の本体部と絶縁部材との間に挟まれて配置されている。このように、第二支持部を、電極体の本体部と絶縁部材との間に挟んで配置することで、第二支持部を、電極体の本体部に容易に接続することができる。これにより、タブ部と他の導電部材との短絡を抑制する構成を、容易に実現することができる。
【0020】
また、前記集電体及び前記本体部の少なくとも一方は、前記支持部を固定する固定部を有し、前記支持部は、前記固定部に固定される被固定部を有することにしてもよい。
【0021】
これによれば、集電体及び電極体の本体部の少なくとも一方は、タブ側方部材の支持部を固定する固定部を有し、支持部は、固定部に固定される被固定部を有している。このように、支持部の被固定部を当該固定部に固定できる構成としておくことで、蓄電素子の製造時に、集電体及び電極体の本体部の少なくとも一方にタブ側方部材を仮止めしてから、作業を行うことができる。
【0022】
なお、本発明は、このような蓄電素子として実現することができるだけでなく、蓄電素子が備えるタブ側方部材としても実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電極体のタブ部と他の導電部材との短絡を抑制することができる蓄電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電素子を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る集電体及びタブ側方部材の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る集電体にタブ側方部材を配置して電極体のタブ部を接合した状態を示す下面図である。
【
図5】実施の形態に係る集電体にタブ側方部材を配置して電極体のタブ部を接合した状態を示す断面図である。
【
図6】実施の形態の変形例に係る集電体にタブ側方部材を配置して電極体のタブ部を接合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0026】
また、以下の説明及び図面中において、一対(正極側及び負極側)の電極端子の並び方向、一対の集電体の並び方向、電極体の一対のタブ部の並び方向、または、容器の短側面の対向方向を、X軸方向と定義する。容器の長側面の対向方向、容器の厚さ方向、または、電極体の正極板と負極板との積層方向を、Y軸方向と定義する。電極端子と集電体と電極体との並び方向、電極体の本体部とタブ部との並び方向、容器の容器本体と蓋体との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、以下では、Z軸プラス方向を第一方向、Y軸マイナス方向を第二方向、X軸方向を第三方向とも呼ぶ場合がある。
【0027】
(実施の形態)
[1 蓄電素子10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電素子10を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
【0028】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、具体的には、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)若しくはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電車、モノレール若しくはリニアモーターカー等の電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用若しくはエンジン始動用、または、家庭用若しくは発電機用に使用される定置用のバッテリ等として用いられる。
【0029】
なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子10は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。また、本実施の形態では、直方体形状(角形)の蓄電素子10を図示しているが、蓄電素子10の形状は、直方体形状には限定されず、直方体形状以外の多角柱形状、円柱形状、長円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。
【0030】
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、一対(正極側及び負極側)の電極端子200と、一対(正極側及び負極側)の上部ガスケット300と、を備えている。また、
図2に示すように、容器100の内方には、一対(正極側及び負極側)の下部ガスケット400と、一対(正極側及び負極側)の集電体500と、一対(正極側及び負極側)のタブ側方部材600と、電極体700と、が収容されている。また、容器100の内部には、電解液(非水電解質)が封入されているが、省略して図示している。当該電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、上記の構成要素の他、電極体700の側方または上方等にスペーサ等が配置されていてもよい。
