IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-住宅 図1
  • 特許-住宅 図2
  • 特許-住宅 図3
  • 特許-住宅 図4
  • 特許-住宅 図5
  • 特許-住宅 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013354
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119280
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】中原 潤平
(72)【発明者】
【氏名】木村 充伸
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-246015(JP,A)
【文献】特開2001-032539(JP,A)
【文献】特開平08-270234(JP,A)
【文献】特開2003-064890(JP,A)
【文献】特開2002-213788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三階建て以上の住宅であって、
最上階および一階を除いた所望の階の角部に設けられる上階への第一階段および下階への第二階段と、
前記角部を形成する外壁の内の一方の外壁に面して設けられ、前記一方の外壁との間に間隔をあけて配置されるカウンターを有する屋内の飲食物提供空間と、
前記一方の外壁に面して設けられると共に、前記飲食物提供空間に行き来可能に隣接して設けられる台所と、
前記飲食物提供空間および前記台所の前記一方の外壁の側とは逆側に、前記飲食物提供空間とは前記カウンターを介して隣接されると共に前記台所とは連続して隣接され、上方の少なくとも一部が直上階の天井まで吹き抜ける吹き抜け部を有する居室と、
前記飲食物提供空間の前記台所の側とは逆側に前記飲食物提供空間と行き来可能に隣接して設けられる第一パントリーと、
前記台所の前記飲食物提供空間の側とは逆側に前記台所と行き来可能に隣接して設けられる第二パントリーと、
前記居室の前記飲食物提供空間および前記台所の側とは逆側に前記居室に隣接して設けられ、前記居室との間の壁に窓が設けられる屋外の吹き抜け空間と
を備えることを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記角部を形成する外壁の内の他方の外壁に面して設けられ、前記居室と連続して隣接される空間を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記所望の階が二階とされ、
一階には、
L字部を有する玄関土間と、
前記L字部の内側に設けられ、前記玄関土間よりも床が高く形成された玄関ホールとを備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記玄関土間と行き来可能に隣接して設けられ、前記玄関土間と同じ床高さの土間床を有する来客用空間と、
前記来客用空間と行き来可能に隣接して設けられ、前記玄関土間と同じ床高さの土間床を有する収納空間とを備える
ことを特徴とする請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
前記住宅の前記一方の外壁とは逆側の外壁との間に間隔をあけて屋外に配置される壁を有し、
前記吹き抜け空間が前記壁に面して前記間隔に設けられる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三階建て以上の戸建て住宅に関するものであり、特に、客人を招いてパーティーを行うスペースを有する住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内にパーティーを行う空間を有した住宅が知られている。たとえば、下記特許文献1には、キッチンとバーカウンターを有する談話スペースとからなる共有スペースをパーティーのための空間とすることができる住宅が開示されている。この住宅では、キッチンと談話スペースとを含むスペースを可動間仕切りで仕切ることにより、2階フロアーにパーティー会場を設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-73572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の場合、共有スペースを仕切ってパーティー会場を設定しているだけであり、パーティー会場を広くみせるための工夫がなされていない。しかも、可動間仕切りで仕切ることになるので、広くみせるどころか逆に狭くなってしまっている。従って、パーティーに招いた客人に窮屈さを感じさせてしまうことになる。さらに、従来の場合、キッチンとバーカウンターとが離れているので、もてなす側がキッチンとバーカウンターとの間をたびたび行き来しなければならず、もてなす側にとって使い勝手が悪い。