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特許7287036シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20230530BHJP
【FI】
G01R31/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019052726
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020153823
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】前田 広治
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-267002(JP,A)
【文献】特開2002-152932(JP,A)
【文献】特開2001-281289(JP,A)
【文献】特開平04-186174(JP,A)
【文献】特開2000-284016(JP,A)
【文献】特開2004-215478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて、マーレーループ法に従って仮想空間に設けられたケーブル上の事故点の位置を算出するシミュレーションプログラムであって、
前記コンピュータを、
1対の前記ケーブルの各一端を測定端として仮想的に接続し、前記各測定端間に可変抵抗、及び固定抵抗を仮想的に直列に接続するとともに、前記各ケーブルの各他端間を仮想的に短絡させることにより形成する仮想ブリッジ回路
前記仮想ブリッジ回路の前記各測定端間に流れる電流を検流メータにより仮想的に検出する仮想高圧ブリッジ測定部
前記可変抵抗と前記固定抵抗との間の接続点と、接地との間に直流電圧を仮想的に印加する仮想直流高圧発生部
前記ケーブルの任意の長さ、前記ケーブルの任意の区間、前記区間における事故点の径間位置に基づいて、前記ケーブルの前記測定端からの事故点位置を演算して、前記ケーブルの事故点位置を前記仮想高圧ブリッジ測定部に出力するケーブル事故点位置演算部
前記ケーブルの任意の断面積を入力するケーブル断面積入力部と、
前記ケーブルの任意の径間長を入力するケーブル径間長入力部と、
前記ケーブルの任意の断面積、及び前記ケーブルの任意の径間長に基づいて、前記ケーブルの長さに変換して、前記ケーブル事故点位置演算部に出力するケーブル長換算演算部と、として夫々機能させ、
前記仮想高圧ブリッジ測定部は、
前記検流メータのゼロ点の位置に対する指針の位置のずれ比に基づいて、ゼロ点調整演算値を演算するゼロ点演算部と、
前記仮想直流高圧発生部から入力された前記直流電圧の電圧値、及び電流値、前記ケーブル事故点位置演算部から入力されたケーブルの事故点位置、前記ゼロ点演算部から入力されたゼロ点調整演算値に基づいて、事故点位置を演算する事故点位置演算部と、
として夫々機能させることを特徴とするシミュレーションプログラム。
【請求項2】
前記ケーブルの任意の区間、前記区間における事故点の径間位置を入力する事故点入力部、として機能させることを特徴とする請求項記載のシミュレーションプログラム。
【請求項3】
前記仮想高圧ブリッジ測定部は、
比例辺と、
操作に応じて前記比例辺の感度値を仮想的に調整する感度調整部
前記感度調整部から入力された感度値に応じて前記比例辺を仮想的に調整する比例辺調整部、として機能させることを特徴とする請求項記載のシミュレーションプログラム。
【請求項4】
前記事故点位置演算部から入力された事故点位置、前記比例辺調整部から入力された前記比例辺の調整結果に基づいて、前記仮想ブリッジ回路の平衡状態を表す平衡値を演算するブリッジ回路平衡演算部
前記ゼロ点演算部から入力されたゼロ点調整演算値に対する、前記仮想ブリッジ回路から入力された平衡値の平衡状態を表示する平衡状態表示部、として機能させることを特徴とする請求項3記載のシミュレーションプログラム。
【請求項5】
前記ブリッジ回路平衡演算部から出力された前記平衡値を表示するブリッジ回路平衡値表示部、として機能させることを特徴とする請求項記載のシミュレーションプログラム。
【請求項6】
コンピュータを用いて、マーレーループ法に従って仮想空間に設けられたケーブル上の事故点の位置を算出するシミュレーション方法であって、
1対の前記ケーブルの各一端を測定端として仮想的に接続し、前記各測定端同士の間に可変抵抗、及び固定抵抗を仮想的に直列に接続するとともに、前記各ケーブルの各他端間を仮想的に短絡させることにより形成する仮想ブリッジ回路ステップと、
前記仮想ブリッジ回路の前記各測定端間に流れる電流を検流メータにより仮想的に検出する仮想高圧ブリッジ測定ステップ
前記可変抵抗と前記固定抵抗との間の接続点と、接地との間に直流電圧を仮想的に印加する仮想直流高圧発生ステップと、
前記ケーブルの任意の長さ、前記ケーブルの任意の区間、前記区間における事故点の径間位置に基づいて、前記ケーブルの前記測定端からの事故点位置を演算して、前記ケーブルの事故点位置を前記仮想高圧ブリッジ測定ステップに出力するケーブル事故点位置演算ステップと、
前記ケーブルの任意の断面積を入力するケーブル断面積入力ステップと、
前記ケーブルの任意の径間長を入力するケーブル径間長入力ステップと、
前記ケーブルの任意の断面積、及び前記ケーブルの任意の径間長に基づいて、前記ケーブルの長さに変換して、前記ケーブル事故点位置演算ステップに出力するケーブル長換算演算ステップと、を夫々実行し、
前記仮想高圧ブリッジ測定ステップは、
前記検流メータのゼロ点の位置に対する指針の位置のずれ比に基づいて、ゼロ点調整演算値を演算するゼロ点演算ステップと、
前記仮想直流高圧発生ステップから入力された前記直流電圧の電圧値、及び電流値、前記ケーブル事故点位置演算ステップから入力されたケーブルの事故点位置、前記ゼロ点演算ステップから入力されたゼロ点調整演算値に基づいて、事故点位置を演算する事故点位置演算ステップと、
