(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】情報処理装置,メッセージ制御システム及びメッセージ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/04 20220101AFI20230530BHJP
H04L 45/12 20220101ALI20230530BHJP
H04L 49/9057 20220101ALI20230530BHJP
【FI】
H04L51/04
H04L45/12
H04L49/9057
(21)【出願番号】P 2019075365
(22)【出願日】2019-04-11
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英一
(72)【発明者】
【氏名】山岡 久俊
(72)【発明者】
【氏名】板倉 宏太
(72)【発明者】
【氏名】岡林 美和
(72)【発明者】
【氏名】司波 章
(72)【発明者】
【氏名】松井 一樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 達郎
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-282011(JP,A)
【文献】特開2015-220737(JP,A)
【文献】山村 新也,情報検索と連動したデータ転送プロキシの動的配置方式の検討,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.113 No.360,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年12月12日,P.31-36
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/04
H04L 45/12
H04L 49/9057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージの送受信により複数のサービス間の連携を行なうメッセージ制御システムに備えられる情報処理装置であって、
各サービスのメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して他の情報処理装置へ送信する送信部と、
他の情報処理装置において複合されたメッセージを受信して分解する受信部と、
を備え、
前記送信部は、
分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他の情報処理装置へ転送
し、
前記メッセージ制御システムに新たなサービスが追加された場合に、前記複数のサービス間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する、
情報処理装置
。
【請求項2】
前記送信部は、送信対象のメッセージを使用する複数のサービスがある場合に、前記複数のサービスのうち2以上のサービスへの通信経路を有する他のサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送信部は、送信対象のメッセージの通信経路として複数の通信経路がある場合に、前記複数の通信経路のうち経路長が最短の通信経路に接続されているサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
メッセージの送受信により複数のサービス間の連携を行なうメッセージ制御システムであって、
前記複数のサービスにそれぞれ対応付けられた複数の情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置のうち第1の情報処理装置に対して、各サービスのメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して、前記複数の情報処理装置のうち第2の情報処理装置へ送信するように指示する制御装置と、
を備え、
前記第1の情報処理装置は、
前記制御装置からの指示に従って、複合したメッセージを前記第2の情報処理装置へ送信する送信部と、
前記複数の情報処理装置のうち第3の情報処理装置において複合されたメッセージを受信して分解する受信部と、
を有し、
前記送信部は、
分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他の情報処理装置へ転送
し、
前記メッセージ制御システムに新たなサービスが追加された場合に、前記複数のサービス間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する、
メッセージ制御システム。
【請求項5】
メッセージの送受信により複数のサービス間の連携を行なうメッセージ制御システムに備えられる情報処理装置におけるコンピュータに、
各サービスのメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して他の情報処理装置へ送信し、
他の情報処理装置において複合されたメッセージを分解して受信し、
分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他の情報処理装置へ転送
し、
前記メッセージ制御システムに新たなサービスが追加された場合に、前記複数のサービス間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する、
処理を実行させる、メッセージ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置,メッセージ制御システム及びメッセージ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドサービスでは、サービスがマイクロサービスアーキテクチャと呼ばれる分散型システムで構築されるケースが増えている。マイクロサービスの多くは、検索又は認証等の単機能を有する小さなサービスである。複数のマイクロサービスが組み合わされて、サービスが構築される。
【0003】
例えば、5つのマイクロサービスとして、Webインタフェースサービス,認証サービス,検索サービス,ショッピングサービス及びデータベースサービスが組み合わされて、インターネット販売サービスが構築される場合がある。
【0004】
マイクロサービスを組み合わせる方法として、メッセージングが広く用いられている。メッセージングは、サービス同士をメッセージのやり取りによって連携させる方法である。メッセージングは、メッセージの送信側が受信側のメッセージ受信を待たずに次の処理に取り掛かることができる非同期実行に適している。
【0005】
例えば、室温モニタマイクロサービス及びエアコンディショナー制御マイクロサービスによって構成された室内環境サービスを想定する。
【0006】
室温モニタマイクロサービスは、温度センサから取得した室温情報を所定の形式のメッセージデータにしてエアコンディショナー制御マイクロサービスへ送信する。室温モニタマイクロサービスは、送信メッセージをエアコンディショナー制御サービスが処理するか否かにかかわらず、次の温度情報を取得次第送信する。送信されたメッセージはキューと呼ばれるバッファに格納される。
