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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20230530BHJP
   B66C 23/693 20060101ALI20230530BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B66F9/06 L
B66C23/693 L
B66F11/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019050985
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020152491
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 輝
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-276796(JP,A)
【文献】実開平06-063586(JP,U)
【文献】特開2016-003103(JP,A)
【文献】特開2016-160023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/06;
11/04
B66C 23/693
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入れ子式に格納される、ベースブーム、1段以上の中間ブーム及びトップブームからなる3段以上の伸縮ブームに内蔵され、ピストンロッドとシリンダチューブとを有し、前記ピストンロッドの先端が前記ベースブームの基端側に固定され、前記シリンダチューブの、前記ピストンロッドが突出する突出基端が2段目のブームの基端側に固定される伸縮シリンダと、
前記シリンダチューブに沿って摺動自在に設けられた基端シーブアセンブリと、
前記シリンダチューブの、前記突出基端とは反対側の基端に固定されたシリンダ基端アセンブリと、
前記伸縮ブームの基端側から先端側まで延びて配索された配線及び配管と、を一体的に備え、
前記基端シーブアセンブリは、前記シリンダチューブに沿って摺動するとともに、3段目のブームの基端側に固定されるシリンダ摺動部材と、前記シリンダ摺動部材に固定されて、少なくとも前記配線及び前記配管を掛け回す基端シーブと、を有し、
前記シリンダ基端アセンブリは、前記シリンダチューブの基端に固定されたベース部材と、前記ベース部材に固定されて、前記配線及び前記配管を掛け回すシリンダ固定シーブと、を有し、
前記ベースブーム及び前記伸縮シリンダに固定された前記ブームを除いた他のブームが、前記伸縮シリンダの伸縮動作に連動して伸縮するように掛け回された少なくとも1本のワイヤロープをさらに備え、
前記シリンダ固定シーブは、少なくとも1本のワイヤロープをさらに掛け回すものであり、
前記基端シーブアセンブリは、一体的に備えた前記ワイヤロープの索端を固定する索端止め部材を備えている、伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリ。
【請求項2】
前記基端シーブアセンブリは、一体的に備えた前記配線及び前記配管が振れるのを抑制する振れ止め部材を備えている請求項1に記載の伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリ。
【請求項3】
前記シリンダ基端アセンブリは、一体的に備えた前記配線及び前記配管が振れるのを抑制する振れ止め部材を備えている請求項1又は2に記載の伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリ。
【請求項4】
前記シリンダ基端アセンブリは、前記伸縮ブームが縮んだ状態で、少なくとも前記トップブームの底板の内面に接して転がるように回転する支持ローラを備えている請求項1から3のうちいずれか1項に記載の伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮ブームに組み込まれる伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車は、伸縮ブームの先端に、高所での作業を行う作業者が載るバケットが設けられている。そして、バケットに載った作業者が種々の作業を行うために、伸縮ブームの基端側からバケットまで、電力供給用の配線や、油圧等供給用の配管が配索されている。これらの配線や配管は、伸縮ブームの伸縮に応じて、弛んだり張りすぎたりしないように配索する必要がある。
【0003】
また、配線や配管の交換が必要となったときは、伸縮ブームを分解して配線や配管を取り外す必要があり、作業が煩雑であった。
【0004】
そこで、伸縮ブームを伸縮させるために伸縮ブームに内蔵される伸縮シリンダに、配線や配管、伸長用のワイヤロープを予め組み付けてアセンブリ化した伸縮シリンダアセンブリが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平6-63586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された伸縮シリンダアセンブリは、伸縮シリンダアセンブリの着脱の際に、配線や配管(以下、配線等という。)を張っておくための仮支持部材を伸縮シリンダの基端部材に取り付ける必要がある。すなわち、配線等が掛け回され、かつワイヤロープが固定された、第3ブームに固定される第2シーブを、伸縮シリンダとともに伸縮ブームに着脱するために、第2シーブを着脱の際だけ支持させる仮支持部材を、伸縮シリンダアセンブリの基端部材に取り付ける必要がある。この仮支持部材は、伸縮シリンダアセンブリが伸縮ブームに取り付けられた状態では、伸縮ブームの伸長動作の妨げとなるため、基端部材から取り外される。
【0007】
つまり、第2シーブは、着脱の際はどこにも支持されない状態となるため、第2シーブを支持するための仮支持部材を基端部材に取り付ける必要があり、一方、取り付け後の状態では、仮支持部材を基端部材から取り外す必要がある。
【0008】
したがって、配線等の交換などのために伸縮シリンダアセンブリを着脱する際は、常に、仮支持部材の着脱という煩雑な操作を伴う。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、仮支持部材の着脱という煩雑な操作を行うことなく着脱することができる、伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、入れ子式に格納される、ベースブーム、1段以上の中間ブーム及びトップブームからなる3段以上の伸縮ブームに内蔵され、ピストンロッドとシリンダチューブとを有し、前記ピストンロッドの先端が前記ベースブームの基端側に固定され、前記シリンダチューブの、前記ピストンロッドが突出する突出基端が2段目のブームの基端側に固定される伸縮シリンダと、前記シリンダチューブに沿って摺動自在に設けられた基端シーブアセンブリと、前記シリンダチューブの、前記突出基端とは反対側の基端に固定されたシリンダ基端アセンブリと、前記伸縮ブームの基端側から先端側まで延びて配索された配線及び配管と、を一体的に備え、前記基端シーブアセンブリは、前記シリンダチューブに沿って摺動するとともに、3段目のブームの基端側に固定されるシリンダ摺動部材と、前記シリンダ摺動部材に固定されて、少なくとも前記配線及び前記配管を掛け回す基端シーブと、を有し、前記シリンダ基端アセンブリは、前記シリンダチューブの基端に固定されたベース部材と、前記ベース部材に固定されて、前記配線及び前記配管を掛け回すシリンダ固定シーブと、を有し、前記ベースブーム及び前記伸縮シリンダに固定された前記ブームを除いた他のブームが、前記伸縮シリンダの伸縮動作に連動して伸縮するように掛け回された少なくとも1本のワイヤロープをさらに備え、前記シリンダ固定シーブは、少なくとも1本のワイヤロープをさらに掛け回すものであり、前記基端シーブアセンブリは、一体的に備えた前記ワイヤロープの索端を固定する索端止め部材を備えている、伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリによれば、仮支持部材の着脱という煩雑な操作を行うことなく、伸縮シリンダアセンブリを伸縮ブームに着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る伸縮シリンダアセンブリが内蔵された伸縮ブームを有する高所作業車を示す模式図である。
図2図1の伸縮ブームの要部を示す斜視図である。
図3図2に示した伸縮ブームを伸縮させる伸縮シリンダ及び伸縮シリンダの伸縮動作に連動するようにブーム間に配索された5本のワイヤロープの配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
