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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】物品搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/12 20190101AFI20230530BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230530BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230530BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20230530BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230530BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20230530BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20230530BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230530BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B60L53/12
B65G1/00 501C
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L50/60
B60L53/30
B60L53/53
B60L58/12
H02J7/00 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021002843
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022108046
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2023-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】船橋 文夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 大道
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-186110(JP,A)
【文献】特開2015-43238(JP,A)
【文献】特開2014-117067(JP,A)
【文献】特開2019-115096(JP,A)
【文献】特開2015-58997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
B65G 1/00
B60M 7/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置又は収容する複数の搬送体と、前記搬送体を搬送する複数の無人搬送車と、前記搬送体及び前記無人搬送車を制御する制御部と、を備えた物品搬送システムであって、
前記無人搬送車は、第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置から電力の供給を受けて走行する走行部と、前記搬送体を保持する保持部と、外部の電力源から電力の供給を受けて前記第1蓄電装置の充電及び前記走行部への電力供給の少なくとも一方を行う第1受電部と、前記第1蓄電装置の電力を外部に供給する第1送電部と、を備え、
前記搬送体は、第2蓄電装置と、外部の電力源から電力の供給を受けて前記第2蓄電装置の充電を行う第2受電部と、前記第2蓄電装置の電力を外部に供給する第2送電部と、を備え、
前記制御部は、前記無人搬送車が前記保持部に前記搬送体を保持している状態である保持状態で、前記第2送電部と前記第1受電部とを介して、前記第2蓄電装置からの電力の供給を受けて前記第1蓄電装置の充電及び前記走行部への電力供給の少なくとも一方を行う第1制御と、前記保持状態で、前記第1送電部と前記第2受電部とを介して、前記第1蓄電装置からの電力の供給を受けて前記第2蓄電装置の充電を行う第2制御と、を選択的に実行する、物品搬送システム。
【請求項2】
複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとして、
前記制御部は、前記第2制御を行う場合、前記無人搬送車に既に割り当てられた前記搬送タスクに応じて、当該搬送タスクの実行に必要な電力が前記第1蓄電装置に残る範囲で、前記第1蓄電装置の電力を前記第1送電部から前記第2受電部に供給する、請求項1に記載の物品搬送システム。
【請求項3】
複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとして、
前記制御部は、少なくとも前記搬送タスクの数に基づいて繁忙期か閑散期かを判定する繁閑判定処理を行い、前記繁閑判定処理により前記閑散期と判定した場合には、前記第2制御を実行する割合を前記第1制御を実行する割合よりも高くし、前記繁閑判定処理により前記繁忙期と判定した場合には、前記第1制御を実行する割合を前記第2制御を実行する割合よりも高くする、請求項1又は2に記載の物品搬送システム。
【請求項4】
前記無人搬送車の前記第1蓄電装置及び前記搬送体の前記第2蓄電装置を充電する充電設備を更に備え、
複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとし、前記搬送タスクによる搬送対象とされた前記搬送体を対象搬送体とし、前記対象搬送体を搬送する前記無人搬送車を対象搬送車として、
前記制御部は、前記対象搬送体が備える前記第2蓄電装置の充電量が規定の第1充電閾値以下であって、前記対象搬送車による前記対象搬送体の搬送先が前記充電設備ではない場合、前記対象搬送車の前記第1蓄電装置の電力により前記対象搬送体の前記第2蓄電装置を充電する前記第2制御を実行し、
前記第2蓄電装置の充電量が前記第1充電閾値より小さい値に設定された第2充電閾値以下となった前記搬送体である要充電搬送体が存在する場合には、前記要充電搬送体を搬送対象とし前記充電設備を搬送先とする前記搬送タスクを複数の前記無人搬送車のいずれかに割り当て、前記充電設備により前記要充電搬送体の前記第2蓄電装置を充電させる制御を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送システム。
【請求項5】
複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとし、前記搬送タスクによる搬送対象とされた前記搬送体を対象搬送体とし、前記対象搬送体を搬送する前記無人搬送車を対象搬送車として、
前記制御部は、前記対象搬送体の前記第2蓄電装置の充電量が規定の第3充電閾値以下であって、且つ、前記対象搬送車の前記第1蓄電装置の充電量が規定の第4充電閾値以下である場合、前記対象搬送車による前記対象搬送体の搬送開始前に、前記対象搬送車以外の前記無人搬送車の前記第1蓄電装置の電力により前記対象搬送体の前記第2蓄電装置を充電する前記第2制御を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送システム。
【請求項6】
前記搬送体は、上下方向に並ぶ複数段の収容部を備え、
複数段の前記収容部のそれぞれに前記物品が収容可能であり、
前記第2受電部及び前記第2送電部は、前記搬送体における最下段の前記収容部の下方に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送システム。
【請求項7】
前記搬送体は、規定の厚さを有する矩形板状に形成されたパレットであり、前記物品が載置される載置面に直交する方向を板厚方向として、前記板厚方向に沿う板厚方向視で外縁となる4つの側面のうちの少なくとも1つに形成されたフォーク挿入用の一対の挿入孔を備え、
前記第2受電部及び前記第2送電部が、前記板厚方向視で前記搬送体の中央部に配置され、
前記第2蓄電装置は、前記板厚方向視で前記第2受電部及び前記第2送電部よりも外側であって、一対の前記挿入孔と干渉しない位置に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送システム。
【請求項8】
前記無人搬送車の前記第1蓄電装置及び前記搬送体の前記第2蓄電装置を充電する充電設備を更に備え、
前記無人搬送車は、前記搬送体を載置する載置部を備え、
前記第1受電部は、前記第2送電部に電気的に接続される第1受電用接続部を備え、
前記第1送電部は、前記第2受電部に電気的に接続される第1送電用接続部を備え、
前記第2受電部は、前記第1送電部に電気的に接続される第2受電用接続部を備え、
前記第2送電部は、前記第1受電部に電気的に接続される第2送電用接続部を備え、
前記第1受電用接続部及び前記第1送電用接続部は、前記載置部に配置され、
前記第2受電用接続部及び前記第2送電用接続部は、前記搬送体における前記載置部に載置される被載置部に配置され、