【0007】
エアコンディショナー制御マイクロサービスは、キューからメッセージを取り出し、内容に応じた処理の実行を繰り返す。エアコンディショナー制御マイクロサービスは、例えば、室温30℃というメッセージを取り出したら、エアコンディショナーの電源投入を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平7-282011号公報
【文献】特開2006-31238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特にネットワーク接続された自動車や家電,各種センサを対象としたクラウドサービスでは、サービス対象の製品の数が多いほど、高い付加価値をユーザへ提供できる。例えば、多数の自動車をサービス対象にできれば、地図情報に基づいた単純なルート検索だけでなく、渋滞の検知や予測を考慮したサービスが可能となる。
【0010】
サービス対象の製品の数を増やすためには、サービス対象との間でデータのやり取りをするマイクロサービスや、サービス対象からのデータを集約し各種分析を行なうマイクロサービス等、多数のマイクロサービスが設けられる。また、多数のマイクロサービスの間では、膨大な数のメッセージングが発生する。
【0011】
例えば、100万台の自動車を対象としたサービスでは、100万のリアルタイムなメッセージングが実施される。また、新たにもう1つのサービスが追加されれば、更に100万のリアルタイムなメッセージングが実行される。一般に、メッセージングの数は、マイクロサービスの数よりも多くなってしまう。
【0012】
メッセージングのコストは、一般に、送信から受信までの各段階(例えば、送信処理,データ伝送処理,ルーティング処理,データ伝送処理,受信処理)におけるコストの総和である。例えば、送信処理では、送信バッファの確保及び受信側との通信路の確立によってコストが定義される。また、データ伝送処理では、伝送データサイズ及び伝送速度から決まる遅延によってコストが定義される。更に、ルーティング処理では、受信側への適切な経路選択及びタイムスタンプや優先度等に基づいた伝送順序制御によってコストが定義される。また、受信処理では、受信データのキューイングや複数の受信データに対する待ち合わせである。それぞれの処理において遅延が発生し、Central Processing Unit(CPU)や記憶装置等の計算資源が使用される。
【0013】
上述したように、サービス対象が増加するとサービス数よりもメッセージング数が多く増加するため、メッセージング数の増加に伴うコストの増加がボトルネックとなるおそれがある。
【0014】
1つの側面では、メッセージングにかかるコストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの側面において、情報処理装置は、メッセージの送受信により複数のサービス間の連携を行なうメッセージ制御システムに備えられる情報処理装置であって、各サービスのメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して他の情報処理装置へ送信する送信部と、他の情報処理装置において複合されたメッセージを受信して分解する受信部と、を備え、前記送信部は、分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他の情報処理装置へ転送し、前記メッセージ制御システムに新たなサービスが追加された場合に、前記複数のサービス間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する。
【発明の効果】
【0016】
1つの側面では、メッセージングにかかるコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の一例におけるメッセージ制御システムの構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図1に示したメッセージ処理装置及びメッセージ管理装置のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【
図3】関連例におけるメッセージングを例示する図である。
【
図4】
図1に示したメッセージ制御システムにおけるメッセージングを説明する図である。
【
図5】
図1に示したメッセージ制御システムにおけるメッセージングにおけるパスの変化を説明する図である。
【
図6】
図1に示したメッセージ制御システムにおいて多数のサービスが配置されている場合のメッセージングを説明する図である。
【
図7】
図1に示したメッセージ制御システムにおいて4つ目のサービスを追加した場合のメッセージングを説明する図である。
【
図8】
図1に示したメッセージ制御システムにおいて複数の送信先が存在する場合のメッセージングを説明する図である。
【
図9】
図1に示したメッセージ制御システムにおいて複数のフローが存在する場合のメッセージングを説明する図である。
【
図10】
図1に示したメッセージ管理部によるメッセージ複合指示処理を説明するフローチャートである。
【
図11】
図1に示したメッセージ制御システムにおけるサービスの通信仕様を例示するテーブルである。
【
図12】
図1に示したメッセージ制御システムにおけるメッセージ複合指示情報を示すテーブルである。
【
図13】
図10のステップS3に示したメッセージ複合指示の算出処理の詳細を説明するフローチャートである。
【
図14】
図13のステップS304に示したメッセージ複合指示の作成処理の詳細を説明するフローチャートである。
【
図15】
図1に示したメッセージ制御システムにおける対応管理情報を例示するテーブルである。
【
図16】
図1に示したメッセージ制御システムにおけるメッセージ複合指示の内容を示すテーブルである。
【
図17】
図1に示したメッセージ処理部によるメッセージ受信処理を説明するフローチャートである。
【
図18】
図1に示したメッセージ制御システムにおけるメッセージを示すテーブルである。
【
図19】
図1に示したメッセージ制御システムにおける通常メッセージを示すテーブルである。
【
図20】
図1に示したメッセージ制御システムにおける複合メッセージを示すテーブルである。
【
図21】
図1に示したメッセージ処理部によるメッセージ送信処理を説明するフローチャートである。
【
図22】
図1に示したメッセージ処理部による複数の送信先がある場合のメッセージ送信処理を説明するフローチャートである。
【
図23】
図1に示したメッセージ制御システムにおける複数の送信先がある場合のメッセージ複合指示の内容を示すテーブルである。
【
図24】
図1に示したメッセージ制御システムにおける複数の送信先がある場合の複合メッセージを示すテーブルである。
【
図25】
図1に示したメッセージ管理部による複数のフローが存在する場合のメッセージ複合指示の算出処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0019】
