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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】基地局装置及びビーム選択方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20230530BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20230530BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20230530BHJP
   H04W 72/23 20230101ALI20230530BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20230530BHJP
   H04B 7/024 20170101ALI20230530BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W28/16
H04W16/26
H04W72/23
H04B7/06 984
H04B7/06 956
H04B7/024
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019034455
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020141204
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 慎也
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0324780(US,A1)
【文献】国際公開第2018/155965(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0048375(US,A1)
【文献】国際公開第2018/143390(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集中局と分散局とを有する基地局装置であって、
前記分散局は、
複数のアンテナ素子を用いて複数の方向にビームを形成して端末装置宛のデータ信号を送受信する通信部を有し、
前記集中局は、
前記ビームを形成する前記分散局から通知されるビーム毎の隣接ビームを示す関係情報と、前記端末装置における各ビームの受信品質と、を用いて、前記受信品質が最大となるビームを第1のビームとして選択し、前記第1のビームの関係情報を参照し、当該第1のビームと干渉するビーム以外のビーム集合を第2のビーム集合として選択する第1の選択部と、
前記第2のビーム集合内の一つ以上のビームと前記第1のビームとからなる、同一の分散局で形成するビーム組を適用して参照信号を前記分散局に送信させる送信制御部と、
所定区間における前記端末装置からの参照信号の受信状態を用いて当該端末装置宛のデータ信号に適用する、同一の分散局で形成するビーム組を選択する第2の選択部と
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記第2の選択部は、
前記所定区間における前記参照信号の受信状態を用いて、前記受信状態に含まれる好適ランクに関する情報が最大の受信状態の内、前記受信状態に含まれる受信品質に関する情報が最大の受信状態に対応する前記ビーム組を前記端末装置宛のデータ信号に適用するビーム組として選択することを特徴とする請求項に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記第2の選択部は、
前記ビーム組を適用して送信された前記参照信号の前記受信状態を参照し、前記受信状態に含まれる好適ランクに関する情報が所定値以上の前記ビーム組を前記端末装置宛のデータ信号に適用するビーム組として選択することを特徴とする請求項に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記送信制御部は、
前記第2のビーム集合内の1つ以上のビームを順次選択し、順次選択された前記ビームと前記第1のビームとからなる前記ビーム組を切替えながら前記参照信号を前記分散局に送信させることを特徴とする請求項に記載の基地局装置。
【請求項5】
集中局と分散局とを有する基地局装置が、
複数のアンテナ素子を用いて複数の方向にビームを形成して端末装置宛のデータ信号を前記分散局で送受信し、
前記ビームを形成する前記分散局から通知されるビーム毎の隣接ビームを示す関係情報と、前記端末装置における各ビームの受信品質と、を用いて、前記受信品質が最大となるビームを第1のビームとして選択し、前記第1のビームの関係情報を参照し、当該第1のビームと干渉するビーム以外のビーム集合を第2のビーム集合として選択し、
前記第2のビーム集合内の一つ以上のビームと前記第1のビームとからなる、同一の分散局で形成するビーム組を適用して参照信号を前記分散局に前記集中局で送信させ、
所定区間における前記端末装置からの参照信号の受信状態を用いて当該端末装置宛のデータ信号に適用する、同一の分散局で形成するビーム組を前記集中局で選択する