前記充電設備は、前記第1受電部及び前記第2受電部に電力を供給する給電部を備え、
前記給電部は、前記載置部と前記被載置部との上下方向の間に配置可能に構成されていると共に、そのように配置された状態で前記第1受電用接続部と前記第2受電用接続部との双方と電気的に接続し、前記第1受電部と前記第2受電部との双方に同時に電力を供給可能に構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置又は収容する複数の搬送体と、搬送体を搬送する複数の無人搬送車と、搬送体及び無人搬送車を制御する制御部と、を備えた物品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送システムの一例が、特開2014-117067号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号及び名称を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の物品搬送システムは、第1蓄電装置(車両側バッテリ14)を有する無人搬送車(10)と、第2蓄電装置(パレット側バッテリ24)を有する搬送体(パレット20)と、を備えている。また、搬送体(20)には、第2蓄電装置(24)の電力を外部に供給可能な給電部が設けられ、無人搬送車(10)には、搬送体(20)の給電部から電力を受電可能な受電部が設けられている。そして、無人搬送車(10)は、搬送体(20)を載せているときには第2蓄電装置(24)の電力により走行及び第1蓄電装置(14)の充電を行い、搬送体(20)を載せていないときには第1蓄電装置(14)の電力により走行を行う。第1蓄電装置(14)及び第2蓄電装置(24)は、無人搬送車(10)が搬送体(20)を載せる又は降ろすステーション(ST)に設置された充電設備(充電器40)により充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-117067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の物品搬送システムでは、システム全体のレイアウトにもよるが、例えば、充電設備の数に対して、実際に運用されている搬送体の数が多すぎる場合等に、第2蓄電装置の充電量が不足したままの搬送体が生じ、その結果、無人搬送車に対する電力供給を十分に行うことができない事態が生じ得る。このような事態が生じると、無人搬送車の運用効率が低下する。そして、このような事態は、無人搬送車による搬送体の搬送量が多い繁忙期に生じやすい。一方、繁忙期に合わせて充電設備を数多く設置すると、閑散期には充電設備の余剰が生じる上に、物品搬送システムのコストが高くなると共に、充電設備の設置スペースによって、物品搬送システムが設置された施設のスペースが圧迫されることになる。
【0006】
そこで、充電設備の数を多くし過ぎることなく、繁忙期における無人搬送車の運用効率の低下も抑えることができる物品搬送システムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品搬送システムは、物品を載置又は収容する複数の搬送体と、前記搬送体を搬送する複数の無人搬送車と、前記搬送体及び前記無人搬送車を制御する制御部と、を備えた物品搬送システムであって、前記無人搬送車は、第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置から電力の供給を受けて走行する走行部と、前記搬送体を保持する保持部と、外部の電力源から電力の供給を受けて前記第1蓄電装置の充電及び前記走行部への電力供給の少なくとも一方を行う第1受電部と、前記第1蓄電装置の電力を外部に供給する第1送電部と、を備え、前記搬送体は、第2蓄電装置と、外部の電力源から電力の供給を受けて前記第2蓄電装置の充電を行う第2受電部と、前記第2蓄電装置の電力を外部に供給する第2送電部と、を備え、前記制御部は、前記無人搬送車が前記保持部に前記搬送体を保持している状態である保持状態で、前記第2送電部と前記第1受電部とを介して、前記第2蓄電装置からの電力の供給を受けて前記第1蓄電装置の充電及び前記走行部への電力供給の少なくとも一方を行う第1制御と、前記保持状態で、前記第1送電部と前記第2受電部とを介して、前記第1蓄電装置からの電力の供給を受けて前記第2蓄電装置の充電を行う第2制御と、を選択的に実行する。
【0008】
本構成によれば、搬送体の第2蓄電装置からの電力を無人搬送車の第1蓄電装置及び走行部の少なくとも一方に供給する第1制御と、無人搬送車の第1蓄電装置からの電力を搬送体の第2蓄電装置に供給する第2制御との双方を選択的に実行することができるため、物品搬送システムの全体における複数の無人搬送車の第1蓄電装置と複数の搬送体の第2蓄電装置とのそれぞれの充電量のバランスを、その時々で適切に調整することが可能である。そのため、例えば、閑散期に、搬送タスクが割り当てられていない無人搬送車の第1蓄電装置から搬送体の第2蓄電装置への電力供給を積極的に行うことで、搬送体を充電設備に搬送する回数を少なく抑えつつ、迅速に搬送体の第2蓄電装置の充電量を高めることができる。そして、繁忙期には、充電量が高められた搬送体の第2蓄電装置から無人搬送車の第1蓄電装置への電力供給を積極的に行うことで、無人搬送車を充電設備に移動させる回数を少なく抑えつつ、多くの物品及び搬送体を搬送することができる。これにより、充電設備の数を多くし過ぎることなく、繁忙期における無人搬送車の運用効率の低下も抑えることができる。
【0009】
物品搬送システムの更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品搬送システムが適用された物品搬送設備の概略平面図
図2】制御ブロック図
図3】無人搬送車による搬送体の搬送動作の説明図
図4】無人搬送車による搬送体の搬送動作を時系列的に示す説明図
図5】第1の実施形態に係る非保持状態での無人搬送車及び搬送体の側面図
図6】第1の実施形態に係る保持状態での無人搬送車及び搬送体の側面図
図7】第1の実施形態に係る無人搬送車及び搬送体の一部の斜視図
図8】第1の実施形態に係る無人搬送車、搬送体、及び充電設備の側面図
図9】第2の実施形態に係る非保持状態での無人搬送車及び搬送体の側面図
図10】第2の実施形態に係る保持状態での無人搬送車及び搬送体の側面図
図11】第2の実施形態に係る無人搬送車及び搬送体の斜視図
図12】第2の実施形態に係る無人搬送車、搬送体、及び充電設備の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
物品搬送システムの第1の実施形態について、図面(図1図8)を参照して説明する。
【0012】
物品搬送システム1は、物品2(図5参照)を搬送するシステムである。物品搬送システム1は、図1に例示するような物品搬送設備に適用される。図1に示すように、物品搬送システム1は、物品2(図5参照)を載置又は収容する複数の搬送体20と、搬送体20を搬送する複数の無人搬送車10と、を備えている。物品搬送システム1は、更に、無人搬送車10(具体的には、後述する第1蓄電装置11)及び搬送体20(具体的には、後述する第2蓄電装置21)を充電する充電設備60を備えている。本実施形態では、物品2は、商品等の荷(図示せず)を収容する容器である。物品2は、例えば、コンテナや段ボール箱等とされる。
【0013】
図5に示すように、無人搬送車10は、走行部14と、搬送体20を保持する保持部15と、を備えている。無人搬送車10は、自律走行する搬送車である。本実施形態では、走行部14は、床面4を転動する走行輪を備えており、無人搬送車10は、床面4を自律走行する。無人搬送車10は、電動モータ等の駆動力源の駆動力により走行輪を回転させることで、走行部14を走行させる。走行部14の走行動作によって無人搬送車10の移動動作が行われる。
【0014】
本実施形態では、保持部15は、搬送体20を下方から支持することで当該搬送体20を保持する。具体的には、無人搬送車10(具体的には、保持部15)は、搬送体20を載置する載置部16を備えている。載置部16には、搬送体20における後述する被載置部24が載置される。搬送体20は、載置部16に載置された状態で保持部15に保持される。本実施形態では、保持部15は、昇降可能に走行部14に支持されている。無人搬送車10は、電動モータ等の駆動力源の駆動力により保持部15を昇降させる。
【0015】
無人搬送車10は、保持部15を下降させた状態で搬送体20の下方に移動した後(図5参照)、保持部15を上昇させて搬送体20を床面4から持ち上げることで(図6参照)、当該搬送体20を保持部15によって保持する。無人搬送車10は、搬送体20を保持部15によって保持した状態で(言い換えれば、搬送体20を載置部16に載置した状態で)移動することで、搬送体20を搬送する。そして、無人搬送車10は、搬送先Dの位置まで移動した後、保持部15を下降させて搬送体20を床面4に降ろす(図5参照)。このように、本実施形態では、保持部15の上昇動作によって保持部15による搬送体20の保持動作が行われ、保持部15の下降動作によって保持部15による搬送体20の保持解除動作が行われる。