また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。
【0020】
以下、図中において、同一の各符号は同様の部分を示しているので、その説明は省略する。
【0021】
〔A〕実施形態の一例
〔A-1〕システム構成例
図1は、実施形態の一例におけるメッセージ制御システム100の構成例を模式的に示すブロック図である。
【0022】
メッセージ制御システム100は、メッセージの送受信により複数のサービス120間の連携を行ない、メッセージ管理部210及び複数(図示する例では2つ)のメッセージ処理部110としての機能を備える。
【0023】
メッセージ管理部210は、各メッセージ処理部110と通信可能に接続される。メッセージ管理部210は、サービス120の配備の際にサービス120の通信仕様に応じてメッセージ複合指示を作成して、作成したメッセージ複合指示をメッセージ処理部110へ送信する。
【0024】
別言すれば、メッセージ管理部210は、メッセージ処理部110に対して、各サービス120のメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して、他のメッセージ処理部110へ送信するように指示する。
【0025】
メッセージ管理部210としての機能は、
図2を用いて後述するように、メッセージ管理装置2によって実現される。メッセージ管理部210は、
図1に示すように、メッセージ複合導出部211及びサービス通信管理部212として機能する。
【0026】
メッセージ複合導出部211は、サービス120の通信仕様に基づき、サービス120へ送信するサービス識別子(ID)のセットを導出する。
【0027】
サービス通信管理部212は、サービス120の通信仕様を管理する。
【0028】
メッセージ処理部110は、サービス120毎に配置され、ネットワーク3を介したサービス120のメッセージ通信を中継する。メッセージ処理部110は、メッセージ管理部210からの指示に従い、複合メッセージに対する処理を行なう。メッセージ処理部110としての機能は、
図2を用いて後述するように、メッセージ処理装置1によって実現される。メッセージ処理部110は、
図1に示すように、メッセージ複合指示管理部111,メッセージ複合処理部112,複合メッセージ分解部113,複合メッセージ判定部114及び受信メッセージ転送部115として機能する。
【0029】
メッセージ複合指示管理部111は、メッセージ管理部210からメッセージ複合指示を受け取り、受け取ったメッセージ複合指示を保持する。
【0030】
メッセージ複合処理部112は、該当メッセージに対応するメッセージ複合指示が存在する場合には、複合メッセージを生成する。一方、メッセージ複合処理部112は、該当メッセージに対応するメッセージ複合指示が存在しない場合には、該当メッセージの複合を行なわない通常メッセージとして扱う。
【0031】
別言すれば、メッセージ複合処理部112は、送信部の一例であり、各サービス120のメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して他のメッセージ処理装置1へ送信する。また、メッセージ複合処理部112は、分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他のメッセージ処理装置1へ転送する。
【0032】
複合メッセージ分解部113は、メッセージ本体からデータ,受信指定及び転送指定を取り出す。複合メッセージ分解部113は、メッセージ本体における受信指定が真の場合には、データを受信メッセージ転送部115へ渡す。一方、複合メッセージ分解部113は、メッセージ本体における転送指定が真の場合には、データをメッセージ複合処理部112へ渡す。
【0033】
別言すれば、複合メッセージ分解部113は、受信部の一例であり、他のメッセージ処理装置1において複合されたメッセージを受信して分解する。
【0034】
複合メッセージ判定部114は、ネットワーク3から受信したメッセージが複合メッセージであるか通常メッセージであるかを判定する。複合メッセージ判定部114は、受信したメッセージが通常メッセージである場合には、受信したメッセージを受信メッセージ転送部115へ渡す。一方、複合メッセージ判定部114は、受信したメッセージが複合メッセージである場合には、受信したメッセージを複合メッセージ分解部113へ渡す。
【0035】
受信メッセージ転送部115は、メッセージ本体から取り出されたデータをサービス120へ渡す。
【0036】
図2は、
図1に示したメッセージ処理装置1及びメッセージ管理装置2のハードウェア構成例を模式的に示すブロック図である。
【0037】
メッセージ処理装置1及びメッセージ管理装置2は、CPU11,メモリ12,表示制御部13,記憶装置14,入力Interface(I/F)15,読み書き処理部16及び通信I/F17を備える。メッセージ処理装置1は情報処理装置の一例であり、メッセージ管理装置2は制御装置の一例である。
【0038】
メモリ12は、記憶部の一例であり、例示的に、Read Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)を含む記憶装置である。メモリ12のROMには、Basic Input/Output System(BIOS)等のプログラムが書き込まれてよい。メモリ12のソフトウェアプログラムは、CPU11に適宜に読み込まれて実行されてよい。また、メモリ12のRAMは、一次記録メモリあるいはワーキングメモリとして利用されてよい。
【0039】
表示制御部13は、表示装置130と接続され、表示装置130を制御する。表示装置130は、液晶ディスプレイやOrganic Light-Emitting Diode(OLED)ディスプレイ,Cathode Ray Tube(CRT),電子ペーパーディスプレイ等であり、オペレータ等に対する各種情報を表示する。表示装置130は、入力装置と組み合わされたものでもよく、例えば、タッチパネルでもよい。
【0040】
記憶装置14は、例示的に、データを読み書きして記憶する装置であり、例えば、Hard Disk Drive(HDD)やSolid State Drive(SSD),Storage Class Memory(SCM)が用いられてよい。
【0041】
入力I/F15は、マウス151やキーボード152等の入力装置と接続され、マウス151やキーボード152等の入力装置を制御する。マウス151やキーボード152は、入力装置の一例であり、これらの入力装置を介して、オペレータが各種の入力操作を行なう。
【0042】
読み書き処理部16は、記録媒体160が装着可能に構成される。読み書き処理部16は、記録媒体160が装着された状態において、記録媒体160に記録されている情報を読み取り可能に構成される。本例では、記録媒体160は、可搬性を有する。例えば、記録媒体160は、フレキシブルディスク、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は、半導体メモリ等である。
