IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フジテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-乗客コンベア 図1
  • 特許-乗客コンベア 図2
  • 特許-乗客コンベア 図3
  • 特許-乗客コンベア 図4
  • 特許-乗客コンベア 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
B66B31/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021033610
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134473
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2021-03-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 悠児
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐紀
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-164295(JP,A)
【文献】特開2003-212470(JP,A)
【文献】特開2002-128450(JP,A)
【文献】特開2005-212920(JP,A)
【文献】特開2007-145522(JP,A)
【文献】特開2010-208832(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112209209(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口の内デッキボードの下面に露出して乗客検知センサーを設置してなる乗客コンベアであって、
前記内デッキボードの下方にインレットカバーが配置されており、
前記インレットカバーには、前記乗客検知センサーを保護するガード部材が前方向に向けて突設されており、
前記ガード部材は、前記乗客検知センサーから下方に離れた位置であって、ハンドレールが引き込まれるインレットガードの下方且つ前記乗客検知センサーの鉛直下を含む領域を通って延び、前記乗客検知センサーよりも前方向に飛び出ている、
乗客コンベア。
【請求項2】
前記乗客検知センサーは、レーザースキャンセンサーである、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗降口に乗客検知センサーを設置したエスカレーター等の乗客コンベアに関するものであり、乗客検知センサーの破損防止構造を有する乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレーターや動く歩道のような乗客コンベアでは、乗降口に乗客を検知する乗客検知センサーを具えたものがある(たとえば、特許文献1参照)。降り口に乗客検知センサーを設置した乗客コンベアでは、降り口における乗客の滞留を検知して踏み段の速度を減じる制御等を行なうことができる。また、自動発停機能を有する乗客コンベアでは、乗り口に乗客検知センサーを設置して、乗り口に乗客が到着すると乗客コンベアを作動させる制御等を行なうことができる。
【0003】
特許文献1のエスカレーターでは、乗客検知センサーとしてレーザースキャンセンサーを使用し、当該乗客検知センサーを内デッキボードの下側に露出して取り付け、乗降口を通過する乗客の検知を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6610820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乗降の際、乗客検知センサーが足で蹴られたり、傘先と当たったり、台車等と衝突してしまうことがあり、乗客検知センサーが破損や汚損し、検知不能又は検知精度が低下することがある。そこで、乗客検知センサーの破損等を防ぐために乗客検知センサーを欄干外側に配置し、ガラスパネルを投下させてスキャンすることも考えられる。しかしながら、この場合、レーザー光の乱反射等により検知精度が低下してしまうため、乗客検知センサーは、乗降口側に露出して配置することが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、乗客コンベアの乗降口に露出して配置される乗客検知センサーの破損を防止できる構造を具えた乗客コンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の乗客コンベアは、
乗降口の内デッキボードの下面に露出して乗客検知センサーを設置してなる乗客コンベアであって、
前記乗客検知センサーの下方には、前記乗客検知センサーを保護するガード部材が突設される。
【0008】
前記乗客検知センサーは、レーザースキャンセンサーとすることができる。
【0009】
前記ガード部材は、インレットカバーから突設する構成とすることができる。
【0010】
前記ガード部材は、前記乗降口のフロアプレートから上向きに突設することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乗客コンベアによれば、乗降口に設置される乗客検知センサーは、ガード部材により乗客検知センサーの下方を保護している。従って、乗客が降車の際に、乗客検知センサーが足で蹴られたり、傘先と当たったり、台車等と衝突してしまうことを防止できる。乗客検知センサーとして、レーザースキャンセンサーを採用した場合であっても、乗客検知センサーは、乗降口側にレーザー光を乱反射等するガラスパネル等を介することなく露出して配置できるから、検知精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る乗客コンベア(下りエスカレーター)の乗客検知センサーを含む降り口側の斜視図である。