【0016】
図2及び図5に示すように、無人搬送車10は、第1蓄電装置11と、第1受電部12と、第1送電部13と、を備えている。本実施形態では、第1受電部12及び第1送電部13は、保持部15(具体的には、載置部16)に配置されている。第1蓄電装置11は、走行部14に電気的に接続されている。なお、「電気的に接続」とは、有線で接続される場合と無線で(言い換えれば、非接触で)接続される場合との双方を含む概念である。本実施形態では、第1蓄電装置11は、走行部14に配置されている。走行部14は、第1蓄電装置11から電力の供給を受けて走行する。走行部14の駆動力源(例えば、電動モータ)が、第1蓄電装置11から供給される電力により走行部14の走行駆動力を発生する。走行部14は、第1受電部12から電力の供給を受けて走行することもできる。第1蓄電装置11は、充放電が可能な蓄電装置であり、例えば、バッテリやキャパシタ等とされる。第1蓄電装置11には、充電量を検出するためのセンサが設けられている。
【0017】
第1受電部12は、外部(無人搬送車10の外部)の電力源から電力の供給を受けて第1蓄電装置11の充電及び走行部14への電力供給の少なくとも一方を行う。本実施形態では、第1受電部12が受けた電力を、第1蓄電装置11を介さずに走行部14へ直接供給することが可能に構成されている。第1受電部12(具体的には、第1受電部12が備える受電回路)は、第1蓄電装置11に電気的に接続されていると共に、走行部14に電気的に接続されている。第1受電部12は、外部の電力源から電力の供給を受けるための第1受電用接続部12a(図7参照)を備え、第1受電用接続部12aで受けた電力を供給先(第1蓄電装置11や走行部14)に供給する。本実施形態では、第1受電用接続部12aは、保持部15(具体的には、載置部16)に配置されている。第1受電部12による受電動作(具体的には、第1受電用接続部12aに電気的に接続された受電回路の動作)は、無人搬送車10に設けられたコントローラ(受電コントローラ)によって制御される。第1受電部12による受電動作には、第1受電部12が受けた電力による第1蓄電装置11の充電動作と、第1受電部12が受けた電力の走行部14への供給動作とが含まれ、これらの充電動作及び供給動作が並行して行われる場合もある。
【0018】
外部の電力源(例えば、搬送体20や充電設備60)から第1受電部12への給電は、例えば電磁誘導方式や磁界共鳴方式等の非接触方式(無線方式)と、接触方式(有線方式)との、いずれで行われてもよい。外部の電力源から第1受電部12への給電が非接触方式で行われる場合、第1受電用接続部12aは非接触接続部(例えば、受電コイル)を備え、当該非接触接続部と外部の電力源が備える非接触接続部(例えば、送電コイル)とが非接触で電気的に接続された状態で給電が行われる。外部の電力源から第1受電部12への給電が接触方式で行われる場合、第1受電用接続部12aは接触接続部(例えば、受電端子)を備え、当該接触接続部と外部の電力源が備える接触接続部(例えば、送電端子)とが接触により電気的に接続された状態で給電が行われる。第1受電用接続部12aが非接触接続部と接触接続部との双方を備え、外部の電力源から第1受電部12への給電を非接触方式及び接触方式のいずれでも行うことが可能な構成とすることもできる。例えば、搬送体20(具体的には、後述する第2蓄電装置21)から第1受電部12への給電が非接触方式で行われ、充電設備60から第1受電部12への給電が接触方式で行われる構成とすることができる。
【0019】
第1送電部13は、第1蓄電装置11の電力を外部に供給する。第1送電部13(具体的には、第1送電部13が備える送電回路)は、第1蓄電装置11に電気的に接続されている。第1送電部13は、外部に電力を供給するための第1送電用接続部13a(図7参照)を備え、第1蓄電装置11の電力を第1送電用接続部13aから外部に供給する。本実施形態では、第1送電用接続部13aは、保持部15(具体的には、載置部16)に配置されている。第1送電部13による送電動作(具体的には、第1送電用接続部13aに電気的に接続された送電回路の動作)は、無人搬送車10に設けられたコントローラ(送電コントローラ)によって制御される。
【0020】
第1送電部13から外部の給電対象(例えば、搬送体20)への給電は、非接触方式と接触方式とのいずれで行われてもよい。第1送電部13から外部の給電対象への給電が非接触方式で行われる場合、第1送電用接続部13aは非接触接続部(例えば、送電コイル)を備え、当該非接触接続部と外部の給電対象が備える非接触接続部(例えば、受電コイル)とが非接触で電気的に接続された状態で給電が行われる。第1送電部13から外部の給電対象への給電が接触方式で行われる場合、第1送電用接続部13aは接触接続部(例えば、送電端子)を備え、当該接触接続部と外部の給電対象が備える接触接続部(例えば、受電端子)とが接触により電気的に接続された状態で給電が行われる。第1送電用接続部13aが非接触接続部と接触接続部との双方を備え、第1送電部13から外部の給電対象への給電を非接触方式及び接触方式のいずれでも行うことが可能な構成とすることもできる。
【0021】
本実施形態では、図7に示すように、無人搬送車10は、第1受電部12と第1送電部13とを兼ねた第1送受電部19を備えており、第1送受電部19が、第1受電用接続部12aと第1送電用接続部13aとを兼ねた第1送受電用接続部19aを備えている。第1送受電用接続部19aは、非接触接続部(例えば、送受電コイル)と接触接続部(例えば、送受電端子)との少なくとも一方を備える。第1送受電部19は、受電回路及び送電回路のいずれとしても動作可能な送受電回路を備えており、当該送受電回路が受電回路として動作する状態で、第1送受電部19は第1受電部12として機能し、当該送受電回路が送電回路として動作する状態で、第1送受電部19は第1送電部13として機能する。第1送受電部19による送受電動作(具体的には、第1送受電用接続部19aに電気的に接続された送受電回路の動作)は、無人搬送車10に設けられたコントローラ(送受電コントローラ)によって制御される。第1送受電部19による送受電動作には、第1受電部12による受電動作と第1送電部13による送電動作とが含まれる。
【0022】
図6に示すように、本実施形態では、搬送体20は、無人搬送車10の載置部16に載置される被載置部24を備えている。本実施形態では、搬送体20は、物品2を収容する収容棚30である。収容棚30は、物品2を収容する収容部31を備えている。収容棚30は、物品2を載置する棚板32を備えており、棚板32によって収容部31が形成されている。ここでは、収容棚30は、上下方向V(鉛直方向)の複数の位置(具体的には、2つの位置)に棚板32を備えており、複数の収容部31(具体的には、2つの収容部31)が上下方向Vに並んで形成されている。このように、本実施形態では、搬送体20(収容棚30)は、上下方向Vに並ぶ複数段の収容部31を備えており、複数段の収容部31のそれぞれに物品2が収容可能となっている。
【0023】
図5に示すように、本実施形態では、収容棚30は、被載置部24から下方に延びる脚部33を備えており、収容棚30は、脚部33が床面4に接するように床面4に置かれる。収容棚30が床面4に置かれた状態で被載置部24と床面4との間に無人搬送車10が進入可能な空間が形成されるように、脚部33の上下方向Vの長さが設定されている。
【0024】
図2及び図5に示すように、搬送体20は、第2蓄電装置21と、第2受電部22と、第2送電部23と、を備えている。第2蓄電装置21は、充放電が可能な蓄電装置であり、例えば、バッテリやキャパシタ等とされる。第2蓄電装置21には、充電量を検出するためのセンサが設けられている。第2蓄電装置21は、例えば、第1蓄電装置11の容量に応じた蓄電装置とされる。
【0025】
図5に示すように、本実施形態では、第2受電部22及び第2送電部23は、搬送体20における最下段の収容部31の下方に配置されている。言い換えれば、第2受電部22及び第2送電部23は、搬送体20における最下段の収容部31よりも下方であって、平面視(上下方向Vに沿う方向視)で当該収容部31と重なる位置に配置されている。ここでは、搬送体20は、第2蓄電装置21、第2受電部22、及び第2送電部23がユニット化された蓄電ユニット25を備えている。そして、蓄電ユニット25が、搬送体20における最下段の収容部31の下方に配置されている。
【0026】
第2受電部22は、外部(搬送体20の外部)の電力源から電力の供給を受けて第2蓄電装置21の充電を行う。第2受電部22(具体的には、第2受電部22が備える受電回路)は、第2蓄電装置21に電気的に接続されている。第2受電部22は、外部の電力源から電力の供給を受けるための第2受電用接続部22a(図7参照)を備え、第2受電用接続部22aで受けた電力を第2蓄電装置21に供給する。本実施形態では、第2受電用接続部22aは、被載置部24に配置されている。図5に示す例では、被載置部24と蓄電ユニット25とを区別しているが、被載置部24は蓄電ユニット25の一部であってもよく、図7に示す例では、蓄電ユニット25の下部が被載置部24とされている。第2受電部22による受電動作(具体的には、第2受電用接続部22aに電気的に接続された受電回路の動作)は、搬送体20に設けられたコントローラ(受電コントローラ)によって制御される。