図4図2に示した伸縮ブームのベースブームの基端側とトップブームの先端側との間に掛け回されて配索された配線等(配線及び配管)の配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
図5】伸縮シリンダアセンブリを示す斜視図である。
図6図5に示したシリンダ基端アセンブリを示す詳細側面図である。
図7図5に示した第2基端シーブアセンブリを示す詳細斜視図である。
図8】全縮状態の伸縮ブームに伸縮シリンダアセンブリを組み込む様子を示す模式図である。
図9】伸縮ブームに伸縮シリンダアセンブリを組み込んだ状態を示す模式図である。
図10図3のワイヤロープとは異なる配索経路のワイヤロープの配索経路を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図であり、実施形態の一変形例である。
図11】6つのブームが入れ子式に収容されて、それぞれのブームが軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブームに組み込まれた伸縮シリンダアセンブリで、7本のワイヤロープの配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
図12】6つのブームが入れ子式に収容されて、それぞれのブームが軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブームに組み込まれた伸縮シリンダアセンブリで、配線等の配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
図13】3つのブームが入れ子式に収容されて、それぞれのブームが軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブームに組み込まれた伸縮シリンダアセンブリで、2本のワイヤロープの配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
図14】3つのブームが入れ子式に収容されて、それぞれのブームが軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブームに組み込まれた伸縮シリンダアセンブリで、配線等の配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
図15】4つのブームが入れ子式に収容されて、それぞれのブームが軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブームに組み込まれた伸縮シリンダアセンブリで、4本のワイヤロープの配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
図16】4つのブームが入れ子式に収容されて、それぞれのブームが軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブームに組み込まれた伸縮シリンダアセンブリで、配線等の配索状態を、伸縮ブームが伸長した状態で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリの具体的な実施形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
<実施形態>
(高所作業車の構成)
図1は本発明に係る伸縮シリンダアセンブリ90が内蔵された伸縮ブーム10を有する高所作業車1を示す模式図、図2図1の伸縮ブーム10の要部を示す斜視図、図3図2に示した伸縮ブーム10を伸縮させる伸縮シリンダ50及び伸縮シリンダ50の伸縮動作に連動するようにブーム11,12,13,14,15間に配索された5本のワイヤロープ21,22,23,24,25の配索状態を、伸縮ブーム10が伸長した状態で示す模式図である。
【0015】
また、図4図2に示した伸縮ブーム10のベースブーム11の基端側とトップブーム15の先端側との間に掛け回されて配索された配線等(配線及び配管)41の配索状態を、伸縮ブーム10が伸長した状態で示す模式図である。
【0016】
図1に示した高所作業車1は、車両の荷台2上に、荷台2に対して起伏及び旋回するとともに軸C方向に伸縮する伸縮ブーム10が設けられ、伸縮ブーム10の伸長側の先端に、作業者が載るバケット8が設けられたものである。
【0017】
伸縮ブーム10は、荷台2に対して荷台面に対して旋回自在の旋回台4上に設けられている。旋回台4には、基部ブラケット5が設置され、伸縮ブーム10の基端(図2において、伸縮ブーム10の軸C方向のうち基部ブラケット5に向かう方向(基端方向B)の端部)が、この基部ブラケット5に、鉛直面内で揺動自在に支持されている。
【0018】
そして、同じく基部ブラケット5に一端が保持され、他端が伸縮ブーム10の基端よりも前方(伸縮ブーム10の軸C方向(長手方向)の先端に向かう方向(先端方向F))の部分に保持された起伏シリンダ6が伸縮することで、伸縮ブーム10は、基端を回転中心として回転することで、荷台2に対して起伏する。
【0019】
伸縮ブーム10は、図2に示すように、例えば、5つのブーム11,12,13,14,15が入れ子式に収容されて、それぞれのブーム12~15が軸C方向の先端方向Fに突出することで伸長する構成となっている。この伸縮ブーム10を構成している5つのブーム11~15は、基部ブラケット5に直接支持された最外側のベースブーム11と、ベースブーム11の直近の内側に収容される第1中間ブーム12と、第1中間ブーム12の直近の内側に収容される第2中間ブーム13と、第2中間ブーム13の直近の内側に収容される第3中間ブーム14と、第3中間ブーム14の内側に収容されるトップブーム15とで構成されている。
【0020】
伸縮ブーム10は、外側から内側に向かう順に、ベースブーム11、第1中間ブーム12、第2中間ブーム13、第3中間ブーム14、トップブーム15の配置となっている。
【0021】
各ブーム12~15が、相対的に外側のブーム(外側ブーム)に最も長く収容された状態で、伸縮ブーム10は長さが最短(全縮)となる。そして、この全縮の状態から、ベースブーム11を除いた他のブーム12~15が、それぞれの外側のブームに対して、先端方向Fに突出することで、軸C方向に伸長する。
【0022】
伸縮ブーム10には、図3に示すように、伸縮シリンダ50と、5本のワイヤロープ21,22,23,24,25とが設けられていて、伸縮シリンダ50の伸縮動作に連動して、ワイヤロープ21~25によって連結されたブーム11,12,13,14,15が軸方向に相対的に変位することで、同時に突出又は同時に収容されて、伸縮ブーム10は伸び又は縮む。伸縮シリンダ50とワイヤロープ21~25の配索の詳細は後述する。
【0023】
バケット8は、図1に示すように、伸縮ブーム10の格納状態(起伏角度が最小、伸縮長さが全縮、旋回方向が前方やや右向きとなる基準位置で、車両のキャビン3の上前方に配置された状態となっている。なお、高所作業車1は、伸縮ブーム10の起伏角度、伸縮ブーム10の伸縮状態、伸縮ブーム10の旋回角度に拘わらず、バケット8を水平に維持する機構(図示せず)を備えている。
【0024】
また、高所作業車1は、荷台の前部と後部とにそれぞれ、車両の幅方向に張り出して、路面に設置されるアウトリガ7,7を備えている。前後の各アウトリガ7は、伸縮ブーム10の起伏状態、伸縮状態及び旋回状態に応じて適切な長さに張り出され、車両の走行時は、路面から上昇して離れる。
【0025】
(伸縮シリンダ、ワイヤロープ、配線及び配管)
伸縮シリンダ50は、図3に示すように、伸縮ブーム10の長手方向に沿って、伸縮ブーム10の内部に設けられている。伸縮シリンダ50は、シリンダチューブ52と、ピストンロッド51とが組み合わせて構成され、供給される油圧によって、シリンダチューブ52に対してピストンロッド51が出入りすることで伸縮する。
【0026】
伸縮シリンダ50は、シリンダチューブ52の全長が第1中間ブーム12とほぼ同じ長さに形成され、ピストンロッド51の全長がベースブーム11とほぼ同じ長さに形成されている。
【0027】
シリンダチューブ52の、ピストンロッド51が突出する側の端部である突出端部52aは、第1中間ブーム12の基端部12aに固定され、ピストンロッド51の、シリンダチューブ52から突出した側の先端部51aは、ベースブーム11の基端部11aに固定されている。
【0028】
そして、シリンダチューブ52の内部にピストンロッド51の大部分が収容された伸縮シリンダ50の全縮状態で、第1中間ブーム12はベースブーム11の内部に完全に収容された全縮状態となる。一方、ピストンロッド51の大部分がシリンダチューブ52の突出端部52aから外部に突出した伸縮シリンダ50の全伸状態で、第1中間ブーム12のほぼ全長がベースブーム11の内部から突出した全伸状態となる。