を夫々実行することを特徴とするシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーションプログラム、及びシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属芯線ケーブルの故障点を測定する方法としては、マーレーループ法による測定が知られている。例えば、この種の測定方法として、極性の異なる電流を流して測定することにより誤差を少なくする方法、また、電位式マーレーループ法による測定において過渡現象を解析した方法、さらに、トランスの巻線抵抗による誤差を無くす方法、また、電力ケーブルの故障点の測定において、他の活線状態のケーブルからの誘導の影響を除去する方法等が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、通信または送配電用の金属芯線ケーブルの故障点の測定を簡便な方法で容易にすることを目的として、故障した通信または送配電用の金属芯線ケーブルとこの故障したケーブルに並行している健全なケーブルを組み合わせてブリッジ回路を構成し、健全なケーブルと故障したケーブルの接続点から故障点までとの抵抗比を求めて故障点を検出するマーレーループ法を用いてケーブルの故障点を測定する測定方法において、接続点と故障したケーブルとの間に抵抗素子を接続することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-91022公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のマーレーループ法による測定にあっては、固定の長さ及び固定の断面積を有するケーブルを対象としていたため、任意の長さ及び任意の断面積を有するケーブルについては事故点を測定することができないという問題があった。
本発明の一実施形態は、上記に鑑みてなされたもので、その目的として、任意の長さ、及び任意の区間を有するケーブルであってもマーレーループ法により事故点の探索をシミュレーションすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するたに、請求項1記載の発明は、コンピュータを用いて、マーレーループ法に従って仮想空間に設けられたケーブル上の事故点の位置を算出するシミュレーションプログラムであって、前記コンピュータを、1対の前記ケーブルの各一端を測定端として仮想的に接続し、前記各測定端間に可変抵抗、及び固定抵抗を仮想的に直列に接続するとともに、前記各ケーブルの各他端間を仮想的に短絡させることにより形成する仮想ブリッジ回路、前記仮想ブリッジ回路の前記各測定端間に流れる電流を検流メータにより仮想的に検出する仮想高圧ブリッジ測定部、前記可変抵抗と前記固定抵抗との間の接続点と、接地との間に直流電圧を仮想的に印加する仮想直流高圧発生部、前記ケーブルの任意の長さ、前記ケーブルの任意の区間、前記区間における事故点の径間位置に基づいて、前記ケーブルの前記測定端からの事故点位置を演算して、前記ケーブルの事故点位置を前記仮想高圧ブリッジ測定部に出力するケーブル事故点位置演算部前記ケーブルの任意の断面積を入力するケーブル断面積入力部と、前記ケーブルの任意の径間長を入力するケーブル径間長入力部と、前記ケーブルの任意の断面積、及び前記ケーブルの任意の径間長に基づいて、前記ケーブルの長さに変換して、前記ケーブル事故点位置演算部に出力するケーブル長換算演算部と、として夫々機能させ、前記仮想高圧ブリッジ測定部は、前記検流メータのゼロ点の位置に対する指針の位置のずれ比に基づいて、ゼロ点調整演算値を演算するゼロ点演算部と、前記仮想直流高圧発生部から入力された前記直流電圧の電圧値、及び電流値、前記ケーブル事故点位置演算部から入力されたケーブルの事故点位置、前記ゼロ点演算部から入力されたゼロ点調整演算値に基づいて、事故点位置を演算する事故点位置演算部と、として夫々機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、任意の長さ、及び任意の区間を有するケーブルであってもマーレーループ法により事故点の探索をシミュレーションすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)はマーレーループ法による測定回路を説明するための概要図であり、(b)は図1(a)の等価回路を示す回路図である。
図2】(a)は本発明の一実施形態に係るシミュレーション装置がネットワークを介して対向しているシステムを示すブロック図であり、(b)は本発明の一実施形態に係るシミュレーション装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
図3】主制御部によりOS管理下で実行される複数種類の機能モジュールを示す機能ブロック図である。
図4】主制御部によりOS管理下で実行される複数種類の機能モジュールを示す機能ブロック図である。
図5】仮想絶縁抵抗測定部について説明するための概要図である。
図6】仮想テスタ測定部について説明するための概要図である。
図7】仮想直流高圧発生部について説明するための概要図である。
図8】仮想高圧ブリッジ測定部について説明するための概要図である。
図9】A地点から鉄塔TWに至る各区間に配置されるケーブルと仮想高圧ブリッジ測定部、仮想直流高圧発生部を示す仮想空間上の回路図である。
図10】A地点から鉄塔TWに至るルート諸元を入力する際に用いるルート諸元表を示す図である。
図11】想定可能な事故点を設定する際に用いる事故点設定表を示す図である。
図12】その他の設定事項を入力する際に用いるその他設定表を示す図である。
図13】マーレーループのゼロ点ずれを入力する際に用いるマーレーループゼロ点ずれ入力表を示す図である。
図14】(a)は予備測定として1000Vメガーを用いた場合のメガー予備測定解答表を示す図であり、(b)は予備測定としてテスタを用いた場合のテスタ予備測定解答表を示す図であり、(c)は事故点探索の対象になるケーブルの事故点探索・径間換算表を示す図であり、(d)はマーレーループ法による測定値解答表を示す図であり、(e)は事故点を特定した事故点特定解答表を示す図である。
