(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20230530BHJP
B60D 1/02 20060101ALI20230530BHJP
B62B 5/04 20060101ALI20230530BHJP
F16D 49/00 20060101ALI20230530BHJP
F16D 65/16 20060101ALI20230530BHJP
F16D 121/16 20120101ALN20230530BHJP
F16D 125/64 20120101ALN20230530BHJP
F16D 125/68 20120101ALN20230530BHJP
F16D 125/70 20120101ALN20230530BHJP
【FI】
B62B5/00 C
B60D1/02 B
B62B5/04 A
F16D49/00 A
F16D65/16
F16D121:16
F16D125:64
F16D125:68
F16D125:70
(21)【出願番号】P 2019136204
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2021-10-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松木 孝憲
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-018173(JP,U)
【文献】特開平08-150817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00 - 5/08
B60D 1/02 - 99/00
B61G 1/00 - 11/18
B61H 1/00 - 15/00
F16D 49/00 - 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車輪の制動を行うブレーキ装置と、
牽引車のドローバーが挿入される連結孔を有するトーバーと、を備え、
前記ドローバーが前記連結孔に挿入されて前記トーバーが前記ドローバーを介して前記牽引車に連結されることにより前記牽引車によって牽引される台車であって、
前記ブレーキ装置は、
前記ドローバーが前記連結孔に挿入されることによって、前記車輪の制動を行う制動状態から前記車輪の制動を解除する制動解除状態に切り替えるとともに、前記ドローバーが前記連結孔から抜かれることによって、前記制動解除状態から前記制動状態に切り替え、
前記ブレーキ装置は、
前記車輪の制動を行う制動部と、
前記制動部と連動するレバーと、
前記レバー及び前記制動部を付勢する付勢部と、を有し、
前記ドローバーが前記連結孔から抜かれている状態では、前記レバーが前記付勢部に付勢されて前記連結孔の少なくとも一部を閉塞するとともに、前記制動部が前記付勢部により付勢されることにより前記制動状態に切り替わっており、
前記ドローバーが前記連結孔を閉塞していた前記レバー
に接触して当該レバーを押し退けながら前記付勢部の付勢力に抗して
前記連結孔から離間する方向へ移動させ
ることによって前記ドローバーが前記連結孔に挿入された状態では、前記制動部が前記付勢部の付勢力に抗して前記レバーと連動することにより前記制動解除状態に切り替わることを特徴とする台車。
【請求項2】
前記ブレーキ装置は、
前記制動部と前記レバーとを連結するロッドを有し、
前記制動部及び前記レバーは、前記ロッドを介して連動することを特徴とする請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記制動部は、前記制動状態において前記車輪に押し付けられることによって前記車輪の制動を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引車によって牽引される台車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、台車は、牽引車のドローバーが挿入される連結孔を有するトーバーを備えており、ドローバーが連結孔に挿入されてトーバーがドローバーを介して牽引車に連結されることにより牽引車によって牽引される。また、特許文献1の台車では、トーバーの動きに連動して、車輪の制動を行う制動状態と、車輪の制動を解除する制動解除状態と、に切り替えられるブレーキ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の台車では、車輪の制動を行う制動状態と、車輪の制動を解除する制動解除状態と、にブレーキ装置を切り替えるために、作業者がトーバーを操作する必要があるため、作業性が悪化してしまっている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、作業性を向上させることができる台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する台車は、車輪と、前記車輪の制動を行うブレーキ装置と、牽引車のドローバーが挿入される連結孔を有するトーバーと、を備え、前記ドローバーが前記連結孔に挿入されて前記トーバーが前記ドローバーを介して前記牽引車に連結されることにより前記牽引車によって牽引される台車であって、前記ブレーキ装置は、前記ドローバーが前記連結孔に挿入されることによって、前記車輪の制動を行う制動状態から前記車輪の制動を解除する制動解除状態に切り替えるとともに、前記ドローバーが前記連結孔から抜かれることによって、前記制動解除状態から前記制動状態に切り替える。
【0007】
