(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】車両用表示制御装置、車両用撮影装置、車両用表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230530BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20230530BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2019042989
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 将彰
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-148618(JP,A)
【文献】特開2018-028855(JP,A)
【文献】特開2008-193339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0066237(US,A1)
【文献】特開2003-312406(JP,A)
【文献】特開2017-132390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/76
B60R 1/20
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影した映像データを取得する映像データ取得部と、
前記車両の
車室内から車外に対する視界の良否を検出する状態検出部と、
前記車両の停止を検出する停止検出部と、
前記状態検出部が前記車両の
車室内から車外に対する視界が不良であることを検出し、かつ、前記停止検出部が前記車両の停止を検出した場合、前記映像データ取得部が取得した映像データにおける前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする車両用表示制御装置。
【請求項2】
前記映像データ取得部が取得した映像データを記録部に記録する記録制御部、
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記停止検出部が前記車両の停止を検出した場合、前記記録制御部が前記車両の走行路の進行方向の後方以外の範囲を撮影した映像データを記録している場合であっても、前記表示部に前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させる、
請求項1に記載の車両用表示制御装置。
【請求項3】
前記状態検出部は、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部であり、
前記停止検出部は、前記イベント検出部がイベントを検出した後、前記車両の停止を検出する、
請求項2に記載の車両用表示制御装置。
【請求項4】
前記記録制御部は、前記イベント検出部がイベントを検出した場合、イベント検出に起因する期間の映像データをイベント記録データとして保存し、
前記表示制御部は、前記停止検出部が前記車両の停止を検出した場合、イベント記録データとして保存される映像データが撮影されている期間であっても、前記表示部に前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させる、
請求項3に記載の車両用表示制御装置。
【請求項5】
前記映像データに撮影された他車両を検出する他車両検出部、
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記停止検出部が前記車両の停止を検出した場合、前記映像データ取得部が取得した映像データにおける前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データ、および他車両が検出された場合は検出された前記他車両を示す情報を表示部に表示させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用表示制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用表示制御装置と、
少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影する撮影部と、
前記撮影部が撮影した映像データを表示する表示部と、
を備えることを特徴とする車両用撮影装置。
【請求項7】
少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記車両の
車室内から車外に対する視界の良否を検出する状態検出ステップと、
前記車両の停止を検出する停止検出ステップと、
前記状態検出ステップが前記車両の
車室内から車外に対する視界が不良であることを検出し、かつ、前記停止検出ステップが前記車両の停止を検出した場合、前記映像データ取得ステップが取得した映像データにおける前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部に表示させる表示制御ステップと、
を含む車両用表示制御方法。
【請求項8】
少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、
前記車両の
車室内から車外に対する視界の良否を検出する状態検出ステップと、
前記車両の停止を検出する停止検出ステップと、
前記状態検出ステップが前記車両の
車室内から車外に対する視界が不良であることを検出し、かつ、前記停止検出ステップが前記車両の停止を検出した場合、前記映像データ取得ステップが取得した映像データにおける前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部に表示させる表示制御ステップと、
