(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0239 20210101AFI20230530BHJP
H01S 5/02255 20210101ALI20230530BHJP
H01S 5/02315 20210101ALI20230530BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H01S5/0239
H01S5/02255
H01S5/02315
H01S5/40
(21)【出願番号】P 2019201730
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕美
(72)【発明者】
【氏名】京野 孝史
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110257(JP,A)
【文献】特開2016-174095(JP,A)
【文献】特表2010-517066(JP,A)
【文献】特開2017-041618(JP,A)
【文献】特開2017-194565(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0239612(US,A1)
【文献】国際公開第2017/142076(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザ光源と、
前記複数のレーザ光源から出力された複数のレーザ光の光路を反転させる光路反転部と、
前記光路反転部からの前記複数のレーザ光が入力され、前記複数のレーザ光を混合するための平面光波回路と、
を備え、
前記複数のレーザ光源は、前記平面光波回路上に配置されて
おり、
前記光路反転部は、前記複数のレーザ光源からの前記複数のレーザ光の出力方向において前記平面光波回路から離間して配置された、少なくとも一つの反射部材を有する、
光モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも一つの反射部材は、複数のレーザ光源に対して個別に設けられているとともに複数のレーザ光を出力した状態で光軸を調整するための複数の反射部材を有する、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも一つの反射部材は、プリズムまたは平面ミラーを有する、
請求項
1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光路反転部は、
前記複数のレーザ光源と前記少なくとも一つの反射部材との間に配置された少なくとも一つのレンズを有する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記少なくとも一つの反射部材は、曲面ミラーを有する、
請求項
1に記載の光モジュール。
【請求項6】
温度を調整するための温度調整器を更に備え、
前記光路反転部および前記平面光波回路は、前記温度調整器上に配置されている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記光路反転部および前記平面光波回路を支持するための支持体と、
前記支持体に取り付けられ、前記複数のレーザ光源、前記光路反転部および前記平面光波回路を覆うカバーと、
を更に備える、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記平面光波回路は、前記光路反転部から出力された前記複数のレーザ光が入力される第1端面と、前記第1端面と反対側に位置しており前記平面光波回路内を伝播した光が出力される第2端面とを有する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のレーザ光を混合して一つの混合光として出力する技術として、たとえば、特許文献1に記載されているように、複数の光導波路を有する平面光波回路を用いた技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ光源から出力されるレーザ光は、通常、拡散している。そのため、特許文献1に記載されているような平面光波回路にレーザ光を効率的に入力するためには、レーザ光をレンズで集光する必要がある。したがって、平面光波回路で複数のレーザ光を混合する場合、複数のレーザ光源、複数のレンズ、および、平面光波回路を、複数のレーザ光源、複数のレンズ、および、平面光波回路の順に配置することが考えらえる。しかしながら、この場合、実装面積が大きくなるため、光モジュールが大型化する。
【0005】
