(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】ランナー施工補助具及びランナーの施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/82 20060101AFI20230530BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
E04B2/82 501A
E04G21/16
(21)【出願番号】P 2019230294
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 三津雄
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-019446(JP,A)
【文献】特開平5-033419(JP,A)
【文献】特開2019-167677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/82
E04G 21/14 - 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床及び天井に架設された棒状の架設部材に取り付けられたランナー施工補助具であって、
ランナーが仮置きされる仮置き部と、
上記架設部材に取り付けられた本体と、
上記本体に回動可能に保持されており、回動先端が天井を向く支持位置と、回動先端が天井以外を向く非支持位置との間で回動可能な回動子と、
上記回動子の回動先端部に、回動中心から回動の径方向に沿ってスライド可能に保持されており、回動中心側の引込み位置と当該引込み位置よりも外側に突出する突出位置との間でスライド可能なスライド部材と、
上記スライド部材を上記突出位置に向かって付勢する付勢部材と、を備えたランナー施工補助具。
【請求項2】
上記回動子は、上記本体を挟んで上記架設部材の反対側となる位置に設けられた、請求項1に記載のランナー施工補助具。
【請求項3】
上記回動子は、当該回動子の回動先端部にそれぞれ設けられており、回動の径方向に互いに対向する第1支持片及び第2支持片を有しており、
上記第1支持片及び第2支持片は、ボルトが挿通された挿通孔をそれぞれ有しており、
上記ボルトは、上記スライド部材に固着されており、
上記ボルトは、上記第1支持片と上記第2支持片との間に位置するナットを締結されており、
上記付勢部材は、上記ボルトを挿通されており、一端が上記第1支持片に当接し、他端が上記ナットに当接するコイルスプリングである請求項1または2に記載のランナー施工補助具。
【請求項4】
上記仮置き部は、上記回動子に設けられており、上記回動子が上記支持位置にある場合に、上記ランナーを保持可能な姿勢となる、請求項1から3のいずれかに記載のランナー施工補助具。
【請求項5】
床及び天井に架設された棒状の架設部材に取り付けられたランナー施工補助具であって、ランナーが仮置きされる仮置き部と、上記架設部材に取り付けられた本体と、上記本体に回動可能に保持されており、回動先端が天井を向く支持位置と、回動先端が天井以外を向く非支持位置との間で回動可能な回動子と、上記回動子の回動先端部に、回動中心から回動の径方向に沿ってスライド可能に保持されており、回動中心側の引込み位置と当該引込み位置よりも外側に突出する突出位置との間でスライド可能なスライド部材と、上記スライド部材を上記突出位置に向かって付勢する付勢部材と、を備えたランナー施工補助具を用いてランナーを天井に取り付けるランナーの施工方法であって、
上記架設部材を床及び天井に架設する第1工程と、
上記ランナー施工補助具を上記架設部材に取り付ける第2工程と、
上記ランナーを仮置き部に載置して、当該ランナーが有する貫通孔にケーブルを挿通する第3工程と、
上記ランナーを配置位置に配置した後、上記非支持位置にある上記回動子を上記支持位置に回動させる第4工程と、
上記ランナーにビスを打ち込む第5工程と、を備えるランナーの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランナーを天井に取り付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ランナーを天井に取り付ける際に使用されるランナー施工補助具を開示する。ランナー施工補助具は、ビスによって天井の野縁に固定される。ランナー施工補助具は、ランナーを支持する傾斜支持材と、ランナーを天井に押し付ける押付板と、を備える。