【0031】
容器100は、開口が形成された容器本体110と、容器本体110の当該開口を閉塞する蓋体120とを有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。このような構成により、容器100は、電極体700等を容器本体110の内部に収容後、容器本体110と蓋体120とが溶接等されることにより、内部を密封することができる構造となっている。なお、容器本体110及び蓋体120の材質は特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0032】
容器本体110は、容器100の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Z軸プラス方向側に開口が形成されている。つまり、容器本体110は、Y軸方向両側の側面に一対の長側壁部111を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側壁部112を有し、Z軸マイナス方向側に底壁部113を有している。長側壁部111は、容器100の長側面を形成する矩形状かつ平板状の壁部であり、短側壁部112は、容器100の短側面を形成する矩形状かつ平板状の壁部であり、底壁部113は、容器100の底面を形成する矩形状かつ平板状の壁部である。蓋体120は、容器100の蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体110のZ軸プラス方向側にX軸方向に延設されて配置されている。蓋体120には、容器100内部に電解液を注入するための注液部121と、容器100の内圧が上昇したときに容器100内部のガスを排出するガス排出弁122と、が配置されている。
【0033】
電極体700は、正極板と負極板とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金等からなる平板状かつ矩形状の正極集電箔と、正極集電箔の表面に形成された正極活物質層と、を有している。負極板は、銅または銅合金等からなる平板状かつ矩形状の負極集電箔と、負極集電箔の表面に形成された負極活物質層と、を有している。なお、正極活物質層及び負極活物質層に用いられる正極活物質及び負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータは、平板状かつ矩形状の微多孔性のシートであり、樹脂等の適宜公知の材料を使用できる。
【0034】
また、正極集電箔及び負極集電箔は、ともに、上方(Z軸プラス方向)に突出する矩形状のタブを有している。そして、複数の正極板と複数の負極板とがセパレータを挟んで積層されることにより、正極板及び負極板ともに複数のタブが積層される。その結果、電極体700には、電極体本体部710のZ軸プラス方向(第一方向)側から突出した一対(正極側及び負極側)のタブ部720が形成される。電極体本体部710は、電極体700の本体を構成する部位であり、具体的には、電極体700のうちのタブ部720以外の部位である。つまり、電極体本体部710は、正極板及び負極板の活物質層が形成(活物質が塗工)された部分とセパレータとが積層されて形成された扁平な直方体形状の部位(活物質層形成部または活物質塗工部)である。
【0035】
タブ部720は、集電体500と溶接等により接合されて、電極端子200と電気的に接続される部位である。なお、タブ部720は、集電体500と接合される際には、Y軸方向に折り曲げられる。具体的には、タブ部720は、電極体本体部710の一部からZ軸プラス方向に突出した状態で集電体500と接合され、接合後に、例えばY軸プラス方向に折り曲げられて、Y軸プラス方向に延設された状態となる。このため、当該接合後においては、タブ部720は、電極体本体部710の一部からZ軸プラス方向に突出してY軸プラス方向に延びる複数のタブがZ軸方向に積層された部位となる。
【0036】
電極体700は、さらに、積層された正極板及び負極板を積層方向(Y軸方向)に挟んで固定する絶縁テープ730と、電極体本体部710の周囲を覆う絶縁性のシート部材である絶縁シート800と、を有している。なお、当該正極板及び負極板は、絶縁テープ730以外の部材で固定されていてもよいし、ヒートプレス等によって固定されていてもよい。
【0037】
絶縁シート800は、電極体本体部710の外方に配置される絶縁部材である。絶縁シート800は、例えば、PP、PE、PPS、PET等、後述のタブ側方部材600と同様の素材の樹脂部材等によって形成されている。具体的には、絶縁シート800は、第一シート部810と、第二シート部820と、第三シート部830と、を有している。つまり、絶縁シート800は、1枚の絶縁性のシート部材が折り曲げられることで、第一シート部810と第二シート部820と第三シート部830とが形成されている。
