(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-29
(45)【発行日】2023-06-06
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230530BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20230530BHJP
F21V 7/06 20060101ALI20230530BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230530BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230530BHJP
【FI】
F21S2/00 310
F21V9/32
F21V7/06 100
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2021554972
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2020041353
(87)【国際公開番号】W WO2021090879
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2019203515
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 竹夫
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103822141(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0228868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 7/00
F21V 9/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
楕円の長軸を弦とする半楕円を、前記楕円の短軸を回転軸として回転させてなる回転体の少なくとも一部に沿う凹面形状の反射面を備えた第一反射部と、
前記第一反射部の外側に光を放射する光取り出し部と、
前記短軸を回転軸として回転させたときの前記楕円の焦点の軌跡によって画定される閉曲線で囲まれた領域を特定領域と定義し、前記特定領域から前記第一反射部に向かうよう、光放射又は光反射によって光を出射する光供給面を構成する光出射体とを備え、
前記光出射体は、
前記光供給面から放射される光を生成する発光体と、
前記第一反射部で反射されて前記特定領域に向かう光を、再び、前記特定領域から前記第一反射部側に向かって再反射させる第二反射部とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光出射体は、短軸方向において前記特定領域と実質的に一致するように前記光供給面が配置されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第一反射部は、前記特定領域から出射されて、前記第一反射部に向かって進行した光のうちの、一部の波長帯の光を前記特定領域に向かうように反射する波長選択ミラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第一反射部の前記反射面とは反対側に、前記第一反射部を透過した光を吸収する吸光部を備えることを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記発光体は、前記第二反射部を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第二反射部は、前記発光体から出射された光を、前記特定領域に導光する導光部を備え、
前記導光部は、前記第一反射部で反射した後に、前記特定領域を通過する光を、前記発光体に導光することを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光供給面は、短軸方向から見たときに、前記特定領域内には、前記発光体から出射された光を前記第一反射部に向かって放射する光放射面と、前記光放射面の外方に延びる前記第二反射部とで構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記光出射体は、平面上に配置された複数の前記発光体を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記回転体の形状に沿う外表面を有する透光部材であって、前記外表面に前記第一反射部が形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記発光体は、外部からの励起光により蛍光を発する蛍光部材で構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記発光体は、バルク状の部材の内部に蛍光体が溶解、又は拡散されてなる光学部材で構成され、前記光学部材の外面に励起光源が設けられており、
前記光学部材の外面、又は前記励起光源の少なくともいずれかに前記第二反射部が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記発光体は、バルク状の部材の内部に蛍光体が溶解、又は拡散されてなる光学部材で構成され、前記光学部材の外面には、励起光源と前記第二反射部が設けられており、
前記第二反射部は、前記励起光源からの励起光に透過性を有する光学要素を備え、
前記第二反射部を介して、前記発光体に励起光が入射されることを特徴とする請求項10に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明機器等に用いられる光源は、白熱ランプや水銀ランプ等から、これらと比べて低消費電力で長寿命であるLED、LDといった半導体光源や、半導体光源から励起された蛍光を用いる蛍光光源への置き換えが進められている。
【0003】
従来、光源の発光輝度を高める手段として、当該光源から放射された光の一部を再び光源側に反射させ、特定方向へ放射する光の輝度を高めるものが知られている。ここで輝度とは、光源の光を放射する部分における単位面積当たりの単位立体角あたりの光束量を表すものである。
