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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013355
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119281
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】中原 潤平
(72)【発明者】
【氏名】木村 充伸
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-132672(JP,A)
【文献】特開2015-190166(JP,A)
【文献】特開2018-131760(JP,A)
【文献】特開2017-115523(JP,A)
【文献】特開2015-083753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階建てで、二階の天井の高さよりも高く形成されて外壁との間に間隔をあけて屋外に配置される壁を有する住宅であって、
前記外壁と前記壁との間に設けられる上方へ開口した吹き抜け空間と、
天井を有し、二階以上の階において前記外壁と前記壁との間に前記吹き抜け空間に面して設けられ、前記吹き抜け空間とは逆側の屋外に面する側に、外部からの視線の遮蔽部が設けられる第一バルコニと、
居間、食堂および台所を有する屋内空間であって、前記吹き抜け空間および前記第一バルコニに面して設けられるLDKと、
前記外壁と前記壁との間以外の箇所で前記LDKに面して設けられ、前記第一バルコニと行き来可能に連続する第二バルコニとを備え、
前記LDKは、前記吹き抜け空間に面する窓、前記第一バルコニに面する掃き出し窓、および前記第二バルコニに面する掃き出し窓を有している
ことを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記LDKは、前記吹き抜け空間の前記第一バルコニが配置された側とは逆側において、前記壁へ向けて張り出した張出部を有しており、
前記張出部は、前記吹き抜け空間に面する窓を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記住宅が三階建てで、前記第一バルコニ、前記LDKおよび前記第二バルコニが三階に配置されており、
二階には、
前記外壁と前記壁との間で前記吹き抜け空間に面し、前記第一バルコニの真下に設けられ、前記吹き抜け空間に面する側とは逆側の屋外に面する側が遮蔽部にて遮蔽される第三バルコニと、
前記第三バルコニに面して設けられる屋内の寝室と、
前記吹き抜け空間に面して設けられる屋内の居室とを備え、
前記寝室は前記第三バルコニに面する掃き出し窓を有し、前記居室は前記吹き抜け空間に面する窓を有している
ことを特徴とする請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
二階には、
浴室と行き来可能とされ、前記外壁に面して設けられる屋内の洗面室と、
前記外壁と前記壁との間で前記吹き抜け空間に面し、前記張出部の真下に設けられ、前記吹き抜け空間に面する側とは逆側の屋外に面する側が壁体にて閉塞される第四バルコニとを備え、
前記洗面室が前記第四バルコニに面する掃き出し窓を有している
ことを特徴とする請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
一階には、
前記住宅に面する道路と行き来可能とされる車庫と、
前記外壁と前記壁との間で前記吹き抜け空間に面して前記第三バルコニの真下に設けられ、前記外壁の開口部を介して前記車庫と連続する自転車の駐車スペースと、
前記吹き抜け空間の前記駐車スペースが面する側とは逆側に、前記壁に面して設けられる居室と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数階建ての戸建て住宅に関するものであり、特に、外部からの視線を遮蔽するための壁が屋外に設けられる住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部からの視線を遮蔽するための他、様々な理由で、屋外に大きな壁が立設された住宅が知られている。たとえば、下記特許文献1には、住宅本体に対向するようにして、塀部を備えるパーゴラが設置された住宅が開示されている。塀部は、住宅本体の側面全体を遮蔽するようにして立設されており、上端部が住宅本体の二階の床レベルよりも上方に位置している。従って、この住宅では、塀部の内側をドライエリアとして利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-74949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の場合、屋外に立設された壁の内側をドライエリアとして利用しているだけであって、せっかくできたスペースを有効に利用しきれていないという問題があった。そのため、たとえば、家族が集う屋内のLDKをより快適な空間とするために、屋外に立設された壁の内側のスペースを利用することが望まれる。