【0038】
第一シート部810は、電極体本体部710と容器100のY軸マイナス方向側の長側壁部111との間に配置されて、電極体本体部710のY軸マイナス方向側の全面を覆う矩形状かつシート状の部位である。第二シート部820は、電極体本体部710と容器100のY軸プラス方向側の長側壁部111との間に配置されて、電極体本体部710のY軸プラス方向側の全面を覆う矩形状かつシート状の部位である。第三シート部830は、電極体本体部710と容器100の底壁部113との間に配置されて、電極体本体部710のZ軸マイナス方向側の全面を覆う矩形状かつシート状の部位である。
【0039】
電極端子200は、集電体500を介して、電極体700に電気的に接続される電極端子である。電極端子200は、かしめ接合等によって、集電体500に接続され、かつ、蓋体120に取り付けられている。具体的には、電極端子200は、下方(Z軸マイナス方向)に延びる軸部201(リベット部)を有している。そして、軸部201が、上部ガスケット300の貫通孔301と、蓋体120の貫通孔123と、下部ガスケット400の貫通孔401と、集電体500の貫通孔501とに挿入されて、かしめられる。これにより、電極端子200は、上部ガスケット300、下部ガスケット400及び集電体500とともに、蓋体120に固定される。なお、電極端子200は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等の金属等の導電部材で形成されている。
【0040】
集電体500は、電極体700と電極端子200とを電気的に接続する矩形状かつ平板状の部材である。具体的には、正極側の集電体500は、電極体700の正極側のタブ部720と超音波接合等により接続(接合)されるとともに、正極側の電極端子200とかしめ接合等により接続(接合)される。負極側についても同様である。集電体500は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金等の金属等の導電部材で形成されている。また、集電体500は、蓋体120とタブ部720との間に、蓋体120とタブ部720とに挟まれて配置される。具体的には、集電体500は、蓋体120とで下部ガスケット400を挟む位置に配置され、かつ、下部ガスケット400とタブ部720との間に、下部ガスケット400とタブ部720とに挟まれて配置される。
【0041】
なお、集電体500とタブ部720とを接続(接合)する手法は、超音波接合には限定されず、レーザ溶接若しくは抵抗溶接等の溶接、または、かしめ接合若しくはねじ締結等の機械的接合等が用いられてもよい。集電体500と電極端子200とを接続(接合)する手法は、かしめ接合には限定されず、超音波接合、レーザ溶接若しくは抵抗溶接等の溶接、または、ねじ締結等のかしめ以外の機械的接合等が用いられてもよい。集電体500の構成の詳細な説明については、後述する。
【0042】
タブ側方部材600は、電極体700のタブ部720の周囲に配置されて、タブ部720と他の導電部材とを絶縁する絶縁性の部材である。本実施の形態では、タブ側方部材600は、タブ部720と容器100のY軸マイナス方向側の長側壁部111との間に配置されて、タブ部720と容器100とを絶縁する。タブ側方部材600は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルサルフォン(PES)、及び、それらの複合材料等の樹脂部材等によって形成されている。タブ側方部材600の構成の詳細な説明については、後述する。
【0043】
上部ガスケット300は、容器100の蓋体120と電極端子200との間に配置された、平板状の絶縁性の封止部材である。下部ガスケット400は、蓋体120と集電体500との間に配置された、平板状の絶縁性の封止部材である。なお、上部ガスケット300及び下部ガスケット400は、例えば、PP、PE、PPS、PET等、タブ側方部材600と同様の素材の樹脂部材等によって形成されている。
【0044】
[2 集電体500及びタブ側方部材600の構成の説明]
次に、集電体500及びタブ側方部材600の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る集電体500及びタブ側方部材600の構成を示す斜視図である。具体的には、
図3の(a)は、
図2に示したX軸マイナス方向側の集電体500及びタブ側方部材600を拡大して示す斜視図であり、
図3の(b)は、集電体500にタブ側方部材600を仮止めした状態を示す斜視図である。なお、以下では、
図2におけるX軸マイナス方向側の構成について説明するが、
図2におけるX軸プラス方向側の構成についても同様である。
【0045】
