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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/33 20180101AFI20230530BHJP
   F21S 45/70 20180101ALI20230530BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20230530BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20230530BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20230530BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20230530BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230530BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230530BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S45/70
F21S41/148
F21S41/37
F21V7/04 100
F21W102:135
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019197421
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021072198
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 範行
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-30282(JP,A)
【文献】特開2014-56708(JP,A)
【文献】特開2010-192412(JP,A)
【文献】米国特許第4979077(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
F21W 102/135
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を保持する保持部と、
前記保持部が装着され、前記光源からの光を反射する反射面が設けられたリフレクタと
を備え、
前記リフレクタは、前記保持部に対応する部分に凹部を有し、
前記凹部は、前記光源からの光を反射する壁面を車両搭載状態における左右方向の少なくとも一方の端部に有し、
前記壁面は、車両搭載状態における前方の端辺に、上下方向に延びて前後に曲がりくねった形状の迂曲部を有する
車両用前照灯。
【請求項2】
前記壁面は、前記左右方向の一方側の端部に配置され、
前記反射面は、前記凹部に対して前記左右方向の他方側に配置される反射領域を有する
請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記一方側は、前記左右方向の車両内側であり、
前記他方側は、前記左右方向の車両外側である
請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記壁面の前方の端辺を含む部分が車両外側に傾いている
請求項3に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記壁面は、前記車両外側に湾曲した状態で突出し車両搭載状態における前後方向に延びるローレット部を前記上下方向に複数有し、
前記ローレット部は、前記壁面の前方の端辺に対して後方に離れた位置に配置される
請求項3又は請求項4に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記迂曲部は、前記端辺のうち車両搭載状態における上部に配置される
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
光源と、光源を保持する保持部と、保持部が装着されて光源からの光を車両前方へ反射する反射面が設けられたリフレクタと、を備える車両用前照灯が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-104815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両用前照灯では、リフレクタで車両前方に反射する際にグレア光が生じないようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、グレア光の発生を抑制することが可能な車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用前照灯は、光源と、前記光源を保持する保持部と、前記保持部が装着され、前記光源からの光を反射する反射面が設けられたリフレクタとを備え、前記リフレクタは、前記保持部に対応する部分に凹部を有し、前記凹部は、前記光源からの光を反射する壁面を車両搭載状態における左右方向の少なくとも一方の端部に有し、前記壁面は、車両搭載状態における前方の端辺に、上下方向に延びて前後に曲がりくねった形状の迂曲部を有する。
【0007】
上記の車両用前照灯において、前記壁面は、前記左右方向の一方側の端部に配置され、前記反射面は、前記凹部に対して前記左右方向の他方側に配置される反射領域を有してもよい。
【0008】
上記の車両用前照灯において、前記一方側は、前記左右方向の車両内側であり、前記他方側は、前記左右方向の車両外側であってもよい。
【0009】
上記の車両用前照灯において、前記壁面の前方の端辺を含む部分が車両外側に傾いていてもよい。
【0010】
上記の車両用前照灯において、前記壁面は、前記車両外側に湾曲した状態で突出し車両搭載状態における前後方向に延びるローレット部を前記上下方向に複数有し、前記ローレット部は、前記壁面の前方の端辺に対して後方に離れた位置に配置されてもよい。
【0011】
