(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】積雪量監視装置
(51)【国際特許分類】
G01W 1/14 20060101AFI20230530BHJP
E06B 11/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G01W1/14 A
E06B11/02 Z
(21)【出願番号】P 2019055715
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝昭
(72)【発明者】
【氏名】山景 守
(72)【発明者】
【氏名】井上 康孝
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-088900(JP,U)
【文献】特開2016-138383(JP,A)
【文献】特開2013-119742(JP,A)
【文献】中国実用新案第201594146(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/14
E06B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口を形成する略垂直方向の2つの柱と、
一端が前記2つの柱のそれぞれに回動可能に取り付けられて、観音開きに開閉する2つの扉と、
前記柱に取り付けられる前記一端とは反対側の前記扉の他端に付する積雪量を示すマーク部材と、
を備えたことを特徴とする積雪量監視装置。
【請求項2】
前記他端は、略垂直方向に設けられた棒状部材から構成され、
前記マーク部材は、前記棒状部材に塗布する塗布部材であることを特徴とする請求項1に記載の積雪量監視装置。
【請求項3】
前記他端は、略垂直方向に設けられた棒状部材であり、
前記マーク部材は、前記棒状部材に貼り付ける貼付部材であることを特徴とする請求項1に記載の積雪量監視装置。
【請求項4】
前記マーク部材には、地面からの高さを示す数値が記載されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の積雪量監視装置。
【請求項5】
前記マーク部材は、除雪要請を示すマークであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の積雪量監視装置。
【請求項6】
前記
除雪要請を示すマークは、今後の積雪予測に基づき、異なる位置に複数設けられたものであることを特徴とする請求項5に記載の積雪量監視装置。
【請求項7】
前記扉どうしが閉じられた際に互いに接近する前記棒状部材の両方に、前記マーク部材を付することを特徴とする請求項2または3に記載の積雪量監視装置。
【請求項8】
前記扉どうしが閉じられた際に互いに接近する前記棒状部材の両方に、地面からの高さを示す数値が記載されたマーク部材を交互に付することを特徴とする請求項2または3に記載の積雪量監視装置。
【請求項9】
前記扉どうしが閉じられた際に互いに接近する前記棒状部材のいずれか一方には、地面からの高さを示す数値が記載されたマーク部材を付して、前記棒状部材の他方には、前記扉の上端からの長さを示す数値が記載されたマーク部材を付することを特徴とする請求項2または3に記載の積雪量監視装置。
【請求項10】
前記マーク部材を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像または映像を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載の積雪量監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積雪量を監視する積雪量監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、構内に移動機器を配備し、移動機器使用時の搬出に備える施設などにおいて、積雪が多い場合、移動機器使用時の搬出に備えるために、施設の構内除雪を実施している。移動機器使用は、非常時である場合が多く、いつでも搬出できるように(積雪で出入り口の扉の開放ができなくならないように)、定常的に除雪処理がなされている必要がある。
【0003】
豪雪地域ではないが、たとえば山陰地方など、毎年冬期には、複数回にわたって積雪が発生する地域においては、一般的に、作業効率や除雪にかかる諸経費を考慮して、構内除雪は、担当者の要請があった場合にのみおこなわれる。したがって、たとえば積雪量を目安に、適切なタイミングで除雪の要請をする必要がある。
【0004】
より具体的には、出願人が所有する施設がある地域においても、年に2~3回は、40cm~50cm程度の積雪となることがある。通常は、20cm~25cm程度の積雪となったら、除雪要請をおこなうことを慣行としている。
【0005】