図15】講師と研修受講者が行う操作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、任意の長さ、及び任意の区間を有するケーブルであってもマーレーループ法により事故点の探索をシミュレーションするために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明のシミュレーションプログラムは、コンピュータを用いて、マーレーループ法に従って仮想空間に設けられたケーブル上の事故点の位置を算出するシミュレーションプログラムであって、コンピュータを、1対のケーブルの各一端を測定端として仮想的に接続し、各測定端間に可変抵抗、及び固定抵抗を仮想的に直列に接続するとともに、各ケーブルの各他端間を仮想的に短絡させることにより形成する仮想ブリッジ回路、仮想ブリッジ回路の各測定端間に流れる電流を検流メータにより仮想的に検出する仮想高圧ブリッジ測定部、可変抵抗と固定抵抗との間の接続点と、接地との間に直流電圧を仮想的に印加する仮想直流高圧発生部、ケーブルの任意の長さ、ケーブルの任意の区間、区間における事故点の径間位置に基づいて、ケーブルの測定端からの事故点位置を演算して、ケーブルの事故点位置を仮想高圧ブリッジ測定部に出力するケーブル事故点位置演算部、として夫々機能させることを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、任意の長さ、及び任意の区間を有するケーブルであってもマーレーループ法により事故点の探索をシミュレーションすることができる。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
上記の本発明の特徴に関して、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
<マーレーループ法>
図1(a)は、マーレーループ法による測定回路を説明するための概要図である。図1(b)は、図1(a)の等価回路を示す回路図である。
図1に示すように、通信または送配電用の金属芯線ケーブルの故障点を測定する測定装置1は、故障した金属芯線ケーブルKと故障した金属芯線ケーブルKに並行に配設されている健全な金属芯線ケーブルK(金属芯線ケーブルKと同じ材質のもの)を組み合わせてブリッジ回路1を構成する。
このブリッジ回路1は、可変抵抗R(抵抗値R)、抵抗R(抵抗値R)、ケーブルKの金属芯線の端部から故障点Pまでの抵抗値(R)、ケーブルKの両端部間の金属芯線の抵抗値RとケーブルKの金属芯線の端部から故障点Pまでの抵抗値(R-R)により構成される。
可変抵抗Rと抵抗Rの接続点と故障点Pとの間に、接地抵抗を介して直流電源Eが接続され、可変抵抗RとケーブルKの端部との接続点と、抵抗RとケーブルKの端部との接続点との間に検流計Gが接続されている。
そして、マーレーループ法により、健全な金属芯線ケーブルKと故障した金属芯線ケーブルKの金属芯線の端部から故障点Pまでとの抵抗比を求めて、故障点Pを検出する。
【0011】
上記構成の金属芯線ケーブルKの故障点Pのブリッジ回路1は、以下の関係が成立する。なお、金属芯線ケーブルK、Kの両端部間の抵抗成分をRとする。
この場合、検流計Gに電流が流れなくなるように、可変抵抗Rの抵抗値Rを調整すると、
/R=(2R-R)/R (1)
となる。これより、
/R=(2R)/(R+R)R (2)
となる。また、金属芯線ケーブルKの両端部間および金属芯線ケーブルKの両端部間の長さが等しいこととして、それぞれの長さをLとし、端部22aから故障点Pまでの金属芯線の長さをLとすると、
/R=L/L (3)
であるので、
=(R/R)L (4)
となる。これによりLが判明していれば、式(2)および式(4)によってLを算出することができるので、故障点Pの位置を求めることができる。
【0012】
<シミュレーションシステム>
図2(a)は、本発明の一実施形態に係るシミュレーション装置がネットワークを介して対向しているシステムを示すブロック図である。
シミュレーション装置であるパーソナルコンピュータは、ネットワークN1を介して接続されており、それぞれ講師用PC10A、研修受講者用PC10Bとして用いられる。
【0013】
<シミュレーション装置>
図2(b)は、本発明の一実施形態に係るシミュレーション装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
シミュレーション装置10は、パーソナルコンピュータであり、主制御部12、表示制御部14、表示部16、操作部18、ハードディスクHD20を備えている。
主制御部12は、内部にCPU(central processing unit)12a、ROM(read only memory)12b、RAM(random access memory)12c、タイマ12dを備えている。CPU12aは、ROM12bからオペレーティングシステムOSを読み出してRAM12c上に展開してOSを起動し、OS管理下において、ROM12bからアプリケーションソフトウエアのプログラム(処理モジュール)を読み出し、各種処理を実行する。
表示制御部14は、主制御部12から入力される画像をVRAM上に描画して表示部16に表示させる。
通信部15は、ネットワークN1を介して他のパーソナルコンピュータに接続されている。
表示部16は、表示制御部14がVRAM上に描画した画像を表示する。
操作部18は、キーボードやマウスなどを備えている。
ハードディスクHD20は、データベースDBを備えている。
【0014】
<機能ブロック図>
図3図4は、主制御部12によりOS管理下で実行される複数種類の機能モジュールを示す機能ブロック図であり、アプリケーションソフトウエアとして、表計算ソフトウエアであるエクセル(登録商標)上において実行されるプログラムであってもよい。