処理を実行することを特徴とするビーム選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置及びビーム選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波数帯での超広帯域伝送を実現する技術として、基地局のアンテナ素子数を数十程度と想定していたMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術を、例えば、数百から数千のアンテナ素子に拡張したMassive MIMO技術がある。
【0003】
Massive MIMOを用いる基地局は、複数のアンテナ素子を用いたビームフォーミング(BF:Beam Forming)により、特定の方向の受信電力が高くなるビームを形成する。基地局は、事前に決められた複数のBF(以下、単にビームと称する)候補をそれぞれ下り参照信号(SSB:Synchronization Signal Block)に適用して送信する。各端末は、受信した下り参照信号から測定したビーム毎の受信電力量を基地局に報告する。そして、基地局は、各端末からの受信電力量に基づき、端末に適用するビームを決定する。
【0004】
例えば、lls-CU(Lower Layer Split Central Unit)等の集中局と、RU(Radio Unit)等の分散局とを有する基地局では、集中局と分散局との間でxRANフロントホールインターフェイスが仕様化されている。本インタフェースでは、ビームIDを用いて集中局が分散局のビームを制御する。具体的には、分散局自体が形成可能なビーム情報を集中局に通知する。ビーム情報とは、例えば、ビームを識別するビームID、ビームの状態や、当該ビームと隣接するビームの隣接ビームID等を有する。集中局は、各分散局から通知されたビーム情報内のビームIDからユーザデータ信号に使用するビームを選択し、選択したビームを分散局に通知する。
【0005】
下りリンクMIMO伝送を行うためには、各MIMOレイヤの送信信号に適用するビームを選択する必要がある。例えば、2レイヤの下りリンク伝送の場合、各レイヤに適用するビームとして第1のビーム及び第2のビームを選択する。集中局は、端末から報告される各ビームの受信電力量から、受信電力量が上位2本のビームを第1のビーム及び第2のビームとして選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-164281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、基地局内の集中局では、各ビームの受信電力量が上位2本のビームを第1のビーム及び第2のビームとして選択した場合に、各ビームと端末との間の無線チャネルの相関が高くなる傾向にある。その結果、第1のビームと第2のビームとの間の相関が高くなって干渉し合うことでスループットが低下する。
【0008】
一つの側面では、スループットを改善できる基地局装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様の基地局装置は、分散局と、集中局とを有する。分散局は、複数のアンテナ素子を用いて複数の方向にビームを形成して端末装置宛のデータ信号を送受信する通信部を有する。集中局は、第1の選択部と、送信制御部と、第2の選択部とを有する。第1の選択部は、ビームを形成する分散局から通知される各ビームの関係情報と、端末装置における各ビームの受信品質と、を用いて、第1のビーム及び第2のビーム集合を選択する。送信制御部は、第2のビーム集合内の一つ以上のビームと第1のビームとからなるビーム組を適用して参照信号を分散局に送信させる。第2の選択部は、所定区間における端末装置からの参照信号の受信状態を用いて当該端末装置宛のデータ信号に適用するビーム組を選択する。
【発明の効果】
【0010】
一つの態様では、スループットを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1の無線システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、実施例1の基地局のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施例1の基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、ビーム情報の一例を示す説明図である。
図5図5は、端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、ビーム組選択処理に関わる基地局及び端末の処理動作の一例を示す説明図である。
図8図8は、ビーム組選択処理に関わる基地局及び端末の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、ビーム組選択処理に関わる基地局及び端末の処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、第2のビーム選択処理に関わる集中局の処理動作の一例を示すフロー図である。
図11図11は、実施例3の基地局のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本願の開示する基地局装置及びビーム選択方法の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1の無線システム1の一例を示す説明図である。図1に示す無線システム1は、基地局2と、複数の端末3とを有する。基地局2は、N本のアンテナ素子15を用いて複数のビーム#1、#2、…#BでカバーエリアAを形成する基地局装置である。更に、基地局2は、カバーエリアA内に在圏する各端末3と無線通信する。端末3は、基地局2と無線通信する、例えば、スマートフォン等の端末装置である。端末3は、例えば、#a、#b、…#Uの端末である。尚、無線システム1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)又はNR(New Radio)等の無線システムである。基地局2は、アンテナ素子15を用いてデータ信号、同期信号又は参照信号を時間、周波数、符号、もしくは空間多重して各端末3に送信する。