本発明は、小型化を実現可能な光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る光モジュールは、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源から出力された複数のレーザ光の光路を反転させる光路反転部と、前記光路反転部からの前記複数のレーザ光が入力され、前記複数のレーザ光を混合するための平面光波回路と、を備え、前記複数のレーザ光源は、前記平面光波回路上に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、小型化を実現可能な光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る光モジュールの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した光モジュールのカバーを外した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、光モジュールが備える平面光波回路の一例の平面図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係る光モジュールの一例の斜視図である。
【
図7】
図7は、変形例2に係る光モジュールの一例の斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例3に係る光モジュールの一例の斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例4に係る光モジュールの一例の斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例5に係る光モジュールの一例の斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例5に係る光モジュールにおいてカバーを図示した場合の斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例6に係る光モジュールの一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
一実施形態に係る光モジュールは、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源から出力された複数のレーザ光の光路を反転させる光路反転部と、前記光路反転部からの前記複数のレーザ光が入力され、前記複数のレーザ光を混合するための平面光波回路と、を備え、前記複数のレーザ光源は、前記平面光波回路上に配置されている。
【0011】
上記構成では、複数のレーザ光源から出力された複数のレーザ光は、光路反転部に入力され、光路反転部によって、複数のレーザ光の光路が反転する。そのため、複数のレーザ光源が、平面光波回路上に配置されていても、複数のレーザ光を平面光波回路に入力し、混合できる。複数のレーザ光源が、平面光波回路上に配置されていることから、光モジュールの小型化を図れる。
【0012】
前記光路反転部は、少なくとも一つの反射部材を有してもよい。これにより、複数のレーザ光の光路を反転できる。
【0013】
前記少なくとも一つの反射部材は、たとえばプリズムまたは平面ミラーを有し得る。上記少なくとも一つの反射部材がプリズムを有する場合、レーザ光源の下に配置された平面光波回路にレーザ光を入力し易い。上記少なくとも一つの反射部材が平面ミラーを有する場合、製造コストの低減を図れる。
【0014】
前記光路反転部は、少なくとも一つのレンズを有してもよい。これにより、複数のレーザ光の平面光波回路への結合効率を向上できる。
【0015】
前記少なくとも一つの反射部材は、たとえば曲面ミラーを有し得る。この場合、曲面ミラーでレーザ光の反射と集光を行えるので、部品点数を減らせる。
【0016】
一実施形態に係る光モジュールは、温度を調整するための温度調整器を更に備え、前記光路反転部および前記平面光波回路は、前記温度調整器上に配置されていてもよい。この場合、温度調整器上の各部品を温調することで、たとえ周囲の温度が変化したとしても、熱応力による部材の変形や位置ずれによって生じる結合効率の変化や、屈折率変化によって生じる平面光波回路の透過率変化などを抑制できる。
【0017】
一実施形態に係る光モジュールは、前記光路反転部および前記平面光波回路を支持するための支持体と、前記支持体に取り付けられ、前記複数のレーザ光源、前記光路反転部および前記平面光波回路を覆うカバーと、を更に備える。この場合、複数のレーザ光源、光路反転部および平面光波回路への異物の付着などを防止可能である。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の光モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。説明中、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0019】
