(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】状態検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
G01R31/00
(21)【出願番号】P 2021054212
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】金谷 信宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇之
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-222085(JP,A)
【文献】特開2018-125748(JP,A)
【文献】特許第6795231(JP,B1)
【文献】特開2021-5537(JP,A)
【文献】特開2015-129537(JP,A)
【文献】特開2016-14648(JP,A)
【文献】特開2003-194612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に対して情報を送信する通信回路と、
前記通信回路を第1のタイミングで動作させる制御回路と、
前記通信回路及び前記制御回路に電力を供給する電池と、
接点回路と前記制御回路との間に接続される第1防爆バリアと
を備え、
前記制御回路は、
前記第1のタイミングより短い間隔で到来する第2のタイミングで、前記電池が出力する電圧に基づいて生成される検査信号を、前記第1防爆バリアを介して前記接点回路に印加し、
前記検査信号が前記接点回路に印加されたことによって前記接点回路に電流が流れたことを表す検出信号を、前記第1防爆バリアから取得し、
前記第1のタイミングにかかわらず、前記検出信号を取得したタイミングで前記通信回路を動作させて前記接点回路の接続先機器の状態が異常状態であることを前記外部装置に対して送信する、
状態検出装置。
【請求項2】
前記検出信号を取得して保持するラッチ回路を更に備え、
前記制御回路は、前記ラッチ回路から前記検出信号を取得する、請求項1に記載の状態検出装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1のタイミングよりも短い間隔で到来する第3のタイミングで、前記ラッチ回路から前記検出信号を取得する、請求項2に記載の状態検出装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記検出信号を取得したときに割り込み処理として前記通信回路を動作させて前記接点回路の接続先機器の状態が異常状態であることを前記外部装置に対して送信する、請求項1に記載の状態検出装置。
【請求項5】
前記電池が塩化チオニールリチウム一次電池である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の状態検出装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記第2のタイミングで、前記塩化チオニールリチウム一次電池の仕様に基づく電流値以上の電流を前記電池に出力させる、請求項5に記載の状態検出装置。
【請求項7】
前記第1防爆バリアと前記接点回路との間に接続される昇圧回路と、前記昇圧回路と前記接点回路との間に接続される第2防爆バリアとを更に備え、
前記昇圧回路は、前記電池が出力する電圧を昇圧して昇圧信号を生成し、前記昇圧信号を前記検査信号として前記第2防爆バリアを介して前記接点回路に印加する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オンオフの接点信号を、ソレノイド型電磁弁を動作させる制御信号に変換する接点信号変換装置においてソレノイド型電磁弁の動作電源の電圧と電流とを制限する防爆バリアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防爆バリアを介して、接点回路と、接点回路の異常状態を検出する状態検出装置とが接続されることがある。状態検出装置が接点回路の異常状態を検出した場合に他の装置に検出結果を送信する場合、異常状態の検出から検出結果の送信までの時間の短縮と通信回路の省電力化とが両方とも実現されることが求められる。
【0005】