【0014】
図2は、実施例1の基地局2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示す基地局2は、集中局2Aと、分散局2Bとを有する。集中局2Aは、分散局2Bを制御する、例えば、lls-CU等である。分散局2Bは、複数のアンテナ素子15を使用して端末3と無線通信する、例えば、RU等である。集中局2Aと分散局2Bとの間は、例えば、xRANフロントホールインターフェイスの仕様で接続する。
【0015】
集中局2Aは、NIF(Network Interface)回路11と、記憶装置12と、LSI(Large Scale Integration)13と、プロセッサ14とを有する。NIF回路11は、他の基地局2と接続するコアネットワークとの間の有線通信を司るIF回路である。記憶装置12は、各種情報を記憶する装置である。LSI13は、各種制御を実行する回路である。プロセッサ14は、集中局2A全体を制御する。分散局2Bは、複数のアンテナ素子15と、無線処理回路16とを有する。無線処理回路16は、アンテナ素子15を通じて、端末3との間の無線通信を司るIF回路である。
【0016】
図3は、実施例1の基地局2の機能構成の一例を示すブロック図である。基地局2内の集中局2Aは、例えば、記憶装置14に記憶されたプログラムを実行することで、同期・参照信号生成部21、ユーザデータ生成部22、スケジューリング部23及び受信部24として機能する。また、基地局2内の分散局2Bは、無線処理回路16を有し、無線処理回路16は、多重部31と、第1のBF(Beam Forming)部32と、複数の第1のRF(Radio Frequency)部33と、複数の第2のRF部34と、第2のBF部35と、分散局情報通知部36とを有する。
【0017】
同期・参照信号生成部21は、カバーエリア内の複数の端末3または選択された端末3毎の参照信号又はSSB等の同期信号を生成する。ユーザデータ生成部22は、選択された端末3毎のデータ信号を生成する。スケジューリング部23は、所定の選択規範に基づき、複数の端末3からカバーエリアA内のK台の端末3を選択する。尚、所定の選択規範には、例えば、推定したチャネル応答ベクトルを使用したProportional Fair規範や、通信機会を均等に提供するラウンドロビン規範がある。本実施例では、説明の便宜上、所定の選択規範は、例えば、ラウンドロビン規範とする。
【0018】
受信部24は、U台の端末3からのCSI(Channel State Information)フィードバック信号から、各端末3の各ビームの受信状態を得る。ここで、各ビームの受信状態とは、参照信号を用いて測定したL1-RSRP(Reference Signal Received Power)やCQI(Channel Quality Indicator)等である。尚、受信部24は、端末3に全てのビームの受信状態をフィードバックさせるようにしても良いし、L1-RSRP又はCQIの上位x番目までの良好なビームの受信状態を指定してフィードバックさせるようにしても良い。また、受信部24は、ビーム番号を1つ又は複数指定して受信状態をフィードバックさせるようにしても良い。
【0019】
スケジューリング部23は、例えば、シンボル及びサブキャリアへのマッピング情報を分散局2B内の多重部31に通知すると共に、例えば、適用するビームを識別するビーム番号を含むビーム適用情報を分散局2B内の第1のBF部32に通知する。スケジューリング部23は、各端末3からの第1のCSI報告値や第2のCSI報告値等のCSIフィードバック信号からL1-RSRPに基づき、端末3毎の最適ビーム番号を特定する。最適ビーム番号は、複数のビームの内、当該端末3の受信品質が最適なビームを識別するビーム番号である。
【0020】
スケジューリング部23は、第1の選択部41と、送信制御部42と、第2の選択部43とを有する。第1の選択部41は、ビームを形成する分散局2Bから通知される各ビームの関係情報であるビーム情報と、端末3における各ビームの受信品質である第1のCSI報告値とを用いて、第1のビーム及び第2のビーム集合を選択する。尚、第1のビームは、例えば、受信品質が最大となるビーム、第2のビーム集合は、第1のビーム以外のビームであって、第1のビームと干渉しない第2のビーム候補を含む集合である。第1のCSI報告値は、端末3毎の各ビームの同期信号に対する受信電力量を含む情報である。第1の選択部41は、受信品質が最大となるビームを第1のビームとして選択し、第1のビームのビーム情報を参照し、当該第1のビームと干渉する隣接ビーム以外のビームを第2のビーム集合として選択する。第2のビーム集合は、第2のビーム候補を含む集合である。
【0021】
送信制御部42は、第2のビーム集合内の一つ以上のビームと第1のビームとからなるビーム組を適用して参照信号を分散局2Bに送信させる。送信制御部42は、第2のビーム集合内の1つ以上のビームを第2のビーム候補として順次選択し、順次選択された第2のビーム候補と第1のビームとからなるビーム組(組候補)を切替えながら参照信号を分散局2Bに送信させる。
【0022】