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、パーティーを行う空間を有する住宅であって、客人が快適に過ごせるようにパーティーを行う空間を広く見せることができ、客人をもてなす側にとって使い勝手のよい住宅を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る住宅は、三階建て以上の住宅であって、最上階および一階を除いた所望の階の角部に設けられる上階への第一階段および下階への第二階段と、前記角部を形成する外壁の内の一方の外壁に面して設けられ、前記一方の外壁との間に間隔をあけて配置されるカウンターを有する屋内の飲食物提供空間と、前記一方の外壁に面して設けられると共に、前記飲食物提供空間に行き来可能に隣接して設けられる台所と、前記飲食物提供空間および前記台所の前記一方の外壁の側とは逆側に、前記飲食物提供空間とは前記カウンターを介して隣接されると共に前記台所とは連続して隣接され、上方の少なくとも一部が直上階の天井まで吹き抜ける吹き抜け部を有する居室と、前記飲食物提供空間の前記台所の側とは逆側に前記飲食物提供空間と行き来可能に隣接して設けられる第一パントリーと、前記台所の前記飲食物提供空間の側とは逆側に前記台所と行き来可能に隣接して設けられる第二パントリーと、前記居室の前記飲食物提供空間および前記台所の側とは逆側に前記居室に隣接して設けられ、前記居室との間の壁に窓が設けられる屋外の吹き抜け空間とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る住宅は、前記角部を形成する外壁の内の他方の外壁に面して設けられ、前記居室と連続して隣接される空間を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る住宅は、前記所望の階が二階とされ、一階には、L字部を有する玄関土間と、前記L字部の内側に設けられ、前記玄関土間よりも床が高く形成された玄関ホールとを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る住宅は、前記玄関土間と行き来可能に隣接して設けられ、前記玄関土間と同じ床高さの土間床を有する来客用空間と、前記来客用空間と行き来可能に隣接して設けられ、前記玄関土間と同じ床高さの土間床を有する収納空間とを備えることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る住宅は、前記住宅の前記一方の外壁とは逆側の外壁との間に間隔をあけて屋外に配置される壁を有し、前記吹き抜け空間が前記壁に面して前記間隔に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る住宅によれば、三階建て以上の住宅の最上階および一階を除いた所望の階の角部に第一階段および第二階段が設けられる。また、前述した角部を形成する一方の外壁の側に、飲食物提供空間、台所、第一パントリーおよび第二パントリーが寄せられて設けられる。そして、それらに隣接して居室が設けられる。従って、主にもてなす側が使用する飲食物提供空間、台所および両パントリーが所望の階の外壁側に寄せて配置されるので、所望の階において居室を広く形成することができる。また、居室は、その上方の少なくとも一部が直上階の天井まで吹き抜ける吹抜け部を有している。従って、上方へ広がった居室を形成することができる。さらに、居室に隣接して屋外の吹き抜け空間が設けられ、居室と吹き抜け空間との間の壁に窓が設けられる。従って、居室から窓を介して吹き抜け空間を見た場合に、居室と吹き抜け空間とを一体的な空間に見せることができる。以上により、飲食物提供空間、その空間と行き来可能とされる台所および台所と連続する居室を含むパーティーを行うことができる空間をより広く見せることができる。また、台所と飲食物提供空間とが互いに行き来可能に隣接して配置されるので、台所と飲食物提供空間との間を容易に移動することができる。台所および飲食物提供空間の内、飲食物提供空間には第一パントリーが行き来可能に隣接して配置され、台所には第二パントリーが行き来可能に隣接して配置される。従って、飲食物提供空間で用いる飲料品などの収納として第一パントリーを用いることができ、台所で用いる食料品などの収納として第二パントリーを用いることができる。これらのことから、もてなす側にとって使い勝手をよくすることができる。
【0012】
また、本発明に係る住宅によれば、角部を形成する他方の外壁に面して空間が設けられ、その空間が居室と連続して隣接されるので、居室の奥行を感じさせることができる。
【0013】
また、本発明に係る住宅によれば、玄関土間のL字部の内側に玄関ホールが配置されるので、玄関土間が広く形成される。従って、多くの客人を招いた場合に、客人の脱いだ靴類を玄関土間に並べることができる。