本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、異常状態の検出から検出結果の送信までの時間の短縮と通信回路の省電力化とを両方とも実現できる状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る状態検出装置は、通信回路と、制御回路と、電池と、第1防爆バリアとを備える。前記通信回路は、外部装置に対して情報を送信する。前記制御回路は、前記通信回路を第1のタイミングで動作させる。前記電池は、前記通信回路及び前記制御回路に電力を供給する。前記第1防爆バリアは、接点回路と前記制御回路との間に接続される。前記制御回路は、前記第1のタイミングより短い間隔で到来する第2のタイミングで、前記電池が出力する電圧に基づいて生成される検査信号を、前記第1防爆バリアを介して前記接点回路に印加する。前記制御回路は、前記検査信号が前記接点回路に印加されたことによって前記接点回路に電流が流れたことを表す検出信号を、前記第1防爆バリアから取得する。前記制御回路は、前記第1のタイミングにかかわらず、前記検出信号を取得したタイミングで前記通信回路を動作させて前記接点回路の接続先機器の状態が異常状態であることを前記外部装置に対して送信する。このようにすることで、制御回路が接点回路の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間が、接点回路の異常状態の検出のタイミングにかかわらず短縮される。また、通信回路を動作させる第1のタイミングの間隔を短縮することなく、制御回路が接点回路の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間が短縮される。通信回路を動作させる第1のタイミングの間隔が短縮されないことによって、通信回路の消費電力が低減される。その結果、制御回路による接点回路の異常状態の検出から異常状態を検出したことを表す情報の送信までにかかる時間の短縮と通信回路の省電力化とが両方とも実現される。
【0007】
一実施形態に係る状態検出装置は、前記検出信号を取得して保持するラッチ回路を更に備えてよい。前記制御回路は、前記ラッチ回路から前記検出信号を取得してよい。このようにすることで、制御回路は、制御回路自身で定めるタイミングで検出信号を取得できる。その結果、制御回路の負荷が低減され得る。
【0008】
一実施形態に係る状態検出装置において、前記制御回路は、前記第1のタイミングよりも短い間隔で到来する第3のタイミングで、前記ラッチ回路から前記検出信号を取得してよい。このようにすることで、通信回路を動作させる第1のタイミングの間隔を短縮することなく、制御回路が接点回路の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間が短縮される。その結果、制御回路による接点回路の異常状態の検出から異常状態を検出したことを表す情報の送信までにかかる時間の短縮と通信回路の省電力化とが両方とも実現される。
【0009】
一実施形態に係る状態検出装置において、前記制御回路は、前記検出信号を取得したときに割り込み処理として前記通信回路を動作させて前記接点回路の接続先機器の状態が異常状態であることを前記外部装置に対して送信してよい。このようにすることで、通信回路を動作させる第1のタイミングの間隔を短縮することなく、制御回路が接点回路の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間が短縮される。その結果、制御回路による接点回路の異常状態の検出から異常状態を検出したことを表す情報の送信までにかかる時間の短縮と通信回路の省電力化とが両方とも実現される。
【0010】
一実施形態に係る状態検出装置において、前記電池が塩化チオニールリチウム一次電池であってよい。このようにすることで、状態検出装置は、電池から大容量の電力を給電され長時間動作できる。その結果、状態検出装置は、長時間の安定動作が要求されるプロセスプラント及び工場等のフィールドで使用され得る。
【0011】
一実施形態に係る状態検出装置において、前記制御回路は、前記第2のタイミングで、前記塩化チオニールリチウム一次電池の仕様に基づく電流値以上の電流を前記電池に出力させてよい。このようにすることで、電池の内部抵抗を低減する動作にあわせて接点回路に信号が出力される。
【0012】