【0027】
外部の電力源(例えば、無人搬送車10や充電設備60)から第2受電部22への給電は、非接触方式と接触方式とのいずれで行われてもよい。外部の電力源から第2受電部22への給電が非接触方式で行われる場合、第2受電用接続部22aは非接触接続部(例えば、受電コイル)を備え、当該非接触接続部と外部の電力源が備える非接触接続部(例えば、送電コイル)とが非接触で電気的に接続された状態で給電が行われる。外部の電力源から第2受電部22への給電が接触方式で行われる場合、第2受電用接続部22aは接触接続部(例えば、受電端子)を備え、当該接触接続部と外部の電力源が備える接触接続部(例えば、送電端子)とが接触により電気的に接続された状態で給電が行われる。第2受電用接続部22aが非接触接続部と接触接続部との双方を備え、外部の電力源から第2受電部22への給電を非接触方式及び接触方式のいずれでも行うことが可能な構成とすることもできる。例えば、無人搬送車10(具体的には、第1蓄電装置11)から第2受電部22への給電が非接触方式で行われ、充電設備60から第2受電部22への給電が接触方式で行われる構成とすることができる。
【0028】
第2送電部23は、第2蓄電装置21の電力を外部に供給する。第2送電部23(具体的には、第2送電部23が備える送電回路)は、第2蓄電装置21に電気的に接続されている。第2送電部23は、外部に電力を供給するための第2送電用接続部23a(図7参照)を備え、第2蓄電装置21の電力を第2送電用接続部23aから外部に供給する。本実施形態では、第2送電用接続部23aは、被載置部24に配置されている。第2送電部23による送電動作(具体的には、第2送電用接続部23aに電気的に接続された送電回路の動作)は、搬送体20に設けられたコントローラ(送電コントローラ)によって制御される。
【0029】
第2送電部23から外部の給電対象(例えば、無人搬送車10)への給電は、非接触方式と接触方式とのいずれで行われてもよい。第2送電部23から外部の給電対象への給電が非接触方式で行われる場合、第2送電用接続部23aは非接触接続部(例えば、送電コイル)を備え、当該非接触接続部と外部の給電対象が備える非接触接続部(例えば、受電コイル)とが非接触で電気的に接続された状態で給電が行われる。第2送電部23から外部の給電対象への給電が接触方式で行われる場合、第2送電用接続部23aは接触接続部(例えば、送電端子)を備え、当該接触接続部と外部の給電対象が備える接触接続部(例えば、受電端子)とが接触により電気的に接続された状態で給電が行われる。第2送電用接続部23aが非接触接続部と接触接続部との双方を備え、第2送電部23から外部の給電対象への給電を非接触方式及び接触方式のいずれでも行うことが可能な構成とすることもできる。
【0030】
本実施形態では、図7に示すように、搬送体20は、第2受電部22と第2送電部23とを兼ねた第2送受電部29を備えており、第2送受電部29が、第2受電用接続部22aと第2送電用接続部23aとを兼ねた第2送受電用接続部29aを備えている。第2送受電用接続部29aは、非接触接続部(例えば、送受電コイル)と接触接続部(例えば、送受電端子)との少なくとも一方を備える。第2送受電部29は、受電回路及び送電回路のいずれとしても動作可能な送受電回路を備えており、当該送受電回路が受電回路として動作する状態で、第2送受電部29は第2受電部22として機能し、当該送受電回路が送電回路として動作する状態で、第2送受電部29は第2送電部23として機能する。第2送受電部29による送受電動作(具体的には、第2送受電用接続部29aに電気的に接続された送受電回路の動作)は、搬送体20に設けられたコントローラ(送受電コントローラ)によって制御される。第2送受電部29による送受電動作には、第2受電部22による受電動作と第2送電部23による送電動作とが含まれる。
【0031】
この物品搬送システム1では、無人搬送車10と搬送体20との間で、電力の供給を双方向に行うことが可能となっている。上述したように、第1受電部12は第1受電用接続部12aを備え、第1送電部13は第1送電用接続部13aを備え、第2受電部22は第2受電用接続部22aを備え、第2送電部23は第2送電用接続部23aを備えている。そして、搬送体20から無人搬送車10への電力の供給時には、第1受電用接続部12aと第2送電用接続部23aとが電気的に接続され、無人搬送車10から搬送体20への電力の供給時には、第1送電用接続部13aと第2受電用接続部22aとが電気的に接続される。このように、第1受電用接続部12aは第2送電部23に電気的に接続される接続部であり、第1送電用接続部13aは第2受電部22に電気的に接続される接続部であり、第2受電用接続部22aは第1送電部13に電気的に接続される接続部であり、第2送電用接続部23aは第1受電部12に電気的に接続される接続部である。ここで、「接続される」とは、無人搬送車10と搬送体20との間での電力の伝送時に接続されることを意味する。
【0032】
ここで、無人搬送車10が保持部15に搬送体20を保持している状態(図6参照)を、保持状態とする。保持状態には、無人搬送車10が走行中の状態と無人搬送車10が停止中の状態との双方が含まれる。保持状態では、第1受電用接続部12aと第2送電用接続部23aとが電気的に接続されると共に、第1送電用接続部13aと第2受電用接続部22aとが電気的に接続される。そのため、保持状態において、無人搬送車10と搬送体20との間で双方向に電力を伝送することができる。本実施形態では、無人搬送車10と搬送体20との間での電力の伝送は、非接触方式で行われる。そのため、無人搬送車10が保持部15に搬送体20を保持していない状態(図5参照)、具体的には、載置部16が隙間を空けて被載置部24と対向して配置された状態でも、第1受電用接続部12aと第2送電用接続部23aとを電気的に接続させると共に、第1送電用接続部13aと第2受電用接続部22aとを電気的に接続させて、無人搬送車10と搬送体20との間で双方向に電力を伝送することが可能となっている。
【0033】
本実施形態では、図7に模式的に示すように、第1送受電用接続部19a及び第2送受電用接続部29aのそれぞれは、非接触接続部としての送受電コイルを備えており、第1送受電用接続部19aが備える送受電コイルと第2送受電用接続部29aが備える送受電コイルとが対向した状態(具体的には、上下方向Vに対向した状態)で、無人搬送車10と搬送体20との間での電力の伝送が非接触方式で行われる。図7に示す例では、第1送受電用接続部19a及び第2送受電用接続部29aのそれぞれが、複数(具体的には、4つ)の送受電コイルを備えており、第1送受電用接続部19aが備える複数の送受電コイルのそれぞれが、第2送受電用接続部29aが備える複数の送受電コイルのうちの対応する送受電コイルと対向するように配置されている。
【0034】
図7に示す例では、被載置部24における平面視での中央部分に、搬送体20の識別情報を保持する識別情報保持体34が設けられており、載置部16における平面視での中央部分に、識別情報保持体34が保持する識別情報を読み取る読取装置17が設けられている。識別情報保持体34は、例えば、バーコード等の1次元コード、QRコード(登録商標)等の2次元コード、又は、RF(Radio Frequency)タグ等の記憶媒体とされる。そして、第1送受電用接続部19aが備える送受電コイルが、読取装置17が平面視で当該送受電コイルの内部に配置されないように、読取装置17の配置領域を避けて設けられ、第2送受電用接続部29aが備える送受電コイルが、識別情報保持体34が平面視で当該送受電コイルの内部に配置されないように、識別情報保持体34の配置領域を避けて設けられている。これにより、送受電コイルからの放射磁界が読取装置17に与える影響を小さく抑えている。
【0035】
なお、読取装置17が載置部16と共に昇降せず、載置部16が上昇した状態で読取装置17が第1送受電用接続部19aの送受電コイルよりも下方に配置される場合等、送受電コイルからの放射磁界が読取装置17に与える影響を抑制できる場合には、第1送受電用接続部19aが備える送受電コイルを、平面視で当該送受電コイルの内部に読取装置17が配置されるように配置し、第2送受電用接続部29aが備える送受電コイルを、平面視で当該送受電コイルの内部に識別情報保持体34が配置されるように配置してもよい。
【0036】
図8に示すように、充電設備60は、第1受電部12及び第2受電部22に電力を供給する給電部61を備えている。給電部61から第1受電部12及び第2受電部22への給電は、非接触方式と接触方式とのいずれで行われてもよい。給電部61から第1受電部12への給電が非接触方式で行われる場合、第1受電用接続部12aは非接触接続部(例えば、受電コイル)を備え、給電部61から第1受電部12への給電が接触方式で行われる場合、第1受電用接続部12aは接触接続部(例えば、受電端子)を備える。また、給電部61から第2受電部22への給電が非接触方式で行われる場合、第2受電用接続部22aは非接触接続部(例えば、受電コイル)を備え、給電部61から第2受電部22への給電が接触方式で行われる場合、第2受電用接続部22aは接触接続部(例えば、受電端子)を備える。