【0004】
下記特許文献1には、内面を球面としたリフレクタの曲率中心に放電ランプの輝点を位置させ、当該輝点からリフレクタに向けて出射された光は、リフレクタで反射されて再び輝点に戻るよう構成された光源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-301152号公報
【文献】特開2009-158309号公報
【文献】国際公開第2018/043557号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、光源の輝度を高める手段として、光源から放射された光の一部を再び光源側に反射させる構成が検討されている。そして、上記特許文献1に記載されるように、放電ランプの発光点(輝点)から出射された光は、球面反射鏡により、全ての反射光を再び発光点に戻すことが理論上可能である。
【0007】
一方、上記特許文献2や上記特許文献3に記載されるように、発光領域201に広がりを有する光源部に関しては、出射光の制御が困難である。
図18は、半球状のミラー200を中心C1が含まれる平面で切断したときの模式的な断面図である。
図18が示すように、発光領域201内の、中心C1を除く任意の点から出射された光は、ミラー200によって反射され、それぞれの出射角に応じて、半円の弦となっている領域R1全体に発散してしまう。
【0008】
したがって、発光面から出射された光を、球面反射鏡で反射させた場合、その全ての反射光を発光面に戻すことは難しく、光の利用効率が極端に悪いため、発光面の領域内の輝度を高めることは困難であった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、発光体から出射される光の利用効率を高め、光が出射される領域内の輝度を高めることが可能な光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光源装置は、
楕円の長軸を弦とする半楕円を、前記楕円の短軸を回転軸として回転させてなる回転体の少なくとも一部に沿う凹面形状の反射面を備えた第一反射部と、
前記第一反射部の外側に光を放射する光取り出し部と、
前記短軸を回転軸として回転させたときの前記楕円の焦点の軌跡によって画定される閉曲線で囲まれた領域を特定領域と定義し、前記特定領域から前記第一反射部に向かうよう、光放射又は光反射によって光を出射する光供給面を構成する光出射体とを備え、
前記光出射体は、
前記光供給面から放射される光を生成する発光体と、
前記第一反射部で反射されて前記特定領域に向かう光を、再び、前記特定領域から前記第一反射部側に向かって再反射させる第二反射部とを備えることを特徴とする。
【0011】
回転体形状の第一反射部は、特定領域から出射して第一反射部に向かって進行する光を、再び特定領域に向かうように反射させることができる。つまり、上記構成とすることで、光出射体から出射された光のうち、光取り出し部に向かって進行する光は、そのまま光源装置の外側に放射され、第一反射部に向かって進行する光は、第一反射部によって反射されて再度特定領域に向かって進行する。なお、回転体形状や特定領域については、「発明を実施するための形態」の第一実施形態の説明において後述する。
【0012】
さらに、光出射体は、第二反射部が形成されており、これによって、第一反射部で反射されて、光出射体側に向かって進行する光を、特定領域に向かって再反射させる。つまり、光出射体から出射され、光取り出し部に直接進行しなかった光は、第一反射部と光出射体が備える第二反射部との間で反射を繰り返し、いずれ、光取り出し部から光源装置の外側に向かって放射される。
【0013】
したがって、上記構成の光源装置によれば、光出射体から出射されたほぼ全ての光が、光取り出し部から光源装置の外側に向かって出射されることになるため、発光体から出射される光の利用効率が向上される。そして、光取り出し部において期待される輝度の光源装置が実現される。なお、特定領域の大きさは、回転させる楕円の短軸と長軸の比を調整することで任意に設定することができる。
【0014】
上記光源装置において、
前記光出射体は、短軸方向において前記特定領域と実質的に一致するように前記光供給面が配置されるものであっても構わない。
【0015】
上記構成とすることで、光出射体の光供給面から出射された光のうち、第一反射部に向かって進行する光は、第一反射部と光出射体が備える第二反射部との間で反射を繰り返し、いずれ、光取り出し部から光源装置の外側に向かって放射される。なお、「短軸方向において特定領域と実質的に一致する」とは、短軸方向において、特定領域と完全に一致している場合、すなわち、光供給面と特定領域とが同一平面上に配置されている場合は当然のこと、光供給面10Aは特定領域Faに対して僅かに離間されていてもよく、第一反射部の短軸半径に対して±10%以内の場合を含む。
【0016】
上記光源装置において、
前記第一反射部は、前記特定領域から出射されて、前記第一反射部に向かって進行した光のうちの、一部の波長帯の光を前記特定領域に向かうように反射する波長選択ミラーであっても構わない。
【0017】
また、上記光源装置は、
前記第一反射部の前記反射面とは反対側に、前記第一反射部を透過した光を吸収する吸光部を備えていても構わない。更には、反射部を構成する材料自身が光を吸収する吸光部であっても構わない。
【0018】
本明細書において「一部の波長帯の光を反射する」とは、特定の波長帯の光を反射すると共に、他の光に対しては、全く反射しないだけではなく、反射率が極めて低いことを含む。そして、反射率が極めて低いとは、波長域にもよるが、例えば赤外領域の光に対して30%以下、更に好ましくは20%以下である。
【0019】
第一反射部及び第二反射部は、それぞれ反射面に入射した光を反射すると共に、当該光を僅かに吸収し、吸収した光の量に応じて熱が発生する。つまり、光出射体から出射されて、第一反射部と第二反射部との間で反射を繰り返す光は、光取り出し部に到達するまで、一部が各反射部において少しずつ吸収されて徐々に熱へと変換される。そして、各反射部で発生した熱は、光源装置内の温度を上昇させる。
【0020】