第2の選択部43は、所定区間における端末3からの参照信号の受信状態である第2のCSI報告値を用いて当該端末3宛のユーザデータ信号に適用するビーム組を選択する。第2のCSI報告値は、端末3毎の第1のビーム及び第2のビーム候補を適用した参照信号に対する好適ランク(RI:Rank Indicator)、受信品質(CQI:Channel Quality Indicator)やPMI(Precoding Matrix Indicator)等の情報である。所定区間は、例えば、第2のビーム探索周期で周期的に生じる区間である。第2の選択部43は、第2のビーム探索周期で取得した参照信号の第2のCSI報告値を用いて、RIが最大の第2のCSI報告値の内、CQIが最大の第2のCSI報告値のビーム組(組候補)を端末3宛のデータ信号に適用するビーム組として選択する。
【0023】
多重部31は、同期信号、参照信号又は端末3毎のデータ信号を異なる時間や周波数リソースで空間多重する。つまり、多重部31は、集中局2Aからのマッピング情報に基づき、同期信号、参照信号又は端末3毎のデータ信号をサブキャリアにマッピングする。第1のBF部32は、集中局2Aからのビーム適用情報に基づき、同期信号、参照信号又は端末3毎のデータ信号にビーム適用情報で指定された所定のビームを適用する。第1のRF部33は、各ビームのアンテナ素子15毎に備え、同期信号、参照信号又はデータ信号を無線信号に変換して所定のビームに対応したアンテナ素子15経由で各端末3に送信する。第2のRF部34は、各ビームのアンテナ素子15毎に備え、到来する無線信号を受信する。第1のRF部33及び第2のRF部34は、例えば、通信部である。
【0024】
第2のRF部34は、端末3からのCSIフィードバック信号(CSI報告値)を含む受信信号をベースバンド信号に変換する。第2のBF部35は、各端末3からの受信信号に受信品質が最適のビームを適用する。分散局情報通知部36は、ビームID毎のビーム状態及び隣接ビームIDを対応付けて管理するビーム情報(図4参照)を生成し、生成したビーム情報を集中局2A内のスケジューリング部23に通知する。
【0025】
図4は、ビーム情報の一例を示す説明図である。図4に示すビーム情報80は、ビームID80A毎にビーム状態80B及び隣接ビームID80Cを対応付けて管理する。ビームID80Aは、ビームを識別するIDである。ビーム状態80Bは、例えば、ビームの指向性が広ビーム「coarse」か狭ビーム「fine」か等のビームの状態を示す情報である。隣接ビームID80Cは、ビームID80Aに対応するビームに隣接する他のビームを識別するIDである。スケジューリング部23内の第1の選択部41は、図4に示すビーム情報80を参照し、例えば、#1~#4のビームIDの内、#2のビームIDを第1のビームとして選択した場合、#2のビームIDに対応する隣接ビームIDとして#1のビームIDを特定する。そして、第1の選択部41は、第1のビーム#2及び隣接ビーム#1を除くビーム集合として#3及び#4のビーム集合を第2のビーム集合として選択する。
【0026】
図5は、端末3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5に示す端末3は、複数のアンテナ素子61と、無線処理回路62と、記憶装置63と、LSI64と、プロセッサ65とを有する。無線処理回路62は、アンテナ素子61を通じて、基地局2内の分散局2Bとの間の無線通信を司るIF回路である。記憶装置63は、各種情報を記憶する装置である。LSI64は、各種制御を実行する回路である。プロセッサ65は、端末3全体を制御する。
【0027】
図6は、端末3の機能構成の一例を示すブロック図である。図6に示す端末3は、例えば、記憶装置63に記憶されたプログラムを実行することで、推定部71、生成部72及び多重部73として機能する。無線処理回路62は、受信側RF部81と、送信側RF部82とを有する。
【0028】
受信側RF部81は、アンテナ素子61経由で基地局2内の分散局2Bからの同期信号又は参照信号を含む受信信号を受信し、受信した受信信号からベースバンド信号に変換する。推定部71は、B本のビームの受信状態(L1-RSRP、CQI)を各ビームが適用される同期信号又は参照信号を用いて算出する。生成部72は、例えば、第1のCSI報告値、第2のCSI報告値及びそれら情報の符号化・変調を行う。
【0029】
多重部73は、例えば、第1のCSI報告値や第2のCSI報告値等のフィードバック信号を、割り当てられた周波数リソースに多重化する。送信側RF部82は、多重化されたフィードバック信号を無線信号に変換し、アンテナ素子61を介して、変換後の無線信号を送信する。その結果、基地局2内の集中局2A内の受信部24は、分散局2Bを通じて端末3からのフィードバック信号(第1のCSI報告値や第2のCSI報告値)を復調する。集中局2A内のスケジューリング部23は、端末3から通知された第1のCSI報告値や第2のCSI報告値を取得できる。
【0030】