【0037】
本実施形態では、充電設備60は、無人搬送車10の第1蓄電装置11と搬送体20の第2蓄電装置21との双方の充電を同時に行うことが可能に構成されている。具体的には、図8に示すように、充電設備60において、給電部61は、載置部16と被載置部24との上下方向Vの間に配置可能に構成されている。給電部61は、充電設備60が備える支持部62に支持された状態で、載置部16と被載置部24との上下方向Vの間に配置される。そして、給電部61は、そのように配置された状態で第1受電用接続部12aと第2受電用接続部22aとの双方と電気的に接続し、第1受電部12と第2受電部22との双方に同時に電力を供給可能に構成されている。
【0038】
図8では、給電部61から第1受電部12及び第2受電部22のそれぞれへの給電が、非接触方式で行われる場合を想定している。そのため、詳細は省略するが、図8に示す例では、給電部61は、第1受電用接続部12a及び第2受電用接続部22aのそれぞれが備える受電コイル(本実施形態では、送受電コイル)と対向するように配置される送電コイルを備えている。給電部61が、第1受電用接続部12aが備える受電コイル(本実施形態では、送受電コイル)と対向するように配置される送電コイルと、第2受電用接続部22aが備える受電コイル(本実施形態では、送受電コイル)と対向するように配置される送電コイルとを、各別に備えていてもよい。
【0039】
図2に示すように、物品搬送システム1は、無人搬送車10及び搬送体20を制御する制御部50を備えている。制御部50は、無人搬送車10及び搬送体20のそれぞれと通信可能に接続されている。制御部50は、CPU等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、制御部50の各機能が実現される。図2では、制御部50が無人搬送車10及び搬送体20とは別に設けられる場合を例示しているが、制御部50の少なくとも一部(例えば、制御部50における少なくとも無人搬送車10を制御する機能を有する部分)を無人搬送車10に設けてもよく、また、制御部50の少なくとも一部(例えば、制御部50における少なくとも搬送体20を制御する機能を有する部分)を搬送体20に設けてもよい。なお、本明細書で開示する制御部50の技術的特徴は、物品搬送システム1における無人搬送車10及び搬送体20の制御方法にも適用可能であり、無人搬送車10及び搬送体20の制御方法も本明細書に開示されている。
【0040】
無人搬送車10は、制御部50による制御を受けて、走行部14の走行動作、保持部15による搬送体20の保持及び保持解除動作(本実施形態では、保持部15の昇降動作)、第1受電部12による受電動作、及び、第1送電部13による送電動作を行う。無人搬送車10に設けられたコントローラ(機器コントローラ)が、制御部50からの指令に応じて上記の各動作を制御する。また、搬送体20は、制御部50による制御を受けて、第2受電部22による受電動作、及び、第2送電部23による送電動作を行う。搬送体20に設けられたコントローラが、制御部50からの指令に応じて上記の各動作を制御する。
【0041】
制御部50は、複数の無人搬送車10のそれぞれについて、無人搬送車10の現在位置の情報と、第1蓄電装置11の充電量の情報と、を管理している。また、制御部50は、複数の搬送体20のそれぞれについて、搬送体20の現在位置の情報と、搬送体20に載置又は収容されている物品2の情報(例えば、物品2に収容されている荷の種類及び数量の情報)と、第2蓄電装置21の充電量の情報と、を管理している。第1蓄電装置11や第2蓄電装置21の充電量は、例えば、満充電状態での充電量に対する割合(例えば、百分率)で表される。そして、制御部50は、搬送タスクに応じて、搬送対象とされる搬送体20が搬送先Dに搬送されるように、無人搬送車10の動作(具体的には、走行部14の走行動作、及び、保持部15による搬送体20の保持及び保持解除動作)を制御する。ここで、搬送タスクは、複数の無人搬送車10のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる搬送体20と当該搬送体20の搬送先Dとが特定された指令である。搬送タスクは、制御部50によって生成され、或いは、制御部50と通信可能な他の制御部(例えば、制御部50の上位の制御部)によって生成される。
【0042】
本実施形態では、物品搬送システム1が適用される物品搬送設備では、ピッキング作業が行われる。そのため、搬送タスクでは、ピッキング作業の対象となる物品2が収容された搬送体20が、搬送対象の搬送体20として特定され、ピッキング作業が行われる作業エリアA2(図1参照)が、当該搬送体20の搬送先Dとして特定される。そのため、作業エリアA2には、ピッキング作業の対象となる物品2が収容された搬送体20が搬送され、作業エリアA2では、オーダで指定された種類及び数量の荷を物品2から取り出すピッキング作業が行われる。オーダは、例えば、出荷先からの注文に基づき制御部50又は他の制御部によって生成される。図1では、ピッキング作業が作業者Pにより行われる場合を例示しているが、ピッキング作業は、作業者Pではなくロボット等により行われてもよい。
【0043】
図1に示す例では、作業エリアA2に加えて、保管エリアA1と充電エリアA3とが設けられている。作業エリアA2に搬送する必要のない搬送体20は、基本的に、保管エリアA1に配置される。充電エリアA3には充電設備60が設けられている。搬送体20を充電エリアA3に搬送することで、当該搬送体20が備える第2蓄電装置21を充電設備60において充電することができ、無人搬送車10を充電エリアA3に移動させることで、当該無人搬送車10が備える第1蓄電装置11を充電設備60において充電することができる。図1に示す例では、作業エリアA2にも充電設備60が設けられており、ピッキング作業中に、ピッキング作業の対象となる物品2が収容された搬送体20の第2蓄電装置21を充電することが可能となっている。
【0044】
この物品搬送システム1では、少なくとも保持状態において、無人搬送車10と搬送体20との間で双方向に電力を伝送することができる。そして、制御部50は、第1制御と第2制御とを選択的に実行するように構成されている。ここで、第1制御は、保持状態で、第2送電部23と第1受電部12とを介して、第2蓄電装置21からの電力の供給を受けて第1蓄電装置11の充電及び走行部14への電力供給の少なくとも一方を行う制御である。第1制御では、制御部50は、第2蓄電装置21からの電力の供給を受けて第1蓄電装置11の充電及び走行部14への電力供給の少なくとも一方が行われるように、第2送電部23による送電動作と第1受電部12による受電動作とを制御する。第1制御において、第2蓄電装置21から受けた電力による第1蓄電装置11の充電と、第2蓄電装置21から受けた電力の走行部14への供給との双方を行う場合、第1蓄電装置11を充電しつつ走行部14を走行させることができる。
【0045】
第2制御は、保持状態で、第1送電部13と第2受電部22とを介して、第1蓄電装置11からの電力の供給を受けて第2蓄電装置21の充電を行う制御である。第2制御では、制御部50は、第1蓄電装置11からの電力の供給を受けて第2蓄電装置21の充電が行われるように、第1送電部13による送電動作と第2受電部22による受電動作とを制御する。例えば、制御部50が、第2制御を行う場合、無人搬送車10に既に割り当てられた搬送タスクに応じて、当該搬送タスクの実行に必要な電力が第1蓄電装置11に残る範囲で、第1蓄電装置11の電力を第1送電部13から第2受電部22に供給する構成とすることができる。
【0046】
以下では、本実施形態の制御部50による具体的な制御内容について説明するが、制御部50が以下に述べる制御の少なくともいずれかを行わない構成とすることもできる。
【0047】
本実施形態では、制御部50は、少なくとも搬送タスクの数に基づいて繁忙期か閑散期かを判定する繁閑判定処理を行う。ここで、「搬送タスク」は、既にいずれかの無人搬送車10に割り当てられた搬送タスクでもよいし、これに加えて、これからいずれかの無人搬送車10に割り当てられることが判明している搬送タスクを考慮してもよい。例えば、全ての無人搬送車10の中における搬送タスクが割り当てられた無人搬送車10の割合をタスク割当率として、制御部50が、タスク割当率が規定の繁閑判定閾値よりも小さい場合に閑散期と判定し、タスク割当率が当該繁閑判定閾値以上である場合に繁忙期と判定する構成とすることができる。
【0048】