【0015】
<仮想入力部>
仮想入力部22は、以下の機能モジュールを備えている。
ケーブル断面積入力部M1は、ケーブルサイズであるケーブルの断面積(mm)を入力して、ケーブル長換算演算部M5へ出力する。
ケーブル径間長入力部M2は、区間毎のケーブル長(m)を入力して、ケーブル長換算演算部M5へ出力する。図9を参照して、区間としてA-P1、P1-P2、P2-P3、P3-P4、P4-P5を想定する。
【0016】
事故点入力部M3は、事故点の位置とその位置を表す区間位置を入力して、ケーブル事故点位置演算部M6へ出力する。
マーレーループゼロ点ずれ入力部M4は、マーレーループにおけるゼロ点ずれ(%)を入力して、ゼロ点演算部M15に出力する。
ケーブル長換算演算部M5は、入力されたケーブルの断面積(mm)、区間毎のケーブル長(m)に基づいて区間毎のケーブル長に換算して、ケーブル事故点位置演算部M6に出力する。
ケーブル事故点位置演算部M6は、区間毎のケーブル長、事故点の位置とその位置を表す区間位置に基づいて、ケーブル事故点の位置が測定端Aから何%の位置にあるかを演算して、その結果(測定端Aから何%の位置)を事故点位置演算部M16に出力する。
【0017】
<仮想直流高圧発生部>
仮想直流高圧発生部24は、以下の機能モジュールを備えている。
電力選択部M7は、パワースイッチ24aのON/OFF操作を入力して、ON信号又はOFF信号を電圧調整部M8へ出力する。
電圧調整部M8は、電力選択部M7からON信号が入力されている場合に、UPスイッチ24b、DOWNスイッチ24cへの操作を入力して、電圧値を調整する。
電圧値表示部M9は、電圧メータ24dに電圧値を表示する。
電流値表示部M10は、電流メータ24eに電流値を表示する。
条件判定部M11は、電圧値が0Vであり、且つ、電流値が5~20mAであるか否かを判定して、電圧値、電流値、及び判定結果を事故点位置演算部M16へ出力する。
【0018】
<仮想高圧ブリッジ測定部>
仮想高圧ブリッジ測定部26は、以下の機能モジュールを備えている。
機能選択部M12は、機能ダイアル26aを回転操作して、地絡モード(EARTH FAULT)に切り替える。
感度調整部M13は、UPスイッチ26b、DOWNスイッチ26cへの操作を入力して、感度値を調整する。
ゼロ点調整部M14は、UPスイッチ26d、DOWNスイッチ26eへの操作を入力して、ゼロ点を調整する。
【0019】
ゼロ点演算部M15は、マーレーループゼロ点ずれ入力部M4からゼロ点ずれ(%)を入力して、ゼロ点を演算し、その結果(ゼロ点)を出力する。
事故点位置演算部M16は、ケーブル事故点位置演算部M6から入力された結果(測定端Aから何%の位置)、条件判定部M11から入力された結果(電圧値、電流値、及び判定結果)、ゼロ点演算部M15から入力された結果(ゼロ点)に基づいて、条件判定部M11から入力された電圧値0V、電流値5~20mAを満足した場合に、ケーブル事故点位置演算部M6から入力された結果(ケーブル事故点位置)にゼロ点演算部M15から入力された結果(ゼロ点調整結果)を演算して、その結果をブリッジ回路平衡演算部M18に出力する。
比例辺調整部M17は、感度調整部M13から入力された結果(感度値)に基づいて、比例辺(RATIO ARM)を調整して、調整結果をブリッジ回路平衡演算部M18に出力する。
【0020】
ブリッジ回路平衡演算部M18は、事故点位置演算部M16から入力された結果(事故点演算値)、比例辺調整部M17から入力された結果(調整結果)に基づいて、ブリッジ回路の平衡演算を行い、演算結果を平衡状態表示部M19、ブリッジ回路平衡値表示部M20へ出力する。
平衡状態表示部M19は、ゼロ点演算部M15から入力された結果(ゼロ点)、ブリッジ回路平衡演算部M18から入力された結果(演算値)に基づいて、両結果の平衡状態を検流メータ26fに表示する。
ブリッジ回路平衡値表示部M20は、ブリッジ回路平衡演算部M18から入力された結果(演算値)に基づいて、ブリッジ回路の平衡値を表示する。
【0021】
<仮想入力部>
仮想入力部28は、以下の機能モジュールを備えている。
メガー値入力部M21は、メガー値を入力して、絶縁抵抗測定箇所判定部M27へ出力する。
事故相入力部M22は、事故相(赤・白・青のうち何れか1つ)を入力して、絶縁抵抗測定箇所判定部M27へ出力する。
【0022】
地絡抵抗入力部M23は、地絡抵抗値を入力して、仮想絶縁抵抗測定部30へ出力する。
テスタ抵抗値入力部M24は、テスタ抵抗値を入力して、仮想絶縁抵抗測定部30へ出力する。
テスタ電圧値入力部M25は、テスタ電圧値を入力して、仮想絶縁抵抗測定部30へ出力する。
【0023】
<仮想絶縁抵抗測定部>
仮想絶縁抵抗測定部30は、以下の機能モジュールを備えている。
測定箇所選択部M26は、測定箇所(各相-対地間)を選択して、絶縁抵抗測定箇所判定部M27へ出力する。
絶縁抵抗測定箇所判定部M27は、メガー値入力部M21から入力された結果(メガー値)、事故相入力部M22から入力された結果(事故相)、測定箇所選択部M26から入力された結果(測定箇所(各相-対地間))に基づいて、選択された各相-対地間、相間に対応するメガー値を絶縁抵抗測定値表示部M28に出力する。
絶縁抵抗測定値表示部M28は、絶縁抵抗測定箇所判定部M27から入力された結果(絶縁抵抗測定値)を表示する。
【0024】
<仮想テスタ測定部>
仮想テスタ測定部32は、以下の機能モジュールを備えている。
テスタレンジ測定部M29は、テスタレンジとして抵抗値(Ω、kΩ、MΩ)を入力し、電圧レンジとして電圧(V、kV、V[DC])を入力する。
テスタ測定箇所判定部M30は、事故相入力部M22から入力された結果(事故相)、地絡抵抗入力部M23から入力された結果(地絡抵抗値)、テスタ抵抗値入力部M24から入力された結果(テスタ抵抗値)、テスタ電圧値入力部M25から入力された結果(テスタ電圧値)に基づいて、測定箇所が各相-対地間か、相間かを判定し、テスタレンジ判定部M31に出力する。