【0005】
具体的には、屋外に立設された壁の内側のスペースに、LDKと行き来可能な第一バルコニが設けられ、その第一バルコニは、屋外に面する側が遮蔽され、LDKと行き来可能とされる通常の第二バルコニと連続して形成される。これにより、LDKと両バルコニが一体的な空間とされ、LDKをより広く感じさせることができる。しかも、第一バルコニは、閉じた空間とされるので、プライバシーを確保することができる。また、屋外に立設された壁の内側のスペースの内、第一バルコニが設けられた箇所以外からLDKへ太陽光を取り込むことができる。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、屋外に立設された壁の内側からLDKへ太陽光を取り込むことができると共に、バルコニが前記壁の内側に一部が入り込むように設けられ、その際に前記壁の内側に入り込んだバルコニの一部を閉じた空間とすることができる住宅を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る住宅は、複数階建てで、二階の天井の高さよりも高く形成されて外壁との間に間隔をあけて屋外に配置される壁を有する住宅であって、前記外壁と前記壁との間に設けられる上方へ開口した吹き抜け空間と、天井を有し、二階以上の階において前記外壁と前記壁との間に前記吹き抜け空間に面して設けられ、前記吹き抜け空間とは逆側の屋外に面する側に、外部からの視線の遮蔽部が設けられる第一バルコニと、居間、食堂および台所を有する屋内空間であって、前記吹き抜け空間および前記第一バルコニに面して設けられるLDKと、前記外壁と前記壁との間以外の箇所で前記LDKに面して設けられ、前記第一バルコニと行き来可能に連続する第二バルコニとを備え、前記LDKは、前記吹き抜け空間に面する窓、前記第一バルコニに面する掃き出し窓、および前記第二バルコニに面する掃き出し窓を有していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る住宅は、前記LDKは、前記吹き抜け空間の前記第一バルコニが配置された側とは逆側において、前記壁へ向けて張り出した張出部を有しており、前記張出部は、前記吹き抜け空間に面する窓を有していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る住宅は、前記住宅が三階建てで、前記第一バルコニ、前記LDKおよび前記第二バルコニが三階に配置されており、二階には、前記外壁と前記壁との間で前記吹き抜け空間に面し、前記第一バルコニの真下に設けられ、前記吹き抜け空間に面する側とは逆側の屋外に面する側が遮蔽部にて遮蔽される第三バルコニと、前記第三バルコニに面して設けられる屋内の寝室と、前記吹き抜け空間に面して設けられる屋内の居室とを備え、前記寝室は前記第三バルコニに面する掃き出し窓を有し、前記居室は前記吹き抜け空間に面する窓を有していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る住宅は、二階には、浴室と行き来可能とされ、前記外壁に面して設けられる屋内の洗面室と、前記外壁と前記壁との間で前記吹き抜け空間に面し、前記張出部の真下に設けられ、前記吹き抜け空間に面する側とは逆側の屋外に面する側が壁体にて閉塞される第四バルコニとを備え、前記洗面室が前記第四バルコニに面する掃き出し窓を有していることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係る住宅は、一階には、前記住宅に面する道路と行き来可能とされる車庫と、前記外壁と前記壁との間で前記吹き抜け空間に面して前記第三バルコニの真下に設けられ、前記外壁の開口部を介して前記車庫と連続する自転車の駐車スペースと、前記吹き抜け空間の前記駐車スペースが面する側とは逆側に、前記壁に面して設けられる居室とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る住宅によれば、外壁と屋外に立設される壁との間に、上方へ開口した吹き抜け空間と、その吹き抜け空間に面する第一バルコニとが設けられる。第一バルコニは、天井を有し、屋外に面する側に外部からの視線を遮る遮蔽部が設けられる。