(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230530BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019070104
(22)【出願日】2019-04-01
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】山上 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】上羽 祐子
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010465(JP,A)
【文献】特開2018-028824(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065161(WO,A1)
【文献】特開2017-045197(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041761(WO,A1)
【文献】特開2004-021799(JP,A)
【文献】特開2012-173869(JP,A)
【文献】特開2017-174131(JP,A)
【文献】特表2018-502368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間帯に応じて料金が異なるクラウドサービスに対するリソースの配備依頼を、前記リソースの使用時間帯の指定とともに取得し、
前記リソースに使用されるデータ
に付与された機密性を示す識別子を参照して、参照した前記識別子が機密データであることを示す識別子を含むか否かによって、前記データが機密データを含むか否かを判定し、
前記データが機密データを含む場合、前記リソースを配備する地域として所定の地域を選択し、前記データが機密データを含まない場合、複数の地域における前記リソースの使用時間帯の料金に基づいて、前記リソースを配備する地域を選択し、
選択された地域に、前記リソースを配備する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項2】
前記リソースの配備依頼とともに、リソース種類の指定を取得し、
前記データが機密データを含まない場合、指定された前記リソース種類に関して、前記複数の地域で前記リソースの使用時間帯にリソースを使用した場合の料金を算出し、算出した料金に基づいて、前記リソースを配備する地域を選択する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記リソースに使用されるデータが機密データを含み、前記所定の地域が複数設定されている場合、複数の前記所定の地域で前記リソースの使用時間帯にリソースを使用した場合の料金を算出し、算出した料金に基づいて、前記リソースを配備する地域を選択する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記リソースの配備依頼とともに、リソース種類の指定を取得し、
指定された前記リソース種類に関して、複数の前記所定の地域で前記リソースの使用時間帯にリソースを使用した場合の料金を算出し、算出した料金に基づいて、前記リソースを配備する地域を選択する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項3記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
コンピュータが、
時間帯に応じて料金が異なるクラウドサービスに対するリソースの配備依頼を、前記リソースの使用時間帯の指定とともに取得し、
前記リソースに使用されるデータ
に付与された機密性を示す識別子を参照して、参照した前記識別子が機密データであることを示す識別子を含むか否かによって、前記データが機密データを含むか否かを判定し、
前記データが機密データを含む場合、前記リソースを配備する地域として所定の地域を選択し、前記データが機密データを含まない場合、複数の地域における前記リソースの使用時間帯の料金に基づいて、前記リソースを配備する地域を選択し、
選択された地域に、前記リソースを配備する
処理を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
時間帯に応じて料金が異なるクラウドサービスに対するリソースの配備依頼を、前記リソースの使用時間帯の指定とともに取得する取得部と、
前記リソースに使用されるデータ
に付与された機密性を示す識別子を参照して、参照した前記識別子が機密データであることを示す識別子を含むか否かによって、前記データが機密データを含むか否かを判定し、前記データが機密データを含む場合、前記リソースを配備する地域として所定の地域を選択し、前記データが機密データを含まない場合、複数の地域における前記リソースの使用時間帯の料金に基づいて、前記リソースを配備する地域を選択する選択部と、