図3に示すように、タブ側方部材600は、第一タブ絶縁部610と、第一タブ絶縁部610を支持する支持部611と、を有し、支持部611は、第一支持部620及び第二支持部630を有している。つまり、第一タブ絶縁部610は、第一支持部620及び第二支持部630の2つの支持部で支持されている。
【0046】
第一支持部620は、XY平面に平行な矩形状かつシート状の部位であり、集電体500に接続される。第二支持部630は、XZ平面に平行な矩形状かつシート状の部位であり、電極体700に接続される。第一タブ絶縁部610は、第一支持部620と第二支持部630との間に配置されて、第一支持部620と第二支持部630とに接続されるシート状の部位である。つまり、第一タブ絶縁部610は、第一支持部620のY軸マイナス方向側の端縁からY軸マイナス方向に突出し、Z軸マイナス方向に向けて徐々に曲がった湾曲状の部位である。なお、第一タブ絶縁部610は、第一支持部620のY軸マイナス方向側の端縁からY軸マイナス方向に突出し、Z軸マイナス方向に折れ曲がった屈曲状の部位であることにしてもよい。
【0047】
ここで、第一支持部620は、集電体500と電極体700のタブ部720とを接合するための開口部621と、集電体500の固定部502に固定される被固定部622と、を有している。開口部621は、第一支持部620のY軸マイナス方向側かつX軸方向中央部に配置される矩形状の貫通孔であり、この開口部621内で、集電体500とタブ部720とが接合される。なお、開口部621は、矩形状の貫通孔ではなく、矩形状以外の多角形状、円形状、長円形状、楕円形状等の貫通孔であってもよいし、貫通孔ではなく第一支持部620の外縁から切り欠かれた形状の切り欠きであってもよい。
【0048】
被固定部622は、第一支持部620のY軸プラス方向側に配置されるZ軸プラス方向に突出した円柱状の突起である。本実施の形態では、2つの被固定部622が、X軸方向に並んで配置されており、集電体500が有する2つの固定部502に挿入されて固定される。固定部502は、集電体500のX軸プラス方向側の端部に配置される円形状の貫通孔であり、2つの固定部502がX軸方向に並んで配置されている。このように、集電体500は、上述の電極端子200の軸部201が挿入される円形状の貫通孔501に加えて、タブ側方部材600の支持部611を固定する固定部502を有しており、支持部611は、固定部502に固定される被固定部622を有している。
【0049】
本実施の形態では、被固定部622は、押し出し加工等により第一支持部620に予め形成されている。そして、被固定部622が、固定部502に挿入され固定部502と嵌合して固定部502に固定されることで、タブ側方部材600が集電体500に仮固定(仮止め)される。なお、被固定部622は、第一支持部620に予め形成されておらず、第一支持部620が固定部502に重ねられた状態でかしめられることで、固定部502と嵌合する突起状の被固定部622が形成されることにしてもよい。これによっても、タブ側方部材600を集電体500に仮固定(仮止め)することができる。
【0050】
また、固定部502が突起で、かつ、被固定部622が貫通孔であり、固定部502が被固定部622に挿入されることで、被固定部622が固定部502に固定されることにしてもよい。また、固定部502と被固定部622との固定方法は、嵌合には限定されず、係合、接着剤または両面テープ等による接着、熱溶着等による溶着、超音波接合、レーザ溶接または抵抗溶接等による溶接、かしめ接合またはねじ締結等による機械的接合等であってもよい。
【0051】
[3 集電体500、タブ側方部材600及び電極体700の位置関係の説明]
次に、集電体500、タブ側方部材600及び電極体700の位置関係について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係る集電体500にタブ側方部材600を配置して電極体700のタブ部720を接合した状態を示す下面図である。具体的には、
図4は、集電体500とタブ部720とでタブ側方部材600を挟んで集電体500にタブ部720を接合した状態を、Z軸マイナス方向側から見た場合の構成を示す下面図である。
図5は、本実施の形態に係る集電体500にタブ側方部材600を配置して電極体700のタブ部720を接合した状態を示す断面図である。具体的には、
図5は、
図4に示した構成を、V-V線で切断した場合の構成を示す断面図である。
【0052】
まず、
図4に示すように、第一タブ絶縁部610は、X軸方向(第一方向及び第二方向と交差する第三方向)において、電極体700のタブ部720よりも大きい幅を有している。本実施の形態では、タブ側方部材600の第一タブ絶縁部610、第一支持部620及び第二支持部630の全てが、X軸方向において、タブ部720よりも大きい幅を有している。これにより、タブ部720は、Z軸マイナス方向から見て、タブ側方部材600の領域内に配置されている。
【0053】