また、吹き抜け空間および第一バルコニに面してLDKが設けられ、このLDKに面して、第一バルコニと連続する第二バルコニが設けられる。そして、LDKは、吹き抜け空間に面する窓と、第一バルコニおよび第二バルコニにそれぞれ面する掃き出し窓が設けられる。従って、LDKから第一バルコニを見た際に、LDKに第一バルコニが入り込んで一体的に見える。また、LDKから第二バルコニを見た際に、LDKに第二バルコニが入り込んで一体的に見える。すなわち、LDKと両バルコニとを一体的な空間とすることができ、LDKをより広く感じさせることができる。また、第一バルコニは、住宅の外壁、屋外の壁および遮蔽部により三方が囲まれると共に天井を有しているので、道路や隣接する住宅から内部が見えず、プライバシー性を確保することができる。さらに、LDKには、吹き抜け空間から窓を介して太陽光を取り込むことができる。
【0013】
また、本発明に係る住宅によれば、LDKの壁への張出部が吹き抜け空間に面する窓を有している。従って、LDKをより広くする張出部にも、吹き抜け空間から窓を介して太陽光を取り込むことができる。
【0014】
また、本発明に係る住宅によれば、第一バルコニ、LDKおよび第二バルコニが三階に配置される。二階には、外壁と壁との間で吹き抜け空間に面して第一バルコニの真下に第三バルコニが設けられ、その第三バルコニの屋外に面する側は遮蔽部にて遮蔽される。また、二階には、第三バルコニに面して寝室が設けられ、その寝室は第三バルコニに面する掃き出し窓を有する。さらに、二階には、吹き抜け空間に面して居室が設けられ、その居室は吹き抜け空間に面する窓を有する。従って、住宅において最も明るい三階に、明るさを必要とするLDKが配置され、三階よりも暗くなる二階に、特に明るさを必要としない寝室が配置される。しかも、寝室に行き来可能に隣接して、住宅の外壁、屋外の壁および遮蔽部により三方が囲まれると共に上部に第一バルコニが配置されてプライバシー性が確保された空間である第三バルコニを配置することができる。また、居室を子供が利用する空間とした場合、ある程度の明るさが必要となるが、前述したように吹き抜け空間に面する窓を有しているので、太陽光を居室に取り込むことができる。
【0015】
また、本発明に係る住宅によれば、二階に外壁に面する洗面室が設けられ、その洗面室は浴室と行き来可能とされる。二階には、外壁と壁との間で吹き抜け空間に面してLDKの張出部の真下に第四バルコニが設けられ、その第四バルコニの屋外に面する側は遮蔽部にて遮蔽される。従って、風呂上がりに、住宅の外壁、屋外の壁および遮蔽部により三方が囲まれると共に上部に張出部が配置されてプライバシー性が確保された空間である第四バルコニで涼むことができる。
【0016】
さらに、本発明に係る住宅によれば、一階に道路と行き来可能とされる車庫が設けられる。一階には、外壁と壁との間で吹き抜け空間に面して第三バルコニの真下に自転車の駐車スペースが設けられ、その駐車スペースは外壁に形成された開口部を介して車庫と連続して形成される。従って、自転車や車などを駐車するスペースを確保しつつ、駐車スペースと車庫とが連続した空間とされるので、その連続した空間を趣味のための空間とした場合、趣味の空間をまとめることができる。さらに、一階には、吹き抜け空間の駐車スペースが面する側とは逆側に、屋外に立設される壁に面して居室が設けられる。従って、たとえば、居室を防音室として友人と楽器の演奏を楽しむことができる。このようにして、一階に趣味のための領域がまとめられ、前述したように二階および三階に住人のプライベート領域がまとめられるので、共通した趣味をもつ客人が利用する領域と、プライベート領域とを完全に独立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例の住宅の三階の構成を示す平面視の間取り図である。
図2図1の住宅の二階の構成を示す平面視の間取り図である。
図3図1の住宅の一階の構成を示す平面視の間取り図である。
図4図1の住宅の正面図である。
図5図1の住宅の側面図である。
図6図4における概略A-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の住宅の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1から図6は、本発明の住宅の一実施例を示す図であり、図1は三階の構成を示す平面視の間取り図、図2は二階の構成を示す平面視の間取り図、図3は一階の構成を示す平面視の間取り図、図4は正面図、図5は左側面図、図6図4における概略A-A断面図である。本実施例の住宅1は、複数階建ての戸建て住宅であって、二階の天井の高さよりも高く形成されて外壁2との間に間隔をあけて屋外に配置される壁3を有している。ここでは、住宅1は、三階建ての戸建て住宅とされ、住宅1が有する壁3は、左側面視において住宅1の一階部分、二階部分および三階部分を覆う高さに形成されている。