光源装置内の温度が上昇すると、光源装置内に発光体として搭載されるLED、LD、蛍光光源といった光源は、発光効率や変換効率が低下してしまう。さらに、これらの光源の光出射面を第二反射部として利用する構成では、発光体自体が発熱してしまい、発光効率や変換効率がより急激に低下してしまう。
【0021】
ここで、一般的にあらゆる光源から出射される光は、特定の波長のみに強度を示すことはなく、ある程度の幅をもったスペクトルを示す。このため、光源装置から出射される光は、使用用途や光源装置の構成等に応じて、光源や励起光として利用される波長帯の光と、光源や励起光として利用できない、又は利用されない不要な波長帯の光とに分けられる。
【0022】
そこで、上記構成とすることで、最初に第一反射部で反射されて、第二反射部に向かって進行する光は、光出射体から出射された光のうちの第一反射部で反射される一部の光となる。このため、第一反射部が通常のミラーで構成されている場合と比較すると、それぞれの反射部で発生する熱は、第一反射部で反射されなかった光の量に応じて低減される。
【0023】
また、第一反射部が反射する光の波長帯を調整することで、光源装置が、光取り出し部から不要な波長帯の強度が十分に低減された光を出射するように構成することができる。
【0024】
なお、波長選択ミラーは、例えば、ダイクロイックミラーや、バンドパスフィルタ、IRカットフィルタ等を採用し得る。また、吸光部は、例えば、波長選択ミラーの反射面とは反対側の面に、黒体塗料の塗布や、黒色メッキ処理を施すことで構成される。また、波長選択ミラーは、色ガラス等で構成され、波長選択ミラー自身が光吸収する構成であっても構わない。
【0025】
上記光源装置において、
前記発光体は、前記第二反射部を備えていても構わない。
【0026】
このような発光体としては、例えば、LED、LD、蛍光光源等が採用できる。これらの発光体を用いた光源装置は、追加的に第二反射部を構成する部材を配置する必要がないため、装置全体を小さく構成することができる。
【0027】
上記光源装置において、
前記第二反射部は、前記発光体から出射された光を、前記特定領域に導光する導光部を備え、
前記導光部は、前記第一反射部で反射した後に、前記特定領域を通過する光を、前記発光体に導光するものであっても構わない。
【0028】
上記構成とすることで、発光体の光出射面が向いている方向に関わらず、発光体から出射された光は、特定領域に導光される。そして、第一反射部で反射されて特定領域に向かって進行する光は、第二反射部を構成する発光体の光出射面に向かって導光される。
【0029】
上記光源装置において、
前記光供給面は、短軸方向から見たときに、前記特定領域内には、前記発光体から出射された光を前記第一反射部に向かって放射する光放射面と、前記光放射面の外方に延びる前記第二反射部とで構成されていても構わない。
【0030】
上記構成とすることで、短軸方向から見たときに、特定領域内に光出射体の光出射面が配置されていない領域が存在している場合であっても、第二反射部によって、当該領域に進行した光を、第一反射部に向かって再反射させることができる。
【0031】
上記光源装置において、
前記光供給面は、短軸方向から見たときに、前記特定領域内には、前記発光体から出射された光を前記第一反射部に向かって放射する光放射面と、前記光放射面の外方に延びる前記第二反射部とで構成されていても構わない。
【0032】
上記構成とすることで、発光体から特定領域に向かって出射された光は、そのまま特定領域から出射される。また、直接特定領域には向かわず、導光部材によって特定領域に導光される光も、必要最小限の反射回数で特定領域に到達することができるため、反射による光強度の減衰を最小限に抑えることができる。
【0033】
上記光源装置において、
前記光出射体は、平面上に配置された複数の前記発光体を備えていても構わない。
【0034】
上記構成とすることで、光源装置は、複数の発光体から出射される光を光取り出し部からまとめて出射するため、発光部が一つの光源装置よりも高い輝度を実現することができる。
【0035】
上記光源装置において、
前記回転体の形状に沿う外表面を有する透光部材であって、前記外表面に前記第一反射部が形成されていても構わない。
【0036】
上記構成とすることで、光源装置は、第一反射部を支持する部材を別途配置する必要がなくなる。さらに、透光部材が、光取り出し部から出射される光の出射角を小さくするレンズにもなり得るため、より輝度が高い光源装置を実現することができる。
【0037】
上記光源装置において、
前記発光体は、外部からの励起光により蛍光を発する蛍光部材で構成されていても構わない。
【0038】
上記構成とすることで、蛍光部材の形状を調整することで装置全体の構成を自由に構成でき、さらに、蛍光部材の材料を選択することで、所望の波長の光を得ることができる。
【0039】
上記光源装置において、
前記発光体は、バルク状の部材の内部に蛍光体が溶解、又は拡散されてなる光学部材で構成され、前記光学部材の外面に励起光源が設けられており、
前記光学部材の外面、又は前記励起光源の少なくともいずれかに前記第二反射部が形成されていても構わない。
【0040】
上記光源装置において、
前記発光体は、バルク状の部材の内部に蛍光体が溶解、又は拡散されてなる光学部材で構成され、前記光学部材の外面には、励起光源と前記第二反射部が設けられており、
前記第二反射部は、前記励起光源からの励起光に透過性を有する光学要素を備え、
前記第二反射部を介して、前記発光体に励起光が入射されるものであっても構わない。
【0041】
上記構成とすることで、発光体が第二反射部をも備えるため、光源装置全体を小さく構成することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、発光体から出射される光の利用効率を高め、発光領域内の輝度を高めることが可能な光源装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】光源装置の第一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図1B】
図1Aの光源装置をZ方向から見たときの平面図である。
【
図1C】
図1Aの第一反射部を取り除いた光源装置をZ方向から見たときの平面図である。
【