また、タブ部720は、第一支持部620の開口部621内において、集電体500と接合されている。つまり、タブ側方部材600が集電体500に仮固定(仮止め)された状態で、タブ部720が、集電体500とで第一支持部620を挟むように配置されて、集電体500と接合される。これにより、集電体500とタブ部720との接合部900が、開口部621内に配置されている。上述の通り、接合部900は、例えば、タブ部720が集電体500に超音波接合されて形成された接合部である。
【0054】
また、
図5に示すように、タブ部720は、Y軸プラス方向側に先端部721を有し、Y軸マイナス方向側に曲げ部722を有している。先端部721は、第一支持部620に沿ってY軸プラス方向に直線状に延びる部位である。本実施の形態では、先端部721は、第一支持部620からY軸プラス方向に突出していないが、第一支持部620からY軸プラス方向に突出していてもよい。
【0055】
曲げ部722は、Y軸プラス方向(第二方向とは反対方向)に屈曲または湾曲する部位である。本実施の形態では、曲げ部722は、Y軸マイナス方向に向けて突出するように、Y軸プラス方向からY軸マイナス方向に向けて湾曲するC字状またはU字状の湾曲部である。なお、曲げ部722は、例えば、Z軸方向からY軸マイナス方向に向けて湾曲する略L字状の湾曲部であってもよいし、湾曲部ではなく折れ曲がるように屈曲した屈曲部であってもよい。
【0056】
そして、第一タブ絶縁部610は、曲げ部722に対向して配置されている。つまり、第一タブ絶縁部610は、Y軸方向において曲げ部722に対向する位置、具体的には、曲げ部722のY軸マイナス方向側に配置されている。このように、第一タブ絶縁部610は、タブ部720のY軸マイナス方向(第一方向と交差する第二方向)側に配置される絶縁性の部位である。
【0057】
また、第一支持部620は、集電体500のタブ部720側(Z軸マイナス方向側)の面に接続されている。具体的には、第一支持部620は、集電体500とタブ部720との間に挟まれて配置されることで、集電体500及びタブ部720に固定されている。これにより、第一支持部620は、集電体500のZ軸マイナス方向側の面とタブ部720のZ軸プラス方向側の面とに接続された状態(つまり当接した状態)となっている。
【0058】
さらに、第二支持部630は、電極体700の電極体本体部710に接続されている。具体的には、第二支持部630は、電極体本体部710と絶縁シート800(詳細には、絶縁シート800の第一シート部810)との間に挟まれて配置されることで、電極体本体部710及び絶縁シート800に固定されている。これにより、第二支持部630は、電極体本体部710と絶縁シート800の第一シート部810とに接続された状態(つまり当接した状態)となっている。
【0059】
[4 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10は、電極体700のタブ部720の側方(第二方向側)に配置される絶縁性の第一タブ絶縁部610と、それを支持する支持部611と、を有するタブ側方部材600を備えている。そして、支持部611は、集電体500のタブ部720側の面に接続される第一支持部620、及び、電極体700の電極体本体部710に接続される第二支持部630の少なくとも一方(本実施の形態では双方)を有している。このように、タブ部720の側方に絶縁性の第一タブ絶縁部610を設け、第一タブ絶縁部610を、集電体500のタブ部720側の面及び電極体本体部710の少なくとも一方に接続される支持部611で支持する。これにより、タブ部720の側方における絶縁性を向上することができるため、タブ部720が容器100等の他の導電部材に接触するのを抑制することができる。したがって、電極体700のタブ部720と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0060】
また、第一タブ絶縁部610は、集電体500のタブ部720側の面及び電極体本体部710の少なくとも一方に接続される支持部611で支持されるため、第一タブ絶縁部610がタブ部720や電極体本体部710に干渉して損傷させるのを抑制することができる。特に、下部ガスケット400に壁部を設けたり別体の壁部を配置するような場合には、当該壁部が電極体700のタブ部720や電極体本体部710と干渉するおそれがあるが、タブ側方部材600を絶縁シートで形成することで、電極体700が損傷するのをさらに抑制することができる。
【0061】
また、タブ側方部材600の第一タブ絶縁部610は、電極体700のタブ部720に設けられた曲げ部722に対向して配置されている。ここで、電極体700のタブ部720が屈曲または湾曲して曲げ部722が形成され集電体500に接続される構成の場合、タブ部720の曲げ部722が容器100等の他の導電部材に接触するおそれがある。このため、第一タブ絶縁部610を、タブ部720の曲げ部722に対向して配置する。これにより、タブ部720の曲げ部722が他の導電部材に接触するのを抑制することができるため、電極体700のタブ部720と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0062】