ドローバーをトーバーの連結孔に挿入する作業は、トーバーを牽引車に連結する際に必要となる作業である。そして、ブレーキ装置は、トーバーを牽引車に連結する際に必要となる作業であるドローバーを連結孔に挿入する作業が行われると、車輪の制動を行う制動状態から車輪の制動を解除する制動解除状態に切り替えられる。したがって、ブレーキ装置を制動状態から制動解除状態に切り替えるための作業を別途必要としない。また、ドローバーを連結孔から抜く作業は、トーバーにおける牽引車に対する連結を解除する際に必要となる作業である。そして、ブレーキ装置は、トーバーにおける牽引車に対する連結を解除する際に必要となる作業であるドローバーを連結孔から抜く作業が行われると、制動解除状態から制動状態に切り替えられる。したがって、ブレーキ装置を制動解除状態から制動状態に切り替えるための作業を別途必要としない。以上のことから、作業性を向上させることができる。
【0008】
上記台車において、前記ブレーキ装置は、前記車輪の制動を行う制動部と、前記制動部と連動するレバーと、前記レバー及び前記制動部を付勢する付勢部と、を有し、前記ドローバーが前記連結孔から抜かれている状態では、前記レバーが前記付勢部に付勢されて前記連結孔の少なくとも一部を閉塞するとともに、前記制動部が前記付勢部により付勢されることにより前記制動状態に切り替わっており、前記ドローバーが前記連結孔を閉塞していた前記レバーを前記付勢部の付勢力に抗して移動させながら前記連結孔に挿入された状態では、前記制動部が前記付勢部の付勢力に抗して前記レバーと連動することにより前記制動解除状態に切り替わるとよい。
【0009】
これによれば、連結孔を閉塞していたレバーを付勢部の付勢力に抗して移動させながらドローバーを連結孔に挿入するだけで、制動部が付勢部の付勢力に抗してレバーと連動する結果、ブレーキ装置を制動解除状態に切り替えることができる。そして、ドローバーを連結孔から抜くだけで、レバーが付勢部に付勢されて連結孔の少なくとも一部を閉塞し、制動部が付勢部により付勢される結果、ブレーキ装置を制動状態に切り替えることができる。
【0010】
上記台車において、前記ブレーキ装置は、前記制動部と前記レバーとを連結するロッドを有し、前記制動部及び前記レバーは、前記ロッドを介して連動するとよい。
これによれば、例えば、トーバーの連結孔の位置が、制動部の配置位置に対して比較的離れた位置であったとしても、制動部とレバーとをロッドにより連結することにより、制動部及びレバーがロッドを介して連動するようになるため、制動部とレバーとを連動させるために、例えば、レバーを制動部に向けて延ばす必要が無い。したがって、トーバーの連結孔の位置、及び制動部の配置位置に関係無く、同じサイズのレバーを使用することができる。
【0011】
上記台車において、前記制動部は、前記制動状態において前記車輪に押し付けられることによって前記車輪の制動を行うとよい。
制動部を車輪に押し付けることで車輪の制動を行う構成は、車輪の制動を行う上で好適な構成である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態における台車と牽引車との連結箇所を示す斜視図。
【
図3】トーバー及びブレーキ装置周辺を拡大して示す斜視図。
【
図4】トーバー及びブレーキ装置周辺を拡大して示す側面図。
【
図5】トーバー及びブレーキ装置周辺を拡大して示す下面図。
【
図6】トーバー及びブレーキ装置周辺を拡大して示す斜視図。
【
図7】ドローバーが連結孔に挿入された状態を拡大して示す斜視図。
【
図8】ドローバーが連結孔に挿入された状態を拡大して示す側面図。
【
図9】ドローバーが連結孔に挿入された状態を拡大して示す下面図。
【
図10】ドローバーが連結孔に挿入された状態を拡大して示す斜視図。
【
図11】第2の実施形態におけるブレーキ装置周辺を拡大して示す斜視図。
【
図12】ドローバーが連結孔に挿入された状態を拡大して示す斜視図。
【
図13】第3の実施形態におけるブレーキ装置周辺を拡大して示す斜視図。
【
図14】ドローバーが連結孔に挿入された状態を拡大して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、台車を具体化した第1の実施形態を
図1~
図10にしたがって説明する。本実施形態の台車は、牽引車によって牽引される。
【0015】
図1及び
図2に示すように、牽引車10は、牽引ブラケット11を備えている。牽引ブラケット11は、牽引車10の車体12の後部下部に設けられている。牽引ブラケット11は、一対の第1プレート13及び第2プレート14を有している。第1プレート13及び第2プレート14はそれぞれ平板状であるとともに、車体12から互いに平行に延びている。第1プレート13及び第2プレート14は、それぞれの厚み方向が上下方向に一致するように車体12に設けられている。
【0016】
第1プレート13は、円孔状の第1取付孔13aを有している。第1取付孔13aは、第1プレート13の厚み方向に貫通した状態で第1プレート13に形成されている。また、第2プレート14は、円孔状の第2取付孔14aを有している。第2取付孔14aは、第2プレート14の厚み方向に貫通した状態で第2プレート14に形成されている。第1取付孔13aの孔径と第2取付孔14aの孔径とは同じである。第1取付孔13aと第2取付孔14aとは、上下方向で重なっている。第1取付孔13aの軸心と第2取付孔14aの軸心とは一致している。
【0017】
第1取付孔13a及び第2取付孔14aには、ドローバー15が挿入可能になっている。ドローバー15は、円柱状である。そして、ドローバー15は、第1取付孔13a及び第2取付孔14aに挿入された状態で第1プレート13及び第2プレート14に取り付けられる。
【0018】
台車20は、車輪としての2つの前輪21及び2つの後輪22を備えている。また、台車20は、荷台23と、ブレーキ装置24と、トーバー25と、を備えている。ブレーキ装置24は、2つの前輪21の制動を行う。トーバー25は、ドローバー15が挿入される連結孔26を有している。