を車両用表示制御装置として動作するコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示制御装置、車両用撮影装置、車両用表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前方に加えて車両の後方を撮影する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、いわゆるドライブレコーダは、表示部を備えるものも多い。車両の動作中は、前方カメラまたは後方カメラが撮影した映像を表示したり、表示を停止したりするなど、任意の表示形態をユーザが設定可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衝突などのイベントが発生した場合など、車両が停止してから、状況確認などのために運転者など車両の乗員が車外に出ることがある。状況確認の多くは、乗員の目視によって行われる。この場合、イベントに関連する車両は、安全な位置に退避できていない場合も多く、車外に出た乗員が後続車両に接触されるという二次被害に遭うおそれもある。また、降雪などによって車両の車室内から車外に対する視界が不良である場合、車両を停止させて、状況確認や視界確保作業などのために乗員が車外に出ることがある。このような場合も、車外に出た乗員が二次被害に遭うおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両が停止したときに、車両の周囲を適切に確認可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用表示制御装置は、少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影した映像データを取得する映像データ取得部と、前記車両の状態を検出する状態検出部と、前記車両の停止を検出する停止検出部と、前記状態検出部が前記車両の所定の状態を検出し、かつ、前記停止検出部が前記車両の停止を検出した場合、前記映像データ取得部が取得した映像データにおける前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部に表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る車両用撮影装置は、上記の車両用表示制御装置と、少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影する撮影部と、前記撮影部が撮影した映像データを表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る車両用表示制御方法は、少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記車両の状態を検出する状態検出を検出する状態検出ステップと、前記車両の停止を検出する停止検出ステップと、前記状態検出ステップが前記車両の所定の状態を検出し、かつ、前記停止検出ステップが前記車両の停止を検出した場合、前記映像データ取得ステップが取得した映像データにおける前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部に表示させる表示制御ステップとを含む。
【0009】
本発明に係るプログラムは、少なくとも車両の後方を含む前記車両の周囲を撮影した映像データを取得する映像データ取得ステップと、前記車両の状態を検出する状態検出を検出する状態検出ステップと、前記車両の停止を検出する停止検出ステップと、前記状態検出ステップが前記車両の所定の状態を検出し、かつ、前記停止検出ステップが前記車両の停止を検出した場合、前記映像データ取得ステップが取得した映像データにおける前記車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部に表示させる表示制御ステップとを車両用表示制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両が停止したときに、車両の周囲を適切に確認させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る車両用表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第二実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第二実施形態に係る車両用表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第三実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第三実施形態に係る車両用表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用表示制御装置、車両用撮影装置、車両用表示制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。車両用撮影装置10は、車両の所定の状態を検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させる。
【0014】
車両用撮影装置10は、いわゆるドライブレコーダである。車両用撮影装置10は、車両に載置されているものに加えて、可搬型で車両において利用可能な装置であってもよい。車両用撮影装置10は、前方カメラ210と、後方カメラ(撮影部)220と、記録部230と、操作部240と、表示部250と、加速度センサ260と、GPS(Global Positioning System)受信部270と、CAN(Controller Area Network)インターフェース部280と、車両用表示制御装置100とを有する。
【0015】
前方カメラ210は、車両の前方を撮影するカメラである。前方カメラ210は、例えば、車両の車室内前方における車両の前方を撮影可能な位置に配置されている。前方カメラ210は、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり車両が動作している間は、映像を常時撮影する。本実施形態では、前方カメラ210は、車両のアクセサリ電源がONである間、映像を常時撮影する。前方カメラ210は、アクセサリ電源がOFFであるとき、言い換えると、車両の駐車中、イベントが検出されると、映像の撮影を開始する。前方カメラ210は、撮影した前方映像データを車両用表示制御装置100の映像データ取得部120へ出力する。前方映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0016】