【0043】
通信I/F17は、外部装置との通信を可能にするためのインタフェースである。
【0044】
CPU11は、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ12に格納されたOperating System(OS)やプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
【0045】
メッセージ処理装置1及びメッセージ管理装置2全体の動作を制御するための装置は、CPU11に限定されず、例えば、MPUやDSP,ASIC,PLD,FPGAのいずれか1つであってもよい。また、メッセージ処理装置1及びメッセージ管理装置2全体の動作を制御するための装置は、CPU,MPU,DSP,ASIC,PLD及びFPGAのうちの2種類以上の組み合わせであってもよい。なお、MPUはMicro Processing Unitの略称であり、DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略称である。また、PLDはProgrammable Logic Deviceの略称であり、FPGAはField Programmable Gate Arrayの略称である。
【0046】
図3は、関連例におけるメッセージングを例示する図である。
【0047】
図示する例では、サービス#1~#3が配備されている。サービス#1は自動車の位置aを取得し、サービス#2は自動車の速度bを計算し、サービス#3は自動車の運転の質を判定する。
【0048】
符号A1及びA2に示すように、サービス#1は、サービス#2及び#3に対してそれぞれ、取得した自動車の位置aを送信する。
【0049】
符号A3に示すように、サービス#2は、サービス#3に対して、受信した自動車の位置aに基づいて算出した自動車の速度bを送信する。
【0050】
符号A4に示すように、サービス#3は、サービス#1から受信した自動車の位置aと、サービス#2から受信した自動車の速度bとに基づき、自動車の運転の質を判定する。
【0051】
ここで、サービス#2はサービス#1から自動車の位置aを取得しているため、サービス#2が自動車の位置aをサービス#3へ転送できれば、サービス#1からサービス#3への通信は不要となる。また、サービス#2が自動車の速度bの計算結果と一緒に自動車の位置aをサービス#3へ送信すれば、サービス#1とサービス#2との同期は不要となる。
【0052】
既存のサービス120を利用する新たなサービス120をシステムに追加していくほど、サービス120間の不要な通信が増加してしまう。
【0053】
図4は、
図1に示したメッセージ制御システム100におけるメッセージングを説明する図である。
【0054】
本実施形態の一例では、複数のメッセージを1つにパックした複合メッセージを導入し、複合メッセージを処理するメッセージ処理部110を介して各サービス120へのデータの入出力が実施される。
【0055】
メッセージ管理部210は、新たに配備されたサービス120へのメッセージフロー(別言すれば、送受信関係)を、配備済みのサービス120全体のメッセージフローに基づき最適化する。
【0056】
図示する例では、既存のサービス#1及び#2に加えて、サービス#3が新たに配備される。メッセージ管理部210は、符号B1で示すサービス#1からサービス#2へのメッセージフローに加えて、符号B2で示すサービス#1からサービス#3へのメッセージフローと、サービス#2からサービス#3へのメッセージフローとの登録を受け付ける。
【0057】
符号B3に示すように、メッセージ管理部210は、サービス#1のメッセージ処理部110に対して、サービス#1からのメッセージaを複合対象として指示する。
【0058】
符号B4に示すように、サービス#1のメッセージ処理部110は、サービス#2に対して、複合メッセージ[*a]を送信する。ここで、*は複合対象であることを示す。
【0059】
符号B5に示すように、メッセージ管理部210は、サービス#2のメッセージ処理部110に対して、サービス#1からのメッセージaの受信及びメッセージaのサービス#3への転送を指示する。
【0060】
符号B6及びB7に示すように、サービス#2のメッセージ処理部110は、メッセージaとメッセージbとを複合して、サービス#3に対して複合メッセージ[*a,b]を送信する。
【0061】
符号B8に示すように、メッセージ管理部210は、サービス#3のメッセージ処理部110に対して、サービス#2からのメッセージaの受信を指示する。
【0062】
符号B9に示すように、サービス#3のメッセージ処理部110は、サービス#2から受信したメッセージa及びbからメッセージcを生成する。
【0063】
図5は、
図1に示したメッセージ制御システム100におけるメッセージングにおけるパスの変化を説明する図である。
【0064】
配備済サービス集合をD={Si|Siは配備済サービス}とし、各Siについて、メッセージ送受信関係から上流サービス集合Ui={Sj|SjはSiへメッセージを送信するサービス}が算出される。
【0065】
符号C1に示すように、追加で配備する新サービスをSxとし、その上流サービス集合をUx={Sk|SkはSxへメッセージを送信するサービス}とし、各Skについてメッセージ複合が行なわれる。
【0066】
ここで、Skが未配備の場合には、Skに対して本手続が実施される。一方、Skが配備済の場合には、Skの上流Ukの要素でもあるSaについて、次の(1)又は(2)の処理が実施される。
【0067】
(1)SxがSkと同じデータxをSaから受信している場合には、xを複合メッセージとし、SaからSxへの通信Paxが削除可に設定される。
【0068】
(2)符号C2に示すようにSxでの受信データがxとyとで異なる場合には、符号C3に示すように、yを複合メッセージとし、SaからSxへの通信PaxをSaからSkへの通信Pakへ複合可に設定される。
【0069】
そして、Uxの各要素Skについて、対応するメッセージ処理部110への指示に基づき、Sxが配備される。SkからSxへの送信データが複合メッセージの場合には、当該送信データの複合メッセージ化がメッセージ処理部110に指示される。SkからSxへの通信Pkxが削除可の場合には、Pkxの削除がメッセージ処理部110に指示される。SkからSxへの通信Pkxが通信Pklへ複合可の場合には、Pkxの削除とPkxのデータのPklへの複合がメッセージ処理部110に指示される。
【0070】
図6は、
図1に示したメッセージ制御システム100において多数のサービス120が配置されている場合のメッセージングを説明する図である。
【0071】
図5に示した手続は、
図6に示すように、任意のパス長及び任意のパス数に適用可能である。
【0072】
図6に示すように、例えば、サービスSa1からサービスSxへの通信、及び、サービスSb1からサービスSxへの通信を削除して、これらの通信をサービスSa1,Sb1,Sc1を介した通信に複合できる。また、例えば、サービスSa2からサービスSxへの通信、及び、サービスSb2からサービスSxへの通信を削除して、これらの通信をサービスSa2,Sb2,Sc2を介した通信に複合できる。