テスタレンジ判定部M31は、テスタレンジとして抵抗値(Ω、kΩ、MΩ)、電圧レンジとして電圧(V、kV、V[DC])を判定する。
テスタ測定値表示部M32は、テスタによる測定値を表示する。
【0025】
<仮想絶縁抵抗測定部>
図5は、仮想絶縁抵抗測定部30について説明するための概要図である。
図5に示すように、仮想絶縁抵抗測定部30には、電源スイッチ30a、メータ30b、リード線30c、リード線30dが設けられている。リード線30cの接続先30eは、図9に示す各点を対象としており、例えば、赤色、白色、青色で色分けされている。
一方、リード線30dの接続先30fは、図9に示す各点を対象としており、例えば、赤色、白色、青色で色分けされ、さらに接地が設けられている。
仮想絶縁抵抗測定部30を用いて、図9に示す各点を対象とし、両方のリード線が接続される各対象間の絶縁抵抗を測定することができる。
【0026】
<仮想テスタ測定部>
図6は、仮想テスタ測定部32について説明するための概要図である。
図6に示すように、仮想テスタ測定部32には、電源スイッチ32a、デジタルメータ32b、リード線32c、リード線32d、測定レンジ32eが設けられている。リード線32cの接続先30fは、図9に示す各点を対象としており、例えば、赤色、白色、青色で色分けされている。
一方、リード線32dの接続先32gは、図9に示す各点を対象としており、例えば、赤色、白色、青色で色分けされ、さらに接地が設けられている。
仮想テスタ測定部32を用いて、図9に示す各点を対象とし、両方のリード線が接続される各対象間の電圧、抵抗を測定することができる。
測定レンジ32eには、テスタレンジとして抵抗値(Ω、kΩ、MΩ)、電圧レンジとして電圧(V、kV、V[DC])が設けられている。
【0027】
<仮想直流高圧発生部>
図7は、仮想直流高圧発生部24について説明するための概要図である。
図7に示すように、仮想直流高圧発生部24には、パワースイッチ24a、UPスイッチ24b、DOWNスイッチ24c、電圧メータ24d、電流メータ24eが設けられている。
パワースイッチ24aは、ON/OFF操作を入力して、ON信号又はOFF信号を出力する。
UPスイッチ24b、DOWNスイッチ24cは、UP/DOWN操作を入力して、UP/DOWN操作に応じて電圧値を調整する。
電圧メータ24dは、電圧値を表示する。
電流メータ24eは、電流値を表示する。
【0028】
<仮想高圧ブリッジ測定部>
図8は、仮想高圧ブリッジ測定部26について説明するための概要図である。
図8に示すように、仮想高圧ブリッジ測定部26には、機能ダイアル26a、UPスイッチ26b、DOWNスイッチ26c、UPスイッチ26d、DOWNスイッチ26e、検流メータ26f、UPスイッチ26g、DOWNスイッチ26h、比例辺26iが設けられている。
機能ダイアル26aは、回転操作して、複数のモードから地絡モード(EARTH FAULT)に切り替える。
UPスイッチ26b、DOWNスイッチ26cは、それぞれのへの操作を入力して、感度値を調整する。
UPスイッチ26d、DOWNスイッチ26eは、それぞれへの操作を入力して、ゼロ点を調整する。
検流メータ26fは、平衡状態を表示する。
UPスイッチ26g、DOWNスイッチ26hは、それぞれへの操作を入力して、比例辺26iの位置を0~100%の間で調整する。
【0029】
<仮想空間上の回路>
図9は、A地点から鉄塔TWに至る各区間に配置されるケーブルと仮想高圧ブリッジ測定部、仮想直流高圧発生部を示す仮想空間上の回路図である。
主制御部12(コンピュータ)上のRAM12cに形成された仮想空間40には、仮想直流高圧発生部24、仮想ブリッジ回路26A、ケーブル42等が設けられている。
ケーブル42は、例えば、並行に設けられた3相のケーブル42R,42S,42Tを備え、3相のケーブルのうちのいずれか2本をシミュレーションの対象とする。
ケーブル42は、測定端Aから他端Pまでの間に設けられ、その途中には仮想的なマンホールP~Pが設けられており、他端Pには終端線Lが接続されることにより、短絡される。
【0030】
仮想ブリッジ回路26Aは、1対のケーブル(42R,42S,42Tのうちのいずれか2本)の各一端を測定端Aとして仮想的に接続し、各測定端A間に可変抵抗R、及び固定抵抗Rを仮想的に直列に接続するとともに、各ケーブルの各他端P間を終端線Lにより短絡させることにより形成する。
仮想直流高圧発生部24は、可変抵抗Rと固定抵抗Rとの間の接続点と、接地GNDとの間に直流電圧を印加する。
【0031】
<ルート諸元表>
図10は、A地点から鉄塔TWに至るルート諸元を入力する際に用いるルート諸元表を示す図である。
図10に示すように、ルート諸元表50には、縦方向に区間、ケーブル種類、ケーブルサイズ(断面積mm)、径間長(m)が夫々に記載されている。ルート諸元表50には、横方向にA-P、P-P、P-P、P-P、P-Pが夫々に記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、ルート諸元表50の記載内容は空欄になっており、ユーザによる操作に応じて、例えば、図10に示すように、入力データがルート諸元表50に記載される。
【0032】
<事故点設定表>
図11は、想定可能な事故点を設定する際に用いる事故点設定表を示す図である。
図11に示すように、事故点設定表54には、縦方向に事故相、横方向に事故点(接続箱は0m入力)地絡抵抗が夫々に記載されている。
事故点設定表54には、横方向に白相(R相)、Pから0m、25kΩが夫々に記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、事故点設定表54の記載内容は空欄になっており、ユーザによる操作に応じて、例えば、図11に示すように、入力データが事故点設定表54に記載される。
【0033】
<その他設定入力表>
図12は、その他の設定事項を入力する際に用いるその他設定表を示す図である。