【0029】
なお、シリンダチューブ52の基端部(突出端部52aとは反対側(前方F側)の端部)52bには、シーブ53(以下、シリンダ固定シーブ53という。)が固定されていて、このシリンダ固定シーブ53は、伸縮ブーム10の軸方向における第1中間ブーム12の先端部12b付近に位置する。
【0030】
また、第1中間ブーム12の内側の基端部12aにはシーブ71(以下、第1基端シーブ71という。)が設けられ、第1中間ブーム12の外側の先端部12bには別のシーブ72(以下、第1先端シーブ72という。)が設けられている。
【0031】
また、第2中間ブーム13の内側の基端部13aにはシーブ73(以下、第2基端シーブ73という。)が設けられ、第2中間ブーム13の外側の先端部13bには別のシーブ74(以下、第2先端シーブ74という。)が設けられている。
【0032】
また、第3中間ブーム14の外側の先端部14bにはシーブ75(以下、第3先端シーブ75という。)が設けられ、トップブーム15の外側の基端部15aには別のシーブ76(以下、トップ基端シーブ76という。)が設けられている。
【0033】
そして、ワイヤロープ21~25のうち、伸縮シリンダ50の伸びに連動して第2中間ブーム13を第1中間ブーム12から突出させる第2中間ブーム伸びワイヤロープ21は、一端がベースブーム11の先端部11bに固定され、トップブーム15の方向に延びて、第1先端シーブ72に掛け回されて折り返し、他端が第2中間ブーム13の基端部13aに固定されている。
【0034】
また、ワイヤロープ21~25のうち、伸縮シリンダ50の縮みに連動して第2中間ブーム13を第1中間ブーム12に収容する第2中間ブーム縮みワイヤロープ22は、一端がベースブーム11の先端部11bに固定され、ベースブーム11の基端部11aの方向に延びて、第1基端シーブ71に掛け回されて折り返し、他端が第2中間ブーム13の基端部13aに固定されている。
【0035】
また、ワイヤロープ21~25のうち、伸縮シリンダ50の伸びに連動して第3中間ブーム14を第2中間ブーム13から突出させる第3中間ブーム伸びワイヤロープ23は、一端が第1中間ブーム12の基端部12aに固定され、トップブーム15の方向に延びて、第2先端シーブ74に掛け回されて折り返し、他端が第3中間ブーム14の基端部14aに固定されている。
【0036】
また、ワイヤロープ21~25のうち、伸縮シリンダ50の縮みに連動して第3中間ブーム14を第2中間ブーム13に収容する第3中間ブーム縮みワイヤロープ24は、一端が第1中間ブーム12の基端部12aに固定され、トップブーム15の方向に延びて、第3先端シーブ75に掛け回されて折り返し、さらにトップ基端シーブ76に掛け回されて折り返し、他端が第3先端シーブ75に固定されている。
【0037】
なお、第3中間ブーム縮みワイヤロープ24は、伸縮シリンダ50の伸びに連動してトップブーム15を第3中間ブーム14から突出させるトップブーム伸びワイヤロープも兼ねているため、以下、第3中間ブーム縮みワイヤロープ24をトップブーム伸びワイヤロープ24ということもある。
【0038】
また、ワイヤロープ21~25のうち、伸縮シリンダ50の縮みに連動してトップブーム15を第3中間ブーム14に収容するトップブーム縮みワイヤロープ25は、一端が第2中間ブーム13の基端部13aに固定され、トップブーム15の方向に延びて、シリンダ固定シーブ53に掛け回されて折り返し、さらに第2基端シーブ73に掛け回されて折り返し、他端がトップブーム15の基端部15aに固定されている。
【0039】
以上のように伸縮シリンダ50と5本のワイヤロープ21~25とが配索されていることにより、まず、伸縮シリンダ50の伸びに応じて、第1中間ブーム12がベースブーム11から突出する。
【0040】
この第1中間ブーム12の突出の動作に連動して、第1中間ブーム伸びワイヤロープ21により、第2中間ブーム13が第1中間ブーム12から突出する。この第2中間ブーム13の突出の動作に連動して、第2中間ブーム伸びワイヤロープ23により、第3中間ブーム14が第2中間ブーム13から突出する。この第3中間ブーム14の突出の動作に連動して、トップブーム伸びワイヤロープ24により、トップブーム15が第3中間ブーム14から突出する。
【0041】
このように、伸縮シリンダ50及び5本のワイヤロープ21~25により、伸縮ブーム10は、全体が同時に伸びる。
【0042】
一方、まず、伸縮シリンダ50の縮みに応じて、第1中間ブーム12がベースブーム11に収容される。
【0043】
この第1中間ブーム12の収容の動作に連動して、第1中間ブーム縮みワイヤロープ22により、第2中間ブーム13が第1中間ブーム12に収容される。この第2中間ブーム13の収容の動作に連動して、トップブーム縮みワイヤロープ25により、トップブーム15が第3中間ブーム14に収容される。このトップブーム15の収容の動作に連動して、第3中間ブーム縮みワイヤロープ24により、第3中間ブーム14が第2中間ブーム13に収容される。
【0044】
このように、伸縮シリンダ50及び5本のワイヤロープ21~25により、伸縮ブーム10は、全体が同時に縮む。
【0045】
また、高所作業車1は、バケット8に載った作業者が種々の作業を行うために、伸縮ブーム10の基端部(ベースブーム11の基端部11a)からバケット8まで、電力供給用の配線や油圧等供給用の配管が配索されている。つまり、これら配線及び配管(以下、これらの配線と配管とをまとめて配線等41という。)は、ベースブーム11の基端部11aとトップブーム15の先端部15bとの間に掛け回されて配索されている。
【0046】
具体的には、配線等41は、図4に示すように、ベースブーム11の基端部11aからトップブーム15の方向に延びて、ベースブーム11の先端部11bで折り返し、第1基端シーブ71に掛け回されて折り返し、シリンダ固定シーブ53に掛け回されて折り返し、第2基端シーブ73に掛け回されて折り返し、トップブーム15の先端部15bに達して配索されている。
【0047】
このように、配線等41が配索されていることにより、リール等を用いた巻取りや巻解きを行わなくても、配線等41は、伸縮ブーム10の伸縮に追従して、突っ張ったり弛んだりすることのない配索状態を維持することができる。
【0048】
しかも、配線等41の配索経路のうち、第1基端シーブ71に掛け回されてトップブーム15の方向に折り返し、第2中間ブーム13の基端部13aに至る経路は、第1中間ブーム縮みワイヤロープ22の配索経路と同じ経路となり、かつ、第2中間ブームの13の基端部13aからトップブーム15の方向に延びて、シリンダ固定シーブ53に掛け回して折り返し、第2基端シーブ73に掛け回して折り返してトップブーム15に至る経路は、トップブーム縮みワイヤロープ25の配索経路と同じ経路となっている。
【0049】
このように配線等41の経路の少なくとも一部を、ワイヤロープ21~25の配索経路と同じ経路とすることにより、伸縮ブーム10の伸縮機構(伸縮シリンダ50及びワイヤロープ21~25の配索)と配線等41の配索経路を簡略化することができる。
【0050】
(伸縮シリンダアセンブリの構成)
図5は伸縮シリンダアセンブリ90を示す斜視図である。なお、図5において、伸縮シリンダアセンブリ90の全長が長いため、鉛直方向に伸びた2本の一点鎖線で挟まれた長手方向の中間部分は記載を省略した。
【0051】
図6図5に示したシリンダ基端アセンブリ86を示す詳細側面図であり、図7図5に示した第2基端シーブアセンブリ80を示す詳細斜視図である。
【0052】
ここで、本実施形態の伸縮シリンダアセンブリ90は、伸縮ブーム10に内蔵され、伸縮シリンダ50と、シリンダチューブ52の基端部52bに固定されたシリンダ基端アセンブリ86と、シリンダチューブ52の外周面に沿って配置され、シリンダチューブ52の軸C方向に摺動自在に設けられた第2基端シーブアセンブリ80(基端シーブアセンブリ)と、配線等41と、トップブーム縮みワイヤロープ25とが、一体化可能に構成されている。
【0053】
すなわち、伸縮シリンダ50と、シリンダ基端アセンブリ86と、第2基端シーブアセンブリ80と、配線等41と、トップブーム縮みワイヤロープ25とは、伸縮ブーム10に組み込まれる際、及び伸縮ブーム10から取り外される際に、一体化されて伸縮シリンダアセンブリ90を形成する。
【0054】
シリンダ基端アセンブリ86は、図5に示すように、伸縮シリンダ50のシリンダチューブ52の基端部52bに固定されている。シリンダ基端アセンブリ86は、図6に示すように、ベース部材87と、シリンダ固定シーブ53と、2つのサポートシーブ88a,88bと、支持ローラ89と、配線等振れ止め部材87aとを備えている。
【0055】
ベース部材87は、シリンダ基端アセンブリ86の骨格となる部材であり、シリンダ固定シーブ53、2つのサポートシーブ88a,88b及び支持ローラ89をそれぞれ回転自在に支持している。