後方カメラ220は、車両の後方を撮影するカメラである。後方カメラ220は、例えば、車両の車室内後方における車両の後方を撮影可能な位置に配置されている。後方カメラ220は、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり車両が動作している間は、映像を常時撮影する。本実施形態では、後方カメラ220は、車両のアクセサリ電源がONである間、映像を常時撮影する。後方カメラ220は、アクセサリ電源がOFFであるとき、言い換えると、車両の駐車中、イベントが検出されると、映像の撮影を開始する。後方カメラ220は、撮影した後方映像データを車両用表示制御装置100の映像データ取得部120へ出力する。後方映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0017】
前方映像データと後方映像データとの区別を特に要しない場合、映像データとして説明する。
【0018】
記録部230は、車両用撮影装置10におけるデータの一時記憶などに用いられる。記録部230は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、メモリカードなどの記録部である。または、図示しない通信装置を介して無線接続される外部記録部であってもよい。記録部230は、車両用表示制御装置100の記録制御部123から出力された制御信号に基づいて、イベント記録データまたはループ記録データを記録する。
【0019】
操作部240は、車両用撮影装置10に対する各種操作を受付可能である。例えば、操作部240は、撮影した映像データを記録部230に手動で保存する操作を受付可能である。例えば、操作部240は、記録部230に記録したイベント記録データまたはループ記録データを再生する操作を受付可能である。例えば、操作部240は、記録部230に記録したイベント記録データを消去する操作を受付可能である。例えば、操作部240は、ループ記録を終了する操作を受付可能である。操作部240は、操作情報を車両用表示制御装置100の操作制御部125に出力する。
【0020】
表示部250は、一例としては、車両用撮影装置10に固有の表示装置、または、ナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した表示装置などである。表示部250は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部250は、車両用表示制御装置100の表示制御部126から出力された映像信号に基づいて、映像を表示する。表示部250は、前方カメラ210が撮影している映像、後方カメラ220が撮影している映像、または、記録部230に記録された映像を表示する。
【0021】
加速度センサ260は、車両に加わる加速度を検出するセンサである。加速度センサ260は、検出結果を車両用表示制御装置100のイベント検出部127に出力する。加速度センサ260は、例えば3軸方向の加速度を検出するセンサである。3軸方向とは、車両の前後方向、左右方向、および上下方向である。3軸方向に加速度によって、車両に対する衝撃が検出可能である。
【0022】
GPS受信部270は、図示しないGPS衛星から電波を受信する。GPS受信部270は、受信した電波の信号を車両用表示制御装置100の位置情報取得部128へ出力する。
【0023】
CANインターフェース部280は、CANを介して各種車両情報を取得するためのインターフェースである。車両情報には、例えば、エンジンの動作状況や、車両の走行状況などに関する情報が含まれている。
【0024】
車両用表示制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。車両用表示制御装置100は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。車両用表示制御装置100には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは車両用表示制御装置100におけるデータの一時記憶などに用いられる。車両用表示制御装置100は、バス110に接続された、映像データ取得部120と、バッファメモリ121と、映像データ処理部122と、記録制御部123と、再生制御部124と、操作制御部125と、表示制御部126と、イベント検出部127と、位置情報取得部128と、停止検出部129とを有する。
【0025】
映像データ取得部120は、少なくとも車両の後方を含む車両の周囲を撮影した映像データを取得する。より詳しくは、映像データ取得部120は、前方カメラ210および後方カメラ220が出力した映像データを取得する。
【0026】
バッファメモリ121は、車両用表示制御装置100が備える内部メモリであり、映像データ取得部120が取得した一定時間分の映像データを、更新しながら一時的に記録するメモリである。
【0027】
映像データ処理部122は、バッファメモリ121が一時的に記憶している映像データを、例えばH.264やMPEG-4(Moving Picture Experts Group)などの任意の方式のコーデックで符号化された、例えばMP4形式などの任意のファイル形式に変換する。映像データ処理部122は、バッファメモリ121が一時的に記憶している映像データから、一定時間分のファイルとした映像データを生成する。具体例として、映像データ処理部122は、バッファメモリ121が一時的に記憶している映像データを、記録順に60秒間の映像データを1ファイルとして生成する。映像データ処理部122は、生成した映像データを記録制御部123へ出力する。また、映像データ処理部122は、生成した映像データを表示制御部126へ出力する。ファイルとして生成される映像データの期間は、一例として60秒としたが、これには限定されない。ここで言う映像データとは、映像に加えて音声が含まれたデータであってもよい。
【0028】