選択された地域に、前記リソースを配備する配備部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Infrastructure as a Service(IaaS)等のクラウドサービスの課金制度として、例えば、従量課金制度が用いられている。ユーザは、従量課金制度のクラウドサービスを用いる場合、利用しない時間帯(例えば、夜間、休日)にサービスの利用を停止することにより、コストを削減することができる。よって、夜間、休日等の期間は、利用者が少ないため、リソースに空きが発生する。
【0003】
関連する技術として、データセンタ移行に関する情報を用いて、データセンタ移行における法規上もしくは契約上のリスクを判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クラウドサービスの事業者は、従量課金制度を用いる場合、夜間、休日等の利用者が少ない時間帯のサービス利用料金を他の時間帯より低く設定することにより、利用者が少ない時間帯の利用を促進することが考えられる。その場合、例えば、クラウドサービスを昼間に利用する際に、時差がある他国にリソースを配備することにより、安い夜間料金でリソースを利用することが可能となる。しかし、使用するデータに機密データが含まれている場合、他国に配備したリソースにその機密データを保存すると、セキュリティ上のリスクが発生する。
【0006】
1つの側面として、本発明は、クラウドサービス利用時のセキュリティを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、情報処理プログラムは、時間帯に応じて料金が異なるクラウドサービスに対するリソースの配備依頼を、前記リソースの使用時間帯の指定とともに取得し、前記リソースに使用されるデータに付与された機密性を示す識別子を参照して、参照した前記識別子が機密データであることを示す識別子を含むか否かによって、前記データが機密データを含むか否かを判定し、前記データが機密データを含む場合、前記リソースを配備する地域として所定の地域を選択し、前記データが機密データを含まない場合、複数の地域における前記リソースの使用時間帯の使用料金に基づいて、前記リソースを配備する地域を選択し、選択された地域に、前記リソースを配備する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面によれば、クラウドサービス利用時のセキュリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図2】各リソースに使用されるデータに関する情報の一例を示す図である。
【
図3】機密データの保管が可能な所定の地域の設定情報の第1の例を示す。
【
図4】各地域のリソース毎の価格情報の第1の例を示す図である。
【
図5】指定されたリソース種類に該当するリソースの価格情報を抽出した第1の例を示す図である。
【
図6】機密データの保管が可能な所定の地域の設定情報の第2の例を示す。
【
図7】各地域のリソース毎の価格情報の第2の例を示す図である。
【
図8】指定されたリソース種類に該当するリソースの価格情報を抽出した第2の例を示す図である。
【
図9】実施形態の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
クラウドサービスの夜間、休日等の利用者が少ない時間帯の利用を促進するために、例えば、価格を入札制で決定して需要と供給の関係により価格を変動させることが考えられる。しかし、入札価格が他の入札者の入札価格より低い場合、クラウドサービスの利用ができなくなる。また、他の入札者の入札価格を事前に予想することは困難である。すなわち、クラウドサービスを常時使えるとは限らないため、バッチ業務等の利用には向いていない。また、入札に対応するための運用コスト等が増加する。
【0011】
そのため、クラウドサービスの事業者は、従量課金制度を用いる場合、夜間、休日等の利用者が少ない時間帯のサービス利用料金を他の時間帯より低く設定することにより、利用者が少ない時間帯の利用を促進することが考えられる。例えば、クラウドサービスを昼間に利用する場合、時差がある他国にリソースを配備することにより、安い夜間料金でリソースを利用することが可能となる。しかし、使用するデータに機密データが含まれている場合、他国に配備したリソースにそのデータを保存すると、セキュリティ上のリスクが発生する。
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、情報処理装置1の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、コンピュータの一例であり、例えば、サーバまたはパーソナルコンピュータである。情報処理装置1は、設定部11と取得部12と算出部13と選択部14と配備部15と記憶部16とを含む。情報処理装置1は、クラウドサービスを利用するユーザに保持されていてもよいし、クラウドサービスに用いるデータセンタ上に存在していてもよい。本実施形態におけるクラウドサービスは、例えば、IaaSであり、使用される地域での時間帯に応じて料金が異なるとする。
【0013】