上記の車両用前照灯において、前記迂曲部は、前記端辺のうち車両搭載状態における上部に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グレア光の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る車両用前照灯の一例を示す平面図である。
図2図2は、図1におけるA-A断面による断面図である。
図3図3は、図2の一部を拡大して示す図である。
図4図4は、保持部を上方から見た構成の一例を示す図である。
図5図5は、図3におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。
図6図6は、凹部の一例を示す斜視図である。
図7図7は、車両前方の仮想のスクリーンに照射されるロービームパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用前照灯の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後(前方、後方)、上下(上方、下方)、左右(左方、右方)の各方向は、車両用前照灯が車両に取り付けられた状態における方向であって、運転席に座った状態で正面を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。
【0015】
図1は、本実施形態に係る車両用前照灯100の一例を示す平面図である。図1に示す車両用前照灯100は、車両のヘッドランプとして用いられる、いわゆるリフレクタ型の灯具である。車両用前照灯100は、例えば車両の左右の前部に取り付けられる。以下、車両の前部右側に搭載される車両用前照灯100を例に挙げて説明する。したがって、車両用前照灯100において、左右方向の右側が車両外側であり、左右方向の左側が車両内側である。なお、車両の前部左側に取り付けられる車両用前照灯については、車両用前照灯100に対して左右が対称の構成とすることができる。
【0016】
図1に示すように、車両用前照灯100は、複数の光源ユニットU1~U3を有する。光源ユニットU1は、左右方向の中央に配置され、例えば車両前方にロービームパターンの一部を形成する。光源ユニットU2は、左右方向の最も車両外側に配置され、車両前方にロービームパターンの一部を形成する。なお、光源ユニットU1は、ロービームパターンのうち拡散パターン等のフラットなパターンを形成する。また、光源ユニットU2は、ロービームパターンのうちカットオフラインを有するパターンを形成する。光源ユニットU3は、左右方向の最も車両内側に配置され、例えば車両前方にハイビームパターン等の他のパターンを形成する。本実施形態では、車両用前照灯100として、少なくとも光源ユニットU1を有する構成について説明する。
【0017】
図2は、図1におけるA-A断面による断面図である。図3は、図2の一部を拡大して示す図である。図1から図3に示すように、車両用前照灯100は、光源10と、保持部20と、リフレクタ30とを有する。
【0018】
[光源]
光源10は、本実施形態において、例えばLEDやOLED(有機EL)などの半導体型光源である。光源10は、ランバーシアン分布を形成するように光を出射する発光面11を有する。車両用前照灯100が車両に取り付けられた場合、発光面は例えば下方に向けられ、水平面に平行に配置される。光源10は、基板12に取り付けられる。基板12は、保持部20に保持される。基板12には、光源10に電力及び電気信号等を供給するための配線を接続するコネクタ12aが設けられる。
【0019】
[保持部]
保持部20は、光源10を保持する。保持部20は、ベース部21と、前側片部22と、後側片部23と、リブ24と、スライド部25(図4等参照)とを有する。ベース部21、前側片部22、後側片部23及びリブ24は、それぞれ板状である。ベース部21は、光源10の基板12を保持する保持面を有する。保持面は、例えば水平面に平行である。前側片部22は、ベース部21のうち前後方向の前方端部が下方側に折り曲げられた構成となっている。後側片部23は、ベース部21のうち前後方向の後方端部が下方側に折り曲げられた構成となっている。リブ24は、後側片部23の左右方向の両端に設けられる。図4は、保持部20を上方から見た構成の一例を示す図である。図4に示すように、スライド部25は、ベース部21から車両外側及び車両内側に突出して設けられる。スライド部25は、後述する装着部38のガイド溝38aに挿入される。
【0020】
[リフレクタ]
リフレクタ30は、光源10からの光を車両前方に向けて反射する。リフレクタ30は、光源10の下方に配置される。リフレクタ30の内面には、反射面30Rが形成される。反射面30Rは、例えば複数のセグメントに区画される。反射面30Rにより車両前方に反射される光により、車両前方にロービームパターンP(図7参照)が形成される。リフレクタ30は、例えば各光源ユニットU1~U3について一部材で設けられるが、これに限定されず、光源ユニットU1~U3の少なくとも1つについて別個に設けられてもよい。
【0021】
リフレクタ30は、図4に示すように、保持部20を装着する装着部38を有する。装着部38は、スライド部25を案内するガイド溝38aを有する。ガイド溝38aは、前後方向に平行に形成される。ガイド溝38aは、前方の端部に端面38bを有する。ガイド溝38aの端面38bは、光源10が反射面30Rに対して所定の位置に配置されるように予め設定される。
【0022】
保持部20を装着部38に装着する際、まず、装着部38の上方から前側片部22及び光源10を当該装着部38の前方に回り込ませた状態とし、スライド部25を装着部38のガイド溝38aに挿入させる。この状態で保持部20を前方にスライド移動させることで、スライド部25がガイド溝38aに案内される。スライド部25の前方の端面25bがガイド溝38aの端面38bに接触する位置まで移動することで、保持部20が装着される。スライド部25の上面には、凸部25aが設けられる。スライド部25がガイド溝38aに挿入される際、凸部25aがガイド溝38aの上部に接触することで、スライド部25の上下方向の位置が規定される。これにより、保持部20の上下方向の位置が規定される。保持部20が装着された後、ネジ等の固定部材を用いて保持部20を固定可能である。
【0023】