【0056】
サポートシーブ88a,88bは、第2基端シーブ73とトップブーム15の先端部15bとの間で、シリンダチューブ52に沿って配索された配線等41をサポートする。
【0057】
支持ローラ89は、伸縮ブーム10が縮んでいて、シリンダ基端アセンブリ86が第3中間ブーム14の内部に位置しているとき第3中間ブーム14の底板の内面に接し、シリンダ基端アセンブリ86がトップブーム15の内部に位置しているときトップブーム15の底板の内面に接する。支持ローラ89は、軸方向に直交する方向に伸びた軸回りに回転自在に設けられ、トップブーム15の伸縮により接したローラが、トップブーム15の伸縮による相対変位により転がるように回転して、摩擦抵抗を低減している。
【0058】
伸縮シリンダアセンブリ90は後述するように、シリンダチューブ52の突出端部52aが第1中間ブーム12の基端部12aに固定されて支持されるが、トップブーム15側の端部は固定されていないため、突出端部52aのみが支持された片持ち状態となり、伸縮シリンダアセンブリ90の重量によって撓み易くなる。
【0059】
これに対して、シリンダ基端アセンブリ86が第3中間ブーム14の内部に位置し、かつトップブーム15の外部に位置しているとき、支持ローラ89が、第3中間ブーム14の底板の内面に接することで、伸縮シリンダアセンブリ90のトップブーム15側の端部が第3中間ブーム14の底面からの反力を受けて支持され、伸縮シリンダアセンブリ90が撓むのを防止している。
【0060】
同様に、シリンダ基端アセンブリ86がトップブーム15の内部に位置しているとき、支持ローラ89が、トップブーム15の底板の内面に接することで、伸縮シリンダアセンブリ90のトップブーム15側の端部が、トップブーム15の底面からの反力を受けて支持され、伸縮シリンダアセンブリ90が撓むのを防止している。
【0061】
なお、伸縮ブーム10が伸びて、第3中間ブーム14がシリンダ基端アセンブリ86から抜けると、支持ローラ89は第2中間ブーム13の底板の内面に接しないため浮いた状態となる。
【0062】
しかし、このときは、第2中間ブーム13の基端部13aに固定され、かつシリンダチューブ52の外周面に接してシリンダチューブ52を支持する後述の第2基端シーブアセンブリ80が、シリンダチューブ52の外周面に沿って軸C方向の先端方向Fに移動して、伸縮シリンダアセンブリ90のトップブーム15側の端部に近づく。
【0063】
この結果、第2基端シーブアセンブリ80が、伸縮シリンダ50の突出端部52aよりも先端方向Fに変位した部分を支持し、伸縮シリンダアセンブリ90は撓み難い状態となるため、支持ローラ89による支持を要しない。
【0064】
配線等振れ止め部材87aは、ベース部材87と一体に、サポートシーブ88bよりも先端方向Fに設けられている。配線等振れ止め部材87aに囲まれて形成された空間87bに配線等41が通されて、配線等41が軸Cに直交する方向に、空間87bよりも大きく振れるのを抑制する。
【0065】
第2基端シーブアセンブリ80は、図5に示すように、伸縮シリンダ50のシリンダチューブ52に対して軸C方向に摺動可能に設けられている。第2基端シーブアセンブリ80は、図7に示すように、シリンダ摺動部材81と、2つのワイヤロープ固定部82,82(索端止め部材)と、シーブ支持ベース部材84と、第2基端シーブ73と、配線等振れ止め部材83とを備えている。
【0066】
シリンダ摺動部材81は、シリンダチューブ52の外周面の周方向に沿って設けられていて、シリンダ摺動部材81に囲まれて内側に形成された空間81aに、シリンダチューブ52が配置される。そして、シリンダ摺動部材81は、シリンダチューブ52の外周面に沿って、突出端部52aと基端部52bとの間で摺動自在となっている。
【0067】
シリンダ摺動部材81は、軸C方向に貫通する4つのボルト孔81bが形成されていて、これらの各ボルト孔81bに、基端方向Bから先端方向Fに向かって通されたボルト(図示省略)により、伸縮シリンダ50の第2中間ブーム13の基端部13aに締結して固定される。
【0068】
2つのワイヤロープ固定部82,82は、シリンダ摺動部材81と一体に、シリンダチューブ52が配置された空間81aの上方に設けられている。各ワイヤロープ固定部82は、トップブーム縮みワイヤロープ25の、第2中間ブーム13の基端部13aに固定される側の端(索端)25aが固定される。
【0069】
なお、トップブーム縮みワイヤロープ25を含む全てのワイヤロープは2本ずつ設けられているため、各ワイヤロープ固定部82にそれぞれ1本のトップフーム縮みワイヤロープ25の索端25aが固定される。
【0070】
シーブ支持ベース部材84は、シリンダ摺動部材81と一体に、シリンダチューブ52が配置された空間81aの下方に設けられている。シーブ支持ベース部材84は、第2基端シーブ73を回転自在に支持する。
【0071】
配線等振れ止め部材83は、シリンダ摺動部材81と一体に、シリンダチューブ52が配置された空間81aの上方に設けられている。配線等振れ止め部材83とシリンダ摺動部材81とで囲まれた空間83aに配線等41が通されて、配線等41が軸Cに直交する方向に、空間83aよりも大きく振れるのを抑制する。
【0072】
本実施形態の伸縮シリンダアセンブリ90は、伸縮ブーム10に組み込む以前は、図5に示すように、伸縮シリンダ50を縮めた状態(ピストンロッド51のほとんどをシリンダチューブ52内に収容した状態)とする。このとき、第2基端シーブアセンブリ80を、シリンダチューブ52の突出端部52a側に寄せた状態とする。
【0073】
また、2本のトップブーム縮みワイヤロープ25,25の各一方の索端25aを、それぞれ、ワイヤロープ固定部82に固定しておく。そして、各トップブーム縮みワイヤロープ25を、シリンダチューブ52に沿って先端方向Fに延ばして配索し、シリンダ基端アセンブリ86のシリンダ固定シーブ53に掛け回して基端方向Bに折り返し、シリンダチューブ52に沿って配索し、第2基端シーブアセンブリ80の第2基端シーブ73に掛け回して先端方向Fに折り返し、他方の索端25bをシリンダチューブ52又はトップブーム縮みワイヤロープ25に仮に固定しておく。
【0074】
これにより、伸縮シリンダ50にトップ縮みワイヤロープ25を一体化して取り扱うことができる。
【0075】
また、配線等41を、シリンダ基端アセンブリ86の配線等振れ止め部材87aで囲まれた空間87bに通して、先端方向Fから基端方向Bに向けてシリンダチューブ52に沿って配索し、第2基端シーブアセンブリ80の第2基端シーブ73に掛け回して先端方向Fに折り返し、シリンダチューブ52に沿って配索し、シリンダ基端アセンブリ86のシリンダ固定シーブ53に掛け回して基端方向Bに折り返し、シリンダチューブ52に沿って配索し、第2基端シーブアセンブリ80の配線等振れ止め部材83で囲まれた空間83aに通して、さらに、先端方向Fに折り返してシリンダチューブ52に沿って配索し、シリンダチューブ52又はシリンダ基端アセンブリ86に仮に固定しておく。
【0076】
これにより、伸縮シリンダ50に配線等41を一体化して取り扱うことができる。
【0077】
図8は全縮状態の伸縮ブーム10に伸縮シリンダアセンブリ90を組み込む様子を示す模式図であり、図9は伸縮ブーム10に伸縮シリンダアセンブリ90を組み込んだ状態を示す模式図である。
【0078】
伸縮シリンダアセンブリ90を伸縮ブーム10に組み込む際は、図8に示すように、全縮状態の伸縮ブーム10の、基端部11a側の開口から伸縮ブーム10の内部に、一体化された伸縮シリンダアセンブリ90を、シリンダ基端アセンブリ86側から先端方向Fに向けて挿入する。
【0079】
このとき、シリンダチューブ52又はシリンダ基端アセンブリ86に仮に固定された配線等41の、先端方向Fの部分の仮の固定を取り外して、ベースブーム11と第1中間ブーム12との間の隙間に、配線等41を差し込む。
【0080】
伸縮シリンダアセンブリ90を、伸縮ブーム10の内部に、図9に示すように、さらに挿入する。このとき、ベースブーム11と第1中間ブーム12との間の隙間に差し込まれた、配線等41を、第1中間ブーム12の基端部12aに設けられた第1基端シーブ71に掛け回す。また、ベースブーム11の先端から出された配線等41を、基端方向Bに折り返してベースブーム11の外側に沿って配索し、基端部11aにおいて必要な機器に接続する。
【0081】
一方、シリンダ基端アセンブリ86の配線等振れ止め部材87aにより振れ止めされた側の配線等41は、トップブーム15の先端部15bの側の開口から外部に引き出されて、バケット8等に設けられた必要な機器に接続する。
【0082】
また、ワイヤロープ25の先端をトップブーム15の基端部15aに連結して固定するとともに、第2基端シーブアセンブリ80のシリンダ摺動部材81を、ボルトによって、第2中間ブーム13の基端部13aに締結して固定する。これにより、第2基端シーブアセンブリ80は、第2中間ブーム13の基端部13aと一体化される。