【0020】
住宅1が有する壁3は、平面視略矩形状の住宅1の左側の外壁2との間に左右方向へ間隔をあけて屋外に立設される。この際、壁3は、板面を左右に向けて配置される。また、壁3は、外壁2の前後方向ほぼ全体を覆うように形成されている。すなわち、住宅1の左側は、壁3により覆われている。このような壁3を有する本実施例の住宅1は、外壁2と壁3との間に設けられる吹き抜け空間4と、三階において外壁2と壁3との間に設けられる第一バルコニ5と、吹き抜け空間4および第一バルコニ5に面して設けられるLDK6と、LDK6に面して設けられる第二バルコニ7とを備える。
【0021】
吹き抜け空間4は、上方へ開口した平面視略矩形状で、住宅1の左側の外壁2と壁3との間の前後方向中央部に設けられる。吹き抜け空間4は、住宅1の一階から三階まで吹抜けており、三階建て住宅1とほぼ同一高さに形成されている。この吹き抜け空間4の三階部分に面して、後述する第一バルコニ5およびLDK6が設けられる。
【0022】
第一バルコニ5は、天井を有し、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状で、住宅1の左側の外壁2と壁3との間の前端部に設けられる。第一バルコニ5は、吹き抜け空間4の前側に面して設けられると共に、LDK6の左側に面して設けられる。この際、第一バルコニ5は、前部がLDK6よりも前方へ突出して設けられ、吹き抜け空間4が配置される側とは逆側である前側が屋外に面する。第一バルコニ5の屋外に面する側には、外部からの視線を遮る遮蔽部8が設けられる。本実施例では、遮蔽部8が縦格子とされ、その縦格子によって第一バルコニ5の床と天井との間が覆われる。なお、遮蔽部8は、第一バルコニ5の床と天井との間を閉塞するものでもよいが、縦格子のようにある程度において視線を遮ることができればよい。この場合、第一バルコニ5内に光や風を通しやすくすることができる。なお、第一バルコニ5の吹き抜け空間4が面する側である後側には、手摺9が設けられる。
【0023】
LDK6は、居間10、食堂11および台所12を有する屋内空間であって、平面視略L字形状に形成されている。LDK6は、吹き抜け空間4の右側に面して設けられ、吹き抜け空間4に面する窓13を有する。この窓13は、LDK6と吹抜け空間4との間の壁(住宅1の左側の外壁2)に設けられる。また、LDK6は、第一バルコニ5の右側に面して設けられ、第一バルコニ5に面する掃き出し窓14を有する。この掃き出し窓14は、LDK6と第一バルコニ5との間の壁(住宅1の左側の外壁2)に設けられる。
【0024】
第二バルコニ7は、住宅1の左側の外壁2と壁3との間以外の箇所で、LDK6に面して設けられる。本実施例では、第二バルコニ7は、左右方向を長手方向とする平面視略長方形状で、LDK6の前側に面して設けられる。この際、第二バルコニ7の左端部と第一バルコニ5のLDK6よりも前方へ突出する箇所の右端部とが連結されて、第二バルコニ7は、第一バルコニ5と行き来可能に連続して設けられる。すなわち、LDK6の角部に面して、両バルコニ5,7からなる平面視略L字形状のバルコニが設けられる。従って、第二バルコニ7には、前端部および右端部に手摺15が設けられる。なお、前述したLDK6は、第二バルコニ7に面する掃き出し窓16を有し、この掃き出し窓16は、LDK6と第二バルコニ7との間の壁(住宅1の前側の外壁18)に設けられる。また、掃き出し窓16に隣接して、LDK6と第二バルコニ7との間の壁には窓17が設けられる。
【0025】
図1に示されるように、平面視略L字形状のLDK6は、右側に台所12が配置され、その台所12の左側に食堂11と居間10とが前後に隣接して配置される。従って、前後に隣接する食堂11と居間10とが住宅1の左側の外壁2に面して設けられ、左右に隣接する食堂11と台所12とが住宅1の前側の外壁18に面して設けられる。また、LDK6は、吹き抜け空間4の第一バルコニ5が配置された側とは逆側において、壁3へ向けて張り出した張出部19を有している。
【0026】
本実施例では、LDK6の後端部に左方へ張り出して張出部19が設けられる。張出部19は、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状で、壁3の右側に面して設けられると共に、吹き抜け空間4の後側に面して設けられる。張出部19は、吹き抜け空間4に面する窓20を有しており、この窓20は、張出部19と吹き抜け空間4との間の壁に設けられる。また、張出部19は、住宅1の後側の外壁21に面して設けられ、その外壁21の張出部19に対応する箇所には窓22が設けられる。このようにして張出部19が設けられることで、LDK6の後端部には、居間10と連続して平面視略矩形状の空間23を形成することができる。この空間23は、たとえば、趣味や家事などのために用いられる空間とされる。
