(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/34 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
B60Q1/34 Z
(21)【出願番号】P 2019064077
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭史
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03178698(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0075875(US,A1)
【文献】特開2015-201296(JP,A)
【文献】特開2018-192837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側からの所定の信号に応じて車両前方にメイン配光を照射するメイン配光照射部と、
前記メイン配光照射部と連動して、前記メイン配光の照射領域よりも下方にサブ配光を照射するサブ配光照射部と
を備え
、
前記サブ配光の最大光度は、前記メイン配光の最大光度よりも低い
車両用灯具。
【請求項2】
前記サブ配光は、車両前方の路面上に照射される前方配光を含み、
前記サブ配光照射部は、前記前方配光を照射する前方照射部を有し、
前記前方照射部は、車両搭載状態における左右方向について、車両外部から前記メイン配光を視認可能となる視認可能領域の内側に前記前方配光を照射する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記サブ配光は、車両側方の路面上に照射される側方配光を含み、
前記サブ配光照射部は、前記側方配光を照射する側方照射部を有し、
前記側方照射部は、車両搭載状態における左右方向について、車両外部から前記メイン配光を視認可能となる視認可能領域の外側に前記側方配光を照射する
請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記所定の信号は、前記車両側の所定の操作によって生じる信号を含む
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記サブ配光は、明暗境界線を有する
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記サブ配光は、幾何学形状を有する
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記メイン配光照射部及び前記サブ配光照射部は、車両用ターンランプを構成する
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両から路面にパターンを照射し、歩行者又は他の車両の運転者等に当該パターンを認識させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の路面照射装置では、車両に搭載される車載機器から車両情報を取得し、取得した車両情報に基づいて、車両がこれから行う動作を推定し、推定した動作に応じたパターンを路面に照射させる構成である。しかしながら、特許文献1に記載の構成では、大掛かりなシステムが必要となり、多様なパターンを照射するためランプ自体も大型化し、製造コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、路面にパターンを照射可能としつつ、大型化及び高コスト化を抑制可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、車両側からの所定の信号に応じて車両前方にメイン配光を照射するメイン配光照射部と、前記メイン配光照射部と連動して、前記メイン配光の照射領域よりも下方にサブ配光を照射するサブ配光照射部とを備える。
【0007】
また、前記サブ配光は、車両前方の路面上に照射される前方配光を含み、前記サブ配光照射部は、前記前方配光を照射する前方照射部を有し、前記前方照射部は、車両搭載状態における左右方向について、車両外部から前記メイン配光を視認可能となる視認可能領域の内側に前記前方配光を照射してもよい。
【0008】
また、前記サブ配光は、車両側方の路面上に照射される側方配光を含み、前記サブ配光照射部は、前記側方配光を照射する側方照射部を有し、前記側方照射部は、車両搭載状態における左右方向について、車両外部から前記メイン配光を視認可能となる視認可能領域の外側に前記側方配光を照射してもよい。
【0009】
また、前記所定の信号は、前記車両側の所定の操作によって生じる信号を含んでもよい。
【0010】
また、前記サブ配光の最大光度は、前記メイン配光の最大光度よりも低くてもよい。
【0011】
また、前記サブ配光は、明暗境界線を有してもよい。
【0012】
また、前記サブ配光は、幾何学形状を有してもよい。
【0013】