一実施形態に係る状態検出装置は、前記第1防爆バリアと前記接点回路との間に接続される昇圧回路と、前記昇圧回路と前記接点回路との間に接続される第2防爆バリアとを更に備えてよい。前記昇圧回路は、前記電池が出力する電圧を昇圧して昇圧信号を生成し、前記昇圧信号を前記検査信号として前記第2防爆バリアを介して前記接点回路に印加してよい。このようにすることで、第1防爆バリアによって電池から出力される電力が制限されたとしても、接点回路に入力する電圧が、接点回路の接続先機器の状態を十分に検出できる程度に昇圧され得る。その結果、状態検出装置が接点回路の接続先機器の状態を検出できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係る状態検出装置によれば、異常状態の検出から検出結果の送信までの時間の短縮と通信回路の省電力化とが両方とも実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】比較例に係る状態検出装置の動作のタイミングを示す図である。
【
図3】一実施形態に係る状態検出装置の構成例を示す回路図である。
【
図5】一実施形態に係る状態検出装置の動作のタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示に係る実施形態が、比較例と対比しながら説明される。
【0016】
(比較例)
図1に示されるように、比較例に係る状態検出装置90は、電池91と、制御回路92と、通信回路93と、スイッチ94と、防爆バリア95とを備える。状態検出装置90は、防爆バリア95を介して接点回路96に接続される。接点回路96は、他の機器に接続される。接点回路96に接続される機器は、接続先機器とも称される。状態検出装置90は、接点回路96の接続先機器の状態に対応する信号を取得することによって、接点回路96の接続先機器の状態を検出できる。接点回路96が開状態(開放している状態)になっている場合、接点回路96の接続先機器の状態が正常であるとする。接点回路96が閉状態(導通している状態)になっている場合、接点回路96の接続先機器の状態が異常であるとする。
【0017】
電池91は、制御回路92及び通信回路93に電力を供給する。電池91は、GNDで表される接地点と、VCCで表される給電点との間に接続され、給電点に電圧を印加する。制御回路92は、通信回路93の動作を制御する。
【0018】
制御回路92は、スイッチ94を開状態又は閉状態のいずれか一方の状態に制御する。スイッチ94が閉状態にされる場合、電池91から給電点に印加された電圧が防爆バリア95を介して接点回路96に出力される。
【0019】
接点回路96に防爆バリア95を介して電圧が印加された場合、接点回路96の接続先機器の状態に対応する電流が接点回路96に流れる。防爆バリア95は、接点回路96に流れる電流の検出結果に基づく信号を検出信号として制御回路92に出力する。具体的に、接点回路96が閉状態になっている場合、つまり接点回路96の接続先機器の状態が異常である場合、防爆バリア95は、接点回路96に電流が流れることを検出する。防爆バリア95は、接点回路96に電流が流れたことを表す信号を検出信号として出力する。一方で、接点回路96が開状態になっている場合、つまり接点回路96の接続先機器の状態が正常である場合、防爆バリア95は、接点回路96に電流が流れなかったことを検出する。防爆バリア95は、接点回路96に電流が流れなかったことを検出した場合、検出信号を出力しない。
【0020】
制御回路92は、スイッチ94を閉状態にしたときに接点回路96の接続先機器の状態に対応する信号である検出信号を防爆バリア95から取得した場合、検出信号に基づいて接点回路96の接続先機器の状態が異常であると判定できる。制御回路92は、スイッチ94を閉状態にしたときに接点回路96の接続先機器の状態に対応する信号である検出信号を防爆バリア95から取得しなかった場合、検出信号を取得しなかったことに基づいて接点回路96の接続先機器の状態が正常であると判定できる。
【0021】
制御回路92は、接点回路96の接続先機器の状態が異常であると判定した場合、通信回路93によって接点回路96の接続先機器の状態が異常であることを外部装置に送信する。
【0022】
ここで、制御回路92は、通信回路93の消費電力を低減して電池91の消耗を遅らせるように、原則として通信回路93が停止する又はスリープする等の動作しない状態に制御し、第1の周期で通信回路93が動作するように制御する。
【0023】
また、制御回路92は、電池91の消耗を遅らせつつ接点回路96の接続先機器の状態を高頻度で確認するために、原則としてスイッチ94を開状態に制御し、第1の周期及び第1の周期より短い第2の周期でスイッチ94を閉状態に制御する。
【0024】
制御回路92が通信回路93及びスイッチ94を第1及び第2の周期で制御する場合における、通信回路93の動作状況及びスイッチ94の状態が
図2にタイミングチャートとして示される。