記録制御部123は、映像データ処理部122でファイル化された映像データを、記録部230に記録させる制御を行う。記録制御部123は、車両のアクセサリ電源がONであるときなど、ループ記録処理を実行する期間は、映像データ処理部122でファイル化された映像データを、上書き可能な映像データとして、記録部230に記録する。より詳しくは、記録制御部123は、ループ記録処理を実行する期間は、映像データ処理部122が生成した映像データを記録部230に記録し続け、記録部230の容量が一杯になった場合、最も古い映像データに新しい映像データを上書きして記録する。
【0029】
記録制御部123は、イベント検出部127がイベントを検出した場合、イベント検出に起因する期間の映像データをイベント記録データとして保存する。
【0030】
イベントに起因する期間の映像データとは、ループ記録処理が行われている期間においては、イベントが検出された時点の前後所定期間の映像データであり、所定期間の例としては、イベントが検出された時点の前後10秒以上、60秒以下程度の期間である。イベントに起因する期間の映像データとは、ループ記録処理が行われず、イベントが検出されてから撮影を開始する場合は、イベントが検出され撮影が開始されてから、所定期間経過するまでの映像データであり、所定期間の例としては、例えば10秒以上、60秒以下程度の期間である。
【0031】
さらに、イベントに起因する期間を、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データについては、無制限としてもよい。より詳しくは、車両の走行路の進行方向の後方を撮影するカメラは撮影を継続し、車両の走行路の進行方向の後方以外を撮影するカメラは上記期間の経過後に撮影を停止する。
【0032】
また、記録制御部123は、イベント検出部127がイベントを検出した場合、映像データ処理部122が生成した映像データにおける所定の期間の映像データを、上書きが禁止されたイベント記録データとして記録部230に保存する。
【0033】
再生制御部124は、選択されたイベント記録データまたはループ記録データを再生する。再生制御部124は、操作制御部125から出力された選択操作および再生操作の制御信号に基づいて、記録部230に記録されたイベント記録データまたはループ記録データを再生するよう制御する。
【0034】
操作制御部125は、操作部240が受け付けた操作の操作情報を取得する。例えば、操作制御部125は、映像データの手動保存操作を示す保存操作情報、映像データの選択操作を示す選択操作情報、映像データの再生操作を示す再生操作情報、または、映像データの消去操作を示す消去操作情報を取得して制御信号を出力する。例えば、操作制御部125は、ループ記録を終了する操作を示す終了操作情報を取得して制御信号を出力する。
【0035】
表示制御部126は、再生制御部124からの制御信号に基づいて、表示部250における映像データの表示を制御する。表示制御部126は、映像データを表示部250に出力させる映像信号を出力する。より詳しくは、表示制御部126は、再生制御部124が再生した前方カメラ210が撮影している映像、後方カメラ220が撮影している映像、または、記録部230に記録されたイベント記録データまたはループ記録データを表示部250に表示させる。
【0036】
表示制御部126は、状態検出部が車両の所定の状態を検出し、かつ、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、映像データ取得部120が取得した映像データにおける車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部250に表示させる。本実施形態では、表示制御部126は、イベント検出部127が車両に対するイベントを検出し、かつ、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部250に表示させる。
【0037】
表示制御部126は、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、記録制御部123が車両の走行路の進行方向の後方以外の範囲を撮影した映像データを記録している場合であっても、表示部250に車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させる。
【0038】
表示制御部126は、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、イベント検出に起因する期間であっても、表示部250に車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させる。ここでいう、車両の走行路の進行方向とは、車両が停止した状態によって異なってくる。
【0039】
例えば、車両が走行路の進行方向の前方を向いて停止している場合、車両の走行路の進行方向の後方は車両の後方であるため、後方カメラ220が撮影している映像を表示部250に表示させる。例えば、車両が走行路の進行方向に対して後方を向いて停止している場合、車両の走行路の進行方向の後方は車両の前方であるため、前方カメラ210が撮影している映像を表示部250に表示させる。また、例えば、車両が走行路の進行方向に対して斜め方向や横向き方向などを向いて停止している場合などには、前方カメラ210が撮影している映像の一部と後方カメラ220が撮影している映像の一部とを合成して表示部250に表示させてもよい。
【0040】
イベント検出部127は、車両の状態を検出する状態検出部として機能する。本実施形態では、車両に対するイベントの検出によって、車両の状態を検出する。イベント検出部127は、車両に対するイベントを検出する。イベント検出部127が車両に対するイベントを検出する方法は任意であるが、一例としてイベント検出部127は、加速度センサ260の検出結果に基づいて、イベントを検出する。この場合、イベント検出部127は、加速度センサ260が検出した加速度における閾値以上の加速度が検出されると、イベントとして検出する。イベント検出部127がイベントとして検出する加速度は、車両に対する衝撃が検出されるような閾値が設定される。
【0041】
位置情報取得部128は、GPS受信部270が受信した電波に基づいて、車両の現在の位置情報を公知の方法によって算出する。位置情報取得部128が算出した位置情報は、イベント検出部127がイベントを検出した場合、イベント記録データとともに保存される。