図2】短軸を回転軸として半楕円を回転させたときの回転体形状を形成する動作を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図2の回転動作をZ方向から見たときの平面図である。
【
図4】
図2のミラーを短軸が含まれる平面で切断したときの模式的な断面図である。
【
図5】光源装置の第一実施形態の別構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】光源装置の第一実施形態の別構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7】光源装置の第二実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図8A】光源装置の第三実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図8B】
図8Aの光源装置から第一反射部を取り除いてZ方向から見たときの平面図である。
【
図9A】光源装置の第四実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図9B】光源装置の第四実施形態の別構成を模式的に示す断面図である。
【
図10】光源装置の第五実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図11】光源装置の第六実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図12】光源装置の第七実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図13】光源装置の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図14】光源装置の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図15】光源装置の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図16】光源装置の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【
図17】光源装置の別実施形態の構成をZ方向から見たときの模式的な断面図である。
【
図18】半球状のミラーを中心が含まれる平面で切断したときの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の光源装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0045】
[第一実施形態]
図1Aは、光源装置1の第一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図1Bは、
図1Aの光源装置1をZ方向から見たときの平面図である。
図1Cは、後述する
図1Aの第一反射部11を取り除いた光源装置1をZ方向から見たときの平面図である。
図1A~
図1Cに示すように、光源装置1の第一実施形態は、光出射体10と、長軸を弦とする半楕円の短軸を回転軸とした回転体の少なくとも一部に沿うように形成された凹面形状の反射面11Aを備えた第一反射部11と、光源装置1の外側に光を取り出すための光取り出し部12とを備える。
【0046】
ここで、楕円をその短軸を回転軸として回転したときに得られる回転体を扁球体という。そのため第一反射部11の反射面11Aは、この扁球体の外形に沿った形状となる。以下説明において、半楕円及び回転体の短軸方向をZ方向とし、Z方向に直交する平面をXY平面として説明する。このとき、
図1Aは、光源装置1の第一実施形態を、所定のX座標の位置においてYZ平面で切断したときの断面図に対応する。
【0047】
本明細書では、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+Z方向」、「-Z方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「Z方向」と記載される。
【0048】
図2は、短軸Sxを回転軸として半楕円を回転させたときの回転体形状を形成する動作を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2の回転動作をZ方向から見たときの平面図である。
図2及び
図3に示すように、短軸Sxを回転軸として半楕円を回転させると、回転体が形成されると共に、当該半楕円の焦点Fが短軸Sxを中心とした円を描くような軌跡線を描く。本明細書では、この焦点Fの軌跡によって画定される閉曲線で囲まれた領域を、特定領域Faと呼ぶ。
図2では、特定領域Faがハッチングによって示されている。
【0049】
光出射体10は、
図1A~1Cに示すように、特定領域Fa内から第一反射部11側に向かって光を出射する光供給面10Aを備えている。より詳細には、第一実施形態において、光出射体10は、発光体10Lと第二反射部10Cを備え、第二反射部10Cの一部を構成する導光部13とを備える。この構成により、光出射体10は、特定領域Faから第一反射部11に向かうように、光放射又は光反射によって光を出射する。
【0050】
光出射体10は、
図1Aに示すように、第一反射部11で反射されて特定領域Faに入射された光を、特定領域Faから第一反射部11に向かって再反射させる第二反射部10Cを備えている。なお、第一実施形態の光源装置1にかかる第二反射部10Cは、導光部13との組み合わせによって構成されている。
【0051】
第二反射部10Cの一部を構成する導光部13は、第一反射部11で反射されて、前記特定領域Faに入射された光を導光し、再び特定領域Faから第一反射部11に向かって再反射させる役割の一部を担う。ここでは、第一反射部11で反射されて、前記特定領域Faを通過する光を、発光体10Lの発光面に導光し、発光面で再反射された光を再び特定領域Faに向かって導光させる機能を有する。また発光体10Lの発光面から出射された光を、特定領域Faに導光する機能も有する。この導光部13は、例えば、筒状のミラー、ロッドレンズ等で構成することができる。
【0052】