設定部11は、配備予定のリソースに使用されるデータの機密性を示す識別子を、データの識別子に対応付けて記憶部16に記憶する。なお、リソースの識別子とデータの識別子が、予め対応付けられて記憶部16に記憶されているとする。また、設定部11は、ユーザからの指示に応じて、機密データの保管が可能な所定の地域を設定し、記憶部16に記憶させる。所定の地域は、例えば、ユーザが所在する国内の地域、またはユーザが所在する国と法律が似ている近隣国内の地域等である。以下、機密データの保管が可能な所定の地域を単に所定の地域と記載することがある。また、設定部11は、クラウドサービスの事業者からの指示に応じて、地域毎のリソースの価格情報を、リソースの種類毎に設定し、記憶部16に記憶させる。
【0014】
取得部12は、ユーザから、リソースの使用時間帯の指定、使用するリソース識別子の指定およびリソースの種類の指定とともに、クラウドサービスに対するリソースの配備依頼を取得する。取得部12は、リソースの種類の指定を取得しなくてもよい。
【0015】
算出部13は、取得部12が取得したリソース識別子に対応するデータの容量の合計を算出する。各データの容量は、データの識別子に対応付けられて記憶部16に記憶されており、算出部13は、そのデータの容量を参照して、データの容量の合計を算出する。
【0016】
選択部14は、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含む場合、リソースを配備する地域として、機密データの保管が可能な所定の地域を選択する。選択部14は、例えば、指定されたリソースに使用される各データに付与された機密性を示す識別子を参照し、参照した識別子が、機密データであることを示す識別子を含む場合、所定の地域を選択する。
【0017】
また、選択部14は、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含み、所定の地域が複数設定されている場合、複数の所定の地域で指定された時間帯にリソースを使用した場合の料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択する。この場合、選択部14は、例えば、指定されたリソースの使用時間帯、指定されたリソースの種類、および算出部13が算出したデータ容量の合計に基づいて、複数の所定の地域でリソースを使用した場合の料金を算出する。そして、選択部14は、料金が最も安い所定の地域をリソースの配備先として選択する。
【0018】
また、選択部14は、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含まない場合、複数の地域(例えば、使用可能なデータセンタが設置された全地域)における、指定された使用時間帯の料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択する。選択部14は、例えば、指定されたリソースに使用される各データに付与された機密性を示す識別子を参照し、参照した識別子が、機密データであることを示す識別子を含むか判定する。選択部14は、参照した識別子が、機密データであることを示す識別子を含まない場合、複数の地域における、指定された使用時間帯の料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択する。この場合、選択部14は、指定されたリソースの使用時間帯、指定されたリソースの種類、および算出部13が算出したデータ容量の合計に基づいて、地域毎の料金を算出し、料金が最も安い地域を、リソースを配備する地域として選択する。
【0019】
なお、取得部12が、リソース配備依頼とともにリソース種類の指定を取得しなかった場合、選択部14は、リソース種類に関わらず、指定されたリソースの使用時間帯にリソースを使用した場合の料金が最も安い地域を、リソースを配備する地域として選択する。
【0020】
配備部15は、選択部14が選択した地域にリソースを配備する。配備部15は、例えば、リソースの種類として仮想マシンとストレージが指定されている場合、データセンタ内に仮想マシンを構築し、ストレージの領域確保を行う。
【0021】
記憶部16は、各リソースに使用されるデータに関する情報、機密データの保管が可能な所定の地域の設定情報、各地域のリソース毎の価格情報を記憶する。記憶部16に記憶される各情報について、詳細は後述する。
【0022】
図2は、各リソースに使用されるデータに関する情報の一例を示す図である。
図2に示す情報は、ユーザからの指示に応じて、設定部11が設定する。
図2に示すように、データに関する情報には、配備予定のリソースの識別子と、リソースに使用されるデータのパスとデータの機密性を示す機密フラグとデータ容量とが対応付けられている。データのパスは、データの識別子の一例である。機密フラグは、データの機密性を示す識別子の一例である。例えば、機密フラグが「TRUE」である場合、データが機密データであり、機密フラグが「FALSE」である場合、データが機密データではないことを示す。
【0023】
選択部14は、例えば、
図2に示す情報を参照し、指定されたリソースの識別子に対応づけられたデータに機密フラグが「TRUE」であるものが存在する場合、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含むと判定する。また、選択部14は、例えば、
図2に示す情報を参照し、指定されたリソースの識別子に対応づけられたデータに機密フラグが「TRUE」であるものが存在しない場合、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含まないと判定する。