そして、制御部50は、繁閑判定処理により閑散期と判定した場合には、第2制御を実行する割合を第1制御を実行する割合よりも高くする。これにより、閑散期には、搬送タスクが割り当てられていない無人搬送車10を用いて、当該無人搬送車10の第1蓄電装置11から搬送体20の第2蓄電装置21への電力供給を積極的に行うことができ、この結果、搬送体20を充電設備60に搬送する回数を少なく抑えつつ、迅速に搬送体20の第2蓄電装置21の充電量を高めることができる。また、制御部50は、繁閑判定処理により繁忙期と判定した場合には、第1制御を実行する割合を第2制御を実行する割合よりも高くする。これにより、繁忙期には、充電量が高められた搬送体20を用いて、当該搬送体20の第2蓄電装置21から無人搬送車10の第1蓄電装置11への電力供給を積極的に行うことができ、この結果、無人搬送車10を充電設備60に移動させる回数を少なく抑えつつ、多くの物品2及び搬送体20を搬送することができる。そのため、本実施形態の物品搬送システム1は、搬送体20の数が無人搬送車10の数よりも多い場合に特に適している。
【0049】
ここで、搬送タスクによる搬送対象とされた搬送体20を対象搬送体とし、対象搬送体を搬送する無人搬送車10を対象搬送車とする。本実施形態では、制御部50は、対象搬送体が備える第2蓄電装置21の充電量が規定の第1充電閾値以下であって(ここでは、当該充電量が第1充電閾値以下であり且つ下記の第2充電閾値よりも大きく)、対象搬送車による対象搬送体の搬送先Dが充電設備60ではない場合、対象搬送車の第1蓄電装置11の電力により対象搬送体の第2蓄電装置21を充電する第2制御を実行する。また、本実施形態では、制御部50は、第2蓄電装置21の充電量が第1充電閾値より小さい値に設定された第2充電閾値以下となった搬送体20である要充電搬送体が存在する場合には、要充電搬送体を搬送対象とし充電設備60を搬送先Dとする搬送タスクを複数の無人搬送車10のいずれかに割り当て、充電設備60により要充電搬送体の第2蓄電装置21を充電させる制御を実行する。
【0050】
図3は、第2蓄電装置21の充電量が第1充電閾値以下である第1搬送体20Aを対象搬送体とし保管エリアA1を搬送先Dとする搬送タスクが、第1無人搬送車10Aに割り当てられていると共に、要充電搬送体である第2搬送体20Bが存在している状況を示している。図3では、搬送体20を示す枠内に、当該搬送体20が備える第2蓄電装置21の蓄電量を模式的に示している。図3に示す状況では、第1搬送体20Aを保管エリアA1に搬送するように第1無人搬送車10Aが制御されると共に、第2制御を実行するように第1無人搬送車10A及び第1搬送体20Aが制御される。また、第2搬送体20Bを搬送対象とし充電設備60を搬送先Dとする搬送タスクが第2無人搬送車10Bに割り当てられ、第2搬送体20Bを充電設備60に搬送するように第2無人搬送車10Bが制御される。
【0051】
また、本実施形態では、制御部50は、対象搬送体の第2蓄電装置21の充電量が規定の第3充電閾値以下であって(ここでは、当該充電量が第3充電閾値以下であり且つ第2充電閾値よりも大きく)、且つ、対象搬送車の第1蓄電装置11の充電量が規定の第4充電閾値以下である場合、対象搬送車による対象搬送体の搬送開始前に、対象搬送車以外の無人搬送車10(以下、「特定搬送車」という)の第1蓄電装置11の電力により対象搬送体の第2蓄電装置21を充電する第2制御を実行する。例えば、第1蓄電装置11の充電量が第4充電閾値より大きい値に設定された第5充電閾以上である無人搬送車10を、特定搬送車として選択する構成とすることができる。なお、特定搬送車は、対象搬送車よりも対象搬送体に近い位置にある無人搬送車10(言い換えれば、対象搬送車から対象搬送体までの距離よりも、対象搬送体までの距離が短い無人搬送車10)を選択すると好適である。また、特定搬送車の第1蓄電装置11の電力により対象搬送体の第2蓄電装置21を充電する第2制御は、対象搬送車が対象搬送体のある場所に到着する前に開始されると好適である。また、本実施形態では、無人搬送車10が保持部15に搬送体20を保持していない状態においても、無人搬送車10と搬送体20との間で電力を伝送することができる。そのため、特定搬送車の第1蓄電装置11の電力による対象搬送体の第2蓄電装置21の充電は、特定搬送車が保持部15に対象搬送体を保持していない状態で行われてもよい。
【0052】
制御部50は、例えば、対象搬送体の第2蓄電装置21の充電量が、第3充電閾値よりも大きい値に設定された第6充電閾値に到達したことを条件に、第2制御を終了する。或いは、制御部50は、例えば、対象搬送体の第2蓄電装置21の充電量が、第3充電閾値よりも大きく、且つ、対象搬送車が対象搬送体のある場所に到着していることを条件に、第2制御を終了する。第2制御を終了した後、制御部50は、対象搬送体の搬送先Dへの搬送を開始すると共に、対象搬送体の第2蓄電装置21の電力による対象搬送車の第1蓄電装置11の充電と当該電力の走行部14への供給との少なくとも一方を行う第1制御を実行する。第3充電閾値は、第1充電閾値と同じ値であっても異なる値であってもよい。
【0053】
一方、対象搬送体の第2蓄電装置21の充電量が第3充電閾値以下であって、且つ、対象搬送車の第1蓄電装置11の充電量が第4充電閾値よりも大きい場合、制御部50は、対象搬送車以外の無人搬送車10の第1蓄電装置11の電力により対象搬送体の第2蓄電装置21を充電する第2制御は実行せずに、対象搬送体の搬送先Dへの搬送を開始すると共に、対象搬送車の第1蓄電装置11の電力により対象搬送体の第2蓄電装置21を充電する第2制御を実行する。
【0054】
図4(a)は、対象搬送体である搬送体20の第2蓄電装置21の充電量が第3充電閾値以下であって、且つ、対象搬送車である第1無人搬送車10Aの第1蓄電装置11の充電量が第4充電閾値以下である状況を示している。図4では、無人搬送車10を示す枠内に、当該無人搬送車10が備える第1蓄電装置11の蓄電量を模式的に示すと共に、搬送体20を示す枠内に、当該搬送体20が備える第2蓄電装置21の蓄電量を模式的に示している。図4に示す状況では、第1無人搬送車10A以外の無人搬送車10である第2無人搬送車10Bが、搬送体20のある場所に移動するように制御された後、第2制御を実行するように第2無人搬送車10B及び搬送体20が制御される(図4(a)参照)。第2制御が終了すると、搬送体20のある場所から離れるように第2無人搬送車10Bが制御される(図4(b)参照)。その後、搬送体20を搬送先Dに搬送するように第1無人搬送車10Aが制御されると共に、第1制御を実行するように第1無人搬送車10A及び搬送体20が制御される(図4(c)参照)。
【0055】
〔第2の実施形態〕
物品搬送システムの第2の実施形態について、図面(図9図12)を参照して説明する。以下では、本実施形態の物品搬送システムについて、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
図9及び図11に示すように、本実施形態では、搬送体20は、規定の厚さを有する矩形板状に形成されたパレット40である。なお、矩形は、長方形及び正方形の双方を含む。パレット40は、物品2を載置する搬送体20であり、物品2が載置される載置面41を備えている。載置面41は、パレット40の上面に形成されている。図11に示すように、載置面41に直交する方向を板厚方向Tとして、搬送体20(パレット40)は、板厚方向Tに沿う板厚方向視で外縁となる4つの側面42のうちの少なくとも1つに形成されたフォーク挿入用の一対の挿入孔43を備えている。フォークリフトがパレット40を支持する際には、フォークリフトのフォークが挿入孔43からパレット40の内部に差し込まれる。一対の挿入孔43は、側面42における中央部(板厚方向Tに直交する方向であって側面42に沿う方向における中央部)を挟んで互いに反対側に形成されている。パレット40は、板厚方向Tが上下方向Vに沿う向きで保持部15に保持される。よって、パレット40が保持部15に保持された状態では、板厚方向視は平面視と同義である。
【0057】
図11に示すように、一対の挿入孔43が形成されている側面42を対象側面として、パレット40の内部には、対象側面に直交する方向に延びる一対の孔部が形成されており、一対の孔部のそれぞれにおける側面42に開口する部分が挿入孔43を形成している。この一対の孔部はパレット40を貫通するように形成されているため、一対の挿入孔43は、互いに反対側を向く一対の側面42のそれぞれに形成されている。そして、本実施形態では、パレット40の内部には、2組の一対の孔部が、延在方向が互いに直交するように形成されている。よって、本実施形態では、一対の挿入孔43は、4つの側面42の全てに形成されている。
【0058】
図11に示すように、搬送体20における板厚方向視での中央部には、挿入孔43を形成する上述した孔部が形成されていない。そして、本実施形態では、第2受電部22及び第2送電部23が、板厚方向視で搬送体20の中央部に配置されている。これに合わせて、本実施形態では、第1受電部12及び第1送電部13が、平面視で保持部15(載置部16)の中央部に配置されている。また、第2蓄電装置21は、板厚方向視で第2受電部22及び第2送電部23よりも外側であって、一対の挿入孔43(更には、一対の挿入孔43を形成する一対の孔部)と干渉しない位置に配置されている。なお、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、搬送体20(パレット40)は、第2受電部22と第2送電部23とを兼ねた第2送受電部29を備えており、第2送受電部29が、第2受電用接続部22aと第2送電用接続部23aとを兼ねた第2送受電用接続部29aを備えている。