【0014】
また、本発明に係る住宅によれば、玄関土間と行き来可能に隣接して来客用空間が設けられるので、パーティー会場に入る前に客人が待機する場所を有する住宅とすることができる。また、来客用空間と行き来可能に隣接して収納空間が設けられるので、客人の脱いだコートなどを収納することができる。さらに、来客用空間および収納空間は、玄関土間と同じ床高さの土間床とされる。従って、来客用空間、収納空間、玄関土間および屋外の間を移動する際に、靴を脱がずに容易に移動することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る住宅によれば、住宅の外壁と屋外に配置される壁との間において前記壁に面して吹き抜け空間が設けられるので、屋外に配置される壁を利用して吹き抜け空間を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例の住宅の二階の構成を示す平面視の間取り図である。
図2図1の住宅の三階の構成を示す平面視の間取り図である。
図3図1の住宅の一階の構成を示す平面視の間取り図である。
図4図1の住宅の正面図である。
図5図1の住宅の側面図である。
図6図4における概略A-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の住宅の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1から図6は、本発明の住宅の一実施例を示す図であり、図1は二階の構成を示す平面視の間取り図、図2は三階の構成を示す平面視の間取り図、図3は一階の構成を示す平面視の間取り図、図4は正面図、図5は左側面図、図6図4における概略A-A断面図である。本実施例の住宅1は、三階建て以上の住宅であって、最上階および一階を除いた所望の階にパーティーを行うことができる大空間が配置される。ここでは、住宅1は、三階建ての戸建て住宅とされ、二階にパーティーを行うことができる空間が設けられる。
【0019】
本実施例の住宅1は、最上階である三階および一階を除いた所望の階である二階の角部に設けられる上階への第一階段2および下階への第二階段3と、両階段2,3が設けられる角部を形成する外壁の内の一方の外壁に面して設けられる飲食物提供空間4と、飲食物提供空間4に隣接して設けられる台所5と、飲食物提供空間4および台所5に隣接して設けられる居室6と、飲食物提供空間4に隣接して設けられる第一パントリー7と、台所5に隣接して設けられる第二パントリー8と、居室6に隣接して設けられる屋外の吹き抜け空間9と、居室6に隣接して配置される空間10とを二階に備える。なお、図示例では、両階段2,3は、住宅1の右側の外壁11と後側の外壁12とで形成される角部、すなわち、平面視略矩形状の住宅1の二階の後側の右角部に配置される。そして、飲食物提供空間4、台所5および両パントリー7,8は、住宅1の右側の外壁11側に寄せて配置される。
【0020】
第一階段2は、住宅1の二階と三階とを接続する廻り階段であって、廊下13に接続される。一方、第二階段3は、住宅1の二階と一階とを接続する廻り階段であって、廊下13に接続される。両階段2,3は、廊下13を介して連続するように、廊下13との接続部が互いに隣接して配置される。このようにして、住宅1の上階と下階とを接続する階段2,3は、住宅1の角部に寄せて配置される。
【0021】
飲食物提供空間4は、カウンター14を有し、そのカウンター14を介して相手に酒などの飲食物を提供する側の人が入る空間である。飲食物提供空間4は、住宅1の右側の外壁11と、前後一対の壁部15,16と、カウンター14とで囲まれた空間であって、本実施例では平面視略矩形状に形成される。前後一対の壁部15,16はそれぞれ、住宅1の右側の外壁11から屋内側である左方へ延出して設けられる。この際、前側の壁部15と後側の壁部16とは、前後方向へ離隔して配置される。カウンター14は、住宅1の右側の外壁11との間に間隔をあけて、住宅1の右側の外壁11と略平行に配置される。そのため、カウンター14は、前側の壁部15と後側の壁部16の左端部同士を架け渡すように設けられる。これにより、飲食物提供空間4では、住宅1の右側の外壁11とカウンター14との間に飲食物を提供する側の人が入って客人をもてなすことができる。
【0022】
台所5は、住宅1の右側の外壁11に面し、飲食物提供空間4に行き来可能に隣接して設けられる。本実施例では、台所5は、飲食物提供空間4の前側に隣接して配置される。台所5と飲食物提供空間4との間の壁(前側の壁部15)には、それらの間を互いに行き来できるように出入口17が設けられる。なお、図示例の台所5には、シンク18を有するカウンター19とコンロ20を有するカウンター21とが左右に離隔して配置される。シンク18を有するカウンター19は、台所5の右端部において住宅1の右側の外壁11に沿って配置される。コンロ20を有するカウンター21は、シンク18を有するカウンター19の左側に、そのカウンター19との間に間隔をあけて配置される。