リフレクタ30は、保持部20に対応する部分に凹部31を有する。凹部31は、保持部20をリフレクタ30に装着する際、保持部20の前側片部22とリフレクタ30とが干渉しないように設けられる。凹部31は、底面32と、壁面33、34と、背面35とを有する。なお、底面32、壁面33、34、背面35は、それぞれ光源10からの光を反射可能に設けられる。
【0024】
底面32は、水平面に沿って形成される。壁面33、34は、底面32に対して垂直又はほぼ垂直に配置される。壁面33は、底面32のうち左右方向の車両内側の端部に配置される。壁面33は、前方端部に端辺33aを有する。壁面34は、底面32のうち左右方向の車両外側の端部に配置される。
【0025】
壁面33は、前方端部に端辺33aを有する。端辺33aには、迂曲部36が設けられる。迂曲部36は、端辺33aに沿って上下方向に延びている。迂曲部36は、前後に曲がりくねった形状、つまり、上下方向について前方と後方とに交互に湾曲した形状を有する。迂曲部36は、端辺33aの上部に配置することができる。具体的には、迂曲部36は、上下方向の上側半分の範囲に配置することができる。
【0026】
迂曲部36は、第1曲線部36aと、第2曲線部36bと、第3曲線部36cとを有する。第1曲線部36aは、3つの曲線部のうち最も下方に配置され、前方に突出するように湾曲する。第2曲線部36bは、第1曲線部36aの上方に配置され、当該第1曲線部36aと滑らかに連続し、後方に突出するように湾曲する。第3曲線部36cは、3つの曲線部のうち最も上方であって第2曲線部36bの上方に配置され、第2曲線部36bと滑らかに連続し、前方に突出するように湾曲する。このように、迂曲部36は、前後に曲がりくねった形状を有している。本実施形態では、上下方向の両端に配置される第1曲線部36a及び第3曲線部36cが前方に突出するように湾曲し、その間に配置され得る第2曲線部36bが後方に突出するように湾曲した形状であるが、これに限定されない。例えば、第1曲線部36a及び第3曲線部36cが後方に湾曲した形状であり、第2曲線部36bが前方に湾曲した形状であってもよい。また、本実施形態では、迂曲部36が第1曲線部36aから第3曲線部36cまでの3つの曲線部を有する構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されない。例えば、迂曲部36が前後に湾曲する2つ又は4つ以上の曲線部を有する構成であってもよい。
【0027】
壁面33は、複数のローレット部37を有する。複数のローレット部37は、上下方向に並んだ状態で配置される。各ローレット部37は、前後方向に延びている。ローレット部37は、壁面33から車両外側に向けて湾曲するように突出した形状を有する。ローレット部37は、光源10からの光を乱反射する。
【0028】
ローレット部37は、前方の端部37aが壁面33の前方の端辺33aとの間に間隔をあけた位置に配置される。つまり、ローレット部37の前方の端部37aと、壁面33の前方の端辺33aとの間には、平面部33bが形成される。
【0029】
反射面30Rは、上記の凹部31に対して車両外側の領域(反射領域)30Raにも配置される。領域30Raが設けられることにより、光源10から放射される光を無駄なく利用することが可能となっている。
【0030】
図5は、図3におけるB-B断面に沿った構成を示す図である。図6は、凹部31の一例を示す斜視図である。図5及び図6に示すように、壁面33は、前方の端辺33aを含む部分が車両外側に傾いている。図5及び図6に示す例では、ローレット部37が形成される領域が前後方向に平行に形成され、平面部33bが前後方向に対して車両外側に傾いた構成を示しているが、これに限定されない。例えば、壁面33の全体が前後方向に対して車両外側に傾いた構成であってもよい。また、図5及び図6に示すように、壁面33は、例えば端辺33aにおいて丸みを帯びた形状とすることができる。この場合、端辺33aに設けられる迂曲部36についても、丸みを帯びた形状とすることができる。なお、リフレクタ30は、例えば金型を用いた成型により形成することができる。この場合、金型の抜き方向に対して抜き度を持たせるため、凹部31の壁部33及び壁部34の全体を後方から前方に向けて広がった形状としてもよい。
【0031】
[動作]
次に、上記のように構成された車両用前照灯100の動作を説明する。車両用前照灯100における光源10を点灯させることにより、発光面11から光が放射される。図3に示すように、発光面11から放射される光のうち、リフレクタ30の反射面30Rに直接的に入射する光L1は、領域30Raを含む反射面30Rによって車両前方に反射される。車両前方に反射された光は、車両前方において、例えばロービームパターンP(図7参照)を形成する。
【0032】
また、発光面11から放射された光のうち、例えば凹部31に入射する光L2は、当該凹部31の底面32、壁面33、34、背面35により反射される。光L2のうち、一部の光L2aは、例えば壁面33のローレット部37等によって拡散される。
【0033】
また、光L2のうち一部の光L2bは、例えば壁面33の前方の端辺33aに到達し、端辺33aに設けられる迂曲部36により拡散される。
【0034】
図7は、車両前方の仮想のスクリーンに照射されるロービームパターン(カットオフラインを有するパターン)の一例を示す図である。図7において、V-V線がスクリーンの垂直線を示し、H-H線がスクリーンの左右の水平線を示す。また、ここでは、垂直線と水平線との交点が、水平方向の基準位置であるとする。
【0035】
ここで、端辺33aに迂曲部36が設けられない構成では、端辺33aに到達した光は、拡散されることなく反射面30Rの領域30Ra(より具体的には領域30Raの上部領域30Rb(図6参照))に到達する場合がある。この光は、車両前方においてロービームパターンPの上方に照射され、光溜りが形成される。この光溜りは、グレア光となってしまう。
【0036】
これに対して、端辺33aに迂曲部36が設けられる光源ユニットU1では、図7に示すように、端辺33aに照射される光L2bが迂曲部36によって拡散された状態で反射される。また、光L2bの一部は、迂曲部36の第2曲線部36bを通過して凹部31の外側に抜けていく。このため、迂曲部36が設けられない場合に比べて、反射面30Rの領域30Raに到達する光L2bの光量が減少する。したがって、上記のような光溜りの形成が抑制され、当該光溜りに比べて拡散された状態、かつ単位面積当たりの光量が低減された状態で車両前方に照射される(図7の照射領域PA)。