【0042】
停止検出部129は、CANインターフェース部280や車両の状態をセンシングする各種センサなどから取得した車両情報に基づいて、車両が停止しているか否かを検出する。本実施形態では、停止検出部129は、イベント検出部127がイベントを検出した後、車両の停止を取得する。車両が停止しているとは、車速がゼロであり、かつすぐに走行開始しない状態をいう。例えば、車速がゼロであり、かつ車両のエンジンなど動力などがオフの状態、ギアがパーキングの状態、パーキングブレーキが動作している状態などである。
【0043】
次に、
図2を用いて、車両用表示制御装置100における処理の流れについて説明する。
図2は、第一実施形態に係る車両用表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ループ記録処理を行う場合について説明する。
【0044】
車両用表示制御装置100は、イベント検出およびループ記録を開始する(ステップS101)。より詳しくは、車両用表示制御装置100は、イベント検出部127によって、加速度センサ260の検出結果に基づいて、イベントを検出する。車両用表示制御装置100は、映像データ処理部122によって、バッファメモリ121に記録された映像データから、所定期間の映像ごとのループ記録映像データを生成する。車両用表示制御装置100は、記録制御部123によって、ループ記録映像データを記録部230に記録させる。車両用表示制御装置100は、ステップS102に進む。
【0045】
車両用表示制御装置100は、表示制御部126によって、表示部250に任意の表示を開始する(ステップS102)。あらかじめ設定された設定情報に基づいて、任意の表示を開始する。例えば、ループ記録処理を行っている間、前方カメラ210が撮影している映像を表示してもよい。例えば、車両の後退時、後方カメラ220が撮影している映像を表示してもよい。例えば、イベント検出時を除いた通常走行時に、表示を行わないようにしてもよい。車両用表示制御装置100は、ステップS103へ進む。
【0046】
車両用表示制御装置100は、イベント検出部127によって、イベントを検出したか否かを判定する(ステップS103)。より詳しくは、車両用表示制御装置100は、イベント検出部127によって、イベントが検出された場合(ステップS103でYes)、ステップS104に進む。車両用表示制御装置100は、イベント検出部127によって、イベントが検出されなかった場合(ステップS103でNo)、ステップS108に進む。
【0047】
イベントが検出された場合(ステップS103でYes)、車両用表示制御装置100は、イベント検出前後の映像データであるイベント記録データを保存する(ステップS104)。より詳しくは、車両用表示制御装置100は、映像データ処理部122によって、記録部230に記録されたループ記録映像データから、少なくともイベントの発生時点を含む映像データをイベント記録データとして生成する。車両用表示制御装置100は、記録制御部123によって、イベント記録データを記録部230に記録して保存する。車両用表示制御装置100は、ステップS105に進む。
【0048】
車両用表示制御装置100は、車両が停止したか否かを判定する(ステップS105)。より詳しくは、車両用表示制御装置100は、停止検出部129によって、車両が停止したと判定する場合(ステップS105でYes)、ステップS106へ進む。このような場合は、例えば、衝突などのイベントが発生したことによって、状況確認をするために、車両を停止させた可能性がある。車両用表示制御装置100は、停止検出部129によって、車両が停止したと判定しない場合(ステップS105でNo)、ステップS108に進む。ステップS105がNoの場合とは、イベント検出部127が加速度センサ260などの情報に基づいてイベントが発生したと判断しているが、実際にはイベントではないため、車両の運転者は、車両の走行を継続している場合である。また、ステップS105の判断は、イベントが検出されてから所定期間内に車両が停止したか否かを判定することとしてもよい。所定期間は、イベントの発生に基づいて車両を停止させるまでの期間であり、例えば60秒などである。
【0049】
車両用表示制御装置100は、表示制御部126によって、表示部250に走行路の後方の映像データの表示を開始する(ステップS106)。例えば、車両が走行時と同じ前向きで停止している場合、後方カメラ220が撮影している映像データの表示を開始する。例えば、車両がイベントの衝撃によって回転して、後ろ向きで停止している場合、前方カメラ210が撮影している映像の表示を開始する。また、例えば、車両がイベントの衝撃によって回転して停止している場合などには、前方カメラ210が撮影している映像データの一部と後方カメラ220が撮影している映像データの一部とを合成した映像データの表示を開始する。車両用表示制御装置100は、ステップS108へ進む。
【0050】
車両用表示制御装置100は、走行路の後方の映像データの表示を終了するか否かを判定する(ステップS107)。より詳しくは、車両用表示制御装置100は、後方の映像データの表示を開始してから所定時間以上が経過した場合、または、車両の車速がゼロ以上になった場合、後方の映像データの表示を終了すると判定して(ステップS107でYes)、ステップS108へ進む。車両用表示制御装置100は、後方の映像データの表示を開始してから所定時間以上が経過していない場合、かつ、車両の車速がゼロである場合、後方の映像データの表示を終了しないと判定した場合(ステップS107でNo)、ステップS107の処理を再度実行する。
【0051】
車両用表示制御装置100は、イベント検出およびループ記録を終了するか否かを判定する(ステップS108)。より詳しくは、車両用表示制御装置100は、操作制御部125によって、終了操作情報が出力されると、イベント検出およびループ記録を終了すると判定して(ステップS108でYes)、処理を終了する。車両用表示制御装置100は、操作制御部125によって、終了操作情報が出力されていないと、イベント検出およびループ記録を終了しないと判定して(ステップS108でNo)、ステップS102の処理を再度実行する。
【0052】