押付板は、回動可能であり、作業者によって回動されて、天井に配置されたランナーに押し付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ランナー施工補助具をビスによって天井に取り付ける作業は手間がかかる。また、押付板を回動させてランナーに押し付ける作業において、押付板によってランナーを確実に仮固定しようとすると、押付板を回動させてランナーに押し付ける際の負荷が大きくなり、作業の容易性が損なわれる。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ランナーを天井に取り付ける作業者の作業を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係るランナー施工補助具は、床及び天井に架設された棒状の架設部材に取り付けられる。当該ランナー施工補助具は、ランナーが仮置きされる仮置き部と、上記架設部材に取り付けられた本体と、上記本体に回動可能に保持されており、回動先端が天井を向く支持位置と、回動先端が天井以外を向く非支持位置との間で回動可能な回動子と、上記回動子の回動先端部に、回動中心から回動の径方向に沿ってスライド可能に保持されており、回動中心側の引込み位置と当該引込み位置よりも外側に突出する突出位置との間でスライド可能なスライド部材と、上記スライド部材を上記突出位置に向かって付勢する付勢部材と、を備える。
【0007】
作業者は、床及び天井に架設部材を架設し、仮置き部にランナーを仮置きした後、ランナーが有する貫通孔にケーブル線を挿通する。そして、作業者は、ランナーを適切な設置位置に配置した後、非支持位置にある回動子を支持位置に回動させる。回動子が回動されると、スライド部材は、先端がランナーに当接して、突出位置から引込位置にスライドする。引込位置にあるスライド部材は、付勢部材から受ける付勢力により、当接するランナーを天井に押し付ける。すなわち、ランナー施工補助具は、ランナーを天井に仮固定する。作業者は、天井に仮固定されたランナーにビスを打ち込んで、ランナーを天井に取り付ける。作業者は、回動子を回動させるだけでランナーを天井に仮固定することができるので、作業者がランナーを天井に取り付ける作業が容易になる。
【0008】
(2) 上記回動子は、上記本体を挟んで上記架設部材の反対側となる位置に設けられていてもよい。
【0009】
回動子は、本体を挟んで架設部材の反対側となる位置に設けられているので、作業者が回動子を回動させる際に架設部材が邪魔になることがない。
【0010】
(3) 上記回動子は、当該回動子の回動先端部にそれぞれ設けられており、回動の径方向に互いに対向する第1支持片及び第2支持片を有していてもよい。上記第1支持片及び第2支持片は、ボルトが挿通された挿通孔をそれぞれ有する。上記ボルトは、上記スライド部材に固着されている。上記ボルトは、上記第1支持片と上記第2支持片との間に位置するナットを締結されている。上記付勢部材は、上記ボルトを挿通されており、一端が上記第1支持片に当接し、他端が上記ナットに当接するコイルスプリングである。
【0011】
ナットが第2支持片に当接することにより、スライド部材が突出位置を超えてスライドすることが規制される。また、ボルトは、挿通する付勢部材を保持する。すなわち、ボルトによって、スライド部材が突出位置を超えてスライドすることを規制することができるとともに、付勢部材を保持することができる。
【0012】
(4) 上記仮置き部は、上記回動子に設けられており、上記回動子が上記支持位置にある場合に、上記ランナーを保持可能な姿勢となってもよい。
【0013】
仮置き部は、回動子が非支持位置にある場合に、ランナーを保持可能な姿勢となる。すなわち、ランナーが仮置き部に仮置きされた場合、回動子は、常に非支持位置にある。回動子が支持位置にある場合、ランナーを天井に配置するのに回動子が邪魔になるが、回動子は、常に非支持位置にあるので、ランナーを天井に配置する際に、回動子が邪魔になることがない。すなわち、回動子が非支持位置にある場合に、ランナーを仮置き部に仮置き可能とすることにより、作業者は、仮置きしたランナーを天井に配置して仮固定する作業を円滑に行うことができる。
【0014】