よって、発光体10Lから出射された光は、特定領域Faを介して第一反射部11と第二反射部10Cとの間で反射を繰り返し、いずれ、光取り出し部12から光源装置1の外側に向かって放射される。
【0053】
Z方向において、光供給面10Aは特定領域Faと同一平面上に配置されている。ここで「同一平面上に配置」とは、製造上の誤差程度のズレは、影響が僅かであり許容される。また、光出射体10が特定領域Faから第一反射部11に向かう方向に光を出射するような配置であれば、必ずしも光供給面10Aと特定領域Faは同一平面上に配置されていなくても構わない。この場合、Z方向において、光供給面10Aは特定領域Faに対して僅かに離間されていてもよく、第一反射部の短軸半径に対して±10%以内の離間距離であれば本発明の効果が享受でき、許容しても構わない。
【0054】
なお、発光体10Lは、その発光表面に微小な凹凸面を有する場合や、発光体内に伝搬される光を反射する反射面が、発光体10Lの内部や、発光体10Lの裏面側に形成される場合等も、特定領域Faから発光体10Lに伝搬される光を再び特定領域Faから第一反射部11に向かって再反射させる機能を有するため、これらは第二反射部10Cを構成するものと認めてよい。また当然ながら、発光体10Lとは別体で第二反射部10Cを設けても構わない。
【0055】
第一反射部11は、長軸Lxを弦とする半楕円の短軸を回転軸とした回転体の形状に沿った凹面形状で構成されている。なお、第一反射部11は、光出射体10から出射された光に対する反射機能を有していればよく、その部材は特に限定されず、例えば、金属ミラー、誘電体多層膜ミラー等で構成される。
【0056】
第一実施形態の光源装置1において、光取り出し部12は、第一反射部11の一部領域に形成されている。より詳細には、第一実施形態の光源装置1をZ方向から見ると、第一反射部11の中心付近に円形状の光取り出し部12が形成されている。
【0057】
光取り出し部12は、単なる開口で構成されていても構わないし、光出射体10から出射された光に対する透過性を有した部材で覆われていても構わない。後者の場合は、例えば、樹脂やガラス等で構成できる。
【0058】
次に、長軸Lxを弦とする半楕円の短軸Sxを回転軸とした回転体の形状の特徴について、
図2~
図4を参照し、回転体の凹面形状に沿って形成されたミラー20として説明する。
図4は、
図2のミラー20を短軸Sxが含まれる平面で切断したときの模式的な断面図である。
図2~
図4に示すように、ミラー20を短軸Sxと平行な任意の面で切断した断面20Aは、短軸Sxと長軸Lxを有する半楕円形状であり、長軸Lx上には二つの焦点(F1,F2)が存在する。
【0059】
まず、ミラー20の断面20A上を進行する光を検討する。
図4において一点鎖線で示すように、焦点F1からの光は、ミラー20によって、点N1における反射面の法線で折り返された方向に反射されて、もう一方の焦点F2に向かって進行する。また、焦点F2からの光は、ミラー20によって反射されて再び焦点F1に向かって進行する。
【0060】
また、
図4において破線で示すように、焦点(F1,F2)の間の領域から放射された光は、ミラー20によって、点N1における反射面の法線で折り返された方向に反射されて、再び焦点(F1,F2)の間の領域に向かって進行する。つまり断面20Aにおいて、焦点(F1、F2)の間の領域から断面20Aに沿って放射された光は、ミラー20によって再び焦点(F1、F2)の間の領域に反射されることとなる。
【0061】
図2及び
図3に示すように、長軸Lxを弦とする半楕円の短軸Sxを回転軸として回転させてなる回転体形状に形成される反射面は、前記短軸Sxを通る任意の断面20Aにおいて同様の作用を有する。すなわち、前記短軸Sxを通る何れの断面20Aにおいても、上述のように、焦点(F1,F2)の間の領域から出射された光は、ミラー20によって再び焦点(F1,F2)の間の領域に反射されることとなる。
【0062】
また発明者は、さらに鋭意検討し、前記断面20A上を通らない光線についても、特定領域内の任意の発光点から発せられた光は、必ず特定領域内に戻るという光学的な作用を見出した。つまり、長軸Lxを弦とする半楕円の短軸Sxを回転軸として回転させてなる回転体形状に形成される反射面は、当該楕円の焦点(F1,F2)の軌跡によって画定される閉曲線で囲まれた特定領域Faにおいて、この特定領域Faから発せられる光線は、原理的に全ての光線が、当該反射面に反射されて再び特定領域内に戻されることとなり、これは光学シミュレーションによっても確認された。
【0063】
したがって、長軸Lxを弦とする半楕円の短軸Sxを回転軸として回転させてなる回転体形状に形成されるミラー20は、短軸Sxを回転軸として断面20Aを回転させたときの焦点(F1,F2)の軌跡によって画定される閉曲線で囲まれた特定領域Fa内を通過する場合、このような光は、特定領域Fa内を通過した後、ミラー20によって反射されて、再び特定領域Fa内に向かって進行する。
【0064】
つまり、特定領域Faから第一反射部11に向かって進行した光は、
図1Aに示すように、第一反射部11で反射されて、特定領域Faに向かって進行することになる。そして、第一反射部11から特定領域Faに向かって反射された光は、光出射体10が備える第二反射部10Cによって、再び特定領域Faから第一反射部11側に向かって進行する。これにより、前記第一反射部11と特定領域Faとの間で反射が繰り返されることとなる。
【0065】
図1A~
図1Cに示す光源装置1は、特定領域Faに配置された光出射体10が光供給面10Aから第一反射部11、又は、光取り出し部12に向かって光を出射する。そして、光出射体10から出射された光のうち、光取り出し部12に向かって進行する光は、そのまま、光源装置1の外側に向かって出射される。
【0066】
光出射体10の光供給面10Aから出射された光のうち、第一反射部11に向かって進行する光は、第一反射部11によって、特定領域Faに向かうように反射される。特定領域Faに戻された光は、光出射体10に形成された第二反射部10Cによって、再び特定領域Faから第一反射部11側に向かって進行し、その後、第一反射部11と第二反射部10Cとの間で反射を繰り返す。
【0067】