【0083】
さらに、伸縮シリンダ50のピストンロッド51の先端部51aをベースブーム11の基端部11aに固定し、シリンダチューブ52の突出端部52aを、第1中間ブーム12の基端部12aに固定する。
【0084】
以上のように構成された実施形態の伸縮ブーム10によれば、伸縮シリンダ50の伸び及び伸縮シリンダ50の伸びに連動する3本の伸びワイヤロープ21,23,24により、伸縮ブーム10が全縮状態から伸びると、第2中間ブーム13の基端部13aに固定された第2基端シーブアセンブリ80は、第1中間ブーム12に固定されたシリンダチューブ52に沿って、突出端部52aから基端部52bに向けて移動する。
【0085】
伸縮シリンダ50が全伸状態では、シリンダ摺動部材81は、シリンダチューブ52の基端部52b付近まで移動する。シリンダ摺動部材81は、シリンダチューブ52の外周面に接しているため、シリンダチューブ52の、その接している部分を支持し、シリンダチューブ52が撓むのを防止する。
【0086】
配線等41やトップブーム縮みワイヤロープ25を交換する場合は、上述した操作とは時系列的に反対の操作を行うことで、伸縮ブーム10を全縮した状態で、伸縮ブーム10から伸縮シリンダアセンブリ90の全体を一度に取り外すことができる。つまり、伸縮ブーム10の他のワイヤロープ21~24等を取り外す等の、伸縮ブーム10の分解を行うことなく、配線等41やトップブーム縮みワイヤロープ25を取り外すことができる。
【0087】
そして、配線等41やトップブーム縮みワイヤロープ25の交換後は、伸縮シリンダアセンブリ90として、配線等41やトップブーム縮みワイヤロープ25の配索状態を確認することで、伸縮ブーム10に組み込まれた後の、配線等41やトップブーム縮みワイヤロープ25の配索状態を確認する必要がない。
【0088】
また、伸縮シリンダアセンブリ90は、先行技術(実開平6-63586号公報)における、伸縮シリンダアセンブリ90の着脱の際に配線等41を張っておくための仮支持部材を用いる必要がない。したがって、伸縮シリンダアセンブリ90の着脱操作を容易にすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0089】
また、伸縮シリンダアセンブリ90は、配線等振れ止め部材87a,83を備えているため、伸縮ブーム10の起伏や伸縮や旋回等の動きがあっても、配線等41が、配線等振れ止め部材87a,83により形成された空間87b,83aよりも大きく振れるのを防止することができる。
【0090】
<変形例1:5段ブームのワイヤロープの配索経路違い>
図10は、図3のワイヤロープ21,22,23,24,25とは異なる配索経路のワイヤロープ21,22,23,24,25の配索経路を、伸縮ブーム10が伸長した状態で示す模式図であり、実施形態の一変形例である。
【0091】
上述した実施形態のワイヤロープ21,22,23,24,25の配索経路に代えて、図10の変形例1に示す配索経路を採用してもよい。すなわち、第1中間ブーム12の内側の基端部12aには第1基端シーブ71が設けられている。
【0092】
また、第2中間ブーム13の内側の基端部13aには第2基端シーブ73が設けられ、第2中間ブーム13の外側の先端部13bには第2先端シーブ74が設けられている。
【0093】
また、第3中間ブーム14の外側の先端部14bには第3先端シーブ75が設けられ、トップブーム15の外側の基端部15aにはトップ基端シーブ76が設けられている。
【0094】
そして、ワイヤロープ21~25のうち、伸縮シリンダ50の伸びに連動して第2中間ブーム13を第1中間ブーム12から突出させる第2中間ブーム伸びワイヤロープ21は、一端がベースブーム11の基端部11aに固定され、トップブーム15の方向に延びて、シリンダ固定シーブ53に掛け回されて折り返し、他端が第2中間ブーム13の基端部13aに固定されている。他のワイヤロープ22~25の配索経路は、図3に示した実施形態と同じである。
【0095】
ここで、第2基端シーブ73は、図3に示した実施形態の第2基端シーブ73と同様に、図7に示した第2基端シーブアセンブリ80(基端シーブアセンブリ)を構成する一部品として設けられている。伸縮シリンダアセンブリ90の一部として構成されている。
【0096】
また、シリンダ固定シーブ53はシリンダ基端アセンブリ86を構成する一部品として設けられ、伸縮シリンダアセンブリ90が、伸縮シリンダ50、第2基端シーブアセンブリ80、シリンダ基端アセンブリ86、配線等41、トップブーム縮みワイヤロープ25及び第2中間ブーム伸びワイヤロープ21を一体に備えている。
【0097】
そして、このように構成された変形例1の伸縮シリンダアセンブリ90によっても、上述した実施形態の伸縮シリンダアセンブリ90と同様の作用、効果を発揮する。
【0098】
なお、変形例1に伸縮シリンダアセンブリ90は、実施形態の伸縮シリンダアセンブリ90と同様に、伸縮シリンダ50、第2基端シーブアセンブリ80、シリンダ基端アセンブリ86、配線等41及びトップブーム縮みワイヤロープ25を一体に備えた構成とし、第2中間ブーム伸びワイヤロープ21を一体に備えない構成としてもよい。
【0099】
<変形例2:6段ブームのワイヤロープ、配線等>
図11,12は、6つのブーム111,112,113,114,115、116が入れ子式に収容されて、それぞれのブーム112~116が軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブーム110に組み込まれた伸縮シリンダアセンブリ190で、図3,4に示した実施形態の変形例2である。
【0100】
この伸縮ブーム110を構成している6つのブーム111~116は、基部ブラケット5に直接支持された最外側のベースブーム111と、ベースブーム111の直近の内側に収容される第1中間ブーム112と、第1中間ブーム112の直近の内側に収容される第2中間ブーム113と、第2中間ブーム113の直近の内側に収容される第3中間ブーム114と、第3中間ブーム114の内側に収容される第4中間ブーム115と、第4中間ブーム115の内側に収容されるトップブーム116とで構成されている。
【0101】
図11は、伸縮ブーム110を伸縮させる伸縮シリンダ150、補助ロッド160及び伸縮シリンダ150の伸縮動作に連動するようにブーム111,112,113,114,115,116間に配索された7本のワイヤロープ121,122,123,124,125,126,127の配索状態を、伸縮ブーム110が伸長した状態で示す模式図である。
【0102】
また、図12図11に示した伸縮ブーム110のベースブーム111の基端部111aとトップブーム116の先端部116b(バケット8まで)との間に掛け回されて配索された配線等141の配索状態を、伸縮ブーム110が伸長した状態で示す模式図である。
【0103】
(伸縮シリンダ、ワイヤロープ、配線及び配管)
伸縮シリンダ150は、図11に示すように、伸縮ブーム110の長手方向に沿って設けられている。伸縮シリンダ150は、シリンダチューブ152と、ピストンロッド151とが組み合わせて構成され、供給される油圧によって、シリンダチューブ152に対してピストンロッド151が出入りすることで伸縮する。
【0104】
伸縮シリンダ150は、シリンダチューブ152の全長が第1中間ブーム112とほぼ同じ長さに形成され、ピストンロッド151の全長がベースブーム111とほぼ同じ長さに形成されている。
【0105】
シリンダチューブ152の、ピストンロッド151が突出する側の端部である突出端部152aは、第1中間ブーム112の基端部112aに固定され、ピストンロッド151の、シリンダチューブ152から突出した側の先端部151aは、ベースブーム111の基端部111aに固定されている。
【0106】
そして、シリンダチューブ152の内部にピストンロッド151の大部分が収容された伸縮シリンダ150の全縮状態で、第1中間ブーム112はベースブーム111の内部に完全に収容された全縮状態となる。一方、ピストンロッド151の大部分がシリンダチューブ152の突出端部152aから外部に突出した伸縮シリンダ150の全伸状態で、第1中間ブーム112のほぼ全長がベースブーム111の内部から突出した全伸状態となる。
【0107】
なお、シリンダチューブ152の基端部(突出端部152aとは反対側の端部)152bには、シリンダ基端アセンブリ86と同じ構成のシリンダ基端アセンブリ186が設けられていて、このシリンダ基端アセンブリ186を構成する一部品として、シーブ153(以下、シリンダ固定シーブ153という。)が設けられている。シリンダ固定シーブ153は、伸縮ブーム110の軸方向における第1中間ブーム112の先端部112b付近に位置する。