【0023】
居室6は、平面視略矩形状に形成されており、飲食物提供空間4および台所5の住宅1の右側の外壁11の側とは逆側である左側に隣接して設けられる。この際、居室6の後部は、飲食物提供空間4とカウンター14を介して隣接される。一方、居室6の前部は、台所5と連続して隣接される。すなわち、台所5と居室6とは、連続した一体空間とされる。本実施例では、居室6は、前側に配置される食堂22と、後側に配置される居間23とを備えて構成される。従って、台所5と居室6とからなる連続した一体空間は、居間23、食堂22および台所5を有する屋内空間であるLDK24とされる。このLDK24は、平面視略L字形状で、食堂が住宅1の前側の外壁25に面すると共に、食堂22および居間23が住宅1の左側の外壁26に面して設けられる。
【0024】
このようにして飲食物提供空間4、台所5および居室6が配置されるので、それらを含む空間を、客人を招いてパーティーを行う空間として利用することができる。その際には、飲食物提供空間4と居室6とがカウンター14を介して隣接されるので、カウンター14をバーカウンターとして用いて、客人をもてなすことができる。また、台所5のコンロ20を有するカウンター21側に居室6が配置されるので、台所5をパフォーマンスキッチンとして使用することができる。典型的には、台所5で料理人に調理を行ってもらい、その様子を客人に見せることができる。これらにより、パーティーをより盛り上げることができる。
【0025】
また、居室6は、上方の少なくとも一部が直上階の天井まで吹き抜ける吹き抜け部27を有している。本実施例では、居室6の後側の左部の上方が三階の天井まで吹き抜ける吹き抜け部27が形成される。すなわち、吹き抜け部27は、居間23の上方の左側に配置される。
【0026】
第一パントリー7および第二パントリー8は、食料品や飲料品などを収納する空間である。第一パントリー7は、平面視略矩形状で、住宅1の右側の外壁11に面して設けられる。また、第一パントリー7は、飲食物提供空間4の台所5の側とは逆側である後側に隣接して設けられ、飲食物提供空間4と行き来可能とされる。本実施例では、第一パントリー7と飲食物提供空間4との間の壁(飲食物提供空間4の後側の壁部16)に、それらの間を行き来できるように出入口28が設けられ、その出入口28には戸29が開閉可能に設けられる。一方、第二パントリー8は、台所5の飲食物提供空間4の側とは逆側である前側に隣接して設けられ、台所5と行き来可能とされる。本実施例では、住宅1の二階部分において、前側の外壁25から屋外方向である前方へ張り出して形成された張出部が第二パントリー8とされる。この第二パントリー8は、平面視略矩形状で台所5側へ開口して形成されており、その開口部には戸30が開閉可能に設けられる。
【0027】
吹き抜け空間9は、上方へ開口した平面視略矩形状で、居室6の飲食物提供空間4および台所5の側とは逆側である左側に隣接して設けられる。本実施例では、吹き抜け空間9は、住宅1が有する壁31の内側に設けられる。この壁31は、二階の天井の高さよりも高く形成されて、住宅1の右側の外壁11とは逆側の外壁である左側の外壁26との間に間隔をあけて屋外に配置される。図示例では、住宅1は、三階建てとされ、住宅1が有する壁31は、左側面視において住宅1の一階部分、二階部分および三階部分の一部を覆うように形成されている。
【0028】
住宅1が有する壁31は、平面視略矩形状の住宅1の左側の外壁26との間に左右方向へ間隔をあけて屋外に立設される。この際、壁31は、板面を左右に向けて配置される。左側面視において、壁31は、略L字形状に形成されている。具体的には、後端部が住宅1の一階部分から三階部分までを覆う高さに形成され、残りが住宅1の一階部分および二階部分を覆う高さに形成されている。このような構成の壁31と住宅1の左側の外壁26との間隔に、壁31に面して前記吹き抜け空間9が設けられる。吹き抜け空間9は、住宅1の一階から二階まで吹き抜けて形成されており、住宅1の左側の外壁26と壁31との間の前後方向中央部に設けられる。この吹き抜け空間9の二階部分に面して、前述した居室6が設けられる。居室6は、吹き抜け空間9に面する窓32を有しており、この窓32は、居室6と吹き抜け空間9との間の壁(住宅1の左側の外壁26)に設けられる。
【0029】
空間10は、平面視略矩形状で、居室6の後側において、居室6と連続して隣接される。すなわち、空間10と居室6とは、連続した一体空間とされる。また、空間10は、両階段2,3が設けられる角部を形成する外壁の内の他方の外壁である後側の外壁12に面して設けられる。図示例では、空間10は、左端部が左側の外壁26から屋外方向である左方へ張り出して形成された張出部33とされる。張出部33は、壁31の右側に面して設けられ、左側壁が壁31とされる。また、張出部33は、吹き抜け空間9の後側に面して設けられ、吹き抜け空間9に面する窓34を有している。この窓34は、張出部33と吹き抜け空間9との間の壁に設けられる。なお、本実施例では、住宅1の後側の外壁12の張出部33に対応する箇所に、窓35が設けられる。