図2において横軸は時間の経過を表している。スイッチ94の行において、スイッチ94の状態が「ON」又は「OFF」であることに対応する2本の破線が描かれている。そして、時間の経過に応じてスイッチ94の状態が「ON」及び「OFF」の2つのうちのどちらに対応する状態に変化するかが、破線に重ねて描かれる実線で表されている。実線が「ON」の側の破線に重ねて描かれている期間において、スイッチ94は閉状態である。実線が「OFF」の側の破線に重ねて描かれている期間において、スイッチ94が開状態である。制御回路92がスイッチ94の状態を「ON」に制御する第2の周期は、T2で表されている。
【0025】
また、通信回路93の行において、通信回路93の動作状況が「ON」又は「OFF」であることに対応する2本の破線が描かれている。そして、時間の経過に応じて通信回路93の動作状況が「ON」及び「OFF」の2つのうちのどちらに対応する動作状況に変化するかが、破線に重ねて描かれる実線で表されている。実線が「ON」の側の破線に重ねて描かれている期間において、通信回路93は動作している。実線が「OFF」の側の破線に重ねて描かれている期間において、通信回路93は動作していない。制御回路92が通信回路93を動作させる第1の周期は、T1で表されている。
【0026】
上述したように、制御回路92は、スイッチ94を閉状態にすることによって接点回路96に電流が流れた場合に防爆バリア95から検出信号を取得し、検出信号を取得した場合に接点回路96の接続先機器の状態が異常であることを確認できる。
図2のタイミングチャートに検出信号の一例が示される。検出信号の行において、検出信号の状態が「ON」又は「OFF」であることに対応する2本の破線が描かれている。そして、時間の経過に応じて検出信号の状態が「ON」及び「OFF」の2つのうちのどちらに対応する状態に変化するかが、破線に重ねて描かれる実線で表されている。実線が「ON」の側の破線に重ねて描かれている期間において、検出信号は、防爆バリア95から出力されている。実線が「OFF」の側の破線に重ねて描かれている期間において、検出信号は、防爆バリア95から出力されていない。
【0027】
ここで、
図2のタイミングチャートにおいて、制御回路92は、縦の一点鎖線でXCとして表されるタイミングで、検出信号の状態が「ON」になったこと、つまり検出信号が防爆バリア95から出力されたことを検出する。制御回路92は、検出信号の状態が「ON」になったことに基づいて、接点回路96の接続先機器の状態が異常であると判定する。制御回路92は、接点回路96の接続先機器の状態が異常であると判定した後、縦の一点鎖線でRCとして表される、第2の周期で次に到来するタイミングで通信回路93を動作させ、接点回路96の接続先機器の状態が異常であることを通信回路93によって外部装置に送信する。
【0028】
制御回路92が通信回路93を第2の周期で動作させることによって、制御回路92が接点回路96の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間は、接点回路96の異常状態の検出のタイミングに応じて異なる。制御回路92による接点回路96の異常状態の検出から送信するまでにかかる時間は、遅延時間とも称され、
図2においてDで表される。
【0029】
制御回路92は、接点回路96の接続先機器の異常状態の検出のタイミングにかかわらず遅延時間を短縮するために、第1の周期を短縮してもよい。しかし、第1の周期の短縮は、多くの電力を消費する通信回路93の動作頻度を増加させ、状態検出装置90全体としての消費電力の増大を引き起こす。その結果、電池91の消耗が速くなる。
【0030】
以上述べてきたように、比較例に係る状態検出装置90は、通信回路93を動作させる周期を長くすることによって電池91の消耗を遅らせつつ、接点回路96の異常状態の検出から送信までの遅延時間を短縮することが難しいという課題を有している。
【0031】
そこで、本開示は、電池11(
図3参照)の消耗を遅らせつつ接点回路30(
図3参照)の異常状態の検出から送信までの遅延時間を短縮できる状態検出装置1(
図3参照)を説明する。状態検出装置1は、エッジコンピュータゲートウェイの用途に適用されてよい。状態検出装置1は、IoT(Internet of Things)のゲートウェイ端末において用いられてもよい。
【0032】
(本開示の一実施形態)
図3に示されるように、一実施形態に係る状態検出装置1は、伝送器10と、信号変換装置20とを備える。伝送器10は、電池11と、制御回路12と、スイッチ14と、防爆バリア15と、通信回路16と、ラッチ回路17とを備える。信号変換装置20は、昇圧回路21と、防爆バリア24とを備える。状態検出装置1は、信号変換装置20の防爆バリア24を介して接点回路30に接続される。言い換えれば、防爆バリア24は、信号変換装置20と接点回路30との間に接続される。防爆バリア15は、制御回路12と接点回路30との間に接続される。防爆バリア15は、第1防爆バリアとも称される。防爆バリア24は、第2防爆バリアとも称される。