関連する技術として、具体的には、たとえば、発光器に等間隔で垂直に配置された発光素子を設け、距離を隔てて配置される受光器の受光素子で受光するものとしないものとの位置から積雪高さを検出する積雪深計測装置に関する技術がある(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0006】
また、関連する技術として、具体的には、たとえば、上下方向に延在する支柱と、支柱に設けられ、雪を透過可能な第1の観測波を照射すると共に、反射層により反射された第1の観測波を検出する第1の観測波照射手段と、支柱に設けられ、雪面に反射層を形成する反射層形成手段と、第1の観測波照射手段による第1の観測波の検出結果を利用して、反射層上に積もった雪の深さを算出する演算手段と、を備える降雪深観測装置に関する技術がある(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【0007】
また、関連する技術として、具体的には、たとえば、積雪量を計測し、無線通信網を使用して計測データを管理部へ送信するセンサ機器部と、通信網と接続して送受信し、受信した計測データに基づいて除雪作業を開始すべきかを判別し、除雪作業開始信号を所定の通信先に送信指示する管理機器部と、除雪作業開始信号を受領する携帯端末からなる除雪作業開始システムに関する技術がある(たとえば、下記特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平4-140605号公報
【文献】特開2010-32381号公報
【文献】特開2009-257805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、積雪量を把握する基準が明確でないため、除雪を要請する判断が曖昧であった。通常、屋外における施設の構内のフェンス状の扉は、たとえば地上10cm程度は浮いた状態で設置されているため、10cm以下の積雪であれば、除雪の必要はない。また、10cm以上の積雪であっても、積雪量がさらに多少増える程度であれば、移動機器の搬出時に容易に除雪作業ができるので、この場合もまた、除雪の要請は必要ではない。ところが、それ以上になると、容易には除雪作業ができず、扉の開放に手間取り、緊急時の移動機器の搬出に支障を来してしまう。このような場合には、除雪の要請が必要となる。
【0010】
一方、必要以上に頻繁に除雪の要請をすることは、除雪作業員の負担を増加させることになるだけでなく、無駄な費用がかかり、経済的にも好ましくない。したがって、除雪の要請は、移動機器の搬出作業に支障を来さないのであれば、できるだけ少ない回数とするのが望ましい。
【0011】
このように、除雪の要請のタイミングは難しいにもかかわらず、その要請のタイミングの決定は、担当者の裁量に任されることが多い。したがって、十分に適切な除雪要請対応ができていないというのが現状である。
【0012】
また、従来における積雪量を監視するための装置は、大がかりな装置を用いるものが多く、それらは、いずれも、簡易にかつ安価に積雪量を監視することには適していないという問題点がある。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、積雪量の監視を確実におこなうことができ、積雪量の監視に基づく除雪の要請を効率的におこなうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる積雪量監視装置は、出入り口を形成する略垂直方向の2つの柱と、一端が前記2つの柱のそれぞれに回動可能に取り付けられて、観音開きに開閉する2つの扉と、前記柱に取り付けられる前記一端とは反対側の前記扉の他端に付する積雪量を示すマーク部材と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記他端が、略垂直方向に設けられた棒状部材から構成され、前記マーク部材が、前記棒状部材に塗布する塗布部材であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記他端が、略垂直方向に設けられた棒状部材であり、前記マーク部材が、前記棒状部材に貼り付ける貼付部材であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記マーク部材に、地面からの高さを示す数値が記載されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記マーク部材が、除雪要請を示すマークであることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記マーク部材が、今後の降雪予測に基づいて、当該マーク部材の前記棒状部材に付する位置を変更することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記扉どうしが閉じられた際に互いに接近する前記棒状部材の両方に、前記マーク部材を付することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記扉どうしが閉じられた際に互いに接近する前記棒状部材の両方に、地面