【0108】
補助ロッド160は、図11に示すように、伸縮ブーム110の長手方向に沿って設けられている。補助ロッド160は、全長が第2中間ブーム113とほぼ同じ長さに形成されている。
【0109】
補助ロッド160の一端部である基端部160aは、第2中間ブーム113の基端部113aに固定されている。他端部である先端部160bには、シーブ161(以下、ロッド固定シーブ161という。)が固定されている。ロッド固定シーブ161は、伸縮ブーム110の軸方向における第2中間ブーム113の先端部113b付近に位置する。
【0110】
また、補助ロッド160には、第2基端シーブアセンブリ80におけるシリンダ摺動部材81と同様に、補助ロッド160の外周面に沿って設けられ、補助ロッド160を軸方向に沿って摺動するロッド摺動部材191を備え、ロッド摺動部材191に、第3基端シーブ175が固定されている。
【0111】
この第3基端シーブ175は、ロッド摺動部材191が第3中間ブーム114の基端部114aに固定されることで、第3中間ブーム114の基端部114aに固定される。
【0112】
また、第1中間ブーム112の内側の基端部112aにはシーブ171(以下、第1基端シーブ171という。)が設けられている。
【0113】
また、第2中間ブーム113の内側の基端部113aには、シーブ172(以下、第2基端第1シーブ172という。)及びシーブ174(以下、第2基端第2シーブ174という。)が設けられ、第2中間ブーム113の外側の先端部113bには別のシーブ173(以下、第2先端シーブ173という。)が設けられている。
【0114】
また、第3中間ブーム114の内側の基端部114aには、前述した第3基端シーブ175が設けられ、第3中間ブーム114の外側の先端部114bには別のシーブ176(以下、第3先端シーブ176という。)が設けられている。
【0115】
また、第4中間ブーム115の外側の先端部115bにはシーブ177(以下、第4先端シーブ177という。)が設けられ、トップブーム116の外側の基端部116aには別のシーブ178(以下、トップ基端シーブ178という。)が設けられている。
【0116】
そして、ワイヤロープ121~127のうち、伸縮シリンダ150の伸びに連動して第2中間ブーム113を第1中間ブーム112から突出させる第2中間ブーム伸びワイヤロープ121は、一端がベースブーム111の基端部111aに固定され、トップブーム116の方向に延びて、シリンダ固定シーブ153に掛け回されて折り返し、他端が第2中間ブーム113の基端部113aに固定されている。
【0117】
また、ワイヤロープ121~127のうち、伸縮シリンダ150の縮みに連動して第2中間ブーム113を第1中間ブーム112に収容する第2中間ブーム縮みワイヤロープ122は、一端がベースブーム111の先端部111bに固定され、ベースブーム111の基端部111aの方向に延びて、第1基端シーブ171に掛け回されて折り返し、他端が第2中間ブーム113の基端部113aに固定されている。
【0118】
また、ワイヤロープ121~127のうち、伸縮シリンダ150の伸びに連動して第3中間ブーム114を第2中間ブーム113から突出させる第3中間ブーム伸びワイヤロープ123は、一端が第2中間ブーム113の基端部113aに固定され、トップブーム15の方向に延びて、第2先端シーブ173に掛け回されて折り返し、他端が第3中間ブーム114の基端部114aに固定されている。
【0119】
また、ワイヤロープ121~127のうち、伸縮シリンダ150の縮みに連動して第3中間ブーム114を第2中間ブーム113に収容する第3中間ブーム縮みワイヤロープ124は、一端が第2中間ブーム113の基端部113aに固定され、ベースブーム111の基端部111aの方向に延びて、第2基端第1シーブ172に掛け回されて折り返し、他端が第3中間ブーム114の基端部114aに固定されている。
【0120】
また、ワイヤロープ121~127のうち、伸縮シリンダ150の伸びに連動して第4中間ブーム115を第3中間ブーム114から突出させる第4中間ブーム伸びワイヤロープ125は、一端が第2中間ブーム113の基端部113aに固定され、トップブーム15の方向に延びて、第3先端シーブ176に掛け回されて折り返し、他端が第4中間ブーム115の基端部115aに固定されている。
【0121】
また、ワイヤロープ121~127のうち、伸縮シリンダ150の縮みに連動して第4中間ブーム115を第3中間ブーム114に収容する第4中間ブーム縮みワイヤロープ126は、一端が第2中間ブーム113の基端部113aに固定され、トップブーム116の方向に延びて、第4先端シーブ177に掛け回されて折り返し、さらにトップ基端シーブ178に掛け回されて折り返し、他端が第4先端シーブ177に固定されている。
【0122】
なお、第4中間ブーム縮みワイヤロープ126は、伸縮シリンダ150の伸びに連動してトップブーム116を第4中間ブーム115から突出させるトップブーム伸びワイヤロープも兼ねているため、以下、第4中間ブーム縮みワイヤロープ126をトップブーム伸びワイヤロープ126ということもある。
【0123】
また、ワイヤロープ121~127のうち、伸縮シリンダ150の縮みに連動してトップブーム116を第4中間ブーム115に収容するトップブーム縮みワイヤロープ127は、一端が第3中間ブーム114の基端部114aに固定され、トップブーム116の方向に延びて、ロッド固定シーブ161に掛け回されて折り返し、さらに第3基端シーブ175に掛け回されて折り返し、他端がトップブーム116の基端部116aに固定されている。
【0124】
以上のように伸縮シリンダ150と補助ロッド160と7本のワイヤロープ121~127とが配索されていることにより、まず、伸縮シリンダ150の伸びに応じて、第1中間ブーム112がベースブーム111から突出する。
【0125】
この第1中間ブーム112の突出の動作に連動して、第2中間ブーム伸びワイヤロープ121により、第2中間ブーム113が第1中間ブーム112から突出する。この第2中間ブーム113の突出の動作に連動して、第3中間ブーム伸びワイヤロープ123により、第3中間ブーム114が第2中間ブーム113から突出する。この第3中間ブーム114の突出の動作に連動して、第4中間ブーム伸びワイヤロープ125により、第4中間ブーム115が第3中間ブーム114から突出する。この第4中間ブーム115の突出の動作に連動して、トップブーム伸びワイヤロープ126により、トップブーム116が第4中間ブーム115から突出する。
【0126】
このように、伸縮シリンダ150、補助ロッド160及び7本のワイヤロープ121~127により、伸縮ブーム110は、全体が同時に伸びる。
【0127】
一方、まず、伸縮シリンダ150の縮みに応じて、第1中間ブーム112がベースブーム111に収容される。
【0128】
この第1中間ブーム112の収容の動作に連動して、第2中間ブーム縮みワイヤロープ122により、第2中間ブーム113が第1中間ブーム112に収容される。この第2中間ブーム113の収容の動作に連動して、第3中間ブーム縮みワイヤロープ124により、第3中間ブーム114が第2中間ブーム113に収容される。この第3中間ブーム114の収容の動作に連動して、トップブーム縮みワイヤロープ127により、トップブーム116が第4中間ブーム115に収容される。このトップブーム116の収容の動作に連動して、第4中間ブーム縮みワイヤロープ126により、第4中間ブーム115が第3中間ブーム114に収容される。
【0129】
このように、伸縮シリンダ150、補助ロッド160及び7本のワイヤロープ121~127により、伸縮ブーム110は、全体が同時に縮む。
【0130】
また、配線等141は、ベースブーム111の基端部111aとトップブーム116の先端部116bとの間に掛け回されて配索されている。
【0131】
具体的には、配線等141は、図12に示すように、ベースブーム111の基端部111aからトップブーム116の方向に延びて、ベースブーム111の先端部111bで基端部111aの方向に折り返し、第1中間ブーム112の基端部112aよりも後方(ベースブーム111の基端部111aの方向)の位置で、折り返してトップブーム116の方向に延び、シリンダ固定シーブ153に掛け回されて折り返し、第2基端第2シーブ174に掛け回されて折り返し、ロッド固定シーブ161に掛け回されて折り返し、第3基端シーブ175に掛け回されて折り返し、トップブーム116の先端部116bに達して配索されている。
【0132】
このように、配線等141が配索されていることにより、リール等を用いた巻取りや巻解きを行わなくても、配線等141は、伸縮ブーム110の伸縮に追従して、突っ張ったり弛んだりすることのない配索状態を維持することができる。
【0133】