(5) 本発明に係るランナーの施工方法は、床及び天井に架設された棒状の架設部材に取り付けられたランナー施工補助具であって、ランナーが仮置きされる仮置き部と、上記架設部材に取り付けられた本体と、上記本体に回動可能に保持されており、回動先端が天井を向く支持位置と、回動先端が天井以外を向く非支持位置との間で回動可能な回動子と、上記回動子の回動先端部に、回動中心から回動の径方向に沿ってスライド可能に保持されており、回動中心側の引込み位置と当該引込み位置よりも外側に突出する突出位置との間でスライド可能なスライド部材と、上記スライド部材を上記突出位置に向かって付勢する付勢部材と、を備えたランナー施工補助具を用いてランナーを天井に取り付けるランナーの施工方法である。当該ランナーの施工方法は、上記架設部材を床及び天井に架設する第1工程と、上記ランナー施工補助具を上記架設部材に取り付ける第2工程と、上記ランナーを仮置き部に載置して、当該ランナーが有する貫通孔にケーブルを挿通する第3工程と、上記ランナーを配置位置に配置した後、上記非支持位置にある上記回動子を上記支持位置に回動させる第4工程と、上記ランナーにビスを打ち込む第5工程と、を備える。
【0015】
本発明は、ランナーの施工方法として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るランナー施工補助具は、ランナーを天井に取り付ける作業者の作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、天井11に固定されたランナー20がスタッド12を保持する構成を説明する構成図である。
【
図2】
図2は、天井11と床14とに架設された架設部材30及び架設部材30に固定されたランナー施工補助具40の側面図である。
【
図3】
図3は、回動子80が非支持位置にある場合のランナー施工補助具40の正面側の斜視図である。
【
図4】
図4は、回動子80が支持位置にある場合のランナー施工補助具40の正面側の斜視図である。
【
図5】
図5は、回動子80が支持位置にある場合のランナー施工補助具40の裏面側の斜視図である。
【
図6】
図6は、回動子80の回動先端部の断面図である。
【
図7】
図7は、ランナー20の施工を説明する図であって、ランナー20がランナー施工補助具40に仮置きされた状態の斜視図である。
【
図8】
図8は、ランナー20の施工を説明する図であって、ランナー20がランナー施工補助具40によって天井11に仮固定された状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0019】
本実施形態では、作業者が、
図1に示すランナー20を天井11に固定する作業に用いられるランナー施工補助具40(
図2)を説明する。
【0020】
ランナー20は、スタッド12等を保持する部材である。ランナー20は、天井11から引き出された電源ケーブル(不図示)が挿通される挿通孔24(
図8)を有している。挿通孔24に挿通された電源ケーブルの一端は、不図示の電源と接続され、他端は、不図示のコンセントと接続される。すなわち、ランナー20を天井11に固定する際、作業者は、電源ケーブルを挿通孔24に挿通する必要がある。ランナー施工補助具40は、電源ケーブルをランナー20の挿通孔24に挿通する作業、及びランナー20にビスを打ち込んで固定する作業を容易にする治具である。以下、詳しく説明する。
【0021】
ランナー20は、矩形板状の天板21と、天板21の短手方向における両端部から天板21の厚み方向に突出する一対の側板22、23と、を備える。一対の側板22、23は、同じ向きに天板21から突出しており、天板21の短手方向において互いに対向している。側板22と側板23との間に、スタッド12の上端部が嵌入される。ランナー20は、嵌入されたスタッド12の上端部を固定する。
【0022】
電源ケーブルが通される挿通孔24(
図8)は、天板21に設けられている。挿通孔24は、天板21の厚み方向において天板21を貫通している。1つの挿通孔24が天板21に設けられていてもよいし、複数の挿通孔24が天板21に設けられていてもよい。
【0023】
ランナー施工補助具40は、
図2に示される架設部材30に取り付けられる。架設部材30は、天井11と床14とに架設される部材であって、「とんぼ」とも称される。架設部材30は、天井11に当接される天井当接部31と、床14に当接される床当接部32と、床当接部32に保持された保持部33と、保持部33に下端を保持され、かつ上端が天井当接部31と連結された棒状部34と、を備える。保持部33は、筒状であって、棒状部34を内部に挿入されている。保持部33は、棒状部34を進退自在に保持している。また、保持部33は、不図示のバネ材を内部に保持している。バネ材は、棒状部34を天井当接部31側(上向き)に付勢する。すなわち、バネ材は、棒状部34を介して天井当接部31を天井11に押圧する。作業者は、棒状部34を保持部33に進入させて架設部材30を縮めて天井当接部31を天井11に当接させて、架設部材30を天井11と床14との間に架設する。
【0024】