【0033】
防爆バリア15又は24は、例えば
図4に示されるように、信号ラインL1と接地ラインL2との間に並列に接続されているツェナーダイオードZD1及びZD2と、信号ラインL1に直列に接続されている抵抗R1とを備える。信号ラインL1は、電池11と接点回路30との間を接続する。抵抗R1は、接点回路30に接続される側に直列に接続されている。防爆バリア24は、接点回路30に流れる電流を検出する電流検出回路を更に備える。電流検出回路は、例えば、接点回路30に電流が流れる場合に発光する発光ダイオードと、その発光ダイオードの発光を検出する光検出素子とを備えてよい。光検出素子は、接点回路30に電流が流れる場合に、発光を検出した信号を出力する。発光を検出した信号は、接点回路30に電流が流れたことを表す信号に対応する。
【0034】
ツェナーダイオードZD1及びZD2は、信号ラインL1に印加される電圧を制限する。ツェナーダイオードZD1又はZD2は、複数のツェナーダイオードを直列に接続して構成されてもよい。信号は、電池11から接点回路30に向けて伝搬する。信号ラインL1の信号伝搬方向の後段に抵抗R1が接続されていることによって、防爆バリア15又は24が出力する電圧は、ツェナーダイオードZD1及びZD2に印加される最大電圧によって制限される。
【0035】
抵抗R1は、防爆バリア15又は24から出力される電流を制限する。抵抗R1の抵抗値は、ツェナーダイオードZD1及びZD2によって定められる電圧の上限と、抵抗R1によって定めようとする電流の上限とに基づいて定まる。
【0036】
状態検出装置1は、伝送器10の電池11からスイッチ14と防爆バリア15と昇圧回路21と防爆バリア24とを介して、電池11が出力する電圧に基づいて生成される検査信号を接点回路30に出力する。接点回路30は、他の機器に接続される。接点回路30に接続される機器は、接続先機器とも称される。接点回路30に状態検出装置1から検査信号が印加された場合、接点回路30の接続先機器の状態に応じて接点回路30に電流が流れる。接点回路30が開状態(開放している状態)になっている場合、接点回路30の接続先機器の状態が正常であるとする。接点回路30が閉状態(導通している状態)になっている場合、接点回路30の接続先機器の状態が異常であるとする。信号変換装置20の防爆バリア24は、接点回路30に電流が流れたことを検出した場合、接点回路30に電流が流れたことを表す信号を出力する。接点回路30に電流が流れたことを表す信号は、検出信号とも称される。状態検出装置1の伝送器10は、防爆バリア24から検出信号を取得することによって、接点回路30の接続先機器の状態が異常であることを検出できる。
【0037】
電池11は、制御回路12及び通信回路16に電力を供給する。電池11は、GNDで表される接地点と、VCCで表される給電点との間に接続され、給電点に電圧を印加する。制御回路12は、通信回路16の動作を制御する。
【0038】
制御回路12は、スイッチ14を開状態又は閉状態のいずれか一方の状態に制御する。スイッチ14が閉状態にされる場合、電池11から給電点に印加された電圧が防爆バリア15を介して信号変換装置20に出力される。
【0039】
信号変換装置20の昇圧回路21は、電池11からスイッチ14及び防爆バリア15を介して印加された電圧を昇圧した昇圧信号を、検査信号として、防爆バリア24を介して接点回路30に出力する。昇圧回路21は、電池11が出力する電圧を昇圧するために、キャパシタ又はインダクタ等を備えるチョッパ回路として構成されてよい。防爆バリア15によって伝送器10から昇圧回路21に入力される電力は制限されるものの、昇圧回路21に大容量のキャパシタ又はインダクタが実装されることによって、接点回路30に入力される電圧が接点回路30の接続先機器の状態を十分に検出できる程度に昇圧され得る。
【0040】
信号変換装置20の防爆バリア24から接点回路30に昇圧信号が入力された場合、接点回路30の接続先機器の状態に対応する電流が接点回路30に流れる。防爆バリア24は、接点回路30に流れる電流の検出結果に基づく検出信号を伝送器10に出力する。具体的に、接点回路30が閉状態になっている場合、つまり接点回路30の接続先機器の状態が異常である場合、防爆バリア24は、接点回路30に電流が流れることを検出する。防爆バリア24は、接点回路30に電流が流れたことを表す検出信号を伝送器10に出力する。検出信号の電圧は、昇圧信号の電圧と同じであってもよいし昇圧信号の電圧より低くてもよい。つまり、検出信号の電圧は、昇圧信号の電圧以下であってよい。一方で、接点回路30が開状態になっている場合、つまり接点回路30の接続先機器の状態が正常である場合、防爆バリア24は、接点回路30に電流が流れなかったことを検出する。防爆バリア24は、接点回路30に電流が流れなかったことを検出した場合、検出信号を伝送器10に出力しない。