ここで、伸縮シリンダ150と、シリンダ固定シーブ153を備えたシリンダ基端アセンブリ186と、第2基端第2シーブ174を備えた第2基端シーブアセンブリ180と、補助ロッド160と、配線等141と、第2中間ブーム伸びワイヤロープ121と、トップブーム縮みワイヤロープ127とは、一体となって伸縮シリンダアセンブリ190を構成している。
【0134】
なお、シリンダ基端アセンブリ186は、実施形態におけるシリンダ基端アセンブリ86と同様の構成であり、シリンダ152の基端部152bに固定されている。また、第2基端シーブアセンブリ180(基端シーブアセンブリ)は、実施形態における第2基端シーブアセンブリ80と同様の構成であり、シリンダチューブ152の軸方向に沿って摺動可能となっている。
【0135】
また、補助ロッド160は、その基端部160aが第2基端シーブアセンブリ180を構成するシリンダ摺動部材(実施形態におけるシリンダ摺動部材81と同様の構成部品)に固定されている。したがって、補助ロッド160は、第2基端第2シーブ174と一体に、シリンダチューブ152に沿って軸方向に摺動可能となっている。
【0136】
そして、このように構成された変形例2の伸縮シリンダアセンブリ190によっても、上述した実施形態の伸縮シリンダアセンブリ90と同様の作用、効果を発揮する。
【0137】
<変形例3:3段ブームのワイヤロープ、配線等>
図13,14は、3つのブーム211,212,213が入れ子式に収容されて、それぞれのブーム212~213が軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブーム210で、図3,4に示した実施形態の変形例3である。
【0138】
この伸縮ブーム210を構成している3つのブーム211~213は、基部ブラケット5に直接支持された最外側のベースブーム211と、ベースブーム211の直近の内側に収容される中間ブーム212と、中間ブーム212の直近の内側に収容されるトップブーム213とで構成されている。
【0139】
図13は、伸縮ブーム210を伸縮させる伸縮シリンダ250及び伸縮シリンダ250の伸縮動作に連動するようにブーム211,212,213間に配索された2本のワイヤロープ221,222の配索状態を、伸縮ブーム210が伸長した状態で示す模式図である。
【0140】
また、図14図13に示した伸縮ブーム210のベースブーム211の基端部211aとトップブーム213の先端部213b(バケット8まで)との間に掛け回されて配索された配線等241の配索状態を、伸縮ブーム210が伸長した状態で示す模式図である。
【0141】
(伸縮シリンダ、ワイヤロープ、配線及び配管)
伸縮シリンダ250は、図13に示すように、伸縮ブーム210の長手方向に沿って設けられている。伸縮シリンダ250は、シリンダチューブ252と、ピストンロッド251とが組み合わせて構成され、供給される油圧によって、シリンダチューブ252に対してピストンロッド251が出入りすることで伸縮する。
【0142】
伸縮シリンダ250は、シリンダチューブ252の全長が中間ブーム212とほぼ同じ長さに形成され、ピストンロッド251の全長がベースブーム211とほぼ同じ長さに形成されている。
【0143】
シリンダチューブ252の、ピストンロッド251が突出する側の端部である突出端部252aは、中間ブーム212の基端部212aに固定され、ピストンロッド251の、シリンダチューブ252から突出した側の先端部251aは、ベースブーム211の基端部211aに固定されている。
【0144】
そして、シリンダチューブ252の内部にピストンロッド251の大部分が収容された伸縮シリンダ250の全縮状態で、中間ブーム212はベースブーム211の内部に完全に収容された全縮状態となる。一方、ピストンロッド251の大部分がシリンダチューブ252の突出端部252aから外部に突出した伸縮シリンダ250の全伸状態で、中間ブーム212のほぼ全長がベースブーム211の内部から突出した全伸状態となる。
【0145】
なお、シリンダチューブ252の基端部(突出端部252aとは反対側の端部)252bには、シリンダ基端アセンブリ86と同じ構成のシリンダ基端アセンブリ286が設けられていて、このシリンダ基端アセンブリ286を構成する一部品として、シーブ253(以下、シリンダ固定シーブ253という。)が設けられている。シリンダ固定シーブ253は、伸縮ブーム210の軸方向における中間ブーム212の先端部212b付近に位置する。
【0146】
また、中間ブーム212の内側の基端部212aにはシーブ271(以下、中間基端シーブ271という。)が設けられている。
【0147】
また、トップブーム213の内側の基端部213aには、シーブ273(以下、トップ基端シーブ273という。)が設けられている。
【0148】
そして、ワイヤロープ221~222のうち、伸縮シリンダ250の伸びに連動してトップブーム213を中間ブーム212から突出させるトップブーム伸びワイヤロープ221は、一端がベースブーム211の基端部211aに固定され、トップブーム213の方向に延びて、シリンダ固定シーブ253に掛け回されて折り返し、他端がトップブーム213の基端部213aに固定されている。
【0149】
また、ワイヤロープ221~222のうち、伸縮シリンダ250の縮みに連動してトップブーム213を中間ブーム212に収容するトップブーム縮みワイヤロープ222は、一端がベースブーム211の先端部211bに固定され、ベースブーム211の基端部211aの方向に延びて、中間基端シーブ271に掛け回されて折り返し、他端がトップブーム213の基端部213aに固定されている。
【0150】
以上のように伸縮シリンダ250と2本のワイヤロープ221~222とが配索されていることにより、まず、伸縮シリンダ250の伸びに応じて、中間ブーム212がベースブーム211から突出する。
【0151】
この中間ブーム212の突出の動作に連動して、トップブーム伸びワイヤロープ221により、トップブーム213が中間ブーム212から突出する。
【0152】
このように、伸縮シリンダ250及びワイヤロープ221により、伸縮ブーム210は、全体が同時に伸びる。
【0153】
一方、まず、伸縮シリンダ250の縮みに応じて、中間ブーム212がベースブーム211に収容される。
【0154】
この中間ブーム212の収容の動作に連動して、トップブーム縮みワイヤロープ222により、トップブーム213が中間ブーム212に収容される。
【0155】
このように、伸縮シリンダ250及びワイヤロープ222により、伸縮ブーム210は、全体が同時に縮む。
【0156】
また、配線等241は、ベースブーム211の基端部211aとトップブーム213の先端部213bとの間に掛け回されて配索されている。
【0157】
具体的には、配線等241は、図14に示すように、ベースブーム211の基端部211aからトップブーム213の方向に延びて、シリンダ固定シーブ253に掛け回されて折り返し、トップ基端シーブ273に掛け回されて折り返し、トップブーム213の先端部213bに達して配索されている。
【0158】
このように、配線等241が配索されていることにより、リール等を用いた巻取りや巻解きを行わなくても、配線等241は、伸縮ブーム210の伸縮に追従して、突っ張ったり弛んだりすることのない配索状態を維持することができる。
【0159】
ここで、伸縮シリンダ250と、シリンダ固定シーブ253を備えたシリンダ基端アセンブリ286と、トップ基端シーブ273を備えたトップ基端シーブアセンブリ280(基端シーブアセンブリ)と、配線等241と、トップブーム伸びワイヤロープ221とは、一体となって伸縮シリンダアセンブリ290を構成している。
【0160】
なお、シリンダ基端アセンブリ286は、実施形態におけるシリンダ基端アセンブリ86と同様の構成であり、シリンダチューブ252の基端部252bに固定されている。また、トップ基端シーブアセンブリ280は、実施形態における第2基端シーブアセンブリ80と同様の構成であり、シリンダチューブ252の軸方向に沿って摺動可能となっている。
【0161】
そして、このように構成された変形例3の伸縮シリンダアセンブリ290によっても、上述した実施形態の伸縮シリンダアセンブリ90と同様の作用、効果を発揮する。
【0162】
<変形例4:4段ブームのワイヤロープ、配線等>
図15,16は、4つのブーム311,312,313,314が入れ子式に収容されて、それぞれのブーム312~314が軸C方向に突出することで伸長する構成の伸縮ブーム310で、図3,4に示した実施形態の変形例4である。
【0163】
この伸縮ブーム310を構成している4つのブーム311~314は、基部ブラケット5に直接支持された最外側のベースブーム311と、ベースブーム311の直近の内側に収容される第1中間ブーム312と、第1中間ブーム312の直近の内側に収容される第2中間ブーム313と、第2中間ブーム313の直近の内側に収容されるトップブーム314とで構成されている。