図1~
図4に示したように、一実施形態に係る光モジュール1は、第1のレーザ光源10A、第2のレーザ光源10B、第3のレーザ光源10C、光路反転部20および平面光波回路30を備える。光モジュール1は、第1のレーザ光源10A、第2のレーザ光源10Bおよび第3のレーザ光源10Cから出力される第1のレーザ光L1、第2のレーザ光L2および第3のレーザ光L3(
図2参照)を混合し、その混合光L4(
図4参照)を出力する光源装置である。光モジュール1は、たとえば、ウェアラブルデバイス、小型プロジェクタなどに適用され得る。光モジュール1は、支持体41、カバー42及び光路変更部50の少なくとも一つを備えてもよい。以下では、断らない限り、支持体41、カバー42及び光路変更部50を備えた形態を説明する。
図2~
図4では、光モジュール1においてカバー42を省略した場合を図示している(
図6~
図10および
図12において同様)。
【0020】
支持体41は、第1~第3のレーザ光源10A~10C、光路反転部20および平面光波回路30を支持する部材である。支持体41は、たとえば、ステムである。支持体41は板状部材である。支持体41の材料の例は、Ni/Auめっきを施した鉄合金である。
【0021】
図1に示したように、カバー42は、支持体41に取り付けられている。カバー42の例は、キャップである。カバー42は、支持体41とともに、支持体41上に設けられた部品(第1~第3のレーザ光源10A~10C、光路反転部20および平面光波回路30等)を収容するパッケージ40を形成している。カバー42は、たとえば、溶接によって、支持体41に接合されている。カバー42は、たとえば、支持体41にハーメチックシールされ、パッケージ40内の部品を気密封止する。カバー42には、透過窓43が形成されている。透過窓43は、混合光L4を透過可能に形成されている。たとえば、透過窓43は、カバー42に形成された開口に混合光L4に対して透過性を有する窓部材(たとえば、樹脂からなる樹脂部材またはガラス部材)が嵌められることによって形成され得る。透過窓43は、レンズ機能を有してもよい。たとえば、透過窓43は混合光L4をその光軸上の点に集光する機能、または、混合光L4をコリメートする機能を有してもよい。
【0022】
図1~
図3に示したように、光モジュール1は、複数の導電部材44を有してもよい。導電部材44は、たとえばリードピンといった棒状部材である。複数の導電部材44は、支持体41の厚さ方向に支持体41と絶縁された状態で通されている。各導電部材44の一端は、パッケージ40内に突出している。複数の導電部材44は、上記パッケージ40内に収容された部品を、光モジュール1の外部の装置(または部品)に電気的に接続するための部材である。複数の導電部材44の数および配置は、上記パッケージ40内に収容された部品を外部接続可能に設定されている。
【0023】
第1~第3のレーザ光源10A~10Cは、第1~第3のレーザ光L1~L3を出力する。第1~第3のレーザ光源10A~10Cの例は、レーザダイオード(LD)である。第1~第3のレーザ光源10A~10Cは、LDチップでもよい。第1~第3のレーザ光L1~L3の波長領域は限定されないが、本実施形態において、第1~第3のレーザ光L1~L3の波長領域は、可視光の波長領域である。第1~第3のレーザ光L1~L3の波長は互いに異なる。たとえば、第1のレーザ光L1は、赤色、緑色および青色の何れかの色のレーザ光であり、第2のレーザ光L2は、赤色、緑色及び青色のうち第1のレーザ光L1の色以外の2つの色の何れかのレーザ光であり、第3のレーザ光はL3、赤色、緑色及び青色のうち第1,第2のレーザ光L1,L2の色以外の色のレーザ光である。赤色のレーザ光の発振波長の例は、波長610nm~670nmである。緑色のレーザ光の発振波長の例は、波長500nm~550nmである。青色のレーザ光の発振波長の例は、波長390nm~420nmである。
【0024】
第1~第3のレーザ光源10A~10Cは、平面光波回路30の主面(表面)30a上に配置されている。第1~第3のレーザ光源10A~10Cは、それらの光軸が実質的に平行になるように、並列に配置されている。第1~第3のレーザ光源10A~10Cは、主面30a上に、たとえば、支持台11を介して配置されている。支持台11は、一つの部材でもよいし、多段構造を有してよい。
図2~
図4では、第1支持台11aおよび第2支持台11bが積層された2段構造を有する支持台11を例示している。
【0025】
光路反転部20は、主面30aの法線n(
図4参照)の方向(以下、「法線方向」と称す)からみた場合において、第1~第3のレーザ光L1~L3の光路(進行方向)を反転し、平面光波回路30に第1~第3のレーザ光L1~L3を入力する機能を有する。具体的には、光路反転部20は、第1~第3のレーザ光源10A~10Cから出力された第1~第3のレーザ光L1~L3を、第1~第3のレーザ光源10A~10C側(平面光波回路30側)に戻し、平面光波回路30に入力する。