次に実施例1の無線システム1の動作について説明する。図7は、ビーム組選択処理に関わる基地局2及び端末3の処理動作の一例を示す説明図である。基地局2内の集中局2Aは、分散局2Bからのビーム情報及び、各端末3の第1のCSI報告値を用いて第1のビームと第2のビーム集合とを絞り込む。尚、説明の便宜上、第1のビームを#2、第2のビーム集合を#3及び#4とする。集中局2Aは、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3を適用した参照信号(CSI-RS)の送信指示を分散局2Bに通知する。分散局2Bは、送信指示に応じて、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3を適用した参照信号(CSI-RS)を端末3に送信する(ステップS101)。端末3は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3を適用した参照信号に対する第2のCSI報告値(CQI/RI,PMI)を生成し、生成後の第2のCSI報告値を分散局2Bに送信する(ステップS102)。更に、分散局2Bは、第2のCSI報告値を集中局2Aに通知する。
【0031】
また、集中局2Aは、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4を適用した参照信号(CSI-RS)の送信指示を分散局2Bに通知する。分散局2Bは、送信指示に応じて、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4を適用した参照信号(CSI-RS)を端末3に送信する(ステップS103)。端末3は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4を適用した参照信号に対する第2のCSI報告値(CQI/RI,PMI)を生成し、生成後の第2のCSI報告値を分散局2Bに送信する(ステップS104)。更に、分散局2Bは、第2のCSI報告値を集中局2Aに通知する。
【0032】
集中局2Aでは、周期的な第2のビーム探索周期毎に収集した組候補毎の第2のCSI報告値から最適な第2のビームを選択する。つまり、参照信号の生成から第2のビーム選択までの処理を第2のビーム探索周期で繰り返し実行することで、想定するビーム組の全部又は一部(第2のビーム探索周期内に第2のCSI報告値が得られたもの)から好適のビーム組を選択する。
【0033】
図8及び図9は、ビーム組選択処理に関わる基地局2及び端末3の処理動作の一例を示すシーケンス図である。分散局2B内の分散局情報通知部36は、ビームID毎のビーム状態及び隣接ビームIDを管理するビーム情報を生成する(ステップS11)。分散局情報通知部36は、生成したビーム情報を集中局2Aに通知する(ステップS12)。その結果、集中局2Aは、端末3毎の各ビームのビーム状態及び隣接ビームを認識できる。
【0034】
集中局2A内のスケジューリング部23は、ビーム情報を参照し、同期信号に適用するビームIDを順次変更し、ビーム毎のビーム適用情報及び同期信号を分散局2Bに夫々通知する(ステップS13)。分散局2B内の多重部31は、マッピング情報に基づき、ビーム毎の同期信号をサブキャリアにマッピングする。更に、分散局2B内の第1のBF部26は、ビーム適用情報に基づき、同期信号に所定のビームを適用する(ステップS14)。分散局2B内の第1のRF部33は、ビーム毎の同期信号を端末3に送信する(ステップS15)。
【0035】
端末3内の推定部71は、各ビームの同期信号からビーム毎の同期信号に対する受信電力量を算出する(ステップS16)。端末3内の生成部72は、ビーム毎の受信電力量に基づき、第1のCSI報告値を生成する(ステップS17)。尚、第1のCSI報告値は、ビーム毎の同期信号に対する受信電力量を含む受信品質の情報である。更に、端末3内の多重部73は、第1のCSI報告値を、割当てられた周波数リソースに多重化する。端末3内の送信側RF部82は、多重化後の第1のCSI報告値を無線信号に変換してアンテナ素子61経由で分散局2Bに送信する(ステップS18)。
【0036】
分散局2B内の第2のRF部34は、端末3からの第1のCSI報告値を含む無線信号をベースバンド信号に変換する。分散局2B内の第2のBF部35は、端末3からの受信信号に集中局2Aから通知されるビームを適用する(ステップS19)。尚、端末3に対する好適ビームは、その時点までの端末3からの第1のCSI報告値に含まれる受信電力量が最大のビーム番号を用いるものとする。第2のBF部35は、端末3毎に受信した第1のCSI報告値を集中局2Aに通知する(ステップS20)。
【0037】
集中局2A内の受信部24は、分散局2Bから第1のCSI報告値を受信する。集中局2A内の第1の選択部41は、受信した第1のCSI報告値内のビーム毎の受信電力量に基づき、最大受信力量のビームを第1のビームとして選択する(ステップS21)。尚、第1の選択部41は、受信した直近の第1のCSI報告値内の受信電力量が最大電力量のビームを第1のビームとして選択した。しかしながら、例えば、直近の第1のCSI報告値と、その1つ前の第1のCSI報告値等との複数の第1のCSI報告値を平均化した受信電力量の内、最大受信電力量のビームを第1のビームとして選択しても良く、適宜変更可能である。
【0038】
第1の選択部41は、第1のビームを選択した後、端末3毎の第1のCSI報告値及びビーム情報に基づき、第2のビーム集合の絞り込み(ステップS22)、図8に示す処理動作を終了する。つまり、第1の選択部41は、端末3毎の第1のCSI報告値内の各ビームの受信電力量を抽出する。更に、第1の選択部41は、抽出された受信電力量と、ビーム情報とに基づき、第1のビーム以外のビーム集合の内、第1のビームの隣接ビーム以外のビームを第2のビーム集合として選択する。尚、説明の便宜上、第1の選択部41は、適用可能なビームを#1~#4とし、第1のビームを#2、#2の隣接ビームを#1とした場合、第2のビーム集合は#3及び#4となる。
【0039】