また、前記メイン配光照射部及び前記サブ配光照射部は、車両用ターンランプを構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、路面にパターンを照射可能としつつ、大型化及び高コスト化を抑制可能な車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具が車両に搭載された状態の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、車両用灯具の照射パターンの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、前方配光及び側方配光が路面上に照射される場合の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、サブ配光照射部の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、サブ配光照射部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、前後方向及び左右方向は水平方向に平行であるとする。
【0018】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具100が車両に搭載された状態の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具100は、車両用ターンランプを含み、車両Mの左右の前部に取り付けられる車両用前照灯である。
図2及び
図3は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を模式的に示す図である。
図2は車両前方から見た場合の図、
図3は
図2におけるA-A断面に沿った構成を示す図である。
図2及び
図3に示すように、車両用灯具100は、ハウジング10と、メイン配光照射部20と、サブ配光照射部30とを備える。
図2、
図3及び以下の説明では、車両の左側の前部に搭載される車両用灯具100を例に挙げている。車両の右側の前部に搭載される車両用灯具については、左右を読み替えることで同様の説明が可能である。
【0019】
ハウジング10は、メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30を収容する。メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30は、車両用ターンランプを構成する。ハウジング10は、メイン配光照射部20とサブ配光照射部30とで共通のアウターレンズ11を有する。メイン配光照射部20から出射される光MLと、サブ配光照射部30から出射される光SLとは、共に同一のアウターレンズ11を透過して照射される。なお、本実施形態において、ハウジング10内には、車両用ターンランプを構成するメイン配光照射部20及びサブ配光照射部30の他、図示を省略するが、例えばロービーム用のランプユニット、ポジションランプ等が配置される。
【0020】
メイン配光照射部20は、車両側からの所定の信号に応じて、車両前方にメイン配光を照射する。車両側からの所定の信号は、例えば車両に搭載される方向指示器の操作、ハザードスイッチの操作、所定のハンドル操作等、車両側の所定の操作に応じた信号を含む。また、車両側からの所定の信号は、例えば後方から他の車両(バイク等)が接近したことを検知した場合に生じる信号等、車両側の操作以外で生じた信号を含む。メイン配光照射部20は、左右方向に並ぶ複数の発光部21を有する。発光部21は、例えば半導体型光源等の光源で生じた光をリフレクタで反射する反射面型の構成が用いられる。メイン配光照射部20は、発光部21ごとに点灯及び消灯のタイミングを制御することができる。
【0021】
サブ配光照射部30は、上記の所定の操作により、メイン配光照射部20と連動して、メイン配光の照射領域よりも下方にサブ配光を照射する。サブ配光照射部30は、前方照射部31と、側方照射部32とを有する。前方照射部31は、後述する前方配光SP1を照射する。側方照射部32は、後述する側方配光SP2を照射する。
【0022】
前方照射部31は、光SL1の出射方向が、車両前方に向けた方向を基準として角度θ1だけ車両外側に傾いている。角度θ1は、例えば45°程度に設定することができるが、この値には限定されない。側方照射部32は、光SL2の出射方向が、車両前方に向けた方向を基準として角度θ2だけ車両外側に傾いている。角度θ2は、例えば90°程度に設定することができる。つまり、側方照射部32は、車両外側(
図3では左側)に光SL2を照射する位置に配置される。
【0023】
サブ配光照射部30は、メイン配光照射部20の複数の発光部21に対して近接した位置に配置される。つまり、車両用灯具100において、メイン配光照射部20の複数の発光部21と、サブ配光照射部30の前方照射部31及び側方照射部32とは、灯具パターンを照射するための同一の発光体機構として構成されている。
【0024】
図4は、車両用灯具の照射パターンの一例を示す図である。
図4では、車両周囲の仮想スクリーンにパターンを照射した場合の例を示している。
図4におけるH-H線は水平面を示し、V-V線は水平面に垂直であり車両の中心を示す鉛直線である。
図4における横軸の数字は、V-V線を基準とした左右方向の角度である。V-V線の右側を正の角度、V-V線の左側を負の角度で示している。
図4における縦軸の数字は、H-H線を基準とした上下方向の角度である。H-H線の上側を正の角度、H-H線の下側を負の角度で示している。
【0025】
図4において、仮想スクリーンには、中央照射領域AR1及び視認可能領域AR2が設けられる。中央照射領域AR1は、例えばメイン配光MPが照射される領域である。中央照射領域AR1は、例えば左右方向については、鉛直線を基準として左右に20°の範囲、水平面を基準として上下に10°の矩形状の範囲に設定されるが、上記範囲は一例であり、これに限定されない。
【0026】