また、タブ側方部材600の第一タブ絶縁部610は、電極体700のタブ部720よりも大きい幅を有している。つまり、第一タブ絶縁部610がタブ部720よりも幅が小さいとタブ部720が容器100等の他の導電部材に接触するおそれが生じるため、第一タブ絶縁部610を、タブ部720よりも大きい幅に形成する。これにより、タブ部720が他の導電部材に接触するのを抑制することができるため、電極体700のタブ部720と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0063】
また、タブ側方部材600の第一支持部620は、集電体500とタブ部720との間に挟まれて配置されている。このように、第一支持部620を、集電体500とタブ部720との間に挟んで配置することで、第一支持部620を、集電体500のタブ部720側の面に容易に接続することができる。これにより、タブ部720と容器100等の他の導電部材との短絡を抑制する構成を、容易に実現することができる。
【0064】
また、集電体500とタブ部720との接合部900は、タブ側方部材600の第一支持部620の開口部621内に配置されている。このように、第一支持部620に開口部621を形成し、集電体500とタブ部720との接合部900を開口部621内に配置することで、第一支持部620が集電体500とタブ部720との接合の妨げになるのを抑制することができる。これにより、タブ部720と容器100等の他の導電部材との短絡を抑制する構成を、容易に実現することができる。
【0065】
また、タブ側方部材600の第二支持部630は、電極体700の電極体本体部710と絶縁シート800との間に挟まれて配置されている。このように、第二支持部630を、電極体本体部710と絶縁シート800との間に挟んで配置することで、第二支持部630を、電極体本体部710に容易に接続することができる。これにより、タブ部720と容器100等の他の導電部材との短絡を抑制する構成を、容易に実現することができる。
【0066】
また、集電体500及び電極体700の電極体本体部710の少なくとも一方(本実施の形態では集電体500)は、タブ側方部材600の支持部611を固定する固定部502を有し、支持部611は、固定部502に固定される被固定部622を有している。このように、支持部611の被固定部622を固定部502に固定できる構成としておくことで、蓄電素子10の製造時に、集電体500及び電極体本体部710の少なくとも一方にタブ側方部材600を仮止めしてから、作業を行うことができる。
【0067】
[5 変形例の説明]
次に、上記実施の形態の変形例について、説明する。
図6は、本実施の形態の変形例に係る集電体500にタブ側方部材601を配置して電極体700のタブ部720を接合した状態を示す断面図である。なお、
図6は、
図5に対応する図である。
【0068】
図6に示すように、本変形例では、上記実施の形態におけるタブ側方部材600に代えて、タブ側方部材601が配置されている。タブ側方部材601は、上記実施の形態におけるタブ側方部材600の構成要素に加えて、第二タブ絶縁部640と、第二支持部650と、を有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
第二タブ絶縁部640は、タブ部720のY軸プラス方向(第二方向とは反対方向)側に配置される絶縁性の部位であり、タブ部720の先端部721に対向して配置されている。また、第二タブ絶縁部640は、X軸方向(第三方向)において、タブ部720よりも大きい幅を有している。なお、第二タブ絶縁部640のその他の構成は、第一タブ絶縁部610の構成と同様である。
【0070】
第二支持部650は、電極体700の電極体本体部710に接続される部位であり、第二タブ絶縁部640を支持する。具体的には、第二支持部650は、電極体本体部710と絶縁シート800(詳細には、絶縁シート800の第二シート部820)との間に挟まれて配置されることで、電極体本体部710及び絶縁シート800に固定されている。これにより、第二支持部650は、電極体本体部710と絶縁シート800の第二シート部820とに接続された状態(つまり当接した状態)となっている。なお、第二支持部650のその他の構成は、第二支持部630の構成と同様である。このように、本変形例では、支持部611は、第一支持部620、第二支持部630及び第二支持部650の3つの支持部を有している。
【0071】