【0019】
トーバー25は、牽引ブラケット11の第1プレート13と第2プレート14との間に配置される。そして、ドローバー15が、第1取付孔13a、連結孔26、及び第2取付孔14aの順に挿入されることにより、トーバー25がドローバー15を介して牽引ブラケット11に連結される。このように、台車20は、ドローバー15が連結孔26に挿入されてトーバー25がドローバー15を介して牽引車10の牽引ブラケット11に連結されることにより牽引車10によって牽引される。
【0020】
2つの前輪21は、車軸27によって互いに連結されている。2つの前輪21の一方は、車軸27の一端に連結されている。2つの前輪21の他方は、車軸27の他端に連結されている。そして、2つの前輪21は、車軸27を介して荷台23に回転可能に支持されている。2つの後輪22は、車軸28によって互いに連結されている。2つの後輪22の一方は、車軸28の一端に連結されている。2つの後輪22の他方は、車軸28の他端に連結されている。そして、2つの後輪22は、車軸28を介して荷台23に回転可能に支持されている。
【0021】
図3、
図4、
図5、及び
図6に示すように、トーバー25は、細長矩形薄板状のトーバー本体30と、トーバー本体30に取り付けられる孔形成部材31と、を有している。トーバー本体30は、荷台23の前端から荷台23の前方へ真っ直ぐに延在している。トーバー本体30の長手方向は、荷台23の前端からの延在方向に一致している。トーバー本体30の厚み方向は、上下方向に一致している。トーバー本体30の短手方向は、水平方向に一致している。トーバー本体30の先端縁は、荷台23に向けて凹む円弧状の孔形成縁30eになっている。
【0022】
孔形成部材31は、トーバー本体30の先端部の両側縁にそれぞれ接合される一対の接合部31aと、一対の接合部31a同士を繋ぐ連繋部31bと、を有している。一対の接合部31aは、互いに平行に延びる棒状である。連繋部31bは、一対の接合部31aにおける荷台23とは反対側の端部から荷台23に対して離間する方向に凹むように円弧状に延びる棒状である。
【0023】
連繋部31bの内縁における各接合部31a側の端部は、孔形成縁30eの両最外縁にそれぞれ連続している。孔形成縁30e及び連繋部31bの内縁は、平面視円孔状の連結孔26を形成している。したがって、孔形成部材31は、孔形成縁30eと協働して連結孔26を形成するようにトーバー本体30の先端部に取り付けられている。連結孔26の孔径は、ドローバー15の外径よりも大きい。
【0024】
トーバー本体30には、孔形成縁30eから荷台23に向けて真っ直ぐに延びる平面視細長矩形状の切欠30kが形成されている。切欠30kは、孔形成縁30eの中央部に形成されている。切欠30kは、孔形成縁30eの両最外縁それぞれから同じ距離離れた孔形成縁30eの部位に形成されている。切欠30kは、トーバー本体30の厚み方向に貫通している。
【0025】
ブレーキ装置24は、2つの前輪21の制動を行う一対の制動部32と、制動部32と連動するレバー33と、レバー33及び一対の制動部32を付勢する付勢部としての付勢ばね34と、を有している。さらに、ブレーキ装置24は、一対の制動部32とレバー33とを連結するロッド35を有している。
【0026】
ブレーキ装置24は、一対の第1支持部36を有している。一対の第1支持部36は、トーバー本体30の下面に接合されている。一対の第1支持部36は、トーバー本体30の下面から下方に突出する平板状である。一対の第1支持部36の厚み方向は、トーバー本体30の短手方向に一致している。一対の第1支持部36は、互いに平行に延びている。一対の第1支持部36は、トーバー本体30の下面において、切欠30kを挟む位置にそれぞれ配置されている。
【0027】
レバー33は、連結孔26の一部を閉塞可能なレバー閉塞部37と、レバー閉塞部37に連続するとともに切欠30kの内側に配置されるレバー連続部38と、レバー連続部38に連続するとともに一対の第1支持部36の間に配置されるレバーリンク部39と、を有している。レバー閉塞部37、レバー連続部38、及びレバーリンク部39は、それぞれ平板状である。レバー閉塞部37、レバー連続部38、及びレバーリンク部39は、一体形成されている。
【0028】
レバー閉塞部37の厚み方向とレバー連続部38の厚み方向とは一致している。レバー閉塞部37が連結孔26の一部を閉塞している状態では、レバー閉塞部37の厚み方向及びレバー連続部38の厚み方向は、トーバー本体30の厚み方向に一致している。レバー閉塞部37の厚みとレバー連続部38の厚みとは同じである。レバー閉塞部37の厚み及びレバー連続部38の厚みは、トーバー本体30の厚みと同じである。レバー閉塞部37の幅は、レバー連続部38の幅よりも大きい。
【0029】
レバーリンク部39の厚み方向は、トーバー本体30の短手方向に一致している。レバーリンク部39は、レバー連続部38の下面から下方に突出している。レバーリンク部39におけるレバー連続部38とは反対側の端部は、一対の第1支持部36よりも下方に位置している。レバーリンク部39は、支持軸40を介して一対の第1支持部36に揺動可能に支持されている。支持軸40は、レバーリンク部39を貫通して一対の第1支持部36に架け渡されている。支持軸40の両端部は、一対の第1支持部36それぞれに固定されている。レバー33は、支持軸40の軸線を揺動中心として一対の第1支持部36に対して揺動可能に支持されている。
【0030】
ロッド35は、ロッド本体35aと、ロッド本体35aの一端部に設けられる第1ロッドリンク部41と、ロッド本体35aの他端部に設けられる第2ロッドリンク部42と、を有している。ロッド本体35aは、細長円柱状である。