尚、説明の便宜上、集中局2Aは、端末3に全てのビームの受信電力量を含む第1のCSI報告値を取得する場合を例示した。しかしながら、受信電力量が上位X番目までのビームの受信電力量を含む第1のCSI報告値を取得しても良いし、ビーム番号を1個又は複数個指定して受信電力量を含む第1のCSI報告値を取得しても良く、適宜変更可能である。
【0040】
図9に示す集中局2A内の送信制御部42は、第1のビーム及び第2のビーム集合を選択した後、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3の組候補情報、参照信号(CSI-RS)及びマッピング情報を分散局2Bに通知する(ステップS31)。尚、同期・参照信号生成部21は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3を適用する2アンテナポートの参照信号を生成する。分散局2B内の多重部31は、参照信号及びマッピング情報を受信した後、マッピング情報に基づき、端末3毎の参照信号をサブキャリアにマッピングする。更に、分散局2B内の第1のBF部26は、組候補情報に基づき、端末3毎の参照信号に第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3を適用する(ステップS32)。
【0041】
分散局2B内の第1のRF部33は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3の参照信号を各端末3に送信する(ステップS33)。各端末3内の推定部71は、参照信号を受信した場合、受信した参照信号に対する受信品質量を算出する(ステップS34)。尚、参照信号に対する受信品質量は、例えば、RI、CQIやPMI等を含む。各端末3内の生成部72は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3の参照信号に対する受信品質量を算出した後、受信品質量に基づき、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3の参照信号に対する第2のCSI報告値を生成する(ステップS35)。各端末3内の多重部73は、第2のCSI報告値を、割当てられた周波数リソースに多重化する。端末3内の送信側RF部82は、多重化後の第2のCSI報告値を無線信号に変換してアンテナ素子61経由で分散局2Bに送信する(ステップS36)。
【0042】
分散局2B内の第2のRF部34は、端末3からの第2のCSI報告値を含む無線信号をベースバンド信号に変換する。分散局2B内の第2のBF部35は、端末3からの受信信号に集中局2Aから通知されるビームを適用する(ステップS37)。尚、ステップS37にて適用するビームは、例えば、第1のビームとする。第2のBF部35は、端末3毎に、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#3の第2のCSI報告値を集中局2Aに通知する(ステップS38)。
【0043】
また、集中局2A内の送信制御部42は、未指定の組候補情報がある場合、未指定の組候補情報、参照信号及びマッピング情報を分散局2Bに通知する。送信制御部42は、例えば、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4の未送信の組候補情報、参照信号及びマッピング情報を分散局2Bに通知する(ステップS39)。尚、同期・参照信号生成部21は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4を適用する2アンテナポートの参照信号を生成する。分散局2B内の多重部31は、参照信号及びマッピング情報を受信した後、マッピング情報に基づき、端末3毎の参照信号をサブキャリアにマッピングする。更に、分散局2B内の第1のBF部26は、組候補情報に基づき、端末3毎の参照信号に第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4を適用する(ステップS40)。
【0044】
分散局2B内の第1のRF部33は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4の参照信号を各端末3に送信する(ステップS41)。各端末3内の推定部71は、参照信号を受信した場合、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4の参照信号に対する受信品質量を算出する(ステップS42)。各端末3内の生成部72は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4の参照信号に対する受信品質量を算出した後、受信品質量に基づき、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4の参照信号に対する第2のCSI報告値を生成する(ステップS43)。各端末3内の多重部73は、第2のCSI報告値を、割当てられた周波数リソースに多重化する。端末3内の送信側RF部82は、多重化後の第2のCSI報告値を無線信号に変換してアンテナ素子61経由で分散局2Bに送信する(ステップS44)。
【0045】
分散局2B内の第2のRF部34は、端末3からの第2のCSI報告値を含む無線信号をベースバンド信号に変換する。分散局2B内の第2のBF部35は、端末3からの受信信号に集中局2Aから通知されるビームを適用する(ステップS45)。尚、ステップS45にて適用するビームは、例えば、第1のビームとする。第2のBF部35は、端末3毎に、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4の第2のCSI報告値を集中局2Aに通知する(ステップS46)。