【0030】
図1に示されるように、住宅1の二階部分には、上方へ開口した平面視略L字形状で床部を有する屋外空間36が設けられる。この屋外空間36は、LDK24の左側に面して設けられる第一屋外空間37と、LDK24の前側に面して設けられる第二屋外空間38とを有している。
【0031】
第一屋外空間37は、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状で、住宅1の左側の外壁26と壁31との間の前端部に設けられる。第一屋外空間37は、吹き抜け空間9の前側に面して設けられると共に、LDK24の左側に面して設けられる。この際、第一屋外空間37は、前部がLDK24よりも前方へ突出して設けられ、吹き抜け空間9が配置される側とは逆側である前側が屋外に面する。第一屋外空間37の屋外に面する側には、外部からの視線を遮る縦格子からなる遮蔽部39が設けられる。なお、第一屋外空間37の吹き抜け空間9が面する側である後側には、手摺40が設けられる。
【0032】
第二屋外空間38は、左右方向を長手方向とする平面視略長方形状で、LDK24の前側に面して設けられる。この際、第二屋外空間38の左端部と第一屋外空間37のLDK24よりも前方へ突出する箇所の右端部とが連接されて、第二屋外空間38は、第一屋外空間37と行き来可能に連続して設けられる。第二屋外空間38の右端部には、第二屋外空間38の右面を閉塞するようにして、前述した第二パントリー8が配置される。第二屋外空間38の前端部には、第二パントリー8の前壁と連続する前壁が設けられており、その前壁によって、第二屋外空間38の屋外に面する側である前側が遮蔽される。このようにして、LDK24の角部に面して、両屋外空間37,38からなる平面視略L字形状の屋外空間36が設けられる。
【0033】
なお、LDK24は、第一屋外空間37に面する掃き出し窓41を有しており、この掃き出し窓41は、LDK24と第一屋外空間37との間の壁(住宅1の左側の外壁26)に設けられる。また、LDK24は、第二屋外空間38に面する掃き出し窓42を有し、この掃き出し窓42は、LDK24と第二屋外空間38との間の壁(住宅1の前側の外壁25)に設けられる。従って、LDK24と平面視略L字形状の屋外空間36とは、掃き出し窓41,42を介して、互いに行き来することができる。
【0034】
また、図1に示されるように、住宅1の二階には、LDK24の居間23の後側に、前後方向へ延出して前述した廊下13が配置される。この廊下13は、居間23の後端部から後方へ延出して設けられる。廊下13と居間23との間の壁には、それらの間を互いに行き来できるように出入口43が設けられ、その出入口43には戸44が開閉可能に設けられる。廊下13の左側には、前述した空間10が配置される。空間10と廊下13との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口45が設けられ、その出入口45には戸46が開閉可能に設けられる。また、廊下13の左側には、平面視略矩形状のトイレ47が設けられる。このトイレ47は、空間10および住宅1の後側の外壁12に面して設けられて廊下13へ開口しており、その開口部には戸48が開閉可能に設けられる。
【0035】
廊下13の前部から右方へ延出して短い廊下49が設けられ、その廊下49の先である右端部にはエレベータ50が設けられる。このエレベータ50は、第一パントリー7の後側に配置される。廊下13の後部の右側には、前述した第一階段2および第二階段3が設けられる。なお、居間23から後方へ延出する廊下13の先には、住宅1の後側の外壁12が配置され、その外壁12には廊下13に対応するようにして窓51が設けられる。
【0036】
次に、本実施例の住宅1の三階の構成について説明する。図2に示されるように、住宅1の三階には、居室6の上方の前述した吹き抜け部27が配置される。吹き抜け部27は、平面視略矩形状で、住宅1の左側の外壁26に面して設けられ、屋外に面する窓52を有している。この窓52は、吹き抜け部27と屋外との間の壁(住宅1の左側の外壁26)に設けられる。吹き抜け部27の右側には、前後方向へ延出して廊下53が設けられる。廊下53には、学習などを行う際に使用されるカウンター54が設けられる。このカウンター54の上方においては、廊下53の左側の壁が開口しており、その開口を介して、廊下53と吹き抜け部27とが連通される。従って、廊下53から吹き抜け部27を介して居室6の様子を伺うことができる。
【0037】