【0059】
図9に示すように、本実施形態では、搬送体20は、床面4から上方に延びるように設けられた支持体3に載せられる。そして、無人搬送車10は、保持部15を下降させた状態で搬送体20の下方に移動した後(図9参照)、保持部15を上昇させて搬送体20を支持体3から持ち上げることで(図10参照)、当該搬送体20を保持部15によって保持する。また、無人搬送車10は、搬送先Dの位置まで移動した後、保持部15を下降させて搬送体20を支持体3(搬送先Dに設けられた支持体3)に載せることで、搬送体20を当該位置に降ろす(図9参照)。なお、支持体3における搬送体20の支持面が昇降可能な構成とし、当該支持面の昇降動作によって保持部15による搬送体20の保持及び保持解除動作が行われるようにしてもよい。この場合、保持部15が昇降可能に走行部14に支持されず、保持部15の高さが固定される構成としてもよい。
【0060】
本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、充電設備60は、無人搬送車10の第1蓄電装置11と搬送体20の第2蓄電装置21との双方の充電を同時に行うことが可能に構成されている。そして、本実施形態では、図12に示すように、充電設備60において、複数の搬送体20を重ねて配置した状態で、各搬送体20の第2蓄電装置21を充電することが可能に構成されている。最下段の搬送体20と最上段の搬送体20との間に配置された搬送体20のそれぞれが、下段の搬送体20から供給された電力の少なくとも一部を上段の搬送体20に供給するようにすることで、充電設備60の給電部61から供給される電力を、重ねて配置された複数の搬送体20のそれぞれに供給することができる。なお、重ねて配置された搬送体20同士の間での電力の伝送は、非接触方式と接触方式とのいずれで行われてもよい。
【0061】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送システムのその他の実施形態について説明する。
【0062】
(1)上記の各実施形態では、無人搬送車10と搬送体20との間での電力の伝送が、非接触方式で行われる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、無人搬送車10と搬送体20との間での電力の伝送が、接触方式で行われる構成とすることもできる。
【0063】
(2)上記の各実施形態では、給電部61から第1受電部12及び第2受電部22のそれぞれへの給電が、非接触方式で行われる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、給電部61から第1受電部12への給電と給電部61から第2受電部22への給電との一方又は双方が、接触方式で行われる構成とすることもできる。
【0064】
(3)上記の各実施形態では、充電設備60が、無人搬送車10の第1蓄電装置11と搬送体20の第2蓄電装置21との双方の充電を同時に行うことが可能な構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、第1蓄電装置11を充電するための充電設備60と第2蓄電装置21を充電するための充電設備60とが、各別に設けられる構成とすることもできる。
【0065】
(4)上記の各実施形態では、無人搬送車10が、第1受電部12と第1送電部13とを兼ねた第1送受電部19を備え、搬送体20が、第2受電部22と第2送電部23とを兼ねた第2送受電部29を備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、無人搬送車10が、第1受電部12と第1送電部13とを各別に備え、搬送体20が、第2受電部22と第2送電部23とを各別に備える構成とすることもできる。この場合、第1受電用接続部12aと第1送電用接続部13aとが各別に設けられると共に、第2受電用接続部22aと第2送電用接続部23aとが各別に設けられる。
【0066】
(5)上記第1の実施形態では、収容棚30が上下方向Vに並ぶ複数段の収容部31を備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、収容棚30が収容部31を1段のみ備える構成とすることもできる。また、上記第1の実施形態では、収容棚30が床面4に直接置かれる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、収容棚30が、床面4から上方に延びるように設けられた支持体(例えば、図9に示す支持体3と同様のもの)に載せられる構成とすることもできる。
【0067】
(6)上記第2の実施形態では、一対の挿入孔43が、パレット40の4つの側面42の全てに形成される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、一対の挿入孔43が、パレット40の4つの側面42のうちの互いに反対側を向く2つの側面42のみに形成される構成とすることもできる。
【0068】
(7)上記第1の実施形態では、搬送体20が収容棚30である構成を例として説明し、上記第2の実施形態では、搬送体20がパレット40である構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、搬送体20を、収容棚30及びパレット40以外のもの(例えば、容器)とすることもできる。なお、第2蓄電装置21、第2受電部22(具体的には、第2受電用接続部22a)、及び第2送電部23(具体的には、第2送電用接続部23a)の搬送体20における配置位置は、上記の各実施形態で説明した位置に限定されず、搬送体20の構成に合わせて変更する等、適宜変更することができる。
【0069】
(8)上記の各実施形態では、保持部15が搬送体20を下方から支持することで当該搬送体20を保持する構成(具体的には、保持部15が搬送体20を載置する載置部16を備え、搬送体20が載置部16に載置される被載置部24を備える構成)を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、保持部15による搬送体20の保持構成は適宜変更することができる。また、上記の各実施形態では、無人搬送車10が床面4を自律走行する構成を例として説明したが、無人搬送車10の構成も適宜変更することができる。なお、第1蓄電装置11、第1受電部12(具体的には、第1受電用接続部12a)、及び第1送電部13(具体的には、第1送電用接続部13a)の無人搬送車10における配置位置は、上記の各実施形態で説明した位置に限定されず、無人搬送車10の構成に合わせて変更する等、適宜変更することができる。
【0070】
(9)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0071】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送システムの概要について説明する。
【0072】
物品を載置又は収容する複数の搬送体と、前記搬送体を搬送する複数の無人搬送車と、前記搬送体及び前記無人搬送車を制御する制御部と、を備えた物品搬送システムであって、前記無人搬送車は、第1蓄電装置と、前記第1蓄電装置から電力の供給を受けて走行する走行部と、前記搬送体を保持する保持部と、外部の電力源から電力の供給を受けて前記第1蓄電装置の充電及び前記走行部への電力供給の少なくとも一方を行う第1受電部と、前記第1蓄電装置の電力を外部に供給する第1送電部と、を備え、前記搬送体は、第2蓄電装置と、外部の電力源から電力の供給を受けて前記第2蓄電装置の充電を行う第2受電部と、前記第2蓄電装置の電力を外部に供給する第2送電部と、を備え、前記制御部は、前記無人搬送車が前記保持部に前記搬送体を保持している状態である保持状態で、前記第2送電部と前記第1受電部とを介して、前記第2蓄電装置からの電力の供給を受けて前記第1蓄電装置の充電及び前記走行部への電力供給の少なくとも一方を行う第1制御と、前記保持状態で、前記第1送電部と前記第2受電部とを介して、前記第1蓄電装置からの電力の供給を受けて前記第2蓄電装置の充電を行う第2制御と、を選択的に実行する。
【0073】
本構成によれば、搬送体の第2蓄電装置からの電力を無人搬送車の第1蓄電装置及び走行部の少なくとも一方に供給する第1制御と、無人搬送車の第1蓄電装置からの電力を搬送体の第2蓄電装置に供給する第2制御との双方を選択的に実行することができるため、物品搬送システムの全体における複数の無人搬送車の第1蓄電装置と複数の搬送体の第2蓄電装置とのそれぞれの充電量のバランスを、その時々で適切に調整することが可能である。そのため、例えば、閑散期に、搬送タスクが割り当てられていない無人搬送車の第1蓄電装置から搬送体の第2蓄電装置への電力供給を積極的に行うことで、搬送体を充電設備に搬送する回数を少なく抑えつつ、迅速に搬送体の第2蓄電装置の充電量を高めることができる。そして、繁忙期には、充電量が高められた搬送体の第2蓄電装置から無人搬送車の第1蓄電装置への電力供給を積極的に行うことで、無人搬送車を充電設備に移動させる回数を少なく抑えつつ、多くの物品及び搬送体を搬送することができる。これにより、充電設備の数を多くし過ぎることなく、繁忙期における無人搬送車の運用効率の低下も抑えることができる。