図2図2は、図1の丸囲み部Bの拡大斜視図である。
図3図3は、図1の丸囲み部Bを含むエスカレーターの一部を降り口側から見た説明図である。
図4図4は、図3を矢印C方向から見た説明図である。
図5図5は、本発明の他の実施形態に係る乗客コンベアの乗客検知センサーを含む降り口側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、乗客コンベアとしてエスカレーター10に本発明を適用した実施例について、図面を参照しながら説明を行なう。なお、乗客コンベアは、動く歩道等であっても構わない。
【0014】
図1乃至図4は、本発明の一実施形態に係るエスカレーター10の降り口11の近傍の斜視図である。本実施形態では、乗客検知センサー30は、エスカレーター10の乗降口のうち降り口11に設置される利用者の滞留を検知するセンサーであり、図1の降り口11は、下りエスカレーターの下階側を示している。上りエスカレーターの場合には、降り口は上階側となる。なお、乗客検知センサー30は、エスカレーター10の乗り口に設置して、利用者の乗車を検知する構成とすることもできる。この場合、乗客検知センサー30の検出結果は、自動発停機能などに利用できる。
【0015】
以下では、説明のため、降り口11における利用者の進行方向を「前方向」と称し、図1等に矢印Aで示す。すなわち、乗り口側は「後方向」となる。
【0016】
エスカレーター10は、一般的構成として、図1に示すように、踏み段13とハンドレール14を上階と下階間に配置されたトラスで循環させて構成される。トラスには一対のたとえばガラスパネルを有する欄干20,20が設けられており、ハンドレール14は欄干20上を往路走行する。ハンドレール14は、欄干20の端縁にて下向き円弧状に折り返され、図2乃至図4にも示すように、欄干20の下部に設けられたインレットガード21に引き込まれ、トラス内を復路走行する。
【0017】
欄干20には、下縁に沿って左右に突出したデッキボード22,23が設けられている。エスカレーター10から降車した乗客が通る通路側の内デッキボード22の下方にはスカートガード24が設けられており、スカートガード24の降り口側の角部を覆うアール又は屈曲形状のインレットカバー25を具える。上記したインレットガード21は、インレットカバー25の上部に形成され、前方向Aに突出している。
【0018】
本実施形態では、内デッキボード22は、図4に最もよく示されるように、前方向Aの端縁を通常よりも長く形成している。具体的には、内デッキボード22は、端縁がインレットカバー25よりも前方向Aに延伸した突出部22aを有する。突出部22aは、望ましくは、図示のように、インレットガード21よりも前方向Aに延伸させる。
【0019】
内デッキボード22の突出部22aの下面には、乗客検知センサー30が設置される。図1では、前方向Aに対して右側の乗客検知センサー30のみが見えているが、左右両側、或いは、左右の一方に乗客検知センサー30は配置できる。乗客検知センサー30は、エスカレーター10の制御部に降り口11近傍の利用者滞留状況を送信するセンサーである。乗客検知センサー30として、レーザースキャンセンサー(測域センサー)、反射型ビームセンサーなどを例示することができる。
【0020】
図示の乗客検知センサー30は、レーザースキャンセンサーであり、取付面となる基部31とセンサー部となる円筒部32が形成された形状のものを例示している。この乗客検知センサー30は、円筒部32の先端から放射状に光を発し、当該光が物体に反射してセンサーに戻るまでの飛行時間を円筒部32にて測定することで、物体の距離を測定する。
【0021】
上記乗客検知センサー30は、図3乃至図5に示すように、内デッキボード22の突出部22aの下面に基部31を装着することで取り付けられる。乗客検知センサー30は、内デッキボード22から水平方向にはみ出さないように取り付ける。これにより、利用者の視線は、内デッキボード22が目隠しとなるから乗客検知センサー30を視認し難くすることができ、利用者が乗客検知センサー自体の存在を意識せずに済む。また、乗客検知センサー30が内デッキボード22から水平方向にはみ出していないことで、乗客検知センサー30に利用者の足、衣服、鞄などと接触することを防止でき、乗客検知センサー30の破損などを防ぐことができる。
【0022】
そして、乗客検知センサー30の下方には、ガード部材40を突設している。図示の実施形態では、ガード部材40は、インレットガード21の下方であって、インレットカバー25から前方向Aに向けて突設される形態としており、乗客検知センサー30の鉛直下を含む領域に形成される。その他、ガード部材40は、後述する図5に示すように降り口11のフロアプレートから上向きに突設された形態であってもよい。
【0023】
ガード部材40は、金属、樹脂等、所望の材料から構成することができ、形状は、図示では角柱形であるが、円柱形や筒状等であっても構わない。ガード部材40は、乗客検知センサー30の下端に接近して形成することが望ましいが、図示のように乗客検知センサー30から若干下方に離れた位置に設けてもよい。離れた位置に設ける場合であっても、乗客検知センサー30とガード部材40との間に異物が侵入しない程度の隙間とすることが好適である。
【0024】
ガード部材40を乗客検知センサー30の下方に設けたことにより、乗客検知センサー30が足で蹴られたり、傘先と当たったり、台車等と衝突してしまうことをガード部材40が防止する。従って、乗客検知センサー30の破損や汚損を防ぐことができ、良好な検知状態を維持できる。
【0025】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0026】
たとえば、図5に示すように、ガード部材40は、降り口11のフロアプレートから上方に突出した形態としてもよい。
【符号の説明】
【0027】
10 エスカレーター
11 降り口
22 内デッキボード
25 インレットカバー
30 乗客検知センサー
40 ガード部材
図1
図2
図3
図4
図5