からの高さを示す数値が記載されたマーク部材を交互に付することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記扉どうしが閉じられた際に互いに接近する前記棒状部材のいずれか一方には、地面からの高さを示す数値が記載されたマーク部材を付して、前記棒状部材の他方には、前記扉の上端からの長さを示す数値が記載されたマーク部材を付することを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる積雪量監視装置は、上記発明において、前記マーク部材を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された画像または映像を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
この発明にかかる積雪量監視装置によれば、積雪量の監視を確実におこなうことができ、積雪量の監視に基づく除雪の要請を効率的におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】屋外における施設の構内のフェンス状の扉の一例を示す説明図である。
【
図2】この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の一例を示す説明図である。
【
図3A】マーク部材と高さとの関係の一例を示す説明図である。
【
図3B】マーク部材と高さとの関係の別の一例を示す説明図である。
【
図3C】マーク部材と高さとの関係の別の一例を示す説明図である。
【
図4】この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
【
図5】この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
【
図6】この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
【
図7】この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
【
図8】この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
【
図9】この発明にかかる実施の形態の積雪量監視システムのシステム構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる積雪量監視装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
(積雪量監視装置の概要)
まず、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100の構成について説明する。
図1は、屋外における施設の構内のフェンス状の扉の一例を示す説明図である。施設は、通常、フェンス110で囲まれている。そして、屋外の施設において構内への出入り口として、左右対称の扉101が備えられている。その2つの扉101は、非常時の移動機器使用時の搬出をおこなうために、観音開きの構成となっている。
【0028】
したがって、二つの扉101の中央側の先端どうしを合わせるように回動させることで、出入り口を封鎖することができる。また、二つの扉101の中央側の先端どうしが離れるように回動させることで、出入り口を解放することができる。
【0029】
各扉101は、矩形の形状となるように、左右両側の縦棒部材111および112と、下側棒部材113と、上側棒部材114の各両端を固定し、左右両側の縦棒部材111および112と、下側棒部材113と、上側棒部材114とによって形成された矩形の中には、金網115を取り付ける。縦棒部材111、112、下側棒部材113、上側棒部材114の各棒状部材は、円柱形状(パイプ形状)であってもよく、また、四角形などの多角形の形状であってもよい。縦棒部材111、112、下側棒部材113、上側棒部材114は、具体的には、たとえばアルミニウムなどの軽量の金属の材質によって、形成されるとよい。
【0030】
扉101の左右端には、それぞれ柱102が設けられている。扉101の端部の縦棒部材112は、ヒンジ機能によって、柱102に取り付けられている。したがって、扉101は、そのヒンジ機能によって、柱102を軸として、手前方向あるいは奥方向に開閉することができる。そして、扉101の柱102側とは反対側の端部の縦棒部材111どうしが合わさることによって、出入り口が閉鎖される。
図1は、縦棒部材111どうしが合わさった状態であり、出入り口が閉鎖された状態を示している。
【0031】
また、両扉101の動きを規制するために、両扉101を横断するように、施錠棒116が設けられている。さらには、図示を省略するが、南京錠などを設けて、施錠棒116の動きを規制することによって、扉101の施錠をおこなうことができる。
【0032】