ランナー施工補助具40は、複数の鋼板をボルト及びナットなどの固着具によって、或いは溶接によって固着して構成されている。ただし、ランナー施工補助具40は、合成樹脂成型品を組み合わせて構成されていてもよい。
【0025】
ランナー施工補助具40は、
図3、
図4、及び
図5に示されるように、架設部材30の棒状部34に着脱自在に取り付けられる本体41と、本体41に回動自在に保持された回動子80と、回動子80に固着された仮置き板100と、を備える。以下では、ランナー施工補助具40が架設部材30に取り付けられた状態における鉛直方向を上下方向と記載して説明する。
【0026】
本体41は、架設部材30の棒状部34に着脱自在に取り付けられる固定部50と、回動子80を回動可能に保持する回動子保持部60と、回動子80の回動を規制する回動規制部70と、を備える。
【0027】
固定部50は、架設部材30の棒状部34が当接する当接部材51と、当接部材51に固着された一対の鍔片52、53と、鍔片52、53と水平方向において対向する押圧板54と、押圧板54を棒状部34に押圧させる一対の羽根つきネジ55と、当接部材51に固着された一対の本体板56と、を有する。
【0028】
当接部材51は、上下方向に長い矩形板状の主板57と、主板57の短手方向における両端部から突出する一対の側板58、59と、を有する。一対の側板58、59は、同じ向きに主板57から突出しており、主板57の短手方向において互いに対向している。一対の側板58、59の突出の先端は、架設部材30の棒状部34の周面に当接する。当接部材51は、例えば矩形板状の鋼板をプレス加工によって折り曲げて製造される。
【0029】
鍔片52、53は、直交する2つの片を有する略L字状である。鍔片52の一片は、側板58の外側面に、ボルト15及びナット16によって固着されている。鍔片53の一片は、側板59の外側面に、ボルト15及びナット16によって固着されている。鍔片52の他片は、側板58の外側面から突出している。鍔片53の他片は、側板59の外側面から突出している。すなわち、鍔片52の他片及び鍔片53の他片は、互いに反対向きに側板58、59からそれぞれ突出している。鍔片52、53の他片は、厚み方向が水平方向に一致する板状である。鍔片52、53は、羽根つきネジ55がねじ込まれるねじ込み孔(不図示)をそれぞれ有している。鍔片52、53は、例えば鋼板をプレス加工によって折り曲げで製造される。
【0030】
押圧板54は、厚み方向が鍔片52、53の他片の厚み方向に一致する矩形板状である。押圧板54は、羽根つきネジ55がそれぞれ挿通される一対の挿通孔(不図示)を有している。一対の挿通孔は、鍔片52、53のねじ込み孔と水平方向において対向している。押圧板54の挿通孔に挿通され、かつ鍔片52、53のねじ込み孔にねじ込まれた羽根つきネジ55は、押圧板54を押圧する。押圧された押圧板54は、当接部材51の主板57とともに、架設部材30の棒状部34を挟む。これにより、固定部50は、架設部材30の棒状部34に固定される。
【0031】
一対の本体板56は、上下方向に長い矩形板状である。一方の本体板56の主面と他方の本体板56の主面とは、水平方向において互いに対向している。一対の本体板56の端面であって、上下方向に沿う端面は、当接部材51の主板57に固着されている。具体的には、一対の本体板56の端面は、主板57の一対の主面のうち、一対の側板58、59が突出する側とは反対側の主面に固着されている。本体板56は、後述の回動子保持部60及び回動規制部70を固定する。すなわち、回動子保持部60及び回動規制部70は、架設部材30に取り付けられる固定部50とは、本体板56を挟んだ反対側に位置している。したがって、作業者がランナー20を天井11に固定する作業において回動子80を回動させる際に、架設部材30が邪魔になることがない。
【0032】
回動子保持部60は、ボルト15及びナット16によって一対の本体板56に固着された保持板61と、蝶番62と、を有する。保持板61は、本体板56の下端部に固着されており、当接部材51の一対の側板58、59が主板57から突出する向きとは反対向きに本体板56から突出している。
【0033】
蝶番62は、ボルト15及びナット16によって保持板61に固着された第1羽根63と、ボルト15及びナット16によって後述の回動子80に固着された第2羽根64と、芯棒65と、を有する。第1羽根63は、保持板61の突出の先端部であって、かつ保持板61の上端部に固着されている。芯棒65は、軸線が水平方向に沿う丸棒状である。芯棒は、第1羽根63及び第2羽根64を軸線周りに回動可能に保持する。すなわち、蝶番62は、第1羽根63が固着された保持板61に対して、第2羽根64が固着された回動子80を回動可能に保持する。