視認可能領域AR2は、車両の外部から車両用灯具100を見た場合にメイン配光MPを視認可能な領域である。視認可能領域AR2は、中央照射領域AR1を含む領域である。視認可能領域AR2は、例えば中央照射領域AR1に対して左右にそれぞれ60°ずつ、上下に5°ずつ、それぞれ外側に拡大された範囲に設定される。
【0027】
図4に示すように、メイン配光MPは、H-H線とV-V線との交点を含む領域に形成される。メイン配光MPは、例えばハウジング10内に設けられるロービーム用ランプユニットから照射されるロービームパターンLPと重なるように配置される。メイン配光MPの照射領域の形状については、
図4に示す例に限定されず、他の形状であってもよい。
【0028】
サブ配光SPは、メイン配光MPの照射領域よりも下方に照射される。サブ配光SPは、車両前方の路面上に照射される前方配光SP1と、車両側方の路面上に照射される側方配光SP2とを含む。
図4では、車両前部の左右に取り付けられる車両用灯具100についてのパターンを示している。
【0029】
前方配光SP1は、例えば四角形状であり、上下方向の端部、及び左右方向の端部がそれぞれ角部となっている。前方配光SP1は、例えばH-H線の下側について10°以上30°以下の範囲であって、V-V線に対して左右にそれぞれ15°以上70°以下の範囲の領域に照射される。
【0030】
前方配光SP1は、上下方向について、中央照射領域AR1及び視認可能領域AR2から下方にはみ出すように照射される。つまり、前方配光SP1は、上端の角部C1が中央照射領域AR1内に照射され、下端の角部C2が中央照射領域AR1及び視認可能領域AR2の外側に照射される。前方配光SP1は、車両内側の角部C3が中央照射領域AR1内に配置され、車両外側の角部C4が視認可能領域AR2内に配置される。したがって、前方配光SP1は、左右方向について、中央照射領域AR1及び視認可能領域AR2の内側の範囲を照射する。
【0031】
側方配光SP2は、例えばV字状に形成される。側方配光SP2は、例えばH-H線の下側について20°以上50°以下の範囲であって、V-V線に対して左右にそれぞれ30°以上150°以下の範囲の領域に照射される。
【0032】
側方配光SP2は、中央照射領域AR1及び視認可能領域AR2の下方に照射される。つまり、側方配光SP2の上側の端部C5は、中央照射領域AR1及び視認可能領域AR2の下辺よりも下方に位置する。側方配光SP2は、車両内側の端部C6から上方に延びる辺E2が、前方配光SP1の角部C2と角部C4とを結ぶ辺E1に対向して配置される。辺E2は、辺E1と平行又はほぼ平行であり、辺E1に対して所定の間隔を空けて配置される。
【0033】
側方配光SP2は、左右方向について、車両内側の端部C6が中央照射領域AR1の角度範囲内の位置に配置され、車両外側の端部C7が視認可能領域AR2の角度範囲外の位置に配置される。つまり、側方配光SP2は、左右方向について、中央照射領域AR1の角度範囲内の位置から視認可能領域AR2の角度範囲を超えて、視認可能領域AR2の角度範囲の外側の位置にかけて設けられる。この場合、側方配光SP2は、左右方向について、視認可能領域AR2の外側の範囲を照射する。
【0034】
上記の前方配光SP1及び側方配光SP2を含むサブ配光SPは、最大光度がメイン配光の最大光度よりも低くなるように設定される。このため、サブ配光照射部30として小型のユニットを用いる場合でも必要な光度を確保できる。このため、車両用灯具100の大型化を抑制可能である。前方配光SP1と側方配光SP2とは、例えば同一の光度で照射されるように設定されるが、これに限定されず、異なる光度で照射されるように設定されてもよい。
【0035】
図5は、前方配光SP1及び側方配光SP2が路面上に照射される場合の一例を示す図である。
図5に示すように、前方配光SP1及び側方配光SP2は、例えば矩形状等の幾何学形状で路面上に照射される。前方配光SP1及び側方配光SP2は、明暗境界線を有する。このため、前方配光SP1及び側方配光SP2は、照射領域が歩行者等に明確に視認される状態で路面上に照射される。前方配光SP1及び側方配光SP2の路面上における照射領域の形状については、矩形状に限定されず、他の形状であってもよい。例えば、前方配光SP1及び側方配光SP2は、円形状、楕円形状、長円形状等であってもよいし、三角形状、五角形状等の多角形状であってもよし、曲線を含む形状であってもよい。前方配光SP1の形状と側方配光SP2の形状とは、同一であってもよいし、異なってもよい。
【0036】
図5において、前方配光SP1は、車両内側の端辺E3が、車両の側辺E4と一致するように照射されるが、これに限定されない。前方配光SP1は、端辺E3が車両の側辺E4よりも車両内側に配置されてもよいし、端辺E3が車両の側辺E4よりも車両外側に配置されてもよい。前方配光SP1は、後側の端辺E6が車両の前側端部よりも前方に配置される。このため、車両に対して前方に離れた位置に前方配光SP1を照射可能となる。
【0037】
また、側方配光SP2は、例えば車両前端よりも前側から側方側にかけて照射される。側方配光SP2は、車両前側の端辺E5が、前方配光SP1の車両後側の端辺E6に重なっている。このため、前方配光SP1と側方配光SP2とが一体的に照射される。なお、
図4に示す辺E1と辺E2との間隔を調整することにより、端辺E5と端辺E6との位置関係を調整可能である。例えば、端辺E5と端辺E6とが互いに相手の領域内(端辺E5が前方配光SP1内、端辺E6が側方配光SP2内)に配置されるように辺E1と辺E2との位置関係を調整することにより、側方配光SP2の一部が前方配光SP1に重なった状態で照射される。また、端辺E5と端辺E6とが離れるように辺E1と辺E2との位置関係を調整することにより、側方配光SP2が前方配光SP1に対して離れた状態で照射される。