【0037】
また、本実施形態に係る車両用前照灯100では、壁面33のうち端辺33aを含む部分が前後方向に対して車両外側に傾斜した構成である。このため、光源10から端辺33aに到達する光L2bの一部は、反射面30Rの領域30Raの外側に向けて反射される。したがって、領域30Raに到達する光L2bの光量が低減されるため、光溜りの形成が抑制され、グレア光の発生が抑制される。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る車両用前照灯100は、光源10と、光源10を保持する保持部20と、保持部20が装着され、光源10からの光を反射する反射面30Rが設けられたリフレクタ30とを備え、リフレクタ30は、保持部20に対応する部分に凹部31を有し、凹部31は、光源10からの光を反射する壁面33を車両内側の端部に有し、壁面33は、車両搭載状態における前方の端辺33aに、上下方向に延びて前後に曲がりくねった形状の迂曲部36を有する。
【0039】
この構成によれば、車両搭載状態における壁面33の前方の端辺33aに迂曲部36が設けられるため、光源10から放射されて迂曲部36に到達する光L2bが迂曲部36により拡散される。このため、迂曲部36が設けられない構成に比べて、当該迂曲部36で反射されて反射面30Rに到達する光L2bの光量を低減することができる。これにより、光L2bが車両前方に照射される場合の光量を抑制することができ、グレア光の発生を抑制することができる。
【0040】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、壁面33は、左右方向の一方側の端部に配置され、反射面30Rは、凹部31に対して左右方向の他方側に配置される領域30Raを有する。これにより、迂曲部36で反射され、凹部31を跨いで左右方向の反対側の領域30Raに到達する光L2bの光量を低減することができる。本実施形態に係る車両用前照灯100において、一方側は左右方向の車両内側であり、他方側は左右方向の車両外側とすることができる。
【0041】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、壁面33は、壁面33の前方の端辺33a側に向けて車両外側に傾いている。この構成では、光L2bの一部を反射面30Rの領域30Raの外側に向けて反射することができる。したがって、領域30Raにおいて反射される光L2bの光量を低減することができるため、グレア光の発生を抑制できる。
【0042】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、壁面33は、車両外側に湾曲した状態で突出し前後方向に延びるローレット部37を上下方向に複数有し、ローレット部37は、壁面33の前方の端辺33aに対して後方に離れた位置に配置される。これにより、ローレット部37で反射される光によるグレア光の発生を抑制できる。
【0043】
本実施形態に係る車両用前照灯100において、迂曲部36は、端辺33aのうち車両搭載状態における上部に配置される。これにより、端辺33aのうち光源10に近い上部において光L2bを拡散することができる。
【0044】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、凹部31のうち左右方向の車両内側の壁面33に迂曲部36が設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。凹部31において、壁面33及び壁面34の少なくとも一方に迂曲部36と同様の構成が設けられた構成であってもよい。つまり、車両外側の壁面34に迂曲部36と同様の構成が設けられた構成であってもよい。
【0045】
また、例えば、上記実施形態において、迂曲部36を有する壁面33が車両内側に配置され、反射面30Rの領域30Raが凹部31に対して車両外側に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、迂曲部36を有する壁面33が車両外側に配置され、反射面30Rの領域30Raが凹部31に対して車両内側に配置される構成であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、壁面33の平面部33bが前後方向に対して車両外側に傾いた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、壁面33の全体が前後方向に沿って配置されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、壁面33にローレット部37が複数設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。ローレット部37は、設けられなくてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、光源ユニットU1の構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、光源ユニットU2、U3に対しても同様の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
L1,L2(L2a,L2b)…光、P…ロービームパターン、PA…照射領域、U1~U3…光源ユニット、10…光源、11…発光面、12…基板、20…保持部、21…ベース部、21a…凸部、22…前側片部、23…後側片部、24…リブ、30…リフレクタ、30R…反射面、30Ra…領域、31…凹部、32…底面、33,34…壁面、33a…端辺、33b…平面部、35…背面、36…迂曲部、36a…第1曲線部、36b…第2曲線部、36c…第3曲線部、37…ローレット部、37a…端部、38…装着部、38a…ガイド溝、38b…端面、100…車両用前照灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7