【0164】
図15は、伸縮ブーム310を伸縮させる伸縮シリンダ350及び伸縮シリンダ350の伸縮動作に連動するようにブーム311,312,313,314間に配索された4本のワイヤロープ321,322,323,324の配索状態を、伸縮ブーム310が伸長した状態で示す模式図である。
【0165】
また、図16図14に示した伸縮ブーム310のベースブーム311の基端部311aとトップブーム314の先端部314b(バケット8まで)との間に掛け回されて配索された配線等341の配索状態を、伸縮ブーム310が伸長した状態で示す模式図である。
【0166】
(伸縮シリンダ、ワイヤロープ、配線及び配管)
伸縮シリンダ350は、図15に示すように、伸縮ブーム310の長手方向に沿って設けられている。伸縮シリンダ350は、シリンダチューブ352と、ピストンロッド351とが組み合わせて構成され、供給される油圧によって、シリンダチューブ352に対してピストンロッド351が出入りすることで伸縮する。
【0167】
伸縮シリンダ350は、シリンダチューブ352の全長が中間ブーム312とほぼ同じ長さに形成され、ピストンロッド351の全長がベースブーム311とほぼ同じ長さに形成されている。
【0168】
シリンダチューブ352の、ピストンロッド351が突出する側の端部である突出端部352aは、第1中間ブーム312の基端部312aに固定され、ピストンロッド251の、シリンダチューブ352から突出した側の先端部351aは、ベースブーム311の基端部311aに固定されている。
【0169】
そして、シリンダチューブ352の内部にピストンロッド351の大部分が収容された伸縮シリンダ350の全縮状態で、第1中間ブーム312はベースブーム311の内部に完全に収容された全縮状態となる。一方、ピストンロッド351の大部分がシリンダチューブ352の突出端部352aから外部に突出した伸縮シリンダ350の全伸状態で、第1中間ブーム312のほぼ全長がベースブーム311の内部から突出した全伸状態となる。
【0170】
なお、シリンダチューブ352の基端部(突出端部352aとは反対側の端部)352bには、シリンダ基端アセンブリ86と同じ構成のシリンダ基端アセンブリ386が設けられていて、このシリンダ基端アセンブリ386を構成する一部品として、シーブ353(以下、シリンダ固定シーブ353という。)が設けられている。シリンダ固定シーブ353は、伸縮ブーム310の軸方向における第1中間ブーム312の先端部312b付近に位置する。
【0171】
また、第1中間ブーム312の内側の基端部312aにはシーブ371(以下、第1基端シーブ371という。)が設けられている。
【0172】
また、第2中間ブーム313の内側の基端部313aにはシーブ374(以下、第2基端第1シーブ374という。)が設けられている。
【0173】
また、第2中間ブーム313の外側の先端部313bには、シーブ375(以下、第2先端シーブ375という。)が設けられている。
【0174】
そして、ワイヤロープ321~324のうち、伸縮シリンダ350の伸びに連動して第2中間ブーム313を第1中間ブーム312から突出させる第2中間ブーム伸びワイヤロープ321は、一端がベースブーム311の基端部311aに固定され、トップブーム314の方向に延びて、シリンダ固定シーブ353に掛け回されて折り返し、他端が第2中間ブーム313の基端部313aに固定されている。
【0175】
また、ワイヤロープ321~324のうち、第2中間ブーム313の伸びに連動してトップブーム314を第2中間ブーム313から突出させるトップブーム伸びワイヤロープ323は、一端が第1中間ブーム312の基端部312aに固定され、トップブーム314の方向に延びて、第2先端シーブ375に掛け回されて折り返し、他端がトップブーム314の基端部314aに固定されている。
【0176】
また、ワイヤロープ321~324のうち、伸縮シリンダ350の縮みに連動して第2中間ブーム313を第1中間ブーム312に収容する第2中間ブーム縮みワイヤロープ322は、一端がベースブーム311の先端部311bに固定され、ベースブーム311の基端部311aの方向に延びて、第1基端シーブ371に掛け回されて折り返し、他端が第2中間ブーム313の基端部313aに固定されている。
【0177】
また、ワイヤロープ321~324のうち、第2中間ブーム313の縮みに連動してトップブーム314を第2中間ブーム313に収容するトップブーム縮みワイヤロープ324は、一端が第1中間ブーム312の先端部312bに固定され、第1中間ブーム312の基端部312aの方向に延びて、第2基端第1シーブ374に掛け回されて折り返し、他端がトップブーム314の基端部314aに固定されている。
【0178】
以上のように伸縮シリンダ350と4本のワイヤロープ321~324とが配索されていることにより、まず、伸縮シリンダ350の伸びに応じて、第1中間ブーム312がベースブーム311から突出する。
【0179】
この第1中間ブーム312の突出の動作に連動して、第2中間ブーム伸びワイヤロープ321により、第2中間ブーム313が第1中間ブーム312から突出する。
【0180】
この第2中間ブーム313の突出の動作に連動して、トップブーム伸びワイヤロープ323により、トップブーム314が第2中間ブーム313から突出する。
【0181】
このように、伸縮シリンダ350及びワイヤロープ321,323により、伸縮ブーム310は、全体が同時に伸びる。
【0182】
一方、まず、伸縮シリンダ350の縮みに応じて、第1中間ブーム312がベースブーム311に収容される。
【0183】
この第1中間ブーム312の収容の動作に連動して、第2中間ブーム縮みワイヤロープ322により、第2中間ブーム313が第1中間ブーム312に収容される。
【0184】
この第2中間ブーム313の収容の動作に連動して、トップブーム縮みワイヤロープ324により、トップブーム314が第2中間ブーム313に収容される。
【0185】
このように、伸縮シリンダ350及びワイヤロープ322,324により、伸縮ブーム310は、全体が同時に縮む。
【0186】
また、配線等341は、ベースブーム311の基端部311aとトップブーム314の先端部314bとの間に掛け回されて配索されている。
【0187】
具体的には、配線等341は、図16に示すように、ベースブーム311の基端部311aからトップブーム314の方向に延びて、ベースブーム311の先端部311bで折り返して基端部311aに向かって延び、第1中間ブーム312の基端部312aの後方で折り返してトップブーム314に向かって延び、シリンダ固定シーブ353に掛け回されて折り返し、第2基端第2シーブ373に掛け回されて折り返し、トップブーム314の先端部314bに達して配索されている。
【0188】
このように、配線等341が配索されていることにより、リール等を用いた巻取りや巻解きを行わなくても、配線等341は、伸縮ブーム310の伸縮に追従して、突っ張ったり弛んだりすることのない配索状態を維持することができる。
【0189】
ここで、伸縮シリンダ350と、シリンダ固定シーブ353を備えたシリンダ基端アセンブリ386と、第2基端第2シーブ373を備えた第2基端シーブアセンブリ380(基端シーブアセンブリ)と、配線等341と、第2中間ブーム伸びワイヤロープ321とは、一体となって伸縮シリンダアセンブリ390を構成している。
【0190】
なお、シリンダ基端アセンブリ386は、実施形態におけるシリンダ基端アセンブリ86と同様の構成であり、シリンダチューブ352の基端部352bに固定されている。また、第2基端シーブアセンブリ380は、実施形態における第2基端シーブアセンブリ80と同様の構成であり、シリンダチューブ352の軸方向に沿って摺動可能となっている。
【0191】
そして、このように構成された変形例4の伸縮シリンダアセンブリ390によっても、上述した実施形態の伸縮シリンダアセンブリ90と同様の作用、効果を発揮する。
【0192】
上述した実施形態や変形例1-4は、高所作業車に用いられている伸縮ブーム10,110,210,310に内蔵される伸縮シリンダアセンブリ90,190,290,390であるが、本発明に係る伸縮ブーム用の伸縮シリンダアセンブリは、高所作業車の伸縮ブームに限定するものではなく、クレーンの伸縮ブームに適用することもできる。
【符号の説明】
【0193】
10 伸縮ブーム
25 ワイヤロープ
50 伸縮シリンダ
52 シリンダチューブ
52b 基端部
53 シリンダ固定シーブ
73 第2基端シーブ
80 第2基端シーブアセンブリ
81 シリンダ摺動部材
86 シリンダ基端アセンブリ
87 ベース部材
90 伸縮シリンダアセンブリ
B 基端方向
C 軸
F 先端方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16