【0034】
回動子保持部60は、回動子80の回動先端が下方を向く非支持位置(
図3)と、回動先端が上方を向く支持位置(
図4、5)との間で回動可能に回動子80を保持する。
【0035】
回動規制部70は、回動子80が支持位置を超えて回動することを規制する部材である。回動規制部70は、ボルト15及びナット16によって一対の本体板56に固着された延設板71と、ボルト15及びナット16によって延設板71に固着された一対の規制板72と、を備える。
【0036】
延設板71は、水平方向に長い矩形板状である。延設板71の長手方向の一端部は、一対の本体板56の上端部に固着されている。延設板71は、本体板56を挟んで固定部50とは反対側に突出している。
【0037】
一対の規制板72は、上下方向に長い矩形板状である。一対の規制板72の主面は、水平方向において互いに対向している。一対の規制板72の下端部は、延設板71の他端部を挟んでいる。すなわち、一対の規制板72は、下端部において延設板71に固定されている。規制板72は、支持位置にある回動子80と当接し、支持位置を超えて回動子80が回動することを規制する。
【0038】
回動子80は、蝶番62の第2羽根64にボルト15及びナット16によって固着された回動部材81と、回動部材81にスライド自在に保持されたスライド部材82と、スライド部材82を付勢する一対のコイルスプリング83(
図6)と、を備える。なお、
図3、
図4、
図5、及び
図8において、コイルスプリング83の図示は省略されている。
【0039】
回動部材81は、矩形板状の回動板84と、ボルト15及びナット16によって回動板84に固着された支持板85、第1支持片86、及び第2支持片87と、支持板85に固着されたゴム部材88と、を備える。
【0040】
回動板84の長手方向における一端部は、蝶番62の第2羽根64に固着されている。すなわち、回動板84の一端部は、回動基端部である。
【0041】
支持板85は、矩形板状である。支持板85の長手方向における一端部は、回動板84の他端部に固着されている。すなわち、支持板85の一端部は、回動先端部に固着されている。そして、支持板85の他端部は、回動板84の短手方向において、回動板84の端面から突出している。ゴム部材88は、回動板84から突出する支持板85の他端部に固着されている。すなわち、ゴム部材88は、回動板84の側方に位置する。ゴム部材88は、回動子80が支持位置まで回動された場合に、回動規制部70の規制板72と当接する。すなわち、ゴム部材88が規制板72と当接することにより、回動子80が支持位置を超えて回動することが規制される。また、回動板84が保持板61に当接することにより、回動子80が非支持位置を超えて回動することが規制される。すなわち、回動子80は、非支持位置と支持位置との間で回動可能に保持板61に保持されている。
【0042】
第1支持片86及び第2支持片87は、回動板84の他端部である回動先端部に固着されている。具体的に説明すると、第1支持片86は、直交する第1片91及び第2片92を有するL字状である。同様に、第2支持片87は、直交する第1片93及び第2片94を有するL字状である。第1支持片86及び第2支持片87の第1片91、93は、ボルト15及びナット16によって回動板84の回動先端部に固着されている。具体的には、第1支持片86及び第2支持片87は、第1支持片86の第2片92が第2支持片87の第2片94よりも回動基端側となる位置において、回動板84に固着されている。
【0043】
図6に示されるように、第1支持片86の第2片92と、第2支持片87の第2片94とは、回動板84の回動基端部から回動先端部へ向かう方向(以下、延出方向18と記載する)において互いに対向している。第1支持片86の第2片92は、第1ボルト44及び第2ボルト45がそれぞれ挿通された一対の第1挿通孔95を有している。第2支持片87の第2片94は、第1ボルト44及び第2ボルト45がそれぞれ挿通された一対の第2挿通孔96を有している。
【0044】
スライド部材82は、直交する第3片97と第4片98とを有するL字状である。第3片97は、延出方向18において第1支持片86の第2片92と対向している。第3片97は、第1ボルト44及び第2ボルト45が挿通された一対の第3挿通孔99を有している。第4片98の主面は、回動板84の主面と当接している。スライド部材82は、第4片98の主面が回動板84の主面に摺接しながらスライドする。すなわち、第4片98は、スライド部材82のスライドを補助する。第3片97は、第3支持片の一例である。