【0046】
集中局2A内の第2の選択部43は、第1のビーム#2及び第2のビーム候補#4の参照信号に対する第2のCSI報告値を受信した場合、第2のビーム集合#3、#4から第2のビームを選択する第2のビーム選択処理を実行する(ステップS47)。第2の選択部43は、第2のビーム選択処理にて、例えば、第2のビーム#3を選択した場合、第1のビーム#2及び第2のビーム#3の組情報、マッピング情報及びユーザデータ信号を生成し、組情報、マッピング情報及びユーザデータ信号を分散局2Bに通知する(ステップS48)。
【0047】
ユーザデータ生成部22は、組情報に基づき、第1のビーム#2及び第2のビーム#3を適用する2アンテナポートのユーザデータ信号を生成する。ユーザデータ生成部22は、第2の選択部43にて選択された第1のビーム及び第2のビームの第2のCSI報告値内のRIに対応するレイヤ数のユーザデータ信号を生成する。また、ユーザデータ生成部22は、第2の選択部43にて選択された第1のビーム及び第2のビームの第2のCSI報告値内のPMIに対応するプリコーディングを適用し、シンボル及びサブキャリアへのマッピング情報、各レイヤに適用するビームID(第1のビーム及び第2のビーム)とともに分散局2Bに受け渡す。
【0048】
分散局2B内の多重部31は、ユーザデータ信号及びマッピング情報を受信した後、マッピング情報に基づき、端末3毎のユーザデータ信号をサブキャリアにマッピングする。更に、分散局2B内の第1のBF部26は、組情報に基づき、ユーザデータ信号に第1のビーム#2及び第2のビーム#3を適用する(ステップS49)。
【0049】
分散局2B内の第1のRF部33は、適用した第1のビーム#2及び第2のビーム#3を用いてユーザデータ信号を端末3に送信し(ステップS50)、図9に示す処理動作を終了する。
【0050】
図10は、第2のビーム選択処理に関わる集中局2Aの処理動作の一例を示すフロー図である。集中局2A内の第2の選択部43は、第2のビーム探索周期内の各第2のCSI報告値内のRI及びCQIを取得する(ステップS61)。
【0051】
第2の選択部43は、第2のビーム集合から最大RIのビームを選択し(ステップS62)、最大RIの選択ビームから最大CQIのビームを第2のビームとして選択し(ステップS63)、図10に示す処理動作を終了する。
【0052】
実施例1の基地局2内の集中局2Aは、分散局2Bから通知されるビーム情報と、端末3における各ビームの受信品質(第1のCSI報告値)とを用いて、第1のビーム及び第2のビーム集合を選択する。更に、集中局2Aは、第2のビーム集合内の一つ以上のビームと第1のビームとからなるビーム組を適用して参照信号(CSI-RS)を分散局2Bに送信させる。更に、集中局2Aは、第2のビーム探索周期内での端末3からの参照信号の受信状態(第2のCSI報告値)を用いて端末3宛のユーザデータ信号に適用するビーム組を選択する。その結果、集中局2Aは、MIMO伝送でのスループットが改善できる。
【0053】
基地局2では、集中局2Aと分散局2Bとが異なるベンダの場合でも、集中局2Aは、分散局2Bの仕様を変えることなく、xRANフロントホールインターフェイスの仕様で最適なビーム組を選択できる。つまり、集中局2Aは、分散局2Bからのビーム情報や第1のCSI報告値を取得し、取得されたビーム情報及び第1のCSI報告値を参照する。その結果、分散局2Bと集中局2Aとが異なるベンダの場合でも、効率良く、第1のビーム及び第2のビームのビーム組を選択できる。
【0054】
集中局2Aは、受信品質が最大となるビームを第1のビームとして選択し、第1のビームのビーム情報内の隣接ビームIDを参照し、当該第1のビームと干渉するビーム以外のビーム集合を第2のビーム集合として選択する。その結果、集中局2Aは、複数のビームから第2のビーム集合を絞り込むことで、参照信号に対する第2のCSI報告値を受信するフィードバック時間を短縮化できる。
【0055】
集中局2Aは、第2のビーム探索周期内での参照信号の受信状態(第2のCSI報告値)を用いて、受信状態内のRIに関する情報が最大の受信状態の内、受信状態内のCQIに関する情報が最大の受信状態に対応するビーム組を端末3宛のユーザデータ信号に適用するビーム組として選択する。その結果、集中局2Aは、MIMO伝送において高品質かつチャネル相関の低いビームの組み合わせを効率的に選択できる。
【0056】
集中局2Aは、第2のビーム集合内の1つ以上のビームを順次選択し、順次選択されたビームと第1のビームとからなるビーム組を切替えながら参照信号を分散局2Bに送信させる。その結果、集中局2Aは、組候補毎の参照信号に対する受信状態を認識することで、最適なビーム組を選択できる。
【0057】
尚、上記実施例1の第1の選択部41は、分散局2Bから通知されるビーム情報及び第1のCSI報告値を用いて第2のビーム集合の絞り込みを実行する場合を例示したが、これに限定されるものではない。そこで、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の無線システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例2】
【0058】