【0027】
LDK6の台所12の後側には、食料品などを収納することができる平面視略矩形状のパントリー24が設けられる。パントリー24と台所12との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口25が設けられ、その出入口25には戸26が開閉可能に設けられる。このパントリー24の左側には、前述したLDK6の居間10が配置される。パントリー24と居間10との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口27が設けられ、その出入口27には戸28が開閉可能に設けられる。
【0028】
LDK6の居間10の後側には、前後方向へ延出して廊下29が配置される。この廊下29は、居間10の後端部から後方へ延出して設けられる。廊下29と居間10との間の壁には、それらの間を互いに行き来できるように出入口30が設けられ、その出入口30には戸31が開閉可能に設けられる。廊下29の左側には、前述した空間23が配置される。空間23と廊下29との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口32が設けられ、その出入口32には戸33が開閉可能に設けられる。また、廊下29の左側には、平面視略矩形状のトイレ34が設けられる。このトイレ34は、空間23および住宅1の後側の外壁21に面して設けられて廊下29へ開口しており、その開口部には戸35が開閉可能に設けられる。
【0029】
廊下29の前部から右方へ延出して短い廊下36が設けられ、その廊下36の先である右端部にはエレベータ37が設けられる。このエレベータ37は、パントリー24の後側に配置される。また、廊下29の後部の右側には、住宅1の三階と二階とを接続する階段38が接続される。この階段38は、住宅1の後側右隅部に配置される。なお、居間10から後方へ延出する廊下29の先には、住宅1の後側の外壁21が配置され、その外壁21には廊下29に対応するようにして窓39が設けられる。
【0030】
次に、本実施例の住宅1の二階の構成について説明する。前述したように、住宅1の三階には、第一バルコニ5、LDK6および第二バルコニ7が配置される。この住宅1は、住宅1の左側の外壁2と壁3との間の前端部に設けられる第三バルコニ40と、第三バルコニ40に面する屋内の寝室41と、吹き抜け空間4に面する屋内の居室42と、住宅1の左側の外壁2に面する屋内の洗面室43と、住宅1の左側の外壁2と壁3との間の後端部に設けられる第四バルコニ44とを二階に備える。
【0031】
第三バルコニ40は、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状で、三階の第一バルコニ5の真下に設けられる。本実施例では、第三バルコニ40の前後長さは、第一バルコニ5の前後長さとほぼ同一に形成されている。第三バルコニ40は、吹き抜け空間4の前側に面して設けられ、吹き抜け空間4に面する側である後側に手摺45が設けられる。また、第三バルコニ40は、吹き抜け空間4に面する側とは逆側である前側が屋外に面している。第三バルコニ40の屋外に面する側は、遮蔽部46によって遮蔽される。遮蔽部46は、外部からの視線を遮るものであり、本実施例では縦格子とされる。この縦格子は、第一バルコニ5と第三バルコニ40との間を覆うように設けられる。なお、遮蔽部46は、前述した三階の遮蔽部8と同様に、第一バルコニ5と第三バルコニ40との間を閉塞するものであってもよいし、格子のようにある程度において視線を遮るものであってもよい。
【0032】
寝室41は、平面視略矩形状に形成されており、住宅1の前側の外壁18に面して設けられる。この寝室41は、第三バルコニ40の右側に面して設けられ、第三バルコニ40に面する掃き出し窓47を有している。掃き出し窓47は、寝室41と第三バルコニ40との間の壁(住宅1の左側の外壁2)に設けられる。
【0033】
居室42は、平面視略矩形状に形成されており、寝室41の後側に隣接して配置される。本実施例の居室42は、たとえば、子供のための空間であって、子供が自由に使うことができる。居室42は、吹き抜け空間4の右側に面して設けられ、吹き抜け空間4に面する窓48を有している。この窓48は、吹き抜け空間4と居室42との間の壁(住宅1の左側の外壁2)に設けられる。