【0031】
第1ロッドリンク部41は、平面視U字形状である。第1ロッドリンク部41は、ロッド本体35aの一端部に接続される第1接続部41aと、第1接続部41aから延びる一対の第1延設部41bと、を有している。第1接続部41a及び一対の第1延設部41bはそれぞれ細長平板状である。第1接続部41aの厚み方向は、ロッド本体35aの軸線方向に一致している。第1接続部41aの長手方向は、水平方向に一致している。一対の第1延設部41bは、第1接続部41aの長手方向の両端部それぞれからロッド本体35aとは反対側に向けて延びている。一対の第1延設部41bの厚み方向は、それぞれ一致している。一対の第1延設部41bの厚み方向は、水平方向に一致している。一対の第1延設部41bの長手方向は、ロッド本体35aの軸線方向に一致している。一対の第1延設部41bは、互いに平行に延びている。
【0032】
一対の第1延設部41bは、第1連結軸43を介してレバーリンク部39におけるレバー連続部38とは反対側の端部に連結されている。第1連結軸43は、レバーリンク部39を貫通して一対の第1延設部41bに架け渡されている。第1連結軸43の両端部は、一対の第1延設部41bそれぞれに固定されている。第1連結軸43は、レバーリンク部39に対して摺動可能である。
【0033】
第2ロッドリンク部42は、平面視U字形状である。第2ロッドリンク部42は、ロッド本体35aの他端部に接続される第2接続部42aと、第2接続部42aから延びる一対の第2延設部42bと、を有している。第2接続部42a及び一対の第2延設部42bはそれぞれ細長平板状である。第2接続部42aの厚み方向は、ロッド本体35aの軸線方向に一致している。第2接続部42aの長手方向は、水平方向に一致している。一対の第2延設部42bは、第2接続部42aの長手方向の両端部それぞれからロッド本体35aとは反対側に向けて延びている。一対の第2延設部42bの厚み方向は、それぞれ一致している。一対の第2延設部42bの厚み方向は、水平方向に一致している。一対の第2延設部42bの長手方向は、ロッド本体35aの軸線方向に一致している。一対の第2延設部42bは、互いに平行に延びている。
【0034】
ブレーキ装置24は、回転軸44及び一対の第2支持部45を備えている。回転軸44は、一対の第2支持部45を介して荷台23に回転可能に支持されている。一対の第2支持部45は、荷台23の下面から下方に突出する薄板平板状である。一対の第2支持部45の厚み方向は、車軸27,28の軸線方向に一致している。回転軸44の軸線方向は、車軸27,28の軸線方向に一致している。一対の第2支持部45は、トーバー本体30の基端部を挟む位置にそれぞれ配置されている。
【0035】
回転軸44の一端部は、一対の第2支持部45の一方を貫通して2つの前輪21の一方の前方まで延びている。回転軸44の他端部は、一対の第2支持部45の他方を貫通して2つの前輪21の他方の前方まで延びている。
【0036】
回転軸44には、回転軸リンク部46が固定されている。回転軸リンク部46は、薄板平板状である。回転軸リンク部46の厚み方向は、回転軸44の軸線方向に一致している。回転軸44は、回転軸リンク部46を貫通している。回転軸リンク部46は、回転軸44が回転することに伴って、回転軸44の軸線を揺動中心として揺動可能である。回転軸リンク部46は、一対の第2支持部45それぞれから同じ距離離れた位置に配置されている。
【0037】
一対の第2延設部42bは、第2連結軸47を介して回転軸リンク部46に連結されている。第2連結軸47は、回転軸リンク部46を貫通して一対の第2延設部42bに架け渡されている。第2連結軸47の両端部は、一対の第2延設部42bそれぞれに固定されている。第2連結軸47は、回転軸リンク部46に対して摺動可能である。
【0038】
付勢ばね34は、引張コイルばねである。付勢ばね34の一端は、荷台23に支持されている。付勢ばね34の他端は、回転軸リンク部46における第2ロッドリンク部42との連結部位とは回転軸44を挟んで反対側の部位に支持されている。付勢ばね34は、回転軸リンク部46を引っ張る付勢力を回転軸リンク部46に付与する。
【0039】
各制動部32は、回転軸44に取り付けられる取付部32aと、取付部32aに取り付けられる押付部32fと、を有している。各押付部32fは、ゴム製である。取付部32aは、回転軸44の軸線方向から見たとき、その一部分が、回転軸44から第2ロッドリンク部42とは反対側に延びる細長薄板状である。一対の制動部32の一方の取付部32aは、回転軸44の一端部に取り付けられている。一対の制動部32の他方の取付部32aは、回転軸44の他端部に取り付けられている。一対の制動部32の一方の押付部32fは、2つの前輪21の一方の前方に位置している。一対の制動部32の他方の押付部32fは、2つの前輪21の他方の前方に位置している。一対の制動部32は、回転軸44の回転によって回転軸44の軸線を揺動中心として揺動可能である。したがって、各制動部32の押付部32fは、各前輪21に対して接離する方向へそれぞれ移動可能になっている。
【0040】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