【0038】
側方配光SP2は、車両内側の端辺E7が、前方配光SP1の車両内側の端辺E3よりも車両外側に配置される。側方配光SP2は、車両外側の端辺E8が、前方配光SP1の車両外側の端辺E9よりも車両内側に配置される。このため、側方配光SP2の左右方向についての照射領域は、前方配光SP1が照射される照射領域の範囲内となる。
【0039】
図6及び
図7は、サブ配光照射部30の構成例を示す図である。
図6に示すサブ配光照射部30Aは、光源33と、レンズ34と、ヒートシンク35とを有する。光源33は、例えばLEDなどの半導体型光源である。光源33は、例えば橙色(アンバー)光を出射する。レンズ34は、光源33からの光を出射する。ヒートシンク35は、光源33を支持し、光源33で生じる熱を放出する。この構成では、光源33からの光がレンズ34を介して出射される。出射された光は、レンズ34によって制御された形状のサブ配光SPとして路面に照射される。
【0040】
図7に示すサブ配光照射部30Bは、
図6に示すサブ配光照射部30Aの構成に加えて、光源33からの光を平行光又は略平行光として出射するレンズ37と、レンズ37からの光を幾何学状のサブ配光SPとするためのフィルタ38と、が設けられる。この構成では、光源33からの光がレンズ37によって平行光又は略平行光とされ、フィルタ38を通過し、レンズ34から出射される。出射された光は、例えば幾何学形状を有するサブ配光SPとして路面に照射される。フィルタ38は、交換可能である。フィルタ38を交換することにより、異なる幾何学形状のサブ配光SPを照射可能となる。
【0041】
上記のように構成される車両用灯具100の動作を説明する。運転者によって車両側の方向指示器の操作又はハザードスイッチの操作等、所定の操作が行われた場合、車両用灯具100は、当該操作に応じて、メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30の点灯制御を行う。
【0042】
メイン配光照射部20は、例えば、車両の内側(右側)から外側(左側)にかけて、発光部21の点灯のタイミングを所定の間隔で少しずつ遅らせることにより、点灯領域が車両の内側から外側に広がるような形態で点灯することができる(シーケンシャル点灯)。メイン配光照射部20は、複数の発光部21を同一のタイミングで点灯させるようにしてもよい。また、メイン配光照射部20は、複数の発光部21を所定のタイミングで点滅させるようにしてもよい。
【0043】
上記方向指示器又はハザードスイッチが操作された場合、サブ配光照射部30は、メイン配光照射部20に連動して点灯を行う。この場合、サブ配光照射部30は、メイン配光照射部20のいずれかの発光部21と同一のタイミングで発光する。例えば、サブ配光照射部30は、メイン配光照射部20が上記したシーケンシャル点灯を行う構成の場合、複数の発光部21のうち最も車両の外側に配置される発光部21の点灯と同一のタイミングでサブ配光照射部30を点灯させる。これにより、メイン配光MPとサブ配光SPとを1つの灯具パターンとして照射することができる。なお、メイン配光照射部20とサブ配光照射部30との動作については、上記に限定されず、他の態様で連動させてもよい。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、車両側からの所定の信号に応じて車両前方にメイン配光MPを照射するメイン配光照射部20と、メイン配光照射部20と連動して、メイン配光MPの照射領域よりも下方にサブ配光SPを照射するサブ配光照射部30とを備える。
【0045】
この構成では、メイン配光照射部20とサブ配光照射部30とが連動して、メイン配光MP及びサブ配光SPを照射する。メイン配光MPの照射領域よりも下方に照射されるサブ配光SPにより、路面にサブ配光SPを容易に形成できる。多様なパターンを形成する必要が無いため、サブ配光照射部30の大型化が抑制される。これにより、路面にサブ配光SPを照射可能としつつ、大型化及び高コスト化を抑制可能となる。
【0046】
本実施形態に係る車両用灯具100において、サブ配光SPは、車両前方に照射される前方配光SP1を含み、サブ配光照射部30は、前方配光SP1を照射する前方照射部31を有し、前方照射部31は、車両搭載状態における左右方向について、視認可能領域AR2の内側に前方配光SP1を照射する。この構成では、サブ配光照射部30が前方照射部31により車両の前方の領域に限定した前方配光SP1を照射することができる。このように照射範囲を限定することで、前方照射部31の大型化及び高コスト化を抑制しつつ、サブ配光SPを多様化することができる。
【0047】
本実施形態に係る車両用灯具100において、サブ配光SPは、車両側方に照射される側方配光SP2を含み、サブ配光照射部30は、側方配光SP2を照射する側方照射部32を有し、側方照射部32は、車両搭載状態における左右方向について、視認可能領域AR2の外側に側方配光SP2を照射する。この構成では、視認可能領域AR2の外側、つまり車用の側方の領域に側方配光SP2を照射することができる。これにより、広い範囲にサブ配光SPを照射しつつ、サブ配光照射部30自体の大型化及び高コスト化を抑制できる。
【0048】
本実施形態に係る車両用灯具100において、所定の信号は、車両側の所定の操作によって生じる信号を含む。この構成では、車両の方向指示器又はハザードスイッチ等の操作によって、メイン配光照射部20とサブ配光照射部30とが連動して、メイン配光MP及びサブ配光SPを照射する。このため、専用のシステム又は車載機器等を用いることなく、路面にサブ配光SPを形成できる。