【0026】
図2~
図4を利用して、光路反転部20の一例を説明する。
【0027】
光路反転部20は、第1のレンズ21A、第2のレンズ21B、第3のレンズ21Cと、少なくとも一つの反射部材と、を有する。本実施形態では、3の反射部材として、第1のプリズム22A、第2のプリズム22Bおよび第3のプリズム22Cを光路反転部20が有する形態を説明する。
【0028】
第1~第3のレンズ21A~21Cそれぞれは第1~第3のレーザ光源10A~10Cに対応して設けられている。第1~第3のレンズ21A~21Cは、第1~第3のレーザ光L1~L3を集光する。第1~第3のレンズ21A~21Cの集光点は、たとえば、後述する平面光波回路30の第1~第3の入力ポート31a~31c(
図4および
図5参照)である。第1~第3のレンズ21A~21Cは、主面30a上に配置されている。
【0029】
第1~第3のプリズム22A~22C(反射部材)は、第1~第3のレーザ光L1~L3を第1~第3のプリズム22A~22C内で反射することによって、第1~第3のプリズム22A~22Cに入力された第1~第3のレーザ光L1~L3の進行方向を180度反転させて出力する。
【0030】
本実施形態において第1~第3のプリズム22A~22Cは同じプリズムであることから、
図4に示されている第3のプリズム22Cについて具体的に説明する。
図4では、説明の便宜のため、導電部材44の図示を省略している。
【0031】
図4に示したように、第3のプリズム22Cは、第1面22aおよび第2面22bによって形成される頂角が90度であるプリズムである。第3のプリズム22Cは、頂角と対向する第3面22cが第3のレンズ21Cに臨むように配置されている。第3面22cから入力された第3のレーザ光L3は、第1面22aおよび第2面22bの順に反射されることによって、再度第3面22cから出力される。第1面22aおよび第2面22bにおける第3のレーザ光の反射はたとえば全反射である。第3のプリズム22Cについて説明したが、第1,第2のプリズム22A,22Bについても同様である。
【0032】
第1~第3のプリズム22A~22Cは、支持体41に、たとえば支持台23を介して配置されている。支持第23も複数の部材で構成されていてもよい。一実施形態において、第1~第3のプリズム22A~22Cは、たとえば直角プリズムである。第1~第3のプリズム22Cが直角プリズムである場合、たとえば第2面22bと第3面22cとで形成される角部は面取されていてもよい。これにより、第1~第3のプリズム22Cを支持体41上に配置しやすい。
【0033】
平面光波回路(Planar light circuit: PLC)30は、第1~第3のレーザ光L1~L3を混合(合波)し、第1~第3のレーザ光L1~L3の混合光(合波光)L4を出力する光カプラとして機能する。
図5は、平面光波回路30の平面図である。本実施形態において平面光波回路30は、石英系のPLCである。
【0034】
平面光波回路30の第1端面30bは、第1~第3のレーザ光L1,L2,L3が入力される第1~第3の入力ポート31a,31b,31cを有する。平面光波回路30の第2端面(第1端面30bと反対側の端面)30cは、第1~第3のレーザ光L1~L3の混合光L4が出力される出力ポート31dを有する。
【0035】
平面光波回路30には、光路反転部20から出力された第1~第3のレーザ光L1,L2,L3に光結合する第1~第3の光導波路32a,32b,32cが形成されている。第1~第3の光導波路32a,32b,32cが形成されているは、平面光波回路30の内部に形成されているが、
図5では、説明の便宜のため、第1~第3の光導波路32a,32b,32cを実線で示している。平面光波回路30は、第3の光導波路32cを伝播している第3のレーザ光L3を第2の光導波路32bに移行して第2の光導波路32bを伝播する第2のレーザ光L2と混合する第1の混合部33aと、第1の光導波路32aを伝播している第1のレーザ光L1を第2の光導波路32bに移行して、第1の混合部33aで混合された第1および第2のレーザ光L1,L2と混合する第2の混合部33bとを有する。第1~第3の光導波路32a~32cは、平面光波回路30が第1の混合部33aおよび第2の混合部33bを有するように、形成されている。第1~第3の光導波路32a,32b,32cの長さ、大きさ、および、それらの間の間隔などは、平面光波回路30が上記機能を実現可能に設定されていればよい。
【0036】
上記構成では、平面光波回路30の第1端面30bに形成された第1~第3の光導波路32a~32cの入力端が第1~第3の入力ポート31a~31cとして機能する。平面光波回路30の第2端面30cに形成された第2の光導波路32bの出力端が出力ポート31dとして機能する。