このように、表示制御部126は、車両の所定の状態を検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させる。より詳しくは、表示制御部126は、イベント検出部127が車両に対するイベントを検出し、かつ、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、映像データ取得部120が取得した映像データにおける車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部250に表示させる。
【0053】
上述したように、本実施形態では、表示制御部126によって、車両の所定の状態を検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させることができる。より詳しくは、本実施形態によれば、表示制御部126によって、イベント検出部127が車両に対するイベントを検出し、かつ、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、映像データ取得部120が取得した映像データにおける車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部250に表示させることができる。このようにして、本実施形態によれば、車両の周囲を適切に確認可能にすることができる。
【0054】
本実施形態では、例えば、車両が走行時と同じ前向きで停止している場合、走行路の後方の映像データとして後方カメラ220が撮影している映像データを表示部250に表示させることができる。本実施形態では、例えば、車両がイベントの衝撃によって回転して、後ろ向きで停止している場合、走行路の後方の映像データとして前方カメラ210が撮影している映像データを表示部250に表示させることができる。また、本実施形態では、例えば、車両がイベントの衝撃によって回転して停止している場合などには、前方カメラ210が撮影している映像の一部と後方カメラ220が撮影している映像の一部とを合成した映像データを表示部250に表示させることができる。このように、本実施形態では、車両が停止したときに、車両の乗員に、走行路の後方、つまり後続車が向かってくる方向を適切に確認させることができる。
【0055】
上述した実施形態においては、車両が走行してきた走行路の後方を撮影した映像データを表示させる例として説明した。イベントの衝撃で車両が対向車線など、車両が走行してきた走行路とは走行する向きが異なる走行路、つまり対向車線などで停止した場合、位置情報取得部128が算出した位置情報に基づいて、走行路の進行方向を判断してもよい。例えば、車両が対向車線の走行路で、走行時と反対の向きで停止している場合、走行路の後方の映像データとして後方カメラ220が撮影している映像データを表示部250に表示させる。同様に、車両が対向車線の走行路で、走行時と同じ向きで停止している場合、走行路の後方の映像データとして前方カメラ210が撮影している映像データを表示部250に表示させる。車両の停止位置が、走行路における車両が走行してきた車線上であるか、他の車線上であるかの判断は、位置情報に基づき地図情報を参照して判断してもよい。また、車両の向きは、例えば図示しない磁気センサによる車両が向いている方角と地図情報とに基づいて判断する。
【0056】
本実施形態は、車両に対するイベントを検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、記録制御部123が車両の走行路の進行方向の後方以外の範囲を撮影した映像データを記録している場合であっても、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させることができる。また、本実施形態は、車両に対するイベントを検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、イベント検出に起因する期間であっても、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示させることができる。本実施形態によれば、車両が停止したときに、記録している映像データによらず、車両の乗員に、走行路の後方を適切に確認させることができる。
【0057】
本実施形態によれば、例えば、車両が安全な位置に退避できていない場合でも、乗員が車外に出る際の安全性の確保を支援することができる。これにより、本実施形態は、車外に出た乗員が後続車両に接触されるという二次被害に遭う可能性を低減することができる。
【0058】
[第二実施形態]
図3、
図4を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置10Aについて説明する。
図3は、第二実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図4は、第二実施形態に係る車両用表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置10Aは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置10と同様である。以下の説明においては、車両用撮影装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。車両用撮影装置10Aは、認識辞書記憶部280Aと、他車両検出部130Aとを備える点と、表示制御部126Aにおける処理とが第一実施形態と異なる。
【0059】
認識辞書記憶部280Aは、例えば、様々な車両の正面視の形状、大きさ、色などのパターンを機械学習させて照合可能な認識辞書データを記憶している。認識辞書記憶部280Aは、例えば、RAM、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、ネットワークを介した外部記憶装置などの記憶装置である。
【0060】