【0073】
図7は、
図1に示したメッセージ制御システム100において4つ目のサービス120を追加した場合のメッセージングを説明する図である。
【0074】
配置済のサービス120間にメッセージフローがない場合でも、追加サービスSxと同じメッセージセットを受信するサービスSyがあれば、新しい複合メッセージフローが加えられることで、全体のメッセージフローの数及び同期を減らすことができる。
【0075】
符号D1に示すように、配備済のサービスSa,Sb及びSyに対して、新たなサービスSxが追加される。これにより、サービスSaからサービスSyへのメッセージaの通信と、サービスSbからサービスSyへのメッセージbの通信とに加えて、サービスSaからサービスSxへのメッセージaの通信と、サービスSbからサービスSyへのメッセージbの通信とが定義される。全てのサービス120間の通信回数は4回である。
【0076】
ここで、符号D2に示すように、複合メッセージが採用されることにより、サービスSaからサービスSbに対する複合されたメッセージ+aの通信と、サービスSbからサービスSy及びSxに対する複合されたメッセージb, +aの通信とが定義される。これにより、全てのサービス120間の通信回数は3回に減少できる。
【0077】
すなわち、メッセージ複合処理部112は、メッセージ制御システム100に新たなサービス120が追加された場合に、複数のサービス120間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する。
【0078】
図8は、
図1に示したメッセージ制御システム100において複数の送信先が存在する場合のメッセージングを説明する図である。
【0079】
複数の送信先がある場合には、複合したメッセージを必要とするサービス120へのパスを持つ送信先に当該メッセージを複合した複合メッセージが送信されることにより、通信の全体量を低減できる。
【0080】
図示する例では、サービスSa,Sw,Sz及びSxが配備されている。ここで、サービスSwからの送信がサービスSz宛とサービスSx宛とに分けられ、サービスSx宛の送信が複合メッセージb, +aに設定される。
【0081】
すなわち、メッセージ複合処理部112は、送信対象のメッセージを使用する複数のサービス120がある場合に、複数のサービス120のうち2以上のサービス120への通信経路を有する他のサービス120を送信対象のメッセージの送信先とする。
【0082】
図9は、
図1に示したメッセージ制御システム100において複数のフローが存在する場合のメッセージングを説明する図である。
【0083】
複合メッセージのフローが複数存在する場合には、パス長が最短のフローが選択される。これにより、通信の全体量を低減できる。
【0084】
図示する例では、サービスSa,Sb,Sc,Sd及びSxが配備されている。サービスSaからサービスSxへの通信は、サービスSb経由の場合はパス長が2であるのに対して、サービスSc及びSd経由の場合はパス長が3である。そこで、パス長が短いサービスSb経由の通信が選択されて、複合メッセージが送信される。
【0085】
すなわち、メッセージ複合処理部112は、送信対象のメッセージの通信経路として複数の通信経路がある場合に、複数の通信経路のうち経路長が最短の通信経路に接続されているサービス120を送信対象のメッセージの送信先とする。
【0086】
〔A-2〕動作例
図1に示したメッセージ管理部210によるメッセージ複合指示処理を、
図11及び
図12に示すテーブルを参照しながら、
図10に示すフローチャート(ステップS1~S5)に従って説明する。
図11は、
図1に示したメッセージ制御システム100におけるサービス120の通信仕様を例示するテーブルである。
図12は、
図1に示したメッセージ制御システム100におけるメッセージ複合指示情報を示すテーブルである。
【0087】
サービス通信管理部212は、サービス配備の際に、配備するサービスSxの通信仕様を受け取り、記憶装置14(
図2を参照)に登録する(ステップS1)。
【0088】
図11に示すように、通信仕様は、サービスIDが示すサービス120の受信データ及び送信データを表わす。受信データ及び送信データには、それぞれIDが設定されている。受信データには、そのデータを送信するサービス120のIDが定義される。通信仕様は、サービス120の提供者が作成してよい。
【0089】
メッセージ複合導出部211は、サービスSxの通信仕様に基づき、サービスSxへ送信するサービスIDのセットUx=[Sy1, Sy2, …]を求める(ステップS2)。サービスIDは、
図11に示した通信仕様の送信サービスIDに対応する。
【0090】
メッセージ複合導出部211は、Uxの各要素Syiからメッセージ複合指示Cyiを求める(ステップS3)。なお、ステップS3におけるメッセージ複合指示の算出処理の詳細については、
図13を用いて後述する。
【0091】
図12に示すように、メッセージ複合指示情報は、指示対象とする1つ以上のメッセージ処理部110のIDと、1つ以上のメッセージ複合指示とを含む。メッセージ複合指示は、サービス120の送受信メッセージをまとめる方法を示す。
【0092】
メッセージ複合導出部211は、要素Syi毎に求めた全てのメッセージ複合指示Cyiを統合して、メッセージ複合指示Cxを求める(ステップS4)。
【0093】
メッセージ複合導出部211は、メッセージ複合指示Cxの内容に従い、各メッセージ処理部110へメッセージ複合指示Cxを送信する(ステップS5)。そして、メッセージ管理部210によるメッセージ複合指示処理は終了する。
【0094】
次に、
図10のステップS3に示したメッセージ複合指示の算出処理の詳細を、
図13に示すフローチャート(ステップS301~S305)に従って説明する。
【0095】
メッセージ複合導出部211は、サービスSyの通信仕様をサービス通信管理部212から取得する(ステップS301)。
【0096】
メッセージ複合導出部211は、サービスSxの通信仕様からSyへの送信サービスIDのセットUy=[Sz1, Sz2, …]を求める(ステップS302)。
【0097】
メッセージ複合導出部211は、ステップS302で求めたUy及び
図10のステップS2で求めたUxの両方に含まれるサービスIDである送信サービスIDのセットUyxを求める(ステップS303)。
【0098】
メッセージ複合導出部211は、Uyxの各要素Sziからメッセージ複合指示Cziを求める(ステップS304)。なお、ステップS304におけるメッセージ複合指示の作成処理の詳細は
図14を用いて後述するが、Cziは
図12に示したデータでよい。
【0099】
メッセージ複合導出部211は、Czi全てを統合した複合指示Cyを求める(ステップS305)。そして、メッセージ複合指示の算出処理は終了する。
【0100】
次に、
図13のステップS304に示したメッセージ複合指示の作成処理の詳細を、
図15及び
図16に示すテーブルを参照しながら、