第一反射部11と第二反射部10Cの間で反射を繰り返す光は、いずれ、光取り出し部12に向かって進行し、光源装置1の外側に向かって出射される。つまり、光出射体10の光供給面10Aから出射された光は、反射によって光強度が若干減衰されるものの、原理的に光供給面10Aから出射された全ての光が、再び光供給面10Aに戻され、反射光として当該光供給面10Aから再利用が可能となる。したがって、従来の構成と比較して、光供給面10Aの領域内の輝度を向上させることができる。
【0068】
なお、第二反射部10Cの形状は、
図1A~
図1Cに記載された構成に限定されない。例えば、
図5は、光源装置1の第一実施形態の別構成の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、XY平面とは異なる面上に発光面を構成し、発光面から出射された光を、第二反射部10Cが備える導光部13によって、特定領域Faに導光する構成とすることができる。より詳細には、発光面から出射されてY方向に進行する光は、導光部13を導光する間に進行方向がZ方向に変換された後、第一反射部11に向かって進行する。第一反射部11で反射された光は、特定領域Fa内に入射された後、導光部13を導光する間に進行方向がY方向に変換され、発光体10L(第二反射部10C)に向かって進行する。
【0069】
図6は、光源装置1の第一実施形態の別構成の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、光源装置1は、第一反射部11側から光出射体10側にZ方向に向かって見たときに、特定領域Faに面するよう光出射体10の光供給面10Aが配置され、光出射体10が特定領域Faよりも大きく構成されていても構わない。なお、光供給面内に設けられる光放射面10Bの範囲は、その全域が特定領域Fa内に収容される構成がより好ましい。またZ方向からみて、第二反射部10Cは特定領域Fa内の全域に広がるよう形成される構成が望ましい。
【0070】
[第二実施形態]
本発明の光源装置1の第二実施形態の構成につき、第一実施形態とは異なる箇所を中心に説明する。
【0071】
図7は、光源装置1の第二実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、光源装置1の第二実施形態は、光供給面10Aが光放射面10Bと第二反射部10C(10C3)とで構成されており、第二反射部10Cが第一反射部11で反射されて光出射体10側に向かって進行した光を、第一反射部11側に向かって再反射させるように構成されている。なお、第二実施形態では、第二反射部10Cの導光部13が、筒状のミラーで構成されているが、それぞれを異なる部材で別々に構成されていても構わない。
【0072】
導光部13は、発光体10Lの発光面から出射された光を、特定領域Faに導光する機能を有する。また、第二反射部10Cは、Z方向から見たときに特定領域Fa内に位置する。
【0073】
上述したように、光源装置1の第一実施形態では、第一反射部11で反射された後、特定領域Faに向かって進行する光は、発光体10Lが備える第二反射部10Cによって、再び特定領域Faに向かって反射される。これに対し、光源装置1の第二実施形態では、第一反射部11で反射されて特定領域Faに向かって進行した光の一部は、光供給面10Aを構成する第二反射部10C3によって特定領域Faから第一反射部11側に向かって進行するように反射される。
【0074】
[第三実施形態]
本発明の光源装置1の第三実施形態の構成につき、第一実施形態及び第二実施形態とは異なる箇所を中心に説明する。
【0075】
図8Aは、光源装置1の第三実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図8Bは、
図8Aの光源装置1から第一反射部11を取り除いてZ方向から見たときの平面図である。
図8A及び
図8Bに示すように、光源装置1の第三実施形態は、光出射体10が、光供給面10Aを備える発光体10Lである。
【0076】
またZ方向からみて、特定領域Faには、発光体10Lの発光面である光放射面10Pが重ならない領域10Sにおいても第二反射部10Cが延設され、光供給面10Aが拡張されていてもよく、これにより第一反射部11から特定領域Fa内に反射される光のうち、光放射面10Pに向かわない光についても有効に利用することができる。さらに、Z方向からみて、第二反射部10Cは特定領域Fa内の全域に広がるよう形成されることがより望ましい。
【0077】
[第四実施形態]
本発明の光源装置1の第四実施形態の構成につき、第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態とは異なる箇所を中心に説明する。
【0078】
図9Aは、光源装置1の第四実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図9Bは、光源装置1の第四実施形態の別構成を模式的に示す断面図である。
図9A及び
図9Bに示すように、第四実施形態の光源装置1は、第一反射部11と光出射体10との間に透光部材50が充填されている。また、
図9Aでは、光供給面10Aと特定領域FaがZ方向において一致するように配置されている。なお、
図9Aに示す光出射体10は、発光体10Lと第二反射部10Cとで構成されるがこれに限定されるものではなく、他の実施形態に記載される光出射体10を適用させても構わない。
【0079】
透光部材50は、長軸Lxを弦とする半楕円の短軸Sxを回転軸として回転させてなる回転体の形状、すなわち第一反射部11に沿う外表面を有し、光出射体10から出射された光、及び第一反射部11で反射された光に対して透過性を有する、例えば、エポキシや透明シリコーン、アクリル、光学ガラス、石英ガラス等の樹脂、又はガラスといった材料で形成される。
【0080】
また、
図9A及び
図9Bに示すように、透光部材50は、光取り出し部12において曲面が形成されていても構わない。透光部材50が光取り出し部12において曲面を形成していることで、光取り出し部12から出射される光の発散角を狭めて利用することができる。
【0081】
図9Aの光源装置1は、透光部材50が、第一反射部11と光出射体10の光供給面10Aとの間に充填される構成を例示している。また、
図9Bの光源装置1は、透光部材50が、第一反射部11と、封止部材51で封止された光出射体10との間に充填される構成を例示している。