図12に示すように、その他設定表58には、横方向に事故相(通常)、メガー(2000MΩ)、テスタ抵抗(0Ω)、テスタ電圧(0V)が夫々に記載されている。その他設定表58には、縦方向に事故相(通常)、赤-青、赤-白、白-青が夫々に記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、その他設定表58の記載内容は空欄になっており、ユーザによる操作に応じて、例えば、図12に示すように、入力データがその他設定表58に記載される。
【0034】
<ゼロ点ずれ入力表>
図13は、マーレーループのゼロ点ずれを入力する際に用いるマーレーループゼロ点ずれ入力表を示す図である。
図13に示すように、ゼロ点ずれ入力表60には、横方向にマーレーループゼロ点ずれ(%)、「63」が夫々に記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、ゼロ点ずれ入力表60の記載内容は「63%」になっており、ユーザによる操作に応じて、ゼロ点ずれ入力表60に入力データが記載される。
【0035】
<解答表>
図14は、演算結果の内容を含む解答表を示す図である。
<メガー予備測定解答表>
図14(a)は、予備測定として1000Vメガーを用いた場合のメガー予備測定解答表を示す図である。
図14(a)に示すように、メガー予備測定解答表62には、横方向に遠端開放、抵抗(MΩ)、遠端開放、抵抗(MΩ)が夫々に記載されている。メガー予備測定解答表62には、縦方向に赤-E、白-E、青-E、判定が夫々に記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、メガー予備測定解答表62の記載内容は空欄になっており、出題者である講師による操作に応じて、メガーから読み取った抵抗値に対する回答が入力データとして記載される。
図14(a)に示す例では、ユーザによる判定結果として、白相に地絡が発生し、短絡がない状態を表している。
【0036】
<テスタ予備測定解答表>
図14(b)は、予備測定としてテスタを用いた場合のテスタ予備測定解答表を示す図である。
図14(b)に示すように、テスタ予備測定解答表64には、横方向に遠端開放、抵抗(Ω)、遠端開放、抵抗(Ω)、電圧(V)が夫々に記載されている。テスタ予備測定解答表64には、縦方向に赤-E、白-E、青-E、判定が夫々に記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、テスタ予備測定解答表64の記載内容は空欄になっており、講師による操作に応じて、テスタから読み取った抵抗値に対する解答が入力データとして記載される。
図14(b)に示す例では、ユーザによる判定結果として、白相に地絡が発生し、断線がない状態、電圧の影響がない状態を表している。
【0037】
<事故点探索・径間換算表>
図14(c)は、事故点探索の対象になるケーブルの事故点探索・径間換算表を示す図である。
図14(c)に示すように、事故点探索・径間換算表66には、横方向に位置名、換算径間長、累計が夫々に記載されている。事故点探索・径間換算表66には、縦方向に位置名であるA、P、P、P、P、P、(計)が夫々に記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、事故点探索・径間換算表66の記載内容は空欄になっており、講師による操作に応じて、換算径間長、累計に対する解答が入力データとして記載される。
なお、事故点探索・径間換算表66では、A-P間に設けられたケーブル(CV800mm)が基準となる。
【0038】
<マーレーループ法による測定値解答表>
図14(d)は、マーレーループ法による測定値解答表を示す図である。
図14(d)に示すように、マーレーループ法による測定値解答表68には、横方向に指示値として58.6%が記載されている。
本発明のシミュレーションプログラムを起動した段階、すなわち、初期状態であるデフォルト状態では、マーレーループ法による測定値解答表68の記載内容は空欄になっており、講師による操作に応じて、指示値に対する解答が入力データとして記載される。
【0039】
<事故点特定解答表>
図14(e)は、事故点を特定した事故点特定解答表を示す図である。
図14(e)に示すように、事故点特定解答表70には、換算後A点から事故点までの距離として、「1198m」と解答されており、これは2029m×58.6%の位置であることを示している。
事故点特定解答表72には、換算後事故点若側PNo.として、「P」と解答されている。また、事故点特定解答表72には、換算後事故点若側Pから事故点までの距離「0m」と解答されている。さらに、事故点特定解答表72には、換算前後事故点若側Pから事故点までの距離「0m」と解答されており、これは0m×800mm/1000mmの位置であることを示している。
事故点特定解答表74には、事故点として、「Pから0m地点」と解答されている。
【0040】
<手順フロー>
図15は、講師と研修受講者が行う操作手順を示すフローチャートである。
講師、研修受講者は、それぞれ講師用PC10A、研修受講者用PC10Bを用いて上述したシミュレーションプログラムを実行する。この際、講師用PC10Aと研修受講者用PC10Bとの間はネットワークを介して接続されていることとする。
ステップS5では、講師は、講師用PC10Aに対して、講師用シートに問題設定・解答を入力する。
ステップS10では、講師は、講師用PC10Aに対して、ルート諸元表(図10)、事故点設定表(図11)、その他設定表(図12)に対して、任意の値を入力する。
ステップS15では、講師は、講師用PC10Aに対して、配布用シートに問題設定を入力する。
ステップS20では、講師は、講師用PC10Aに対して、配布用シートをネットワークを介して研修受講者用PC10Bへ配布する。この結果、ネットワークを介して講師用PC10Aから研修受講者用PC10Bへ配布用シートが配布される。
【0041】