図14に示すフローチャート(ステップS141~S144)に従って説明する。
図15は、
図1に示したメッセージ制御システム100における対応管理情報を例示するテーブルである。
図16は、
図1に示したメッセージ制御システム100におけるメッセージ複合指示の内容を示すテーブルである。
【0101】
メッセージ複合導出部211は、サービスSx及びSzから受信するデータDzxを求める(ステップS141)。データDzxは、サービスSxの通信仕様の受信部及びサービスSzの通信仕様の送信部で示されるデータIDである。
【0102】
メッセージ複合導出部211は、サービスSyがサービスSzから受信するデータDzyを求める(ステップS142)。
【0103】
メッセージ複合導出部211は、サービスSzに対応するメッセージ処理部110の識別子Mzを求める(ステップS143)。
【0104】
図15に示すように、サービス120とメッセージ処理部110との対応付けは対応管理情報において定義される。サービス120のIDとメッセージ処理部110のIDとの対応付けは、サービス配備の際にサービス通信管理部212によって実施される。サービス通信管理部212は、
図15に示す対応管理情報を管理する。メッセージ複合導出部211は、サービス通信管理部212からサービスSzに対応するメッセージ処理部110の識別子Mzを取得する。
【0105】
メッセージ複合導出部211は、識別子Mzのメッセージ処理部110へ送信するメッセージ複合指示Czを作成する(ステップS144)。そして、メッセージ複合指示の作成処理は終了する。
【0106】
図16に例示するように、メッセージ複合指示Czは、サービスSzの通信仕様の送信部で示す各データについて、データID,複合先データID及び複合データIDを示す。
【0107】
例えば、サービスSzのデータaの送信をデータbの送信にまとめる場合には、データaの複合先データはデータbとなり、データbの複合データはデータaとなる。
図16に示す形式に従えば、サービスSzのデータaの送信をデータbの送信にまとめる場合には、メッセージ複合指示Czは、(データa,データb,-)及び(データb,-,データa)で表わされる。また、複合データIDには、不特定(*)が指定されてもよい。
【0108】
ステップS144におけるメッセージ複合指示Czは、(データDzx,データDzy,-)及び(データDzy,-,データDzx)となる。
【0109】
次に、
図1に示したメッセージ処理部110によるメッセージ受信処理を、
図18~
図20に示すテーブルを参照しながら、
図17に示すフローチャート(ステップS11~S16)に従って説明する。
図18は、
図1に示したメッセージ制御システム100におけるメッセージを示すテーブルである。
図19は、
図1に示したメッセージ制御システム100における通常メッセージを示すテーブルである。
図20は、
図1に示したメッセージ制御システム100における複合メッセージを示すテーブルである。
【0110】
複合メッセージ判定部114は、ネットワーク3からメッセージを受信する(ステップS11)。
【0111】
複合メッセージ判定部114は、受信したメッセージが複合メッセージであるかを判定する(ステップS12)。
【0112】
図18に示すように、メッセージには、メッセージが通常メッセージであるか複合メッセージであるかを示すメッセージタイプと、メッセージの内容を示すメッセージ本体とが含まれる。
【0113】
図19に示されるように、通常メッセージのメッセージ本体はデータである。
【0114】
一方、
図20に示すように、複合メッセージのメッセージ本体は、それぞれ1つ以上のデータ,受信指定及び転送指定を含む。受信指定及び転送指定は、例えば真理値であってよい。受信指定が真の場合には該当データはサービス120が受信するデータであることを示し、転送指定が真の場合には当該データはサービス120が送信するデータと共に複合メッセージとして後続のサービス120へ送ることを示す。
【0115】
受信したメッセージが複合メッセージでない(すなわち、通常メッセージである)場合には(ステップS12のNoルート参照)、受信メッセージ転送部115は、メッセージをサービス120へ渡す(ステップS13)。そして、メッセージ受信処理は終了する。
【0116】
一方、受信したメッセージが複合メッセージである場合には(ステップS12のYesルート参照)、複合メッセージ分解部113は、メッセージ本体から、データ,受信指定及び転送指定を取り出す(ステップS14)。
【0117】
受信メッセージ転送部115は、受信指定が真であるデータをそれぞれサービス120へ渡す(ステップS15)。
【0118】
メッセージ複合処理部112は、転送指定が真であるデータをそれぞれ処理する(ステップS16)。そして、メッセージ受信処理は終了する。その後、
図21で説明するメッセージ送信処理が実施される。
【0119】
次に、
図1に示したメッセージ処理部110によるメッセージ送信処理を、
図21に示すフローチャート(ステップS21~S25)に従って説明する。
【0120】
メッセージ複合処理部112は、サービス120から送信データDsを受け取る(ステップS21)。
【0121】
メッセージ複合処理部112は、メッセージ管理部210から受信したメッセージ複合指示(
図16を参照)に基づき、送信データDsが複合対象であるかを判定する(ステップS22)。
【0122】
送信データDsが複合対象でない場合には(ステップS22のNoルート参照)、メッセージ複合処理部112は、通常のメッセージを生成し(ステップS23)、処理はステップS25へ進む。
【0123】
一方、送信データDsが複合対象である場合には(ステップS22のYesルート参照)、メッセージ複合処理部112は、送信データDs及び転送データDtから複合メッセージを生成する(ステップS24)。
【0124】
送信データDsに複合データ指定がある場合には、メッセージ複合処理部112は、指定されたデータDtを転送データとして保持していれば、データDsとデータDtとから複合メッセージを生成する。転送データDtがない場合には、メッセージ複合処理部112は、送信データDsを送信せずに送信待ちデータとして保持する。送信待ちデータDsは、前述した
図17のステップS16における処理で該当する転送データDtが渡された際に複合メッセージとして送信される。
【0125】
送信データDsに複合先データ指定がある場合には、複合先データDuがサービス120から既に送信されたかが調べられる。この場合、メッセージ複合処理部112は、データDuを保持し外部へ送信しない。複合先データDuが送信されている場合、つまりメッセージ複合処理部112が送信データDuを保持している場合には、データDu及びDsから複合メッセージが生成され、メッセージ複合処理部112は保持していた送信データDuを破棄する。複合先データDuが未送信である場合、つまりメッセージ複合処理部112が送信データDuを保持していない場合には、メッセージ複合処理部112は、データDsを外部へ送信せず送信待ちデータとして保持する。データDsは、データDuがサービス120から送信された際にDuと複合メッセージとなり送信される。