第1の選択部41は、ビーム情報を用いて、B本のビーム(#1,2,3,4,5,6)から当該端末3の第1のビーム(#2)及び、第1のビームが干渉する隣接ビーム(#1)を除外したビーム集合(♯3,4,5,6)を選択する。更に、第1の選択部41は、第1のCSI報告値から各ビームの受信電力量を抽出する。更に、第1の選択部41は、これら各ビーム集合の受信電力量と第1のビームの受信電力量との差が所定値以内のビーム集合(例えば、#3,4,5)を第2のビーム集合として選択する。
【0059】
送信制御部42は、参照信号送信時に、選択された第2のビーム集合の内、受信電力量が大きいビームを第2のビーム候補として順次選択する。送信制御部42は、順次選択した第2のビーム候補及び第1のビームを適用した参照信号を分散局2Bに送信させる。
【0060】
次に、第2の選択部43は、順次選択された第2のビーム候補及び第1のビームを適用した参照信号に対する第2のCSI報告値を分散局2Bから取得する。第2の選択部43は、第2のCSI報告値内のRIが所定値以上の場合、当該第2のCSI報告値に対応する第2のビーム候補を第2のビームとして選択する。尚、所定値は、分散局2Bから送信可能な最大レイヤ数としても良いし、所定の伝送速度を達成するのに必要な最小レイヤ数としても良い。また、以降の第2のビーム候補(受信電力値が第2のビーム以下)については参照信号の送信を停止しても良い。一方、全ての第2のビーム候補に対応する第2のCSI報告値内のRIが分散局2Bから送信可能な最大レイヤ数よりも小さい場合には、第2のCSI報告値内のRIが最大のものの内、第2のCSI報告値内のCQIが最大となるビーム組の第2のビーム候補を第2のビームとして選択する。
【0061】
実施例2の集中局2Aは、ビーム組を適用して送信された参照信号の受信状態(第2のCSI報告値)を参照し、受信状態内のRIに関する情報が所定値以上のビーム組を端末3宛のユーザデータ信号に適用するビーム組として選択する。その結果、集中局2Aは、RIが所定値以上であれば、使用可能なビームであるため、最適にこだわることなく、ビーム組を迅速に選択することができる。
【0062】
尚、上記実施例1の第1の選択部41では、1台の分散局2Bが形成するビーム組を選択する場合を例示したが、複数、例えば、2台の分散局2B1及び2B2が形成するビーム組を選択しても良く、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例3】
【0063】
図11は、実施例3の基地局2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。尚、実施例1の無線システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0064】
図11に示す基地局2は、集中局2Aと、2台の分散局2B1及び2B2とを有する。2台の分散局2B1及び2B2は、それぞれB/2本のビームを形成し、合計B本のビームでカバーエリアを形成するものとする。尚、説明の便宜上、分散局2B1は、例えば、#a1,a2,a3,a4の4本のビームを形成する。分散局2B2は、例えば、b1,b2,b3,b4の4本のビームを形成する。
【0065】
第1の選択部41は、第1のCSI報告値から得られるビームの受信電力値が最大のビームを第1のビームとして選択する。尚、説明の便宜上、分散局2B1が形成するビームが第1のビームとして選択された場合を想定して説明する。
【0066】
第1の選択部41は、分散局2B1及び2B2mが形成するB本のビームから第2のビーム候補を含む第2のビーム集合を絞り込む。この際、第1の選択部41は、分散局2B1及び2B2のビーム情報を用いて、B本のビーム(#a1,a2,a3,a4,b1,b2,b3,b4)から当該端末3の第1のビーム(#a2)及び第1のビームが干渉するビーム(#a1)を除外した第2のビーム集合(a3,a4,b1,b2,b3,b4)を選択する。
【0067】
そして、送信制御部42は、第2のビーム集合内の一つ以上のビームと、第1のビーム(#a2)とから成るビーム組を適用した参照信号を分散局2Bに送信させる。そして、第2の選択部43は、第2のビーム探索周期内での端末3から参照信号に対する第2のCSI報告値を用いて当該端末3宛のユーザデータ信号に適用するビーム組を選択する。
【0068】
実施例3の基地局2内の集中局2Aは、分散局2Bが複数の場合でも、MIMO伝送でのスループットが改善できる。
【0069】
尚、実施例3の第1の選択部43は、分散局2B1のビームを第1のビームとして選択した場合、分散局2B1及び2B2のビーム集合の内、第1のビームと干渉するビームを除外したビームを第2のビームとして選択する場合を例示した。しかしながら、第1の選択部43は、分散局2B1のビームを第1のビームとして選択した場合、分散局2B1ではなく、分散局2B2のビーム集合の内、第1のビームと干渉するビームを除外したビームを第2のビームとして選択しても良く、適宜変更可能である。
【0070】
また、説明の便宜上、実施例1のスケジューリング部23は、選択する端末の台数としてK台、例えば、2台で説明したが、2台に限定されるものではなく、例えば、1台や3台以上でも良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
2 基地局
2A 集中局
2B 分散局
3 端末
15 アンテナ素子
23 スケジューリング部
33 第1のRF部
34 第2のRF部
41 第1の選択部
42 送信制御部
43 第2の選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11