ステップS25では、研修受講者は、電卓等を用いて、研修受講者用PC10Bに表示されている配布用シートに含まれる問題設定、ルート諸元表(図10)に対して、換算径間長、及び累計を算出する。
ステップS30では、研修受講者は、シート(メガー予備測定解答表、テスタ予備測定解答表)を参照して、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想絶縁抵抗測定部30や仮想テスタ測定部32を操作して予備測定を行う。
ステップS35では、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている1000Vメガーである仮想絶縁抵抗測定部30を用いて絶縁抵抗を測定してシート(メガー予備測定解答表)に記入する。ここで、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想絶縁抵抗測定部30を用いて、各相-対地間についての事故相を特定(図14(a))する。また、各相-相間についての短絡有無を判定する。
【0042】
ステップS40では、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想テスタ測定部32を用いて抵抗を測定してシート(テスタ予備測定解答表)に記入する。ここで、研修受講者は、仮想テスタ測定部32を用いて、各相-対地間についての事故相を特定(図14(a))する。また、図9に示す遠端(P5)を短絡して、各相-相間についての各相間の交流電圧を測定する。
ステップS45では、研修受講者は、高圧マーレーループ法を適用可能か否かを判断する。
ステップS50では、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されているシート(事故点探索・径間換算表)を参照して、マーレーループ法による測定値解答表に対して記入する。
【0043】
ステップS55では、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想高圧ブリッジ測定部26を設定する。
<測定手順[1]>
ステップS60では、研修受講者は、測定手順によりケーブル事故点の探索(図3に示す機能選択部M12、及び電力選択部M7)を行う。
まず、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想高圧ブリッジ測定部26の機能ダイアル26aを回転操作して、地絡モード(EARTH FAULT)に切り替える。
次に、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている感度調整部M13のUPスイッチ26b、DOWNスイッチ26cを操作して、感度値を調整する。
次に、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されているゼロ点調整部M14のUPスイッチ26d、DOWNスイッチ26eを操作して、ゼロ点を調整する。
次に、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想高圧ブリッジ測定部26の機能ダイアル26aを回転操作して、入力ショートモードに切り替える。
【0044】
<測定手順[2]>
次に、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想直流高圧発生部24の電力選択部M7のパワースイッチ24aをON操作して、ON信号を電圧調整部M8へ出力する。
電圧調整部M8は、電力選択部M7からON信号が入力されている場合に、UPスイッチ24b、DOWNスイッチ24cを操作して、電圧値を調整する。この際、5~20mAの安定した電流が流れるように調整する。
【0045】
<測定手順[3]>
次に、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想高圧ブリッジ測定部26の機能ダイアル26aを回転操作して、地絡モード(EARTH FAULT)に切り替える。
次に、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている比例辺調整部M17の比例辺(RATIO ARM)を調整して、調整結果をブリッジ回路平衡演算部M18に出力する。この際、検流メータの指示がゼロになるように調整する。
次に、研修受講者は、研修受講者用PC10Bに表示されている仮想高圧ブリッジ測定部26の比例辺26iが指示している値を読み取る。
【0046】
ステップS65では、受講生は、受講生用PC10Bを介してマーレーループ法により測定した測定値を読み取る。
ステップS70では、講師は、講師用PC10Aを介して事故点を特定するための配布用シートを研修受講者に配布する。
ステップS75では、研修受講者は、電卓等を用いて、研修受講者用PC10Bに表示されている配布用シートに含まれる問題設定(図14)に対して、事故点特定に必要なケーブル長換算値(図14(c))を算出する。
ステップS80では、受講生は、実際のケーブル長へ逆算し、実際の事故点の位置を配布用シート(図14(e))に記入する。
【0047】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様のシミュレーションプログラムは、シミュレーション装置10(コンピュータ)を用いて、マーレーループ法に従って仮想空間に設けられたケーブル42上の事故点の位置を算出するシミュレーションプログラムであって、シミュレーション装置10を、1対のケーブル42の各一端を測定端Aとして仮想的に接続し、各測定端A間に可変抵抗R、及び固定抵抗Rを仮想的に直列に接続するとともに、各ケーブル42の各他端間を仮想的に短絡させることにより形成する仮想ブリッジ回路26A、仮想ブリッジ回路26Aの各測定端A間に流れる電流を検流メータにより仮想的に検出する仮想高圧ブリッジ測定部26、可変抵抗Rと固定抵抗Rとの間の接続点と、接地との間に直流電圧を仮想的に印加する仮想直流高圧発生部24、ケーブル42の任意の長さ、ケーブル42の任意の区間、区間における事故点の径間位置に基づいて、ケーブル42の測定端Aからの事故点位置を演算して、ケーブル42の事故点位置を仮想高圧ブリッジ測定部26に出力するケーブル事故点位置演算部M6、として夫々機能させることを特徴とする。