人や車両がこの出入り口を通行する際は、南京錠などを開錠し施錠棒116をずらすことで、扉101の回動の規制を解除し、その後、扉101を手前または奥側に所定の角度だけ回動する。これにより、人や車両がこの出入り口から通行可能となる。また、人や車両の通行を規制する場合は、これとは逆に、開いた状態の両扉101を回動させて扉101の縦棒部材111どうしを合わせた上で、施錠棒116を移動させ、南京錠などに施錠する。
【0033】
扉101の下側は、扉101の開閉を円滑にするために、地面から所定の距離、たとえば10cm程度の間が空いている、すなわち、地上10cm程度は浮いた状態で設置されている。このため、冬期に、10cm以下の積雪であったとしても、扉101の下側が、雪の影響を受けずに回動することができるので、10cm以下の積雪は、あえて除雪をする必要はない。また、10cm以上であっても、多少積雪量が増える程度であれば、簡単な除雪作業によって、扉101の回動を確保することができるので、除雪の要請は必要ない。
【0034】
ところが、それ以上になると、容易に除雪作業ができなかったり、除雪作業に時間がかかってしまい、扉101の開放に手間取って、緊急時の移動機器の搬出に支障を来してしまうことになる。積雪の予測はある程度できるものの、除雪の要請は、実際の積雪に基づくのが妥当であるため、除雪の要請の判断をすること、あるいは、その判断時期を決めるのが難しい場合が多く、判断ミスにより、除雪要請が遅れたり、また、無駄な除雪要請をおこなってしまったりということとなる。
【0035】
図2は、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の一例を示す説明図である。
図2において、扉を構成する縦棒部材111、下側棒部材113のうち、向かって右側の扉にのみ、帯状のマーク部材201~204を所定の間隔で付している。
【0036】
縦棒部材111には、3つの帯状のマーク部材202~204が付されており、各マークには、下から『20』、『30』、『40』の数字が記載されている。これらの数字は、地面からの高さを示しており、たとえば、『20』の数字が記載されたマーク部材202が、地面から20cmの高さにある。同様に、『30』の数字が記載されたマーク部材203が、地面から30cmの高さにある。
【0037】
下側棒部材113にも、帯状のマーク部材201が付されており、このマーク部材201には『10』の数字が記載されている。この数字からわかるように、下側棒部材113は、地面からの高さが約10cmであることを示している。
【0038】
マーク部材は、縦棒部材111に塗布する塗布部材であってもよい。また、マーク部材は、縦棒部材111に貼り付ける貼付部材であってもよい。具体的には、たとえば、縦棒部材111にペンキなどによってペインティングをしたり、マジックインキで書き込んだり、あるいは、テーピング、すなわち、テープを巻くなどして、マーク部材を縦棒部材111に付することができる。
【0039】
図2においては、縦棒部材111は、パイプ形状なので、扉101の金網115部分などに比べて、ペインティングやテーピングがしやすい。また、ペインティングやテーピングなどのマーキングは、雨や雪にも耐久性のあるものが望ましい。テーピングは、冬場のみテーピングを施し、夏場は取り外すことができるという効果を有する。これにより、夏場において、マーク部材201~204が付されたままになった状態となり、出入り口付近の景観を損ねてしまうことがない。
【0040】
このようにして、数字が記載された帯状のマーク部材201~204を、縦棒部材111および下側棒部材113に付することによって、積雪があった場合に、その積雪量が一目でわかるようになっている。より具体的には、たとえば、すべての数字『10』~『40』が見えていれば、積雪量は0(ゼロ)か10cm未満であることがわかる。また、縦棒部材111の『20』~『40』の数字が見えているが、下側棒部材113の『10』の数字が雪によって隠れていて見えない場合は、積雪は10cm以上20cm未満程度であることがわかる。
【0041】
同様に、縦棒部材111の『30』および『40』の数字が見えているが、縦棒部材111の『20』の数字が雪によって隠れている場合は、積雪が20cm以上30cm未満程度であり、縦棒部材111の『40』の数字が見えているが、縦棒部材111の『30』および『20』の数字が雪によって隠れている場合は、積雪が30cm以上40cm未満程度であることがわかる。そして、縦棒部材111のすべての数字『40』~『20』がすべて雪に隠れて見えない場合は、積雪が40cm以上であることがわかる。
【0042】
図3A~
図3Cは、マーク部材と高さとの関係の一例を示す説明図である。すなわち、数字が記載されたマークの位置と地面からの高さとの関係を示している。
図3Aでは、帯状のマークの上側を基準としている。すなわち、『30』の数字が記載されたマーク部材203の上側が地面から30cmの高さになるように、当該マーク部材203を縦棒部材111に付するようにする。同様に、『20』の数字が記載されたマーク部材202の上側が地面から20cmの高さになるように、当該マーク部材202を縦棒部材111に付するようにする。この場合、雪によって数字が完全に隠れたら、積雪がその高さに達していることがわかる。したがって、見えている数字から、隠れた数字を推測することになる。