ドローバー15が連結孔26から抜かれると、トーバー25における牽引車10に対する連結が解除される。ここで、付勢ばね34によって回転軸リンク部46を引っ張る付勢力が回転軸リンク部46に付与されているため、各制動部32の押付部32fが各前輪21に対して接近する方向へ移動するように、回転軸リンク部46が回転軸44の軸線を揺動中心として揺動しようとする。これにより、回転軸44が回転軸リンク部46と一体的に回転して、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられる。よって、付勢ばね34の付勢力が、回転軸リンク部46及び回転軸44を介して各制動部32に伝達されることにより、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられる。このように、付勢ばね34の付勢力によって、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられることにより、各前輪21の制動が行われ、ブレーキ装置24が各前輪21の制動を行う制動状態となる。したがって、各制動部32は、制動状態において各前輪21に押し付けられることによって各前輪21の制動を行う。
【0041】
また、付勢ばね34における回転軸リンク部46を引っ張る付勢力によって、回転軸44が回転軸リンク部46と一体的に回転すると、第2ロッドリンク部42が一対の第1支持部36に接近する方向へ移動するように回転軸リンク部46が第2連結軸47を介して第2ロッドリンク部42を付勢する。これにより、第1ロッドリンク部41が第1連結軸43を介してレバーリンク部39を付勢し、レバー閉塞部37が連結孔26に接近する方向へ移動するようにレバーリンク部39が支持軸40の軸線を揺動中心として揺動する。よって、付勢ばね34の付勢力が、回転軸リンク部46、第2連結軸47、第2ロッドリンク部42、ロッド本体35a、第1ロッドリンク部41、及び第1連結軸43を介してレバー33に伝達される。その結果、レバー閉塞部37が連結孔26の一部を閉塞した状態となる。
【0042】
このように、ブレーキ装置24は、ドローバー15が連結孔26から抜かれている状態では、レバー33が付勢ばね34に付勢されて連結孔26の一部を閉塞するとともに、各制動部32が付勢ばね34により付勢されることにより制動状態に切り替わっている。
【0043】
図1、
図2、
図7、
図8、
図9、及び
図10に示すように、牽引ブラケット11の第1プレート13を通過したドローバー15は、連結孔26を閉塞していたレバー閉塞部37を押し退けながら連結孔26に挿入される。そして、連結孔26を通過したドローバー15が牽引ブラケット11の第2プレート14に挿入されることにより、トーバー25がドローバー15を介して牽引ブラケット11に連結される。これにより、牽引車10は、台車20を牽引可能な状態になる。
【0044】
ドローバー15が連結孔26に挿入された状態では、連結孔26を閉塞していたレバー閉塞部37が連結孔26から離間する方向へ移動するようにレバーリンク部39が支持軸40の軸線を揺動中心として揺動する。すると、レバーリンク部39が第1連結軸43を介して第1ロッドリンク部41を付勢し、第2ロッドリンク部42がロッド本体35aを介して一対の第1支持部36から離間する方向へ移動する。これにより、第2ロッドリンク部42が第2連結軸47を介して回転軸リンク部46を付勢する。そして、付勢ばね34における回転軸リンク部46を引っ張る付勢力に抗して、各制動部32の押付部32fが各前輪21に対して離間する方向へ移動するように、回転軸リンク部46が回転軸44の軸線を揺動中心として揺動しようとし、回転軸44が回転軸リンク部46と一体的に回転して、各制動部32の押付部32fが各前輪21から離間する。これにより、ブレーキ装置24は、各前輪21の制動を解除する制動解除状態となる。各制動部32及びレバー33は、ロッド35を介して連動する。
【0045】
このように、ブレーキ装置24は、ドローバー15が連結孔26を閉塞していたレバー33を付勢ばね34の付勢力に抗して移動させながら連結孔26に挿入された状態では、各制動部32が付勢ばね34の付勢力に抗してレバー33と連動することにより制動解除状態に切り替わる。したがって、ブレーキ装置24は、ドローバー15が連結孔26に挿入されることによって、各前輪21の制動を行う制動状態から各前輪21の制動を解除する制動解除状態に切り替えるとともに、ドローバー15が連結孔26から抜かれることによって、制動解除状態から制動状態に切り替える。
【0046】
第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ブレーキ装置24は、ドローバー15が連結孔26に挿入されることによって、各前輪21の制動を行う制動状態から各前輪21の制動を解除する制動解除状態に切り替えるとともに、ドローバー15が連結孔26から抜かれることによって、制動解除状態から制動状態に切り替える。ドローバー15をトーバー25の連結孔26に挿入する作業は、トーバー25を牽引車10に連結する際に必要となる作業である。そして、ブレーキ装置24は、トーバー25を牽引車10に連結する際に必要となる作業であるドローバー15を連結孔26に挿入する作業が行われると、各前輪21の制動を行う制動状態から各前輪21の制動を解除する制動解除状態に切り替えられる。したがって、ブレーキ装置24を制動状態から制動解除状態に切り替えるための作業を別途必要としない。また、ドローバー15を連結孔26から抜く作業は、トーバー25における牽引車10に対する連結を解除する際に必要となる作業である。そして、ブレーキ装置24は、トーバー25における牽引車10に対する連結を解除する際に必要となる作業であるドローバー15を連結孔26から抜く作業が行われると、制動解除状態から制動状態に切り替えられる。したがって、ブレーキ装置24を制動解除状態から制動状態に切り替えるための作業を別途必要としない。以上のことから、作業性を向上させることができる。
【0047】