【0034】
洗面室43は、平面視略矩形状に形成されており、居室42の後側に隣接して配置される。この洗面室43の後側に隣接して、平面視略矩形状の浴室49が配置される。洗面室43と浴室49との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口50が設けられ、その出入口50には戸51が開閉可能に設けられる。ここで、洗面室43および浴室49は、住宅1の左側の外壁2に面して設けられる。
【0035】
第四バルコニ44は、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状に形成されており、三階のLDK6の張出部19の真下に設けられる。本実施例では、第四バルコニ44の前後長さは、LDK6の張出部19の前後長さとほぼ同一に形成されている。第四バルコニ44は、吹き抜け空間4の後側に面して設けられ、吹き抜け空間4に面する側である前側に手摺52が設けられる。また、第四バルコニ44は、吹き抜け空間4に面する側とは逆側である後側が屋外に面している。第四バルコニ44の屋外に面する側の開口部は、壁体53によって閉塞される。この壁体53は、住宅1の後側の外壁21と滑らかに連続して形成されている。なお、本実施例では、壁体53の上端部に前後方向へ貫通して貫通穴54が形成されている。これにより、住宅1の左側の外壁2と壁3との間に、貫通穴54を介して風を通すことができる。
【0036】
なお、洗面室43および浴室49は、前述したように第四バルコニ44に面して設けられる。洗面室43は、第四バルコニ44に面する掃き出し窓55を有しており、その掃き出し窓55は、洗面室43と第四バルコニとの間の壁(住宅1の左側の外壁2)に設けられる。浴室49は、第四バルコニ44に面する窓56を有しており、その窓56は、浴室49と第四バルコニ44との間の壁(住宅1の左側の外壁2)に設けられる。
【0037】
図2に示されるように、寝室41の右端部には、平面視略矩形状の収納室57が配置される。寝室41と収納室57との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口58が設けられ、その出入口58には戸59が開閉可能に設けられる。なお、本実施例では、収納室57は、寝室41のウォークインクローゼットとされ、衣服などの被収納物を収納することができる。収納室57の後側に隣接して、平面視略矩形状の納戸60が配置される。収納室57と納戸60との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口61が設けられ、その出入口61には戸62が開閉可能に設けられる。
【0038】
寝室41の後側には、前後方向へ延出して廊下63が配置される。廊下63は、寝室41の後端部から後方へ延出して設けられる。廊下63と寝室41との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口64が設けられ、その出入口64には戸65が開閉可能に設けられる。廊下63の左側には、前述した居室42および洗面室43が配置される。居室42は、右面全体が開口しており、廊下63と連続した空間に形成されている。洗面室43と廊下63との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口66が設けられ、その出入口66には戸67が開閉可能に設けられる。廊下63の後端部の左側には、トイレ68が設けられる。トイレ68は、廊下63側へ開口しており、その開口部に戸69が開閉可能に設けられる。図示例では、平面視略矩形状のトイレ68は、洗面室43の後側に隣接して配置されると共に、浴室49の右側に隣接して配置され、住宅1の後側の外壁21に面している。
【0039】
廊下63の前部の右側には、前述した収納室57および納戸60が配置される。納戸60の後側には、廊下63と連続した空間70が配置される。この空間70と納戸60との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口71が設けられ、その出入口71には戸72が開閉可能に設けられる。廊下63の前後方向中途部から右方へ延出して短い廊下73が設けられ、その廊下73の先である右端部にはエレベータ37が設けられる。このエレベータ37は、空間70の後側に配置される。廊下63の後端部の右側には、住宅1の三階と二階とを接続する前述した階段38が接続される。この階段38と廊下63を介して連続するようにして、廊下63の後端部の右側には、住宅1の二階と一階とを接続する階段74が接続される。なお、寝室41から後方へ延出する廊下63の先には、住宅1の後側の外壁21が配置され、その外壁21には廊下63に対応するようにして窓75が設けられる。