廊下53の前端部には、平面視略矩形状で住宅1の前側の外壁25に面する寝室55が設けられる。寝室55は、住宅1の左側の外壁26に面して設けられ、屋外に面する窓56を有している。この窓56は、寝室55と屋外との間の壁(住宅1の左側の外壁26)に設けられる。寝室55の右側には、平面視略矩形状の収納室57が隣接して設けられる。寝室55と収納室57との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口58が設けられ、その出入口58には戸59が開閉可能に設けられる。なお、本実施例では、収納室57は、寝室55のウォークインクローゼットとされ、衣服などの被収納物を収納することができる。
【0038】
廊下53の右側で収納室57の後側には、平面視略矩形状の居室60が設けられる。居室60は、廊下53側へ開口しており、この開口を介して廊下53と互いに行き来可能とされる。本実施例の居室60は、たとえば、住人の子供やパーティー参加者の子供が利用する空間とされる。従って、大人が二階でパーティーを行っている間、居室60において子供同士で遊ぶことができる。しかも、居室60が廊下53に面して配置されているので、子供は、吹き抜け部27を介して、二階にいる親と容易にコミュニケーションをとることができる。
【0039】
廊下53の後端部の左側で吹き抜け部27の後側には、平面視略矩形状の洗面室61が設けられる。洗面室61と廊下53との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口62が設けられ、その出入口62には戸63が開閉可能に設けられる。この洗面室61の後側に隣接して、平面視略矩形状の浴室64が配置される。洗面室61と浴室64との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口65が設けられ、その出入口65には戸66が開閉可能に設けられる。ここで、洗面室61および浴室64は、住宅1の左側の外壁26に面して設けられる。
【0040】
洗面室61および浴室64の左側に面して、天井部および床部を有する第三屋外空間67が設けられる。第三屋外空間67は、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状に形成されており、二階の空間10の張出部33の真上に設けられる。具体的には、第三屋外空間67は、住宅1の後端部において、住宅1の左側の外壁26と壁31との間に設けられ、前後両端部が屋外に面している。第三屋外空間67の前端部には、壁状の手摺68が設けられる。一方、第三屋外空間67の後端部には、屋外に面する後端部側の開口部を閉塞するようにして、壁体69が設けられる。この壁体69は、住宅1の後側の外壁12と滑らかに連続して形成されている。このようにして、第三屋外空間67は、天井部を有し、周囲が壁で囲まれた空間とされる。
【0041】
なお、洗面室61および浴室64は、前述したように第三屋外空間67に面して設けられる。洗面室61は、第三屋外空間67に面する掃き出し窓70を有しており、その掃き出し窓70は、洗面室61と第三屋外空間67との間の壁(住宅1の左側の外壁26)に設けられる。浴室64は、第三屋外空間に面する窓71を有しており、その窓71は、浴室64と第三屋外空間67との間の壁(住宅1の左側の外壁26)に設けられる。従って、風呂上がりに洗面室61から掃き出し窓70を介して第三屋外空間67に出て、外部の視線を気にすることなく涼むことができる。
【0042】
廊下53の後端部から右方へ延出して廊下72が設けられ、その廊下72の先である右端部にはエレベータ50が設けられる。エレベータ50は、居室60の後側に配置される。また、廊下72の左右方向中途部から後方へ延出して廊下73が設けられる。この廊下73の左側で浴室64の右側には、トイレ74が設けられる。トイレ74は、廊下73側へ開口しており、その開口部には戸75が開閉可能に設けられる。廊下73の右側でエレベータ50の後側には、前述した階段2が接続される。なお、廊下73の先には、住宅1の後側の外壁12が配置され、その外壁12には廊下73に対応するようにして窓76が設けられる。
【0043】
次に、本実施例の住宅1の一階の構成について説明する。前述したように、住宅1の二階には、両階段2,3、飲食物提供空間4、台所5、居室6、両パントリー7,8、および吹き抜け空間9が配置される。この住宅1は、玄関土間77と、玄関土間77に隣接して設けられる玄関ホール78と、玄関土間77と連続して設けられる来客用空間79と、来客用空間79に隣接して設けられる収納空間80とを一階に備える。
【0044】
玄関土間77は、平面視略T字形状で、後述する玄関ホール78に隣接するL字部81を有している。L字部81は、左右方向へ延出して配置される一片82と、一片82の左端部から後方へ延出して配置される他片83とを有している。このL字部81と、L字部81の一片82の左端部から前方へ延出して配置される延出片84とから、玄関土間77は、平面視略T字形状に形成されている。玄関土間77の床は、土間床とされる。玄関土間77の左側には、前述した吹き抜け空間9の一階部分が配置される。玄関土間77と吹き抜け空間9との間の壁(住宅1の左側の外壁26)には、それらの間を行き来できるように掃き出し窓85が設けられる。