【0043】
図3Bでは、帯状のマークの下側を基準としている。すなわち、『30』の数字が記載されたマーク部材203の下側が地面から30cmの高さになるように、当該マーク部材203を縦棒部材111に付するようにする。同様に、『20』の数字が記載されたマーク部材202の下側が地面から20cmの高さになるように、当該マーク部材202を縦棒部材に付するようにする。この場合、数字のすぐ下まで積雪があったら、その数字が積雪量を示しているということがわかる。
【0044】
図3Cでは、帯状のマークの中心付近を基準としている。すなわち、『30』の数字が記載されたマーク部材203の中心付近が地面から30cmの高さになるように、当該マーク部材203を縦棒部材111に付するようにする。同様に、『20』の数字が記載されたマーク部材202の中心付近が地面から20cmの高さになるように、当該マーク部材202を縦棒部材111に付するようにする。この場合、数字が半分程度、雪によって隠れたら、その数字が積雪量を示していることがわかる。
【0045】
図4は、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
図4においては、帯状のマーク部材401に数字を記載しない。より具体的には、帯状のマーク部材401の色によって、積雪量を確認するようにする。具体的には、縦棒部材111に付したマーク部材401に積雪が達した場合に、除雪要請をするとすればよい。積雪が達した場合とは、積雪が少しでもマーク部材401を隠した場合であってもよく、完全にマーク部材401を隠した場合であってもよく、また、マーク部材401の一部(たとえば半分程度)を隠した場合であってもよい。
【0046】
図4においては、下側のマーク部材402に達した場合は、観察要を示しており、上側のマーク部材401に達した場合は、即時、除雪要請をおこなうこととする。これらのマーク部材401、402の記載位置(高さ)は、過去の実績や、除雪要請してから除雪作業開始されるまでの時間などを考慮して定めるようにすればよい。また、マーク部材401とマーク部材402とで、異なる色にするようにしてもよい。
【0047】
図5は、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
図5においては、天気予報(積雪予報)による今後の天気(積雪)の状況を考慮して、複数のマークを付するものである。
図5に示すように、上側のマーク部材501には『晴』と記載されており、下側のマーク部材502には『雪』と記載されている。
【0048】
そして、今後の天気予報が「雪」の場合は、これからも積雪となることが予測できるので、積雪が下側の『雪』のマーク部材502に達した時点で、除雪要請をおこなう。一方、今後の天気予報が「晴れ」の場合は、積雪がない(あるいは少ない)と予測できるので、積雪が上側の『晴』のマーク部材501に達するまで待って、上側の『晴』のマーク部材501に達した時点で、除雪要請をおこなうようにするとよい。
【0049】
このように、積雪量監視装置100は、積雪予測(予報)に基づいて、より適切な除雪要請をおこなうことが可能となる。
【0050】
図6は、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
図6においては、帯状のマークを色で塗り分けるものである。下側棒部材113の全体と縦棒部材111の下側の所定の長さまでの領域601は、青色とする。その上の領域602を黄色とし、さらにその上の領域603を赤色とする。これは、信号機と同じ配色であり、積雪が青色マーク領域601に達している場合には、未だ積雪が少ないため、何もしない。積雪が黄色マーク領域602に達した場合は、要注意として、担当者に注意を促す。そして、積雪が赤色マーク領域603に達した場合は、除雪要請をおこなうようにする。
【0051】
色で塗り分けるだけでなく、
図6に示すように、青色マーク領域601に『青』、黄色マーク領域602に『黄』、赤色マーク領域603に『赤』の文字をそれぞれ記載するようにしてもよい。あるいは、図示を省略するが、『B(lue)』、『Y(ellow)』、『R(ed)』の文字をそれぞれ記載するようにしてもよい。これにより、担当者は信号機を想像し、直感的に、積雪量とマークの色との関係から、除雪要請の要否について判断することができる。
【0052】
図7は、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
図2~
図6においては、観音開きの2枚の扉101の一方(たとえば向かって右側)の扉101の縦棒部材111に各マークを付していた。これに対して、
図7においては、2枚の扉101の両方の縦棒部材111にマークを付するものである。
【0053】