【0024】
算出部13は、
図2に示す情報を参照することで、取得部12が取得したリソース識別子に対応するデータの容量の合計を算出する。また、選択部14は、
図2に示す情報の機密フラグを参照することにより、データが機密データであるかを判定する。
【0025】
図3は、機密データの保管が可能な所定の地域の設定情報の第1の例を示す。
図3に示す情報は、ユーザからの指示に応じて、設定部11により設定される。ユーザは、例えば、自国内におけるデータセンタが存在する地域を、所定の地域として設定する。
図3に示す例では、「東日本」が機密データの保管が可能な所定の地域として設定されている。
【0026】
図4は、各地域のリソース毎の価格情報の第1の例を示す図である。
図4に示す情報は、例えば、クラウドサービスの事業者からの指示に応じて、設定部11が設定する。
図4に示すように、価格情報には、地域、リソース種類、時間帯、単価が対応付けて設定されている。地域は、クラウドサービスに使用されるデータセンタが存在する地域である。リソース種類は、種類1と種類2を含む。種類1には、例えば、Virtual Machine(VM)またはストレージが設定される。種類1がVMである場合、種類2には、VMの種類(例えば、S1またはS2)が設定される。例えば、VMの種類毎にCentral Processing Unit(CPU)性能およびメモリ容量等が異なる。種類1がストレージである場合、種類2には、ストレージの種類(例えば、Hard Disk Drive(HDD)、またはSolid State Drive(SSD))が設定される。
【0027】
時間帯は、例えば、クラウドサービスが利用可能ないずれかの地域の標準時であり、
図4に示す例では、Japan Standard Time(JST)が用いられている。単価は、VMの単価(円/時間)、およびストレージの単価(円/(GB×時間))を含む。
【0028】
図5は、指定されたリソース種類に該当するリソースの価格情報を抽出した第1の例を示す図である。
図5に示す情報は、リソースに使用されるデータが機密データを含まない場合に選択部14が抽出する情報である。取得部12が、リソース配備依頼とともにリソース種類の指定を取得し、データが機密データを含まない場合、選択部14は、指定されたリソース種類に関して、複数の地域で指定された時間帯にリソースを使用した場合の料金を算出する。そして、選択部14は、算出した料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択する。この場合、選択部14は、
図3に示す所定の地域の設定情報を参照せず、
図4に示す価格情報を参照する。
【0029】
例えば、リソースの使用時間帯として「9:00~12:00」(JST)が指定され、使用するリソースの種類として「VM,S1」および「ストレージ,HDD」が指定され、使用するリソースの識別子として「abcdef」が指定されたとする。その場合、選択部14は、
図4に示す価格情報から、指定されたリソースの種類に該当する価格情報を抽出し、
図5に示す情報を得る。
【0030】
算出部13は、
図2に示す情報に基づいて、リソース「abcdef」に使用されるデータ容量の合計を算出する。この算出結果が100GBであったとする。選択部14は、各地域に関して、指定された時間帯にリソースを使用した場合の料金を以下の式(1)のように算出する。
(各地域の利用料金[円])=(VM単価[円])×(使用時間[H])+(ストレージ単価[円])×(データ容量[GB])×(使用時間[H]) (1)
【0031】
選択部14は、
図5に示す情報を参照し、式(1)の計算式に基づいて、東日本、米国西部、およびイギリスでリソースを使用した場合の料金を算出する。各地域の利用料金は、以下の式(2)~(4)のように計算される。なお、イギリスに関して、使用時間が2つの時間帯(0:00~11:00、11:00~0:00)に跨っているため、選択部14は、それぞれの時間帯についての料金を合算する。また、上述のように、使用されるデータの容量は100GBである。また、使用時間帯が「9:00~12:00」であるため、使用時間は3[H]である。
東日本の利用料金=400[円]×3[H]+5[円]×100[GB]×3[H]=2700[円] (2)
米国西部の利用料金=250[円]×3[H]+1[円]×100[GB]×3[H]=1050[円] (3)
イギリスの利用料金=(400[円]×2[H]+200[円]×1[H])+(3[円]×100[GB]×2[H]+2[円]×100[GB]×1[H])=1000[円]+800[円]=1800[円] (4)
【0032】
式(2)~(4)に示すように、米国西部の利用料金が最も安いため、選択部14は、リソースの配備先として米国西部を選択する。この例では、指定された時間帯が日本では午前中であるが、米国西部では夜間であるため、ユーザは、安い夜間料金でクラウドサービスを利用することが可能となる。
【0033】