他車両検出部130Aは、映像データから、他車両を検出する。本実施形態では、他車両検出部130Aは、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データに車両認識処理を行い、走行路の後方から近接する他車両を検出する。より詳しくは、他車両検出部130Aは、後方を撮影した映像データに対して、認識辞書記憶部280Aが記憶している認識辞書データを用いたパターンマッチングを行い、走行路の後方から近接する他車両の存在を検出する。他車両検出部130Aは、検出した他車両を画像処理で追尾する。
【0061】
例えば、車両が走行路の進行方向の前方を向いて停止している場合、後方カメラ220が撮影している映像データに車両認識処理を行い、走行路の後方から近接する他車両を検出する。例えば、車両が走行路の進行方向の後方を向いて停止している場合、前方カメラ210が撮影している映像データに車両認識処理を行い、走行路の後方から近接する他車両を検出する。また、例えば、車両が走行路の進行方向に対して傾いて停止している場合などには、前方カメラ210が撮影している映像データおよび後方カメラ220が撮影している映像データに車両認識処理を行い、走行路の後方から近接する他車両を検出してもよい。
【0062】
表示制御部126Aは、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、映像データ取得部120が取得した映像データのうち車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データ、および他車両が検出された場合は検出された他車両を示す情報を表示部250に表示させる。
【0063】
例えば、表示制御部126Aは、検出した他車両を囲う枠を後方の映像データに重ね合わせて表示してもよい。例えば、表示制御部126Aは、後方の映像データにおいて検出した他車両の近傍に吹き出しを表示してもよい。
【0064】
次に、
図4を用いて、車両用表示制御装置100Aにおける処理の流れについて説明する。ステップS111ないしステップS116、ステップS119、ステップS120における処理は、
図2に示すフローチャートのステップS101ないしステップS106、ステップS107、ステップS108と同様の処理を行う。
【0065】
車両用表示制御装置100Aは、他車両検出部130Aによって、後方に他車両を検出したか否かを判定する(ステップS117)。より詳しくは、車両用表示制御装置100Aは、他車両検出部130Aによって、車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データに車両認識処理を行い、走行路の後方から近接する他車両を検出したか否かを判定する。車両用表示制御装置100Aは、他車両検出部130Aによって、後方に他車両を検出したと判定する場合(ステップS117でYes)、ステップS118へ進む。車両用表示制御装置100Aは、他車両検出部130Aによって、後方に他車両を検出しない場合(ステップS117でNo)、ステップS119へ進む。
【0066】
車両用表示制御装置100Aは、表示制御部126Aによって、走行路の後方の映像データに他車両を示す情報を重ね合わせて表示部250に表示する(ステップS118)。
【0067】
このように、表示制御部126Aは、車両の所定の状態を検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、さらに、走行路の後方から近接する他車両を検出した場合、走行路の後方を撮影した映像データを表示させる。より詳しくは、表示制御部126Aは、イベント検出部127が車両に対するイベントを検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、さらに、走行路の後方から近接する他車両を検出した場合、走行路の後方を撮影した映像データを表示させる。
【0068】
上述したように、本実施形態では、車両の所定の状態を検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、さらに、走行路の後方から近接する他車両を検出した場合、走行路の後方を撮影した映像データを表示させることができる。より詳しくは、本実施形態によれば、車両に対するイベントを検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、さらに、走行路の後方から近接する他車両を検出した場合、走行路の後方を撮影した映像データを表示させることができる。
【0069】
[第三実施形態]
図5、
図6を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置10Bについて説明する。
図5は、第三実施形態に係る車両用撮影装置の構成例を示すブロック図である。
図6は、第三実施形態に係る車両用表示制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置10Bは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置10と同様である。車両用撮影装置10Bは、車内カメラ290Bと視界良否検出部131Bとを備える点と、映像データ取得部120Bと表示制御部126Bとにおける処理とが第一実施形態と異なる。
【0070】
前方カメラ210Bは、車両の車体の外周前方に配置されている。前方カメラ210Bは、車両の車室外に配置されている。
【0071】
後方カメラ220Bは、車両の車体の外周後方に配置されている。後方カメラ220Bは、車両の車室外に配置されている。
【0072】
車内カメラ290Bは、車両の車室内から車両のウィンドシールドやリヤウィンドウを介して車外を撮影するカメラである。車内カメラ290Bは、例えば、車室内前方または後方に配置されている。車内カメラ290Bは、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり車両が動作している間は、映像を常時撮影する。本実施形態では、車内カメラ290Bは、車両のアクセサリ電源がONである間、映像を常時撮影する。車内カメラ290Bは、撮影した映像データを車両用表示制御装置100Bの映像データ取得部120Bへ出力する。映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
【0073】
映像データ取得部120Bは、前方カメラ210B、後方カメラ220B、および、車内カメラ290Bが出力した映像データを取得する。