本態様によれば、各ステップをシミュレーション装置10に実行させることができ、その結果、任意の長さ、及び任意の区間を有するケーブルであってもマーレーループ法により事故点の探索をシミュレーションすることができる。
【0048】
<第2態様>
本態様のシミュレーションプログラムは、ケーブル42の任意の断面積を入力するケーブル断面積入力部M1、ケーブル42の任意の径間長を入力するケーブル径間長入力部M2、ケーブル42の任意の断面積、及びケーブル42の任意の径間長に基づいて、ケーブル42の長さに変換して、ケーブル事故点位置演算部に出力するケーブル長換算演算部M5、として機能させることを特徴とする。
本態様によれば、任意の断面積、任意の径間長に基づいて、ケーブルの長さに変換することができ、マーレーループ法により事故点の探索をシミュレーションすることができる。
【0049】
<第3態様>
本態様のシミュレーションプログラムは、ケーブル42の任意の区間、区間における事故点の径間位置を入力する事故点入力部M3、として機能させることを特徴とする。
本態様によれば、任意の区間、区間における事故点の径間位置を入力することにより、マーレーループ法により事故点の探索をシミュレーションすることができる。
【0050】
<第4態様>
本態様の仮想高圧ブリッジ測定部26は、検流メータのゼロ点の位置に対する指針の位置のずれ比に基づいて、ゼロ点調整演算値を演算するゼロ点演算部M15、仮想直流高圧発生部24から入力された直流電圧の電圧値、及び電流値、ケーブル事故点位置演算部M6から入力されたケーブル42の事故点位置(測定端Aから何%の位置)、ゼロ点演算部M15から入力されたゼロ点調整演算値に基づいて、事故点位置を演算する事故点位置演算部M16、として機能させることを特徴とする。
本態様によれば、ゼロ点調整演算値に基づいて、事故点位置を演算することができる。
【0051】
<第5態様>
本態様のシミュレーションプログラムは、操作に応じて感度値を仮想的に調整する感度調整部M13、感度調整部M13から入力された感度値に応じて比例辺を仮想的に調整する比例辺調整部M17、として機能させることを特徴とする。
本態様によれば、操作に応じて感度値を仮想的に調整して、この感度値に応じて比例辺を仮想的に調整することができる。
【0052】
<第6態様>
本態様のシミュレーションプログラムは、事故点位置演算部M16から入力された事故点位置、比例辺調整部M17から入力された比例辺の調整結果に基づいて、仮想ブリッジ回路26Aの平衡値を演算するブリッジ回路平衡演算部M18、ゼロ点演算部M15から入力されたゼロ点調整演算値に対する、仮想ブリッジ回路26Aから入力された平衡値の平衡状態を表示する平衡状態表示部M19、として機能させることを特徴とする。
本態様によれば、入力された平衡値の平衡状態を表示することができる。
【0053】
<第7態様>
本態様のシミュレーションプログラムは、ブリッジ回路平衡演算部M18から出力された平衡値を表示するブリッジ回路平衡値表示部M20、として機能させることを特徴とする。
本態様によれば、平衡値を表示することができる。
【0054】
<第8態様>
本態様のシミュレーション方法は、シミュレーション装置10(コンピュータ)を用いて、マーレーループ法に従って仮想空間に設けられたケーブル42上の事故点の位置を算出するシミュレーション方法であって、1対のケーブル42の各一端を測定端Aとして仮想的に接続し、各測定端A同士の間に可変抵抗R、及び固定抵抗Rを仮想的に直列に接続するとともに、各ケーブル42の各他端間を仮想的に短絡させることにより形成する仮想ブリッジ回路ステップと、仮想ブリッジ回路の各測定端A間に流れる電流を検流メータにより仮想的に検出する仮想高圧ブリッジ測定ステップ、可変抵抗Rと固定抵抗Rとの間の接続点と、接地との間に直流電圧を仮想的に印加する仮想直流高圧発生ステップと、
ケーブル42の任意の長さ、ケーブル42の任意の区間、区間における事故点の径間位置に基づいて、ケーブル42の測定端Aからの事故点位置を演算して、ケーブル42の事故点位置を仮想高圧ブリッジ測定部26に出力するケーブル事故点位置演算ステップと、を夫々実行することを特徴とする。
第8態様の作用、及び効果は第1態様と同様であるので、その説明を省略する。
【符号の説明】
【0055】
1…ブリッジ回路、10…シミュレーション装置、12…主制御部、12a…CPU、12b…ROM、12c…RAM、12d…タイマ、15…通信部、16…表示部、18…操作部、20…ハードディスクHD、22…仮想入力部、26…仮想高圧ブリッジ測定部、26A…仮想ブリッジ回路、28…仮想入力部、30…仮想絶縁抵抗測定部、32…仮想テスタ測定部、M1…ケーブル断面積入力部、M2…ケーブル径間長入力部、M3…事故点入力部、M4…入力部M、M5…ケーブル長換算演算部、M6…ケーブル事故点位置演算部、M7…電力選択部、M8…電圧調整部、M9…電圧値表示部、M10…電流値表示部、M11…条件判定部、M12…機能選択部、M13…感度調整部、M14…ゼロ点調整部、M14…表示制御部、M15…ゼロ点演算部、M16…事故点位置演算部、M17…比例辺調整部、M18…ブリッジ回路平衡演算部、M19…平衡状態表示部、M20…ブリッジ回路平衡値表示部、M21…メガー値入力部、M22…事故相入力部、M23…地絡抵抗入力部、M24…テスタ抵抗値入力部、24…仮想直流高圧発生部、M25…テスタ電圧値入力部、M26…測定箇所選択部、M27…絶縁抵抗測定箇所判定部、M28…絶縁抵抗測定値表示部、M29…テスタレンジ測定部、M30…テスタ測定箇所判定部、M31…テスタレンジ判定部、M32…テスタ測定値表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15