(2)ブレーキ装置24は、ドローバー15が連結孔26から抜かれている状態では、レバー33が付勢ばね34に付勢されて連結孔26の一部を閉塞するとともに、各制動部32が付勢ばね34により付勢されることにより制動状態に切り替わっている。また、ブレーキ装置24は、ドローバー15が連結孔26を閉塞していたレバー33を付勢ばね34の付勢力に抗して移動させながら連結孔26に挿入された状態では、各制動部32が付勢ばね34の付勢力に抗してレバー33と連動することにより制動解除状態に切り替わる。これによれば、連結孔26を閉塞していたレバー33を付勢ばね34の付勢力に抗して移動させながらドローバー15を連結孔26に挿入するだけで、各制動部32が付勢ばね34の付勢力に抗してレバー33と連動する結果、ブレーキ装置24を制動解除状態に切り替えることができる。そして、ドローバー15を連結孔26から抜くだけで、レバー33が付勢ばね34に付勢されて連結孔26の一部を閉塞し、各制動部32が付勢ばね34により付勢される結果、ブレーキ装置24を制動状態に切り替えることができる。
【0048】
(3)ブレーキ装置24は、各制動部32とレバー33とを連結するロッド35を有している。そして、各制動部32及びレバー33は、ロッド35を介して連動する。これによれば、例えば、トーバー25の連結孔26の位置が、各制動部32の配置位置に対して比較的離れた位置であったとしても、各制動部32とレバー33とをロッド35により連結することにより、各制動部32及びレバー33がロッド35を介して連動するようになる。このため、各制動部32とレバー33とを連動させるために、例えば、レバー33を各制動部32に向けて延ばす必要が無い。したがって、トーバー25の連結孔26の位置、及び各制動部32の配置位置に関係無く、同じサイズのレバー33を使用することができる。
【0049】
(4)各制動部32は、制動状態において各前輪21に押し付けられることによって各前輪21の制動を行う。各制動部32を各前輪21に押し付けることで各前輪21の制動を行う構成は、各前輪21の制動を行う上で好適な構成である。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、台車を具体化した第2の実施形態を
図11及び
図12にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。第2の実施形態では、付勢部として、第1の実施形態で説明した引張コイルばねである付勢ばねを用いておらず、ねじりコイルばねである付勢ばねを用いている。
【0051】
図11及び
図12に示すように、ブレーキ装置50は、蝶番51を備えている。蝶番51は、トーバー本体30の下面に取り付けられている。蝶番51は、トーバー本体30の下面に取り付けられた薄板平板状の蝶番取付板52と、蝶番取付板52に支持される蝶番支持軸53と、蝶番支持軸53に対して蝶番支持軸53の軸線を揺動中心として揺動可能に支持された細長薄板平板状のレバー54と、を有している。また、蝶番支持軸53には、ねじりコイルばねである付勢ばね55が2つ取り付けられている。各付勢ばね55の一端は、蝶番取付板52に支持されている。各付勢ばね55の他端は、レバー54に支持されている。そして、各付勢ばね55は、レバー54が連結孔26に接近する方向へ蝶番支持軸53の軸線を揺動中心として揺動するようにレバー54を付勢している。レバー54は、連結孔26の一部を閉塞可能である。
【0052】
レバー54の下面には、リンク部56が設けられている。リンク部56は、第1連結軸43を介して第1ロッドリンク部41に連結されている。また、図示は省略するが、回転軸リンク部46における第2ロッドリンク部42との連結部位とは回転軸44を挟んで反対側の部位には、第1の実施形態で説明した引張コイルばねである付勢ばね34は設けられていない。なお、第2の実施形態のブレーキ装置50のその他の構成は、第1の実施形態で説明したブレーキ装置24の構成と同じであるため、その説明を省略する。
【0053】
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
図11に示すように、ドローバー15が連結孔26から抜かれると、トーバー25における牽引車10に対する連結が解除される。ここで、レバー54が連結孔26に接近する方向へ蝶番支持軸53の軸線を揺動中心として揺動するように、各付勢ばね55がレバー54を付勢している。これにより、レバー54が連結孔26に向けて接近し、レバー54が連結孔26の一部を閉塞した状態となる。
【0054】
また、リンク部56が第1連結軸43を介して第1ロッドリンク部41を連結孔26に接近する方向へ移動させる。そして、ロッド本体35a及び第2ロッドリンク部42が連結孔26に接近する方向へ移動し、第2ロッドリンク部42が第2連結軸47を介して回転軸リンク部46を、各制動部32の押付部32fが各前輪21に対して接近する方向へ移動するように、回転軸44の軸線を揺動中心として揺動させる。これにより、回転軸44が回転軸リンク部46と一体的に回転して、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられる。
【0055】
よって、2つの付勢ばね55の付勢力が、レバー54、リンク部56、第1連結軸43、第1ロッドリンク部41、ロッド本体35a、第2ロッドリンク部42、第2連結軸47、回転軸リンク部46及び回転軸44を介して各制動部32に伝達されることにより、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられる。このように、各付勢ばね55の付勢力によって、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられることにより、各前輪21の制動が行われ、ブレーキ装置50が各前輪21の制動を行う制動状態となる。
【0056】