このように、両方の縦棒部材111にマークを付することによって、いずれか一方の扉が、解放されていたり、積雪のため、マークの一部が見づらくなる場合にも、適切に積雪量を監視することができる。図示は省略するが、マークは、二つの扉の支柱に、同じものをそれぞれ施してもよく、また、それぞれ別のものを施してもよい。具体的には、たとえば、片方に数字を記載し、もう一方には、その他の文字、図形、記号などを記載するようにしてもよい。
【0054】
また、両方の縦棒部材111にマークを付することによって、扉が確実に閉じているかの確認も同時にすることができる。特に、後述する撮影部(カメラ)901を用いる遠隔監視において有効である。すなわち、積雪がない状態では、両方の縦棒部材111に数字が記載されているのが見えるが、扉が確実に閉じていない場合には、いずれかの数字が見えないまたは見えづらくなる。その場合は、扉異常を察知して、扉を閉じる処置を施すことができる。
【0055】
さらに、
図7にも示すように、高さに対して、右側の扉101の縦棒部材111と左側の扉の縦棒部材111に交互に付するようにしてもよい。具体的には、向かって右側の扉101の下側棒部材113に、『10』の数字のマーク部材701を付して、『30』の数字のマーク部材703、『50』の数字のマーク部材705は、向かって右側の扉101の縦棒部材111に付する。一方、向かって左側の扉101の縦棒部材111に対して、『20』の数字のマーク部材702、『40』の数字のマーク部材704、『60』の数字のマーク部材706を付するようにしてもよい。
【0056】
このように数字を交互に記載することにより、記載の手間を軽減できるとともに、いずれかの扉の数字が雪で見づらくなった場合でも、反対側の扉の上側の数字を見ることで、積雪量を確実に推測することができる。具体的には、『30』の数字が雪で隠れていても、反対側の扉の『40』の数字が見えていれば、そこから、積雪量を容易に推測することができる。
【0057】
図8は、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置の構成の別の一例を示す説明図である。
図8において、2つの扉101の縦棒部材111にはそれぞれ反対の数字が付いている。すなわち、扉101どうしが閉じられた際に互いに接近する縦棒部材111のうちの一方(向かって右側)の縦棒部材111に、地面からの高さを示す数値が記載されたマーク部材801~804を付して、他方(向かって左側)の縦棒部材111に、扉101の上端(上側棒部材114からの長さを示す数値が記載されたマーク部材805~808を付する。
【0058】
そうすることで、向かって右側の上側棒部材114に付されたマーク部材804を見ることにより、扉101の高さが200cmであることがわかるとともに、向かって左側の下側棒部材113に付されたマーク部材808を見ることによっても、扉の高さが200cmであることが容易に把握できる。
【0059】
また、向かって右側の縦棒部材111に付されたマーク部材803と、向かって左側の縦棒部材111に付されたマーク部材807を見て、同じ数字であることを確認することによって、この位置が扉の1/2の高さであることがわかるとともに、扉の1/2の高さが100cmであるから、全体の扉の高さが200cmであることを容易に推測することができる。これにより、積雪量だけでなく、扉101全体の大きさ(高さ)を直感的に把握することができる。特に、後述する撮影部(カメラ)901を用いる遠隔監視において有効である。
【0060】
図9は、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視システムのシステム構成の一例を示す説明図である。
図9において、マーク部材201などを撮影する撮影部901と、撮影部901によって撮影された画像または映像を、ネットワーク902を介して、遠隔地における表示部(ディスプレイ)903に表示することができる。
【0061】
撮影部901は、具体的には、たとえば、簡易型ITV(industrial television(監視カメラ))などであって、この簡易型ITVを扉101付近に設置する。そして、扉の縦棒部材111、下側棒部材113などを撮影できるようにする。
【0062】
それによって、現場、すなわち施設の出入り口(扉101)まで作業員が出向いて確認しなくても、遠隔地から、カメラの映像を表示部(ディスプレイ)903で見ることで、積雪量を容易に把握することができる。簡易型ITVは、固定カメラでもよく、また、可動式で、遠隔操作により、扉101の周辺も撮影できるものであってもよい。また、遠隔操作でズームできる機能を備えていてもよい。
【0063】
また、画像を解析できる機能を備え、撮影されたマーク部材の数字を読み取ることができるようにしてもよい。たとえば、「30」という数字が読み取れ、それより下の数字が(雪で隠れていて)読み取れなかった場合は、少なくとも20cm~30cmの積雪量であることを自動で認識することができ、その自動認識結果を表示部903に表示することができる。
【0064】