【0037】
図2および
図4に示したように、光路変更部50は、平面光波回路30から出力された混合光L4の進行方向を、光モジュール1からの出力方向に変更するための部材である。光路変更部50の例はミラーである。
図2および
図4に例示した形態では、光路変更部50は、光路変更部50からみて、支持体41と反対側に向けて混合光L4を反射する。光路変更部50は、支持台51に配置されてもよい。
【0038】
光路変更部50で反射された混合光L4の光路上には、
図2および
図4に例示したように、混合光L4をコリメートまたは集光するレンズ52が配置されてもよい。レンズ52は、レンズ支持部材53で支持される。
図2では、レンズ支持部材53を透視図として図示している(後述する
図6~
図9でも同様)。レンズ支持部材53は、たとえば筒状部材である。筒状のレンズ支持部材53を使用する場合、光路変更部50は、レンズ支持部材53の内側に配置され、レンズ52は、レンズ支持部材53の開口端部に設けられる。平面光波回路30からの混合光L4が光路変更部50に入力されるように、レンズ支持部材53のうち出力ポート31dと対向する壁部の一部は開口部53aを有する。
【0039】
光モジュール1は、たとえば、支持体41上に、平面光波回路30、第1~第3のレーザ光源10A~10C、光路反転部20および光路変更部50等を搭載する。その後、支持体41にカバー42を取り付けることで製造され得る。平面光波回路30、第1~第3のレーザ光源10A~10C、光路反転部20及び光路変更部50等の搭載順は限定されない。
【0040】
たとえば、第1~第3のレーザ光源10A~10Cを平面光波回路30上に固定した後、第1~第3のレーザ光源10A~10Cから第1~第3のレーザ光を出力しながら、光路反転部20を支持体41上に搭載してもよい。この場合、第1~第3のレーザ光を出力しながら、光路反転部20が有する第1~第3のレンズおよび第1~第3のプリズムの位置を調整できる。そのため、第1~第3の入力ポート31a~31cに第1~第3のレーザ光L1~L3を正確に入力し易い。光路反転部20が有する第1~第3のレンズ21A~21Cおよび第1~第3のプリズム22A~22Cは、たとえば、それらが搭載される部材に紫外線硬化樹脂といった活性エネルギー線硬化型の接着剤によって接合されてもよい。これにより、第1~第3のレンズ21A~21Cおよび第1~第3のプリズム22A~22Cの光軸を容易に調整できる。
【0041】
光モジュール1では、第1~第3のレーザ光源10A~10Cから出力された第1~第3のレーザ光L1~L3は、光路反転部20に入力される。光路反転部20に入力された第1~第3のレーザ光L1~L3は、主面30aの法線方向からみた場合において、第1~第3のレーザ光L1~L3の進行方向が反転された後、光路反転部20から出力される。すなわち、平面光波回路30側に第1~第3のレーザ光L1~L3が折り返される。光路反転部20から出力された第1~第3のレーザ光L1~L3は、平面光波回路30の第1~第3の入力ポート31a~31cに入力され、出力ポート31dから混合光L4として出力される。出力ポート31dから出力された混合光L4は、光路変更部50で反射された後、レンズ52により、コリメートまたは集光された後、透過窓43を通って光モジュール1から出力される。
【0042】
光モジュール1では、第1~第3のレーザ光源10A~10Cから出力された第1~第3のレーザ光L1~L3を平面光波回路30に入力するために光路反転部20を備える。そのため、第1~第3のレーザ光源10A~10Cが、平面光波回路30上に配置されていても、第1~第3のレーザ光L1~L3を平面光波回路30に入力できる。第1~第3のレーザ光源10A~10Cが、平面光波回路30上に配置されていることから、第1~第3のレーザ光源10A~10Cおよび平面光波回路30の実装面積を小さくできるので、光モジュール1の小型化を図れる。
【0043】
光モジュール1では、第1~第3のレーザ光L1~L3を平面光波回路30に入力することよって第1~第3のレーザ光L1~L3を混合している。そのため、混合のための光軸調整が容易であり、また、混合の際の光軸ずれを抑制できる。
【0044】
更に、光路反転部20を使用していることから、光路反転部20の位置調整によって、第1~第3のレーザ光L1~L3を、第1~第3の入力ポート31a~31cに正確に入力し易い。その結果、第1~第3のレーザ光L1~L3と、第1~第3の入力ポート31a~31cとの結合効率を向上できる(換言すれば、第1~第3のレーザ光L1~L3の第1~第3の入力ポート31a~31cへの入力損失を低減できる)。
【0045】
光路反転部20は、第1~第3のレンズ21A~21Cを有する。そのため、第1~第3のレーザ光L1~L3を、第1~第3のレンズ21A~21Cによって、第1~第3の入力ポート31a~31cに集光できる。その結果、第1~第3のレーザ光L1~L3と第1~第3の入力ポート31a~31cとの結合効率を向上できる。