以上のように、本変形例に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例では、タブ側方部材601は、さらに、タブ部720の第一タブ絶縁部610とは反対方向側に、絶縁性の第二タブ絶縁部640を有している。このように、タブ側方部材601に、第一タブ絶縁部610に加えて第二タブ絶縁部640も設けることで、タブ部720の両側に絶縁性の部材が配置される。これにより、例えばタブ部720が当該両側に突出している場合でも、タブ部720の当該両側において、タブ部720が容器100等の他の導電部材に接触するのを抑制することができる。したがって、電極体700のタブ部720と他の導電部材との短絡を抑制することができる。
【0072】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0073】
例えば、上記実施の形態では、タブ側方部材600の支持部611は、第一支持部620及び第二支持部630の双方を有していることとしたが、支持部611は、第一支持部620及び第二支持部630の少なくとも一方を有していればよい。また、上記変形例では、タブ側方部材601の支持部611は、第一支持部620、第二支持部630及び第二支持部650を有していることとしたが、支持部611は、これら支持部のうちの少なくとも1つの支持部を有していればよい。
【0074】
また、上記実施の形態及びその変形例では、タブ側方部材は、絶縁性のシート部材であることとした。しかし、タブ側方部材は、例えばブロック状や棒状等のシート状以外の形状の部材であってもよい。また、タブ側方部材は、全てが絶縁性の部材で形成されていることには限定されない。つまり、タブ側方部材は、第一タブ絶縁部610(及び第二タブ絶縁部640)が絶縁性の部材で形成されていればよく、支持部611が有する一部または全部の支持部が導電性の部材で形成されていてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態及びその変形例では、タブ側方部材の第一支持部620は、集電体500とタブ部720との間に挟まれて配置されることで、集電体500のタブ部720側の面に接続されることとした。しかし、第一支持部620は、集電体500とタブ部720とで挟まれるのではなく、例えば集電体500のタブ部720側の面に接着等により固定されることで、集電体500のタブ部720側の面に接続されることにしてもよい。また、第一支持部620は、集電体500のタブ部720側の面に固定されるのではなく、集電体500の一部と係合する等により、集電体500のタブ部720側の面に接続されることにしてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態及びその変形例では、絶縁シート800は、電極体700の電極体本体部710のY軸方向両側及びZ軸マイナス方向側の全面を覆う形状であることとした。しかし、絶縁シート800は、電極体本体部710とで第二支持部を挟むことができれば、電極体本体部710のどの部位を覆っていてもよく、形状は特に限定されない。例えば、絶縁シート800は、第一シート部810が電極体本体部710のY軸マイナス方向側の一部しか覆っていなくてもよいし、第二シート部820が電極体本体部710のY軸プラス方向側の一部しか覆っていなくてもよいし、第三シート部830が電極体本体部710のZ軸マイナス方向側の一部しか覆っていなくてもよい。また、絶縁シート800は、第三シート部830を有していなくてもよいし、上記実施の形態においては、絶縁シート800は、第二シート部820を有していなくてもよい。また、絶縁シート800は、電極体本体部710と容器100の短側壁部112または蓋体120との間にもシート部を有していてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態及びその変形例では、タブ側方部材の第二支持部は、電極体700の電極体本体部710と絶縁シート800との間に挟まれて配置されることで、電極体本体部710に接続されることとした。しかし、第二支持部は、電極体本体部710と絶縁シート800以外の絶縁部材(スペーサ等)との間に挟まれて配置されることで、電極体本体部710に接続されることにしてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態及びその変形例では、タブ側方部材の第二支持部は、電極体700の電極体本体部710と絶縁シート800等の絶縁部材との間に挟まれて配置されることで、電極体本体部710に接続されることとした。しかし、第二支持部は、電極体本体部710と当該絶縁部材とで挟まれるのではなく、例えば電極体本体部710に接着等により固定されることで、電極体本体部710に接続されることにしてもよい。また、第二支持部は、電極体本体部710に固定されるのではなく、電極体本体部710の一部と係合する等により、電極体本体部710に接続されることにしてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態及びその変形例では、集電体500が、タブ側方部材の支持部611の第一支持部620を固定する固定部502を有していることとした。