【0045】
第1ボルト44は、第1支持片86の一方の第1挿通孔95と、第2支持片87の一方の第2挿通孔96と、スライド部材82の一方の第3挿通孔99とに挿通されている。第2ボルト45は、第1支持片86の他方の第1挿通孔95と、第2支持片87の他方の第2挿通孔96と、スライド部材82の他方の第3挿通孔99とに挿通されている。第1ボルト44及び第2ボルト45は、第1ナット46、第2ナット47、及び第3ナット48をそれぞれ締結されている。
【0046】
第1ナット46は、ボルト44、45のボルト頭とともにスライド部材82の第3片97を挟んでいる。すなわち、ボルト44、45は、スライド部材82に固着されている。第2ナット47は、延出方向18において、第1支持片86の第2片92と第2支持片87の第2片94との間に位置する。第2ナット47は、第2支持片87の第2片94と当接することによって、スライド部材82のスライドを規制する。スライド部材82は、第2ナット47が第2支持片87の第2片94に当接する突出位置(
図6(A))と、第2ナット47が第2支持片87の第2片94から離間する引込み位置(
図6(B))との間でスライドする。スライド部材82は、無負荷状態において、突出位置にある。
【0047】
第3ナット48は、ボルト44、45の先端部に締結されており、第2支持片87の第2片94を挟んで第2ナット47の反対側に位置している。第3ナット48は、ボルト44、45が第2支持片87から脱落することを防止する。
【0048】
一対のコイルスプリング83は、第1ボルト44或いは第2ボルト45をそれぞれ挿通されており、第1支持片86の第2片92と第2支持片87の第2片94との間に位置している。コイルスプリング83の一端は第2支持片87の第2片94に当接して支持されている。コイルスプリング83の他端は第2ナット47に当接して支持されている。一対のコイルスプリング83は、第2支持片87の第2片94を支点にボルト44、45を延出方向18に付勢している。すなわち、一対のコイルスプリング83は、ボルト44、45を介してスライド部材82を突出位置側に付勢している。コイルスプリング83は、付勢部材の一例である。
【0049】
図3、
図4、及び
図5に示されるように、ランナー20が仮置きされる仮置き板100は、回動子80が非支持位置にある状態において、斜め上向きに延びる矩形板状である。仮置き板100の下端部は、ボルト15及びナット16により、回動子保持部60の保持板61の突出の先端部に固着されている。仮置き板100は、保持板61の突出の先端部から斜め上向きに突出して延びている。仮置き板100の突出の先端は、本体板56の近接している。
【0050】
仮置き板100は、ランナー20の側板22或いは側板23が嵌入される切欠101を有する。切欠101は、回動子80が非支持位置にある状態において、仮置き板100の上側の端面から斜め下向きに凹んで設けられている。仮置き板100は、仮置き部の一例である。なお、回動子80が支持位置にある場合、切欠101は斜め下を向くので、回動子80が支持位置にある場合にランナー20を仮置き板100に仮置きすることはできない。
【0051】
次に、作業者がランナー20を天井11に取り付ける作業について説明する。作業者は、複数の架設部材30を天井11と床14との間に架設する。作業者が架設部材30を架設する工程は、第1工程の一例である。
【0052】
次に、作業者は、各架設部材30にランナー施工補助具40をそれぞれ固定する。詳しく説明すると、作業者は、架設部材30の棒状部34をランナー施工補助具40の当接部材51と押圧板54との間に配置した後、羽根つきネジ55を回して、ランナー施工補助具40を架設部材30に固定する。作業者がランナー施工補助具40を架設部材30に取り付ける工程は、第2工程の一例である。
【0053】
次に、作業者は、回動子80が支持位置にある場合は、回動子80を回動させて非支持位置にする。そして、作業者は、複数のランナー施工補助具40の各仮置き板100の切欠101にランナー20の側板22或いは側板23をそれぞれ嵌入して、ランナー20を複数のランナー施工補助具40に仮置きする。ランナー20は、例えば、長手方向における両端部をランナー施工補助具40に支持されることにより、ランナー施工補助具40に仮置きされる。作業者は、仮置きしたランナー20の挿通孔24に、天井11から延びる電源ケーブルを通す。作業者が、ランナー20を仮置き板100に仮置きして電源ケーブルを挿通孔24に通す工程は、第3工程の一例である。
【0054】