【0074】
ここで、複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとして、前記制御部は、前記第2制御を行う場合、前記無人搬送車に既に割り当てられた前記搬送タスクに応じて、当該搬送タスクの実行に必要な電力が前記第1蓄電装置に残る範囲で、前記第1蓄電装置の電力を前記第1送電部から前記第2受電部に供給すると好適である。
【0075】
本構成によれば、無人搬送車の第1蓄電装置から搬送体の第2蓄電装置への電力供給を行った場合であっても、当該無人搬送車が既に割り当てられた搬送タスクを完了できなくなる事態が生じることを回避できる。
【0076】
また、複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとして、前記制御部は、少なくとも前記搬送タスクの数に基づいて繁忙期か閑散期かを判定する繁閑判定処理を行い、前記繁閑判定処理により前記閑散期と判定した場合には、前記第2制御を実行する割合を前記第1制御を実行する割合よりも高くし、前記繁閑判定処理により前記繁忙期と判定した場合には、前記第1制御を実行する割合を前記第2制御を実行する割合よりも高くすると好適である。
【0077】
本構成によれば、閑散期に、搬送タスクが割り当てられていない無人搬送車を用いて、当該無人搬送車の第1蓄電装置から搬送体の第2蓄電装置への電力供給を積極的に行うことができる。これにより、搬送体を充電設備に搬送する回数を少なく抑えつつ、迅速に搬送体の第2蓄電装置の充電量を高めることができる。そして、繁忙期には、充電量が高められた搬送体を用いて、当該搬送体の第2蓄電装置から無人搬送車の第1蓄電装置への電力供給を積極的に行うことができる。これにより、無人搬送車を充電設備に移動させる回数を少なく抑えつつ、多くの物品及び搬送体を搬送することができる。従って、充電設備の数を多くし過ぎることなく、繁忙期における無人搬送車の運用効率の低下も抑えることができる。
【0078】
また、前記無人搬送車の前記第1蓄電装置及び前記搬送体の前記第2蓄電装置を充電する充電設備を更に備え、複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとし、前記搬送タスクによる搬送対象とされた前記搬送体を対象搬送体とし、前記対象搬送体を搬送する前記無人搬送車を対象搬送車として、前記制御部は、前記対象搬送体が備える前記第2蓄電装置の充電量が規定の第1充電閾値以下であって、前記対象搬送車による前記対象搬送体の搬送先が前記充電設備ではない場合、前記対象搬送車の前記第1蓄電装置の電力により前記対象搬送体の前記第2蓄電装置を充電する前記第2制御を実行し、前記第2蓄電装置の充電量が前記第1充電閾値より小さい値に設定された第2充電閾値以下となった前記搬送体である要充電搬送体が存在する場合には、前記要充電搬送体を搬送対象とし前記充電設備を搬送先とする前記搬送タスクを複数の前記無人搬送車のいずれかに割り当て、前記充電設備により前記要充電搬送体の前記第2蓄電装置を充電させる制御を実行すると好適である。
【0079】
本構成によれば、対象搬送体の第2蓄電装置の充電量が比較的低い場合であって、当該対象搬送体の搬送先が充電設備ではない場合には、対象搬送車による対象搬送体の搬送中に、対象搬送車の第1蓄電装置の電力により対象搬送体の第2蓄電装置を充電する第2制御を実行することで、第2蓄電装置の充電量を高めることができる。そして、第2蓄電装置の充電量が更に低くなった要充電搬送体が存在する場合には、当該要充電搬送体をいずれかの無人搬送車により充電設備まで搬送し、当該要充電搬送体の第2蓄電装置を充電させる。これにより、搬送体を充電設備に搬送する回数を少なく抑えつつ、必要に応じて搬送体の第2蓄電装置の充電を適切に行うことができる。
【0080】
また、複数の前記無人搬送車のそれぞれに割り当てられる、搬送対象とされる前記搬送体と当該搬送体の搬送先とが特定された指令を搬送タスクとし、前記搬送タスクによる搬送対象とされた前記搬送体を対象搬送体とし、前記対象搬送体を搬送する前記無人搬送車を対象搬送車として、前記制御部は、前記対象搬送体の前記第2蓄電装置の充電量が規定の第3充電閾値以下であって、且つ、前記対象搬送車の前記第1蓄電装置の充電量が規定の第4充電閾値以下である場合、前記対象搬送車による前記対象搬送体の搬送開始前に、前記対象搬送車以外の前記無人搬送車の前記第1蓄電装置の電力により前記対象搬送体の前記第2蓄電装置を充電する前記第2制御を実行すると好適である。
【0081】
本構成によれば、搬送タスクに係る対象搬送体の第2蓄電装置の充電量が低い場合であって、当該搬送タスクに係る対象搬送車の第1蓄電装置の充電量も低い場合に、当該搬送タスクによる搬送開始前に、別の無人搬送車の第1蓄電装置の電力により対象搬送体の第2蓄電装置を充電しておくことができる。これにより、対象搬送車の第1蓄電装置の充電量が低い場合であっても、当該対象搬送車を充電設備に向かわせることなく、迅速に搬送タスクによる搬送を開始させることができ、当該搬送中に、対象搬送体の第2蓄電装置の電力により対象搬送車の第1蓄電装置の充電を行うことができる。従って、搬送タスクを迅速に完了させることが可能となる。
【0082】
また、前記搬送体は、上下方向に並ぶ複数段の収容部を備え、複数段の前記収容部のそれぞれに前記物品が収容可能であり、前記第2受電部及び前記第2送電部は、前記搬送体における最下段の前記収容部の下方に配置されていると好適である。
【0083】
本構成によれば、搬送体が上下方向に並ぶ複数段の収容部を備えた棚状に形成されており、当該搬送体を、無人搬送車により下方から支持して搬送する構成である場合に、無人搬送車の第1受電部及び第1送電部と、搬送体の第2受電部及び前記第2送電部との間の電力受給を適切に行い易い構成とすることができる。
【0084】
また、前記搬送体は、規定の厚さを有する矩形板状に形成されたパレットであり、前記物品が載置される載置面に直交する方向を板厚方向として、前記板厚方向に沿う板厚方向視で外縁となる4つの側面のうちの少なくとも1つに形成されたフォーク挿入用の一対の挿入孔を備え、前記第2受電部及び前記第2送電部が、前記板厚方向視で前記搬送体の中央部に配置され、前記第2蓄電装置は、前記板厚方向視で前記第2受電部及び前記第2送電部よりも外側であって、一対の前記挿入孔と干渉しない位置に配置されていると好適である。
【0085】
本構成によれば、搬送体がパレットであり、当該搬送体を、無人搬送車により下方から支持して搬送する構成である場合に、無人搬送車の第1受電部及び第1送電部と、搬送体の第2受電部及び前記第2送電部との間の電力受給を適切に行い易い構成とすることができる。また、このような構成において、第2蓄電装置が搬送体の機能を損なわない適切な位置に配置されているため好適である。
【0086】
また、前記無人搬送車の前記第1蓄電装置及び前記搬送体の前記第2蓄電装置を充電する充電設備を更に備え、前記無人搬送車は、前記搬送体を載置する載置部を備え、前記第1受電部は、前記第2送電部に電気的に接続される第1受電用接続部を備え、前記第1送電部は、前記第2受電部に電気的に接続される第1送電用接続部を備え、前記第2受電部は、前記第1送電部に電気的に接続される第2受電用接続部を備え、前記第2送電部は、前記第1受電部に電気的に接続される第2送電用接続部を備え、前記第1受電用接続部及び前記第1送電用接続部は、前記載置部に配置され、前記第2受電用接続部及び前記第2送電用接続部は、前記搬送体における前記載置部に載置される被載置部に配置され、前記充電設備は、前記第1受電部及び前記第2受電部に電力を供給する給電部を備え、前記給電部は、前記載置部と前記被載置部との上下方向の間に配置可能に構成されていると共に、そのように配置された状態で前記第1受電用接続部と前記第2受電用接続部との双方と電気的に接続し、前記第1受電部と前記第2受電部との双方に同時に電力を供給可能に構成されていると好適である。
【0087】
本構成によれば、充電設備において、第1受電部と第2受電部との双方に同時に電力を供給し、無人搬送車の第1蓄電装置と搬送体の第2蓄電装置との双方の充電を同時に行うことができる。従って、充電設備の数を少なく抑えつつ、必要な充電を効率的に行うことが可能となる。
【0088】
本開示に係る物品搬送システムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0089】
1:物品搬送システム
2:物品
10:無人搬送車
11:第1蓄電装置
12:第1受電部
12a:第1受電用接続部
13:第1送電部
13a:第1送電用接続部
14:走行部
15:保持部
16:載置部
20:搬送体
21:第2蓄電装置
22:第2受電部
22a:第2受電用接続部
23:第2送電部
23a:第2送電用接続部
24:被載置部
31:収容部
40:パレット
41:載置面
42:側面
43:挿入孔
50:制御部
60:充電設備
61:給電部
D:搬送先
T:板厚方向
V:上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12