以上のように、情報処理装置1は、指定されたリソース種類に関して、リソースの使用時間帯に使用した場合の料金を算出し、算出した料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択する。よって、情報処理装置1は、安い料金で、指定されたリソース種類のリソースを配備することができる。
【0034】
なお、リソースの種類が指定されていなかった場合、選択部14は、リソースの種類に関わらず、指定されたリソースの使用時間帯に使用した場合の料金が最も安い地域を、リソースを配備する地域として選択する。この場合、例えば、選択部14は、複数の地域において、指定されたリソースの使用時間帯でのVMとストレージとの合計の料金が最も安くなるように、リソース配備地域およびVMとストレージの種類を自動選択する。
【0035】
図6は、機密データの保管が可能な所定の地域の設定情報の第2の例を示す。
図6に示す情報は、
図3に示す例と同様に、ユーザからの指示に応じて、設定部11が設定する。ユーザは、例えば、自国内におけるデータセンタが存在する地域を、所定の地域として設定する。
図6に示す例では、「東日本」および「西日本」が、機密データの保管が可能な所定の地域として設定されている。
【0036】
図7は、各地域のリソース毎の価格情報の第2の例を示す図である。
図7に示す情報は、
図4に示す例と同様に、例えば、クラウドサービスの事業者からの指示に応じて、設定部11が設定する。
図7に示す例は、
図4に示す例と比較すると、地域に「西日本」を含む点で異なる。
【0037】
図8は、指定されたリソース種類に該当するリソースの価格情報を抽出した第2の例を示す図である。
図6の例に示すように、機密データを保管可能な所定の地域が、複数設定されているとする。そして、取得部12が、リソース配備依頼とともにリソース種類の指定を取得し、データが機密データを含む場合、選択部14は、指定されたリソース種類に関して、複数の所定の地域で、指定された時間帯にリソースを使用した場合の料金を算出する。また、選択部14は、算出した料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択する。
【0038】
図6の例に示すように、所定の地域として「東日本」および「西日本」が設定されているため、選択部14は、まず、「東日本」および「西日本」の価格情報のうち、指定されたリソース種類に該当するリソースの価格情報を抽出する。
【0039】
例えば、リソースの使用時間帯として「9:00~12:00」が指定され、使用するリソースの種類として「VM:S1」および「ストレージ:HDD」が指定されたとする。また、リソースの識別子として「abcdef」が指定されたとする。選択部14は、
図7に示す価格情報から、指定されたリソースの種類に該当する情報を抽出し、
図8に示す情報を得る。
【0040】
そして、算出部13が、リソース「abcdef」に使用されるデータの容量の合計を算出した結果が100GBであったとする。リソースに使用するデータが機密データを含まない場合と同様に、選択部14は、上記の式(1)に基づいて、東日本および西日本の使用料金を計算する。各地域の利用料金は、以下の式(5)、(6)のように計算される。
東日本の利用料金=400×3+5×100×3=2700 (5)
西日本の利用料金=350×3+5×100×3=2550 (6)
【0041】
式(5)、(6)に示すように、西日本の利用料金が最も安いため、選択部14は、リソースの配備先として西日本を選択する。
【0042】
以上のように、情報処理装置1は、機密データを保管可能な所定の地域が、複数設定されている場合、複数の所定の地域のうち、料金が最も安い地域をリソースの配備先として選択する。よって、情報処理装置1は、使用されるデータが機密データを含む場合であっても、安い料金で、指定されたリソース種類のリソースを配備することができる。
【0043】
図9は、実施形態の処理の一例を示すフローチャートである。設定部11は、ユーザからの指示に応じて、機密データの保管が可能な所定の地域を設定し、記憶部16に記憶させる(ステップS101)。設定部11は、配備予定のリソースに使用されるデータの機密性を示す識別子を、データの識別子に対応付けて記憶部16に記憶する(ステップS102)。
【0044】
取得部12は、ユーザから、リソースの使用時間帯の指定、使用するリソース識別子の指定およびリソースの種類の指定とともに、クラウドサービスに対するリソースの配備依頼を取得する(ステップS103)。算出部13は、取得部12が取得したリソース識別子に対応するデータの容量の合計を算出する(ステップS104)。選択部14は、指定されたリソースに使用される各データに付与された機密性を示す識別子を参照し、使用されるデータが機密データを含むか判定する(ステップS105)。
【0045】
選択部14は、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含む場合(ステップS105でYES)、リソースを配備する地域として、機密データの保管が可能な所定の地域を選択する(ステップS106)。また、選択部14は、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含み、所定の地域が複数設定されている場合、複数の所定の地域のうち、指定されたリソース使用時間帯の料金が最も安い地域をリソースの配備先として選択する。