【0041】
信号変換装置20の防爆バリア24が検出信号を伝送器10に出力した場合、検出信号は、伝送器10の防爆バリア15を介してラッチ回路17に入力される。ラッチ回路17は、入力された検出信号を保持する。制御回路12は、ラッチ回路17に保持される検出信号を取得する。制御回路12は、ラッチ回路17が検出信号を保持したときにラッチ回路17から検出信号の入力を受け付けてよい。制御回路12は、ラッチ回路17が検出信号を保持した後、制御回路12自身で定めるタイミングでラッチ回路17から検出信号を取得してもよい。制御回路12は、例えば、次にスイッチ14を閉状態に制御するタイミングでラッチ回路17から検出信号を取得してもよい。
【0042】
制御回路12は、検出信号を取得した場合、接点回路30の接続先機器の状態が異常であると判定できる。制御回路12は、検出信号を取得しなかった場合、接点回路30の接続先機器の状態が正常であると判定できる。つまり、制御回路12は、スイッチ14を閉状態にしたときに接点回路30の接続先機器の状態に対応する信号である検出信号を取得した場合、接点回路30の接続先機器の状態が異常であると判定できる。
【0043】
制御回路12は、接点回路30の接続先機器の状態が異常であると判定した場合、通信回路16によって接点回路30の接続先機器の状態が異常であることを外部装置に送信する。
【0044】
ここで、制御回路12は、通信回路16の消費電力を低減して電池11の消耗を遅らせるように、原則として通信回路16が停止する又はスリープする等の動作しない状態に制御し、第1のタイミングで通信回路16が動作するように制御する。第1のタイミングは、周期的に到来するタイミングであってもよいし、不定間隔で到来するタイミングであってもよい。本実施形態において、第1のタイミングは、第1の周期で到来する。
【0045】
また、制御回路12は、電池11の消耗を遅らせつつ接点回路30の接続先機器の状態を高頻度で確認するために、原則としてスイッチ14を開状態に制御し、第1のタイミングより短い間隔で到来する第2のタイミングでスイッチ14を閉状態に制御する。本実施形態において、第2のタイミングは、第1の周期よりも短い第2の周期で到来する。
【0046】
制御回路12が通信回路16及びスイッチ14を第1及び第2のタイミングで制御する場合における、通信回路16の動作状況及びスイッチ14の状態が
図5にタイミングチャートとして示される。
図5において横軸は時間の経過を表している。スイッチ14の行において、スイッチ14の状態が「ON」又は「OFF」であることに対応する2本の破線が描かれている。そして、時間の経過に応じてスイッチ14の状態が「ON」及び「OFF」の2つのうちのどちらに対応する状態に変化するかが、破線に重ねて描かれる実線で表されている。実線が「ON」の側の破線に重ねて描かれている期間において、スイッチ14は閉状態である。実線が「OFF」の側の破線に重ねて描かれている期間において、スイッチ14が開状態である。制御回路12がスイッチ14の状態を「ON」に制御する第2の周期は、T2で表されている。
【0047】
また、通信回路16の行において、通信回路16の動作状況が「ON」又は「OFF」であることに対応する2本の破線が描かれている。そして、時間の経過に応じて通信回路16の動作状況が「ON」及び「OFF」の2つのうちのどちらに対応する動作状況に変化するかが、破線に重ねて描かれる実線で表されている。実線が「ON」の側の破線に重ねて描かれている期間において、通信回路16は動作している。実線が「OFF」の側の破線に重ねて描かれている期間において、通信回路16は動作していない。制御回路12が通信回路16を動作させる第1の周期は、T1で表されている。
【0048】
上述したように、制御回路12は、スイッチ14を閉状態にすることによって電池11が出力する電圧によって生成される検査信号を信号変換回路20に入力する。信号変換回路20は、防爆バリア24を介して検査信号の電圧を接点回路30に印加する。接点回路30の接続先機器の状態が異常である場合、接点回路30に検査信号が印加されることによって接点回路30に電流が流れる。防爆バリア24は、接点回路30に電流が流れたことを検出した場合、検出信号を出力する。制御回路12は、信号変換装置20の防爆バリア24から検出信号を取得する。制御回路12は、取得した検出信号に基づいて接点回路30の接続先機器の状態を確認できる。