したがって、ブレーキ装置50は、ドローバー15が連結孔26から抜かれている状態では、レバー54が各付勢ばね55に付勢されて連結孔26の一部を閉塞するとともに、各制動部32が各付勢ばね55により付勢されることにより制動状態に切り替わっている。
【0057】
図12に示すように、牽引ブラケット11の第1プレート13を通過したドローバー15は、連結孔26を閉塞していたレバー54を押し退けながら連結孔26に挿入される。そして、連結孔26を通過したドローバー15が牽引ブラケット11の第2プレート14に挿入されることにより、トーバー25がドローバー15を介して牽引ブラケット11に連結される。これにより、牽引車10は、台車20を牽引可能な状態になる。
【0058】
ドローバー15が連結孔26に挿入された状態では、連結孔26を閉塞していたレバー54が、各付勢ばね55の付勢力に抗して、連結孔26から離間する方向へ移動するように蝶番支持軸53の軸線を揺動中心として揺動する。すると、リンク部56が第1連結軸43を介して第1ロッドリンク部41を連結孔26から離間する方向へ付勢する。これにより、ロッド本体35a及び第2ロッドリンク部42が連結孔26から離間する方向へ移動し、第2ロッドリンク部42が第2連結軸47を介して回転軸リンク部46を、各制動部32の押付部32fが各前輪21に対して離間する方向へ移動するように、回転軸44の軸線を揺動中心として揺動させる。そして、回転軸44が回転軸リンク部46と一体的に回転して、各制動部32の押付部32fが各前輪21から離間する。これにより、ブレーキ装置50は、各前輪21の制動を解除する制動解除状態となる。したがって、第2の実施形態では、第1の実施形態の効果(1)、(2)、(3)、(4)と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(第3の実施形態)
以下、台車を具体化した第3の実施形態を
図13及び
図14にしたがって説明する。第3の実施形態は、ブレーキ装置において、レバーがスライド移動する構成が、第1の実施形態と異なっている。
【0060】
図13及び
図14に示すように、ブレーキ装置60は、細長薄板平板状のレバー61を水平方向に案内する案内機構62を備えている。案内機構62は、トーバー本体30の下面に取り付けられている3つの案内部63を有している。各案内部63は、トーバー本体30の長手方向に等間隔置きにそれぞれ配置されている。各案内部63は、トーバー本体30の下面から立設される一対の立設部64と、一対の立設部64の先端部同士を接続する接続部65と、から構成されている。一対の立設部64は、トーバー本体30の短手方向に間隔を置いて配置されている。一対の立設部64は、互いに平行に延びる四角柱状である。各接続部65は、トーバー本体30の短手方向であって、且つトーバー本体30の下面に平行に延びる四角柱状である。
【0061】
レバー61は、各案内部63の内側に挿入されるとともにトーバー本体30の下面に沿って延びるように配置されている。レバー61は、各案内部63によって水平方向にスライド移動するように案内される。レバー61の長手方向は、トーバー本体30の長手方向に一致している。レバー61の長手方向の一端部は、連結孔26の一部を閉塞可能である。
【0062】
ブレーキ装置60は、ばね支持部66を備えている。ばね支持部66は、3つの案内部63のうち、荷台23寄りに配置されている2つの案内部63の各接続部65同士を連結した状態で設けられる薄板四角平板状の基部67と、基部67から起立する起立部68と、を有している。基部67の厚み方向は、トーバー本体30の厚み方向に一致している。起立部68は、トーバー本体30とは反対側の面から起立している。
【0063】
レバー61の一端縁は、レバー61の他端部に向けて凹む円弧状であり、且つトーバー本体30の下面から離間するにつれてレバー61の他端部に対して徐々に離間していく傾斜面61eになっている。レバー61の下面における他端側の部位には、リンク部69が設けられている。
【0064】
ブレーキ装置60は、付勢部としての付勢ばね70を備えている。付勢ばね70は、引張コイルばねである。付勢ばね70の一端は、起立部68に支持されている。付勢ばね70の他端は、リンク部69に支持されている。付勢ばね70は、リンク部69を引っ張る付勢力をリンク部69に付与する。これにより、レバー61は、付勢ばね70によって、連結孔26に接近する方向へスライド移動するように付勢されている。
【0065】
リンク部69は、第1連結軸43を介して第1ロッドリンク部41に連結されている。また、回転軸リンク部46における第2ロッドリンク部42との連結部位とは回転軸44を挟んで反対側の部位には、第1の実施形態で説明した引張コイルばねである付勢ばね34は設けられていない。なお、第3の実施形態のブレーキ装置60のその他の構成は、第1の実施形態で説明したブレーキ装置24の構成と同じであるため、その説明を省略する。
【0066】
次に、第3の実施形態の作用について説明する。
図13に示すように、ドローバー15が連結孔26から抜かれると、トーバー25における牽引車10に対する連結が解除される。ここで、付勢ばね70は、リンク部69を引っ張る付勢力をリンク部69に付与しているため、レバー61が連結孔26に接近する方向へスライド移動するように付勢されている。これにより、レバー61が連結孔26に向けて接近し、レバー61が連結孔26の一部を閉塞した状態となる。
【0067】