【0046】
選択部14は、指定されたリソースに使用されるデータが機密データを含まない場合、複数の地域における、指定された使用時間帯の料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択する(ステップS107)。配備部15は、ステップS106またはステップS107で選択部14が選択した地域にリソースを配備する(ステップS108)。
【0047】
以上のように、本実施形態の情報処理装置1は、時間帯に応じて料金が異なるクラウドサービスに対するリソース配備依頼を取得した場合、使用するデータが機密データを含むかに応じて、リソースを配備する地域を選択する。使用するデータが機密データを含む場合、情報処理装置1は、機密データの保管が可能な所定の地域を選択することで、クラウドサービス利用時のセキュリティを向上することができる。また、情報処理装置1は、使用するデータが機密データを含まない場合、複数の地域におけるリソースの使用時間帯の使用料金に基づいて、リソースを配備する地域を選択するので、安い料金でクラウドサービスを提供することが可能となる。
【0048】
本実施形態の情報処理装置1を適用した場合、例えば、顧客データ等を含む本番環境のシステムは、所定の地域(例えば、自国内の地域)に構築され、運用されるため、セキュリティを確保することができる。また、システム開発およびテスト等、セキュリティ面での要求が低い利用用途においては、複数の地域のうち、安価な地域が利用され、コストを削減することができる。例えば、ユーザは、開発したソフトウェアのテストを、自国内のデータセンタで夜間に実行する場合と比べて、昼間に他国でテストを実行した場合、テストの完了を早期化することができる。
【0049】
次に、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を説明する。
図10は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図10の例に示すように、情報処理装置1において、バス100に、プロセッサ111とメモリ112と補助記憶装置113と通信インタフェース114と媒体接続部115と入力装置116と出力装置117とが接続される。
【0050】
プロセッサ111は、メモリ112に展開されたプログラムを実行する。実行されるプログラムには、実施形態における処理を行う情報処理プログラムが適用されてもよい。
【0051】
メモリ112は、例えば、Random Access Memory(RAM)である。補助記憶装置113は、種々の情報を記憶する記憶装置であり、例えばハードディスクドライブや半導体メモリ等が適用されてもよい。補助記憶装置113に実施形態の処理を行う情報処理プログラムが記憶されていてもよい。
【0052】
通信インタフェース114は、Local Area Network(LAN)、Wide Area Network(WAN)等の通信ネットワークに接続され、通信に伴うデータ変換等を行う。
【0053】
媒体接続部115は、可搬型記録媒体118が接続可能なインタフェースである。可搬型記録媒体118には、光学式ディスク(例えば、Compact Disc(CD)またはDigital Versatile Disc(DVD)等)、半導体メモリ等が適用されてもよい。可搬型記録媒体118に実施形態の処理を行う情報処理プログラムが記録されていてもよい。
【0054】
入力装置116は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等であり、ユーザからの指示及び情報等の入力を受け付ける。出力装置117は、例えば、表示装置、プリンタ、スピーカ等であり、ユーザへの問い合わせ又は指示、及び処理結果等を出力する。
【0055】
図1に示す記憶部16は、メモリ112、補助記憶装置113または可搬型記録媒体118等により実現されてもよい。
図1に示す設定部11、取得部12、算出部13、選択部14、および配備部15は、メモリ112に展開された情報処理プログラムをプロセッサ111が実行することにより実現されてもよい。
【0056】
メモリ112、補助記憶装置113および可搬型記録媒体118は、コンピュータが読み取り可能であって非一時的な有形の記憶媒体であり、信号搬送波のような一時的な媒体ではない。
【0057】
なお、情報処理装置1が
図10に示す全ての構成要素を含んでいなくてもよく、一部の構成要素が省略されていてもよい。また、一部の構成要素が情報処理装置1の外部装置に存在し、情報処理装置1が外部装置に接続して、外部装置内の構成要素を利用してもよい。
【0058】
本実施形態は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変更、追加、省略が適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 情報処理装置
11 設定部
12 取得部
13 算出部
14 選択部
15 配備部
16 記憶部
100 バス
111 プロセッサ
112 メモリ
113 補助記憶装置
114 通信インタフェース
115 媒体接続部
116 入力装置
117 出力装置
118 可搬型記録媒体