【0046】
光路反転部20は、第1~第3のプリズム22A~22Cを有する。そのため、第1~第3のレーザ光源10A~10Cから出力された第1~第3のレーザ光L1~L3を、第1~第3のレーザ光源10A~10Cの下に位置する平面光波回路30に入力し易い。
【0047】
図1に示したように、光モジュール1は、支持体41とカバー42とを備えており、支持体41とカバー42はパッケージ40を形成している。そのため、パッケージ40内部の部品への異物の付着、劣化などを防止可能である。
【0048】
(変形例1)
図6に例示したように、光モジュール1は、温度調整器(Thermo―Electric Cooler:TEC)60を備えてもよい。温度調整器60の例は、
図6に示したように、第1板61と、第2板62と、それらを接合する複数の半導体柱(図示を省略)を備えるペルチェ素子である。
【0049】
変形例1では、
図1において、支持体41上に配置されていた部品(平面光波回路30、光路反転部20、ミラーなど)は、温度調整器60上に配置される。
【0050】
変形例1では、第1~第3のレーザ光源10A~10Cの温度が一定に維持される。従って、周囲の環境温度の影響を受けにくくなるので、第1~第3のレーザ光源10A~10Cの温度の発光特性を一定に維持することができる。温度調整器60によって、第1~第3のレーザ光源10A~10C、光路反転部20および平面光波回路30の温度を適切に調整できる。そのため、平面光波回路30が有する第1~第3の光導波路32a~32cの透過率変化、光軸ずれによる結合効率の変化、混合光L4(出力光)と後段部品との位置ずれなどを抑制できる。これにより、たとえば、第1~第3のレーザ光L1~L3が赤色、緑色および青色のレーザ光である場合において、光モジュール1を長期間使用する際にホワイトバランス(赤緑青各レーザ光の利用効率の比)の変化を抑制できる。
【0051】
(変形例2)
光路反転部20は、
図7に示したように、第1~第3のレーザ光L1,L2,L3を反射する第1~第3の平面ミラー24A,24B,24Cを有してもよい。第1~第3のレーザ光源10A~10Cから出力された第1~第3のレーザ光L1~L3は、通常、拡散するため、第1~第3の平面ミラー24A,24B,24Cを利用しても、第1~第3の入力ポート31a~31cに第1~第3のレーザ光L1~L3を入力可能である。第1~第3の平面ミラー24A~24Cは、それらで反射した第1~第3のレーザ光L1~L3が第1~第3の入力ポート31a~31cに入力するように配置されていればよい。第1~第3のレーザ光L1~L3の第1~第3の入力ポート31a~31cへの入力効率を向上するために、たとえば、第1~第3の平面ミラー24A~24cは、第1~第3の入力ポート31a~31cに向けて反射する光が多くなるように傾斜していてもよい。第1~第3の平面ミラー24A~24cを使用する場合、光路反転部20の製造コストを低減できる。
【0052】
第1~第3の平面ミラー24A~24Cを使用する場合、光路反転部20は、第1~第3のレンズ21A~21Cを有しなくてもよいし、第1~第3のレンズ21A~21Cを有してもよい。
【0053】
(変形例3)
光路反転部20は、
図8に示したように、第1~第3のレーザ光L1,L2,L3を反射する第1~第3の曲面ミラー25A,25B,25Cを有してもよい。第1~第3の曲面ミラー25A,25B,25Cを利用することによって、反射と集光とを一つの部品で行えるので、部品点数を低減できる。変形例3では、光路反転部20は、第1~第3のレンズ21A~21Cを有しない。
【0054】
第1~第3の曲面ミラー25A~25Cの反射面25aの例は、楕円回転面である。この場合、第1の曲面ミラー25Aの一つの焦点を、第1のレーザ光源10Aの出力端に一致させ、他方の焦点を第1の入力ポート31aに一致させることによって、第1のレーザ光L1と第1の入力ポート31aとの結合効率を向上できる。第2及び第3の曲面ミラー25B,25Cについても同様である。
【0055】
(変形例4)
光モジュール1は、
図9に示したように、光走査機構70を有してもよい。光走査機構81は、ミラー71と、ミラー71を3次元的に走査する走査部72とを有する。光走査機構70の例は、MEMSミラーである。光走査機構70は、平面光波回路30の主面30a上に配置される。光走査機構70は、支持台73を介して、平面光波回路30上に配置される。支持台73は、ミラー71の走査を阻害しないように形成されていればよい。
【0056】
変形例4においては、光モジュール1は、レンズ52から出力された混合光L4を、光走査機構70が有するミラー71に向けて反射する反射部材(不図示)を有する。このような反射部材(たとえばミラー)は、たとえば、カバー42に取り付けられていてもよい。