また、リンク部69が付勢ばね70によって引っ張られているため、リンク部69が第1連結軸43を介して第1ロッドリンク部41を連結孔26に接近する方向へ移動させる。そして、ロッド本体35a及び第2ロッドリンク部42が連結孔26に接近する方向へ移動し、第2ロッドリンク部42が第2連結軸47を介して回転軸リンク部46を、各制動部32の押付部32fが各前輪21に対して接近する方向へ移動するように、回転軸44の軸線を揺動中心として揺動させる。これにより、回転軸44が回転軸リンク部46と一体的に回転して、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられる。
【0068】
よって、付勢ばね70の付勢力が、リンク部69、第1連結軸43、第1ロッドリンク部41、ロッド本体35a、第2ロッドリンク部42、第2連結軸47、回転軸リンク部46及び回転軸44を介して各制動部32に伝達されることにより、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられる。このように、付勢ばね70の付勢力によって、各制動部32の押付部32fが各前輪21に押し付けられることにより、各前輪21の制動が行われ、ブレーキ装置60が各前輪21の制動を行う制動状態となる。
【0069】
したがって、ブレーキ装置60は、ドローバー15が連結孔26から抜かれている状態では、レバー61が付勢ばね70に付勢されて連結孔26の一部を閉塞するとともに、各制動部32が付勢ばね70により付勢されることにより制動状態に切り替わっている。
【0070】
図14に示すように、牽引ブラケット11の第1プレート13を通過したドローバー15は、連結孔26を閉塞していたレバー61の傾斜面61eに接触しながら連結孔26に挿入されていく。これにより、連結孔26を閉塞していたレバー61が、付勢ばね70の付勢力に抗して、連結孔26から離間する方向へスライド移動していく。そして、連結孔26を通過したドローバー15が牽引ブラケット11の第2プレート14に挿入されることにより、トーバー25がドローバー15を介して牽引ブラケット11に連結される。これにより、牽引車10は、台車20を牽引可能な状態になる。
【0071】
ドローバー15が連結孔26に挿入された状態では、連結孔26を閉塞していたレバー61が、付勢ばね70の付勢力に抗して、連結孔26から離間する方向へスライド移動し、リンク部69が第1連結軸43を介して第1ロッドリンク部41を連結孔26から離間する方向へ付勢する。これにより、ロッド本体35a及び第2ロッドリンク部42が連結孔26から離間する方向へ移動し、第2ロッドリンク部42が第2連結軸47を介して回転軸リンク部46を、各制動部32の押付部32fが各前輪21に対して離間する方向へ移動するように、回転軸44の軸線を揺動中心として揺動させる。そして、回転軸44が回転軸リンク部46と一体的に回転して、各制動部32の押付部32fが各前輪21から離間する。これにより、ブレーキ装置60は、各前輪21の制動を解除する制動解除状態となる。したがって、第3の実施形態では、第1の実施形態の効果(1)、(2)、(3)、(4)と同様の効果を得ることができる。
【0072】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0073】
○ 上記各実施形態において、各制動部32は、例えば、制動状態において車軸27に押し付けられることによって各前輪21の制動を行うようにしてもよい。
○ 上記各実施形態において、ブレーキ装置24,50,60は、例えば、制動状態において2つの後輪22の制動を行う構成であってもよい。この場合、制動部が、制動状態において各後輪22に押し付けられることによって各後輪22の制動を行う構成であってもよいし、制動部が、制動状態において車軸28に押し付けられることによって各後輪22の制動を行う構成であってもよい。
【0074】
○ 上記各実施形態において、ドローバー15が連結孔26から抜かれている状態では、レバー33,54,61が、付勢ばね34,55,70に付勢されて連結孔26を全て閉塞していてもよい。要は、ドローバー15が連結孔26から抜かれている状態では、レバー33,54,61が、付勢ばね34,55,70に付勢されて連結孔26の少なくとも一部を閉塞していればよい。
【0075】
○ 上記各実施形態において、ブレーキ装置24,50,60は、ロッド35を有していない構成であってもよい。この場合、例えば、レバー33,54,61を各制動部32に向けて延ばして、レバー33,54,61を各制動部32に直接連結する構成にしてもよい。
【0076】
○ 上記各実施形態において、ブレーキ装置24,50,60は、付勢部として、付勢ばね34,55,70を用いたが、これに限らず、レバー33,54,61及び制動部32を付勢することが可能であれば、例えば、ゴム部材等のばね以外の弾性部材を付勢部として用いてもよい。
【0077】
○ 上記各実施形態において、制動部として、例えば、前輪21を構成するホイールに内蔵されたドラムブレーキを用いてもよい。この場合、例えば、付勢部によってロッド35が付勢されることにより、ドラムブレーキのブレーキシューが拡張して、前輪21の制動が行われる。
【0078】
○ 上記各実施形態において、ブレーキ装置24,50,60は、ドローバー15が連結孔26に挿入されたことを検出するセンサと、センサにより検出された情報を受信する制御装置と、を備えていてもよい。そして、ブレーキ装置24,50,60は、制御装置がセンサからの情報を受信している場合には、各前輪21の制動を行う制動状態から各前輪21の制動を解除する制動解除状態に切り替える。また、ブレーキ装置24,50,60は、制御装置がセンサからの情報を受信していない場合には、制動解除状態から制動状態に切り替える。
【符号の説明】
【0079】
10…牽引車、15…ドローバー、20…台車、21…車輪としての前輪、24,50,60…ブレーキ装置、25…トーバー、26…連結孔、32…制動部、33,54,61…レバー、34,55,70…付勢部としての付勢ばね、35…ロッド。