【0074】
視界良否検出部131Bは、車両の状態を検出する状態検出部として機能する。本実施形態では、車両のウィンドシールドの視界不良の検出によって、車両の状態を検出する。より詳しくは、視界良否検出部131Bは、車内カメラ290Bが撮影した映像データに基づいて、例えば、ウィンドシールドが雪、雨、霜などによって全面がくもり、視界が不良であることを検出されると、イベントとして検出する。視界良否検出部131Bは、車両の乗員が、車両の後方を視認するときの視界の良否を検出する。このため、視界良否検出部131Bは、車両のリヤウィンドウを介して車両の後方を撮影する車内カメラ290Bの映像データに基づいて視界不良を検出する場合は、検出結果に基づいて視界不良であることを検出し、車両のウィンドシールドを介して車両の前方を撮影する車内カメラ290Bの映像データに基づいて視界不良を検出する場合は、検出結果に基づいて視界不良であるとみなすことで検出する。
【0075】
視界良否検出部131Bは、車内カメラ290Bが撮影した映像データを分析して、視界の良否を検出する。視界良否検出部131Bは、例えば、車内カメラ290Bが撮影した映像データの色分布を取得し、例えば、ウィンドシールドに積雪があるときや、ウィンドシールドにくもりがある場合の色分布に該当する色分布の場合に、視界不良であることを検出する。また、ウィンドシールドに積雪があるときや、ウィンドシールドのくもりがある場合の映像を機械学習させたデータとの対比によって検出してもよい。
【0076】
表示制御部126Bは、状態検出部としての視界良否検出部131Bがウィンドシールドの視界の不良を検出し、かつ、停止検出部129が車両の停止を検出した場合、映像データ取得部120Bが取得した映像データにおける車両の走行路の進行方向の後方を撮影した映像データを表示部250に表示させる。
【0077】
次に、
図6を用いて、車両用表示制御装置100Bにおける処理の流れについて説明する。ステップS131、ステップS132、およびステップS134ないしステップS136における処理は、
図2に示すフローチャートのステップS102、ステップS105およびステップS106ないしステップS107と同様の処理を行う。
【0078】
車両用表示制御装置100Bは、表示制御部126Bによって、表示部250に任意の表示を開始する(ステップS131)。次に、車両用表示制御装置100Bは、車両が停止したか否かを判定する(ステップS132)。車両用表示制御装置100Bは、停止検出部129によって、車両が停止したと判定する場合(ステップS132でYes)、ステップS133へ進む。このような場合は、例えば、任意の理由で車両を停止させ、乗員が車外に出る可能性のある場合である。車両用表示制御装置100Bは、停止検出部129によって、車両が停止したと判定しない場合(ステップS132でNo)、ステップS136に進む。
【0079】
車両用表示制御装置100Bは、視界良否検出部131Bによって、ウィンドシールドの視界の不良を検出したか否かを判定する(ステップS133)。より詳しくは、車両用表示制御装置100Bは、視界良否検出部131Bによって、ウィンドシールドの視界の不良が検出された場合(ステップS133でYes)、ステップS134に進む。車両用表示制御装置100Bは、視界良否検出部131Bによって、ウィンドシールドの視界の不良が検出されなかった場合(ステップS133でNo)、ステップS136に進む。
【0080】
ウィンドシールドの視界の不良が検出された場合(ステップS133でYes)、車両用表示制御装置100Bは、表示部250に走行路の後方の映像データの表示を開始する(ステップS134)。
【0081】
このように、表示制御部126Bは、視界良否検出部131Bがウィンドシールドの視界不良を検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、走行路の後方を撮影した映像データを表示させる。
【0082】
上述したように、本実施形態では、視界良否検出部131Bがウィンドシールドの視界不良を検出し、かつ、車両の停止を検出した場合、走行路の後方を撮影した映像データを表示させることができる。
【0083】
本実施形態によれば、例えば、降雪などによって車両のウィンドシールドの視界が不良である場合でも、乗員が車外に出る際の安全性の確保を支援することができる。これにより、本実施形態は、車外に出た乗員が後続車両に接触されるという二次被害に遭う可能性を低減することができる。
【0084】
これまで本発明に係る車両用撮影装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0085】
図示した車両用撮影装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0086】
車両用撮影装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0087】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0088】
上記では、ループ記録処理を行う場合について説明したが、イベントが検出されてから撮影を開始する場合についても同様である。
【0089】
上記では、前方と後方とをそれぞれ撮影可能な2つのカメラとして説明したが、これに限定されず、360°の全天周を撮影可能なカメラ、または、各方向をそれぞれ撮影する複数のカメラ群であってもよい。カメラが全天周を撮影可能である場合、車両の進行方向の後方に対応する表示範囲で切り出した映像データを表示してもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 車両用撮影装置
100 車両用表示制御装置
110 バス
120 映像データ取得部
121 バッファメモリ
122 映像データ処理部
123 記録制御部
124 再生制御部
125 操作制御部
126 表示制御部
127 イベント検出部(状態検出部)
128 位置情報取得部
129 停止検出部
210 前方カメラ
220 後方カメラ(撮影部)
230 記録部
240 操作部
250 表示部
260 加速度センサ
270 GPS受信部
280 CANインターフェース部