図5のタイミングチャートに検出信号の一例が示される。検出信号の行において、検出信号の状態が「ON」又は「OFF」であることに対応する2本の破線が描かれている。そして、時間の経過に応じて検出信号の状態が「ON」及び「OFF」の2つのうちのどちらに対応する状態に変化するかが、破線に重ねて描かれる実線で表されている。実線が「ON」の側の破線に重ねて描かれている期間において、防爆バリア24が検出信号を出力している。実線が「OFF」の側の破線に重ねて描かれている期間において、防爆バリア24が検出信号を出力していない。
【0049】
ここで、
図5のタイミングチャートにおいて、制御回路12は、縦の一点鎖線でXとして表されるタイミングで、検出信号の状態が「ON」になったこと、つまり検出信号が防爆バリア24から出力されたことを検出する。制御回路12は、検出信号の状態が「ON」になったことに基づいて、接点回路30の接続先機器の状態が異常であると判定する。制御回路12は、接点回路30の接続先機器の状態が異常であると判定した後、縦の一点鎖線でRとして表される、次に到来する第2のタイミングまで待たずに、縦の一点鎖線でYとして表される臨時のタイミングで通信回路16を動作させ、接点回路30の接続先機器の状態が異常であることを通信回路16によって外部装置に送信する。
【0050】
制御回路12が検出信号を取得した後、通信回路16を臨時のタイミング(Y)で動作させることによって、制御回路12が接点回路30の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間は、接点回路30の異常状態の検出のタイミングにかかわらず短縮される。
【0051】
以上述べてきたように、本実施形態に係る状態検出装置1において、制御回路12は、第1のタイミングで通信回路16を動作させる一方で、検出信号を取得した場合に臨時のタイミングで通信回路16を動作させる。このようにすることで、制御回路12が接点回路30の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間が、接点回路30の異常状態の検出のタイミングにかかわらず短縮される。また、通信回路16を動作させる第1のタイミングの間隔を短縮することなく、制御回路12が接点回路30の異常状態を検出してから外部装置に異常状態の検出を送信するまでにかかる時間が短縮される。通信回路16を動作させる第1のタイミングの間隔が短縮されないことによって、通信回路16の消費電力が低減される。その結果、制御回路12による接点回路30の異常状態の検出から異常状態を検出したことを表す情報の送信までにかかる時間の短縮と通信回路16の省電力化とが両方とも実現される。
【0052】
また、状態検出装置1は、防爆バリア15又は24を備えることによって、本質安全防爆構造を有する設備として接点回路30の接続先機器の状態を監視できる。
【0053】
また、状態検出装置1は、昇圧回路21を備える信号変換装置20と接点回路30との間に防爆バリア24を備えることによって、検出信号の電圧が昇圧信号の電圧よりも低い場合であっても昇圧信号が伝送器10に入力されない。
【0054】
また、状態検出装置1は、信号変換装置20に昇圧回路21を備えることによって、伝送器10から出力される電力が防爆バリア15で制限されるとしても、接点回路30に入力される電圧が接点回路30の接続先機器の状態を十分に検出できる程度に昇圧され得る。
【0055】
(他の実施形態)
状態検出装置1の伝送器10は、ラッチ回路17を備えなくてもよい。この場合、制御回路12は、信号変換装置20の防爆バリア24から検出信号が入力されたときに検出信号を取得する。制御回路12は、検出信号を取得したときに通信回路16を動作させてよい。伝送器10がラッチ回路17を備えないことによって、伝送器10の回路の小型化又はコストの削減が実現され得る。制御回路12は、検出信号を取得したときに割り込み処理として通信回路16を動作させて接点回路30の異常状態を検出したことを外部装置に送信する処理を実行してよい。
【0056】