【0082】
図9A及び
図9Bに示す構成は、いずれも光出射体10の光供給面10Aが、特定領域Faと同一平面上に配置されるように構成されているが、必ずしも光供給面10Aと特定領域Faは同一平面上でなくても構わない。また、
図9Bの構成の場合に、封止部材51は、透光部材50と同様に、光出射体10から出射された光、及び第一反射部11で反射された光に対して透過性を有する、例えば、エポキシや透明シリコーン、アクリル、光学ガラス、石英ガラス等の樹脂、又はガラスといった材料で形成されるが、必ずしも透光部材50と同じ材料でなくても構わない。
【0083】
[第五実施形態]
本発明の光源装置1の第五実施形態の構成につき、第一実施形態~第四実施形態とは異なる箇所を中心に説明する。
【0084】
図10は、光源装置1の第五実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図10に示すように、第五実施形態の光出射体100は、発光体に相当する蛍光板100Lと、蛍光板100Lに含まれる蛍光体を励起させるための光を出射する励起光源100Eを備える。
【0085】
蛍光板100Lは、第一反射部11と反対側に配置された励起光源100Eから励起光が入射されると、蛍光板100Lに含まれる蛍光体が励起されて、光供給面100Aから光を出射する。第五実施形態において、蛍光板100Lは、Z方向から見たときに特定領域Fa内に位置されている。
【0086】
蛍光板100Lの光供給面100Aは、第一反射部11によって反射され、特定領域Faに向かって進行する光を、第一反射部11側に向かって再反射させる第二反射部100Cとしての機能も兼ねる。また、図示されていないが、蛍光板100Lの裏面側に、別途、第二反射部100Cを設けてもよく、これによって、第一反射部11に向かって再反射される光を増加させる効果が期待できる。なお、
図10に示すように、第五実施形態においても、蛍光板100Lの光供給面100Aは、特定領域Faと同一平面上に配置されているが、必ずしも光供給面100Aと特定領域Faは同一平面上でなくても構わない。
【0087】
励起光源100Eとしては、例えば、LED、LD等を用いることができる。また、
図10に示すように、第五実施形態の光源装置1は、励起光源100Eから出射された光が蛍光板100Lに直接入射するように構成されているが、任意の位置に配置された励起光源100Eから出射される光が導光部材等によって導光されて蛍光板100Lに入射する構成としても構わない。
【0088】
また蛍光板100Lの光供給面100Aは、例えば、
図10に示す構成のように、蛍光板100Lからの光を放射する光放射面と、その周囲に設けられた第二反射部100Cで構成してもよい。詳述すると、Z方向からみて、特定領域Fa内において蛍光板100Lの光放射面が重ならない領域100Sに第二反射部100Cを形成してもよく、これにより第一反射部11から特定領域Fa内に反射される光のうち、光放射面に向かわない光も再反射可能となり、光を有効利用することができる。さらには、Z方向からみて、第二反射部100Cは特定領域Fa内の全域に広がるよう形成されることがより望ましい。
【0089】
[第六実施形態]
本発明の光源装置1の第六実施形態の構成につき、第一実施形態~第五施形態とは異なる箇所を中心に説明する。
【0090】
図11は、光源装置1の第六実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図11に示すように、第六実施形態の発光体110は、バルク状の部材(体積の大きなかたまり、ブロック状の部材)の内部に蛍光体110Fが溶解、又は拡散されてなる蛍光部材111と、蛍光部材111の外面に励起光源110Eとを備える。そして、蛍光部材111は、励起光源110Eから出射された光が入射されると、励起して蛍光を発する蛍光体110Fを含有している。さらに、蛍光部材111の第一反射部11側に配置された光供給面110Aには、特定領域Faに向かって進行する光を、第一反射部11側に向かって再反射させる第二反射部110Cが構成されている。
【0091】
なお、第二反射部110Cは、必ず光供給面110Aに構成される必要はなく、発光体110を構成する他の場所に構成されていてもよい。例えば、蛍光部材111の外面や、励起光源110Eに第二反射部110Cが形成される構成が考えられる。
【0092】
励起光源110Eは、蛍光部材111に向かって光を出射する光源であって、例えば、LED、LD等を用いることができる。
【0093】
蛍光部材111は、上述のように、蛍光体110Fから発せられる蛍光を特定領域Faに配置される光供給面110Aに導光し、光供給面110Aから光が出射される。発光体110の光供給面110Aから出射された光のうち、第一反射部11に向かって進行する光は、第一反射部11によって特定領域Fa内に反射される。特定領域Faに戻された光は、発光体110に形成された第二反射部110Cによって、再び特定領域Faから第一反射部11側に向かって進行し、その後、第一反射部11と第二反射部110Cとの間で反射を繰り返す。
【0094】
ここで蛍光部材111は、蛍光体110Fから発せられる蛍光を光供給面110Aに導光しかつ、蛍光体110Fを含有している部材であり、樹脂やガラスで構成され、内部に蛍光体110Fが封止された、いわゆる、蛍光ロッドレンズ等である。
【0095】
図11には側面断面が四角形の、直方体形状の蛍光部材111を示しているが、蛍光部材111は、光供給面110Aと第二反射部110Cを有するものであれば、多角柱形状や円柱形状、半球形状等、任意の形状とすることができる。
【0096】
また、発光体110の光供給面110Aは、例えば、
図8Bに示す構成のように、光放射面と、その周囲に広がる第二反射部110Cとで構成されていても構わない。詳述すると、Z方向からみて、特定領域Fa内において光放射面と重ならない領域110Sに第二反射部110Cを形成してもよく、これにより第一反射部11から特定領域Fa内に反射される光のうち、光放射面に向かわない光についても有効に利用することができる。さらに、Z方向からみて、第二反射部110Cは特定領域Fa内の全域に広がるよう形成されることが望ましい。
【0097】