【0045】
玄関ホール78は、平面視略矩形状で、玄関土間77のL字部81の内側に設けられる。具体的には、玄関ホール78の前端部がL字部81の一片82に隣接して配置され、玄関ホール78の左端部がL字部81の他片83に隣接して配置される。玄関ホール78は、玄関土間77から靴などを脱いで上がるところであり、玄関土間77よりも床が高く形成されている。
【0046】
来客用空間79は、パーティーの参加者がパーティーの始まる前や終わった後に待機して談笑する空間である。来客用空間79は、平面視略矩形状で、玄関土間77と行き来可能に隣接して設けられる。本実施例では、来客用空間79の前側の右端部と玄関土間77の他片83の左端部とが接続され、その接続部を介して、来客用空間79と玄関土間77とが連続した空間とされる。来客用空間79の床は、玄関土間77と同じ床高さの土間床とされる。
【0047】
来客用空間79は、吹き抜け空間9の後側に面して設けられる。来客用空間79と吹き抜け空間9との間の壁には、掃き出し窓86が設けられる。これにより、来客用空間79と吹き抜け空間9の一階部分との間を行き来することができる。また、来客用空間79は、住宅1の後側の外壁12に面して設けられる。来客用空間79部分の外壁12には、窓87が設けられる。
【0048】
収納空間80は、パーティーの参加者の衣服や持ち物などを収納するための空間である。収納空間80は、平面視略矩形状に形成されており、来客用空間79の右側に隣接して配置される。収納空間80と来客用空間79との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口88が設けられ、その出入口88には戸89が開閉可能に設けられる。従って、収納空間80は、来客用空間79と行き来可能に隣接して設けられる。収納空間80の床は、玄関土間77と同じ床高さの土間床とされる。これにより、玄関土間77、来客用空間79および収納空間80は、同じ床高さの土間床を有しているので、それらの間を下足で行き来することができる。
【0049】
図3に示されるように、玄関ホール78の右端部から右方へ延出して短い廊下90が設けられ、その廊下90の先である右端部にはエレベータ50が設けられる。また、玄関ホール78の右側の後端部から後方へ延出して、廊下91が設けられる。廊下91の右側には、前述した階段3が接続される。廊下91の後部から左方へ延出して、廊下92が設けられる。廊下92の前側には、トイレ93が設けられる。トイレ93は、廊下92側へ開口しており、その開口部に戸94が開閉可能に設けられる。図示例では、トイレ93は、収納空間80と廊下91との間に配置される。なお、廊下91の先には、住宅1の後側の外壁12が配置され、その外壁12には廊下91に対応するようにして窓95が設けられる。
【0050】
また、図3に示されるように、住宅1の一階には、自動車や単車などの駐車スペースである車庫96が設けられる。車庫96は、平面視略矩形状に形成されており、住宅1の内部に設けられる。具体的には、車庫96の後側の壁は、住宅1の前側の外壁25の一階部分とされ、車庫96の右側の壁は、住宅1の前側の外壁25から前方へ延出する袖壁97とされる。そして、車庫96の上部を覆うようにして、前述した構成の二階部分が設けられる。このようにして住宅1内部に設けられた車庫96は、前面の開口部を介して、住宅1に面する道路と互いに行き来可能とされる。
【0051】
車庫96の後側には、前述した玄関土間77の延出片84が配置される。車庫96と玄関土間77の延出片84との間の壁(住宅1の前側の外壁25)には、それらの間を行き来できるように掃き出し窓98が設けられる。また、車庫96の後側において、車庫96と玄関土間77の一片82との間で玄関土間77の延出片84の右側には、住人および来客の下足を収納する平面視略矩形状のシューズクローク99が配置される。シューズクローク99と玄関土間77の延出片84との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口100が設けられ、その出入口100には戸101が開閉可能に設けられる。シューズクローク99と車庫96との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口102が設けられ、その出入口102には戸103が開閉可能に設けられる。
【0052】