【0126】
メッセージ複合処理部112は、メッセージを対象のサービス120へ送信する(ステップS25)。そして、メッセージ送信処理は終了する。
【0127】
次に、
図1に示したメッセージ処理部110による複数の送信先がある場合のメッセージ送信処理を、
図23及び
図24に示すテーブルを参照しながら、
図22に示すフローチャート(ステップS31~S42)に従って説明する。
図23は、
図1に示したメッセージ制御システム100における複数の送信先がある場合のメッセージ複合指示の内容を示すテーブルである。
図24は、
図1に示したメッセージ制御システム100における複数の送信先がある場合の複合メッセージを示すテーブルである。
【0128】
メッセージ複合処理部112は、サービス120から送信データを受け取る(ステップS31)。
【0129】
メッセージ複合処理部112は、メッセージ複合指示に基づき、送信データに複合データIDが付加されていて複合対象であるかを判定する(ステップS32)。
【0130】
図23に示すように、メッセージ複合指示は、データID,複合先データID及び複合データIDに加えて、宛先サービスIDが付加されてよい。
【0131】
送信データが複合対象でない(別言すれば、複合データIDがない)場合には(ステップS32のNoルート参照)、メッセージ複合処理部112は、通常のメッセージを生成する(ステップS33)。
【0132】
メッセージ複合処理部112は、メッセージを全ての送信先へ送信する(ステップS34)。そして、複数の送信先がある場合のメッセージ送信処理は終了する。
【0133】
一方、送信データが複合対象である(別言すれば、複合データIDがある)場合には(ステップS32のYesルート参照)、メッセージ複合処理部112は、メッセージ複合指示において宛先サービスIDが付加されているかを判定する(ステップS35)。
【0134】
宛先サービスIDが付加されていない場合には(ステップS35のNoルート参照)、メッセージ複合処理部112は、送信データ及び転送データから複合メッセージを生成する(ステップS36)。そして、処理はステップS34へ進む。
【0135】
図24に示すように、複合メッセージには、データ,受信指定及び転送指定に加えて、宛先サービスIDが付加されてよい。
【0136】
一方、宛先サービスIDが付加されている場合には(ステップS35のYesルート参照)、メッセージ複合処理部112は、送信先としてサービスSw1, Sw2, …を取得し、各送信先サービスSwiについて以下の処理を行う(ステップS37)。
【0137】
メッセージ複合処理部112は、メッセージ複合指示の宛先サービスIDが送信先サービスSwiに一致するかを判定する(ステップS38)。
【0138】
宛先サービスIDが送信先サービスSwiに一致しない場合には(ステップS38のNoルート参照)、メッセージ複合処理部112は、送信データから通常のメッセージを生成する(ステップS39)。そして、処理はステップS41へ進む。
【0139】
一方、宛先サービスIDが送信先サービスSwiに一致する場合には(ステップS38のYesルート参照)、メッセージ複合処理部112は、送信データ及び転送データから複合メッセージを生成する(ステップS40)。
【0140】
図24に示すように、複合メッセージには、データ,受信指定及び転送指定に加えて、宛先サービスIDが付加されてよい。
【0141】
メッセージ複合処理部112は、送信先サービスSwiが示すサービス120に対して、メッセージを送信する(ステップS41)。
【0142】
メッセージ複合処理部112は、送信先の全てへのメッセージ送信処理が完了したかを判定する(ステップS42)。
【0143】
送信先の全てへのメッセージ送信処理が完了していない場合には(ステップS42のNoルート参照)、ステップS37へ戻り、メッセージ送信処理を繰り返す。
【0144】
一方、送信先の全てへのメッセージ送信処理が完了している場合には(ステップS42のYesルート参照)、複数の送信先がある場合のメッセージ送信処理は終了する。
【0145】
次に、
図1に示したメッセージ管理部210による複数のフローが存在する場合のメッセージ複合指示の算出処理を、
図25に示すフローチャート(ステップS
51~S
56)に従って説明する。
【0146】
メッセージ複合導出部211は、メッセージ複合指示Cx=[Cx1, Cx2, …]について、重複するメッセージ複合指示Cxi及びCxjを求める(ステップS51)。
【0147】
メッセージ複合導出部211は、重複するメッセージ複合指示Cxi及びCxjのサービスSzを求める(ステップS52)。
【0148】
メッセージ複合導出部211は、サービスSxとサービスSzとの最短経路Pzxを求める(ステップS53)。
【0149】
メッセージ複合導出部211は、経路PzxにおいてサービスSzの次のサービスSwを求める(ステップS54)。
【0150】
メッセージ複合導出部211は、サービスSwの通信仕様に従って、サービスSzからサービスSwへの送信データDzwを求める(ステップS55)。
【0151】
メッセージ複合導出部211は、重複するメッセージ複合指示Cxi及びCxjのうち、送信データDzwを複合先とするメッセージ複合指示を採用する(ステップS56)。そして、複数のフローが存在する場合のメッセージ複合指示の算出処理は終了する。
【0152】
〔A-3〕効果
上述した実施形態の一例におけるメッセージ処理装置1(メッセージ制御システム100)によれば、例えば、以下の作用効果を奏することができる。
【0153】
メッセージ複合処理部112は、各サービス120のメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して他のメッセージ処理装置1へ送信する。複合メッセージ分解部113は、他のメッセージ処理装置1において複合されたメッセージを受信して分解する。そして、メッセージ複合処理部112は、分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他のメッセージ処理装置1へ転送する。
【0154】
これにより、メッセージングにかかるコストを削減できる。具体的には、通信及び同期の数を減らすことができ、遅延を短縮してメッセージ制御システム100の応答性を高めることができる。また、複合メッセージにより、複数のデータの到着時刻のずれが最小となるので、同期に必要なキューのサイズを小さくでき、メッセージ制御システム100の実行に必要な資源を減らすことができる。
【0155】
メッセージ複合処理部112は、メッセージ制御システム100に新たなサービス120が追加された場合に、複数のサービス120間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する。
【0156】
これにより、新たなサービス120が追加された場合においても、メッセージングにかかるコストを削減できる。
【0157】
メッセージ複合処理部112は、送信対象のメッセージを使用する複数のサービス120がある場合に、複数のサービス120のうち2以上のサービス120への通信経路を有する他のサービス120を送信対象のメッセージの送信先とする。