【0057】
変形例4では、光モジュール1が光走査機構70を有することから、たとえば、光モジュール1を描画装置に適用する場合に、描画装置の部品点数が減るため、描画装置の製造コストを低減できる。
【0058】
(変形例5)
光モジュール1は、
図10に示したように、光路変更部50を有しなくてもよい。この場合、
図11に示したように、カバー42において、出力ポート31dと対向する部分に、透過窓43が形成されていればよい。
【0059】
(変形例6)
図2および
図3に示したように、第1~第3のプリズム22A~22C(プリズム)を使用する代わりに、
図12に示したように、第1~第3のレンズ21A~21Cに対して一つのプリズム22を使用してもよい。同様に、第1~第3の平面ミラー24A~24Cの代わりに、一つの平面ミラーを使用してもよい。
【0060】
以上、本開示による光モジュールの実施形態および種々の変形例を説明したが、本開示による光モジュールは、例示した実施形態および種々の変形例に限定されず、種々の変形が可能である。
【0061】
光モジュールが、
図2に示したように、光路変更部50を有する形態では、光路変更部50からの混合光L4の出力方向は、光路変更部50からみて支持体41と反対側に限定されない。光モジュールが、
図2に示したように、光路変更部50を有する形態では、光路変更部50によって所望の方向に混合光L4を出力可能である。
【0062】
第1~第3の光導波路32a~32cは、第1~第3の光導波路32a~32c全てが平面光波回路30の第2端面30cに出力端を有するように形成されていてもよい。この場合、第1~第3の光導波路32a~32cは、第1~第3の光導波路32a~32cの出力端(出力ポート)らから出力される第1~第3のレーザ光L1~L3が拡散し、互いに重なって混合光L4を形成するように、近接している。
【0063】
平面光波回路は、一つの光導波路を有していればよい。平面光波回路は、一つの入力ポートを有していればよい。
【0064】
光路反転部がレンズを有する場合、光路反転部は、一つのレンズを有していればよい。光路反転部が曲面ミラー(反射部材)を有する場合、一つの曲面ミラーを有していればよい。たとえば、第1~第3のレーザ光を使用する場合、一つの曲面ミラーと、2組の平面ミラーとレンズの組み合わせでもよい。
【0065】
光モジュールが備えるレーザ光源の数は2個でもよいし、4個以上でもよい。光モジュールが備える他の要素の構成は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、レーザ光源の数に合わせて変形され得る。
【0066】
複数のレーザ光源から出力される複数のレーザ光の波長範囲は同じでもよい。この場合、たとえば、レーザ光のパワーの観点で、レーザ光が混合され得る。
【0067】
光モジュールは、レーザ光源から出力されるレーザ光をモニタするフォトディテクタを備えてもよい。このようなフォトディテクタは、たとえば、光路反転部から漏れた光(たとえば、
図2に示した形態では、第1~第3のプリズム22A~22Cからもれた光)を検出するように配置することができる。
【0068】
カバーを有する形態を例示したが、光モジュールは、カバーを備えなくてもよい。
【0069】
これまで説明した本発明の実施形態および種々の変形例は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0070】
1 光モジュール
10A 第1のレーザ光源
10B 第2のレーザ光源
10C 第3のレーザ光源
11 支持台
11a 第1支持台
11b 第2支持台
20 光路反転部
21A 第1のレンズ
21B 第2のレンズ
21C 第3のレンズ
22 プリズム
22A 第1のプリズム
22B 第2のプリズム
22C 第3のプリズム
22a 第1面
22b 第2面
22c 第3面
23 支持台
24A 第1の平面ミラー
24B 第2の平面ミラー
24C 第3の平面ミラー
25A 第1の曲面ミラー
25B 第2の曲面ミラー
25C 第3の曲面ミラー
25a 反射面
30 平面光波回路
30a 主面
30b 第1端面
30c 第2端面
31a 第1の入力ポート
31b 第2の入力ポート
31c 第3の入力ポート
31d 出力ポート
32a 第1の光導波路
32b 第2の光導波路
32c 第3の光導波路
33a 第1の混合部
33b 第2の混合部
40 パッケージ
41 支持体
42 カバー
43 透過窓
44 導電部材
50 光路変更部
51 支持台
52 レンズ
53 レンズ支持部材
53a 開口部
60 温度調整器
61 第1板
62 第2板
70 光走査機構
71 ミラー
72 走査部
73 支持台
n 法線
L1 第1のレーザ光
L2 第2のレーザ光
L3 第3のレーザ光
L4 混合光