また、自動で認識することで、除雪要請のアラートを担当者に通報してもよく、また、除雪要請を自動でおこなうようにしてもよい。これにより、夜間などにおいて、多くの積雪があった場合であっても、より適切なタイミングで、除雪要請をすることが可能となる。
【0065】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、出入り口を形成する略垂直方向の2つの柱102と、一端(縦棒部材112)が2つの柱102のそれぞれに回動可能に取り付けられて、観音開きに開閉する2つの扉101と、柱102に取り付けられる一端(縦棒部材112)とは反対側の扉101の他端(縦棒部材111)に付する積雪量を示すマーク部材201~204、401、402、501、502、601~603、701~706、801~808と、を備えるので、より簡易かつ安価な構成で、扉101付近における積雪量を容易にかつより正確に確認することができる。
【0066】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、他端が、略垂直方向に設けられた縦棒部材111から構成され、マーク部材201などが、縦棒部材111に塗布する塗布部材であるので、マーク部材201などを縦棒部材111に容易に付することができる。
【0067】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、他端が、略垂直方向に設けられた縦棒部材111から構成され、マーク部材201などが、縦棒部材111に貼り付ける貼付部材であるので、マーク部材201などを縦棒部材111に容易に付することができ、かつ、容易に取り外すことができる。
【0068】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、マーク部材201などに、地面からの高さを示す数値が記載されているので、積雪量(高さの数値)を容易にかつより正確に確認することができる。
【0069】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、マーク部材401などが、除雪要請を示すマークであるので、そのマーク部材401を手がかりに、確実に除雪要請をおこなうことができる。
【0070】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、マーク部材501、502が、今後の降雪予測に基づいて、当該マーク部材の縦棒部材111に付する位置を変更するので、今後の積雪を考慮したより適切な除雪要請をおこなうことができる。
【0071】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、扉101どうしが閉じられた際に互いに接近する縦棒部材111の両方に、マーク部材を付するので、いずれか一方の扉101が、解放されていたり、積雪のため、マーク部材の一部が見づらくなる場合にも、適切に積雪量を監視することができる。
【0072】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、扉101どうしが閉じられた際に互いに接近する縦棒部材111の両方に、地面からの高さを示す数値が記載されたマーク部材701~706を交互に付するので、記載の手間を軽減できるとともに、いずれかの扉の数字が雪で見づらくなった場合でも、反対側の扉の上側の数字を見ることで、積雪量を確実に推測することができる。
【0073】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、扉101どうしが閉じられた際に互いに接近する縦棒部材111のいずれか一方に、地面からの高さを示す数値が記載されたマーク部材801~804を付して、縦棒部材111の他方に、扉101の上端(上側棒部材114)からの長さを示す数値が記載されたマーク部材805~808を付するので、積雪量だけでなく、扉101全体の大きさ(高さ)を直感的に把握することができる。
【0074】
また、この発明にかかる実施の形態の積雪量監視装置100は、マーク部材201などを撮影する撮影部901と、撮影部901によって撮影された画像または映像を表示する表示部903と、を備えるので、遠隔地において、積雪量を容易に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、この発明にかかる積雪量監視装置は、積雪量を監視する積雪量監視装置であり、特に、積雪量の監視を確実におこなうことができ、積雪量の監視に基づく除雪の要請を効率的におこなうことができる積雪量監視装置に適している。
【符号の説明】
【0076】
100 積雪量監視装置
101 扉
102 柱
110 フェンス
111 縦棒部材(中央側)
112 縦棒部材(柱側)
113 下側棒部材
114 上側棒部材
115 金網
116 施錠棒
201~204、401、402、501、502、601~603、701~706、801~808 マーク部材