【0040】
次に、本実施例の住宅1の一階の構成について説明する。前述したように、住宅1の三階には、第一バルコニ5、LDK6および第二バルコニ7が配置され、住宅1の二階には、第三バルコニ40、寝室41、居室42、洗面室43および第四バルコニ44が配置される。さらに、この住宅1は、自動車や単車などの駐車スペースである車庫76と、住宅1の左側の外壁2と壁3との間に設けられる自転車の駐車スペース77と、壁3に面して設けられる居室78とを備える。
【0041】
車庫76は、平面視略矩形状に形成されており、住宅1の内部に設けられる。具体的には、車庫76の後側の壁は、住宅1の前側の外壁18の一階部分とされ、車庫76の右側の壁は、住宅1の前側の外壁18から前方へ延出する袖壁79とされる。そして、車庫76の上部を覆うようにして、前述した構成の二階部分が設けられる。このようにして住宅1内部に設けられた車庫76は、前面の開口部を介して、住宅1に面する道路80と互いに行き来可能とされる。車庫76の左側に面して、後述する駐車スペース77が設けられる。
【0042】
駐車スペース77は、床部81を有し、前後方向を長手方向とする平面視略長方形状の空間であって、二階の第三バルコニ40の真下に設けられる。駐車スペース77は、吹き抜け空間4の前側に面して設けられ、その吹き抜け空間4と連続した空間とされる。また、駐車スペース77は、吹き抜け空間4に面する側と逆側である前側が屋外に面して配置される、駐車スペース77の屋外に面する側は、遮蔽部82によって遮蔽される。遮蔽部82は、外部からの視線を遮るものであり、本実施例では縦格子とされる。この縦格子は、駐車スペース77の床部81と第三バルコニ40との間を覆うように設けられる。なお、遮蔽部82は、前述した三階の遮蔽部8および二階の遮蔽部46と同様に、駐車スペース77の床部81と第三バルコニ40との間を閉塞するものであってもよいし、格子のようにある程度において視線を遮るものであってもよい。
【0043】
駐車スペース77と車庫76との間の壁(住宅1の左側の外壁2の一階部分)には、左右方向へ貫通して開口部83が形成されている。従って、駐車スペース77は、外壁2に形成された開口部83を介して、車庫76と連続した空間とされる。なお、本実施例では、開口部83は、車庫76と吹き抜け空間4との間の壁まで延出して形成されているので、車庫76と吹き抜け空間4とが開口部83を介して連続した空間とされる。
【0044】
居室78は、住宅1の屋内空間であって、平面視略矩形状に形成されている。居室78の左側壁は、前述した屋外に立設される壁3である。すなわち、居室78は、壁3に面して設けられる。また、居室78は、吹き抜け空間4の駐車スペース77が面する側とは逆側である後側に面して設けられ、吹き抜け空間4に面する掃き出し窓84を有している。掃き出し窓84は、吹き抜け空間4と居室78との間の壁(住宅1の前側の外壁18の一階部分)に設けられる。なお、本実施例の居室78は、趣味のため空間とされ、たとえば、友人と楽器の演奏を行うことができる防音室とされる。
【0045】
図3に示されるように、車庫76の右側の壁である袖壁79の右側には、玄関へのアプローチ85が前後方向へ沿って配置される。このアプローチ85先である後端部には玄関ポーチ86が配置され、その玄関ポーチ86と対応する住宅1の右側の外壁に玄関扉87が開閉可能に設けられる。玄関扉87の屋内側には、平面視略L字形状の玄関土間88が配置される。玄関土間88と車庫76とが互いに行き来できるように、玄関土間88と車庫76との間の壁には、掃き出し窓89が設けられる。また、玄関土間88と吹き抜け空間4とが互いに行き来できるように、玄関土間88と吹き抜け空間4との間の壁には、掃き出し窓90が設けられる。玄関土間88と車庫76との間には、平面視略矩形状のシューズクローク91が配置される。シューズクローク91と玄関土間88との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口92が設けられ、その出入口92には戸93が開閉可能に設けられる。また、シューズクローク91と車庫76との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口94が設けられ、その出入口94には戸95が開閉可能に設けられる。
【0046】