車庫96の左側には、複数のデッキ材104が敷設されて形成された床を有するデッキスペース105が設けられる。デッキスペース105は、平面視略矩形状で、前述した第一屋外空間37の真下に配置される。デッキスペース105は、吹き抜け空間9の前側に面して配置されると共に、吹き抜け空間9に面する側と逆側である前側が屋外に面して配置される。デッキスペース105の屋外に面する側は、遮蔽部106によって遮蔽される。遮蔽部106は、外部からの視線を遮るものであり、本実施例では縦格子とされる。この縦格子は、デッキスペース105の床部と第一屋外空間37との間を覆うように設けられる。本実施例では、デッキスペース105と車庫96、デッキスペース105と吹き抜け空間9、車庫96と吹き抜け空間9とがそれぞれ、連続した空間とされる。すなわち、デッキスペース105、吹き抜け空間9の一階部分および車庫96は、連続した一体空間とされる。
【0053】
さらに、図3に示されるように、車庫96の右側の壁である袖壁97の右側には、玄関へのアプローチ107が前後方向へ沿って配置される。このアプローチ107の先である後端部には玄関ポーチ108が配置され、その玄関ポーチ108と対応する住宅1の右側の外壁11に玄関扉109が開閉可能に設けられる。玄関扉109の屋内側には、前述した玄関土間77が配置される。
【0054】
ところで、本実施例の住宅1では、壁31が配置される側が西とされ、車庫96が配置される側が南とされる。従って、壁31の内部である吹き抜け空間9において、一階まで太陽光を届けることができる。また、時間や季節によって壁31に当たる太陽光が異なり、移ろいを愉しむことができる。さらに、壁31の内部である吹き抜け空間9に背の高い庭木を植えることで、壁面に移る木漏れ日を愉しむことができる。
【0055】
本実施例の住宅1の場合、主にもてなす側の住人が使用する両パントリー7,8、飲食物提供空間4および台所5と、両階段2,3とが住宅1の右側の外壁11側に寄せて配置され、主にパーティーに招かれた客人が使用する居室6が飲食物提供空間4および台所5の左側に配置される。従って、住宅1の二階において、居室6を広く形成することができる。また、居室6が吹き抜け部27を有しているので、天井の高い居室6を形成することができる。従って、居室6を上下に広く形成することができる。さらに、居室6が吹き抜け空間9に面する窓32を有しているので、居室6から吹き抜け空間9を見た場合に、居室6が吹き抜け空間9まで広がっているように見せることができる。このようにして居室6を広くすることができるので、多くの客人を招くパーティー会場として居室6を好適に使用することができる。
【0056】
また、本実施例の住宅1の場合、台所5と飲食物提供空間4とが隣接して配置され、台所5と飲食物提供空間4との間を容易に移動することができる。しかも、飲食物提供空間4には第一パントリー7が行き来可能に隣接して配置され、台所5には第二パントリー8が行き来可能に隣接して配置される。従って、もてなす側の住人にとって使い勝手のよい構成とすることができる。
【0057】
また、本実施例の住宅1の場合、居室6とその後側に配置される空間10とが連続した一体空間とされるので、居室6の奥行を感じさせて、居室6をより広く見せることができる。また、本実施例の住宅1の場合、玄関土間77のL字部81の内側に玄関ホール78が配置される構成であるので、多くの靴類を玄関土間77に並べることができる。従って、多くの客人を招いた場合において、玄関土間77に靴を重なることなく並べることができる。しかも、シューズクローク99を有しているので、玄関土間77に並べられなかった靴類をシューズクローク99に収容することができる。なお、招いた客人の人数によっては、客人の靴類をシューズクローク99に全て収納することができる。
【0058】
また、本実施例の住宅1の場合、来客用空間79を有しているので、パーティー会場とは別の待機場所を確保することができる。待機場所である来客用空間79は、屋内空間である。従って、来客用空間79では、客人はコートを脱いだ状態とされる。この際、収納空間80に客人が脱いだコートを収納することができる。このような来客用空間79および収納空間80と、玄関土間77とは、同じ床高さの土間床とされるので、それらの間の移動を下足のまま容易に行うことができる。さらに、本実施例の住宅1の場合、外部からの視線を遮ることができる屋外の壁31を利用して、居室6を広く見せるための吹き抜け空間9を形成することができる。
【0059】
なお、本発明の住宅は、前記実施例の構成に限らず、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の住宅は、パーティーを行う広い空間を有する戸建て住宅に好適に適用される。
【符号の説明】
【0061】
1 住宅
2 第一階段
3 第二階段
4 飲食物提供空間
5 台所
6 居室
7 第一パントリー
8 第二パントリー
9 吹き抜け空間
10 空間
14 カウンター
27 吹き抜け部
31 壁
32 窓
77 玄関土間
78 玄関ホール
79 来客用空間
80 収納空間
81 L字部
図1
図2
図3
図4
図5
図6