さらに、発光体110の外面には、第二反射部が設けられており、第二反射部は、励起光源110Eからの励起光に対して透過性を有する光学要素を備えていても構わない。光学要素とは、例えば、ダイクロイックフィルタ、ダイクロイックプリズム等である。
【0098】
[第七実施形態]
本発明の光源装置1の第七実施形態の構成につき、第一実施形態~第六施形態とは異なる箇所を中心に説明する。
【0099】
図12は、光源装置1の第七実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図12に示すように、第七実施形態の第一反射部11は、反射面11Aとは反対側に第一反射部11を透過した光を吸収する黒体塗料が塗布されて形成された吸光部14が設けられている。
【0100】
また、第七実施形態の第一反射部11は、長軸Lxを弦とする半楕円の短軸Sxを回転軸として回転させてなる回転体の形状に沿うように形成されたガラス材の表面に、誘電体多層膜が形成された、波長選択ミラーに相当するダイクロイックミラーである。
【0101】
上記構成により、光出射体10から出射されて第一反射部11に向かって進行する光は、一部の波長帯の光が第一反射部11によって反射され、反射されなかった光が第一反射部11に吸収されるか、第一反射部11を透過して吸光部14に吸収される。このため、第二反射部10Cに向かって進行する光の量が低減されて、発光体10Lにおいて発生する熱の量が小さくなり、発光体10Lの発光効率や変換効率の低下が抑制される。
【0102】
なお、
図12において、吸光部14は、第一反射部11の外表面全体にわたって形成されているが、第一反射部11の一部にのみ形成されていても構わない。また、第一反射部11を透過した光が、後段の光学系に影響を及ぼさない場合等は、吸光部14が設けられていなくても構わない。
【0103】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0104】
〈1〉
図13は、光源装置1の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図13に示すように、上記の光源装置1は、複数の発光体10Lを備えた光出射体10で構成されていても構わない。
【0105】
なお、
図13では、第四実施形態の光源装置1において、複数の発光体10Lを備える場合について説明したが、他の実施形態の各光源装置1においても同様である。
【0106】
〈2〉
図14は、光源装置1の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図14に示すように、導光部13によって、光出射体10から出射される光の配光範囲を狭め、光出射体10から出射される光が到達する部分のみに第一反射部11を形成しても構わない。このように構成することで、第一反射部11が不必要に大きくならないため、光源装置1全体を小型化することができる。なお、本実施形態の光源装置1は、
図14の構成に限らず、他の光学部材を用いて光出射体10から出射される光の配光範囲を狭める構成を採用しても構わない。
【0107】
〈3〉
図15は、光源装置1の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。上述の光源装置1の各実施形態では、光取り出し部12は、Z方向に向かって光を出射するように形成されている構成を説明したが、Z方向とは異なる方向に向かって光を出射するように形成されていても構わない。例えば、
図15に示すように、Z方向とは直交する方向に光を出射するように、光取り出し部12が形成されていても構わない。
【0108】
〈4〉
図16は、光源装置1の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図16に示すように、光出射体10の光供給面10Aは、特定領域Faと一致するように、又は特定領域Faと発光体10Lとの間に、第二反射部10Cの一部を構成する部材として光を拡散させる拡散部材150を備えていても構わない。
【0109】
この構成によれば、第一反射部11と特定領域Faの間で反射を繰り返しても光取り出し部12から出射され難い光を、拡散部材150によって散乱させることで、早期に光取り出し部12に向かって進行させることができ、光源装置1から出射される光の強度を向上させることができる。なお、拡散部材150は、別体で配置する構成に限らず、光出射体10の光供給面10Aや、第二反射部10C自体に入射した光を拡散させる機能も付加させたものでも構わない。
【0110】
〈5〉
図17は、光源装置1の別実施形態の構成をZ方向から見たときの模式的な上面断面図である。
図17が示すように、光源装置1は、第一反射部11側から光出射体10側にZ方向に向かって見たときに、特定領域Faの外側に光を吸収する吸光部材160を備えていても構わない。
【0111】
外部からの外乱光や、第一反射部11の形状の異常等により、特定領域Faの外側の領域に光が伝搬された際、これが迷光として光取り出し部12から出射される可能性がある。このような迷光を抑えるため、上記構成で示すように吸光部材160を取り付けることが好ましい。これにより、光源装置1から出射される光の配光範囲を適切に制御することができる。
【0112】
〈6〉 上述した光源装置1が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。
【符号の説明】
【0113】
1 : 光源装置
10 : 光出射体
10A : 光供給面
10B : 光放射面
10C : 第二反射部
10L : 発光体
10P : 光放射面
10S : 領域
11 : 第一反射部
11A : 反射面
12 : 光取り出し部
13 : 導光部
14 : 吸光部
20 : ミラー
20A : 断面
50 : 透光部材
51 : 封止部材
100 : 光出射体
100A : 光供給面
100C : 第二反射部
100E : 励起光源
100L : 蛍光板
100S : 領域
110 : 発光体
110A : 光供給面
110C : 第二反射部
110E : 励起光源
110F : 蛍光体
110S : 領域
111 : 蛍光部材
150 : 拡散部材
160 : 吸光部材
200 : ミラー
201 : 発光領域
F1,F2 : 焦点
Fa : 特定領域
Lx : 長軸
Sx : 短軸