次に、作業者は、ランナー施工補助具40に仮置きされたランナー20をランナー施工補助具40から取り外し、ランナー20の天板21を天井11に押し当てて、ランナー20を適切な取付位置に配置する。例えば、作業者は、天井に描かれた墨線に合わせてランナー20を配置する。また、作業者は、天井に固定された規制板などの位置決め部材にランナー20を当接させてランナーを取付位置に配置してもよい。
【0055】
次に、作業者は、各ランナー施工補助具40において、非支持位置にある回動子80を回動させて支持位置にする。回動子80が支持位置に回動されると、スライド部材82の第4片98がランナー20の天板21に当接し、スライド部材82が突出位置からスライドして引込む。スライドしたスライド部材82は、一対のコイルスプリング83を縮ませる。縮んだコイルスプリング83は、その弾性力により、スライド部材82を通じて、ランナー20を天井11に押し付ける。ランナー20は、例えば、各ランナー施工補助具40の各スライド部材82によって長手方向における両端部を天井11に押圧されることにより、仮固定される。仮固定されたランナー20は、上述の位置決め部材に当接することによって位置決めされている。作業者が、回動子80を支持位置に回動させてランナー20を仮固定する工程は、第4工程の一例である。
【0056】
作業者は、天井11に仮固定されたランナー20にビスを打ち込んで、ランナー20を天井11に固定する。作業者がランナー20にビスを打ち込んで天井11に固定する工程は、第5工程の一例である。
【0057】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、作業者は、ランナー20をランナー施工補助具40に仮置きして電源ケーブルをランナー20の挿通孔24に通すことができる。また、作業者は、ランナー施工補助具40の回動子80を支持位置に回動させてランナー20を天井11に仮固定してランナー20にビスを打ち込んで、ランナー20を天井11に固定する。したがって、ランナー施工補助具40は、作業者がランナー20を天井11に取り付ける作業を容易することができる。
【0058】
回動子80は、本体板56を挟んで架設部材30の棒状部34の反対側に位置している。したがって、作業者がランナー20を天井11に固定する作業において回動子80を回動させる際に、架設部材30が邪魔になることがない。
【0059】
また、本実施形態では、ボルト44、45によって、コイルスプリング83を保持するとともに、スライド部材82を延出方向18に沿ってスライド可能に保持することができる。また、ボルト44、45に締結された第2ナット47によって、スライド部材82が突出位置を超えてスライドすることが防止される。すなわち、ボルト及びナットという簡単な構成で、コイルスプリング83の保持と、スライド部材82の保持及びスライドの規制と、を行うことができる。
【0060】
仮置き板100は、回動子80の回動板84に固定されており、回動子80が非支持位置にある場合に、ランナー20を仮置き可能な姿勢となる。すなわち、ランナー20が仮置き板100に仮置きされた場合、回動子80は、常に非支持位置にある。回動子80が支持位置にある場合、ランナー20を天井11に配置するのに回動子80が邪魔になるが、回動子80は、常に非支持位置にあるので、ランナー20を天井11に配置する際に、回動子80が邪魔になることがない。すなわち、回動子80が非支持位置にある場合に、ランナー20を仮置き板100に仮置き可能とすることにより、作業者は、仮置きしたランナー20を天井11に配置して仮固定する作業を円滑に行うことができる。
【0061】
[変形例]
上述の実施形態では、付勢部材がコイルスプリング83である例が説明された。しかしながら、付勢部材は、板バネやゴムなど、他の種類の弾性部材であってもよい。
【0062】
上述の実施形態では、ボルト44、45によってスライド部材82がスライド可能に回動板84に保持された例が説明された。しかしながら、他の構成によってスライド部材82が回動板84にスライド可能に保持されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
11・・・天井
14・・・床
20・・・ランナー
30・・・架設部材
40・・・ランナー施工補助具
44・・・第1ボルト(ボルト)
45・・・第2ボルト(ボルト)
47・・・第2ナット(ナット)
80・・・回動子
82・・・スライド部材
83・・・コイルスプリング(付勢部材)
86・・・第1支持片
87・・・第2支持片
95・・・第1挿通孔(挿通孔)
96・・・第2挿通孔(挿通孔)
100・・・仮置き板(仮置き部)