【0049】
本実施形態に係る車両用灯具100において、サブ配光SPの最大光度は、メイン配光MPの最大光度よりも低い。この構成では、サブ配光照射部30として小型のユニットを用いる場合でも必要な光度を確保できる。したがって、車両用灯具100の大型化を抑制可能である。
【0050】
本実施形態に係る車両用灯具100において、サブ配光SPは、明暗境界線を有してもよい。この構成では、路面上における前方配光SP1及び側方配光SP2の照射領域を歩行者等に明確に視認させることができる。
【0051】
本実施形態に係る車両用灯具100において、サブ配光SPは、幾何学形状を有してもよい。この構成では、路面上における前方配光SP1及び側方配光SP2の照射領域を歩行者等に明確に視認させることができる。
【0052】
本実施形態に係る車両用灯具100において、メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30は、車両用ターンランプを構成する。この構成では、路面に車両用ターンランプのメイン配光MP及びサブ配光SPを照射可能としつつ、大型化及び高コスト化を抑制可能となる。
【0053】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、サブ配光SPが明暗境界線を有し、幾何学形状を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。サブ配光SPは、明暗境界線を有しない構成であってもよい。また、サブ配光SPは、幾何学形状とは異なる形状、例えば矢印等の形状であってもよいし、文字等であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、サブ配光SPの最大光度がメイン配光MPの最大光度よりも低い場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。サブ配光照射部30として、小型のユニットを用いることが可能な範囲であれば、サブ配光SPの最大光度がメイン配光MPの最大光度と同一であってもよいし、メイン配光MPの最大光度よりも高くてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、前方配光SP1が、左右方向について、視認可能領域AR2の内側に照射される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。前方配光SP1は、左右方向について、視認可能領域AR2の外側を照射可能な構成であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、側方配光SP2が、左右方向について、視認可能領域AR2の外側に照射される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。側方配光SP2は、左右方向について、視認可能領域AR2の内側のみに照射される構成であってもよい。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、サブ配光SPが前方配光SP1及び側方配光SP2を含む構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、前方配光SP1及び側方配光SP2のいずれか一方が省略された構成であってもよい。この場合、サブ配光照射部30は、前方照射部31と側方照射部32との一方を省略することができる。
【0058】
また、例えば、上記実施形態では、メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30が車両用ターンランプを構成する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、メイン配光照射部20が車両用ターンランプを構成し、サブ配光照射部30が車両用ターンランプとは独立した構成要素として設けられてもよい。
【0059】
また、例えば、上記実施形態では、メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30を有する車両用灯具100が車両用前照灯である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30を有する車両用灯具は、車両用ドアミラーの一部に組み込まれた灯具として設けられてもよい。また、ドアミラーが設けられない代わりに、カメラを用いて車両後方の情報を取得するデジタルミラー等においても、同様に、メイン配光照射部20及びサブ配光照射部30を有する車両用灯具が組み込まれることとしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
θ1,θ2…角度、C1,C2,C3,C4…角部、C5,C6,C7…端部、E3,E5,E6,E7,E8,E9…端辺、E4…側辺、P2,SP2…側方配光、AR1…中央照射領域、AR2…視認可能領域、ML,SL,SL1,SL2…光、LP…ロービームパターン、MP…メイン配光、SP…サブ配光、SP1…前方配光、10…ハウジング、11…アウターレンズ、20…メイン配光照射部、21…セグメント、30,30A,30B…サブ配光照射部、31…前方照射部、32…側方照射部、33…光源、34,37…レンズ、35…ヒートシンク、36,36B…支持部材、38…フィルタ、100…車両用灯具