玄関土間88の後側には、玄関ホール96が配置される。玄関ホール96の左側には、前述した居室78が配置される。居室78と玄関ホール96との間の壁には、それらの間を行き来できるように出入口97が設けられ、その出入口97には戸98が開閉可能に設けられる。玄関ホール96の右端部から後方へ延出して、廊下99が設けられる。廊下99の左側であって玄関ホール96の後側には、トイレ100が設けられる。トイレ100は、廊下99側へ開口しており、その開口部に戸101が開閉可能に設けられる。廊下99には、右方へ延出して短い廊下102が配置され、その廊下102の先にエレベータ37が配置される。エレベータ37の後側には、住宅1の二階と一階とを接続する前述した階段74が配置される。この階段74は、廊下99の後端部の右側に接続される。このようにして、本実施例では、住宅1の上階と下階とを接続する階段38,74は、住宅1の隅部に配置される。なお、玄関ホール96から後方へ延出する廊下99の先には、住宅1の後側の外壁21が配置され、その外壁21には廊下99に対応するようにして窓103が設けられる。
【0047】
ところで、本実施例の住宅1では、壁3が配置される側が西とされ、第二バルコニ7が配置される側が南とされる。従って、壁3の内部において、一階まで太陽光を届けることができる。また、時間や季節によって壁3に当たる太陽光が異なり、移ろいを愉しむことができる。さらに、壁3の内部に背の高い庭木を植えることで、壁面に移る木漏れ日を愉しむことができる。
【0048】
本実施例の住宅1の場合、第一バルコニ5と第二バルコニ7とからなる平面視略L字形状のバルコニがLDK6に面して設けられ、そのLDK6が両バルコニ5,7に面する掃き出し14,16を有している。従って、LDK6から平面視略L字形状のバルコニを見た場合、LDK6に平面視略L字形状のバルコニが入り込んで一体的に見える。これにより、LDK6と平面視略L字形状のバルコニとを一体的な空間とすることができ、LDK6をより広く見せることができる。また、平面視略L字形状のバルコニの一部である第一バルコニ5が外部から見えないように構成されるので、バルコニの一部をプライバシー性が確保された空間とすることができる。また、LDK6に面して吹き抜け空間4が設けられるので、LDK6に窓13を介して光を取り入れることができ、LDK6を明るい空間とすることができる。
【0049】
また、本実施例の住宅1の場合、LDK6が張出部19を備えるので、LDK6をより広くすることができる。しかも、その広くした部分を含むように空間を形成することができる。また、LDK6の張出部19が窓20を有するので、吹き抜け空間4からLDK6へ光を取り込むことができる。
【0050】
また、本実施例の住宅1の場合、明るい空間であることが好ましいLDK6が三階に配置され、三階よりも暗くなる二階に、明るさを押さえた空間であることが好ましい寝室41が配置される。従って、好ましい住宅の構成とすることができる。また、外部から見えないように構成された第三バルコニ40が寝室41に隣接して配置されるので、寝る前に第三バルコニ40でクールダウンして疲れをとることができる。また、子供のための空間である居室42には明るさが必要となるが、居室42が吹き抜け空間4に面するので、窓48を介して居室42内に光を取り込むことができる。
【0051】
また、本実施例の住宅1の場合、外部から見えないように構成された第四バルコニ44が浴室49に隣接した洗面室43に面して設けられる。従って、風呂上がりに第四バルコニ44に出て、外部の視線を気にすることなく涼むことができる。さらに、本実施例の住宅1の場合、車庫76と駐車スペース77が連続した空間を趣味の空間とし、居室78を音楽のための防音室とすることができるので、一階に趣味のための領域がまとめられる。従って、二階および三階にまとめられた住人のプライベート領域と上下階で分けることができ、好ましい住宅の構成を実現することができる。以上のように、本実施例の住宅1は、外部からの視線を遮る壁3の内側を有効に活用した住宅とすることができる。
【0052】
なお、本発明の住宅は、前記実施例の構成に限らず、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の住宅は、屋外に立設された壁を有する住宅に好適に適用される。
【符号の説明】
【0054】
1 住宅
2 外壁
3 壁
4 吹き抜け空間
5 第一バルコニ
6 LDK
7 第二バルコニ
8 遮蔽部
10 居間
11 食堂
12 台所
13 窓
14 掃き出し窓
16 掃き出し窓
19 張出部
20 窓
40 第三バルコニ
41 寝室
42 居室
43 洗面室
44 第四バルコニ
46 遮蔽部
47 掃き出し窓
48 窓
49 浴室
53 壁体
55 掃き出し窓
76 車庫
77 駐車スペース
78 居室
80 道路
83 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6