状態検出装置1は、信号変換装置20から制御回路12に検出信号を入力するラインにラッチ回路17を備えることによって、制御回路12が制御回路12自身で定めるタイミングで検出信号を取得できる。制御回路12は、検出信号をラッチ回路17から取得するタイミングとして、第1のタイミングよりも短い間隔で到来する第3のタイミングを設定してもよい。制御回路12に検出信号が入力されたときに制御回路12が通信回路16を動作させる場合、制御回路12は、検出信号の入力による割り込み処理を実装する必要がある。割り込み処理は、制御回路12の負荷を重くしたり制御回路12の回路規模を大きくしたりする。したがって、制御回路12が制御回路12自身で定めるタイミングで検出信号を取得できることによって、制御回路12の負荷が低減され得る。
【0057】
ラッチ回路17は、制御回路12に含まれてもよい。例えば、制御回路12は、検出信号を保持する不揮発性メモリ等のメモリを備えてよい。このようにすることで、回路の小型化又はコストの削減が実現され得る。
【0058】
電池11は、塩化チオニールリチウム一次電池であってよい。
【0059】
塩化チオニールリチウム一次電池は、電力容量が大きい、及び、自己放電が少ないため長期間の使用が可能である等の特徴を有する。したがって、塩化チオニールリチウム一次電池は、長時間の安定動作が要求されるプロセスプラント及び工場等のフィールドで使用される無線用測定装置に組み込まれる場合がある。
【0060】
塩化チオニールリチウム一次電池を使用する上で、塩化チオニールリチウム一次電池において流れる負荷電流が微小である場合、塩化チオニールリチウム一次電池の内部で塩化膜が生成されることによって内部抵抗が上昇することが問題になり得る。具体的には、負荷電流が微小な状態が長時間続くことによって塩化チオニールリチウム一次電池の内部抵抗が大きくなった状態において、塩化チオニールリチウム一次電池から給電されて動作する装置が急激に高負荷の動作に遷移することがある。この場合、塩化チオニールリチウム一次電池に流れる電流が急激に大きくなる。内部抵抗が大きくなっている状態における電流の増大は、出力電圧の急激な低下を生じさせる。そして、出力電圧の低下は、装置の停止、又は、装置の動作異常を生じさせるおそれがある。
【0061】
そこで、塩化チオニールリチウム一次電池を使用する装置は、塩化チオニールリチウム一次電池の内部抵抗を監視し、内部抵抗が所定値以上になった場合に、内部抵抗を低減する動作を実行する。具体的に、内部抵抗が所定値以上になった場合、塩化チオニールリチウム一次電池に所定電流以上の電流が流されることによって、内部抵抗が低減する。所定電流は、塩化チオニールリチウム一次電池の仕様に基づいて定まる電流値であってよい。
【0062】
本実施形態に係る状態検出装置1において、電池11が塩化チオニールリチウム一次電池である場合、制御回路12は、所定電流以上の電流を流すことによって電池11の内部抵抗を低減できる。伝送器10は、必須ではないが
図3に示されるように負荷回路13を更に備える。負荷回路13は、電気抵抗等の負荷を含んで構成される。伝送器10が負荷回路13を備える場合、制御回路12は、電池11に所定電流以上の電流を流すために、負荷回路13に電流を流してよい。
【0063】
制御回路12は、塩化チオニールリチウム一次電池の内部抵抗を低減する動作を実行する際にあわせて接点回路30に信号を出力してよい。この場合、制御回路12は、電池11に流す電流の一部を信号変換装置20に流すように、スイッチ14を閉状態に制御してよい。言い換えれば、第1のタイミングは、電池11の内部抵抗が所定値以上になるタイミングであってよい。
【0064】
状態検出装置1の信号変換装置20は、昇圧回路21を備えなくてもよい。この場合、信号変換装置20は、検査信号として電池11が出力する電圧を有する電圧信号を接点回路30に入力する。
【0065】
本実施形態に係る状態検出装置1は、正常時において小さい消費電力で動作し、異常時において正常時よりも大きい消費電力で動作する機器に適用され得る。
【0066】
状態検出装置1は、信号変換装置20を備えない場合、防爆バリア15から接点回路30に検査信号を印加してよい。この場合、防爆バリア15は、接点回路30に流れる電流を検出する電流検出回路を備える。そして、防爆バリア15が接点回路30に電流が流れたことを検出し、接点回路30に電流が流れたことを表す検出信号を制御回路12に出力する。防爆バリア15の電流検出回路は、防爆バリア24の電流検出回路として説明した構成と同一又は類似の構成であってよい。
【0067】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 状態検出装置
10 伝送器(11:電池、12:制御回路、13:負荷回路、14:スイッチ、15:防爆バリア、16:通信回路、17:ラッチ回路)
20 信号変換装置(21:昇圧回路、24:防爆バリア)
30 接点回路