【0158】
これにより、複数のメッセージの送信先がある場合にも、メッセージングにかかるコストを削減できる。
【0159】
メッセージ複合処理部112は、送信対象のメッセージの通信経路として複数の通信経路がある場合に、複数の通信経路のうち経路長が最短の通信経路に接続されているサービス120を送信対象のメッセージの送信先とする。
【0160】
これにより、メッセージの送信先までのフローが複数ある場合にも、メッセージングにかかるコストを削減できる。
【0161】
〔B〕その他
開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0162】
〔C〕付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0163】
(付記1)
メッセージの送受信により複数のサービス間の連携を行なうメッセージ制御システムに備えられる情報処理装置であって、
各サービスのメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して他の情報処理装置へ送信する送信部と、
他の情報処理装置において複合されたメッセージを受信して分解する受信部と、を備え、
前記送信部は、分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他の情報処理装置へ転送する、
情報処理装置。
【0164】
(付記2)
前記送信部は、前記メッセージ制御システムに新たなサービスが追加された場合に、前記複数のサービス間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0165】
(付記3)
前記送信部は、送信対象のメッセージを使用する複数のサービスがある場合に、前記複数のサービスのうち2以上のサービスへの通信経路を有する他のサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0166】
(付記4)
前記送信部は、送信対象のメッセージの通信経路として複数の通信経路がある場合に、前記複数の通信経路のうち経路長が最短の通信経路に接続されているサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
付記1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0167】
(付記5)
メッセージの送受信により複数のサービス間の連携を行なうメッセージ制御システムであって、
前記複数のサービスにそれぞれ対応付けられた複数の情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置のうち第1の情報処理装置に対して、各サービスのメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して、前記複数の情報処理装置のうち第2の情報処理装置へ送信するように指示する制御装置と、
を備え、
前記第1の情報処理装置は、
前記制御装置からの指示に従って、複合したメッセージを前記第2の情報処理装置へ送信する送信部と、
前記複数の情報処理装置のうち第3の情報処理装置において複合されたメッセージを受信して分解する受信部と、
を有し、
前記送信部は、分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して前記複数の情報処理装置のうち第4の情報処理装置へ転送する、
メッセージ制御システム。
【0168】
(付記6)
前記送信部は、前記メッセージ制御システムに新たなサービスが追加された場合に、前記複数のサービス間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する、
付記5に記載のメッセージ制御システム。
【0169】
(付記7)
前記送信部は、送信対象のメッセージを使用する複数のサービスがある場合に、前記複数のサービスのうち2以上のサービスへの通信経路を有する他のサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
付記5又は6に記載のメッセージ制御システム。
【0170】
(付記8)
前記送信部は、送信対象のメッセージの通信経路として複数の通信経路がある場合に、前記複数の通信経路のうち経路長が最短の通信経路に接続されているサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
付記5~7のいずれか1項に記載のメッセージ制御システム。
【0171】
(付記9)
メッセージの送受信により複数のサービス間の連携を行なうメッセージ制御システムに備えられる情報処理装置におけるコンピュータに、
各サービスのメッセージの送受信関係に基づき、複数のメッセージを1つのメッセージに複合して他の情報処理装置へ送信し、
他の情報処理装置において複合されたメッセージを分解して受信し、
分解したメッセージと新たなメッセージとを更に複合して他の情報処理装置へ転送する、
処理を実行させる、メッセージ制御プログラム。
【0172】
(付記10)
前記送信部は、前記メッセージ制御システムに新たなサービスが追加された場合に、前記複数のサービス間の通信回数が低減されるように、複合したメッセージの送信先を変更する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記9に記載のメッセージ制御プログラム。
【0173】
(付記11)
前記送信部は、送信対象のメッセージを使用する複数のサービスがある場合に、前記複数のサービスのうち2以上のサービスへの通信経路を有する他のサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記9又は10に記載のメッセージ制御プログラム。
【0174】
(付記12)
前記送信部は、送信対象のメッセージの通信経路として複数の通信経路がある場合に、前記複数の通信経路のうち経路長が最短の通信経路に接続されているサービスを前記送信対象のメッセージの送信先とする、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記9~11のいずれか1項に記載のメッセージ制御プログラム。
【符号の説明】
【0175】
100 :メッセージ制御システム
1 :メッセージ処理装置
11 :CPU
110 :メッセージ処理部
111 :メッセージ複合指示管理部
112 :メッセージ複合処理部
113 :複合メッセージ分解部
114 :複合メッセージ判定部
115 :受信メッセージ転送部
12 :メモリ
13 :表示制御部
130 :表示装置
14 :記憶装置
15 :入力I/F
151 :マウス
152 :キーボード
16 :読み書き処理部
160 :記録媒体
17 :通信I/F
120 :サービス
2 :メッセージ管理装置
210 :メッセージ管理部
211 :メッセージ複合導出部
212 :サービス通信管理部
3 :ネットワーク