しかし、電極体700の電極体本体部710が、固定部502と同様の構成の、支持部611の第二支持部を固定する固定部を有しており、タブ側方部材が電極体本体部710に仮止めされる構成にしてもよい。つまり、集電体500及び電極体本体部710の少なくとも一方が、支持部611を固定する固定部を有していればよい。また、タブ側方部材を、集電体500及び電極体本体部710に仮止めする必要がなければ、集電体500、電極体本体部710及び支持部611は、固定部及び被固定部を有していないことにしてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態及びその変形例では、タブ部720は、根元側に曲げ部722を有していることとしたが、タブ部720は、先端部721にも曲げ部(Y軸マイナス方向に屈曲または湾曲する曲げ部)を有していることにしてもよい。この場合、上記実施の形態においては、第一タブ絶縁部610は、曲げ部722に対向して配置されるのではなく、先端部721の当該曲げ部に対向するように、第一支持部620のY軸プラス方向側に配置されていることにしてもよい。また、上記実施の形態において、先端部721に曲げ部が形成されていない場合においても、先端部721のY軸プラス方向側への突出量が大きい等の場合には、第一タブ絶縁部610は、第一支持部620のY軸プラス方向側に配置されていることにしてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態及びその変形例では、タブ側方部材の第一タブ絶縁部610(及び第二タブ絶縁部640)は、X軸方向(第三方向)において、タブ部720よりも大きい幅を有していることとした。しかし、第一タブ絶縁部610(または第二タブ絶縁部640)の当該幅は、タブ部720と同じ大きさでもよいし、タブ部720よりも小さくてもよい。タブ側方部材の支持部611が有する各支持部についても、同様である。
【0082】
また、上記実施の形態及びその変形例では、集電体500とタブ部720との接合部900は、第一支持部620の貫通孔である開口部621内に配置されていることとした。しかし、第一支持部620には開口部621は形成されておらず、第一支持部620の側方で、集電体500とタブ部720とが接合されて接合部900が形成されることにしてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電極体700の正極板及び負極板は、矩形状を有していることとした。しかし、正極板及び負極板の形状は、矩形状には限定されず、矩形状以外の多角形状、長楕円形状、長円形状等でもよい。正極板及び負極板のタブについても、矩形状には限定されず、矩形状以外の多角形状、半円形状、半長円形状、半楕円形状等、どのような形状でもかまわない。また、当該タブは、極板の一部が突出したタブではなく、極板の全体が突出したタブであってもよい。
【0084】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電極体700は、複数の平板状の極板(正極板及び負極板)が積層されて形成されたスタック型の電極体であることとした。しかし、電極体700は、極板を蛇腹状に折り畳んだ蛇腹型の電極体、または、極板が巻回されて扁平形状に形成された巻回型の電極体等であってもよい。
【0085】
また、上記実施の形態及びその変形例において、蓄電素子を構成する部材は、1部材が2部材以上の複数部材で構成されていてもよいし、2部材以上の複数部材が1部材で構成されていてもよい。例えば、電極端子200と集電体500とが一体化されて1部材で構成されていてもよい。この場合、電極端子200と集電体500とが一体化された部材を電極端子と呼ぶとすれば、タブ側方部材の第一支持部620は、当該電極端子のタブ部720側の面に接続されることとなる。
【0086】
また、上記実施の形態及びその変形例では、正極側及び負極側(X軸マイナス方向側及びX軸プラス方向側)の両方が、上記構成を有していることとした。しかし、正極側または負極側が上記構成を有していないことにしてもよい。
【0087】
なお、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0088】
また、本発明は、このような蓄電素子として実現することができるだけでなく、蓄電素子が備えるタブ側方部材としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子等に適用できる。
【符号の説明】
【0090】
10 蓄電素子
100 容器
110 容器本体
111 長側壁部
500 集電体
502 固定部
600、601 タブ側方部材
610 第一タブ絶縁部
611 支持部
620 第一支持部
621 開口部
622 被固定部
630、650 第二支持部
640 第二タブ絶縁部
700 電極体
710 電極体本体部
720 タブ部
721 先端部
722 曲げ部
800 絶縁シート
810 第一シート部
820 第二シート部
830 第三シート部
900 接合部